JP5269288B2 - 液晶ポリエステル樹脂組成物及び該樹脂組成物から得られるフィルム - Google Patents
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Description
フレキシブルプリント配線板は電気絶縁性のベースフィルムと金属箔とを積層一体化し回路を作製したもので、ベースフィルムには、寸法安定性がよいこと、銅張積層板のカールが少ないこと、高い屈曲性を有することが求められている。
更に、芳香族ジアミンやアミン由来の構造単位を含む芳香族液晶ポリエステルと非プロトン性溶媒とを含有してなる溶液を支持体に流延した後、溶媒を除去して得られる芳香族液晶ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献2)。
1.非プロトン性溶媒、芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構造単位を全構造単位に対して10〜35モル%含む液晶ポリエステル樹脂、該液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部の層状無機化合物を含有することを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物、
2.非プロトン性溶媒100重量部に対して液晶ポリエステル樹脂が0.01〜100重量部であることを特徴とする上記1項記載の液晶ポリエステル樹脂組成物、
3.更に、液晶ポリエステル樹脂が、芳香族ヒドロキシカルボン酸由来の構造単位及び芳香族ジカルボン酸由来の構造単位を含むことを特徴とする上記1又は2項記載の液晶ポリエステル樹脂組成物、
4.液晶ポリエステル樹脂が以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を含むことを特徴とする上記1〜3項のいずれか記載の液晶ポリエステル樹脂組成物、
(1) −O−Ar1−CO−
(2) −CO−Ar2−CO−
(3) ―X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、1,4−フェニレン、2,6−ナフチレンまたは4,4'−ビフェニレンを表わす。Ar2は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレンまたは2,6−ナフチレンを表わす。Ar3は、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンを表し、XはNHを表し、YはOまたはNHを表す。)
5.上記4項において、全構造単位に対して、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が10〜35モル%、式(3)で示される構造単位が10〜35モル%であることを特徴とする上記4項記載の液晶ポリエステル樹脂組成物、
6.上記1〜5項のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物から、非プロトン性溶媒を除去することを特徴とする液晶ポリエステルフィルムの製造方法、
7.上記1〜5項のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物を支持体上に塗布し、液晶ポリエステル樹脂組成物から非プロトン性溶媒を蒸発させることを特徴とする液晶ポリエステルフィルムの製造方法、
8.上記6又は7項に記載される方法で得られることを特徴とする液晶ポリエステルフィルム、
9.上記8項に記載のフィルムを有することを特徴とする銅張積層板及び
10.上記8項に記載のフィルムを有することを特徴とするフレキシブルプリント配線板、
に関するものである。
(1) −O−Ar1−CO−
(2) −CO−Ar2−CO−
(3) ―X−Ar3−Y−
式中、Ar1は、1,4−フェニレン、2,6−ナフチレンまたは4,4'−ビフェニレンを表わし、Ar2は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレンまたは2,6−ナフチレンを表わし、Ar3は、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンを表わし、XはNHを表し、YはOまたはNHを表わす。
式(1)で示される構造単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4'−ビフェニルカルボン酸等に由来する構造単位が挙げられ、2種以上の前記構造単位が、全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位を含む液晶ポリエステルを使用することが好ましい。
全構造単位に対して、式(1)で示される構造単位は30〜80モル%であることが好ましく、40〜70モル%であることがより好ましく、45〜65モル%であることがさらに好ましい。式(1)で示される構造単位が多いと溶媒への溶解性が著しく低下する傾向があり、少なすぎると液晶性を示さなくなる傾向がある。
全構造単位に対して、式(2)で表される構造単位は10〜35モル%であることが好ましく、15〜30モル%であることがより好ましく、17.5〜27.5モル%であることがさらに好ましい。式(2)で表される構造単位が多すぎると、液晶性が低下する傾向があり、少ないと溶媒への溶解性が低下する傾向がある。
全構造単位に対して、式(3)で示される構造単位は、10〜35モル%であることが好ましく、15〜30モル%であることがより好ましく、17.5〜27.5モル%であることがさらに好ましい。式(3)で示される構造単位が多すぎると、液晶性が低下する傾向があり、少ないと溶媒への溶解性が低下する傾向がある。
式(3)で示される構造単位は式(2)で示される構造単位と実質的に等量用いられることが好ましいが、式(3)で示される構造単位を式(2)で示される構造単位に対して、−10モル%〜+10モル%とすることにより、液晶ポリエステルの重合度を制御することもできる。
これらの触媒の中で、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールなどの窒素原子を2個以上含む複素環状化合物が好ましく使用される(特開2002−146003号公報参照)。
