JP5292778B2 - 化合物及び光学フィルム - Google Patents
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Description
光学フィルムには位相差値の波長依存性を低減することが求められている。位相差値の波長依存性の程度は、Re(450)/Re(550)の値で表すことができ、当該値が1よりも大きくなればなるほど位相差値の波長依存性が増大することを意味する。ここでRe(λ)とは、光学フィルムを透過する波長λnmの位相差値を表す
従来の光学フィルムとして、式(II)で表される化合物を配向膜上に塗工して得られる光学フィルムが特許文献1に開示されており、該光学フィルムが与えるRe(450)/Re(550)の値は1.065であり、必ずしも充分なものではなかった。
(式(1)及び式(2)中、EWGは、それぞれ独立に、電子吸引基を表す。p及びqは、それぞれ独立に、0〜4のいずれかの整数を表す。但し、1≦p+q≦8である。
A1及びA2は、それぞれ独立に、1,4−フェニレン基を表し、該1,4−フェニレン基には、炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基が結合していてもよい。
[式(3)中、A3は、5〜20員環の2価の環状炭化水素基又は5〜20員環の2価の複素環基を表す。該環状炭化水素基及び該複素環基には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ニトリル基、ニトロ基又はハロゲン原子が結合していてもよい。
B4は、−CR’R”−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−C(=O)−NR’−、−NR’−C(=O)−、−OCH2−、−NR’−、−CH2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。ここで、R’及びR”は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を表す。
nは1〜4いずれかの整数を表す。nが2〜4の場合には、A3及びB4からなる構造単位は、互いに同一でも異なっていてもよい。]
E2は、炭素数1〜12のアルキル基を表し、E2に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。
[3] A3が、式(4−1)〜(4−5)で表されるいずれかの基である[1]又は[2]記載の化合物。
[4] 式(1)及び式(2)で表される化合物のP1が、式(D−1)で表される基である[1]〜[3]のいずれか記載の化合物。
[6] [5]記載の組成物を重合してなる光学フィルム。
[7] [1]〜[4]のいずれか記載の化合物に由来する構造単位を含有する光学フィルム。
[8] [6]又は[7]記載の光学フィルムであって、該光学フィルムを透過する光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が113〜163nmであるλ/4板。
[9] [6]又は[7]記載の光学フィルムであって、該光学フィルムを透過する光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が250〜300nmであるλ/2板。
[10] [6]〜[9]のいずれか記載の光学フィルム及び偏光フィルムを含む偏光板。
[12] [10]記載の偏光板及び有機エレクトロルミネッセンスパネルを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
[14] 支持基材上に形成された配向膜上に、[5]記載の組成物を含む溶液を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
[15] [13]又は[14]記載の製造方法で得られた未重合フィルムを、重合により硬化させる光学フィルムの製造方法。
ここで、EWGは、それぞれ独立に、電子吸引基を表す。電子吸引基としては、例えば、ニトロ基、ニトリル基、トリフルオロメチル又はフルオロ基などが挙げられる。
p及びqは、それぞれ独立に、0〜4いずれかの整数を表す。但し、1≦p+q≦8であり、特に、p=q=1が好ましい。
式(3)中、A3は、5〜20員環の2価の環状炭化水素基又は5〜20員環の2価の複素環基を表す。
該環状炭化水素基及び該複素環基には、水酸基;メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基;トリフルオロメチルオキシ基;ニトリル基;ニトロ基又はフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子が結合していてもよい。
芳香族性を有する2価の複素環基としては下記式で表される基が例示される。
後述するように、化合物(1)又は(2)をキャストする際の取り扱いが容易であるとの観点と化合物の配向性の向上との観点から、nは2〜4いずれかの整数が好ましい。
E1の水素原子は、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基;トリフルオロメチルオキシ基;ニトリル基;ニトロ基又はフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子に置換されていてもよいが、好ましくは、置換されない。
E2は、炭素数1〜12のアルキル又はシクロアルキル基を表す。
E2に含まれる水素原子は、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基;トリフルオロメチルオキシ基;ニトリル基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子又は臭素原子などのハロゲン原子に置換されていてもよい。
式(D−1)〜(D−5)中、R1〜R5はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を表す。
