JP5297348B2 - 配管詰まり検知装置及び配管詰まり検知方法 - Google Patents
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Description
例えば、少ない量の投入物が連続して投入される状況を考えるに、この状況では「詰まり」は発生しておらず正常な状況である。しかしながら、特許文献1や特許文献2の検出技術では、振動センサからの出力値が小さいため、「詰まり有り」と誤判定を行う可能性大である。同様に、投入物が軟らかく軽いものに変化したために衝撃振動(衝突振動と言うこともある)が小さくなり、詰まりなく流れているにもかかわらず「詰まり有り」と誤判定してしまうことも有りうる。
本発明の配管詰まり検知装置は、投入物が投入される配管の詰まりを検知する配管詰まり検知装置において、前記配管の管壁には管長手方向に沿って複数の振動センサが取り付けられ、前記複数の振動センサにより検出された振動が、所定の検知時間内において所定の閾値以上となる回数を計測して、前記回数がそれぞれ異なるタイミングで低減した際に、当該配管に詰まりが発生したと判定する判定部と、前記判定部における検出精度を更に向上させるべく、前記検知時間及び/又は閾値を、前記投入物の状態に応じて変更する閾値変更部と、が設けられていることを特徴とする。
本願発明者らは、投入物の流量、質の変化によらず、安定して配管の詰まりを検知できる検知装置を開発すべく鋭意研究を行い、焼却炉等に配設された配管での詰まり発生メカニズムが、以下の通りであることを知見するに至った。
以上述べた判定部での検出精度を更に向上させるためには、振動センサからの出力を基にした「検知を行う時間」や「検知のための閾値」を可変とすることが好ましいと考えた。そこで、本発明においては、閾値変更部が、検知時間及び/又は閾値を前記投入物の状態に応じて変更するようにしている。そのため、投入物であるごみの流量、質の変化によらず、安定して配管の詰まりを検知できるようになる。なお、安定して配管の詰まりを検知できるのであれば、複数の振動センサを取り付ける必要がなく、1つの振動センサでの検知とすることも可能である。
前記配管が、ごみ焼却炉に前記投入物であるごみを投入する投入配管である場合には、前記投入物の状態量として、ごみの量(単位時間内に投入されるごみの体積または重量)、ごみの嵩比重、ごみの種類の少なくとも1つ以上を採用するとよい。
好ましくは、前記閾値変更部は、前記ごみの嵩比重が上昇した際には前記閾値を上昇させ、前記ごみの嵩比重が下降した際には前記閾値を下降させるとよい。
本発明の配管詰まり検知方法は、投入物が投入される配管の詰まりを検知する配管詰まり検知方法であって、前記配管の管壁に管長手方向に沿って複数の振動センサを取り付けておき、前記複数の振動センサにより検出された振動が、所定の検知時間内において所定の閾値以上となる回数を計測して、前記回数がそれぞれ異なるタイミングで低減した際に、当該配管に詰まりが発生したと判定し、前記判定の検出精度を更に向上させるべく、前記検知時間及び/又は閾値を、前記投入物の状態に応じて変更することを特徴とする。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1に本発明の実施形態に係る配管詰まり検知装置1を示したものである。この配管詰まり検知装置1は、ごみ焼却炉2の投入配管3に設けられている。この投入配管3には、投入物として、家庭ごみがプラスチック等のごみ袋に収納されたもの、粗大ごみ等がそのままの状態若しくは破砕された状態で投入される。ゆえに、以降、かかる投入物を単にごみと表記し、ごみ焼却炉2を単に焼却炉2を表記する。
上述した構造の焼却炉2にあっては、投入配管3の上流側に設けられた投入口5から、様々な特性(硬さ、重さ、嵩比重などのごみの状態)を持つごみが投入される。投入されたごみは投入配管3内を流下し、焼却炉2の内に入り、燃焼・熱分解される。
