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JP5297348B2 - 配管詰まり検知装置及び配管詰まり検知方法 - Google Patents

配管詰まり検知装置及び配管詰まり検知方法 Download PDF

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JP5297348B2 JP2009258680A JP2009258680A JP5297348B2 JP 5297348 B2 JP5297348 B2 JP 5297348B2 JP 2009258680 A JP2009258680 A JP 2009258680A JP 2009258680 A JP2009258680 A JP 2009258680A JP 5297348 B2 JP5297348 B2 JP 5297348B2
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Description

本発明は、ごみ焼却炉、サイロなどへ投入物を投入する投入配管(シュート装置)などに設けられた配管詰まりを検知する装置及び配管詰まり検知方法に関する。
例えば、ごみ焼却炉において、焼却炉本体に連通する投入配管に投入物の詰まりが発生し、炉内へのごみの供給が不安定になると、燃焼状態が悪化する可能性がある。詰まりが大きくなると排除作業にもコストが掛かってしまう。このようなことから、詰まりの早期発見が重要な課題である。そのため、投入配管の詰まりを検出する技術として種々のものが開発されている。
例えば、特許文献1には、サイクロンシュートの粉体詰まり検出装置が開示されている。この技術は、配管内を流れる固形物と配管や配管内装置との衝突によって生じる振動や音に着目し、詰まりが発生すると衝撃振動・音が小さくなることを利用して詰まりを検知する。すなわち、振動・音が大きいと詰まりはなく、振動・音が小さくなると「詰まりが発生」と判定している。
特許文献2には、プラスチック輸送配管の詰まり検知方法が開示されている。この技術では、詰まり位置を特定するために、配管の複数箇所に振動・音センサを設け、各位置のセンサの出力から詰まり状況を検知している。
特開平6−255749号公報 特開2001−206546号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2の検出技術では、投入物の投入量の変化に伴う流量の変化や投入物の嵩比重が小さくなることに起因する振動の変化を、「詰まり」として検出し誤判定を行うことが多々あった。
例えば、少ない量の投入物が連続して投入される状況を考えるに、この状況では「詰まり」は発生しておらず正常な状況である。しかしながら、特許文献1や特許文献2の検出技術では、振動センサからの出力値が小さいため、「詰まり有り」と誤判定を行う可能性大である。同様に、投入物が軟らかく軽いものに変化したために衝撃振動(衝突振動と言うこともある)が小さくなり、詰まりなく流れているにもかかわらず「詰まり有り」と誤判定してしまうことも有りうる。
特に、一般家庭から出るごみの焼却炉においては、様々な大きさ・嵩比重のごみを破砕したものが投入され、投入量も運転条件により変動するので、従来の技術では正確な検知が困難である。特許文献2の技術は、振動・音の着目する周波数範囲を変更することで投入物の種類・量の変化に対応する方法が示されているが、投入物の大きさなどがある程度決まったものならまだしも、一般ごみの焼却炉のように、投入物の種類・量の変化パターンが多数ある場合や頻繁に変化する場合には、正確な検知が不可能となる。