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JP5291397B2 - 車両用シートのパワースライド装置 - Google Patents

車両用シートのパワースライド装置 Download PDF

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JP5291397B2 JP2008164113A JP2008164113A JP5291397B2 JP 5291397 B2 JP5291397 B2 JP 5291397B2 JP 2008164113 A JP2008164113 A JP 2008164113A JP 2008164113 A JP2008164113 A JP 2008164113A JP 5291397 B2 JP5291397 B2 JP 5291397B2
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Description

本発明は、車両用シートをモータ駆動の送りねじ機構で前後方向に移動させるパワースライド装置に関する。
車両用シートスライド装置は、車両床面に前後方向に向けて固定されるロアレールに、シートに固定されるアッパレールを摺動自在に係合させる基本構造を有する。この車両用シートスライド装置は、アッパレールとロアレールの一方に、該レールの延長方向に向けてモータ駆動のスクリューロッドを回動自在に支持する一方、他方にこのスクリューロッドのナット螺合部に螺合するナット部材を固定することでパワー化されている。
スクリューロッドは、アッパレールとロアレールのいずれか一方の一端部(一般的に前端部)に設けたギヤボックスと後端部に設けた軸受部材との間に回転自在に支持されている。さらに、スクリューロッドを支持したレールには、該スクリューロッドを回転自在に支持し、かつ衝突時の荷重を分散させギヤボックスに直接伝達されないようにする荷重伝達部材(荷重伝達ブラケット)を固定することが行われている。
特開2008-80997号公報 米国特許第5,456,439公報
しかしながら、従来装置は、スクリューロッドに、例えば衝突時に挫屈荷重が加わると、スクリューロッドと荷重伝達部材が実質的に軸方向の一点(狭い範囲)で結合されているため、スクリューロッドが大きく挫屈し、その結果、十分な耐衝撃力を得ることができないという問題点があった。
本発明は、以上の問題意識に基づき、荷重伝達部材を介して衝突荷重がスクリューロッドに加わったとき、スクリューロッドの挫屈量を小さく抑制し、耐衝撃力を向上させることができる車両用シートのパワースライド装置を得ることを目的とする。
本発明は、スクリューロッド支持レールには、前後方向(スクリューロッドの延長方向)に離間した一対の荷重伝達部材を設け、スクリューロッドには、この一対の荷重伝達部材内面にそれぞれ当接する荷重受け部材を設けることで、スクリューロッドが軸力を受けたときの挫屈支点を複数とし、もって、スクリューロッドの挫屈方向を限定し、挫屈量を小さく抑制するという着眼に基づいてなされたものである。
本発明による車両用シートのパワースライド装置は、車両床面に配設されるロアレール;このロアレールに摺動自在に係合しシート側に配設されるアッパレール;アッパレールとロアレールのいずれか一方の一端部に設けたギヤボックスと他端部に設けた軸受部材との間に回転自在に支持され、ギヤボックスにより回転駆動されるスクリューロッド;及びこのスクリューロッドに螺合され、アッパレールとロアレールの他方に固定された送りナット;スクリューロッド支持レールに、その延長方向に離間した位置で保持された一対の荷重伝達部材;及びこの一対の荷重伝達部材の間に位置させて上記スクリューロッドに軸方向位置を規制して設けた少なくとも一つの荷重受け部材;を有しており、一対の荷重伝達部材は、該荷重伝達部材が変形したとき、スクリューロッドに当接して変形の支点を与える着力部を備えていることを特徴としている。この着力部は、常時はスクリューロッドに接触せず、荷重伝達部材とスクリューロッドの少なくとも一方が変形したときに互いに接触する。
本発明による車両用シートのパワースライド装置では、シートから車両への荷重伝達は、一方の荷重伝達部材、荷重受け部材及び他方の荷重伝達部材の順に行われる。
荷重受け部材は、例えば次のような態様で一対の荷重伝達部材の間に該一対の荷重伝達部材内面に当接するように設けることができる。