P1としては、式(D−1)〜(D−5)で表される基であると、得られる光学フィルム中に化合物(1)又は(2)に由来する構造単位を固定化しやすい傾向があることから好ましく、特に、式(D−1)で表される基が好ましい。
B1−X−E1−B3−P1の構造を与える化合物としては、式(3−A−1)〜式(1−A−124)で表されるカルボン酸及び該カルボン酸の塩化物などが挙げられる。尚、式中kは、それぞれ独立に、1〜12の整数を表す。
本化合物と液晶化合物とが共重合するように、本化合物に含まれるP1の重合性基と、液晶化合物の重合性基とは互いに反応し得る重合性基であることが好ましく、特に、互いの重合性基が式(D−1)で表される基であると、容易に光重合させることができることから、好ましい。
また、光学フィルム中に含まれる本化合物に由来する構造単位の含有量と液晶化合物に由来する構造単位の含有量とを変えることにより、得られる光学フィルムの屈折率の波長依存性をコントロールすることができる。
液晶化合物として、異なる複数の液晶化合物を併用してもよい。
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-A13-B14-A14-B15-A15-B16-E12-P12 (I)
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-A13-B14-A14-B15-E12-P12 (II)
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-A13-B14-E12-P12 (III)
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-A13-B14-F11 (IV)
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-F11 (V)
B11、B12、B13、B14、B15及びB16は、それぞれ独立に、−CR11R12−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR11−、−NR11−C(=O)−、−OCH2−、−OCF2−、−NR11−、−CH2O−、−CF2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。
尚、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はR11とR12が結合して炭素数5〜7のアルキレン基を表す。
E11及びE12は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。E11及びE12は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子が結合していてもよい。
F11は、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基又はハロゲン原子を表す。
まず、組成物として、本化合物及び液晶化合物に、必要に応じて、有機溶媒、重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤、架橋剤、レベリング剤などの添加剤を混合して組成物(以下、本組成物と記すことがある)を溶液として調製する。とりわけ、有機溶媒は、成膜時に含んでいる方が、成膜が容易となることから好ましく、重合開始剤は、得られた光学フィルムを硬化する働きをもつことから好ましい。
本組成物は、通常、液晶化合物や本化合物を重合させるための重合開始剤を含有する。光学フィルムの好ましい製造方法として、液晶化合物や本化合物を光重合させる方法が挙げられる。そのため、重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩等が挙げられ、より具体的には、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、及びイルガキュア369(以上、全てチバスペシャルティケミカルズ社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152又はアデカオプトマーSP−170(以上、全て旭電化)などを挙げることができる。
また、重合開始剤の使用量は、通常、液晶化合物と本化合物の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、本化合物を重合させることができる。
本組成物に、重合禁止剤を含有していてもよい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン若しくはアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類、ピロガロール類、2,2、6,6、−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類又はβ−ナフトール類等を挙げることができる。
重合禁止剤を含有することにより、液晶化合物や本化合物の重合を制御することができ、得られる光学フィルムの安定性及び塗布前の液晶組成物の安定性を向上させることができる。また、重合禁止剤の使用量は、通常、液晶化合物と本化合物の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、本化合物を重合させることができる。
また、本組成物に、光増感剤を含有していてもよい。光増感剤としては、例えば、キサントン若しくはチオキサントン等のキサントン類、アントラセン若しくはアルキルエーテルなどの置換基を有するアントラセン類、フェノチアジン又はルブレンを挙げることができる。
光増感剤を用いることにより、液晶化合物及び本化合物の重合を高感度化することができる。また、光増感剤の使用量としては、液晶化合物と本化合物の合計100重量部に対して、通常、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、本化合物を重合させることができる。