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、投入物の流量、質の変化によらず、安定して配管の詰まりを検知できる検知装置及び検知方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の配管詰まり検知装置は、投入物が投入される配管の詰まりを検知する配管詰まり検知装置において、前記配管の管壁には管長手方向に沿って複数の振動センサが取り付けられ、前記複数の振動センサにより検出された振動が、所定の検知時間内において所定の閾値以上となる回数を計測して、前記回数がそれぞれ異なるタイミングで低減した際に、当該配管に詰まりが発生したと判定する判定部と、前記判定部における検出精度を更に向上させるべく、前記検知時間及び/又は閾値を、前記投入物の状態に応じて変更する閾値変更部と、が設けられていることを特徴とする。
配管はごみ焼却炉に投入物であるごみを投入する投入配管である場合に、本発明の配管詰まり検知装置は好適である。
本願発明者らは、投入物の流量、質の変化によらず、安定して配管の詰まりを検知できる検知装置を開発すべく鋭意研究を行い、焼却炉等に配設された配管での詰まり発生メカニズムが、以下の通りであることを知見するに至った。
一般家庭から出るごみの焼却炉においては、受け入れたごみを破砕したものが投入配管に投入される。機器トラブルを防止するために、受け入れるごみの種類や大きさを制限しているが、まれに規格外のごみが含まれていることがあり、それらが十分に破砕されないまま投入されてしまうこともある。例えば、長い棒状のごみや漁網のようなごみが投入されると、それらが配管内で引っかかるなどして配管詰まりの原因となる可能性がある。また、粘着性の高いごみが配管壁に付着して原因となる可能性もある。このような原因により、一旦、投入物が配管内面に付着すると、図2に示す如く、後に投入された投入物は前述の付着投入物の上流側に滞留し付着物自体が大きくなる。やがては、配管側壁の付着物が下流から上流側にどんどん大きくなり、その付着物によって配管自体が狭窄しついには閉塞するようになる。
本発明は、上述した「投入物の付着過程」に着目して、配管の詰まりを検出するものであり、たとえば配管の管壁には複数の振動センサを取り付ける。投入物が正常に流下している場合には、複数の振動センサのいずれからも、比較的規則正しい振動が略一定のレベルで検出されるが、配管内に付着物が付着した場合には、付着物に近い振動センサからの出力レベルが著しく低下する。加えて、付着物の堆積状況は配管の下流側から上流側へと伸びてゆくため、複数の振動センサが検出する振動レベルは異なるタイミングで低下してゆく。ゆえに、判定部は、複数の振動センサにより検出された振動がそれぞれ異なるタイミングで低減した際に、当該配管に詰まりが発生したと判定する。
この判定部の結果を基にすると、配管の詰まりを確実に検出できると共に、投入物の投入量の変化や投入物の嵩比重の変化に起因する振動変動を「詰まり」として検知し誤判定しない。ひいては、投入物の流量、質の変化によらず、安定して配管の詰まりを検知できるようになる。
以上述べた判定部での検出精度を更に向上させるためには、振動センサからの出力を基にした「検知を行う時間」や「検知のための閾値」を可変とすることが好ましいと考えた。そこで、本発明においては、閾値変更部が、検知時間及び/又は閾値を前記投入物の状態に応じて変更するようにしている。そのため、投入物であるごみの流量、質の変化によらず、安定して配管の詰まりを検知できるようになる。なお、安定して配管の詰まりを検知できるのであれば、複数の振動センサを取り付ける必要がなく、1つの振動センサでの検知とすることも可能である。
好ましくは、前記閾値変更部は、前記投入物の状態量又は投入物の状態量に相関があるパラメータを用いて、前記検知時間及び/又は閾値を変更するとよい。
前記配管が、ごみ焼却炉に前記投入物であるごみを投入する投入配管である場合には、前記投入物の状態量として、ごみの量(単位時間内に投入されるごみの体積または重量)、ごみの嵩比重、ごみの種類の少なくとも1つ以上を採用するとよい。
