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JP5282335B2 - 塗料用硬化剤 - Google Patents

塗料用硬化剤 Download PDF

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JP5282335B2 JP2009085753A JP2009085753A JP5282335B2 JP 5282335 B2 JP5282335 B2 JP 5282335B2 JP 2009085753 A JP2009085753 A JP 2009085753A JP 2009085753 A JP2009085753 A JP 2009085753A JP 5282335 B2 JP5282335 B2 JP 5282335B2
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Description

本発明は、塗膜付着性が良好で塗膜剥離が起きにくく、塗膜の水への溶解性が任意に制御され長期防汚性に優れた防汚塗膜が得られ、更に揮発性溶剤を含まない又は、極めて少ない含有量の塗料設計が可能であるアミノ基含有硬化剤に関する。
従来、船舶や、ブイ、定置養魚網、養殖養魚網、各種水管、汚濁防止膜、海底油田掘削井などの没水部等の海水又は淡水と接触する水中構造物へのフジツボ、イガイ、コケムシ、ホヤ、海藻など海棲生物の付着を防ぐために、有機錫系加水分解樹脂と、海棲生物付着阻害剤として亜酸化銅やチオシアン酸第一銅のような銅を含む無機化合物と、を主に含有した塗料組成物が広く用いられてきた。
しかしながら、近年では、環境汚染の問題から、有機錫化合物の使用は規制されている。これに代わるものとして、ロジン、種々の加水分解性樹脂、微水溶性樹脂などと生物付着阻害剤とからなる塗料組成物が使用され、また提案されているが、それらはいずれも揮発性有機溶剤を多く含む塗料組成物であり(例えば、特許文献1)、環境汚染上、好ましいものではなかった。また、硬化剤としてメルカプトカルボン酸エステル系硬化剤を用いた防汚塗料組成物も提案されている(例えば、特許文献2)が、水又は海水への溶解性に問題があった。
特開2001−26621 特開平06−116515
本発明は、アミノ基含有硬化剤を用いることにより揮発性溶剤を含まない又は、極めて少ない含有量の塗料設計が可能であり、塗膜形成時には硬化剤の構造に含まれる加水分解性基又は親水性基により、塗膜が水や海水へ浸漬している間、船などの航行により、海水などとの相互作用により、一定速度で塗膜の表面部分から、加水分解性基又は親水性基を有する分子部分が、徐々に消耗又は除去される機能を付与する塗料用アミノ基含有硬化剤を提供することを目的とする。
揮発性溶剤を含まない又は、極めて少ない含有量の塗料設計が可能な塗料用硬化剤として、ポリアミン硬化剤と、そのアミノ基と反応する官能基を1つ以上含有する化合物との組み合わせた塗料組成物に着目した。
本発明者らの鋭意検討の結果、ポリアミン硬化剤に加水分解性を付与しうる基又は親水性を付与しうる基を有するアミノ基含有硬化剤と、そのアミノ基と反応する官能基を1つ以上含有する化合物とで形成される塗膜が、環境安全性に非常に優れているとともに、塗膜形成時の塗膜硬度が高く、水や海水への浸漬後、経時的にハガレやクラックなどの塗膜欠陥を生じず、塗膜表面より、加水分解性基又は親水性基を有する分子部分が、一定速度で消耗又は除去する塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(a)加水分解性基又は親水性基を有する、以下の式で示されるビニル基を含有するビニル基含有モノマー1種以上と、 (b)2以上のアミノ基を有するアミノ基含有化合物1種以上との反応により得られる、2以上のアミノ基と、加水分解性基又は親水性基とを有するアミノ基含有硬化剤に関する。

Figure 0005282335
[Rは、水素原子又はメチル基を示す。]
上記ビニル基含有モノマーとしては、具体的には、以下の式、

Figure 0005282335

で示されるモノマーが好適に挙げられる。
ここで、Zは、加水分解性基又は親水性基を示し、例えば、COOR’や、OCOR’、CN、ハロゲン原子、ピリジニル基、アミド基、スルホニル基などが好適に挙げられる。
具体的には、「加水分解性基」とは、海水又は淡水において加水分解する性質を有する基であり、例えば、エステル基や、アルキルシリル基等が好適に挙げられる。エステル基は、アルキル基、シクロアルキル基のエステルであってもよく、又、フェニル基などのアリール基のエステル基であってもよい。エステル基におけるアルキル基、シクロアルキル基としては、直鎖又は分岐を有するアルキル基が挙げられ、このようなアルキル基は、置換基として、例えば、塩素原子などのハロゲン原子や、炭素原子数1〜5程度の、例えば、メトキシ基などのアルコキシ基などを有しても良い。このようなアルキル基としては、例えば、炭素数1〜20程度のものが好適に挙げられる。
従って、本発明で使用される加水分解性基を有するビニル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレートのモノマーとして、メチル(メタ)アクリレートや、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、α−クロロエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートなどが好適に挙げられる。
また、加水分解性基を有するビニル基含有モノマーとしては、例えば、酢酸ビニルなどが好適に挙げられる。
また、得られるアミノ基含有硬化剤を有する塗膜の研掃性、つまり、塗膜が海水又は水に徐々に溶解する性質の制御のしやすさなどを考慮すると、加水分解性基を有するビニル基含有モノマーとしては、例えば、イソブチル(メタ)アクリレートモノマー、t−ブチル(メタ)アクリレートモノマーや、次式[I]、

