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JP5285070B2 - 植物成長促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、植物成長促進剤に関する。詳しくは、箱育苗の苗質を向上させる、テトラゾイルオキシム誘導体を有効成分として含有するイネ科の穀物類の健苗育成剤に関する。
本願は、2008年7月2日に、日本に出願された特願2008−173222号に基づいて優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、植物の収量を向上させる目的で、植物体の発根促進、倒伏防止、収量向上、耐寒性向上、緑色向上、健苗育成、分けつ数の増加、器官の成長促進等の効果を有する植物成長促進剤が使用されていた。その中での主要穀物であるイネについては、イネの健苗育成剤が箱苗方式の普及により使用されていた。
イネの箱苗方式では田植機に適応した苗作りのために超密播となっており、また、温度湿度等の条件によっても稲苗が生育不良となりやすく、苗質が低下するという問題が生じていた。そのうえ、この苗質の低下した苗を本田に移植した場合、病害虫や病原菌に侵されやすく、また活着性が悪いために気象条件の変化に対する抵抗力が弱く、多大の費用と労力をかけたにもかかわらず減収となる場合があった。この問題に鑑みて、イネの健苗育成剤が開発されてきた。
特許文献1には、コリン類とヒドロキシイソオキサゾールを含有するイネの発根および健苗育成用組成物が記載されている。また、特許文献2には、3−ヒドロキシピラジンあるいはその誘導体を有効成分として含有するイネの健苗育成剤が提案されている。
しかし、これらの特許文献の物質は、本発明のテトラゾイルオキシム誘導体とは全く構造が違う化合物である。
一方、特許文献3には、テトラゾイルオキシム誘導体及びこれを有効成分とする農薬が、種々の植物病原菌に対して強力な活性を有し、植物病原菌により引き起こされる植物病害の予防と治療に強い防除効果を発揮することが記載されている。
しかしながら、当該文献のテトラゾイルオキシム誘導体が、イネの健苗育成効果を有し、イネの健苗育成剤として有効であることは記載されていない。
特開昭61−212504号 特開昭62−167710号 WO03/016303
本発明は、植物成長促進剤を提供することにある。特に、優れた効力を有する健苗育成剤を提供することを課題とする。
本発明は、以下に関する。
(I)式(1)
[式中、Xはハロゲン原子示す。nは0〜のいずれかの整数を示し、nが2以上の場合、Xは互いに同一でも異なってもよい。
Aは、式(2):
(式中、Yはアルキル基を示す。)で表されるテトラゾイル基又は式(3):
(式中、Yはアルキル基を示す。)で表されるテトラゾイル基を表す。
Hetは、式(4):
{式中、Rはハロゲン原子を示す。mは0〜3のいずれかの整数を表し、mが2以上の場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。Z式(5):
Q−C(=O)−NH− (5)
(式中、QC1−8アルキル基又はC1−8アルコキシ基を示す。)で表される基を示す。}で表されるピリジン
示す。]で表されるテトラゾイルオキシム誘導体を、有効成分として含有する植物成長促進剤。
(II)式(1)で表されるテトラゾイルオキシム誘導体がAが式(2)で表されるテトラゾイルであることを特徴とする(I)に記載の植物成長促進剤。
(III)植物の健苗育成を目的とする(I)または(II)に記載の植物成長促進剤。
(IV)植物がイネ科の穀物類である(I)〜(III)のいずれかに記載の植物成長促進剤。
本発明によれば、植物の成長促進効果が期待できる。特には、健苗効果であり、移植前の苗に適用することにより、本田移植後も苗の発根が増加し活着が促進され、分けつ数も良好となり、特に低温の際には優れた効果を発揮することが可能である。さらに、ムレ苗の発生防止効果をも著しく増加できる。
(式(1)で表されるテトラゾイルオキシム誘導体)
式(1):
で表わされるテトラゾイルオキシム誘導体において、Xは、その置換位置に特に限定はなく、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、メタンスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基又は(アルキル基又はハロゲン原子で置換された、又は、無置換の)アリール基を表わす。nは0〜5のいずれかの整数を示し、0〜2であることがさらに好ましい。nが2以上の場合、Xは互いに同一でも異なってもよい。
Xが表わすハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子が挙げられる。これらの中でも、Xが塩素原子又はフッ素原子である化合物が特に好ましい。
Xが表わすアルキル基としては、炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。これらの中でも、Xがメチル基又はtert−ブチル基である化合物が特に好ましい。
また、Xが表わすアルコキシ基としては、炭素原子数1〜3のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基が挙げられる。これらの中でも、Xがメトキシ基又はエトキシ基である化合物が特に好ましい。
また、Xが表わすアルキル基又はハロゲン原子で置換された、または無置換のアリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基などが挙げられる。これらの中でも、Xがフェニル基である化合物が特に好ましい。
上記のうち、nが0〜2でXがハロゲン原子であることがさらに好ましい。
前記式(1)において、Aは、式(2):
