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JP5270059B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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JP5270059B2 JP2003346145A JP2003346145A JP5270059B2 JP 5270059 B2 JP5270059 B2 JP 5270059B2 JP 2003346145 A JP2003346145 A JP 2003346145A JP 2003346145 A JP2003346145 A JP 2003346145A JP 5270059 B2 JP5270059 B2 JP 5270059B2
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Description

本発明は硬化性組成物に関するものであり、更に詳しくは硬化性に優れた硬化性組成物に関するものである。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物、及びヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する硬化性組成物において、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物としてトリアリルイソシアヌレートを用いたものが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5)。特許文献3、特許文献4、特許文献5には、その硬化物は高い光学透明性と高い耐光劣化性を有しており、光学材料として有用であることが開示されている。しかしながら上記硬化性組成物は硬化性が低いという問題がある。
トリアリルイソシアヌレートの製造法としては、シアン酸のアルカリ金属塩とハロゲン化アリルとを反応させる方法(例えば特許文献6)、シアヌル酸あるいはシアヌル酸のアルカリ金属塩とハロゲン化アリルとを反応させる方法(例えば特許文献7、特許文献8)、塩化シアヌルとアリルアルコールからトリアリルシアヌレートを製造後に異性化反応させる方法(例えば特許文献9)等が例示できる。
高純度のトリアリルイソシアヌレートを製造することは容易ではなく、トリアリルイソシアヌレートと分離が容易でない副生物が混入するため、その精製法の開発も行なわれている(例えば特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16)。
上述の様にトリアリルイソシアヌレート中には、その構造上ヒドロシリル化触媒の活性低下剤となり得る含窒素化合物を不純物として含みやすい。活性低下剤となり得る含窒素化合物を不純物として含む場合、その硬化性組成物の硬化速度は低下し好ましくない。
特許文献14に純度99.92%のトリアリルイソシアヌレートが、特許文献10、特許文献11及び特許文献15などにトリアリルイソシアヌレート中に含まれる副生物の一つとして1,3−ジアリル尿素が記載されているが、精製により得られたトリアリルイソシアヌレート中に含まれる1,3−ジアリル尿素等の含窒素不純物量に関する記載はない。また特許文献5にはトリアリルイソシアヌレートを必要に応じて精製しても良いことが記載されているが、精製除去の対象物質とその量および精製の目的に関する開示はない。トリアリルイソシアヌレート中に含有される1,3−ジアリル尿素量が、トリアリルイソシアヌレートとSiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応に与える影響に関する開示はされていない。
特開昭50−100 特開平9−291214 特開2002−80733 特開2002−317048 特開2003−34743 特公昭36−3985 特公昭38−21091 US2984950 特開昭58−85874 特公昭40−2556 特公昭42−9345 特公昭47−14395 特公昭47−22588 特開昭57−200371 特公昭58−22118 特開平11−255753
本発明が解決しようとする課題は、トリアリルイソシアヌレート、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物及びヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する硬化性組成物の硬化性を向上させる手段を提供することである。
本発明者はかかる課題を解決するために鋭意検討の結果、(A)成分であるトリアリルイソシアヌレートに1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下であるトリアリルイソシアヌレートを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
(A)トリアリルイソシアヌレート、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する硬化性組成物であって、(A)成分であるトリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下である硬化性組成物(請求項1)であり、
(A)成分が、700ppmを超える1,3−ジアリル尿素の含有量を精製処理によって700ppm以下に低減したトリアリルイソシアヌレートである請求項1に記載の硬化性組成物(請求項2)であり、
トリアリルイソシアヌレートの精製処理が、塩基性物質を除去可能な処理剤を用いた処理である請求項2に記載の硬化性組成物(請求項3)であり、
(A)成分であるトリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が100ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物(請求項4)であり、
(A)成分であるトリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が50ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物(請求項5)であり、
(A)成分であるトリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が10ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物(請求項6)である。
本発明により、トリアリルイソシアヌレート(A)、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(B)及びヒドロシリル化触媒(C)を必須成分として含有する硬化性組成物の硬化性を向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
((A)成分)
本発明の(A)成分は、トリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下であるトリアリルイソシアヌレートである。上記含有量はガスクロマトグラフィーによる内部標準法により測定できる。
トリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppmを超える場合、トリアリルイソシアヌレート(A)、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(B)及びヒドロシリル化触媒(C)を必須成分として含有する硬化性組成物の硬化性は低く、硬化性を補うためには高価な(C)成分であるヒドロシリル化触媒を多く用いる必要がある。またヒドロシリル化触媒を多量に用いることよって硬化性組成物の貯蔵安定性が低下したり、硬化物の着色による製品品質の低下が問題となる。トリアリルイソシアヌレート中に含まれる1,3−ジアリル尿素の量は好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは50ppm以下であり、更に好ましくは10ppm以下である。
トリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下であるトリアリルイソシアヌレートの製造方法は特に限定されない。
トリアリルイソシアヌレート製造中に1,3−ジアリル尿素を副生する可能性のある不純物を極力排除した原料および反応条件を選択することによっても、1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下であるトリアリルイソシアヌレートが製造できる。
またトリアリルイソシアヌレート製造時の1,3−ジアリル尿素の副生回避が容易ではなく、1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppmを超える場合は、精製処理を行なうことにより1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下であるトリアリルイソシアヌレートが製造できる。精製処理の方法としては特に限定されず、減圧蒸留や再結晶、塩酸、硫酸水溶液等の酸性水、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ性水、及び純水等の中性水の組み合わせによる洗浄や、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、活性白土、活性炭等の吸着材による吸着処理等が例示される。トリアリルイソシアヌレート精製は、必要であれば繰り返し、また必要であれば複数の精製法を組み合わせて、トリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下になるまで実施すれば良い。これらの精製処理の方法の中で塩基性物質を除去可能な処理剤(例えば、塩酸、硫酸水溶液等の酸性水、シリカ、ケイ酸アルミニウム、活性白土、活性炭等の吸着剤等)を用いた処理が好ましい。精製処理においては溶剤を用いても用いなくても良い。
((B)成分)
次に、(B)成分であるSiH基を有する化合物について説明する。
本発明の(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物である。
(B)成分については1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に制限がなく、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましく、(A)成分との相溶性が良いという観点からは、さらに、下記一般式(I)
Figure 0005270059
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
一般式(I)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
一般式(I)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
(B)成分の分子量は特に制約はなく任意のものが好適に使用できるが、より流動性を発現しやすいという観点からは低分子量のものが好ましく用いられる。この場合、好ましい分子量の下限は50であり、好ましい分子量の上限は100,000、より好ましくは1,000、さらに好ましくは700である。
(B)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(A)成分と良好な相溶性を有するという観点、および(B)成分の揮発性が低くなり得られる組成物からのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(B)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物(α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン(β)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物であることが好ましい。
((α)成分)
ここで(α)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物(α1)を用いることができる。(α1)成分を用いると得られる硬化物の架橋密度が高くなり力学強度が高い硬化物となりやすい。
その他、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物(α2)も用いることができる。(α2)成分を用いると得られる硬化物が低弾性となりやすい。
((α1)成分)
(α1)成分としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。
有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲン以外の元素を含まない化合物がより好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(α1)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
有機重合体系化合物としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物が例示できる。
また有機単量体系化合物としては、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系、直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系、エーテル系、複素環系の化合物およびこれらの混合物等が例示できる。
(α1)成分の具体的な例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2,−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
Figure 0005270059
Figure 0005270059
トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、
Figure 0005270059
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグルシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
得られる硬化物の着色が少なく、光学的透明性が高く、耐光性が高いという観点からは、(α1)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
(α1)成分は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((α2)成分)
(α2)成分としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物であれば特に限定されないが、(B)成分が(Α)成分と相溶性がよくなるという点においては、化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(α2)成分の化合物は、重合体系の化合物と単量体系化合物に分類できる。
重合体系化合物としては例えば、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
また単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物、シリコン系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
(α2)成分の具体的な例としては、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、リニアレン(登録商標 出光石油化学社製)、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、o−アリルフェノール等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合物類、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリロキシエチルメタクリレート、アリロキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン等のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と他の反応性基を有する化合物類等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
