JP5299664B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
上記電動モータのモータハウジングの外郭形状は、円筒形のものが一般的である。一方、ステータを保持する円筒状の隔壁の外周とこれに対向する平たいカバーとの間に、制御装置(ECU)の収納室を区画することが提案されている(例えば特許文献1を参照)。
通例、電動モータは熱を持つ傾向にあり、ECUの放熱が悪くなるおそれがある。
本発明は、かかる背景のもとになされたものであり、放熱性に優れた車両用操舵装置を提供することを目的とする。
また、上記外郭材は環状をなし、外郭材の外周(204)の断面形状は矩形である場合がある(請求項2)。この場合、外郭材の外周の断面のなす矩形の主に四隅に、熱伝導部材を配置するので、十分な容量の熱伝導部材を配置することができ、放熱性を高めることができる。モータハウジングにおいて外郭材が設けられない部分の断面を矩形とする場合に、その矩形の大きさと同等、または同等以下の大きさの外郭形状を有する外郭材を用いることにより、電動モータの実質的な設置スペースの増大を抑制しつつ放熱性を向上することができる。
また、上記熱伝導部材は、上記外郭材の内周と上記円筒面との間に配置された放熱用のフィン(206,207)である場合がある(請求項4)。この場合、電動モータの実質的な設置スペースの増大を抑制しつつ、放熱用のフィンによって、放熱効果を高めることができる。
また、上記電動モータの回転軸(37)の軸方向(X1)に沿って見たときに、外郭材の外郭形状は、上記制御装置を収容するハウジングの外郭形状と同等または同等以下の大きさに設定されている(請求項6)。この場合、電動モータの実質的な設置スペースの増大を抑制しつつ、制御装置の温度上昇を抑制して信頼性を向上することができる。ただし、制御装置を収容するハウジングの外郭形状としては、外周フランジその他の外方への出っ張り形状を含むものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用操舵装置としての電動パワーステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。
図1を参照して、電動パワーステアリング装置1は、操舵部材としてのステアリングホイール2と、ステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
ステアリングシャフト6は、直線状に延びている。また、ステアリングシャフト6は、ステアリングホイール2に連結された入力軸8と、中間軸7に連結された出力軸9とを含む。入力軸8と出力軸9とは、トーションバー10を介して同一軸線上で相対回転可能に連結されている。すなわち、ステアリングホイール2に一定値以上の操舵トルクが入力されると、入力軸8および出力軸9は、互いに相対回転しつつ同一方向に回転するようになっている。
ピニオン軸13は、中間軸7に連結されている。ピニオン軸13は、ステアリングホイール2の操舵に連動して回転するようになっている。ピニオン軸13の先端(図1では下端)には、ピニオン16が連結されている。
操舵補助機構5は、操舵補助用の電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを転舵機構4に伝達するための伝達機構としての減速機構19とを含む。減速機構19としては、例えばウォームギヤ機構などの食い違い軸歯車機構や、平行軸歯車機構などを用いることができる。本実施形態では、減速機構19として、ウォームギヤ機構が用いられている。すなわち、減速機構19は、駆動ギヤ(伝達機構の駆動側部材)としてのウォーム軸20と、このウォーム軸20と噛み合う従動ギヤ(伝達機構の従動側部材)としてのウォームホイール21とを含む。減速機構19は、伝達ハウジングとしてのギヤハウジング22内に収容されている。
電動モータ18がウォーム軸20を回転駆動すると、ウォーム軸20によってウォームホイール21が回転駆動され、ウォームホイール21およびステアリングシャフト6が同行回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォーム軸20を回転駆動することで、転舵輪3が転舵されるようになっている。
すなわち、ECU12を収容するためのハウジングHを構成する第1のハウジング23および第2のハウジング24は互いに接触しており(直接に係合しており)、両ハウジング23,24の間に、別のハウジングが介在していない。これにより、格段の小型化が図られている。
一方、電動モータのモータハウジング25は、筒状のモータハウジング本体26と、モータハウジング本体26を取り囲むカバーハウジング260と、上記の第1のハウジング23とにより構成されている。具体的には、ECU12を収容するためのハウジングHの一部である第1のハウジング23が、電動モータ12のモータハウジング25の少なくとも一部とは単一の材料で一体に形成されている。換言すると、モータハウジング25の少なくとも一部と、ECU12を収容するためのハウジングHの一部とが兼用されている。