又は式(3):
で表わされるテトラゾイル基を表す。前記式中、Yはアルキル基を表わす。アルキル基の中でも、炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。これらの中でも、Yがメチル基又はエチル基である化合物が特に好ましい。
前記式(1)で表わされるテトラゾイルオキシム誘導体におけるHetは、式(4):
で表わされるピリジン基、又は、式(6):
で表わされるチアゾイル基のいずれかを表す。前記式(4)および(6)におけるZは、水素原子、アミノ基又は式(5):
Q−C(=O)−NH− (5)
で表わされる基を表わす。
前記式(4)で表わされるピリジン基におけるRは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等のハロゲン原子を表わす。mは0〜3のいずれかの整数を表し、mが2以上の場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。これらの中でも、mが0の化合物、及びRが塩素原子である化合物が特に好ましい。
前記式(6)で表されるチアゾイル基におけるR’は、水素原子又はハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては前記Rのハロゲン原子と同じものが挙げられる。
前記式(5)で表わされる基におけるQは、水素原子、C1−8アルキル基、C1−8ハロアルキル基、C3−6シクロアルキル基、C1−8アルコキシ基、C3−6シクロアルキルオキシ基、ベンジルオキシ基、2−フェニルエチルオキシ基、C1−4アルキルチオ基、C1−4アルキルチオC1−4アルキル基、C1−4アルコキシC1−2アルキル基、C1−5アシルアミノC1−6アルキル基、C1−5アシルアミノC1−6アルコキシ基、C1−8アルキルアミノ基、C2−6アルケニル基、アラルキル基又はフェニル基を示す。
Qが表わす「C1−8アルキル基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソアミル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
Qが表わす「C1−8ハロアルキル基」は、ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜8のアルキル基を意味し、具体的には、クロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、1−クロロヘキシル基等が挙げられる。
Qが表わす「C3−6シクロアルキル基」は、環状部分を有するC3−6アルキル基を意味し、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基等が挙げられる。
Qが表わす「C1−8アルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、1,1−ジメチルプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、1−メチルブトキシ基、2−メチルブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、1−エチルプロポキシ基、n−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
Qが表わす「C3−6シクロアルキルオキシ基」は、環状部分を有するC3−6アルキル基と酸素原子が結合した基を意味し、具体的には、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロプロピルメチルオキシ基等が挙げられる。
Qが表わす「C1−4アルキルチオ基」としては、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等が挙げられる。
Qが表わす「C1−4アルキルチオC1−4アルキル基」としては、メチルチオメチル基、エチルチオエチル基、ブチルチオメチル基等が挙げられる。
Qが表わす「C1−4アルコキシC1−2アルキル基」としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシメチル基が挙げられる。
Qが表わす「C1−5アシルアミノC1−6アルキル基」は、水素原子又はC1−4アルキル基がカルボニル基と結合したC1−5アシル基がアミノC1−6アルキル基と結合した基であり、具体的には、ホルミルアミノメチル基、アセチルアミノメチル基、2−(プロピオニルアミノ)エチル基、3−(アセチルアミノ)プロピル基、3−(プロピオニルアミノ)プロピル基、3−(イソプロピオニルアミノ)プロピル基、3−(ブチロイルアミノ)プロピル基、3−(イソブチロイルアミノ)プロピル基、3−(sec−ブチロイルアミノ)プロピル基、3−(tert−ブチロイルアミノ)プロピル基、4−(アセチルアミノ)ブチル基、5−(アセチルアミノ)ペンチル基および6−(アセチルアミノ)ヘキシル基等が挙げられる。
Qが表わす「C1−5アシルアミノC1−6アルコキシ基」としては、具体的には、ホルミルアミノメトキシ基、アセチルアミノメトキシ基、2−(プロピオニルアミノ)エトキシ基、3−(アセチルアミノ)プロポキシ基、3−(プロピオニルアミノ)プロポキシ基、3−(イソプロピオニルアミノ)プロポキシ基、3−(ブチロイルアミノ)プロポキシ基、3−(イソブチロイルアミノ)プロポキシ基、3−(sec−ブチロイルアミノ)プロポキシ基、3−(tert−ブチロイルアミノ)プロポキシ基、4−(アセチルアミノ)ブトキシ基、5−(アセチルアミノ)ペンチルオキシ基および6−(アセチルアミノ)ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