構造は線状でも枝分かれ状でもよく、分子量は特に制約はなく種々のものを用いることができる。分子量分布も特に制限ないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
上記のような(α2)成分としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
((β)成分)
(β)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンである。
具体的には、例えば
Figure 0005270059
Figure 0005270059
が挙げられる。
ここで、(α)成分との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(I)
Figure 0005270059
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
一般式(I)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
上記したような各種(β)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((α)成分と(β)成分の反応)
次に、本発明の(B)成分として、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応して得ることができる化合物を用いる場合の、(α)成分と(β)成分とのヒドロシリル化反応に関して説明する。
尚、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応すると、本発明の(B)成分を含む複数の化合物の混合物が得られることがあるが、そこから(B)成分を分離することなく混合物のままで用いて本発明の硬化性組成物を作成することもできる。
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合の(α)成分と(β)成分の混合比率は、特に限定されないが、得られる(B)成分と(A)成分とのヒドロシリル化による硬化物の強度を考えた場合、(B)成分のSiH基が多い方が好ましいため、一般に混合する(α)成分中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する(β)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、Y/X≧2であることが好ましく、Y/X≧3であることがより好ましい。また(B)成分の(A)成分との相溶性がよくなりやすいという点からは、10≧Y/Xであることが好ましく、5≧Y/Xであることがより好ましい。
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(β)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−7モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
反応させる場合の(α)成分、(β)成分、触媒の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(α)成分に触媒を混合したものを、(β)成分に混合する方法が好ましい。(α)成分、(β)成分の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難である。(β)成分と触媒を混合したものに(α)成分を混合する方法をとる場合は、触媒の存在下で(β)成分のみを加熱する時間が長くなるため、副反応による品質低下が起こりやすくなる
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
(α)成分と(β)成分を反応させた後に、溶媒あるいは/および未反応の(α)成分あるいは/および(β)成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(B)成分が揮発分を有さないため(A)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
以上のような、(α)成分と(β)成分の反応物である(B)成分の例としては、ビスフェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、アリルグリシジルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、αメチルスチレンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、等を挙げることができる。
(A)成分と(B)成分の混合比率は、硬化物に必要な強度が失わない限り特に限定されない。本発明の硬化性組成物におけるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物が(A)成分であるトリアリルイソシアヌレートのみである場合、(B)成分中のSiH基の総数(Y)の(A)成分中のアリル基の総数(X)に対する比において、好ましい範囲の下限はY/X≧0.3、より好ましくはY/X≧0.5、さらに好ましくはY/X≧0.7であり、好ましい範囲の上限は3≧Y/X、より好ましくは2≧Y/X、さらに好ましくは1.5≧Y/Xである。好ましい範囲からはずれた場合には十分な強度が得られなかったり、熱劣化しやすくなる場合がある。
本発明の硬化性組成物は(A)成分であるトリアリルイソシアヌレート以外にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物を添加しても良い。この様なSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物としては、上記(α)成分に記載されたものであってトリアリルイソシアヌレートを除いたものが使用できる。(A)成分であるトリアリルイソシアヌレート以外にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物が存在する場合には(B)成分中のSiH基の数(Y)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数(X’)に対する比において、好ましい範囲の下限はY/X’≧0.3、より好ましくはY/X’≧0.5、さらに好ましくはY/X’≧0.7であり、好ましい範囲の上限は3≧Y/X’、より好ましくは2≧Y/X’、さらに好ましくは1.5≧Y/X’である。好ましい範囲からはずれた場合には十分な強度が得られなかったり、熱劣化しやすくなる場合がある。
((C)成分)
次に(C)成分であるヒドロシリル化触媒について説明する。
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh4、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(B)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(B)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
本発明の組成物には保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、プロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
硬化遅延剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは50モルである。
また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