1.スクリューロッドに螺合させ該スクリューロッドに固定した単一のナット部材。この単一のナット部材によれば、構成を単純にできる。
2.この単一のナット部材には、雌ねじを有しない小径段部を設け、スクリューロッドには、この小径段部に対応する雄ねじを有しない小径段部を設けることができる。このように小径段部を設けると、スクリューロッドとナット部材の軸受面積を拡大することができる。
3.スクリューロッドに螺合させ、該スクリューロッドに固定した一対のナット部材。一対のナット部材によれば、一対の荷重伝達部材との寸法調整を容易に行うことができる。
4.スクリューロッドに形成した雄ねじを有しない小径段部に嵌めたワッシャ部材と、スクリューロッドに螺合させ該スクリューロッドに固定したナット部材。このワッシャ部材とナット部材によれば、軸受面積を拡大でき、かつ一対の荷重伝達部材との寸法調整を容易に行うことができる。
5.いずれの形態のナット部材であっても、スクリューロッドへの螺合前に、その雌ねじ部の内径を呼び径より小径に塑性変形させてスクリューロッドとの回転抵抗を増大させる緩み止め加工を施すことが望ましい。このように緩み止め加工を施すと、かしめ作業を省略することができ、生産性が増す。
荷重伝達部材とスクリューロッドの固定手段には、かしめ、接着、ノックピンのいずれかを用いることができる。
ギヤボックスは、荷重伝達部材に支持することができる。荷重伝達部材に支持すれば、構成を単純化することができる。
ギヤボックスは、別の態様では、荷重伝達部材とは別部材からなり該荷重伝達部材に結合されたギヤボックス支持ブラケットに支持してもよい。この態様によれば、ギヤボックスの保持剛性を高めることができる。
さらに別の態様では、ギヤボックスは、スクリューロッド支持レールに支持し、荷重伝達部材はギヤボックスの支持に関与させないこともできる。スクリューロッド支持レールにギヤボックスを支持すると、該支持レールに対するギヤボックスの位置精度を高めることができる。
一対の荷重伝達部材のスクリューロッド挿通穴の少なくとも一方には、スクリューロッドをより安定的に回転自在に支持するため、該ロッドを相対回転自在に支持する合成樹脂製のスリーブを嵌め、スクリューロッドの軸受精度を高めることができる。
スクリューロッド支持レールに設ける一対の荷重伝達部材の設置態様には自由度があり、別々の荷重伝達部材をスクリューロッド支持レールに固定すること、あるいは一対の荷重伝達部材を予め結合することが可能である。予め結合する態様では、一対の荷重伝達部材(荷重伝達壁)と、この一対の荷重伝達部材を接続しスクリューロッド支持レールに固定される固定壁とを有するコ字状の荷重伝達ブラケットを用いることができる。コ字状の荷重伝達ブラケットによれば、部品点数を削減し、一対の荷重伝達部材間の精度を高めることができる。
本発明による車両用シートのパワースライド装置では、一対の荷重伝達部材は、送りナットに近い側の荷重伝達部材の方が、遠い側の荷重伝達部材よりも、上記スクリューロッド支持ブラケットまたは荷重伝達部材を介して加わる車両前後方向の力によって変形しにくい態様で支持し、またはそのような変形特性が得られる特性を与え、該一対の荷重伝達部材の着力部は、該荷重伝達部材が変形したとき、スクリューロッドに当接して変形の支点を与えることが好ましい。
具体的には、一対の荷重伝達部材のうち、送りナットに近い側の荷重伝達部材には複数の支持突起を設けて、この支持突起をスクリューロッド支持レールに形成した複数の固定穴に嵌合させ、遠い側の荷重伝達部材にはこのような支持突起(及び固定穴)を設けない態様が可能である。この構成によれば、支持突起を設ける側の荷重伝達部材の支持強度を、設けない側の荷重伝達部材の支持強度よりも明確に高くすることができる。
あるいは、一対の荷重伝達部材にはそれぞれ複数の支持突起を設け、スクリューロッド支持レールには、これら支持突起を嵌合させる複数の固定穴を形成し、この一対の荷重伝達部材の支持突起とスクリューロッド支持レールの固定穴との車両前後方向のクリアランスを、送りナットに遠い側の荷重伝達部材側のそれが近い側の荷重伝達部材側のそれより大きくなるようにしてもよい。この構成によれば、クリアランスの大小によって変形量の管理が可能である。
具体的な態様では、ギヤボックス、荷重伝達部材及び送りナットが露見しないようにして外観を向上させるため、スクリューロッドは可動のアッパレールに支持し、送りナットは不動のロアレールに固定するのが実際的である。またギヤボックスはアッパレールの前端部に設けるのが好ましい。一対の荷重伝達部材は、送りナットの後方に配置することも可能であるが、スクリューロッドの挫屈方向をより好ましくコントロールするには、ギヤボックスと送りナットの間に設ける、つまり、ギヤボックス、荷重受け部材及び送りナットを、この順番に並べるのが実際的である。