また、前記配管が、ごみ焼却炉に前記投入物であるごみを投入する投入配管である場合には、前記投入物の状態量に相関があるパラメータとして、ごみ焼却炉に投入されるごみを搬送する搬送装置のモータ回転数(搬送速度)、ごみ焼却炉に投入されるごみを搬送する搬送装置のモータ消費電力(搬送負荷)、ごみ焼却炉に投入されるごみを破砕する破砕装置のモータ回転数(破砕速度)、ごみ焼却炉に投入されるごみを破砕する破砕装置のモータ消費電力(破砕負荷)、ごみ貯蔵ピットにおけるごみの高さ位置、ごみ貯蔵ピットからごみを搬出するためのクレーンの吊り重量、ごみ焼却炉内におけるごみ燃焼に伴う発熱量、の少なくとも1つ以上を採用するとよい。
なお、投入物の状態量とパラメータとの相関関係としては、ごみの状態量(嵩比重)が変化した結果として、パラメータ(消費電力,吊り重量)が意図せず変化する場合もあるし、オペレータが意図して(運転操作として)パラメータ(回転数,ピット高さ)を変更させた結果として、ごみの状態量(量,かさ比重)が変化する場合もある。
好ましくは、前記閾値変更部は、前記ごみの嵩比重が上昇した際には前記閾値を上昇させ、前記ごみの嵩比重が下降した際には前記閾値を下降させるとよい。
前記閾値変更部は、前記ごみ貯蔵ピットにおけるごみの高さ位置が上昇した際には前記閾値を下降させ、前記ごみの高さ位置が下降した際には前記閾値を上昇させてもよい。
本発明の配管詰まり検知方法は、投入物が投入される配管の詰まりを検知する配管詰まり検知方法であって、前記配管の管壁に管長手方向に沿って複数の振動センサを取り付けておき、前記複数の振動センサにより検出された振動が、所定の検知時間内において所定の閾値以上となる回数を計測して、前記回数がそれぞれ異なるタイミングで低減した際に、当該配管に詰まりが発生したと判定し、前記判定の検出精度を更に向上させるべく、前記検知時間及び/又は閾値を、前記投入物の状態に応じて変更することを特徴とする。
この方法によれば、配管の詰まりを確実に検出できると共に、投入物の投入量の変化や投入物の嵩比重などの変化に起因する振動変動を「詰まり有り」と誤判定することを回避できる。
本発明に係る配管詰まり検知装置及び配管詰まり検知方法によると、投入物の流量、質の変化によらず、安定して配管の詰まり状況を検知できる。
ごみ焼却炉に設置された配管詰まり検知装置の概略図である。 実施形態に係る配管詰まり検知装置の部分拡大図である。 振動センサからの出力を示した図である。 衝撃振動回数の時間遷移を示した図である。 ごみ焼却炉の概略図である。 給じん装置の回転数変化に伴う振動波形の変化を説明するための図である。 給じん装置の回転数変化に伴う衝撃振動回数の変化を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1に本発明の実施形態に係る配管詰まり検知装置1を示したものである。この配管詰まり検知装置1は、ごみ焼却炉2の投入配管3に設けられている。この投入配管3には、投入物として、家庭ごみがプラスチック等のごみ袋に収納されたもの、粗大ごみ等がそのままの状態若しくは破砕された状態で投入される。ゆえに、以降、かかる投入物を単にごみと表記し、ごみ焼却炉2を単に焼却炉2を表記する。
焼却炉2は、ごみが燃焼させられる炉本体4を備える。炉本体4には、ごみが供給される投入口5と、この投入孔に連通する投入配管3と、燃焼用のバーナ(図示せず)と、排ガスの排出口6とが設けられている。炉内壁は、耐火レンガなどの耐火被覆材が設けられた構造となっている。
上述した構造の焼却炉2にあっては、投入配管3の上流側に設けられた投入口5から、様々な特性(硬さ、重さ、嵩比重などのごみの状態)を持つごみが投入される。投入されたごみは投入配管3内を流下し、焼却炉2の内に入り、燃焼・熱分解される。
