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JP5289215B2 - 空気除菌装置 - Google Patents

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JP5289215B2 JP2009155074A JP2009155074A JP5289215B2 JP 5289215 B2 JP5289215 B2 JP 5289215B2 JP 2009155074 A JP2009155074 A JP 2009155074A JP 2009155074 A JP2009155074 A JP 2009155074A JP 5289215 B2 JP5289215 B2 JP 5289215B2
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Description

本発明は、細菌、ウィルス、真菌等の空中浮遊微生物(以下、単に「ウィルス等」という)の除去が可能な空気除菌装置に関する。
従来、水道水等を電気分解して活性酸素種を含む電解水を生成させ、この電解水を用いて空気中に浮遊するウィルス等の除去を図った除菌装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この除菌装置は、循環水を貯留する貯水槽と、この貯水槽に貯留された循環水を電気分解して活性酸素種を含む電解水を生成する電解装置と、この電解装置によって生成された電解水が供給される気液接触部材と、この気液接触部材に空気を送る送風ファンと、気液接触部材の電解水を前記貯水槽に回収する電解水回収装置とを備え、気液接触部材にて活性酸素種を含む電解水と空気を接触させ、ウィルス等を不活化することにより、空気を除菌しようとするものである。
特開2009−106706号公報
上述した空気除菌装置では水道水等を循環水として貯水槽に貯留し、貯水槽に貯留された循環水を電気分解して次亜塩素酸等の活性酸素種を含む電解水を生成し、この電解水を不織布等からなる気液接触部材に供給して電解水と空気を接触させるとともに、気液接触部材の電解水を前記貯水槽に回収するものであるから、除菌運転を継続することによって気液接触部材から水分が蒸発して貯水槽の循環水が少なくなる。このため、貯水槽に自動的に循環水を補給する給水タンクを設け、貯水槽の水位をほぼ一定に保つようにしている。また、貯水槽の循環水を定期的に排水タンクに排出させることにより、給水タンクから新たな水道水等を貯水槽に供給し、循環水の濃縮が進みすぎないようにしていた。
しかしながら、給水タンクが空になると除菌運転が継続できなくなるため、使用者が給水タンクに頻繁に水を補給する必要があり、給水タンクへの頻繁な給水や排水タンクに溜まった循環水の排水が使用者にとって大変面倒な作業になっていた。勿論、水道管に直結した自動給水機能や排水管に連結した自動排水機能を付加することも可能であるが、その場合には装置がコスト高になるばかりでなく、給水・排水工事費用が嵩み、特に既設の建物に設置することが困難となる問題があった。また、水を頻繁に補給することによって水道水等に含まれる不純物が装置内にスケールとなって付着・蓄積され、気液接触部材の交換時期が早まるとともに、装置のメンテナンスが大掛かりになる欠点もあった。
そこで本発明は、使用者による給水の手間を省き、使い勝手を向上できるようにし、更にはスケールの付着を少なくし、気液接触部材を長期にわたって使用できるようにするとともに、装置のメンテナンスを容易にすることを目的とする。
第1の発明は、液体吸湿剤を含ませた循環水を貯留する貯水槽と、この貯水槽に貯留された循環水を電気分解して活性酸素種を含む電解水を生成する電解装置と、この電解装置によって生成された電解水が供給される気液接触部材と、この気液接触部材に空気を送る送風機と、前記気液接触部材の電解水を前記貯水槽に回収する電解水回収装置と、前記液体吸湿剤が吸収した水分により前記貯水槽の水位が所定以上に上昇したときに前記貯水槽の循環水の水位を調整する水位調整手段とを備えたことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記水位調整手段は、前記貯水槽の水位を検出する水位センサと、リザーバータンクと、前記水位センサの検出出力に応じて前記貯水槽の循環水を前記リザーバータンクに移送する循環水移送手段とからなることを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、前記循環水移送手段は、前記貯水槽と前記リザーバータンクとの連絡通路に設けられたポンプ及び弁と、これらポンプ及び弁を制御する制御手段とからなることを特徴とする。