該触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行うことができる。
液晶ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
上記層状無機化合物の中でも、寸法安定性の観点から好ましくは2:1型層状粘土鉱物であり、より好ましくはスメクタイトであり、更に好ましくはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトである。特に好ましくはモンモリロナイトである。
これらの中で、ハロゲン原子を含まない溶媒が環境への影響面から好ましく、双極子モーメントが3以上5以下の溶媒が溶解性の観点から好ましい。具体的には、N,N'−ジメチルホルムアミド、N,N'−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒またはγ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒がより好ましく、N,N'−ジメチルホルムアミド、N,N'−ジメチルアセトアミドまたはN−メチルピロリドンがさらに好ましく使用される。
本発明液晶ポリエステル樹脂組成物を得る方法としては、例えば[1]層状無機化合物が非プロトン性溶媒に分散した分散溶液に液晶ポリエステル樹脂を溶かす方法、[2]非プロトン性溶媒に液晶ポリエステル樹脂が溶解した液晶ポリエステルワニスに層状無機化合物を添加する方法、[3]一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等で液晶ポリエステル樹脂および層状無機化合物を溶融混練し、ついで非プロトン性溶媒と混合する方法、[4]重合により液晶ポリエステル樹脂を製造する前のプレポリマー状態で層状無機化合物を重合槽に投入した後、重合により液晶ポリエステル樹脂を製造し、該樹脂を次いで非プロトン性溶媒と混合する方法等が挙げられる。
作業性や経済性の観点から、非プロトン性溶媒100重量部に対して、液晶ポリエステルが、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは2〜40重量部となるよう含有されるのが良い。
支持体上に液晶ポリエステル樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、ローラーコート法、ディップコーター法、スプレイコーター法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等の各種手段が挙げられる。
加熱温度などは、液晶ポリエステル樹脂と層状無機化合物の組み合わせにもよるが、100℃から200℃の範囲で10分から2時間まで、予備乾燥を行って、200℃から350℃の範囲で10分から4時間まで熱処理を行うのが望ましい。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸 941g(5.0モル)、4−アミノフェノール 273g(2.5モル)、イソフタル酸 415.3g(2.5モル)及び無水酢酸 1123g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固相で重合反応を進めた。得られた粉末は350℃で偏光顕微鏡により液晶相に特有のシュリーレン模様が観察された。
合成例1で得られた液晶ポリエステル粉末 80gをN−メチル−2−ピロリドン 920gに加え、160℃に加熱し完全に溶解し褐色透明な溶液を得た。
合成例2で製造した組成物溶液50gにモンモリロナイト(Cloisite−30B、Southern Clay Products、USA)0.04gを加え、 室温で混合し、攪拌を行い、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を得た。次いで、この組成物を電解銅箔(3EC-VLP,18μm、三井金属(株))の上にフィルムアプリケーターを用いてキャスト後、高温熱風乾燥器で120℃で加熱して溶媒を除去した後、330℃で熱処理して1重量部の層状無機化合物含有液晶ポリエステルの銅張積層板を得た。この銅張積層板をエッチングすることにより25μm厚さの液晶ポリエステルフィルムを得た。
合成例2で製造した組成物溶液50gにモンモリロナイト(Cloisite−30B、Southern Clay Products、USA)0.08gを加え、室温で混合し、攪拌を行い、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を得た。次いで、この組成物を電解銅箔(3EC-VLP,18μm、三井金属(株))の上にフィルムアプリケーターを用いてキャスト後、高温熱風乾燥器で120℃で加熱して溶媒を除去した後、330℃で熱処理して2重量部の層状無機化合物含有液晶ポリエステルの銅張積層板を得た。この銅張積層板をエッチングすることにより25μm厚さの液晶ポリエステルフィルムを得た。
合成例2で製造した組成物溶液50gにモンモリロナイト(Cloisite−30B、Southern Clay Products、USA)0.20gを加え、 室温で混合し、攪拌を行い、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を得た。次いで、この組成物を電解銅箔(3EC-VLP,18μm、三井金属(株))の上にフィルムアプリケーターを用いてキャスト後、高温熱風乾燥器で120℃で加熱して溶媒を除去した後、330℃で熱処理して5重量部の層状無機化合物含有液晶ポリエステルの銅張積層板を得た。この銅張積層板をエッチングすることにより25μm厚さの液晶ポリエステルフィルムを得た。
合成例2で製造した組成物溶液を電解銅箔(3EC-VLP,18μm、三井金属(株))の上にフィルムアプリケーターを用いてキャスト後、120℃で1時間加熱して溶媒を除去した後、330℃で熱処理して液晶性ポリエステルの 銅張積層板を得た。この銅張積層板をエッチングすることにより25μm厚さの液晶ポリエステルフィルムを得た。