本実施形態の投入配管3は、投入口5に続く上流部3aは鉛直状に配され、下流部3bは鉛直方向に対して斜め(図1では右斜下状)に設けられている。このような投入配管3では、炉本体4と投入配管3との境界近傍で管壁への付着物Sの発生(初期の詰まり)がおこり、そこから上流側や管の中心側に付着物Sが増大(詰まりが成長)していく場合が多い。
そのような付着物Sの発生、それに伴う配管の閉塞を検知する配管詰まり検知装置1は、投入配管3の管壁に設けられた複数の振動センサ7を有している。さらに、この複数の振動センサ7により検出された振動がそれぞれ異なるタイミングで低減した際に、当該配管に詰まりが発生したと判定する判定部8を有している。
詳しくは、図1,図2に示す如く、投入配管3の下流部3bにおいて、ごみの流下方向(管長手方向)に沿って投入配管3の外周壁に3つの振動センサ7(7A,7B,7C)が設けられている。振動センサ7は、圧電素子等で構成され、例えば、1Hz〜10kHzの振動を検知可能であって、耐熱性に優れるように金属ケースの中に配備されている。
投入配管3の上流部3aは垂直となっているため、投入されたごみは、配管下流部3bの下側に衝突することとなる。そのため、3つの振動センサ7A,7B,7Cは配管下流部3bの下側の外周壁に取り付けることが好ましい。
なお、振動センサ7の取り付け数は3個に限定されない。1つでもよく4つ以上設置しても何ら問題はない。また、設置場所は、配管詰まりが発生する場所とすることが好ましい。多くの焼却炉2においては、操業実績として「配管詰まり」が起こりやすい場所が特定されていることが多いため、設置場所の選定は比較的容易である。配管詰まりの起こる場所が特定できない場合などは、投入配管3の広い領域(例えば、最上流側から最下流側へ亘って)、複数の振動センサ7を設置するとよい。
振動センサ7の出力信号は振動計測部9で増幅される。図3には、増幅後の振動加速度の例を示している。投入されたごみに含まれている比較的硬くて重い固形物の管壁への衝突により、衝撃的な振動が生じていることが見て取れる。この波形は、ごみの形状や重さにより様々であり、一例として捉えるべきである。このような振動センサ7の出力信号は、コンピュータで構成された判定部8に入力され、配管内の付着物Sの有無、閉塞状況が判定される。
判定部8で行われる判定処理は以下の通りである。
図4は、振動センサ7A,7B,7Cからの出力を基に、衝撃振動回数(例えば、図3に示すような波形で、検知時間1分間における所定閾値以上の加速度を有するピーク波形の発生回数)を算出した上で、この衝撃振動回数の時間遷移を示したものである。
図4から明らかなように、3つの振動センサ7A,7B,7Cのそれぞれについて、単位時間中の衝撃振動の回数は時間と共に変動している。振動センサ7Aは、鉛直部の下に位置しているので衝撃振動の回数が最も多く、逆に、焼却炉2に近い振動センサ7Cの衝撃振動の回数は最も少ない。
図4のX領域では、振動センサ7A,7B,7C全てにおける衝撃振動の回数がほぼ同時に減少している。これは、ごみの投入量が減少したことに起因していると考えられる。また、ごみの質が変化し、ごみに含まれる硬くて重い投入物の割合が変化した場合にも、すべての振動センサ7の出力が同じように変化する。
一方、図4のY領域では、振動センサ7C→振動センサ7B→振動センサ7Aの順に回数が減少している。すなわち、振動センサ7Cは時間TCから衝撃振動回数(センサ自身の出力値でもよい)が減少し、振動センサ7Bは時間TBから衝撃振動回数が減少し、振動センサ7Aは時間TAから衝撃振動回数が減少している。時間TC<時間TB<時間TAであり、時間間隔(例えば、時間TA−時間TB)は例えば5分程度である。
このように、振動センサ7A,7B,7Cの出力がそれぞれ異なるタイミングで低減することは、ごみの詰まりが、図2に示すメカニズムで成長していることに起因している。つまり、何らかの原因で投入配管3の内壁にごみが張り付いたとしたら、それに引っ掛かるように上流側に向かって新たなごみが付着して行き、やがては大きな詰まりへと発展してゆく。したがって、下流側に位置する振動センサ7C→振動センサ7B→振動センサ7Aの順番で出力が減ってゆくこととなる。このように、配管の下流側から上流側へと順に振動が低減した際に、判定部8は配管内に詰まりが発生した又は発生しつつあると判断する。
