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JP5267700B1 - 有機ガラス積層用フィルム - Google Patents

有機ガラス積層用フィルム Download PDF

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JP5267700B1
JP5267700B1 JP2012083181A JP2012083181A JP5267700B1 JP 5267700 B1 JP5267700 B1 JP 5267700B1 JP 2012083181 A JP2012083181 A JP 2012083181A JP 2012083181 A JP2012083181 A JP 2012083181A JP 5267700 B1 JP5267700 B1 JP 5267700B1
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Abstract

【課題】樹脂フィルムの電子線照射後の着色を抑制した優れた透明性を有しており、また優れた耐候性、耐傷性を有し、かつ優れた三次元成形性を有する有機ガラス積層用フィルム、及びこれを用いた有機ガラスを提供すること。
【解決手段】トリアジン系紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルムと表面保護層とを有し、該表面保護層がポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを98:2〜50:50の質量比で含有する電子線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものである有機ガラス積層用フィルム、及びこれを用いた有機ガラスである。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機ガラス積層用フィルム及びこれを用いた有機ガラスに関する。
一般住居の玄関ドアや外装材、公共施設の床材や外壁、屋根などの建造物外装、あるいは自動車、列車、船舶、航空機、産業機械、重機などの構造物外装に、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などで構成される樹脂成形品や樹脂板が使用されるケースが近年増加している。また、これらのなかで透明性を有するものは、無機ガラスよりも軽量、かつ衝撃時の破損や飛散の危険がないため、上記の用途のうち、とりわけ建造物の窓ガラス、あるいは自動車の窓、サンルーフ材、さらにはヘッドランプ、ヘッドランプカバーなどといった従来無機ガラスが用いられてきたところに、無機ガラスの代替用部材(いわゆる有機ガラス)として用いられるようになっている。
これらの用途に用いた場合、日々直射日光や風雨に晒されるため、極めて厳しい耐候性が要求される。また、上記の用途では風雨や砂塵等による自然での傷付きや、清掃、洗浄作業における傷付き、落書きや過度な汚染を洗浄する際に有機溶剤等の使用による溶解劣化等により、耐傷性や耐薬品性などの性能も要求される。これらの性能を満足させるため、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの樹脂板に、樹脂フィルムなどを介して、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂などの硬化性樹脂を用いた高耐候な表面保護層を設けることが行われている。
例えば、特許文献1では、ポリカーボネート樹脂フィルム又はシートの少なくとも一面に、紫外線吸収剤を0.1〜10重量%含有するアクリル樹脂フィルム又はシートが積層され、積層体の一方のアクリル樹脂層側にはハードコート処理が施されており、該積層体がハードコート処理層を外層として熱可塑性樹脂成形品に積層一体化されていることを特徴とする耐擦傷性に優れた樹脂成形品が提案されている。
特許文献2には、ポリカーボネート樹脂層の一方の面に、厚さ50〜120μmのアクリル樹脂層を共押出しによって積層した総厚さが0.4〜1.5mmの積層体であって、アクリル樹脂層上にハードコート処理を施し、アクリル樹脂を共押出していない面が液晶側になる様に使用される液晶ディスプレーカバー用ポリカーボネート樹脂積層体が開示されており、このアクリル樹脂がベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系、トリアジン系の紫外線吸収剤を0.01〜3重量%含有することも記載されている。ハードコート処理は市販のハードコート剤などを用い、紫外線硬化や熱硬化により処理されている。
また、特許文献3では、樹脂基板と、その表面に形成された硬化被膜とからなり、前記樹脂基板は、ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面にアクリル樹脂層が積層されてなり、前記ポリカーボネート樹脂層及びアクリル樹脂層は、いずれも紫外線吸収剤を含有すると共に、前記アクリル樹脂層1m2あたりの紫外線吸収剤量が0.005〜1g/m2、かつ前記樹脂基板1m2あたりの紫外線吸収剤量が0.5〜2g/m2であり、前記硬化被膜は、少なくとも前記アクリル樹脂層表面に形成されていることを特徴とする耐擦傷性樹脂板が提案されている。
ところで、より優れた三次元成形性や耐傷性などを得るために、表面保護層を形成する樹脂として、電子線硬化性樹脂の採用が検討されている。しかしながら、上記の各発明における表面保護層は紫外線硬化や熱硬化により形成されているが、電子線硬化性樹脂を用いることが想定されていないため、電子線照射により該電子線硬化性樹脂を硬化させて表面保護層を形成しようとすると、該表面保護層を設ける支持基体となる樹脂シートや樹脂層が着色してしまうという問題があった。そして、この着色してしまう問題は、無機ガラスに匹敵する高い透明性を有するアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの材料において特に顕著であり、結果として高透明性が損なわれてしまう。