エポキシ化合物の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は1重量部、より好ましくは3重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、さらにシラノール縮合触媒を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなシラノール縮合触媒としては特に限定されないが、有機アルミニウム化合物および/あるいはほう酸エステルおよび/あるいはチタン系化合物が好ましい。硬化時及び高温下での着色性が低い点からほう酸エステルが好ましい。
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明に用いられる有機アルミニウム化合物はシラノール縮合触媒として用い、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。
本発明に用いられる有機アルミニウム化合物としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム等のアルミニウムアルコラート化合物;ナフテン酸、ステアリン酸、オクチル酸、安息香酸等のアルミニウム有機酸塩;アルミニウムエチルアセトアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセトアセテートジイソブチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート化合物等が挙げられるが、反応性、基材との接着性・密着性の観点から、アルミニウムキレート、及びアルミニウムアルコラートが好ましく、さらにヒドロシリル化硬化反応との相性からアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。又これらを併用してもよい。
本発明に用いられるほう酸エステルはシラノール縮合触媒として用い、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。
本発明に用いられるほう酸エステルとしては、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリメチル、ほう素メトキシエトキサイド等が挙げられる。ほう酸エステルとしては1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。混合は事前に行なっても良く、また硬化物作成時に混合しても良い。
揮発性の抑制、作業性の点からほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピルが好ましく、ほう酸トリノルマルブチルがさらに好ましい。
高温下での着色性が低い点からほう酸トリエチルが好ましく、ほう酸トリメチルがさらに好ましい。
本発明に用いられるチタン系化合物はシラノール縮合触媒として用い、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。
本発明に用いられるチタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類:チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類:オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。
これらのシラノール縮合触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明においては接着性改良効果をさらに高めるために、さらにシラノール源化合物を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなシラノール源としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
シラノール源化合物を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、
Figure 0005270059
2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類のうち、ヒドロシリル化反応性を有し硬化物からの染み出しの可能性が少なく得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有するものが好ましい。好ましいカルボン酸類あるいは/および酸無水物類としては、例えば、
Figure 0005270059
テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱硬化性樹脂を添加することも可能である。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂等が例示されるがこれに限定されるものではない。これらのうち、接着性等の実用特性に優れるという観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂を、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させるものが挙げられる。これらのエポキシ樹脂あるいは硬化剤はそれぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
熱硬化性樹脂の添加量としては特に限定はないが、好ましい使用量の下限は硬化性組成物全体の5重量%、より好ましくは10重量%であり、好ましい使用量の上限は硬化性組成物中の50重量%、より好ましくは30重量%である。添加量が少ないと、接着性等目的とする効果が得られにくいし、添加量が多いと脆くなりやすい。
これらの熱硬化性樹脂は単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
熱硬化樹脂は樹脂原料あるいは/および硬化させたものを、(A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、(A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱硬化性樹脂を(A)成分あるいは/および(B)成分に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態あるいは/および混合状態としてもよい。
熱硬化性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
本発明の組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL(登録商標)、日本ゼオン社製ZEONOR(登録商標)、ZEONEX(登録商標)、JSR社製ARTON(登録商標)等)、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS(登録商標)等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET(登録商標)等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるいは/およびSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるいは/およびSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、(A)成分や(B)成分との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量の下限は硬化性組成物全体の5重量%、より好ましくは10重量%であり、好ましい使用量の上限は硬化性組成物中の50重量%、より好ましくは30重量%である。添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなりやすいし、多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなりやすい。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂は(A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、(A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を(A)成分あるいは/および(B)成分に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態あるいは/および混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