詳しくは、図1,図2に示す如く、投入配管3の下流部3bにおいて、ごみの流下方向(管長手方向)に沿って投入配管3の外周壁に3つの振動センサ7(7A,7B,7C)が設けられている。振動センサ7は、圧電素子等で構成され、例えば、1Hz〜10kHzの振動を検知可能であって、耐熱性に優れるように金属ケースの中に配備されている。
なお、振動センサ7の取り付け数は3個に限定されない。1つでもよく4つ以上設置しても何ら問題はない。また、設置場所は、配管詰まりが発生する場所とすることが好ましい。多くの焼却炉2においては、操業実績として「配管詰まり」が起こりやすい場所が特定されていることが多いため、設置場所の選定は比較的容易である。配管詰まりの起こる場所が特定できない場合などは、投入配管3の広い領域(例えば、最上流側から最下流側へ亘って)、複数の振動センサ7を設置するとよい。
図4は、振動センサ7A,7B,7Cからの出力を基に、衝撃振動回数(例えば、図3に示すような波形で、検知時間1分間における所定閾値以上の加速度を有するピーク波形の発生回数)を算出した上で、この衝撃振動回数の時間遷移を示したものである。
図4から明らかなように、3つの振動センサ7A,7B,7Cのそれぞれについて、単位時間中の衝撃振動の回数は時間と共に変動している。振動センサ7Aは、鉛直部の下に位置しているので衝撃振動の回数が最も多く、逆に、焼却炉2に近い振動センサ7Cの衝撃振動の回数は最も少ない。
一方、図4のY領域では、振動センサ7C→振動センサ7B→振動センサ7Aの順に回数が減少している。すなわち、振動センサ7Cは時間TCから衝撃振動回数(センサ自身の出力値でもよい)が減少し、振動センサ7Bは時間TBから衝撃振動回数が減少し、振動センサ7Aは時間TAから衝撃振動回数が減少している。時間TC<時間TB<時間TAであり、時間間隔(例えば、時間TA−時間TB)は例えば5分程度である。
大略的に言えば、図3に示した振動加速度(振動センサ7の出力)に対して所定時間において所定閾値以上の加速度を有するピーク波形の発生回数をカウントした値が図4の縦軸の衝撃振動回数であって、本実施形態においては、この閾値及び所定時間を、運転パラメータにより変化させる。この処理は閾値変更部24にて行われる。
表1に、運転パラメータ(単にパラメータと表記することもある)の変化と衝撃振動回数nの検出閾値L(単に閾値と言うこともある)の変化との関係を示す。
例えば、給じん装置20の回転数Nが上昇したということは、投入配管3に投入されるごみ量の増加を意味し、回転数Nが下降したということは、ごみ量が減少したことを示す。
ごみ破砕機21の回転数Nが上昇したということは、投入配管3に投入されるごみ量の増加を意味し、回転数Nが下降したということは、ごみ量が減少したことを示す。
また、ごみ貯蔵ピット22内のごみ高さHに関しては、ごみ貯蔵ピット22の底の方にあるごみは水分を吸ってその嵩比重は大きく、ごみ貯蔵ピット22内の上側に位置するごみは、水分含有量が少なく嵩比重が小さいことが知られている。そのため、ごみ高さHが減少したということは、ごみ嵩比重が増加(軽いごみから重いごみへ変化)したことを意味し、ごみ高さHが増加したということは、ごみ嵩比重が減少(重いごみから軽いごみへ変化)したことを意味する。なお、ごみ貯蔵ピット22には、ごみ高さを検出する手段が設けられているのが一般的で、容易にごみ高さHを測ることができる。
ごみ焼却炉2内におけるごみ燃焼に伴う発熱量Qに関しては、ごみの含水率に大きく影響を受け、含水率が高い(水分を吸ってその嵩比重が大きい)ごみは、ごみ発熱量Qが低く、含水率が低い(水分を吸っておらずその嵩比重が小さい)ごみは、ごみ発熱量Qが高いことを意味する。つまり、ごみ発熱量Qが増加したということは、ごみの嵩比重が減少したことを意味し、ごみ発熱量Qが減少したということは、ごみの嵩比重が増加したことを意味する。ごみ発熱量Qは、クレーン23の吊り重量W、プラントで計測されるボイラ蒸気量などのプロセス値から物質収支や熱収支に基づいて算出することが可能である。