CH2=CRCOOSiR234・・・・・[I]

[式[I]中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖アルキル基、炭素数3〜10の分岐又はシクロアルキル基、又はフェニル基(フェニル基は、炭素数1〜4のアルキル基により、置換されていてもよい)を示す。]で表されるシリル(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
本発明で使用される「親水性基」を有するビニル基含有モノマー (a)における親水性基は、極性の高い又は電荷を有する基又はエーテル結合酸素と水分子との水素結合によって水溶性を示す性質を有する基であり、例えば、水酸基を有するアルキルエステル基や、アミノ基を有するアルキルエステル基、更には、分子内におけるアルキレンオキシ基、例えば、エチレンオキシ基や、プロピレンオキシ基等が好適に挙げられる。
従って、本発明で使用される親水性基を有するビニル基含有モノマーとして、(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、多価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルなどの水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドや、マレインアミドなどのアミド基含有モノマー;2−アミノエチル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが好適に挙げられる。その他のビニル基含有モノマーとしては、例えば、ビニルピリジンなどのアミノ基含有モノマーや、それらの塩酸塩若しくはジメチルスルホン酸塩;その他N−メチロール基を有するN−メチロールアクリルアミドや、塩化ビニル、更には、アクリロニトリル、そして、
式[II]、

CH2=CRCOO−〔R'−O〕n−R''・・・・・[II]

[式[II]中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、R'は、−(CH22−又は−CH2CH(CH3)−であり、R''は、水素原子又はメチル基であり、nは、1〜30の整数である。]で示される(メタ)アクリレートモノマーなどが代表的なものとして挙げられる。アルキレンオキシ基の付加モル数は、例えば、4〜25が好ましい。
本発明で使用されるアミノ基含有化合物(b)としては、2以上の複数のアミノ基を有するアミノ基含有化合物であり、このようなアミノ基含有化合物(b)としては、ジアミン類や、トリアミン類などである。これらのアミン類は、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミン、アルキレンオキシ基含有ポリアミン、ポリアミンエポキシ樹脂アダクト、アルキレンオキサイドアダクト、マンニッヒ化合物、ポリアミドアミン、ケチミンであり、以下の式で一般に示される。