スクリューロッドには、ねじ切り加工を施す前の丸棒状態において、径方向に圧縮荷重を加える絞り加工を施し、剛性を高めることが好ましい。
本発明は、スクリューロッド、送りナットの他に、衝突時の荷重をスクリューナットに伝達する一対の荷重伝達部材をスクリューロッド支持レールに保持し、この一対の荷重伝達部材の間に位置させてスクリューロッドに軸方向位置を規制して少なくとも一つの荷重受け部材を設けたものであって、送りナット支持レールとスクリューロッド支持レールは互いに対向する開口部を備えていて、一対の荷重伝達部材は、スクリューロッドよりも、スクリューロッド支持レールの開口部側に位置する着力部を備えているので、スクリューロッドが軸力を受けたときの挫屈支点を複数とし、もって、スクリューロッドの挫屈量を小さく抑制することができる。すなわち、一対の荷重伝達部材の着力部は、常時はスクリューロッドに接触せず、荷重伝達部材とスクリューロッドの少なくとも一方が変形したときに互いに接触して挫屈支点となる。
車両用シートスライド装置は、図13に示すように、車両用シートSと床面Fとの間に位置し車両前後方向に延びる左右一対のシートトラック10を有する。左右のシートトラック10は、同一(対称)構造であり、床面Fに前後のブラケット11、12で固定されるロアレール13と、シートSに固定されるアッパレール14とを有し、このロアレール13とアッパレール14が摺動自在に嵌まっている。ロアレール13とアッパレール14は、互いに対向する開口部を備えている。
ロアレール13には、図1に示すように、固定ボルト15を介して軸線を前後方向に向けた送りナット16が固定されている。この送りナット16は、金属製のアウタケーシング16a内に、吸振用のゴムシート16bを介して、合成樹脂製のナット16cを挿入してなっている。ロアレール13は、送りナット固定レールである。
これに対し、アッパレール14には、この送りナット16に螺合するスクリューロッド20が回転自在に支持されている。すなわち、アッパレール(スクリューロッド支持レール)14には、その前端部と後端部に、スクリューロッド20の前端部と後端部を回転自在に支持するギヤボックス30と軸受部材17が設けられている。図1は、アッパレール14(シートS)のロアレール13に対する前方移動端を示している(図の左方が前方である)。
スクリューロッド20には、その前端部にセレーション部21が形成されており、ギヤボックス30内には、このセレーション部21と相対回転不能に係合するセレーション穴32aを軸部に有するウォームホイル32が回転自在に支持されている。ウォームホイル32は、軸線を車両左右方向に向けたウォーム33と噛み合っていて、該ウォーム33が正逆に回転すると、ウォームホイル32が正逆に回転し、セレーション部21(スクリューロッド20)が正逆に回転する。ギヤボックス30は、金属製のアウタケーシング30a内に吸振用のゴムシート30bを介して機構部30cが支持されている。
左右のアッパレール14のギヤボックス30内のウォーム33は、連動機構によって連動して回転するものであり、この連動回転により、左右のアッパレール14のスクリューロッド20が正逆に回転する。すると、スクリューロッド20は、ロアレール13に固定した送りナット16と螺合しているため、アッパレール14(シートS)が前後に移動する。
アッパレール14には、ギヤボックス30と送りナット16との間に位置させて、荷重伝達ブラケット40が固定されている。この荷重伝達ブラケット40は、図1ないし図4に示すように、スクリューロッド20の軸方向(シートトラック10の長手方向)に離間した一対の荷重伝達壁(荷重伝達部材)41と、この荷重伝達壁41を接続するアッパレール14に沿う固定壁42を有するコ字状をしており、一対の荷重伝達壁41にはそれぞれ、スクリューロッド20を挿通する挿通穴41aが穿設されている。挿通穴41aは、常時はスクリューロッド20とは非接触であるが、その図の下方の面(スクリューロッド20よりもアッパレール14の開口部側に位置する面)は、荷重伝達壁41とスクリューロッド20の少なくとも一方が変形したときに、該スクリューロッド20の変形(挫屈)の方向を定める着力部として作用する。