さらに、本組成物に、レベリング剤を含有してもよい。レベリング剤としては、例えば、放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352,BYK−353,BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング社製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越シリコーン社製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)又はフッ素系添加剤(大日本インキ化学工業製:F−445、F−470、F−479)などを挙げることができる。
レベリング剤を用いることにより、光学フィルムを平滑化することができる。さらに、光学フィルムの製造過程で、本組成物溶液の流動性を制御したり、液晶化合物及び本化合物を重合して得られる光学フィルムの架橋密度を調整することができる。また、レベリング剤の使用量の具体的な数値は、通常、液晶化合物と本化合物の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、本化合物を重合させることができる。
本組成物に含まれる有機溶媒としては、本化合物及び液晶化合物などを溶解し得る有機溶媒であり、具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ若しくはブチルセロソルブなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン若しくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン若しくはメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン若しくはヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン若しくはクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、乳酸エチル、クロロホルム又はフェノールなどが挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。中でも、本発明の組成物は相溶性に優れ、アルコール、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、非塩素系脂肪族炭化水素溶媒及び非塩素系芳香族炭化水素溶媒などにも溶解し得ることから、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素を用いなくとも、溶解して塗工させることができる。
具体的にRe(450)/Re(550)等を小さくして、正から負に波長分散が逆方向にシフトさせる方法としては、本化合物と液晶化合物とを含む組成物について、本化合物に由来する構造単位の含有量が異なる組成物を2〜5種類程度、調製し、それぞれの組成物について後述するように、同じ膜厚の光学フィルムを製造して得られる光学フィルムの位相差値を求め、その結果から、本化合物に由来する構造単位の含有量と光学フィルムの位相差値との相関を求め、得られた相関関係から、上記膜厚における光学フィルムに所望の位相差値を与えるために必要な本化合物に由来する構造単位の含有量を決定すればよい。
本組成物における本化合物と液晶化合物との重量比率としては、本化合物と液晶化合物との合計100重量部に対して、本化合物の合計重量は、通常、1〜50重量部、好ましくは、1〜30重量部である。1重量部以上であると正から負に波長分散が逆方向にシフトが顕著となることから好ましく、50重量部以下であると、混合物の液晶層が安定的に得られ、30重量部以下であると、安価に光学フィルムが調製できることから好ましい。
また、本組成物溶液における固形分の濃度は、通常、5〜50重量%である。固形分の濃度が5%以上であると、光学フィルムが薄くなりすぎ、液晶パネルの光学補償に必要な光学異方性が与えられる傾向がある。また、50重量%以下であると、上記混合溶液の粘度が低いことから、光学フィルムの膜厚にムラが生じにくくなる傾向があることから好ましい。
重合は、本化合物に含まれるP1及び液晶化合物に含まれる重合性基が光重合性であれば、可視光、紫外光、レーザー光などの光を照射して硬化させ、該重合性基が熱重合性であれば、加熱によって重合させる。
成膜性の観点から、光重合の方が好ましく、取り扱い性の観点から、紫外光による重合がとりわけ好ましい。
溶媒の乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥などの方法が挙げられる。具体的な加熱温度としては、10〜120℃であることが好ましく、25〜80℃であることがさらに好ましい。また、加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。加熱温度及び加熱時間が、上記範囲内であれば、上記支持基材として、耐熱性が必ずしも十分ではない支持基材を用いることができる。
一般に、液晶化合物及び本化合物を含む組成物から得られる光学フィルムは、薄膜であり、例えば、本発明のフィルムを用いる貼合工程、フィルムを運搬、保管などを実施する工程など、フィルムの強度が必要な工程でも、支持基材を用いることにより、破れなどなく容易に取り扱うことができる。
上記ポリマーとしては、例えば、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステル類等のポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上混ぜたり、共重合体したりしてもよい。これらのポリマーは、脱水や脱アミンなどによる重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合又は開環重合等で容易に得ることができる。
