JP5282335B2 - 塗料用硬化剤 - Google Patents
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Description
本発明者らの鋭意検討の結果、ポリアミン硬化剤に加水分解性を付与しうる基又は親水性を付与しうる基を有するアミノ基含有硬化剤と、そのアミノ基と反応する官能基を1つ以上含有する化合物とで形成される塗膜が、環境安全性に非常に優れているとともに、塗膜形成時の塗膜硬度が高く、水や海水への浸漬後、経時的にハガレやクラックなどの塗膜欠陥を生じず、塗膜表面より、加水分解性基又は親水性基を有する分子部分が、一定速度で消耗又は除去する塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[Rは、水素原子又はメチル基を示す。]
で示されるモノマーが好適に挙げられる。
ここで、Zは、加水分解性基又は親水性基を示し、例えば、COOR’や、OCOR’、CN、ハロゲン原子、ピリジニル基、アミド基、スルホニル基などが好適に挙げられる。
具体的には、「加水分解性基」とは、海水又は淡水において加水分解する性質を有する基であり、例えば、エステル基や、アルキルシリル基等が好適に挙げられる。エステル基は、アルキル基、シクロアルキル基のエステルであってもよく、又、フェニル基などのアリール基のエステル基であってもよい。エステル基におけるアルキル基、シクロアルキル基としては、直鎖又は分岐を有するアルキル基が挙げられ、このようなアルキル基は、置換基として、例えば、塩素原子などのハロゲン原子や、炭素原子数1〜5程度の、例えば、メトキシ基などのアルコキシ基などを有しても良い。このようなアルキル基としては、例えば、炭素数1〜20程度のものが好適に挙げられる。
従って、本発明で使用される加水分解性基を有するビニル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレートのモノマーとして、メチル(メタ)アクリレートや、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、α−クロロエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートなどが好適に挙げられる。
また、加水分解性基を有するビニル基含有モノマーとしては、例えば、酢酸ビニルなどが好適に挙げられる。
CH2=CRCOOSiR2R3R4・・・・・[I]
[式[I]中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖アルキル基、炭素数3〜10の分岐又はシクロアルキル基、又はフェニル基(フェニル基は、炭素数1〜4のアルキル基により、置換されていてもよい)を示す。]で表されるシリル(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
従って、本発明で使用される親水性基を有するビニル基含有モノマーとして、(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、多価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルなどの水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドや、マレインアミドなどのアミド基含有モノマー;2−アミノエチル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが好適に挙げられる。その他のビニル基含有モノマーとしては、例えば、ビニルピリジンなどのアミノ基含有モノマーや、それらの塩酸塩若しくはジメチルスルホン酸塩;その他N−メチロール基を有するN−メチロールアクリルアミドや、塩化ビニル、更には、アクリロニトリル、そして、
式[II]、
CH2=CRCOO−〔R'−O〕n−R''・・・・・[II]
[式[II]中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、R'は、−(CH2)2−又は−CH2CH(CH3)−であり、R''は、水素原子又はメチル基であり、nは、1〜30の整数である。]で示される(メタ)アクリレートモノマーなどが代表的なものとして挙げられる。アルキレンオキシ基の付加モル数は、例えば、4〜25が好ましい。
ここで、Xは、複数のアミノ基を連結する基である。nは、2〜10であり、好ましくは、2〜4である。
Xは、2価、3価又はそれ以上の多価基であり、好ましくは、2価〜4価の多価基であり、例えば、アルキル基や、アリール基、アリール−アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル基、アルキルオキシ基、アルキル−NH−アルキル基、アルキル−CO−アルキル基などの2価以上の基などが好適に挙げられる。これらの連結基は、炭素原子数、例えば、1〜500、好ましくは、2〜250を有し得る。また、2価のアルキレンオキシ基の場合には、繰り返して結合されていてもよく、繰り返し数(モル数)は、例えば、1〜90、好ましくは、2〜50が好適である。
例えば、2価のアルキレン基を例示すれば、メチレン基や、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。3価以上のアルキル基、例えば、3価のエチル基や、プロピル基、ブチル基などが好適に挙げられる。
また、アルキレンオキシ基などの2価の例としては、メチレンオキシ基や、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基などが好適に挙げられる。
なお、これらの2価以上の連結基Xは、必要に応じて、連結基の炭素原子に対して、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、アミノ基や、前記加水分解性基又は親水性基が好適に挙げられる。