このように、「ごみの状態」〜「衝突振動回数n」〜「運転パラメータ」の間には一定の相関が成立している。ゆえに、運転パラメータの増減に応じ、衝撃振動回数nを検出するための閾値Lや検出時間Tを可変とすることは、ごみ配管のつまり検出を行うにあたっては非常に重要なことである。
図6(a)から明らかなように、給じん装置20の回転数Nの上昇に伴ってごみ量が増えたため、閉塞状況に変化がなくても衝撃振動回数nが増加した。したがって、衝撃振動回数nを検出するための閾値Lを上昇させるとよい。逆に、給じん装置20の回転数Nの減少に伴ってごみ量が減るため、閉塞状況に変化がなくても衝撃振動回数nが減少する。したがって、衝撃振動回数nを検出するための閾値Lを下げるとよい。
L=L0×N/N0 ・・・(1)
L=L0×PK/PK0 ・・・(2)
L=L0×PF/PF0 ・・・(3)
L=L0÷H/H0 ・・・(4)
L=L0×W/W0 ・・・(5)
ここで、L0は、検出閾値の初期値、N0は、給じん装置20の回転数の初期値である。PK0は、給じん装置20の消費電力の初期値、PF0は、ごみ破砕機21の消費電力の初期値である。H0は、ごみ貯留ピット22のごみ高さの初期値、W0は、クレーン23の吊り重量の初期値である。各運転パラメータの初期値は、平均値や定格値としてもよい。
具体的には、閾値Lを上昇させることに代えて、カウントする時間を短くしたり、閾値Lを下降させることに代えてカウントする時間を長くしたりして、ピーク波形の発生回数を検知する時間を変化させる。この場合、検知時間Tの算出式は、以下の通りになる。
T=T0÷N/N0 ・・・(6)
T=T0÷PK/PK0 ・・・(7)
T=T0÷PF/PF0 ・・・(8)
T=T0×H/H0 ・・・(9)
T=T0÷W/W0 ・・・(10)
ここで、T0は、検知時間の初期値又は平均値であり、他の変数は、式(1)〜式(5)のものと同じである。式(1)と式(6)、式(2)と式(7)、式(3)と式(8)、式(4)と式(9)、式(5)と式(10)では、乗算と除算とが入れ替わっている。
また、ごみ焼却炉2内におけるごみ燃焼に伴う発熱量Qと、閾値Lや検知時間Tとの関係も前述と同様であり、以下のようになる。ここで、Q0は、ごみ燃焼に伴う発熱量の初期値である。
L=L0÷Q/Q0 ・・・(11)
T=T0×Q/Q0 ・・・(12)
まず、図6を用いて、給じん装置20の回転数Nの変化に伴う振動加速度の変化を説明する。
振動加速度を計測する時の運転条件は、図6(a)が給じん装置20の回転数Nが定格(100%)であって、図6(b)が低速(75%)であり、いずれもごみ詰まりは発生しておらず正常な状態である。図6(a)はごみ量が多く、図6(b)はごみ量が少ない状況に対応する。その他の運転条件及びごみの状態(嵩比重等)は,ほぼ同一である。
図7(a)及び図7(b)の▲は、衝撃振動回数を抽出する閾値L=30(加速度30)、検知時間=30secとした場合である。給じん装置20の回転数Nによって、ともに詰まりが発生していないにもかかわらず衝撃振動回数に大きな差があって、給じん装置20の回転数Nの違いにより変動していることがわかる。
そこで、上述した式(1)を用いて閾値を変更する。図7(b)に示す◆は、閾値LをL=15(加速度15)に変更したものである。閾値の算出は次式で行った。この式は式(1)と等価である。
更新閾値=初期閾値30×((回転数75/1.5)/回転数初期値100)
この式により、更新閾値が15と算出される。なお、運転パラメータには、給じん装置20の回転数N/1.5を用いており、数値1.5は現場の状況に合わせ込むためのチューニング係数である。
図7(b)の●で示されるのは、閾値Lを加速度30のままで検知時間を60secと長く(2倍)した場合である。すなわち,検知時間を以下に示す式で更新した。なお、この式は式(6)と等価である。
更新検知時間=初期検知時間30÷((回転数75/1.5)/回転数初期値100)