特開平7−137210号公報 特開2007−237700号公報 特開2010−221648号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、樹脂フィルムの電子線照射後の着色を抑制した優れた透明性を有しており、また優れた耐候性、耐傷性を有し、かつ優れた三次元成形性を有する有機ガラス積層用フィルム、及びこれを用いた有機ガラスを提供することを課題とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の構成を有する有機ガラス積層用フィルムが上記課題を解決し得ることを見出した。すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
1.トリアジン系紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルムと表面保護層とを有し、該表面保護層がポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを98:2〜50:50の質量比で含有する電子線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものである有機ガラス積層用フィルム。
2.上記1に記載の有機ガラス積層用フィルムの樹脂フィルム側に樹脂基体を有する有機ガラス。
3.下記の工程を順に有する有機ガラス積層用フィルムの製造方法。
工程(I)トリアジン系紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルム上に、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを98:2〜50:50の質量比で含有する電子線硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成する工程
工程(II)該未硬化樹脂層に電子線を照射して硬化させて表面保護層を形成する工程
4.下記の工程を順に有する有機ガラスの製造方法。
工程(α)上記1に記載の有機ガラス積層用フィルムを金型内に配置する工程
工程(β)基体用樹脂を金型内に射出する工程
工程(γ)該基体用樹脂が冷却した後に金型から有機ガラスを取り出す工程
本発明によれば、樹脂フィルムの電子線照射後の着色を抑制した優れた透明性を有しており、また優れた耐候性、耐傷性を有し、かつ優れた三次元成形性を有する有機ガラス積層用フィルム、及びこれを用いた有機ガラスを提供することができる。
本発明の有機ガラス積層用フィルムの断面を示す模式図である。 本発明の有機ガラス積層用フィルムの好ましい態様の一例の断面を示す模式図である。 本発明の有機ガラス好ましい態様の一例の断面を示す模式図である。
[有機ガラス積層用フィルム]
本発明の有機ガラス積層用フィルムは、トリアジン系紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルムと表面保護層とを有し、該表面保護層がポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを98:2〜50:50の質量比で含有する電子線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものであることを特徴とするものである。
本発明において有機ガラスとは、有機材料により形成される部材のことをいい、一般的に主成分として二酸化ケイ素を含有するケイ酸ガラスや、石英などの無機ガラスの代替用部材として用いられるもののことを意味する。
本発明の有機ガラス積層用フィルムを、図面を参照して説明する。図1は、本発明の有機ガラス積層用フィルムの断面を示す模式図である。図1には、樹脂フィルム1上に表面保護層3が設けられた層構成を有する積層用フィルム10が示されている。また、図2は本発明の有機ガラス積層用フィルムの好ましい一態様の断面を示す模式図であり、樹脂フィルム1と表面保護層3との間にプライマー層2を有し、樹脂フィルム1の表面保護層3を設ける面とは反対側の面に接着層4を有する積層用フィルム10が示されている。以下、本発明の有機ガラス積層用フィルムの各層について説明する。
≪樹脂フィルム≫
樹脂フィルムは、通常積層用フィルムの基材として用いられるものであれば特に制限なく用いることができるが、透明性を有していることが好ましい。透明性については、無色透明、着色透明、半透明のいずれの態様をとってもよく、その少なくとも一部が透明性を有していれば、例えば絵柄などが施されたものであってもよい。ここで、透明性とは、380〜780nmの可視光線領域における光線透過率が60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であることをいう。
また、本発明の積層用フィルムをすりガラスの代替品として用いる場合は、樹脂フィルムは透明性を有していなくてもよいのはもちろんのことである。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、高い透明性を有するものが好ましく、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンなどのシクロオレフィンから得られるシクロオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリメタクリル酸メチルやポリメタクリル酸ブチルなどのアクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂などの樹脂が好ましく挙げられる。これらのうち、透明性の観点からポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