本発明の組成物には充填材を添加してもよい。
充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系充填材、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用あるいは/および提案されている充填材等を挙げることができる。
充填材としては、封止する半導体や電子材料へダメージを与え難いという観点からは、低放射線性であることが好ましい。
充填材は適宜表面処理してもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等が挙げられる。
この場合のカップリング剤の例としては、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
その他にも充填材を添加する方法が挙げられる。例えばアルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマーあるいはオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド、ハロゲン化物等を、本発明の組成物に添加して、組成物中あるいは組成物の部分反応物中で反応させ、組成物中で充填材を生成させる方法も挙げることができる。
以上のような充填材のうち硬化反応を阻害し難く、線膨張係数の低減化効果が大きいという観点からは、シリカ系充填材が好ましい。
充填材の平均粒径としては、封止材の狭い隙間への浸透性が良好となりやすいという点においては、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
充填材の粒径50μm以上の粒子の割合としては、封止材の狭い隙間への浸透性が良好となりやすいという点においては、1重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることがより好ましい。
充填材の粒径分布については、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、各種設定できる。例えば、24μm以上の粒子が15重量%以上かつ1μm以下の粒子が3重量%以上となるようにしてもよい。
充填材の平均粒子径、充填材の粒径50μm以上の粒子の割合はレーザー法マイクロトラック粒度分析計を用いて測定することができる。
充填材の比表面積についても、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、各種設定できる。例えば、4m/g以上、4m/g以下、10m/g以下等、任意に設定できる。
比表面積はBET法モノソーブ比表面積測定装置によって測定できる。
充填材のガラス化率についても、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、各種設定できる。例えば、97%以上等、任意に設定できる。
充填材の形状としては、封止材の粘度が低くなりやすい観点からは、球状の充填材であることが好ましい。
充填材は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
充填材の添加量はとくに限定されないが、線膨張係数の低減化効果が高く、かつ組成物の流動性が良好であるという観点から、好ましい添加量の下限は全組成物中の30重量%、より好ましくは50重量%であり、好ましい添加量の上限は全組成物中の80重量%、より好ましくは70重量%である。
充填材の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、組成物の中間原料の貯蔵安定性が良好になりやすいという点においては、(A)成分に(C)成分および充填材を混合したものと、(B)成分を混合する方法が好ましい。(B)成分に(C)成分あるいは/および充填材を混合したものに(A)成分を混合する方法をとる場合は、(C)成分存在下あるいは/および非存在下において(B)成分が環境中の水分あるいは/および充填材のと反応性を有するため、貯蔵中等に変質することもある。
本発明の組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、一般に用いられている老化防止剤、たとえばクエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の組成物には、その他、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
本発明の組成物は溶剤に溶解して用いることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる硬化性組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
本発明の硬化性組成物あるいは硬化物は種々の用途に用いることができる。
例えば光学材料、電子材料の他、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
本発明で言う光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザー等の光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
例えば、カラーフィルター保護膜、TFT平坦化膜、基板材料のような液晶表示装置に用いられる材料や、封止剤、ダイボンド剤等の発光ダイオード(LED)に用いられる材料が挙げられる。
さらに、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルム、カラーフィルター等やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
また、LED表示装置に使用されるLED素子のモールド剤、LEDの封止剤、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
また、カラーPDP(プラズマディスプレイ)の反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料等やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、フィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
その他、光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、プロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。光センシング機器のレンズ用材料、各種フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルールやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイド等、工業用途のセンサー類、表示・標識類等、また通信インフラ用及び家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料も挙げられる。
自動車・輸送機分野では、自動車用ヘッドランプ・テールランプ・室内ランプ等のランプ材料、ランプリフレクタ、ランプレンズ、外装板・インテリアパネル等の各種内外装品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、鉄道車輌用の外装部品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、航空機の外装部品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