第4の発明は、第2の発明において、前記循環水移送手段は、前記リザーバータンクに設けられ該リザーバータンク内部の空気を排出するエアポンプと、このエアポンプを制御する制御手段とからなることを特徴とする。
第5の発明は、第1の発明において、前記水位調整手段は、前記貯水槽を深絞りとすることにより該貯水槽と一体に設けられた水位調整用の貯水部であることを特徴とする。
本発明によれば、液体吸湿剤の溶液が電解水とともに気液接触部材に供給され、気液接触部材では空気との接触による水分の蒸発と液体吸湿剤による水分の吸収とが行われるため、貯水槽に貯留される循環水が減少しないようにできる。このため、使用者が給水を頻繁に行う必要がなく、使い勝手を向上できる。また、循環水が濃縮しすぎないようにできると共に水道水等を頻繁に補給しなくて良いので、気液接触部材や貯水槽等にスケールが付着しにくくなり、気液接触部材を長期にわたって使用できるとともに、装置のメンテナンスも容易になる。
特に第1の発明では、液体吸湿剤が吸収した水分により前記貯水槽の水位が上昇したときに貯水槽の循環水を保管する水位調整手段を備えているので、液体吸湿剤の吸水により貯水槽の水位が上昇したときに余剰の循環水を保管し、これを不足するときに活用して給水の頻度をさらに減らすことができる。
また、第2の発明では、水位調整手段を貯水槽の水位を検出する水位センサと、リザーバータンクと、水位センサの検出出力に応じて貯水槽の循環水をリザーバータンクに移送する循環水移送手段とで構成しているので、第3又は第4の発明のように、例えば循環水移送手段をポンプ及び弁とそれらの制御手段や、エアポンプとそれらの制御手段で構成し、貯水槽の水位に応じてポンプ及び弁や、エアポンプを作動させて、貯水槽の循環水をリザーバータンクに移送することにより貯水槽の水位を簡単、かつ確実に調整できる。
更にまた、第5の発明では、水位調整手段を貯水槽を深絞りとすることにより貯水槽と一体に設けられた水位調整用の貯水部としているので、構造を複雑にすることなく貯水槽の余剰の循環水の保管が可能であり、安価に構成できる。
本発明の実施の形態に係る空気除菌装置の外観斜視図である。 同じく空気除菌装置の内部構成を示す斜視図である。 同じく空気除菌装置の内部構成を示す右側断面視図である。 同じく空気除菌装置の電解水を生成し循環させる要部の構成を示す斜視図である。 各種吸収剤の相対湿度と水分吸収量との関係図である。 同じく空気除菌装置の電解水の循環経路を示す概略図である。 同じく空気除菌装置の制御例を示すフローチャートである。 空気除菌装置の電解水の循環経路の他の実施形態を示す概略図である。 空気除菌装置の電解水の循環経路の他の実施形態に係る制御例を示すフローチャートである。 空気除菌装置の電解水の循環経路のその他の実施形態を示す概略図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態に係る空気除菌装置1の外観斜視図であり、図1に示すように、空気除菌装置1は縦長に形成された箱形の筐体11を有し、例えば床置状態で設置される。前記筐体11の両側面の下部には吸込グリル12が形成されると共に、筐体11の前面の下端部には吸込口15が形成されている。
また、筐体11の上面には吹出口13が形成され、吹出口13には空気を吹き出す方向を変化させるためのルーバー20が設けられている。このルーバー20は、運転停止時には上記吹出口13を閉塞するように構成されている。
即ち、空気除菌装置1は吸込グリル12及び吸込口15を介して設置室内の空気を吸い込んで除菌し、この除菌された空気を吹出口13から排出することで、室内空気を清浄化させる装置である。
そして、筐体11の上面には、吹出口13の前面側に配置された操作蓋16Aと、この操作蓋16Aに横並びに配置されたタンク用開閉蓋14Aとが形成されている。空気除菌装置1の内部構成を示す斜視図である図2に示すように、操作蓋16Aを開くと空気除菌装置1の各種操作を行う操作パネル16が露出し、タンク用開閉蓋14Aを開くとタンク取出口14を介して後述するリザーバータンクを兼ねる給水タンク41を出し入れ可能となっている。