樹脂フィルムの厚さは、通常25〜200μm程度であり、好ましくは40〜125μmであり、より好ましくは50〜100μmである。厚さが25μm以上であれば、樹脂フィルムに皺、カールなどの欠点が発生しにくく、取り扱いが容易となるので好ましい。一方、200μm以下であれば、積層が容易となるので好ましい。
(トリアジン系紫外線吸収剤)
樹脂フィルムは、トリアジン系紫外線吸収剤を含有する。トリアジン系紫外線吸収剤は、耐候性を発現させるうえで必須とされる紫外線吸収能が高く、また紫外線などの高エネルギーに対しても劣化しにくいばかりでなく、他の紫外線吸収剤と比較して、電子線照射後の樹脂フィルムの着色を抑制する効果が非常に優れている。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤である2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(BASF社製、商品名「TINUVIN 479」)、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニル、とオキシラン{特に、[(C10−C16、主としてC12−C13アルキルオキシ)メチル]オキシラン}との反応生成物(BASF社製、商品名「TINUVIN 400」)、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルとの反応生成物(BASF社製、商品名「TINUVIN 405」)、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン(BASF社製、商品名「TINUVIN 460」)などが好ましく挙げられる。
樹脂フィルム中のトリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、樹脂フィルムを構成する樹脂100質量部に対して、0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは1〜7質量部である。トリアジン系紫外線吸収剤の含有量が上記範囲内であると、透明性が低下することなく優れた樹脂フィルムの着色抑制効果と紫外線吸収性能とが得られ、また樹脂フィルム中から紫外線吸収剤がしみ出てきて紫外線吸収性能が低下してしまう、あるいはべたつきや透明性の低下が生じてしまうという、いわゆるブリードアウトをすることもない。
(光安定剤)
樹脂フィルムは、耐候性をさらに向上させるために、所望により光安定剤などの耐候性改善剤を含有させてもよい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤(HALS)などが好ましく挙げられる。ヒンダードアミン系の光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(BASF社製、商品名「TINUVIN 292」)、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル(BASF社製、商品名「TINUVIN 123」)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)などが好ましく挙げられる。
樹脂フィルム中の光安定剤の含有量は、樹脂フィルムを構成する樹脂100質量部に対して、通常0.05〜10質量部であり、好ましくは0.5〜7質量部、より好ましくは1〜5質量部であり、さらに好ましくは2〜5質量部である。光安定剤の含有量が上記範囲内であると、透明性が低下することなく優れた耐候性が得られ、またブリードアウトをすることもない。
樹脂フィルムは、後述する表面保護層、あるいは好ましく設けられるプライマー層との密着性を向上させる目的で、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などによる物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、樹脂フィルムの種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
≪表面保護層≫
表面保護層は、本発明の積層用フィルムに耐候性と耐傷性などのハードコート性と優れた三次元成形性を付与する層であり、図1や図2に示すように樹脂フィルムの一方の面に設けられる。この表面保護層は、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを98:2〜50:50の質量比で含有する電子線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層である。ここで、電子線硬化性樹脂組成物とは、電子線硬化性を有する樹脂組成物、すなわち電子線を照射することで架橋、硬化する樹脂組成物のことをいう。
電子線硬化性樹脂組成物は、電子線硬化性樹脂、その他必要に応じて添加される添加剤などを含有する樹脂組成物である。本発明においては、電子線硬化性樹脂組成物中の電子線硬化性樹脂は、少なくともポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを、98:2〜50:50の質量比で含むものである。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの質量比が98:2より大きくなると(すなわち、ポリカーボネート(メタ)アクリレートの量が98質量%を超えると)、耐傷性が低下する。一方、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの質量比が50:50より小さくなると(すなわち、ポリカーボネート(メタ)アクリレートの量が50質量%未満となると)、三次元成形性が低下してしまう。優れた耐傷性と三次元成形性を得る観点から、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの質量比は、98:2〜70:30であることが好ましく、より好ましくは95:5〜80:20である。本発明では、表面保護層の形成に、このような電子線硬化性樹脂組成物を用いることで、耐傷性と三次元成形性という相反する性能を優れたものとすることができる。