また、図2を参照して、電動モータ18の後述する回転軸37の軸方向X1に沿って見たときに、電気コネクタ94および従動ギヤ収容ハウジング28の互いの少なくとも一部が互いに重なり合うレイアウトとされている。これにより、実質的な小型化および省スペース化を図ることができ、車両への搭載性が向上する。
モータハウジング25の第1のハウジング23は、例えばアルミニウム合金(例えば鋳造品、冷間鍛造品)により形成され、操舵補助機構5の軽量化が図られている。また、駆動ギヤ収容ハウジング27、従動ギヤ収容ハウジング28および第2のハウジング24で構成されるギヤハウジング22は、例えばアルミニウム合金(例えば鋳造品、冷間鍛造品)により形成され、操舵補助機構5の軽量化が図られている。また、モータハウジング25のモータハウジング本体26には、例えば非磁性の板金が用いられている。
図2、図3および図5を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、モータハウジング25が、モータハウジング本体26とカバーハウジング260とを含み、モータハウジング25のモータハウジング本体26の周壁29の内周が円筒面200を含み、モータハウジング本体26の周壁29を取り囲むカバーハウジング260が外郭材201を含み、上記円筒面200を取り囲む筒状の外郭材201が、円筒面200に対して周壁29を介して熱伝導可能に接続されている点にある。
外郭材201のブラケット205およびモータハウジング25のモータハウジング本体26の上記ブラケット32が、両ブラケット205,32のねじ挿通孔(図示せず)を挿通する固定ねじ34によって供締めされている。固定ねじ34が、第1のハウジング23のねじ孔にねじ込まれることにより、外郭材201およびヒートマス203を含むカバーハウジング260、モータハウジング本体26並びに第1のハウジング23が一体に固定されている。
ギヤハウジング22の従動ギヤ収容ハウジング28には、トルクセンサ11が収容された筒状のセンサハウジング35が連結されており、従動ギヤ収容ハウジング28およびセンサハウジング35は、固定ねじ36を用いて互いに固定されている。ステアリングシャフト6が、筒状の従動ギヤ収容ハウジング28およびセンサハウジング35内に挿通されている。
また、第2のハウジング24の第2の内壁面102は、環状平面により構成されており、その環状平面は、電動モータ18の回転軸37の中心軸線C1または上記中心軸線C1の延長線C2(通例、ウォーム軸20の中心軸線C3に一致)とは直交し且つ上記中心軸線C1または上記延長線C2の回りを取り囲んでいる。
電動モータ18の回転軸37およびウォーム軸20が同軸上に並べて配置されており、回転軸37およびウォーム軸20は、互いの間に介在する継手38を介して同軸的に動力伝達可能に連結されている。継手38は、電動モータ18の回転軸37と同行回転する環状の入力部材39と、ウォーム軸20と同行回転する環状の出力部材40と、入力部材39および出力部材40の間に介在し入力部材39および出力部材40を動力伝達可能に連結する環状の弾性部材41とを有している。
ウォーム軸20の第1の端部20aは、駆動ギヤ収容孔42の一端(電動モータ18側の端部)の内周の軸受保持部44に保持された第1の軸受45によって、回転可能に支持されている。ウォーム軸20の第2の端部20bは、駆動ギヤ収容孔42の他端の内周の軸受保持部46に保持された第2の軸受47によって、回転可能に支持されている。
第2の軸受47は、内輪53と、外輪54と、内輪53および外輪54の間に介在する複数の転動体55とを有する転がり軸受からなる。内輪53は、ウォーム軸20の第2の端部20bに同行回転可能に保持されている。内輪53の一方の端面は、ウォーム軸20の外周に設けられた位置決め段部に当接している。これにより、ウォーム軸20に対する内輪53の軸方向移動(第1の軸受45側への移動)が規制されている。
ウォーム軸20の第1および第2の端部20a,20bを支持する第1および第2の軸受45,47は、何れも公知のシール軸受により構成されている。具体的には、転動体の軸方向X1の両側において、内輪と外輪の間を密封するシール部材62を備えており、そのシール部材62は、内輪または外輪の何れか一方に固定される。また、シール部材62は他方に摺接するリップを有している。
ロータ64は、回転軸37の外周に同行回転可能に取り付けられた環状のロータコア66と、ロータコア66の外周に同行回転可能に取り付けられた例えば環状の永久磁石からなるロータマグネット67とを有している。ロータマグネット67には、複数の磁極が周方向に並べて配置されている。これらの磁極は、ロータ64の周方向に関して、N極およびS極が交互に入れ替わるようにされている。