このような配向膜を用いれば、延伸による屈折率制御を行う必要がないため、複屈折の面内ばらつきが小さくなる。それゆえ、支持基材上にFPDの大型化にも対応可能な大きな光学フィルムを提供できるという効果を奏する。
上記支持基材上に配向膜を形成する方法としては、例えば、上記支持基材上に、市販の配向膜材料や配向膜の材料となる化合物を溶液にして塗布し、その後、アニールすることにより、上記支持基材上に配向膜を形成することができる。
このようにして得られる配向膜の厚さは、通常、10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmである。上記範囲とすれば、後述する未重合フィルム調製工程において、本化合物及び液晶化合物を有するフィルム層を当該配向膜上で所望の角度に配向させることができる。
また、これら配向膜は、必要に応じてラビング又は偏光UV照射を行なうことができる。これらにより、本化合物及び液晶化合物を有するフィルム層を所望の方向に配向させることができる。
配向膜をラビングする方法としては、例えば、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを、ステージに載せられ、搬送されている配向膜に接触させる方法を用いることができる。
未重合フィルム調製工程としては、例えば、任意の支持基材の上に本組成物の溶液を配向膜上に塗工し、乾燥すると、本化合物及び液晶化合物を有するフィルム(以下、未重合フィルムと記すことがある)が得る方法、液晶セルを作製し、当該液晶セルに液晶化合物を注入する方法などが挙げられる、特に、支持基材の上に積層した配向膜上に未重合フィルムを得る方法は、生産コストを低減することができ、ロールフィルムでのフィルムの生産が可能であることから好ましい。
得られた未重合フィルムにネマチック相などの液晶相を示した場合、モノドメイン配向による複屈折性を有する。この未重合フィルムは0〜120℃程度、好ましくは、25〜80℃の低温で配向することから、配向膜として上記に例示したような耐熱性に関して必ずしも十分ではない支持基材を用いることができ、配向後、さらに30〜10℃程度に冷却しても結晶化することがない。
未重合フィルム重合工程では、上記未重合フィルム調製工程で得られた未重合フィルムを重合し、硬化させる。これにより、本化合物に由来する構造単位及び液晶化合物に由来する構造単位を有するフィルム層(以下、液晶層と記すことがある)の配向性が固定化され、液晶層、配向膜及び支持基材を積層してなる光学フィルムとなる。したがって、液晶層の平面方向に屈折率変化が小さく、液晶層の法線方向に屈折率変化が大きい光学フィルムを製造することができる。
未重合フィルムを重合させる方法は、液晶化合物及び本化合物の種類に応じて、決定されるものである。例えば、光重合や熱重合により、上記未重合フィルムを重合させることができる。本発明では、特に、光重合により未重合フィルムを重合させることが好ましい。これによれば、低温で、未重合フィルムを重合させることができるので、支持基材の耐熱性の選択幅が広がる。また、工業的にも製造が容易となる。
未重合フィルムを光重合させる方法は、例えば、未重合フィルムに紫外線を照射することにより、未重合フィルムを重合させる方法などが挙げられる。
かくして得られた光学フィルムは、液晶ポリマーを用いることなく製造することができる。
また、得られる光学フィルムに、界面活性剤などの表面処理剤を用いなくてよい。つまり、本発明の光学フィルムに用いる配向膜は、支持基材と配向膜との密着性及び配向膜と光学フィルムとの密着性が良好であるから、光学フィルムの製造が容易である。
さらに、本発明の光学フィルムは、延伸フィルムで同等の位相差値を有するフィルムと比較して、通常、薄膜である。
また、上記支持基材を剥離する工程に加えて、配向膜を剥離する工程をさらに含んでいてもよい。得られる光学フィルムは、支持基材や配向膜を含まない、本化合物に由来する構造単位及び液晶化合物に由来する構造単位からなるフィルム、すなわち、液晶層のみからなる光学フィルムとなる。
Re(λ)=d×Δn(λ) (6)
(式中、Re(λ)は、波長 λ nmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長 λ nmにおける屈折率異方性を表す。)
配向膜を用いて複屈折性を有する場合には、通常、位相差値としては、50〜500nm程度であり、好ましくは100〜300nmである。
このような光学特性を有するフィルムを用いることにより、すべての液晶パネルや有機ELなどのFPDを薄膜で逆波長分散を必要とする光学補償することができる。
また、他のフィルムと組み合わせてもよい。具体的には、偏光フィルムに本発明の光学フィルムを貼合させた楕円偏光板、該楕円偏光板にさらに本発明の光学フィルムを広帯域λ/4板として貼合させた広帯域円偏光板などが挙げられる。
さらに、本化合物を少量添加するだけで、光学フィルムにおけるRe(450)/Re(550)の値を低下させることができ、結果として位相差値の波長依存性が低減された光学フィルムを簡便な方法で調製することができる。
本発明にかかるフィルムは、反射型液晶ディスプレイ及び有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイの位相差板、並びに、当該位相差板や上記光学フィルムを備えるフラットパネル表示装置にも利用することができる。上記フラットパネル表示装置も、特に限定されるものではなく、例えば、液晶表示装置(LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)を挙げることができる。
本発明に係る偏光板は、偏光機能を有するフィルム、すなわち偏光フィルムの片面もしくは両面に直接、または接着剤もしくは粘着剤を用いて前記光学フィルムを張り合わせることにより得られるものである。なお、以下の図1及び図2の説明では、接着剤及び粘着剤を総称して接着剤と呼ぶ場合がある。