Qが表わす「C1−8アルキルアミノ基」としては、具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、1−エチルプロピルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基等が挙げられる。
Qが表わす「C2−6アルケニル基」としては、具体的には、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
Qが表わす「アラルキル基」は、アリール基、好ましくは、C6−10アリール基と、アルキル基、好ましくは、C1−4アルキル基とが結合した基であり、具体的には、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
Qとしては、これらのうち、C1−8アルキル基又はC1−8アルコキシ基が好ましい。
以下に、本発明に包含される化合物の具体例を表に示す。
前記式(1)で表わされる化合物のうち、好ましい化合物としては、nが0〜2でXがハロゲン原子であり、かつ、Aが、前記式(2)で表されるテトラゾイル基であり、かつ、Hetが、前記式(4)で表わされるピリジン基であって、そのうち、Zが前記式(5)(式中、QはC1−8アルキル基又はC1−8アルコキシ基を表わす。)で表わされる基である、テトラゾイルオキシム誘導体が挙げられる。
前記式(1)で表わされるテトラゾイルオキシム誘導体で表わされるテトラゾイルヒドロキシイミノ誘導体に存在するオキシム部位には、(E)体と(Z)体の立体構造が存在し、これら2つの立体異性体およびその混合物はいずれも本発明に含まれる。通常、合成物は、(Z)体のみ、もしくは(E)体と(Z)体の混合物として得られる。
(E)体と(Z)体の混合物から分離精製により2つの異性体を単離することができる。
前記式(1)のテトラゾイルオキシム誘導体は、(Z)体が(E)体よりも植物病害の防除活性に優れる。しかしながら、(Z)体も自然環境下で、光などの作用により、一部が(E)体に変化し、(E)体と(Z)体の混合物として、ある一定比率で安定化する傾向にあるので、両方の化合物およびそれらの混合物も有用である。なお、(E)体と(Z)体の安定化比率は各々の化合物により異なるため、一概に特定することはできない。
(製造方法)
前記式(1)で表されるテトラゾイルオキシム誘導体は、特許文献3(WO03/016303)記載の方法で製造することができる。しかし、本発明のテトラゾイルオキシム誘導体の製造方法はこの製造方法に限定されるものではない。
(植物成長促進剤)
本発明の植物成長促進剤は、前述したテトラゾイルオキシム誘導体を有効成分として含有していればよく、他の成分や担体等を適宜配合することができる。
本発明のテトラゾイルオキシム誘導体は、単独で植物成長促進剤として使用することも可能であるが、通常、テトラゾイルオキシム誘導体を有効成分する製剤に用いられる慣用の固体担体、液体担体、分散剤、希釈剤、乳化剤、展着剤および増粘剤などの補助剤と混合して、水和剤、液剤、油剤、粉剤、粒剤またはゾル剤(フロアブル)等の剤型に製剤して使用することができる。
固体担体又は液体担体としては、例えば、タルク、クレー、ベントナイト、カオリン、けいそう土、モンモリロナイト、雲母、バーミキュライト、石膏、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、木粉、澱粉、アルミナ、珪酸塩、糖重合体、ワックス類、水、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール等)、石油溜分(石油エーテル、ケロシン、ソルベントナフサ等)、脂肪族又は脂環式炭化水素類(n−ヘキサン、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、クメン、メチルナフタレン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン等)、エーテル類(イソプロピルエーテル、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールアセタート、酢酸アミル等)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアニリド等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アルコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等)、などが挙げられる。
補助剤としては、例えば、非イオン型界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等)、陰イオン型界面活性剤(アルキルベンゼンスルホナート、アルキルスルホサクシナート、ポリオキシエチレンアルキルスルファート、アリールスルホナート等)、陽イオン型界面活性剤(アルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、第四級アンモニウム塩類等)、両性型界面活性剤(アルキルアミノエチルグリシン、アルキルジメチルベタイン等)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、トラガントガム、キサンタンガム、ポリビニルアセタート、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、などが挙げられる。
更に、本発明のテトラゾイルオキシム誘導体は、各種の公知慣用の農園芸用殺菌剤、植物生長調節剤、殺虫剤、殺ダニ剤等の農薬や、肥料等と混合して用いることもできる。本発明のテトラゾイルオキシム誘導体の植物成長促進剤中の含有量は、製剤形態、施用方法、その他の条件によって種々異なるが、0.5〜95質量%が好ましく、2〜70質量%の範囲が特に好ましい。