このようなアミノ基含有化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、並びに2,2,4-及び/ 又は2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(3- アミノプロピル) アミン、1,4-ビス(3- アミノプロピル) ピペラジン、N,N-ビス(3- アミノプロピル)-エチレンジアミン、ネオペンタンジアミン、2-メチル-1,5- ペンタンジアミン、1,3-ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン等、更に、脂環式アミン、例えば1,2-又は1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6- ジエチルシクロヘキサン、1,2-ジアミノ-4- エチルシクロヘキサン、1-シクロヘキシル-3,4- ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン及びそれらの反応生成物、4,4 ′- ジアミノジシクロヘキシルメタン及び- プロパン、2,2-ビス(4′- アミノシクロヘキシル) メタン及び- プロパン、3,3 ′- ジメチル-4,4′- ジアミノジシクロヘキシルメタン、3-アミノ-1- シクロヘキシルアミノプロパン、1,3-及び1,4-ビス (アミノメチル) シクロヘキサンである。使用されるアリール脂肪族アミンは、特に脂肪族アミノ基を含むもの、例えばメタ- 及びパラ- キシリレンジアミン又はそれの水素添加生成物である。
アミノ基含有化合物(b)のうちでは、本発明により得られるアミノ基含有硬化剤と、該アミノ基含有硬化剤のアミノ基と反応する官能基を1以上含有する化合物との造膜性及び塗膜の研掃性の制御のしやすさなどを考慮すると、ポリオキシアルキレンジアミンや、ポリオキシアルキレンポリアミンを使用することで塗膜の研掃性の制御が容易となるので好ましい。
上記アミノ基含有化合物(b)は、複数の組合せて用いることができる。
本発明で使用されるアミノ基含有硬化剤は、前記加水分解性基又は親水性基を有するビニル基含有モノマーからなる群から選択されるモノマー(a)と、アミノ基含有化合物(b)とを反応させることにより、得られる。特に、反応効率という観点から、両成分を、マイケル付加反応により反応させることが好ましい。マイケル付加反応は、例えば、以下のようにして進行する反応である。
スキーム1:
式中、R、X、Z及びnは、上記定義の通りであり、mは、1〜10の整数である。また、
(n−m)は、mが1の場合は、1以上の整数である。(n−m)は、好ましくは、例えば、1〜3の整数である。従って、得られるアミノ基含有硬化剤は、一分子中にアミノ基を2以上有する。なお、mが1であっても、アミノ基含有硬化剤に、2つのアミノ基が存在することは、例えば、1分子中に1級アミノ基を2個有するアミノ基含有化合物(b)における1つの1級アミノ基に、ビニル基含有モノマー(a)が反応し、もう一方の1級アミノ基は反応させずに1級アミノ基の状態で保持される場合を考慮したものである。
この反応では、加水分解性基又は親水性基を有するビニル基含有モノマー(a)と、アミノ基含有化合物(b)とを反応させて、アミノ基含有硬化剤(c)が形成される。ビニル基含有モノマー(a)は、複数種類のビニル基含有モノマーであってもよい。
この反応は、例えば、室温(約25℃)〜80℃において、攪拌下において、通常触媒を使用することなく、行われる。
マイケル付加反応によるアミノ基含有硬化剤の調製は、公知の重合方法、例えば、溶液重合、塊状重合などの各種方法で行うことができる。揮発性溶剤を含まない又は、極めて少ない含有量の塗料設計のためには、塊状重合法を採用するのが望ましい。
その他、マイケル付加タイプのβ−ジケトン官能基を有する樹脂等も挙げられる。
なお、以下のスキーム2に示すように、上記スキーム1で例示として形成されてマイケル付加反応によるアミノ基含有硬化剤と、典型的な例として、それと反応性の化合物としてエポキシ樹脂を使用した塗膜形成反応機構を例示する。以下の例は、mが2以上の場合の例である。
スキーム2:
式中、R、Z、Xは、mは、上記の通りであり、Yは、上記記載のグリシジル基を有するエポキシ樹脂の骨格部分を構成する基である。そして、成分(e)は、塗膜成分を示す。
攪拌機付きのフラスコに、以下の表1で示される配合に従って、アミノ基含有化合物(b)を仕込み、反応温度50℃に昇温させ、攪拌しながら、ビニル基含有モノマー(a)をフラスコの中へ3時間で滴下し、滴下終了後で2時間攪拌を続けて重合反応を完結させ、硬化剤AからGのアミノ基含有硬化剤を得た。
PME-1000(ブレンマー) : 日油株式会社製 メトキシポリエチレングリコールメタクリレート エチレンオキサイド付加mol数≒23
D-230(JEFFAMINE) : HUNTSMAN社製 ポリプロピレンオキシジアミン Mw=230)
T-3000(JEFFAMINE) : HUNTSMAN社製 ポリプロピレンオキシトリアミン Mw=3000)
アミノ基含有硬化剤A〜Gを用いて、以下の表2、3に示された配合組成(表中の数値は、質量%)により、各成分を混合し、2,000rpmのホモミキサーで混合分散して、各種の塗料組成物を得た。表2、3中の「樹脂A」は下記の通り作製した。
冷却器、温度計、滴下ロート及び攪拌機を備えた四つ口フラスコにキシレン40部を仕込み、攪拌しながら100℃に昇温した。次に、ブチルメタクリレート25部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、グリシジルメタクリレート15部、t−ブチルパーオクトレート2部を混合した混合物を3時間で滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトレート0.5部とキシレン10部を1時間で滴下し、更に2時間攪拌した後キシレン10添加して「樹脂A」を得た。
アデカハードナーEH-316 : ADEKA株式会社製 メルカプトプロピオン酸−4官能アルコール生成物 SH価=7.4meq/g
JER828:ジャパンエポキシレジン社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂
カージュラーE:シェル化学社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル
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