ECU12の収容室100を区画するハウジングHの一部である第1のハウジング23は、収容室100とモータ室70とを仕切る仕切り壁77を底壁として含んでいる。この仕切り壁77に、上記第1の内壁面101が設けられている。仕切り壁77の外周の近傍からモータハウジング本体26側に向かって筒状突起104が延びており、その筒状突起104の外周に、モータハウジング本体26の一端が嵌合されている。
収容室100には、ECU12の一部を構成するパワー基板78および制御基板79が収容され保持されている。パワー基板78には、電動モータ18を駆動するためのパワー回路の少なくとも一部(例えばFETなどのスイッチング素子)が実装されている。上記の各コイル69と接続されたバスバー71は、第1のハウジング23の上記仕切り壁77を挿通して収容室100内に進入するバスバー端子80を介して、パワー基板78に接続されている。
収容室100内において、パワー回路が実装されたパワー基板78は、第1の内壁面101および第2の内壁面102のうち第1の内壁面101に相対的に近接して配置されている。すなわち、上記の仕切り壁77は、電動モータ18の回転軸37の軸方向X1に関しての厚みt1が相対的に厚い厚肉部77aと相対的に薄い薄肉部77bとを含んでいる。厚肉部77aは、収容室100内に突出するように設けられている。
本実施の形態では、パワー基板78は厚肉部77aにおける第1の内壁面101に対して熱伝導可能に接触しており、上記の厚肉部77aは、パワー基板78の熱を逃がすためのヒートシンクとして機能している。
制御基板79は、電動モータ18の回転軸37の軸方向X1に関して、第2のハウジング24の第2の内壁面102とパワー基板78との間に配置されている。パワー基板78および制御基板79は、電動モータ18の回転軸37の軸方向X1に関して所定の間隔を隔てて配置されている。また、電動モータ18の回転軸37の中心軸線C1に沿う方向に関して、制御基板79および継手38の互いの少なくとも一部が重なるようにレイアウトされている。
収容室100内において、仕切り壁77の中央部には、本体87の開放側(第2のハウジング24側)に向かって延びる筒状部89が形成されている。外周壁92は、仕切り壁77の外周縁から延設されており、筒状部89を取り囲んでいる。本体87および筒状部89は、単一の部材で一体に形成されている。
第1の内壁面101のうち、厚肉部77aにおける部分が、パワー基板78を受ける座部103を構成している。座部103は、発熱要素としてのFET83を有するパワー基板78に、熱伝導可能に接触している。発熱要素の熱は、パワー基板78から、ヒートシンクを構成する厚肉部77aおよび取付部96を介して、第2のハウジング24とは一体のギヤハウジング22側へ逃がされる。
本実施の形態によれば、ステータ65を保持するモータハウジング本体26の内周の円筒面200から、モータハウジング本体26の周壁29、および熱伝導部材としてのヒートマス203を介して外郭材201に、効率的に熱が逃がすことができるので、電動モータ18の温度上昇を抑制することができる。
ECU12を収容するハウジングHの一部を構成する第1のハウジング23(モータハウジング25において外郭材が設けられない部分に相当)の断面を、本実施の形態のように矩形とする場合に、その矩形の大きさと同等、または同等以下の大きさの外郭形状を有する外郭材201を用いることにより、電動モータ18の実質的な設置スペースの増大を抑制しつつ放熱性を向上することができる。
また、モータハウジング25の少なくとも一部である第1のハウジング23と、これに接触する第2のハウジング24とによって、ECU12の収容室100を形成している。すなわち、第1のハウジング23および第2のハウジング24の間に、別のハウジングを介在させないので、小型化を達成することができる。したがって、車両への搭載性が良い。
第2の内壁面102のなす環状平面の延長面P1が、操舵力を伝達するための軸(本実施の形態ではステアリングシャフト6に相当)を取り囲む筒状部としての従動ギヤ収容ハウジング28の外周面28aの主要部のなす円筒面P2と図3のように交差するか、または接する状態にある。したがって、電動モータ18の回転軸37の軸方向X1に関して、収容室100を、ステアリングシャフト6側に十分に近づけて配置することになり、回転軸37の軸方向X1に関して、電動パワーステアリング装置1をより小型にすることができる。
また、上記第1のハウジング23は、収容室100とモータ室70とを仕切る仕切り壁77を含み、パワー基板78が仕切り壁77の第1の内壁面101に相対的に近接して設けられている。特に、パワー基板78が、仕切り壁77の厚肉部77aにおける、第1の内壁面101に対して熱伝導可能に接触している。したがって、第1のハウジング23の仕切り壁77の厚肉部77aをヒートシンクとして利用して、FET83等の発熱要素を有するパワー基板78の熱を第1のハウジング23からこれに接触する第2のハウジング24側へ効果的に逃がすことができる。
