JP5272290B2 - 導電性被膜付き基材の製造方法 - Google Patents
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そこで、本発明は、基材と導電性被膜との密着性に優れ、かつ、電気抵抗の低い導電性被膜を有する導電性被膜付き基材を得ることができる導電性被膜付き基材の製造方法を提供することを目的とする。
(1)酸化銀と第二級脂肪酸銀塩とを含有する導電性組成物を基材上に塗布し、硬化させて、多孔質の導電性被膜を形成する導電性被膜形成工程と、
前記導電性被膜上に接着剤を塗布して前記基材と前記導電性被膜とを接着させて、導電性被膜付き基材を得る接着工程とを具備する導電性被膜付き基材の製造方法。
(2)前記第二級脂肪酸銀塩が、2−メチルプロパン酸銀塩である上記(1)に記載の導電性被膜付き基材の製造方法。
(3)前記導電性組成物が、更に、還元剤を含有する上記(2)に記載の導電性被膜付き基材の製造方法。
(4)前記多孔質の導電性被膜が、空隙率10〜80%の導電性被膜である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の導電性被膜付き基材の製造方法。
(5)前記接着剤が、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物とを含有するウレタン系接着剤である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の導電性被膜付き基材の製造方法。
(6)前記ポリイソシアネート化合物が、イソシアヌレート構造を有する上記(5)に記載の導電性被膜付き基材の製造方法。
また、本発明の導電性被膜付き基材は、基材と導電性被膜との密着性に優れ、かつ、電気抵抗の低い導電性被膜を有する。
本発明の導電性被膜付き基材の製造方法(以下、「本発明の製造方法」という。)は、導電性組成物を基材上に塗布し、硬化させて、多孔質の導電性被膜を形成する導電性被膜形成工程と、前記導電性被膜上に接着剤を塗布して前記基材と前記導電性被膜とを接着させて、導電性被膜付き基材を得る接着工程とを具備する。
上記導電性被膜形成工程は、導電性組成物を基材上に塗布し、硬化させて、多孔質の導電性被膜を形成する工程である。
上記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等のフィルム;銅板、銅箔、ガラス、エポキシ等の基板等が挙げられる。
上記基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリイミドから形成される基材が、柔軟性に優れる点から好ましい。
上記第二級脂肪酸銀塩としては、沸点が200℃以下の第二級脂肪酸と酸化銀とを反応させて得られる第二級脂肪酸銀塩が低温で導電性被膜を形成できる点から好ましい態様の1つである。具体的には、下記式(1)で表される沸点が200℃以下の第二級脂肪酸と酸化銀とを反応させて得られるものが好適に挙げられる。
また、上記式(1)中、R2の炭素数1〜10のアルキル基としては、上記R1の炭素数1〜6のアルキル基以外に、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基が挙げられる。R2は、メチル基、エチル基、n−プロピル基であるのが好ましい。
これらのうち、2−メチルプロパン酸であるのが、得られる第二級脂肪酸銀塩である2−メチルプロパン酸銀塩を含有する導電性組成物を用いて形成される導電性被膜の形成時間が短時間、具体的には、180℃程度の温度で数秒となる点から好ましい。
前者の方法としては、具体的には、上記酸化銀と、溶剤により上記脂肪酸を溶液化したものとを、ボールミル等により混練し、固体である上記酸化銀を粉砕しながら、室温で、1〜24時間程度、好ましくは2〜8時間反応させるのが好ましい。
中でも、イソホロンおよび/またはα−テルピネオールを溶媒として用いるのが、上記反応により得られる第二級脂肪酸銀塩を含有する導電性組成物のチクソ性が良好となる点から好ましい。
上記金属粉としては、具体的には、例えば、銅、銀、アルミニウム等が挙げられ、中でも、銅、銀であるのが好ましい。また、0.01〜10μmの粒径の金属粉であるのが好ましい。
また、上記脂肪酸と、過剰量の上記酸化銀とを混合し、上記第二級脂肪酸銀塩を合成して、酸化銀と第二級脂肪酸銀塩とを含有する導電性組成物を製造することもできる。
塗布方法としては、具体的には、例えば、インクジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷等が挙げられる。
熱処理の条件は特に制限されないが、例えば、上記第二級脂肪酸銀塩として沸点が200℃以下の第二級脂肪酸と酸化銀とを反応させて得られる第二級脂肪酸銀塩を用いる場合は、100〜250℃の温度で、数秒〜数十分間、加熱する処理であるのが好ましく、160℃程度で、1分程度、加熱する処理であるのがより好ましい。熱処理の温度および時間がこの範囲であると、耐熱性の低い基材にも導電性被膜を形成することができる。
上記光照射は、塗布された導電性組成物に、紫外線または赤外線を照射して行う。照射時間等の条件は、適宜設定することができる。