この式により、更新検知時間が60secと算出される。なお、運転パラメータには、給じん装置20の回転数N/1.5を用いており、数値1.5は現場の状況に合わせ込むためのチューニング係数である。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
また、閾値L、検知時間Tに関し、衝撃振動回数nの履歴を用いてL,Tを変更してもよい。例えば、衝撃振動回数nの移動平均値に応じて、LやTを可変とするとよい。
また、本実施形態では、投入物の状態量に相関があるパラメータ(運転パラメータ)を基に、閾値Lや検知時間Tを変更したが、投入物の状態量(例えば、種類、量、嵩比重、水分量)を直接計測できるのであれば、その値に基づいて閾値Lや検知時間Tを変更してもよい。
2 ごみ焼却炉
3 投入配管
3a 投入配管の上流部
3b 投入配管の下流部
4 炉本体
5 投入口
6 排出口
7 振動センサ(7A,7B,7C)
8 判定部
9 振動計測部
20 給じん装置
21 ごみ破砕機
22 ごみ貯蔵ピット
23 クレーン
24 閾値変更部
Claims (7)
- 投入物が投入される配管の詰まりを検知する配管詰まり検知装置において、
前記配管の管壁には管長手方向に沿って複数の振動センサが取り付けられ、
前記複数の振動センサにより検出された振動が、所定の検知時間内において所定の閾値以上となる回数を計測して、前記回数がそれぞれ異なるタイミングで低減した際に、当該配管に詰まりが発生したと判定する判定部と、
前記判定部における検出精度を更に向上させるべく、前記検知時間及び/又は閾値を、前記投入物の状態に応じて変更する閾値変更部と、
が設けられていることを特徴とする配管詰まり検知装置。 - 前記閾値変更部は、前記投入物の状態量又は投入物の状態量に相関があるパラメータを用いて、前記検知時間及び/又は閾値を変更することを特徴とする請求項1に記載の配管詰まり検知装置。
- 前記配管が、ごみ焼却炉に前記投入物であるごみを投入する投入配管である場合には、前記投入物の状態量として、ごみの量、ごみの嵩比重、ごみの種類の少なくとも1つ以上を採用していることを特徴とする請求項2に記載の配管詰まり検知装置。
- 前記配管が、ごみ焼却炉に前記投入物であるごみを投入する投入配管である場合には、前記投入物の状態量に相関があるパラメータとして、
・ごみ焼却炉に投入されるごみを搬送する搬送装置のモータ回転数、
・ごみ焼却炉に投入されるごみを搬送する搬送装置のモータ消費電力、
・ごみ焼却炉に投入されるごみを破砕する破砕装置のモータ回転数、
・ごみ焼却炉に投入されるごみを破砕する破砕装置のモータ消費電力、
・ごみ貯蔵ピットにおけるごみの高さ位置、
・ごみ貯蔵ピットからごみを搬出するためのクレーンの吊り重量、
・ごみ焼却炉内におけるごみ燃焼に伴う発熱量、
の少なくとも1つ以上を採用する
ことを特徴とする請求項2に記載の配管詰まり検知装置。 - 前記閾値変更部は、前記ごみの嵩比重が上昇した際には前記閾値を上昇させ、前記ごみの嵩比重が下降した際には前記閾値を下降させることを特徴とする請求項3に記載の配管詰まり検知装置。
- 前記閾値変更部は、前記ごみ貯蔵ピットにおけるごみの高さ位置が上昇した際には前記閾値を下降させ、前記ごみの高さ位置が下降した際には前記閾値を上昇させることを特徴とする請求項4に記載の配管詰まり検知装置。
- 投入物が投入される配管の詰まりを検知する配管詰まり検知方法であって、
前記配管の管壁に管長手方向に沿って複数の振動センサを取り付けておき、
前記複数の振動センサにより検出された振動が、所定の検知時間内において所定の閾値以上となる回数を計測して、前記回数がそれぞれ異なるタイミングで低減した際に、当該配管に詰まりが発生したと判定し、
前記判定の検出精度を更に向上させるべく、前記検知時間及び/又は閾値を、前記投入物の状態に応じて変更する
ことを特徴とする配管詰まり検知方法。
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