Figure 0005282335
ここで、Xは、複数のアミノ基を連結する基である。nは、2〜10であり、好ましくは、2〜4である。
Xは、2価、3価又はそれ以上の多価基であり、好ましくは、2価〜4価の多価基であり、例えば、アルキル基や、アリール基、アリール−アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル基、アルキルオキシ基、アルキル−NH−アルキル基、アルキル−CO−アルキル基などの2価以上の基などが好適に挙げられる。これらの連結基は、炭素原子数、例えば、1〜500、好ましくは、2〜250を有し得る。また、2価のアルキレンオキシ基の場合には、繰り返して結合されていてもよく、繰り返し数(モル数)は、例えば、1〜90、好ましくは、2〜50が好適である。
例えば、2価のアルキレン基を例示すれば、メチレン基や、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。3価以上のアルキル基、例えば、3価のエチル基や、プロピル基、ブチル基などが好適に挙げられる。
また、アルキレンオキシ基などの2価の例としては、メチレンオキシ基や、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基などが好適に挙げられる。
なお、これらの2価以上の連結基Xは、必要に応じて、連結基の炭素原子に対して、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、アミノ基や、前記加水分解性基又は親水性基が好適に挙げられる。
このようなアミノ基含有化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、並びに2,2,4-及び/ 又は2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(3- アミノプロピル) アミン、1,4-ビス(3- アミノプロピル) ピペラジン、N,N-ビス(3- アミノプロピル)-エチレンジアミン、ネオペンタンジアミン、2-メチル-1,5- ペンタンジアミン、1,3-ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン等、更に、脂環式アミン、例えば1,2-又は1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6- ジエチルシクロヘキサン、1,2-ジアミノ-4- エチルシクロヘキサン、1-シクロヘキシル-3,4- ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン及びそれらの反応生成物、4,4 ′- ジアミノジシクロヘキシルメタン及び- プロパン、2,2-ビス(4′- アミノシクロヘキシル) メタン及び- プロパン、3,3 ′- ジメチル-4,4′- ジアミノジシクロヘキシルメタン、3-アミノ-1- シクロヘキシルアミノプロパン、1,3-及び1,4-ビス (アミノメチル) シクロヘキサンである。使用されるアリール脂肪族アミンは、特に脂肪族アミノ基を含むもの、例えばメタ- 及びパラ- キシリレンジアミン又はそれの水素添加生成物である。
上記アミノ基含有化合物として、分子内にアルキレンオキシ基を有しているものでもよく、例えば、100 〜5000g/mol の分子量を有するポリオキシアルキレンジアミンや、ポリオキシアルキレンポリアミン、例えば、Jeffamine(登録商標) の商品名でHUNTSMANにより販売される製品を使用することもできる。
アミノ基含有化合物(b)のうちでは、本発明により得られるアミノ基含有硬化剤と、該アミノ基含有硬化剤のアミノ基と反応する官能基を1以上含有する化合物との造膜性及び塗膜の研掃性の制御のしやすさなどを考慮すると、ポリオキシアルキレンジアミンや、ポリオキシアルキレンポリアミンを使用することで塗膜の研掃性の制御が容易となるので好ましい。
上記アミノ基含有化合物(b)は、複数の組合せて用いることができる。
本発明で使用されるアミノ基含有硬化剤は、前記加水分解性基又は親水性基を有するビニル基含有モノマーからなる群から選択されるモノマー(a)と、アミノ基含有化合物(b)とを反応させることにより、得られる。特に、反応効率という観点から、両成分を、マイケル付加反応により反応させることが好ましい。マイケル付加反応は、例えば、以下のようにして進行する反応である。
以下に、マイケル付加反応のスキームの例を説明する。
スキーム1:
Figure 0005282335
式中、R、X、Z及びnは、上記定義の通りであり、mは、1〜10の整数である。また、
(n−m)は、mが1の場合は、1以上の整数である。(n−m)は、好ましくは、例えば、1〜3の整数である。従って、得られるアミノ基含有硬化剤は、一分子中にアミノ基を2以上有する。なお、mが1であっても、アミノ基含有硬化剤に、2つのアミノ基が存在することは、例えば、1分子中に1級アミノ基を2個有するアミノ基含有化合物(b)における1つの1級アミノ基に、ビニル基含有モノマー(a)が反応し、もう一方の1級アミノ基は反応させずに1級アミノ基の状態で保持される場合を考慮したものである。
この反応では、加水分解性基又は親水性基を有するビニル基含有モノマー(a)と、アミノ基含有化合物(b)とを反応させて、アミノ基含有硬化剤(c)が形成される。ビニル基含有モノマー(a)は、複数種類のビニル基含有モノマーであってもよい。
この反応は、例えば、室温(約25℃)〜80℃において、攪拌下において、通常触媒を使用することなく、行われる。
マイケル付加反応によるアミノ基含有硬化剤の調製は、公知の重合方法、例えば、溶液重合、塊状重合などの各種方法で行うことができる。揮発性溶剤を含まない又は、極めて少ない含有量の塗料設計のためには、塊状重合法を採用するのが望ましい。
本発明のアミノ基含有硬化剤は、例えば、塗料組成物に使用される。塗料組成物に使用される化合物又は樹脂としては、アミノ基含有硬化剤のアミノ基と反応する官能基を1以上含有する化合物又は樹脂が好適に挙げられる。そのような反応性の官能基として、例えば、エポキシ基や、イソシアネート基等が好適に挙げられる。エポキシ基を含有する化合物又は樹脂の代表例としては、例えば、ブチルグリシジルエーテルや、フェニルグリシジルエーテル、バーサチック酸グリシジルエステル、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテル、ネオペンチルジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂や、脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂等のエポキシ基含有樹脂などが好適に挙げられる。これらの反応性化合物は、1種のみ又は2種以上混合して使用することができる。また、エポキシ基を有するアクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂等も同様に使用できる。イソシアネート基を含有する化合物の代表例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4、4−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、前記化合物のビウレット体、イソシアヌレート体、TMPアダクト体、ウレトジオン、イソシアネート官能基を有する樹脂等が挙げられる。反応性、混和安定性の観点より、エポキシ基を含有する化合物の方が好ましい。
その他、マイケル付加タイプのβ−ジケトン官能基を有する樹脂等も挙げられる。
なお、以下のスキーム2に示すように、上記スキーム1で例示として形成されてマイケル付加反応によるアミノ基含有硬化剤と、典型的な例として、それと反応性の化合物としてエポキシ樹脂を使用した塗膜形成反応機構を例示する。以下の例は、mが2以上の場合の例である。