また、筐体11の両側面の上部にはそれぞれ把持部17が形成されている。これら把持部17は筐体11を手持ちする際に、手を掛けるための凹部であり、運搬時に空気除菌装置1を一人で持ち上げて移動できるようになっている。
また、筐体11の前面(一側面)には、上下方向に並べられた上側カバー部材18及び下側カバー部材19がそれぞれ着脱自在に配置されており、これら上側カバー部材18及び下側カバー部材19を取り外すと筐体11の内部構成が露出するようになっている。また、下側カバー部材19の下端部には、筐体11の背面側に向けて湾曲した円弧部19Aを備え、この円弧部19Aに上記吸込口15が形成されている。
図2に示すように、筐体11にはこの筐体11の内部を上下に仕切る支持板21が設けられ、上側の室22と下側の室23とに区分けされている。この下側の室23には送風機を構成する送風ファン31及びファンモータ32が配置されると共に、仕切板24を介して把手部57Aを有する排水タンク57が筐体11の前面側に引き出し可能に収容されている。これら送風ファン31及びファンモータ32と排水タンク57とは横並びに配置されている。
また、送風ファン31と吸込口15との間、即ち下側の室23における下側カバー部材19(図1)と対向する位置にプレフィルタ34が着脱自在に配置されている。このプレフィルタ34は、吸込グリル12及び吸込口15を通じて吸い込まれた空気中の塵埃など粒径の大きなものを捕集する第1フィルタ25と、この第1フィルタ25を通過する、例えば粒径10(μm)以上の物を捕集する第2フィルタ26とを備えて構成される。このプレフィルタ34によって空気中に浮遊する花粉や塵埃等が除去され、この除去された空気が送風ファン31を介して上側の室22に供給される。
一方、上側の室22には、送風ファン31及びファンモータ32の上方に電装ボックス39が配置され、この電装ボックス39内には空気除菌装置1を制御するマイクロコンピュータ等から構成される制御部60(図6)を構成する各種デバイスが実装された制御基板や、ファンモータ32に電源電圧を供給する電源回路等の各種電装部品が収容されている。
そして、電装ボックス39の上方には、通過する空気を電解水に接触させて空気を除菌する気液接触部材53が配置されている。この気液接触部材53の下方には、気液接触部材53から滴下した電解水を受ける水受け部(電解水回収装置)42Aを備えた循環水貯留用の貯水槽42が配置されている。この貯水槽42は、深底に形成された貯留部42Bを備えており、この貯留部42Bは循環水を貯留できる。この貯留部42Bは水受け部42Aに滴下した電解水が流入するように構成され、電解水が貯留部42Bに貯留される。また、貯留部42Bは上記排水タンク57の上方に延在している。更に、貯留部42Bの上には給水タンク41が配設され、給水タンク41から貯留部42Bに循環水を供給可能な構成となっている。
次に、空気除菌装置1における空気の流れを説明する。図3は空気除菌装置1の内部構成を示す右側断面視図であり、上述のように、筐体11の下側の室23には送風ファン31が設けられている。送風ファン31の送風口31Aは、図3に示すように、筐体11の背面側部分において上向きに設けられ、上側の室22の背面側において上下に延びる風路としての空間1Aに連通する。この空間1Aは、筐体11の背面側に配置される第1導風部材81と、この第1導風部材81に対向配置され、支持板21から貯水槽42まで延在する導風板84とにより形成されている。送風ファン31の送風口31Aから吹き出された空気は、上昇して、図3において矢印で示すように空間1Aを通り、前方へ向けられ気液接触部材53の背面に吹き付けられる。
一方、気液接触部材53を介する上記空間1Aと反対側(本実施形態では筐体11の前面側)の空間1Bには、図3に示すように、気液接触部材53を通過した空気を吹出口13に導く第2導風部材83が配置されている。この第2導風部材83は、上面部と背面部とを開口された略箱状に形成されている。
この第2導風部材83は、空間1B内の空気を吹出口13に導く機能に加えて、気液接触部材53から空気とともにこの空間1Bに吹き出された水(いわゆる飛び水)を受ける機能を有する。具体的には、第2導風部材83の内側の底面83Aは、気液接触部材53に向けて低く傾斜しており、第2導風部材83に飛び出した水を貯水槽42に導くように形成されている。そして、気液接触部材53を通過した空気は、第2導風部材83の内側の面83Bに導かれて吹出口13の下方に配設された吹出口フィルタ36を通って排気される。