建築分野では、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
農業用では、ハウス被覆用フィルムも挙げられる。
次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
本発明で言う電子材料とは、電気・電子用途一般に用いられる材料であり、例えば、半導体周辺材料、回路基板周辺材料、液晶等の表示装置周辺材料、各種電池周辺材料等の他、有機EL(エレクトロルミネッセンス)周辺材料、光通信、光回路周辺材料、光記録周辺材料等も含む。
半導体周辺材料としては、半導体前工程に使用される層間絶縁膜、レジスト、パッシベーション膜、ジャンクションコート膜、バッファコート膜等の各種保護膜、半導体後工程に使用されるダイボンド剤、ダイボンドフィルム、アンダーフィル、異方導電性接着剤(ACP)、異方導電性フィルム(ACF)、ダイオード・水晶振動子等の接続等に用いられる導電性接着剤、熱伝導性接着剤、封止剤の他、仮止め、固定用フィルム等が挙げられる。この場合半導体とは各種のものを含み、例えば、トランジスタ、ダイオード等の素子、半導体レーザー、発光ダイオード等の発光素子、光センサー等の受光素子、太陽電池、メモリー、論理回路等のIC、LSI等が挙げられる。具体的には、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI、センサー等のダイボンド剤やポッティング、ディッピング、トランスファーモールド、コーティング、スクリーン印刷等による封止剤、IC、LSI類のCOB、COF、TAB等といったポッティング封止剤、フリップチップ等のアンダーフィル、BGA、CSP等のICパッケージ類実装時の封止剤(補強用アンダーフィル)、スタックドIC用のダイボンドフィルム、ウェハレベルCSP用の封止剤、ハンダ代替接続材料等を挙げることができる。
回路基板周辺材料としては、例えば、片面・両面・多層のリジッドプリント基板・フレキシブルプリント基板材料・ビルドアップ基板や樹脂付き銅箔の層間絶縁材、基板と銅箔の接着剤、レジスト、ビアホールの穴埋め剤、基板の保護コーティング剤、基板と素子や基板と基板や基板とケーブル等の接点保護(コーティング)剤、ソルダーレジスト等が挙げられる。基板の用途としてもマザーボード用、BGA・CSP・MCM等のインターポーザー用の他、可動部分等の接続用や液晶接続用等の周辺部品も含まれる。また、メンブレンスイッチ等に用いられる導電ペーストも挙げられる。
液晶等の表示装置周辺材料としては、例えば、基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、反射防止フィルム、カラーフィルター、ブラックマトリックス、カラーフィルタ保護膜(平坦化膜)、TFTの保護膜(平坦化膜)等の液晶用フィルム、コーティング剤、接着剤等が挙げられる。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤が挙げられる。さらに、発光ダイオード表示装置に使用される発光素子のモールド材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤等が挙げれれる。その他、プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、フィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤等が挙げられる。
各種電池周辺材料としては、例えば、太陽電池の基板材料、保護コーティング剤、封止剤、リチウムイオン電池、燃料電池等のセパレータ、封止剤、保護剤等が挙げられる。
有機EL(エレクトロルミネッセンス)周辺材料としては、基板材料、各種保護コーティング剤、保護フィルム、接着剤等が挙げられる。
光通信、光回路周辺材料としては、光電子集積回路、光スイッチ、光コネクタ等に用いられる基板材料、ファイバー材料、レンズ、導波路、封止剤、接着剤、フェルール等が挙げられる。
光記録周辺材料としては、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用等のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤等が挙げられる。
その他、次世代の光・電子機能有機材料として、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤等が挙げられる。
さらに自動車の電子部品周辺の保護剤、コーティング剤、封止剤、接着剤等も挙げられる。
その他、当該用途に用いられている他樹脂等への添加剤等も挙げられる。
本発明の封止剤を用いて半導体、電子部品、電子回路、あるいは電気接点を封止することができる。
半導体としては通常のシリコンをベースとしたもののみではなく、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、亜鉛等種々の金属をベースとしたものを含む。その他、有機半導体も含む。素子としてはトランジスタ、抵抗、ダイオード等の他、発光ダイオード、半導体レーザー等の発光素子や、各種センサー等の受光素子、さらには太陽電池等も含む。また、メモリー、論理回路などの各種IC、LSI等も含まれる。半導体の形状としても通常の平板状、ブロック状のものの他、薄膜状、ボール状のもの(ボールセミコンダクター)のもの等も含まれる。半導体大きさについても種々適用可能であり、例えば0.3mm角のような小さなものから、25mm角あるいは100mm角のような大型のものでもよい。その他半導体上に設けられたパッシベーション膜等の保護膜や、ハンダバンプ、金バンプ、アルミパッド等の接続部位等についても適宜設定できる。
電子部品としてはライバックトランス、コンデンサ等の他、自動車周辺電子部品、液晶周辺電子部品、電池周辺電子部品、有機EL(エレクトロルミネッセンス)周辺電子部品、光記録周辺電子部品等も含む。自動車周辺電子部品としては、例えば、イグニッションコイル、燃料供給等の各種電子制御用の電子部品、計器部品、照明部品等が挙げられる。液晶周辺電子部品としては、例えば、偏光子、カラーフィルター、TFTのトランジスタ、透明導電膜、液晶等の他、液晶表示装置も含まれる。電池周辺電子部品としては、例えば、太陽電池基板、リチウムイオン電池、燃料電池等が挙げられる。有機EL(エレクトロルミネッセンス)周辺電子部品としては、有機EL基板等が挙げられる。光記録周辺電子部品としては、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用等のディスク基板、発光部品、ピックアップレンズ、受光部品等が挙げられる。
電気回路としては、リジッドプリント基板、フレキシブルプリント基板、ビルドアップ基板の他光電子回路等が挙げられる。
電気接点としては基板とケーブルの接続点、ケーブルとケーブルの接続点あるいは基板同士の接続点、基板と素子の接続点、ケーブルと素子の接続点などが挙げられる。
封止する方法もエポキシ系等の従来の封止材の封止方法として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、種々の方法をとることができる。例えば、キャスティング、ポッティング、ディッピング、プレス、コーティング、あるいはスクリーン印刷によって封止することもできるし、トランスファーモールドなどのようにモールディング封止することもできる。また、ディスペンスした後隙間に浸透させる方法(アンダーフィル)によっても封止することができる。
封止時に必要に応じ各種処理を施すこともできる。例えば、封止時に発生するボイドの抑制のために封止剤あるいは一部反応させた封止剤を遠心、減圧などにより脱泡する処理などを適用することもできるし、封止した後に脱泡することもできる。
封止する際の圧力条件も種々設定でき、常圧、減圧、加圧いずれの方法も適用できる。アンダーフィル等隙間に浸透させる場合や、微細部位への浸透性を高めたい場合等には減圧で実施することが有効であることがある。圧力は一定でもよいし、必要に応じて経時的に連続あるいは段階的に変化させてもよい。
封止する場合の温度も種々設定できる。アンダーフィル等隙間に浸透させる場合や、微細部位への浸透性を高めたい場合等には加温状態で実施することが有効であることがある。この場合例えば、50℃〜200℃の温度が適用できる。温度は一定でもよいし、必要に応じて経時的に連続あるいは段階的に変化させてもよい。