適用対象となる植物としては、特に限定されないが、例えばイネ、大麦、小麦、ヒエ、トウモロコシ、アワ等のイネ科の穀物類;カボチャ、カブ、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ホウレンソウ、ピーマン、トマト等の野菜類;キク、ガーベラ、パンジー、ラン、シャクヤク、チューリップ等の花卉類;アズキ、インゲン、大豆、ラッカセイ、ソラマメ、エンドウ等の豆類;ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモ、タロイモ等のイモ類;ネギ、タマネギ、ラッキョウ等のネギ類等が挙げられる。
本発明の植物成長促進剤の施用方法としては、植物への施用(茎葉散布)、植物の生長土壌への施用(土壌施用)、田面水への施用(水面施用)、種子への施用(種子処理)等が可能である。
本発明の植物成長促進剤の施用量に関しては、適用植物等によっても異なるが、茎葉散布の場合には有効成分濃度として1〜10000ppmの範囲、好ましくは10〜1000ppmの溶液を10アール当たり50〜300L施用するのが好ましく、土壌施用及び水面施用の場合には、有効成分量で10アール当たり0.1〜1000g、特に好ましくは10〜100g施用するのが好ましい。また、種子処理の場合には、種子1Kgに対して、0.001〜50gの有効成分を施用するのが好ましい。
本発明の植物成長促進剤を、適用すれば様々な植物の健全な成長が可能となる。特には、植物体の発根促進、健苗育成、分けつ数の増加に効果があり、収量の増加が期待できる。
次に本発明を実施例及び試験例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1) フロアブル剤
表1に記載の化合物(1−13) 10部
ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルエーテル 2部
ジアルキルスルホサクシネートナトリウム塩 0.5部
グリセリン 5部
キサンタンガム 0.3部
水 82.2部
以上を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕して、有効成分10%のフロアブル剤を得た。
(実施例2)
化合物(1−13)の代わりに、表1に記載の化合物(1−31)を用いた以外は、実施例1と同様にして、フロアブル剤を得た。
(実施例3)
化合物(1−13)の代わりに、表2に記載の化合物(2−13)を用いた以外は、実施例1と同様にして、フロアブル剤を得た。
(試験例1)イネの健苗効果試験
あらかじめ、床土を充填した小型育苗箱(15×10×4cm)に、実施例1または2で得たフロアブル剤を、各々、有効成分として100ppmの濃度に水で希釈し、小型育苗箱あたりこれら薬液を約80ml均一に潅注した。この育苗箱に浸種処理によって鳩胸状態としたイネ種子(品種コシヒカリ)を育苗箱あたり乾燥籾として約12g量播種した。30℃、3日間育苗器中で出芽させ、その後3日間、4℃で低温ストレスを与えた。その後、ガラス温室内で育苗管理した。播種21日後に各育苗箱あたり30苗の最長根長を測定した。
結果を次の表に示す。
(試験例2)
「コムギ健苗効果」
実施例1〜3で得た各フロアブル剤10gと、コムギ(品種:農林61号)の乾燥種子1kgとをビニール袋に入れ混合し、種子表面に塗沫処理を行った。この塗沫処理より、乾燥種子1kgあたりの有効成分処理量は1gとなった。処理した上記の種子を4号鉢に20粒ずつ播種した。播種後、ガラス温室内で育苗管理した。播種21日後に出芽率と苗の根部の乾燥重量を調査した。試験は3連制で実施した。
結果を次の表に示す。
以上の試験結果より、各化合物を処理することにより、イネにおいては、平均最長根長の有意な増加を示し、コムギにおいては、出芽率の向上と平均根部乾燥重量の増加を示した。
本発明の植物成長促進剤によれば、植物の成長を促進することができる。特には、健苗効果が奏され、移植前の苗に適用することにより、本田移植後も苗の発根が増加し活着が促進され、分けつ数も良好となり、特に低温の際には優れた成長促進効果を発揮することが可能である。さらに、ムレ苗の発生防止効果をも著しく増加できる。

Claims (4)

  1. 式(1):
    [式中、Xはハロゲン原子示す。nは0〜のいずれかの整数を示し、nが2以上の場合、Xは互いに同一でも異なってもよい。
    Aは、式(2):
    (式中、Yはアルキル基を示す。)で表されるテトラゾイル基又は式(3):
    (式中、Yはアルキル基を示す。)で表されるテトラゾイル基を表す。
    Hetは、式(4):
    {式中、Rはハロゲン原子を示す。mは0〜3のいずれかの整数を表し、mが2以上の場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。Z式(5):
    Q−C(=O)−NH− (5)
    (式中、QC1−8アルキル基又はC1−8アルコキシを示す。)で表される基を示す。}で表されるピリジンを示す。]で表されるテトラゾイルオキシム誘導体を、有効成分として含有する植物成長促進剤。
  2. 式(1)で表されるテトラゾイルオキシム誘導体がAが式(2)で表されるテトラゾイルであることを特徴とする、請求項1記載の植物成長促進剤。
  3. 植物の健苗育成を目的とするものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の植物成長促進剤。
  4. 植物がイネ科の穀物類であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の植物成長促進剤。
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