例えば、図1(a)〜図1(e)に示すように、(1)光学フィルム1と、偏光フィルム層2とが、直接貼り合わされた実施形態(図1(a))、(2)光学フィルム1と偏光フィルム層2とが、接着剤層3を介して貼り合わされた実施形態(図1(b))、(3)光学フィルム1と光学フィルム1’と直接貼り合せ、さらに、光学フィルム1’と偏光フィルム層2とを直接貼り合わせた実施形態(図1(c))、(4)光学フィルム1と光学フィルム1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、光学フィルム1’上に偏光フィルム層2を直接貼り合わせた実施形態(図1(d))、及び(5)光学フィルム1と光学フィルム1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、光学フィルム1’と偏光フィルム層2とを接着剤層3’を介して貼り合せた実施形態(図1(e))などが挙げられる。
本発明の偏光板は、光学フィルムを複数積層してもよく、その複数の光学フィルムは、全て同一であっても、異なるものを組み合わせて用いてもよい。より具体的に説明すると、本発明にかかる偏光板としては、図2(a)〜(k)に示す構成が例示される。
図2(a)〜(e)では、光学フィルム1及び光学フィルム1’として、液晶層11または液晶層11’と配向膜12または配向膜12’とからなるフィルムが用いられている。図2(a)〜(e)は、それぞれ、光学フィルム1と偏光フィルム2とが直接貼り合わされた構成(図2(a))、光学フィルム1と偏光フィルム2とが接着剤層3を介して貼り合わされた構成(図2(b))、光学フィルム1と光学フィルム1’と直接貼り合せ、さらに、光学フィルム1’と偏光フィルム層2とを直接貼り合わせた構成(図2(c))、光学フィルム1と光学フィルム1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、光学フィルム1’上に偏光フィルム2を直接貼り合わせた構成(図2(d))、及び光学フィルム1と光学フィルム1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、光学フィルム1’と偏光フィルム2とを接着剤層3’を介して貼り合せた構成(図2(e))を示す。
図2(h)は、図2(f)と同様の構造を示す。ただし、図2(f)とは異なって、フィルム1として、支持基材13と、支持基材13の表面上に形成された配向膜12と、配向膜12の表面上に形成された液晶層11とからなる積層体(フィルム)が用いられている。
図2(i)は、図2(g)と同様の構造を示す。ただし、図2(g)とは異なって、光学フィルム1及び光学フィルム1’として、支持基材13または支持基材13’と、支持基材13または支持基材13’の表面上に形成された配向膜12または配向膜12’と、配向膜12または配向膜12’の表面上に形成された液晶層11または液晶膜11’とを含む積層体(フィルム)が用いられている。
図2(j)及び(k)は、図2(g)と同様の構造を示す。ただし、2枚あるフィルムのうち、図1(j)では、光学フィルム1’として液晶層11’からなるフィルムを用い、光学フィルム1として液晶層11、配向膜12及び支持基材13からなるフィルムを用いている。また、図2(k)では、光学フィルム1’として液晶層11’、配向膜12及び支持基材13からなるフィルムを用い、光学フィルム1として液晶層11からなるフィルムを用いている。
接着剤層3及び接着剤層3’に用いられる接着剤は、透明性が高く耐熱性に優れた接着剤であることが好ましい。そのような接着剤としては、例えば、アクリル系、エポキシ系あるいはウレタン系接着剤などが用いられる。
また、偏光フィルムにおいて、図1(c)〜図1(e)に示すように、光学フィルムは、必要に応じて、1層〜3層張り合わせてもよい。
本発明にかかるFPDの実施形態として、LCD及びELについて、以下詳細に述べる。
LCDとしては、例えば、図3に示すような液晶パネルを備えるLCDなどが挙げられる。LCDは、本発明の偏光板4と液晶パネル6とを、接着層5を介して貼り合わせてなるものである。上記構成によれば、図示しない電極を用いて、液晶パネルに電圧を印加することにより、液晶分子が駆動し、光シャッター効果を奏する。
ELとしては、図4に示す有機エレクトロルミネッセンスパネルを備えるELなどが挙げられる。有機エレクトロルミネッセンスパネルは、本発明の光学フィルム4と、発光層7とを、接着剤層5を介して貼り合わせてなるものである。
有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、光学フィルム4は、広帯域円偏光板として機能する。また、上記発光層7は、導電性有機化合物からなる少なくとも1層の層である。
4−ヒドロキシ安息香酸エチル169g(1.02mol)、炭酸カリウム211g(1.53mol)、N,N−ジメチルアセトアミド847gを加え、80℃に昇温した。続いて、6−ブロモヘキサノール277g(1.53mol)を2時間かけて滴下し、その後80℃で2時間攪拌した。冷却後、反応溶液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗したのち、溶媒を留去することにより4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸エチル(PG−a)を主成分とする無色透明な液体377gを得た。
前項で得られた(PG−a)を主成分とする無色透明な液体377gにメタノール905gと水181gを添加し攪拌した。次いで、水酸化カリウムを飽和状態で含有するメタノール溶液2092g(溶液中水酸化カリウム397g(7.08mol))を滴下し、約70℃で5時間攪拌した。冷却後、35%塩酸を718gゆっくりと加えた。析出した白色固体を水洗しながら濾別し、50℃の減圧下で、乾燥させることにより4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸(PG−b)の白色固体228gを得た。収率は4−ヒドロキシ安息香酸エチル基準で94%であった。