以下に封止剤の具体的な例を挙げるが、本発明の封止剤はこれに限定されるものではない。
半導体の封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI、センサー等をキャスティング、ポッティング、ディッピング、トランスファーモールド、コーティング、スクリーン印刷等で封止するための封止剤が挙げられ、より具体的には発光ダイオード、IC、LSI、センサー等のCOB、COF、TABといったポッティング封止剤、フリップチップのアンダーフィル(キャピラリーフロータイプおよびコンプレッションフロータイプ)、BGA、CSP等のICパッケージ類実装時の封止剤(補強用アンダーフィル)、スタックドIC用の封止剤、ウェハレベルCSP用の封止剤等を挙げることができる。その他、半導体前工程に使用されるパッシベーション膜、ジャンクションコート膜、バッファコート膜等の各種保護膜も半導体の封止剤の例である。
電子部品の封止剤としては、偏向板、カラーフィルター、TFTのトランジスタ、透明導電膜、液晶表示装置の保護コーティング剤や、セルに充填した液晶の封止剤、太陽電池の保護コーティング剤、リチウムイオン電池や燃料電池の封止剤、有機EL(エレクトロルミネッセンス)の保護コーティング剤、光記録用光源、受光素子のコーティング剤や封止剤、さらに自動車の電子部品周辺の保護コーティング剤、封止剤も挙げられる。
電子回路の封止剤としては、リジッドプリント基板、フレキシブルプリント基板材料、ビルドアップ基板のソルダーレジスト、保護コーティング剤等が挙げられる。
電気接点の封止剤としては、基板と素子や基板と基板や基板とケーブル等の接点保護(コーティング)剤、ジャンクションコーティング剤等が挙げられる。
本発明の封止剤を用いて上記したような方法によって半導体を封止することによって半導体装置を製造することができる。この場合、本発明の封止剤を上記したような用途に使用し、通常の方法によって半導体装置を製造すればよい。
半導体装置とは、各種半導体を含む装置であり、例えば、一般にDIP、QFP、SOP、TSOP、PGA、CSP、BGA、PIレジンやセラミックやBTレジンやFR4等各種サブストレートを用いたFCBGA、QFN、COB、COF、TAB、ウェハレベルCSP、スタックドパッケージ、BCC、MCM、SIP等と称されるの各種ICパッケージや、発光ダイオード部品、光センサー部品、およびそれらが搭載された基板、モジュール等が挙げられる。
以下に、本発明の実施例及び比較例を示すが本発明は以下により限定されるものではない。
(製造例1)
内径95mmの減圧吸引可能な漏斗上に濾紙を装着し、シリカ(和光純薬株式会社製ワコーゲルC−200(登録商標))を80g充填した。ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレート300gを減圧度を調整することにより約1滴/秒の速度で吸着濾過処理を2サイクル行なった。回収されたシリカ処理トリアリルイソシアヌレートは250gであり、ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は90ppmであった。
(製造例2)
内径60mmの減圧吸引可能な漏斗上に濾紙を装着し、合成ケイ酸アルミニウム(協和化学工業株式会社製キョーワード(登録商標)700)を20g充填した。ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレート130gを減圧度を調整することにより約1滴/秒の速度で吸着濾過処理を2サイクル行なった。回収された合成ケイ酸アルミニウム処理トリアリルイソシアヌレートは110gであり、ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は530ppmであった。
(製造例3)
内径60mmの減圧吸引可能な漏斗上に濾紙を装着し、活性白土(水澤化学工業株式会社製ガレオンアース(登録商標))を20g充填した。ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレート157gを減圧しながら吸着濾過処理を行ない、活性白土処理トリアリルイソシアヌレート60gを得た。ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は520ppmであった。
(製造例4)
0.1Nの硫酸水溶液200gとガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレート200gを500ml三角フラスコに入れ、室温で2時間磁気攪拌を行なった。分液漏斗でトリアリルイソシアヌレート層と水層を分離、トリアリルイソシアヌレート層を200gの純水で3回洗浄し、水層が中性を示すことを確認した。乾燥剤として無水硫酸ナトリウムを添加し一晩放置した。翌日濾過により硫酸ナトリウムを除去し、硫酸処理トリアリルイソシアヌレート165gを得た。ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は190ppmであった。
(製造例5)
内径35mmの加圧濾過器にメンブレンフィルターを装着し、シリカ(和光純薬株式会社製ワコーゲルC−200(登録商標))を80g充填した。ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレート300gを窒素圧約0.1MPaで加圧濾過を行なった。1回目の加圧濾過処理により得られたシリカ処理トリアリルイソシアヌレートは180gであり、ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は450ppmであった。新たに内径35mmの加圧濾過器にメンブレンフィルターを装着し、シリカ(和光純薬株式会社製ワコーゲルC−200(登録商標))を40g充填し、1,3−ジアリル尿素の含有量450ppmのシリカ処理トリアリルイソシアヌレート150gを窒素圧約0.2MPaで加圧濾過を行なった。2回目の加圧濾過処理により得られたシリカ処理トリアリルイソシアヌレートは85gであり、ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は90ppmであった。
(製造例6)
内径35mmの加圧濾過器にメンブレンフィルターを装着し、シリカ(和光純薬株式会社製ワコーゲルC−200(登録商標))を40g充填した。ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレート370gを窒素圧約0.2MPaで加圧濾過を行なった。1回目の加圧濾過処理により得られたシリカ処理トリアリルイソシアヌレートは300gであり、ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は520ppmであった。新たに内径35mmの加圧濾過器にメンブレンフィルターを装着し、シリカ(和光純薬株式会社製ワコーゲルC−200(登録商標))を40g充填し、1,3−ジアリル尿素の含有量520ppmのシリカ処理トリアリルイソシアヌレート290gを窒素圧約0.2MPaで加圧濾過を行なった。2回目の加圧濾過処理により得られたシリカ処理トリアリルイソシアヌレートは230gであり、ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は140ppmであった。同様に新たなシリカを充填して加圧濾過処理を行ない、1,3−ジアリル尿素の含有量が30ppmであるシリカ3回処理トリアリルイソシアヌレート160gを得た。同様に新たなシリカを充填して加圧濾過処理を行ない、シリカ4回処理トリアリルイソシアヌレート80gを得た。このシリカ4回処理トリアリルイソシアヌレートからはガスクロマトグラフィー測定では1,3−ジアリル尿素が検出されなかった。これは検出感度より1,3−ジアリル尿素含量10ppm以下に相当する。
(比較製造例1)