スキーム2:
Figure 0005282335
式中、R、Z、Xは、mは、上記の通りであり、Yは、上記記載のグリシジル基を有するエポキシ樹脂の骨格部分を構成する基である。そして、成分(e)は、塗膜成分を示す。
つぎに、本発明を製造例、実施例及び比較例によって具体的に説明する。なお、例中の部は、質量部である。
[製造例1〜7]
攪拌機付きのフラスコに、以下の表1で示される配合に従って、アミノ基含有化合物(b)を仕込み、反応温度50℃に昇温させ、攪拌しながら、ビニル基含有モノマー(a)をフラスコの中へ3時間で滴下し、滴下終了後で2時間攪拌を続けて重合反応を完結させ、硬化剤AからGのアミノ基含有硬化剤を得た。
Figure 0005282335
PP-500(ブレンマー) : 日油株式会社製 ポリプロピレングリコールモノメタクリレート プロピレンオキサイド付加mol数≒9
PME-1000(ブレンマー) : 日油株式会社製 メトキシポリエチレングリコールメタクリレート エチレンオキサイド付加mol数≒23
D-230(JEFFAMINE) : HUNTSMAN社製 ポリプロピレンオキシジアミン Mw=230)
T-3000(JEFFAMINE) : HUNTSMAN社製 ポリプロピレンオキシトリアミン Mw=3000)
[実施例1〜10、比較例1〜5]
アミノ基含有硬化剤A〜Gを用いて、以下の表2、3に示された配合組成(表中の数値は、質量%)により、各成分を混合し、2,000rpmのホモミキサーで混合分散して、各種の塗料組成物を得た。表2、3中の「樹脂A」は下記の通り作製した。
「樹脂A」の調製
冷却器、温度計、滴下ロート及び攪拌機を備えた四つ口フラスコにキシレン40部を仕込み、攪拌しながら100℃に昇温した。次に、ブチルメタクリレート25部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、グリシジルメタクリレート15部、t−ブチルパーオクトレート2部を混合した混合物を3時間で滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトレート0.5部とキシレン10部を1時間で滴下し、更に2時間攪拌した後キシレン10添加して「樹脂A」を得た。
Figure 0005282335
Figure 0005282335
ガスカミン240:三菱ガス化学株式会社製 メタキシレンジアミンとスチレン(疎水性基を有する)の反応生成物
アデカハードナーEH-316 : ADEKA株式会社製 メルカプトプロピオン酸−4官能アルコール生成物 SH価=7.4meq/g
JER828:ジャパンエポキシレジン社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂
カージュラーE:シェル化学社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル
表2、3に示した各実施例及び比較例溶液を塗布直前に調合し、10cm×20cm×3mmの片面スリガラス板に乾燥膜厚50μmになるように塗布し、室温で一週間乾燥した後、1ノットの流動海水中(20℃)に浸漬し、塗膜の重量変化を測定し、塗膜消耗率(%)を算出した。塗膜消耗率(%)は、その値が大きい程優れていることを意味する。なお、浸漬後のテストピース質量は、110℃で1時間乾燥後に測定し、下記の基準で表2、3に結果を示した。
××:消耗率:0〜2%
× :消耗率:2%より大きく6%まで
△ :消耗率:6%より大きく10%まで
○ :消耗率:10%より大きく20%まで
◎ :消耗率:20%より大きい
表2の結果から明らかなように、比較例1〜5では、塗膜消耗率が小さく満足の行く結果ではなかったのに対して、本発明の実施例1〜10の各塗料組成物では、塗膜消耗率(%)の値が比較例1〜5よりも高く、満足できる結果を示した。これらの結果からも、本発明の加水分解性基又は親水性基を有するビニル基含有モノマーと、アミノ基含有化合物との反応により得られるアミノ基含有硬化剤を用いた塗料組成物の塗膜は、環境安全性に非常に優れ、良好な研掃性を具備しているものであることがわかった。
本発明によれば、防汚塗膜、水中構造物、及び水中構造物の防汚塗膜形成に有望な水や海水への浸漬後、経時的にハガレやクラックなどの塗膜欠陥を生じず、一定速度で消耗又は除去する塗膜形成し得る塗料用アミノ基含有硬化剤が提供される。

Claims (3)

  1. 以下の式で示される構造を有することを特徴とする、エポキシ樹脂用のアミノ基含有硬化剤。
    Figure 0005282335

    (Rは、水素又はメチル基であり
    Zは、−COOSiR'R''R''' (R'、R''及びR'''は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖アルキル基、炭素数3〜10の分岐又はシクロアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示す)であり、
    Xは、アルキレン基又はアルキレンオキシ基であり、
    mは、であり
    nは、2〜4の整数である。)
  2. Xが、アルキレンオキシ基である請求項1に記載の硬化剤。
  3. ZにおけるR'、R''及びR'''が、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖アルキル基である請求項1に記載の硬化剤。
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