前項で得られた(PG−b)の白色固体 228g(0.96mol)とN,N−ジメチルアニリン244g(2.01mol)を格納した容器内を窒素置換した後、1,4−ジオキサン2282gで溶解させた。反応溶液を70℃に昇温し、アクリル酸クロリド173g(1.92mol)を30分かけて滴下し、さらに2時間攪拌させた。冷却後、反応溶液を氷水に注いだ後、酢酸エチルを加えて分液抽出して有機層をとりだした。得られた有機層を水洗した後、減圧下、溶媒を留去させることにより4−(6−アクリロイルヘキシルオキシ)安息香酸(PG−c)の白色固体109g(0.37mol)を得た。収率は(PG−b)基準で39%であった。
4−ヒドロキシ安息香酸 166g(1.2mol)とトリエチルアミン121g(1.2mol)とクロロホルム1193gを容器内に入れ攪拌した。室温で、クロロメチルエチルエーテル113g(1.2mol)とクロロホルム298gの混合溶液を30分かけて滴下し、さらに2時間攪拌させた。冷却後、反応溶液を水、塩酸水溶液、炭酸ナトリウム水溶液の順に分液洗浄し、有機層を取り出した。有機層を減圧下、溶媒を留去させることにより4−ヒドロキシ安息香酸エトキシメチルエステル(PG−d)を主成分とする黄色液体を251g得た。
前項で得られた4−ヒドロキシ安息香酸エトキシメチルエステル(PG−d)を主成分とする黄色液体124gに、前項で得られた(PG−c)の白色固体 147g(0.50mol)、4−ジメチルアミノピリジン7.7(63mmol)、クロロホルム824gを加えた。続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)123g(0.60mol)をクロロホルム165gに溶解させ、室温で滴下し、24時間攪拌した。その後、濾過して固形物を取り除いて得られた有機層を、2N塩酸989gで2回分液洗浄した。洗浄した有機層は、溶媒を留去し、237gの淡黄色液体を得た。
得られた液体にエタノール474gとパラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩12.7g(50mmol)を加え、60℃で3時間攪拌した。その反応溶液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出するため、濾過をして、固形物を取り出した。得られた固形物をエタノールで入念に洗浄した後、乾燥すると、(4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンジルオキシ)安息香酸(PG−e)が180g得られた。収率は(PG−c)基準で86%であった。
容器に、2,7−ジニトロ−9−フルオレノン25.0g(93mmol)、フェノール87g(925mmol)、3−メルカプトプロピオン酸0.49g(5mmol)、硫酸4.5gを混合し、90℃にて3時間攪拌した。その反応溶液を、メタノール35gと水70gが入った容器に添加したところ、結晶が析出した。その結晶を濾別すると、黄色結晶である2,7−ジニトロ−9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが24.1g(55mmol)収率は2,7−ジニトロ−9−フルオレノン基準で59%であった。
2,7−ジニトロ−9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン15.0g(34mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド75g、炭酸カリウム7.1g(51mmol)、沃化エチル5.3g(34mmol)が格納された容器を70℃に加熱し、3時間熟成させた。冷却後、その反応溶液に、メチルイソブチルケトン75gと1N塩酸105gを加え攪拌し、分液を行なった。得られた有機層を1N塩酸105gで2回分液洗浄を行ない、有機層を取り出した。得られた有機層を濃縮し、ノルマルヘプタンを加え晶析させ、黄色結晶を15.7g得た。得られた結晶からをシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにて精製すると、黄色結晶である(J−3A)が、6.5g得られた。収率は2,7−ジニトロ−9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン基準で41%であった。
容器に、(J−3A)5.6g(12mmol)、(4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンジルオキシ)安息香酸(PG−e)5.9g(14mmol)4−ジメチルアミノピリジン0.2g(1mmol)及びクロロホルム48gを混合し、続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)3.3g(16mmol)をクロロホルム12gに溶解させ、室温で滴下し、24時間攪拌した。その後、2N塩酸を59g添加した後に、濾過して固形物を取り除き、濾液を分液し、有機層を取り出した。得られた有機層に2N塩酸を59g添加し分液洗浄した後に、溶媒を留去し、メタノールに添加し、固形物を取得した。取得した固形物は、メタノールで入念に洗浄した。淡黄色固体である本化合物(J−3)4.6gを得た。収率は9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン基準で44%であった。
フェノールに代えて、オルトクレゾールを用いる以外は、(2,7−ジニトロ−9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの合成例)と同様にして、黄色固体である本化合物2,7−ジニトロ−9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル−フェニル)フルオレン37gを得た。収率は2,7−ジニトロ−9−フルオレノン基準で67%であった。