合成例2で製造した組成物溶液50gにモンモリロナイト(Cloisite−30B、Southern Clay Products、USA)0.30gを加え、 室温で混合し、攪拌を行い、比較組成物を得た。次いで、この比較組成物を電解銅箔(3EC-VLP,18μm、三井金属(株))の上にフィルムアプリケーターを用いてキャスト後、高温熱風乾燥器で120℃で加熱して溶媒を除去した後、330℃で熱処理して7.5重量部の層状無機化合物含有液晶ポリエステルの銅張積層板を得た。この銅張積層板をエッチングすることにより25μm厚さの液晶ポリエステルフィルムを得た。
合成例2で製造した組成物溶液50gにモンモリロナイト(Cloisite−30B、Southern Clay Products、USA)0.40gを加え、 室温で混合し、攪拌を行い、比較組成物を得た。次いで、この比較組成物を電解銅箔(3EC-VLP,18μm、三井金属(株))の上にフィルムアプリケーターを用いてキャスト後、高温熱風乾燥器で120℃で加熱して溶媒を除去した後、330℃で熱処理して10重量部の層状無機化合物含有液晶ポリエステルの銅張積層板を得た。この銅張積層板をエッチングすることにより25μm厚さの液晶ポリエステルフィルムを得た。
合成例2で製造した組成物溶液50gにホウ酸アルミニウム無機フィラー(M20C、四国化成(株))0.20gを室温で混合し、攪拌を行い、比較組成物を得た。次いで、この比較組成物を電解銅箔(3EC-VLP,18μm、三井金属(株))の上にフィルムアプリケーターを用いてキャスト後、高温熱風乾燥器で120℃で加熱して溶媒を除去した後、330℃で熱処理して5重量部の無機フィラー含有液晶ポリエステルの銅張積層板を得た。この銅張積層板をエッチングすることにより25μm厚さの無機フィラー含有液晶ポリエステルフィルムを得た。
合成例2で製造した組成物溶液50gにホウ酸アルミニウム無機フィラー(M20C、四国化成(株))0.30gを室温で混合し、攪拌を行い、比較組成物を得た。次いで、この比較組成物を電解銅箔(3EC-VLP,18μm、三井金属(株))の上にフィルムアプリケーターを用いてキャスト後、高温熱風乾燥器で120℃で加熱して溶媒を除去した後、330℃で熱処理して7.5重量部の無機フィラー含有液晶ポリエステルの銅張積層板を得た。この銅張積層板をエッチングすることにより25μm厚さの無機フィラー含有液晶ポリエステルフィルムを得た。
(1)線膨張率(α)
セイコー電子株式会社製TMAを用いて、窒素気流下、5℃/分で昇温し、50〜100℃の線膨張係数を測定した。引き取り方向をMD、その直角方向をTDとした。
(2)屈曲性
東洋精機製作所製MIT屈曲試験機(JIS-P8815の規則に準じた)を用いて、フィルムの屈曲性を測定した。折り曲げ角135°(R=0.38)でフィルムが破断するまでの屈曲回数が3万回以上は○、1万〜3万回を△、1万回以下を×とした。
(3) 銅張積層板のカール性
330℃1時間でアニールして得られた銅張積層板のカール性を測定した。曲率半径200mm以上を○、100〜200mmを△、100mm以下を×とした。
Claims (10)
- 非プロトン性溶媒、芳香族ジアミン由来の構造単位およびフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構造単位を全構造単位に対して10〜35モル%含む液晶ポリエステル樹脂、該液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して1〜5重量部の2:1型層状粘土鉱物を含有することを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物。
- 非プロトン性溶媒100重量部に対して液晶ポリエステル樹脂が0.01〜100重量部であることを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
- 更に、液晶ポリエステル樹脂が、芳香族ヒドロキシカルボン酸由来の構造単位及び芳香族ジカルボン酸由来の構造単位を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
- 液晶ポリエステル樹脂が以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(1) −O−Ar1−CO−
(2) −CO−Ar2−CO−
(3) ―X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、1,4−フェニレン、2,6−ナフチレンまたは4,4’−ビフェニレンを表わす。Ar2は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレンまたは2,6−ナフチレンを表わす。Ar3は、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンを表し、XはNHを表し、YはOまたはNHを表す。) - 液晶ポリエステル樹脂において、全構造単位に対して、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が10〜35モル%、式(3)で示される構造単位が10〜35モル%であることを特徴とする請求項4記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物から、非プロトン性溶媒を除去することを特徴とする液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物を支持体上に塗布し、液晶ポリエステル樹脂組成物から非プロトン性溶媒を蒸発させることを特徴とする液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
- 請求項6又は7に記載される方法で得られることを特徴とする液晶ポリエステルフィルム。
- 請求項8に記載のフィルムを有することを特徴とする銅張積層板。
- 請求項8に記載のフィルムを有することを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
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