(ポリカーボネート(メタ)アクリレート)
本発明で用いられるポリカーボネート(メタ)アクリレートは、特に限定されず、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであればよい。この(メタ)アクリレートは、架橋、硬化する観点から、2官能以上有することが好ましい。
上記のポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えばポリカーボネートポリオールの水酸基の一部又は全てを(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸エステル)に変換して得られる。このエステル化反応は、通常のエステル化反応によって行うことができる。例えば、1)ポリカーボネートポリオールと(メタ)アクリル酸ハライドとを、塩基存在下に縮合させる方法、2)ポリカーボネートポリオールと(メタ)アクリル酸無水物とを触媒存在下に縮合させる方法、あるいは3)ポリカーボネートポリオールと(メタ)アクリル酸とを、酸触媒存在下に縮合させる方法などが好ましく挙げられる。
上記のポリカーボネートポリオールは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端あるいは側鎖に2個以上、好ましくは2〜50個の、より好ましくは3〜50個の水酸基を有する重合体である。このポリカーボネートポリオールの代表的な製造方法は、ジオール化合物(I)、3価以上の多価アルコール(II)、及びカルボニル成分となる化合物(III)とから重縮合反応による方法である。
原料として用いられるジオール化合物(I)は、一般式HO−R1−OHで表される。ここで、R1は、炭素数2〜20の2価炭化水素基であって、基中にエーテル結合を含んでいてもよい。例えば、直鎖、又は分岐状のアルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基である。
ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが好ましく挙げられる。これらのジオール化合物は、それを単独で用いても、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
また、3価以上の多価アルコール(II)の例としては、トリメチロールプルパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ソルビトールなどのアルコール類を好ましく挙げることができる。さらに、これらの多価アルコールの水酸基に対して、1〜5当量のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、あるいはその他のアルキレンオキシドを付加させた水酸基を有するアルコール類であってもよい。これらの多価アルコールは、これらを単独で用いても、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
カルボニル成分となる化合物(III)は、炭酸ジエステル、ホスゲン、又はこれらの等価体の中から選ばれるいずれかの化合物であることが好ましい。その具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジフェニル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭酸ジエステル類、ホスゲン、あるいはクロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニルなどのハロゲン化ギ酸エステル類などが好ましく挙げられる。これらは、単独で用いても、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカーボネートポリオールは、前記したジオール化合物(I)、3価以上の多価アルコール(II)、及びカルボニル成分となる化合物(III)を、一般的な条件下で重縮合反応することにより合成される。例えば、ジオール化合物(I)と多価アルコール(II)との仕込みモル比は、50:50〜99:1の範囲にあることが好ましく、また、カルボニル成分となる化合物(III)のジオール化合物(I)及び多価アルコール(II)に対する仕込みモル比は、ジオール化合物及び多価アルコールの持つ水酸基に対して0.2〜2当量であることが好ましい。
前記の仕込み割合で重縮合反応した後のポリカーボネートポリオール中に存在する水酸基の当量数(eq./mol)は、1分子中に平均して3以上、好ましくは3〜50、より好ましくは3〜20である。この範囲であると、後述するエステル化反応によって必要な量の(メタ)アクリレート基が形成され、またポリカーボネート(メタ)アクリレート樹脂に適度な可撓性が付与される。なお、このポリカーボネートポリオールの末端官能基は、通常はOH基であるが、その一部がカーボネート基であってもよい。
以上説明したポリカーボネートポリオールの製造方法は、例えば、特開昭64−1726号公報に記載されている。また、このポリカーボネートポリオールは、特開平3−181517号公報に記載されているように、ポリカーボネートジオールと3価以上の多価アルコールとのエステル交換反応によっても製造することができる。
本発明で用いられるポリカーボネート(メタ)アクリレートの分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、2,000を超えることがさらに好ましい。ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は特に制限されないが、粘度が高くなりすぎないように制御する観点から100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。耐傷性と三次元成形性とを両立させる観点から、さらに好ましくは、2,000を超え50,000以下であり、特に好ましくは、5,000〜20,000である。