2,7−ジニトロ−9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンに代えて、2,7−ジニトロ−9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル−フェニル)フルオレンを用いる以外は、((J−3A)の合成例)と同様にして、黄色固体である(J−4A)10.3gを得た。収率は2,7−ジニトロ−9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル−フェニル)フルオレン基準で49%であった。
(J−3A)に代えて、(J−4A)を用いる以外は、((J−3)の合成例)と同様にして、淡黄色固体である(J−4)7.0gを得た。収率は(J−4A)基準で79%であった。
4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸80g(0.37mol)、炭酸カリウム206g(1.49mol)、N,N−ジメチルアセトアミド400gを加え、90℃に昇温した。続いて、6−クロロヘキサノール153g(1.12mol)を2時間かけて滴下し、その後90℃で8時間攪拌した。反応溶液を冷却後、濾過を行い、固形物を除去した後、水に注ぎ晶析し、濾過をして固形物を取り出した。固形物は、1N塩酸で洗浄した後、未乾燥の(PG−f)の白色固体434gを得た。
未乾燥の(PG−f)の白色固体を434gにテトラヒドロフラン600g、エチレングリコール300gを加え65℃に昇温した。続いて、10%水酸化ナトリウム394g(水酸化ナトリウムは、0.87mol)を滴下し、その後65℃で3時間攪拌した。反応溶液を冷却後、水に注ぎ、酸性になるまで塩酸を加えると、結晶が析出した。濾過をして固形物を取り出した後、乾燥したところ(PG−g)の白色固体103gを得た。
(PG−g)の白色固体100g(0.45mol)にN,N−ジメチルアセトアミド1000g、N,N−ジメチルアニリン123g(1.02mol)を加え0℃に冷却した。続いて、アクリル酸クロライド60.5g(0.67mol)を滴下し、その後室温で3時間攪拌した。反応溶液を冷却後、1N塩酸を、酸性になるまで加えると、結晶が析出した。濾過をして固形物を取り出した後、乾燥したところ(PG−h)の白色固体80gを得た。収率は(PG−g)基準で64%であった。
(PG−e)に代えて、(PG−g)を用いる以外は、((J−3)の合成例)と同様にして、淡黄色固体である(J−5)7.0gを得た。収率は(J−3A)基準で79%であった。
前項で得られた4−ヒドロキシ安息香酸エトキシメチルエステル(PG−d)を主成分とする黄色液体19.6gに、前項で得られた(PG−e)の白色固体 30.9g(75mmol)、4−ジメチルアミノピリジン1.2(10mmol)、クロロホルム245gを加えた。続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)20.6g(100mmol)をクロロホルム49gに溶解させ、室温で滴下し、24時間攪拌した。その後、濾過して固形物を取り除いて得られた有機層を、2N塩酸989gで2回分液洗浄した。洗浄した有機層は、溶媒を留去し、88gの淡黄色液体を得た。
得られた液体にテトラヒドロフラン88g、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩1.9g(8mmol)とエタノール88gを加え、60℃で3時間攪拌した。その反応溶液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出するため、濾過をして、固形物を取り出した。得られた固形物をエタノールで入念に洗浄した後、乾燥すると、(PG−i)が19.2g得られた。収率は(PG−e)基準で48%であった。
(PG−e)に代えて、(PG−i)を用いる以外は、((J−3)の合成例)と同様にして、淡黄色固体である(J−5)7.3gを得た。収率は(J−3A)基準で83%であった。
<光学フィルムの製造例>
ガラス基板にポリビニルアルコール (ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製) の2重量%水溶液を塗布したのち、加熱乾燥後、厚さ89nm膜を得た。続いて、表面にラビング処理を施したのち、ラビング処理を施した面に、表1の実施例1の組成の塗布液(混合溶液)をスピンコート法により塗布し、45℃で1分間乾燥した。続いて、室温で1分間放置後、1200mJ/cm2紫外線を照射して、光学フィルムを作成した。
表1中、LC242は、BASF社より入手した液晶化合物であり、光重合開始剤は、イルガキュア907(チバスペシャリティーケミカルズ社製)、レベリング剤には、BYK361N(ビックケミージャパン製)、溶剤はシクロペンタノンを用いた。また、溶剤以外の表中の重量%は、塗布液を100重量%とした固形分の重量%を意味する。
450nmから700nmの波長範囲において、作成した光学フィルムの位相差値を測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)を用いて測定し、装置付属プログラムで波長450nmの位相差値Re(450)、波長550nmの位相差値Re(550)、波長650nmの位相差値Re(650)を算出した。結果を表2に示す。表中dは液晶層の膜厚を表し、βは複屈折性の指標であるチルト角を表し、βの値が小さいほど水平配向していることを意味する。
Re(450)/Re(550)の値が1に近く、位相差値の波長依存性が低減されたことがわかる。
表1の塗布液を用いる以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを製造した。得られた光学フィルムについて、位相差値を測定機(KOBRA-WR、王子計測機器社製)を用いて測定した。結果を表2に示す。Re(450)/Re(550)の値が1に近く、位相差値の波長依存性が低減されたことがわかる。
表1の塗布液を用いる以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを製造した。得られた光学フィルムについて、位相差値を測定機(KOBRA-WR、王子計測機器社製)を用いて測定した。結果を表2に示す。Re(450)/Re(550)の値が1に近く、位相差値の波長依存性が低減されたことがわかる。