この荷重伝達ブラケット40は、固定壁42からアッパレール14に挿通した固定ボルト43と、この固定ボルト43に螺合した固定ナット44により、該アッパレール14に固定されている。荷重伝達ブラケット40の一対の荷重伝達壁41にはそれぞれ、図2、図3に示すように、アッパレール14に穿設した固定穴14aに嵌合支持される支持突起41bが形成されている。また、荷重伝達ブラケット40の固定壁42とアッパレール14との間には、吸振用のゴムシート42bが挟着されている。
荷重伝達ブラケット40のギヤボックス30側の面には、ギヤボックス支持ブラケット50が溶接固定されており、このギヤボックス支持ブラケット50には、支持穴51及び固定ボルト52を介してギヤボックス30が支持されている。またこのギヤボックス支持ブラケット50には、スクリューロッド20を挿通する挿通穴53が穿設されている。
このギヤボックス支持ブラケット50の挿通穴53と一方の荷重伝達壁41の挿通穴41aには、両穴に跨らせて、低摩擦性合成樹脂材料からなるスリーブ45が嵌められており、他方の荷重伝達壁41の挿通穴41aには、同様のスリーブ46が嵌められている。
スクリューロッド20には、図1、図2に示すように、セレーション部21に続けて、雄ねじを有しない小径段部(小径無ねじ部)22とねじ部23が形成されている。荷重伝達ブラケット40の一対の荷重伝達壁41の間には、この小径段部22に嵌められて、一方の荷重伝達壁41(ギヤボックス30側の荷重伝達壁41)の内面と該小径段部22の段部との間に軸方向移動を規制して挟着(当接)されるワッシャ(荷重受け部材)47と、ねじ部23に螺合されて他方の荷重伝達壁41(送りナット16側の荷重伝達壁41)に当接するナット部材(荷重受け部材)48とが位置している。ナット部材48は、薄肉筒状部48aを備えており、この薄肉円筒部48aを潰す(塑性変形させる)ことで、ナット部材48がスクリューロッド20に固定されている。一対の荷重伝達壁41の挿通穴41aに嵌めたスリーブ45と46のうち、スリーブ45はスクリューロッド20の小径段部22に最小のクリアランスで嵌合してスクリューロッド20を回転自在に支持する。一方スリーブ46は、小径段部22との間に常時は接触しないクリアランスが設定されている。ナット部材48は、常時スクリューロッド20と一体に回転するが、ワッシャ47は、スクリューロッド20に対する軸方向位置が規制されているので、スクリューロッド20と一体に回転しても相対回転してもよい。このワッシャ47とナット部材48によれば、軸受面積を拡大でき、かつ一対の荷重伝達部材41との寸法調整を容易に行うことができる。
以上のシートスライド装置は、衝突荷重が加わると、アッパレール14がロアレール13に対して相対的に移動しようとし、その荷重は、荷重伝達ブラケット40の一対の荷重伝達壁41から、ワッシャ47またはナット部材48に伝達され、スクリューロッド20に加わる。このため、ギヤボックス30部分に加わる荷重を低減し、ギヤボックス30(ウォームホイル32、ウォーム33)の破損を防止することができる。特に、本実施形態では、荷重伝達ブラケット40に一対の荷重伝達壁41が設けられていて、この一対の荷重伝達壁41にスクリューロッド20側のワッシャ(荷重受け部材)47とナット部材(荷重受け部材)48が当接しているため、前突荷重、後突荷重のいずれがアッパレール14に作用してスクリューロッド20に挫屈荷重が加わっても、軸方向の2箇所(ワッシャ47と荷重伝達壁41の当接部及びナット部材48と荷重伝達壁41の当接部)がスクリューロッド20の挫屈支点となりうる。このため、スクリューロッド20の挫屈方向が制限され、耐衝撃性を高めることができる。この作用効果は、スクリューロッド20の挫屈支点が1箇所のみの従来品と比較すると理解しやすい。
図1ないし図4の実施形態において、前突荷重を受けた場合のモデル変形について図11について説明する。車両が前突荷重を受けると、アッパレール14がロアレール13に対して前進し、荷重伝達ブラケット40がスクリューロッド20に対して前進する。すると、後方の荷重伝達壁41がナット部材48を介してスクリューロッド20を前方に押し、その結果、ワッシャ47が前方の荷重伝達壁41を押して該荷重伝達壁41を変形させる(スクリューロッド20の軸線に直交していた前方の荷重伝達壁41は下方が前に出る方向に変形する)。スクリューロッド20は荷重伝達壁41の挿通穴41aに挿通されているため、荷重伝達壁41のこの変形によって、スクリューロッド20は、挿通穴41aの図の下方の面(スクリューロッド20よりもアッパレール14の開口部側に位置する面)が変形支点(着力部)となって、その軸線後部が下方を向く方向に変形しようとする。しかし、スクリューロッド20の後部は後方の荷重伝達壁41の挿通穴41aに支持されているため、スクリューロッド20の後部は挿通穴41aの図の下方の面(スクリューロッド20よりもアッパレール14の開口部側に位置する面)が変形支点(着力部)となって再び上方に変形し、スクリューロッド20の変形(挫屈)方向が制限される。この変形の方向は、スクリューロッド20がアッパレール14(ロッド支持レール)の壁面と当接する方向であり、アッパレール14の摺動位置(シートSの前後方向位置)を問わず、一定の変形抑止効果が得られる。