以上述べた配管詰まり検知装置1や検出方法により、配管3内へのごみの詰まりを見つけることが可能であるが、より好ましくは、判定部8で詰まりを検出するための基データとなる衝撃振動回数をごみの投入量や質の変化によらず安定して計測するために、振動センサ7の出力から衝撃振動回数を抽出するための検知時間や閾値(加速度などの振動振幅の閾値)を、ごみの状態に応じて変更するとよい。
以下、上述した判定部8による配管内の詰まり判定に用いられる衝撃振動回数の算出方法(変更方法)について説明する。
大略的に言えば、図3に示した振動加速度(振動センサ7の出力)に対して所定時間において所定閾値以上の加速度を有するピーク波形の発生回数をカウントした値が図4の縦軸の衝撃振動回数であって、本実施形態においては、この閾値及び所定時間を、運転パラメータにより変化させる。この処理は閾値変更部24にて行われる。
図5に示した如く、ごみ焼却炉2の投入口5の上流側には、給じん装置20(搬送装置)が設けられている。この給じん装置20は、例えばスクリューコンベアをモータで駆動して、ごみ破砕機21(破砕装置)から投入口5まで破砕されたごみを搬送する。ごみ破砕機21は、クレーン23で吊り上げられたごみが投入されて、モータにより回転する回転刃でごみを破砕する。クレーン23は、一定容積のホッパでごみ貯蔵ピット22に貯蔵されたごみを吊り上げてごみ破砕機21に投入する。
なお、ごみ焼却炉2の上流側における各種の機器(給じん装置20、ごみ破砕機21、クレーン23など)の運転状況を示す値を運転パラメータと呼ぶ。
表1に、運転パラメータ(単にパラメータと表記することもある)の変化と衝撃振動回数nの検出閾値L(単に閾値と言うこともある)の変化との関係を示す。
運転パラメータとしては、給じん装置20の回転数N、給じん装置20の消費電力PK、ごみ破砕機21の回転数N、ごみ破砕機21の消費電力PF、ごみ貯蔵ピット22内のごみ高さH、クレーン23の吊り重量Wがある。これらの運転パラメータが変化(上昇及び下降)した場合のごみの状態(ごみ量、ごみ嵩比重)の変化が示されている。
例えば、給じん装置20の回転数Nが上昇したということは、投入配管3に投入されるごみ量の増加を意味し、回転数Nが下降したということは、ごみ量が減少したことを示す。
給じん装置20の消費電力PKが上昇したということは、投入配管3に投入されるごみの嵩比重が増加(軽いごみから重いごみへ変化)したことを意味し、消費電力PKが下降したということは、ごみ嵩比重が減少(重いごみから軽いごみへ変化)したことを意味する。
ごみ破砕機21の回転数Nが上昇したということは、投入配管3に投入されるごみ量の増加を意味し、回転数Nが下降したということは、ごみ量が減少したことを示す。
ごみ破砕機21の消費電力PFが上昇したということは、投入配管3に投入されるごみの嵩比重が増加(軽いごみから重いごみへ変化)したことを意味し、消費電力PFが減少したということは、ごみ嵩比重が減少(重いごみから軽いごみへ変化)したことを意味する。
また、ごみ貯蔵ピット22内のごみ高さHに関しては、ごみ貯蔵ピット22の底の方にあるごみは水分を吸ってその嵩比重は大きく、ごみ貯蔵ピット22内の上側に位置するごみは、水分含有量が少なく嵩比重が小さいことが知られている。そのため、ごみ高さHが減少したということは、ごみ嵩比重が増加(軽いごみから重いごみへ変化)したことを意味し、ごみ高さHが増加したということは、ごみ嵩比重が減少(重いごみから軽いごみへ変化)したことを意味する。なお、ごみ貯蔵ピット22には、ごみ高さを検出する手段が設けられているのが一般的で、容易にごみ高さHを測ることができる。