内径60mmの減圧吸引可能な漏斗上に濾紙を装着し、酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製キョーワマグ(登録商標)150)を20g充填した。ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレート130gを減圧度を調整することにより約1滴/秒の速度で吸着濾過処理を2サイクル行なった。回収された酸化マグネシウム処理トリアリルイソシアヌレートは70gであり、ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は2700ppmであった。
(比較製造例2)
純水160gとガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレート160gを500ml三角フラスコに入れ、室温で2.5時間磁気攪拌を行なった。分液漏斗でトリアリルイソシアヌレート層と水層を分離、乾燥剤として無水硫酸ナトリウムを添加し一晩放置した。翌日濾過により硫酸ナトリウムを除去し、硫酸処理トリアリルイソシアヌレート130gを得た。ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は1100ppmであった。
(製造例7)
(1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物の製造)
2Lオートクレーブにトルエン510g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(信越化学工業株式会社製 KF9902)432gを入れ、液温107℃で加熱、攪拌した。気相部を酸素含有量3%の窒素混合ガスで置換した後、トリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社製 1,3−ジアリル尿素 2800ppm含有)60g、トルエン90g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.38gの混合液を25分かけて滴下した。滴下終了直後およびその後30分間隔で気相部を酸素含有量3%の窒素混合ガスで置換し、0.1MPa加圧して反応を継続させた。滴下終了から5.5時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去した。
本生成物の粘度は2.2Pa・sであった。本生成物のGPC測定をすると多峰性のクロマトグラムが得られたことから、混合物であることが示唆された。本生成物は、H−NMRの測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートのアリル基と反応したものであり、8.6mmol/gのSiH基を含有(1,2−ジブロモメタンを内部標準)していることがわかった。また、本生成物(部分反応物Bとする)は混合物であるが、GC/MSより下記構造式を有する本発明の(B)成分を主成分として含有している。また、本発明の(C)成分である白金ビニルシロキサン錯体を含有している。
Figure 0005270059
(実施例1)
製造例1で得られたシリカ処理トリアリルイソシアヌレート1.0gと製造例7で得られた部分反応物B1.5gを十分に混合した。表面温度135℃に調節した熱板上に一滴落とし、スパチュラで攪拌し続け液状物が固形物に変化するまでの時間(ゲル化時間)を測定すると93秒であった。
(実施例2〜6、比較例1〜3)
製造例1で得られた処理されたトリイソシアヌレートのかわりに製造例2〜6で得られた処理されたトリアリルイソシアヌレートを用いて実施例1と同様にゲル化時間を測定した。結果をそれぞれ実施例2〜6とし、実施例1とともに表1に示した。
製造例1で得られた処理されたトリイソシアヌレートのかわりに比較合成例1〜2の処理により得られたトリアリルイソシアヌレートおよび上記製造例および比較製造例の原料として用いた、ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレートを用いて実施例1と同様にゲル化時間を測定した。結果をそれぞれ比較例1〜3とし、表1に示した。
Figure 0005270059
(実施例7)
製造例1で得られた1,3−ジアリル尿素含量90ppmのシリカ処理トリアリルイソシアヌレートに、5重量%の1,3−ジアリル尿素(Aldrich製試薬、純度98%)のトルエン溶液を1,3−ジアリル尿素として500ppm添加した(1,3−ジアリル尿素の含有量は590ppm)。トルエンを除いた1,3−ジアリル尿素含量590ppmのシリカ処理トリアリルイソシアヌレート1.0gと製造例7で得られた部分反応物B1.5gを十分に混合した。表面温度135℃に調節した熱板上に一滴落とし、スパチュラで攪拌し続け液状物が固形物に変化するまでの時間(ゲル化時間)を測定すると101秒であった。
(実施例8)
製造例1で得られた1,3−ジアリル尿素含量90ppmのシリカ処理トリアリルイソシアヌレートに、5重量%の1,3−ジアリル尿素(Aldrich製試薬、純度98%)のトルエン溶液を1,3−ジアリル尿素として100ppm添加した(1,3−ジアリル尿素の含有量は190ppm)。トルエンを除いた1,3−ジアリル尿素含量190ppmのシリカ処理トリアリルイソシアヌレート1.0gと製造例7で得られた部分反応物B1.5gを十分に混合した。表面温度135℃に調節した熱板上に一滴落とし、スパチュラで攪拌し続け液状物が固形物に変化するまでの時間(ゲル化時間)を測定すると98秒であった。
(実施例9)
ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(四国化成株式会社製)0.4g、製造例6で得られた1,3−ジアリル尿素含量10ppm以下のトリアリルイソシアヌレート0.6gと製造例7で得られた部分反応物B1.2gを十分に混合した。表面温度135℃に調節した熱板上に一滴落とし、スパチュラで攪拌し続け液状物が固形物に変化するまでの時間(ゲル化時間)を測定すると88秒であった。
(比較例4)
ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(四国化成株式会社製)0.4g、1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレート0.4g、製造例6で得られた1,3−ジアリル尿素含量10ppm以下のトリアリルイソシアヌレート0.2gと製造例7で得られた部分反応物B1.2gを十分に混合した。表面温度135℃に調節した熱板上に一滴落とし、スパチュラで攪拌し続け液状物が固形物に変化するまでの時間(ゲル化時間)を測定すると110秒であった。

Claims (4)

  1. (A)トリアリルイソシアヌレート、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する硬化性組成物であって、(A)成分であるトリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が50ppm以下である硬化性組成物であって、
    化合物(B)が、分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサン、若しくは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物(α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン(β)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物である硬化性組成物。
  2. (A)成分が、700ppmを超える1,3−ジアリル尿素の含有量を精製処理によって50ppm以下に低減したトリアリルイソシアヌレートである請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. トリアリルイソシアヌレートの精製処理が、塩基性物質を除去可能な処理剤を用いた処理である請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. (A)成分であるトリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が10ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
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