図11のモデル変形を容易にするには、荷重伝達ブラケット40の一対の荷重伝達壁41の一方(送りナット16から遠い側の荷重伝達壁41)が他方(同近い側の荷重伝達壁41)より変形しやすいことが好ましい。このように、一対の荷重伝達壁41の一方を他方より変形容易にするための一つの手段は、一対の荷重伝達壁41に形成した支持突起41bとアッパレール14に穿設した固定穴14aとの嵌合クリアランスを異ならせることである。すなわち、図2において前方の固定穴14a(1)と支持突起41bとの前後方向のクリアランスを、後方の固定穴14a(2)と支持突起41bとの前後方向のクリアランスより大きく設定することで、一対の荷重伝達壁41の変形容易性を異ならせることができる。勿論、一対の荷重伝達壁41の幅や板厚を異ならせる等の手段で変形容易性を異ならせることもできる。
図12は、一対の荷重伝達壁41の一方を他方より変形容易にするための別の構成例を示している。この実施形態では、一対の荷重伝達壁41のうち、送りナット16から遠い側の荷重伝達壁41には支持突起を設けず(アッパレール14には固定穴を設けず)、送りナット16に近い側の荷重伝達壁41には支持突起41bを設け、アッパレール14に固定穴14aを設けている。この態様によれば、支持突起41bが存在する側の荷重伝達壁41の変形強度を存在しない側の荷重伝達壁41の変形強度より明確に高くすることができる。
本実施形態のパワースライド装置は、荷重伝達ブラケット40を送りナット16の後方に配置した態様(荷重伝達ブラケット40を送りナット16と軸受部材17との間に配置した態様)にも適用できる。この場合の荷重伝達ブラケット40の一対の荷重伝達壁41の変形容易性に対する議論は、送りナット16から遠い側の荷重伝達壁41の変形が近い側の荷重伝達壁41の変形より容易であるという条件を満足すればよい。また、本実施形態のパワースライド装置は、ロアレール13とアッパレール14の上下を入れ替える態様(ロアレール13にスクリューロッド20を回転自在に支持し、アッパレール14に送りナット16を固定する態様)、及び前後を反転する態様のいずれでも理論上成立するが、いずれの場合も以上の条件を満足すればよい。もっとも、本実施形態は、上述のように、荷重伝達ブラケット40が一対の荷重伝達壁41を有することでスクリューロッド20の挫屈の方向を限定できるという作用効果を有するものであり、図11のモデル変形の理論は一つの例である。
図5ないし図10は、本発明の別の実施形態を示している。
図5は、ギヤボックス30をアッパレール14に固定した実施形態である。荷重伝達ブラケット40は、ギヤボックス30の支持に関与していない。
図6は、荷重伝達ブラケット40の一対の荷重伝達壁41の間に位置しスクリューロッド20のねじ部23に螺合固定される荷重受け部材として、単一のナット部材61を用いた実施形態である。この単一のナット部材61によれば、構成を単純にできる。
図7は、同荷重受け部材として、一対のナット部材62を用いた実施形態である。一対のナット部材62によれば、一対の荷重伝達部材41との寸法調整を容易に行うことができる。
図8は、同荷重受け部材として、スクリューロッド20のねじ部23に螺合される単一のナット部材63であって、スクリューロッド20の小径段部22に係合する雌ねじを有しない小径段部63aを備えたナット部材を用いた実施形態である。このように小径段部63aを設けると、スクリューロッド20とナット部材63の軸受面積を拡大することができる。