クレーン23の吊り重量Wが増えたということは、ごみ嵩比重が増加(軽いごみから重いごみへ変化)したことを意味し、吊り重量Wが減少したということは、ごみ嵩比重が減少(重いごみから軽いごみへ変化)したことを意味する。
ごみ焼却炉2内におけるごみ燃焼に伴う発熱量Qに関しては、ごみの含水率に大きく影響を受け、含水率が高い(水分を吸ってその嵩比重が大きい)ごみは、ごみ発熱量Qが低く、含水率が低い(水分を吸っておらずその嵩比重が小さい)ごみは、ごみ発熱量Qが高いことを意味する。つまり、ごみ発熱量Qが増加したということは、ごみの嵩比重が減少したことを意味し、ごみ発熱量Qが減少したということは、ごみの嵩比重が増加したことを意味する。ごみ発熱量Qは、クレーン23の吊り重量W、プラントで計測されるボイラ蒸気量などのプロセス値から物質収支や熱収支に基づいて算出することが可能である。
なお、いずれの場合であっても、ごみの嵩比重や量が増えると、振動センサ7で検出される衝撃振動回数nは増え、ごみの嵩比重や量が減ると、振動センサ7で検出される衝撃振動回数nが減少することが明らかとなってる。
このように、「ごみの状態」〜「衝突振動回数n」〜「運転パラメータ」の間には一定の相関が成立している。ゆえに、運転パラメータの増減に応じ、衝撃振動回数nを検出するための閾値Lや検出時間Tを可変とすることは、ごみ配管のつまり検出を行うにあたっては非常に重要なことである。
図6には、運転パラメータ(給じん装置20の回転数N)を変化させたことによってごみの状態(投入されるごみの量)が変化した場合における、振動センサ7からの出力波形が示されている。
図6(a)から明らかなように、給じん装置20の回転数Nの上昇に伴ってごみ量が増えたため、閉塞状況に変化がなくても衝撃振動回数nが増加した。したがって、衝撃振動回数nを検出するための閾値Lを上昇させるとよい。逆に、給じん装置20の回転数Nの減少に伴ってごみ量が減るため、閉塞状況に変化がなくても衝撃振動回数nが減少する。したがって、衝撃振動回数nを検出するための閾値Lを下げるとよい。
給じん装置20の消費電力PK,ごみ破砕機21の消費電力PF,ごみ貯蔵ピット22内のごみ高さH,クレーン23の吊り重量Wと、閾値Lとの関係も同じであって、表1に示した如くであり、数式の形で表現すると、以下のようになる。

L=L0×N/N0 ・・・(1)
L=L0×PK/PK0 ・・・(2)
L=L0×PF/PF0 ・・・(3)
L=L0÷H/H0 ・・・(4)
L=L0×W/W0 ・・・(5)

ここで、L0は、検出閾値の初期値、N0は、給じん装置20の回転数の初期値である。PK0は、給じん装置20の消費電力の初期値、PF0は、ごみ破砕機21の消費電力の初期値である。H0は、ごみ貯留ピット22のごみ高さの初期値、W0は、クレーン23の吊り重量の初期値である。各運転パラメータの初期値は、平均値や定格値としてもよい。
このように、運転パラメータに基づく閾値Lの変化に加えて、この閾値L以上の加速度を有するピーク波形の発生回数をカウントする時間を変化させることも可能である。
具体的には、閾値Lを上昇させることに代えて、カウントする時間を短くしたり、閾値Lを下降させることに代えてカウントする時間を長くしたりして、ピーク波形の発生回数を検知する時間を変化させる。この場合、検知時間Tの算出式は、以下の通りになる。

T=T0÷N/N0 ・・・(6)
T=T0÷PK/PK0 ・・・(7)
T=T0÷PF/PF0 ・・・(8)
T=T0×H/H0 ・・・(9)
T=T0÷W/W0 ・・・(10)

ここで、T0は、検知時間の初期値又は平均値であり、他の変数は、式(1)〜式(5)のものと同じである。式(1)と式(6)、式(2)と式(7)、式(3)と式(8)、式(4)と式(9)、式(5)と式(10)では、乗算と除算とが入れ替わっている。
なお、運転パラメータの増減に応じて、閾値Lを変えると共に検知時間Tも変えてもよい。