図4は電解水を生成し循環させる要部の構成を示す斜視図であり、本実施の形態では、空気を除菌する電解水は、循環されて繰り返し使用される。
循環の概略を説明すると、電解水の原料として貯留部42Bに供給された循環水は、電解水を循環させるための循環ポンプ44により電解槽(電解装置)46に供給され、電解槽46により循環水が電解されて生成された電解水は、貯留部42Bに再び戻り貯留され、その後、循環ポンプ44により気液接触部材53に供給され、次いで、除菌に使用された電解水が水受け部42Aに流下し、水受け部42Aから貯留部42Bに流れた電解水が再び循環ポンプ44により電解槽46に供給されて電解水の循環が繰り返されるというものである。このように、本実施形態における構成では電解水が循環式となっており、少量の水を有効に利用することで、長時間にわたって効率良く空気の除菌ができる。
貯水槽42は、その水受け部42Aと貯留部42Bとが一体に成形されて構成される。水受け部42Aは貯留部42Bより一段高く形成されており、気液接触部材53から水受け部42Aに流下した電解水は、貯留部42Bに流れるようになっている。また、水受け部42Aから貯留部42Bに至る電解水の流路には、気液接触部材53から流れ落ちた水に含まれる固形物(スケール)を捕集するフィルタ76が配設されている。
循環ポンプ44は、その吸入口が貯留部42Bの水面より下になるように配設され、循環ポンプ44の吐出口に接続された配水管71を通じて循環水を吐出する。この配水管71は3つの経路に分岐し、一方の経路では、循環ポンプ44が配水管71と分岐して接続される分岐管72を介して電解槽46に接続され、もう一方の経路では、配水管71が気液接触部材53の上に設置された散水ボックス51に接続され、更にもう一方の経路では、循環ポンプ44が配水管71と分岐して接続され、且つ、後述するように電磁弁73が挿入された分岐管74を介して給水タンク41に接続されるようにしてある。
一方の経路において、分岐管72を通って電解槽46に供給された循環水は、電解槽46により電解される。この電解槽46は、後述するように複数の電極を内蔵し、これら電極間に、制御部60から供給される電圧を印加することにより、水を電解して次亜塩素酸などを含む電解水を生成する。
電解槽46の上面にはこの電解槽46で生成した電解水を排出する排出口46Aが形成され、この排出口46Aには電解水を貯留部42Bに送出する返送管75が接続されている。この返送管75は、排出口46Aから横方向に延びた後、下方向に向きを変え、返送管75の下端は、フィルタ76の上方に位置している。
そして、電解水は、返送管75の下端から直接、フィルタ76に注がれるようにして還流され、フィルタ76を通過する際にスケール等は取り除かれて、貯留部42Bに貯留される。なお、返送管75から流れ出る電解水が、フィルタ76の上流である水受け部42Aに還流される構成としても良い。この場合、返送管75から水受け部42Aに注がれた電解水は、上述の場合と同様に、フィルタ76を介して貯留部42Bに流れるため、スケールを取り除くことができる。
そして、次亜塩素酸などを含んだ電解水が供給された気液接触部材53が送風ファン31により空気を送られると、空気が気液接触部材53を通過する際に、空気中に浮遊するウィルス等と電解水とが接触してウィルス等が不活化されるため、空気を除菌することができ、さらに気液接触部材53自体における雑菌の繁殖を防止できる。また、臭気が気液接触部材53を通過する際に、電解水中の次亜塩素酸などと反応し、イオン化して電解水に溶解することにより、空気中から除去されるため、脱臭をすることもできる。
気液接触部材53は、水受け部42Aの上方に配設され、除菌に使用されて気液接触部材53から流下する電解水は、水受け部42Aにより受けられて、その後、貯留部42Bに還流される。
ここで、気液接触部材53の各部(フレーム、エレメント部、及び分流シートを含む)には、電解水による劣化が少ない素材、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、PET(ポリエチレン・テレフタレート)樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、ETFE等)又はセラミックス系材料等の素材が使用され、本構成では、PET樹脂を用いるものとする。