いずれの形態のナット部材であっても、スクリューロッド20への螺合前に、その雌ねじ部の内径を呼び径より小径に塑性変形させてスクリューロッドとの回転抵抗を増大させる緩み止め加工を施すことが望ましい。図9は、単一のナット部材64に、このような緩み止め加工を施す例を示している。ナット部材64には、同軸に、スクリューロッド20の小径段部22に係合する小径段部64aと、ねじ部23に螺合する雌ねじ64bが形成されている。このナット部材64に対し、軸方向から圧縮荷重Pを加えることで、雌ねじ64bに呼び径よりも小径な小径部分64cを形成する。このように小径部分64cを形成すると、スクリューロッド20に螺合させる際の回転抵抗を増大させることができ、該スクリューロッド20に螺合した後の特別なかしめ加工(固定手段)を省略することができる。
図10は、スクリューロッドに、ねじ切り加工を施す前の丸棒素材20Sに対し、圧縮型200を介して、径方向に圧縮荷重Qを加える絞り加工を施す実施形態である。スクリューロッド20に対するねじ部23のねじ加工は、この絞り加工の後に施す。このように、丸棒素材20Sに絞り加工を施すと、スクリューロッド20の機械強度を増加させることができる。
本発明によるパワースライド装置の一実施形態を示す縦断面図である。 図1のパワースライド装置から荷重伝達ブラケット回りの構成を取り出して描いた斜視図である。 図1のIII-III線に沿う断面図である。 図1のIV-IV線に沿う断面図である。 本発明によるパワースライド装置の別の実施形態を示す、図1に対応する要部の縦断面図である。 同スクリューロッドと荷重受け部材の別の実施形態を示す要部の縦断面図である。 同スクリューロッドと荷重受け部材のさらに別の実施形態を示す要部の縦断面図である。 同スクリューロッドと荷重受け部材のさらに別の実施形態を示す要部の縦断面図である。 同さらに別の実施形態を示す、スクリューロッドとナット部材の螺合結合前の状態を示す図である。 同スクリューロッドを構成する丸棒素材に対する圧縮加工の模式図である。 図1ないし図4の実施形態において、衝突時のスクリューロッドの変形過程の一例を示す図である。 本発明によるパワースライド装置の別の実施形態を示す、図2に対応する要部の斜視図である。 車両用シートスライド装置の一般構成を示す斜視図である。
S 車両用シート
F 床面
10 シートトラック
13 ロアレール
14 アッパレール
14a 締結穴
15 固定ボルト
16 送りナット
17 軸受部材
20 スクリューロッド
21 セレーション部
22 小径段部
23 ねじ部
30 ギヤボックス
31 接続ブラケット
31a 締結穴
32 ウォームホイル
32a セレーション穴
33 ウォーム
40 荷重伝達ブラケット
41 荷重伝達壁(荷重伝達部材)
41a 挿通穴
41b 支持突起
42 固定壁
43 固定ボルト
44 固定ナット
45 46 スリーブ
47 ワッシャ(荷重受け部材)
48 ナット部材(荷重受け部材)
50 ギヤボックス支持ブラケット
61 63 単一ナット部材(荷重受け部材)
62 一対のナット部材(荷重受け部材)

Claims (17)

  1. 車両床面に配設されるロアレール;
    このロアレールに摺動自在に係合しシート側に配設されるアッパレール;
    上記アッパレールとロアレールのいずれか一方に回転自在に支持されたスクリューロッド;
    該スクリューロッド支持レールの端部に設けられ、該スクリューロッドを回転駆動するギヤボックス;
    上記スクリューロッドに螺合され、上記アッパレールとロアレールの他方に固定された送りナット;
    上記スクリューロッド支持レールに、その延長方向に離間した位置で保持された一対の荷重伝達部材;及び
    この一対の荷重伝達部材の間に位置させて上記スクリューロッドに軸方向位置を規制して設けた少なくとも一つの荷重受け部材;
    を有し、
    上記一対の荷重伝達部材は、該荷重伝達部材が変形したとき、スクリューロッドに当接して変形の支点を与える着力部を備えていることを特徴とする車両用シートのパワースライド装置。
  2. 請求項1記載の車両用シートのパワースライド装置において、シートから車両への荷重伝達は、一方の荷重伝達部材、荷重受け部材及び他方の荷重伝達部材の順に行われる車両用シートのパワースライド装置。
  3. 請求項1または2記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記荷重受け部材は、スクリューロッドに螺合させ該スクリューロッドに固定した単一のナット部材からなる車両用シートのパワースライド装置。
  4. 請求項3記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記単一のナット部材は、雌ねじを有しない小径段部を備え、スクリューロッドには、この小径段部に対応する雄ねじを有しない小径段部が備えられている車両用シートのパワースライド装置。