表1の塗布液を用いる以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを製造した。得られた光学フィルムについて、位相差値を測定機(KOBRA-WR、王子計測機器社製)を用いて測定した。結果を表2に示す。Re(450)/Re(550)の値が1に近く、位相差値の波長依存性が低減されたことがわかる。
表1の塗布液を用いる以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを製造した。得られた光学フィルムについて、位相差値を測定機(KOBRA-WR、王子計測機器社製)を用いて測定した。結果を表2に示す。
特許文献1に開示された式(II)で表される化合物を配向膜上に塗工して得られる光学フィルムのRe(450)/Re(550)の値を表2に示す。
2 偏光フィルム
3、3’、3” 接着剤
11、11’ 液晶層(化合物(1)又は(2)に由来する構造単位を含む
フィルムのみからなる層)
12、12’ 配向膜
13、13” 支持基材
4 偏光板
5 接着剤層
6 液晶パネル
7 発光層
Claims (15)
- 式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物。
(式(1)及び式(2)中、EWGは、それぞれ独立に、電子吸引基を表し、該電子吸引基は、ニトロ基、ニトリル基、トリフルオロメチル基又はフルオロ基である。p及びqは、それぞれ独立に、0〜4のいずれかの整数を表す。但し、1≦p+q≦8である。
A1及びA2は、それぞれ独立に、1,4−フェニレン基を表し、該1,4−フェニレン基には、炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基が結合していてもよい。
B1、B2及びB3は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−、−OCH2−、−O−C(=O)−O−又は単結合を表す。ここで、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を表す。
Xは、式(3)で表される2価の基を表す。
[式(3)中、A3は、5〜20員環の2価の環状炭化水素基又は5〜20員環の2価の複素環基を表す。該環状炭化水素基及び該複素環基には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ニトリル基、ニトロ基又はハロゲン原子が結合していてもよい。
B4は、−CR'R”−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−C(=O)−NR'−、−NR'−C(=O)−、−OCH2−、−NR'−、−CH2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。ここで、R'及びR”は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を表す。
nは1〜4いずれかの整数を表す。nが2〜4の場合には、A3及びB4からなる構造単位は、互いに同一でも異なっていてもよい。]
E1は、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、E1に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。
E2は、炭素数1〜12のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、E2に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。
P1は、(D−1)〜(D−5)で表される基である。
[式(D−1)〜(D−5)中、R1〜R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を表す。]) - 式(1)及び式(2)中のEWGが、ニトロ基、ニトリル基又はトリフルオロメチル基である請求項1記載の化合物。
- 式(1)及び式(2)で表される化合物のP1が、式(D−1)で表される基である請求項1〜3のいずれか記載の化合物。
- 請求項1〜4のいずれか記載の化合物と、液晶性を示す重合性化合物とを含有する組成物。
- 請求項5記載の組成物を重合してなる光学フィルム。
- 請求項1〜4のいずれか記載の化合物に由来する構造単位を含有する光学フィルム。
- 光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が113〜163nmである請求項6又は請求項7に記載の光学フィルム。
- 光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が250〜300nmである請求項6又は請求項7に記載の光学フィルム。
- 請求項6〜9のいずれか記載の光学フィルム及び偏光フィルムを含む偏光板。
- 請求項10記載の偏光板及び液晶パネルを備えるフラットパネル表示装置。
- 請求項10記載の偏光板及び有機エレクトロルミネッセンスパネルを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
- 支持基材に、請求項5記載の組成物を含む溶液を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
- 支持基材上に形成された配向膜上に、請求項5記載の組成物を含む溶液を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
- 請求項13又は14記載の製造方法で得られた未重合フィルムを、重合により硬化させる光学フィルムの製造方法。
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