また、気液接触部材53の各部には親水性処理が施され、電解水に対する親和性が高められており、これによって、気液接触部材53の電解水の保水性(湿潤性)が保たれ、後述する活性酸素種(活性酸素物質)と室内空気との接触が長時間持続される。
本実施の形態では、液体吸湿剤として塩化リチウムを含む水溶液を循環水として貯水槽42に貯留させており、この循環水が電解層46で電解されることで、除菌成分としての次亜塩素酸を含む電解水が生成され、電解水は上述したように気液接触部材53での空気との接触により空気との除菌に使用されるとともに、液体吸湿剤としての塩化リチウムは気液接触部材53での空気との接触により空気中に含まれる水分を吸収し、吸収された水分は電解水回収装置としての水受け部42Aを経て貯水槽42の貯留部42Bに電解水と一緒に回収され、循環水として貯留される。
液体吸湿剤としては種々のものがあり、例えば各種吸収剤の相対湿度と水分吸収量との関係図である図5(参照文献:空気調和・衛生工学 2002年10月号 pp. 987 加湿と除湿(5) 榊 武文)に示すように、塩化リチウムの他には塩化カルシウム、硫酸、グリセリン、トリエチレングリコールが広範囲の空気中の湿度変化に対して良好な水分吸収特性を有している。このうち、塩化リチウムは室内の湿度変化に対して最も優れた水分吸収特性を有しているため、気液接触部材53での空気との接触による水分の蒸発と液体吸湿剤による水分の吸収とが室内湿度に応じた平衡状態となり、空気除菌装置1に特別な装置を付加することなく湿度調整機能を高めることができる。特に、塩化リチウムの水溶液では塩化物イオンを含むため、水道水を使用しなくても次亜塩素酸を生成して、除菌効果を十分に発揮させることができるとともに、水道水に含まれる成分によりスケールが蓄積されるのを防止できる。
これに対して塩化カルシウムは空気中の炭酸ガスが水溶液に溶け込むことにより炭酸カルシウムなどのスケールを析出することがあり、硫酸はpH(ペーハー)が低いため装置に対する腐食性が高い点で難があり、グリセリンやトリエチレングリコールのように有機系のものは電解の際に次亜塩素酸と反応して次亜塩素酸の効果を弱める欠点があるため、液体吸湿剤としてはスケールを析出したり、次亜塩素酸に影響を与えることが少ない中性の無機物塩化物や臭化物、特に塩化リチウムの水溶液が適している。ここで、中性とは、pHが5〜9の範囲、さらに望ましくはpHが6〜8の範囲である。
電解水の循環経路を示す概略図である図6において、前記貯留部42Bにはリザーバータンクを兼ねる給水タンク41がその給水口を貯留部42Bの底に向けられて配設されており、この給水口にはフロートバルブが設けられ、貯留部42Bの水面が給水口よりも下になると、このフロートバルブが開放されることにより、給水タンク41から必要量の水が供給され、貯留部42Bの水位が一定に保たれる仕組みとなっている。
また、循環ポンプ44は配水管71と接続され、且つ電磁弁73が挿入された分岐管74を介して給水タンク41に接続されている。従って、液体吸湿剤としての塩化リチウムが空気中の水分を吸収することにより、貯水槽42の貯留部42Bに設けられた水位センサ77が貯留部42Bの水位上昇を検出すると、制御部60は電磁弁73を開くと共に循環ポンプ44を駆動させて、貯留部42Bの循環水を循環ポンプ44及び分岐管74を介して給水タンク41に移送し、貯留部42Bの水位が一定以上に上昇しないようにしている。そして、逆に貯留部42Bの水位が一定以下に低下したときには、前述したように、フロートバルブが開放し、給水タンク41に保管された循環水はその給水口から貯留部42Bに戻される。
また、貯留部42Bの底部には、排水された電解水を貯留する排水タンク57と貯留部42Bとを接続する排水管55が配設されており、排水管55には貯留部42Bの排水を制御する排水バルブ56が取り付けられている。この排水バルブ56が開かれると貯留部42Bから排水タンク57に電解水が排水されると共に、給水タンク41のフロートバルブが作動して新しい水若しくは保管されていた循環水が貯留部42Bに供給される。
即ち、図6中に破線で示すように、電磁弁73、水位センサ77、電解槽46、循環ポンプ44及び排水バルブ56は、それぞれ制御部60に接続され、制御部60の制御に従って図7に示すように動作する。