  5. 請求項1または2記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記荷重受け部材は、スクリューロッドに螺合させ、該スクリューロッドに固定した一対のナット部材からなる車両用シートのパワースライド装置。
  6. 請求項1または2記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記荷重受け部材は、スクリューロッドに形成した雄ねじを有しない小径段部に嵌めたワッシャ部材と、スクリューロッドに螺合させ該スクリューロッドに固定したナット部材とからなる車両用シートのパワースライド装置。
  7. 請求項3ないし6のいずれか1項記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記ナット部材には、スクリューロッドへの螺合前に、その雌ねじ部の内径を呼び径より小径に塑性変形させてスクリューロッドとの回転抵抗を増大させる緩み止め加工が施されている車両用シートのパワースライド装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記荷重受け部材とスクリューロッドの固定手段は、かしめ、接着、ノックピンのいずれかである車両用シートのパワースライド装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記ギヤボックスは、荷重伝達部材に支持されている車両用シートのパワースライド装置。
  10. 請求項1ないし8のいずれか1項記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記ギヤボックスは、荷重伝達部材とは別の部材に支持されている車両用シートのパワースライド装置。
  11. 請求項1ないし8のいずれか1項記載の車両用シートのパワースライド装置において、ギヤボックスは、スクリューロッド支持レールに直接支持され、荷重伝達部材は該ギヤボックスの支持に関与しない車両用シートのパワースライド装置。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記一対の荷重伝達部材は互いに接続されている車両用シートのパワースライド装置。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1項記載の車両用シートのパワースライド装置において、一対の荷重伝達部材のうち、上記送りナットに近い側の荷重伝達部材は、遠い側の荷重伝達部材よりも、車両前後方向の力によって変形しにくい態様で支持されまたは変形しにくい特性とされている車両用シートのパワースライド装置。
  14. 請求項13記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記一対の荷重伝達部材のうち、送りナットに近い側の荷重伝達部材は複数の支持突起を有していて、この支持突起がスクリューロッド支持レールに形成した複数の固定穴に嵌合し、遠い側の荷重伝達部材は支持突起を備えていない車両用シートのパワースライド装置。
  15. 請求項13記載の車両用シートのパワースライド装置において、一対の荷重伝達部材はそれぞれ複数の支持突起を有していて、スクリューロッド支持レールは、これら支持突起を嵌合させる複数の固定穴を有し、この一対の荷重伝達部材の支持突起とスクリューロッド支持レールの固定穴との車両前後方向のクリアランスは、送りナットに遠い側の荷重伝達部材側のクリアランスが近い側の荷重伝達部材側のクリアランスより大きく設定されている車両用シートのパワースライド装置。
  16. 請求項1ないし15のいずれか1項記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記ギヤボックス、荷重伝達部材及び送りナットは、この順番に並んでいる車両用シートのパワースライド装置。
  17. 請求項1ないし16のいずれか1項記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記スクリューロッドには、ねじ切り加工を施す前の丸棒状態において、径方向に圧縮荷重を加える絞り加工が施されている車両用シートのパワースライド装置。
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