なお、本明細書において導電性被膜の空隙率は、SEMを用い、表・断面の画像から画像処理を行い、パソコン上で計算を行うことで、空隙分散率を算出して求められる値である。
上記接着工程は、上記導電性被膜形成工程により得られた導電性被膜上に、接着剤を塗布して、上記基材と上記導電性被膜とを接着させて、導電性被膜付き基材を得る工程である。
上記接着剤は、使用する基材の種類等に応じて適宜選択して用いることができる。具体的には、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤等が挙げられる。中でも、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを含有するウレタン系接着剤が、接着性に優れ、湿気により硬化することができる点から好ましい。
導電性被膜付き基材は、基材と、前記基材上に形成された多孔質の導電性被膜とを有し、前記基材と前記導電性被膜とが接着剤で接着されている導電性被膜付き基材である。
上記導電性被膜付き基材としては、上述した本発明の製造方法により得られるものが好ましい。
導電性被膜付き基材は、例えば、電子回路、アンテナ等の回路の作製に好適に用いることができる。
(実施例1)
酸化銀(I)100g、イソ酪酸銀17g、ステアリン酸2.5gおよびα−テルピネオール40gをボールミルで24時間混合し、酸化銀を粉砕しつつ反応させて導電性組成物を得た。
得られた導電性組成物をPETフィルム(ルミラーS56、東レ社製)、PENフィルム(テオネックス081、帝人デュポンフィルム社製)およびポリイミドフィルム(カプトン、東レ・デュポン社製)のそれぞれに塗布した後、160℃で1分間の条件で乾燥し、導電性被膜を作製した。
また、接着剤塗布前に導電性被膜の体積抵抗率を抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製、以下同じ。)を用いた4端子4探針法により測定し、また、下記の方法により密着性を評価した。結果を下記第1表に示す。
得られた導電性被膜付き基材の導電性被膜の体積抵抗率を抵抗率計により測定し、また、下記の方法により各導電性被膜付き基材の密着性を評価した。結果を下記第1表に示す。
密着性の評価は、碁盤目テープはく離試験により行った。
各試料の導電性被膜に1mmの基盤目100個(10×10)を作り、基盤目上にセロハン粘着テープ(幅18mm)を付着させ、直ちにテープの一端を直角に保ち、瞬間的に引き離し、剥がれないで残った基盤目の個数を調べた。
導電性組成物として、バインダを含有する市販の銀ペースト(FA−353、藤倉化成社製)を用いた点以外は、実施例1と同様に、導電性被膜および導電性被膜付き基材を作製し、各導電性被膜の体積抵抗率を測定し、各導電性被膜付き基材の密着性を評価した。結果を下記第1表に示す。
図2は、比較例1の基材上に形成された導電性被膜(接着剤塗布前)の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)である。図2から明らかなように、得られた導電性被膜には、孔がほとんどなかった。比較例1の導電性被膜の空隙率は約8%だった。
酸化銀(I)100g、第三級脂肪酸銀塩であるネオデカン酸銀塩75gおよびα−テルピネオール40gをボールミルで24時間混合し、酸化銀を粉砕しつつ反応させて導電性組成物を得た。
得られた導電性組成物を用いて、実施例1と同様に、導電性被膜および導電性被膜付き基材を作製し、各導電性被膜の体積抵抗率を測定し、また、各導電性被膜の付き基材の密着性を評価した。結果を下記第1表に示す。
図3は、比較例2の基材上に形成された導電性被膜(接着剤塗布前)の断面のSEM写真(1000倍)である。
図3から明らかなように、得られた導電性被膜には孔がほとんどなかった。比較例2の導電性被膜の空隙率は0%だった。
一方、実施例1の接着剤塗布後の導電性被膜付き基材は、優れた密着性を有し、更に、その導電性被膜の体積抵抗率は比較例1に比べて格段に低くすることができた。
2 フィルム
Claims (6)
- 酸化銀と第二級脂肪酸銀塩とを含有する導電性組成物を基材上に塗布し、硬化させて、多孔質の導電性被膜を形成する導電性被膜形成工程と、
前記導電性被膜上に接着剤を塗布して前記基材と前記導電性被膜とを接着させて、導電性被膜付き基材を得る接着工程とを具備する導電性被膜付き基材の製造方法。 - 前記第二級脂肪酸銀塩が、2−メチルプロパン酸銀塩である請求項1に記載の導電性被膜付き基材の製造方法。
- 前記導電性組成物が、更に、還元剤を含有する請求項2に記載の導電性被膜付き基材の製造方法。
- 前記多孔質の導電性被膜が、空隙率10〜80%の導電性被膜である請求項1〜3のいずれかに記載の導電性被膜付き基材の製造方法。
- 前記接着剤が、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物とを含有するウレタン系接着剤である請求項1〜4のいずれかに記載の導電性被膜付き基材の製造方法。
- 前記ポリイソシアネート化合物が、イソシアヌレート構造を有する請求項5に記載の導電性被膜付き基材の製造方法。
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