先ず、空気除菌装置1の電源がON(オン)になると(ステップS1)、水位センサ77により貯留部42Bの水位検出が行われ(ステップS2)、水位センサ77の検出出力に基づいて制御部60が水位が正常であると判断すると電解槽46で循環水が電気分解される電解制御を開始させて(ステップS3)、電解水を生成する。また、電解制御が開始されると、制御部60は循環ポンプ44を運転させると共に送風ファン31による送風を開始させ(ステップS4)、気液接触部材53での次亜塩素酸などを含む電解水と空気との接触により空気の除菌を行わせると共に、電解水に含まれる液体吸湿剤(塩化リチウム)により空気中の水分が吸収される。
この除菌運転中に水位センサ77による水位検出が定期的に行われ(ステップS5)、液体吸湿剤(塩化リチウム)の水分吸収により貯留部42Bでの水位が所定量以上に上昇すると、制御部60により水位センサ77からの検出出力により貯留部42Bの水量が過剰であると判断され、この場合には、循環ポンプ44を運転させながら電磁弁73を開とし(ステップS6)、貯留部42Bの循環水は給水タンク41に移送され、保管される。
逆に、室内が極度に乾燥して液体吸湿剤(塩化リチウム)の水分吸収よりも気液接触部材53での水分蒸発が上回る場合には貯留部42Bでの水位が低下し、水位センサ77からの検出出力により貯留部42Bの水量が過少であると制御部60が判断すると、空気除菌装置1の運転を停止させ(ステップS7)、報知手段である渇水アラーム灯を点灯させる(ステップS8)。この貯留部42Bの水量が過少である場合には、循環水の塩化リチウムの濃度が濃過ぎて、好ましくない。
この実施形態では循環水移送用のポンプとして循環ポンプ44を共用したが、循環水移送専用のポンプと電磁弁を有する循環水移送手段を設けても良い。また、水位センサ77からの検出出力により貯留部42Bの循環水の塩化リチウムの濃度を推定できるため、電解槽46での電解制御を調整し、次亜塩素酸を含む電解水を過度に生成させないようにすることもできる。
その場合、塩化リチウムの濃度は40%〜10%(W/V)、望ましくは30%〜10%、更に望ましくは25%〜10%の範囲となるように制御し、濃度がそれ以外の範囲になる場合にはエラーとし、運転を停止するようにすれば、貯留部42Bの循環水が必要以上に増加しないようにできる。
また、本実施形態のように、リザーバータンクを兼ねる給水タンク41を用いるものでは過剰な循環水は給水タンク41に移送・保管し、万一渇水状態になる場合は給水タンク41に水を補給することにより運転を再開することができる。このため、給水タンク41に水を頻繁に補給する必要がなく、使用者の使い勝手を向上できる。また、水道水等を頻繁に補給しなくて良いので、気液接触部材53や貯留部42Bへのスケールの付着が少なく、気液接触部材53を長期にわたって使用できるとともに、装置のメンテナンスが容易となる。なお、循環水として補給する水は脱塩水が好ましいが、補給回数が少なくなるので、水道水でも問題はない。
なお、前述したように、配水管71を分岐して電磁弁73が挿入された分岐管74を設けて循環ポンプ44と給水タンク41とを接続して、循環ポンプ44を運転させながら電磁弁73を開として、過剰な貯留部42B内の循環水を給水タンク41に移送・保管する代わりに、図8に示すように、給水タンク41にエアポンプ78を設けて、同様に過剰な貯留部42B内の循環水を給水タンク41に移送・保管してもよい。
即ち、水位センサ77からの検出出力に基づいて、制御部60が貯留部42Bの水量が過剰であると判断した場合に、エアポンプ78を作動させ、給水タンク41の内部を負圧にすることにより、貯留部42Bの循環水を給水タンク41に移送・保管する。この場合には、循環水移送用のための分岐管、ポンプ及び電磁弁は不要となる。
図9及び図10はその他の実施形態を示すものであり、貯留部42Bを深絞りとして貯水部79を設けることにより、貯留部42Bの基準となる水位に対して数倍(例えば、4倍程度)まで液体吸湿剤の吸水により水位が上昇しても循環水を貯水部79で保管してオーバーフローしないようにしてある。また、循環ポンプ44は水位が変化しても給水が可能になるように、その下端部が貯水部79底面近くまで延びるように、給水パイプ80を長くする。また、湿度が高いと吸水量も増えてしまうので、湿度センサを設置して、一定湿度、例えば湿度80%以上では、装置を停止させるような制御を行ってもよい。