また、ごみ焼却炉2内におけるごみ燃焼に伴う発熱量Qと、閾値Lや検知時間Tとの関係も前述と同様であり、以下のようになる。ここで、Q0は、ごみ燃焼に伴う発熱量の初期値である。

L=L0÷Q/Q0 ・・・(11)
T=T0×Q/Q0 ・・・(12)
以下に、実際のごみ焼却炉2の投入配管3で計測した振動加速度の波形(振動センサ7からの出力)を用いて、本実施形態の作用効果を説明する。
まず、図6を用いて、給じん装置20の回転数Nの変化に伴う振動加速度の変化を説明する。
振動加速度を計測する時の運転条件は、図6(a)が給じん装置20の回転数Nが定格(100%)であって、図6(b)が低速(75%)であり、いずれもごみ詰まりは発生しておらず正常な状態である。図6(a)はごみ量が多く、図6(b)はごみ量が少ない状況に対応する。その他の運転条件及びごみの状態(嵩比重等)は,ほぼ同一である。
図6(a)に示す状態から図6(b)に示す状態になると(給じん装置20の回転数Nが下降)、振動加速度が小さくかつ衝撃振動回数も少なくなっているのが分かる。これを、さらに明確に示すために衝撃振動回数のみを算出したものを、図7(a)及び図7(b)に示す。
図7(a)及び図7(b)の▲は、衝撃振動回数を抽出する閾値L=30(加速度30)、検知時間=30secとした場合である。給じん装置20の回転数Nによって、ともに詰まりが発生していないにもかかわらず衝撃振動回数に大きな差があって、給じん装置20の回転数Nの違いにより変動していることがわかる。
本願発明は、ごみ詰まりの発生によりこの衝撃振動回数が減少することを利用してごみ詰まりを検知するのであるが、ごみの量が減ることで、衝撃振動回数が図7(a)の▲(50回程度)→図7(b)の▲(20回程度)となり、ごみ詰まりが発生していないにも拘わらず「ごみ詰まりあり」と誤判定する可能性大である。
そこで、上述した式(1)を用いて閾値を変更する。図7(b)に示す◆は、閾値LをL=15(加速度15)に変更したものである。閾値の算出は次式で行った。この式は式(1)と等価である。

更新閾値=初期閾値30×((回転数75/1.5)/回転数初期値100)

この式により、更新閾値が15と算出される。なお、運転パラメータには、給じん装置20の回転数N/1.5を用いており、数値1.5は現場の状況に合わせ込むためのチューニング係数である。
図7(b)の◆で示されるように、ごみの量が減ったにも拘わらず、衝撃振動回数のカウント数は大きくは変動していない。その結果、詰まり検知精度を向上させることができる。
図7(b)の●で示されるのは、閾値Lを加速度30のままで検知時間を60secと長く(2倍)した場合である。すなわち,検知時間を以下に示す式で更新した。なお、この式は式(6)と等価である。

更新検知時間=初期検知時間30÷((回転数75/1.5)/回転数初期値100)

この式により、更新検知時間が60secと算出される。なお、運転パラメータには、給じん装置20の回転数N/1.5を用いており、数値1.5は現場の状況に合わせ込むためのチューニング係数である。
図7(b)の●で示されるように、ごみの量が減ったにも拘わらず、衝撃振動回数nのカウント数は大きくは変動していない。その結果、詰まり検知精度を向上させることができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、閾値Lに関しては、振動センサ7からの出力に対して、信号処理技術を適用して閾値Lを求めてもよい。具体的には、出力波形の等価振動加速度レベル、衝突振動ピークレベルを算出し、例えば、過去一定時間内の等価振動加速度レベルの値自身や衝突振動ピークレベルの1/2の値を閾値Lとして採用してもよい。
また、閾値L、検知時間Tに関し、衝撃振動回数nの履歴を用いてL,Tを変更してもよい。例えば、衝撃振動回数nの移動平均値に応じて、LやTを可変とするとよい。