(多官能(メタ)アクリレート)
本発明で用いられる多官能(メタ)アクリレートは、2官能以上の(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。ただし、硬化性の観点から3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。ここで、2官能とは、分子内にエチレン性不飽和結合((メタ)アクリロイル基)を2個有することをいう。
また、多官能(メタ)アクリレートは、オリゴマー及びモノマーのいずれでもよいが、三次元成形性向上の観点から多官能(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
上記の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えばウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーなどが好ましく挙げられる。
ここで、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレートオリゴマーなどが好ましく挙げられる。
また、多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。
以上述べた多官能性(メタ)アクリレートオリゴマー及び多官能性(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(紫外線吸収剤)
表面保護層を形成する電子線硬化性樹脂組成物は、優れた耐候性と長期使用時の樹脂フィルムの着色抑制効果を得る観点から、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤としては特に制限はなく、例えばトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系、アクリルニトリル系などの紫外線吸収剤が好ましく挙げられ、これらのなかでも、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤の具体例は、上記の通りである。
電子線硬化性樹脂組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部であり、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲内であると、優れた耐候性と樹脂フィルムの着色抑制効果が得られ、架橋阻害が生じることなく優れたハードコート性が得られ、またブリードアウトなどが生じることもない。
(光安定剤)
表面保護層を形成する電子線硬化性樹脂組成物は、耐候性をさらに向上させるために、所望により光安定剤を含有することが好ましい。光安定剤としては、上記のヒンダードアミン系(HALS)の光安定剤が好ましく挙げられる。
また、電子線硬化性樹脂と反応性を有する、すなわち分子内に電子線反応性基を有する電子線反応性ヒンダードアミン系光安定剤も好ましく挙げられる。このような電子線反応性ヒンダードアミン系光安定剤を用いることで、架橋阻害が生じることなく耐傷性を向上させることができるとともに、ブリードアウトを低減できるので、ブリードアウトによる性能低下を効果的に抑制することができる。電子線反応性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基が好ましく挙げられる。
このような光安定剤としては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(BASF社製、商品名「サノール LS−3410」)又は(日立化成工業株式会社製、商品名「FA−711MM」)、や2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名「FA−712HM」)などが好ましく挙げられる。
電子線硬化性樹脂組成物中の光安定剤の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。光安定剤の含有量が上記範囲内であると、優れた耐候性が得られるため表面保護層における光劣化による割れや剥離の発生を抑制することができ、架橋阻害が生じることなく優れた耐傷性が得られ、またブリードアウトなどが生じることもない。
(各種添加剤)
また、表面保護層を形成する電子線硬化性樹脂組成物は、所望物性に応じて、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を含有することができる。この添加剤としては、例えば耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
表面保護層の厚さは、通常1〜20μm程度であり、好ましくは3〜15μmである。表面保護層の厚さが上記範囲内であると、優れた耐候性とその持続性や、耐傷性や透明性が得られ、また優れた三次元成形性も得られる。
≪プライマー層≫
プライマー層は、樹脂フィルムと表面保護層との層間密着性を向上させるため、図2に示されるように樹脂フィルムと表面保護層との間に好ましく設けられる層である。また、プライマー層を設けることにより、表面保護層に対する応力緩和層として機能し、表面保護層の耐候劣化による割れを抑制する効果も期待できる。
プライマー層としては、プライマー層を挟んで対峙する両層の密着性が向上する樹脂を含むプライマー層形成用樹脂組成物により形成すればよく、樹脂としては特に制限は無いが、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの樹脂の1種単独又は2種以上の混合物が好ましく用いられる。