この場合、給水タンクやポンプ等の循環水移送手段が不要となり、図10に示すように、先ず空気除菌装置1の電源がON(オン)になると(ステップS11)、水位センサ77により貯留部42Bの水位検出が行われ(ステップS12)、水位センサ77の検出出力に基づいて制御部60が水位が正常であると判断すると電解槽46で循環水が電気分解される電解制御を開始させて(ステップS13)、電解水を生成する。また、電解制御が開始されると、制御部60は循環ポンプ44を運転させると共に送風ファン31による送風を開始させ(ステップS14)、気液接触部材53での次亜塩素酸などを含む電解水と空気との接触により空気の除菌を行わせると共に、電解水に含まれる液体吸湿剤(塩化リチウム)により空気中の水分が吸収される。
この除菌運転中に水位センサ77による水位検出が定期的に行われ(ステップS15)、室内が極度に乾燥して液体吸湿剤(塩化リチウム)の水分吸収よりも気液接触部材53での水分蒸発が上回る場合には貯留部42Bでの水位が低下して、水位センサ77からの検出出力により貯留部42Bの水量が過少であると制御部60が判断すると、空気除菌装置1の運転を停止させ(ステップS16)、報知手段である渇水アラーム灯を点灯させる(ステップS17)。
逆に、過剰の水分吸収により水位が上限に達した場合は、水位センサ77からの検出出力により貯留部42Bの水量が過剰であると制御部60が判断し、空気除菌装置1の運転を停止させ(ステップS18)、報知手段である満水アラーム灯を点灯させる(ステップS19)。
なお、上述した実施形態において、電解槽46は一方が正、他方が負となる対の電極を備え、これら電極間に電圧を印加することにより、電解槽46に流入した循環水が電気分解されて次亜塩素酸等を含む電解水が生成される。
この次亜塩素酸は広義の活性酸素種に含まれるもので、強力な酸化作用や漂白作用を有する。次亜塩素酸が溶解した水溶液、すなわち空気除菌装置1により生成される電解水は、ウィルス等の不活化、殺菌、有機化合物の分解等、種々の空気清浄効果を発揮する。ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素と、その関連物質のことであり、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、或いは過酸化水素といった、いわゆる狭義の活性酸素に、オゾン、次亜ハロゲン酸等といった、いわゆる広義の活性酸素を含めたものであり、電極等の選択により種々利用可能である。
また、前記電極には、例えば、白金イリジウム電極や白金ルテニウム電極などの塩素発生電極、白金電極、炭素繊維電極、オゾン発生電極などを利用することができる。
以上のように本発明の実施形態について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
1 空気除菌装置
31 送風ファン
41 給水タンク(リザーバータンク)
42 貯水槽
42A 水受け部(電解水回収装置)
42B 貯留部
44 循環ポンプ
46 電解槽(電解装置)
53 気液接触部材
60 制御部(制御手段)
73 電磁弁
74 分岐管(連絡通路)
77 水位センサ
78 エアポンプ
79 貯水部

Claims (5)

  1. 液体吸湿剤を含ませた循環水を貯留する貯水槽と、この貯水槽に貯留された循環水を電気分解して活性酸素種を含む電解水を生成する電解装置と、この電解装置によって生成された電解水が供給される気液接触部材と、この気液接触部材に空気を送る送風機と、前記気液接触部材の電解水を前記貯水槽に回収する電解水回収装置と、前記液体吸湿剤が吸収した水分により前記貯水槽の水位が所定以上に上昇したときに前記貯水槽の循環水の水位を調整する水位調整手段とを備えたことを特徴とする空気除菌装置。
  2. 前記水位調整手段は、前記貯水槽の水位を検出する水位センサと、リザーバータンクと、前記水位センサの検出出力に応じて前記貯水槽の循環水を前記リザーバータンクに移送する循環水移送手段とからなることを特徴とする請求項1に記載の空気除菌装置。
  3. 前記循環水移送手段は、前記貯水槽と前記リザーバータンクとの連絡通路に設けられたポンプ及び弁と、これらポンプ及び弁を制御する制御手段とからなることを特徴とする請求項2に記載の空気除菌装置。
  4. 前記循環水移送手段は、前記リザーバータンクに設けられ該リザーバータンク内部の空気を排出するエアポンプと、このエアポンプを制御する制御手段とからなることを特徴とする請求項2に記載の空気除菌装置。
  5. 前記水位調整手段は、前記貯水槽を深絞りとすることにより該貯水槽と一体に設けられた水位調整用の貯水部であることを特徴とする請求項1に記載の空気除菌装置。
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