また、チューニング係数として、1.5を採用しているが、その値に限定されるものではない。運転パラメータとして、運転パラメータのべき乗(2乗,3乗や平方根、逆数など)を用いてもよい。
また、本実施形態では、投入物の状態量に相関があるパラメータ(運転パラメータ)を基に、閾値Lや検知時間Tを変更したが、投入物の状態量(例えば、種類、量、嵩比重、水分量)を直接計測できるのであれば、その値に基づいて閾値Lや検知時間Tを変更してもよい。
1 配管詰まり検知装置
2 ごみ焼却炉
3 投入配管
3a 投入配管の上流部
3b 投入配管の下流部
4 炉本体
5 投入口
6 排出口
7 振動センサ(7A,7B,7C)
8 判定部
9 振動計測部
20 給じん装置
21 ごみ破砕機
22 ごみ貯蔵ピット
23 クレーン
24 閾値変更部

Claims (7)

  1. 投入物が投入される配管の詰まりを検知する配管詰まり検知装置において、
    前記配管の管壁には管長手方向に沿って複数の振動センサが取り付けられ、
    前記複数の振動センサにより検出された振動が、所定の検知時間内において所定の閾値以上となる回数を計測して、前記回数がそれぞれ異なるタイミングで低減した際に、当該配管に詰まりが発生したと判定する判定部と、
    前記判定部における検出精度を更に向上させるべく、前記検知時間及び/又は閾値を、前記投入物の状態に応じて変更する閾値変更部と、
    が設けられていることを特徴とする配管詰まり検知装置。
  2. 前記閾値変更部は、前記投入物の状態量又は投入物の状態量に相関があるパラメータを用いて、前記検知時間及び/又は閾値を変更することを特徴とする請求項1に記載の配管詰まり検知装置。
  3. 前記配管が、ごみ焼却炉に前記投入物であるごみを投入する投入配管である場合には、前記投入物の状態量として、ごみの量、ごみの嵩比重、ごみの種類の少なくとも1つ以上を採用していることを特徴とする請求項2に記載の配管詰まり検知装置。
  4. 前記配管が、ごみ焼却炉に前記投入物であるごみを投入する投入配管である場合には、前記投入物の状態量に相関があるパラメータとして、
    ・ごみ焼却炉に投入されるごみを搬送する搬送装置のモータ回転数、
    ・ごみ焼却炉に投入されるごみを搬送する搬送装置のモータ消費電力、
    ・ごみ焼却炉に投入されるごみを破砕する破砕装置のモータ回転数、
    ・ごみ焼却炉に投入されるごみを破砕する破砕装置のモータ消費電力、
    ・ごみ貯蔵ピットにおけるごみの高さ位置、
    ・ごみ貯蔵ピットからごみを搬出するためのクレーンの吊り重量、
    ・ごみ焼却炉内におけるごみ燃焼に伴う発熱量、
    の少なくとも1つ以上を採用する
    ことを特徴とする請求項2に記載の配管詰まり検知装置。
  5. 前記閾値変更部は、前記ごみの嵩比重が上昇した際には前記閾値を上昇させ、前記ごみの嵩比重が下降した際には前記閾値を下降させることを特徴とする請求項3に記載の配管詰まり検知装置。
  6. 前記閾値変更部は、前記ごみ貯蔵ピットにおけるごみの高さ位置が上昇した際には前記閾値を下降させ、前記ごみの高さ位置が下降した際には前記閾値を上昇させることを特徴とする請求項4に記載の配管詰まり検知装置。
  7. 投入物が投入される配管の詰まりを検知する配管詰まり検知方法であって、
    前記配管の管壁に管長手方向に沿って複数の振動センサを取り付けておき、
    前記複数の振動センサにより検出された振動が、所定の検知時間内において所定の閾値以上となる回数を計測して、前記回数がそれぞれ異なるタイミングで低減した際に、当該配管に詰まりが発生したと判定し、
    前記判定の検出精度を更に向上させるべく、前記検知時間及び/又は閾値を、前記投入物の状態に応じて変更する
    ことを特徴とする配管詰まり検知方法。
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