プライマー層形成用樹脂組成物としては、ポリマーポリオールと硬化剤とを含む樹脂組成物であることが好ましく、より具体的には、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系などのポリマーポリオール単独、又はそれらの混合物に対して、使用直前に硬化剤を添加した2液硬化性のウレタン樹脂が好ましい。
前記ポリマーポリオールとしては、アクリル系ポリマーポリオール、あるいはポリエステル系ポリマーポリオールが好ましく、アクリル系ポリマーポリオールがより好ましい。アクリル系ポリマーポリオールとしては、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアクリレートを共重合させて複数の水酸基を導入したものが好ましく挙げられる。また、ポリエステル系ポリマーポリオールとしては、例えばポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクトンなどが用いられる。
また、本発明においては、上記のアクリル系ポリマーポリオールとウレタン樹脂との混合物を用いることも好ましい。この場合、アクリル系ポリマーポリオールとウレタン樹脂との配合比(質量比)は、40:60〜95:5が好ましく、60:40〜90:10がより好ましい。配合比が上記範囲内であると、優れた密着性が得られる。
硬化剤としては、多価イソシアネートが好ましく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート;を用いることができ、あるいは、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)なども用いることができる。
また、本発明において、ポリウレタン系2液硬化型樹脂として用いられるポリマーポリオール(未硬化時)のガラス転移温度Tgは、65℃以上であることが好ましく、該ガラス転移温度Tgの上限に特に制限はないが、通常110℃程度であり、好ましいTgは70〜100℃の範囲である。ガラス転移温度Tgが上記範囲内であると、優れた密着性が得られる。
プライマー層の形成に、表面保護層で用いられる電子線硬化性樹脂と反応性を有する樹脂を用いてもよい。これにより、プライマー層と表面保護層との層間密着性が向上する。特に、厳しい耐候性試験の後であってもその密着性は落ちないことから、本発明の積層用フィルムは、耐久性の高い、すなわち、長時間屋外で使用されても密着性が維持されるものとなる。
また、プライマー層上に表面保護層を設ける際に、プライマー層と表面保護層との密着性を高めるために、プライマー層の表面をいわゆるコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理などの処理を行うことができる。
(紫外線吸収剤)
プライマー層は、優れた耐候性と樹脂フィルムの着色抑制効果を得る観点から、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤としては特に制限はなく、例えばトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系、アクリルニトリル系などの紫外線吸収剤が好ましく挙げられ、これらのなかでも、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤の具体例は、上記の通りである。
プライマー層中の紫外線吸収剤の含有量は、プライマー層を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは1〜40質量部、更に好ましくは5〜40質量部であり、特に好ましくは5〜30質量部である。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲内であると、優れた耐候性と樹脂フィルムの着色抑制効果が得られ、架橋阻害が生じることなく優れたハードコート性が得られ、またブリードアウトなどが生じることもない。
(光安定剤)
プライマー層は、耐候性をさらに向上させるために、所望により光安定剤を含有することが好ましい。光安定剤としては、上記のヒンダードアミン系(HALS)の光安定剤が好ましく挙げられる。また、電子線硬化性樹脂と反応性を有する、すなわち分子内に電子線反応性基を有する電子線反応性ヒンダードアミン系光安定剤も好ましく挙げられる。これらの光安定剤の具体例は、上記の通りである。
プライマー層中の光安定剤の含有量は、プライマー層を形成する樹脂100質量部に対して、0.05〜15質量部、より好ましくは0.5〜12質量部、更に好ましくは1〜10質量部であり、特に好ましくは3〜10質量部である。光安定剤の含有量が上記範囲内であると、優れた耐候性が得られるため表面保護層における光劣化による割れや剥離の発生を抑制することができ、架橋阻害が生じることなく優れた耐傷性が得られ、またブリードアウトなどが生じることもない。
プライマー層は、生産過程においてブロッキングを防止するためにシリカ粒子などの無機粒子を好ましく含む。シリカ粒子は、いわゆるマット剤として使用できるものであれば特に制限はない。
シリカ粒子の粒子径は通常1〜7μm程度であり、5μm以下であることが好ましい。5μm以下であると該無機粒子を起点としてクラックが入るという不具合がないからである。また、粒子形状は球形のものが好ましい。
このようなシリカ粒子の種類については、処理/未処理問わず、従来公知のものが使用でき、これらを単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
シリカ粒子の配合量としては、プライマー層を形成する樹脂分100質量部に対して5〜25質量部であることが好ましい。シリカ粒子の含有量が上記範囲内であると、プライマー層を形成する樹脂組成物の塗布性能を保持しつつ、透明性を確保できる。
プライマー層の厚さは、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、十分な接着性を得る観点から、0.5〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは1〜5μmの範囲である。
≪接着層≫