上記の実施の形態では、第2のハウジング24およびギヤハウジング22を兼用するようにしたが、これに限らず、第2のハウジング24およびセンサハウジング35を兼用するようにしてもよい。
また、ヒートマス203に代えて、図6に示すように、回転軸37の軸方向X1(紙面と直交する方向)に延びる例えば板状の複数の放熱用のフィン206を有するカバーハウジング261を用いてもよい。フィン206は、外郭材201の内周202とモータハウジング25のモータハウジング本体26の周壁29の外周29aとの間に配置され、周壁29の内周の円筒面200および外郭材201に熱伝導可能に接続されている。具体的には、フィン206は外郭材201と単一の材料で一体に形成され、周壁29の外周29aに嵌め合わされている。本実施の形態においても、電動モータ18の実質的な設置スペースの増大を抑制しつつ、放熱用のフィン206によって、放熱効果を高めることができる。
また、図6に示す放熱用のフィン206に代えて、図7に示す放熱用のフィン207を有するカバーハウジング262を用いるようにしてもよい。フィン207は、回転軸37の軸方向X1とは直交する方向に延びている。フィン207は、外郭材201の内周202とモータハウジング25のモータハウジング本体26の周壁29の外周29aとの間に配置され、周壁29の内周の円筒面200および外郭材201に熱伝導可能に接続されている。具体的には、フィン207は外郭材201と単一の材料で一体に形成され、周壁29の外周29aに嵌め合わされている。本実施の形態においても、電動モータ18の実質的な設置スペースの増大を抑制しつつ、放熱用のフィン207によって、放熱効果を高めることができる。
また、図9に示すように、ステータ65を支持する円筒面208を有するヒートシンク203と、外郭材201とが単一の材料で一体に形成されたカバーハウジング264を用いてもよい。この場合、モータハウジング25の構造をより簡素化することができ、また、放熱性をより一層向上することができる。
また、上述の実施形態では、電動モータ18として、ブラシレスモータを用いる例について説明したが、これに限らず、ブラシレスモータ以外のモータを、電動モータ18として用いてもよい。
Claims (6)
- 操舵力を得るための電動モータを備え、
上記電動モータは、回転軸と、回転軸と同行回転するロータと、ロータと対向するステータと、ステータを取り囲むモータハウジングとを含み、
上記モータハウジングは、ステータを保持する円筒面と、円筒面を取り囲む外郭材と、上記円筒面および外郭材を熱伝導可能に接続した熱伝導部材とを含み、
上記電動モータを駆動するためのパワー基板を含み、電動モータの駆動を制御する制御装置と、
上記制御装置を収容する収容室の一部を区画するハウジングとをさらに備え、
上記収容室の一部を区画するハウジングは、上記円筒面を形成する部材に当接し、
上記収容室の一部を区画するハウジングは、収容室とモータハウジングの内部とを仕切る仕切り壁を含み、
上記仕切り壁は、電動モータの回転軸の軸方向に関しての厚みが厚くて上記パワー基板が熱伝導可能に接触した厚肉部と、厚肉部よりも厚みの薄い薄肉部とを含むことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、上記外郭材は環状をなし、外郭材の外周の断面形状は矩形であることを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項1において、上記熱伝導部材は、上記外郭材の内周と上記円筒面との間に充填されたヒートマスであることを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項1において、上記熱伝導部材は、上記外郭材の内周と上記円筒面との間に配置された放熱用のフィンであることを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項1から4の何れか1項において、上記制御装置を収容するハウジングの少なくとも一部が、モータハウジングの一部であって上記収容室の一部を区画するハウジングであることを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項5において、上記電動モータの回転軸の軸方向に沿って見たときに、外郭材の外郭形状は、上記制御装置を収容するハウジングの外郭形状と同等または同等以下の大きさに設定されていることを特徴とする車両用操舵装置。
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