接着層は、後述する樹脂基体との密着性を向上させる観点から、必要に応じて設けられ、樹脂フィルムの表面保護層を設ける面と反対側の面、すなわち樹脂基体と接する面に設けられる。
接着層としては、感熱接着剤や加圧接着剤などで構成される層が好ましく挙げられ、必要に応じて加熱及び加圧によって、樹脂基体との密着性を発現するヒートシール層であることが好ましい。接着層を構成する樹脂としては、樹脂基体を構成する樹脂に応じて適宜選択すればよく、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂を好ましく挙げることができる。
接着層の厚さは、樹脂基体との優れた接着性を得る観点から、30μm以下であることが好ましく、0.1〜20μm程度がより好ましく、0.5〜8μm程度がさらに好ましい。
≪積層用フィルムの製造方法≫
本発明の有機ガラス積層用フィルムの製造方法は、工程(I)トリアジン系紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルム上に、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを98:2〜50:50の質量比で含有する電子線硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成する工程、及び工程(II)該未硬化樹脂層に電子線を照射して硬化させて表面保護層を形成する工程を順に有することを特徴とするものである。
(工程(I))
工程(I)は、トリアジン系紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルム上に、所定の質量比でポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを含有する電子線硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成する工程である。
電子線硬化性樹脂組成物の塗布は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行うことができる。
また、本発明においては、電子線硬化性樹脂組成物を塗布する前に、樹脂フィルム上にプライマー層形成用樹脂組成物を塗布し、プライマー層を形成することが好ましい。プライマー層形成用樹脂組成物の塗布は、電子線硬化性樹脂組成物と同様の公知の方法、好ましくはグラビアコートにより行われる。
(工程(II))
工程(II)は、工程(I)で形成した未硬化樹脂層に電子線を照射して硬化させて表面保護層を形成する工程である。
電子線の照射条件は、使用する樹脂組成物や層の厚さに応じて適宜選定しうるが、通常加速電圧70〜300kV程度で電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させることが好ましい。電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、樹脂フィルムとして電子線により着色する、あるいは劣化するようなものを使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、樹脂フィルムへの余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による樹脂フィルムの劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、半硬化樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜70kGy(1〜7Mrad)の範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
なお、樹脂組成物が溶剤を含むような場合は、樹脂組成物の架橋反応が阻害されないよう、塗布後、熱風乾燥機などにより塗布層を予め加熱乾燥してから電子線を照射することが好ましい。
また接着層は、通常上記の表面保護層を形成した後に、上記の樹脂の中から選択した1種又は2種以上の樹脂を溶液、あるいはエマルジョンなど塗布可能な形にしたものを、電子線硬化性樹脂組成物と同様の公知の方法により塗布、乾燥して形成することができる。
[有機ガラス]
本発明の有機ガラスは、上記の本発明の有機ガラス積層用フィルムの樹脂フィルム側に、樹脂基体を有するものである。
本発明の有機ガラスを、図面を参照して説明する。図3は、本発明の有機ガラスの好ましい態様の一例の断面を示す模式図である。図3には、樹脂フィルム1と表面保護層3との間にプライマー層2を有し、該樹脂フィルム1の表面保護層3を設ける面とは反対側の面に接着層4を有する積層用フィルム10と、該接着層4と接するように、すなわち該樹脂フィルム1の側に樹脂基体5を有する有機ガラスが示されている。
樹脂基体を構成する基体用樹脂としては、高い透明性を有するものが好ましく、具体的には上記の樹脂フィルムを構成する樹脂と同じものが好ましく挙げられる。また、透明性の観点からポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、さらに耐衝撃性などを考慮すると、ポリカーボネート樹脂が好ましいことも、樹脂フィルムを構成する樹脂と同じである。
樹脂基体の厚さは、通常1〜20mmが好ましく、2〜10mmがより好ましい。基板11の厚さが1mm以上であると面剛性などの実用的な強度が十分となり、20mm以下であると加工性が向上する。また、樹脂基体の形状は、有機ガラスの用途に応じて適宜選択すればよく、板状のものには限られない。
[有機ガラスの製造方法]
本発明の有機ガラスは、本発明の有機ガラス積層用フィルムを用いて製造することができ、その製造方法としては、例えばサーモジェクト成形法(加熱真空成形工程と射出成形工程とを一つにした射出成形同時積層法)、インサート成形法、インモールド成形法などの射出成形法のほか、押出し成形法、射出プレス成形法などが好ましく採用される。
サーモジェクト成形法、インサート成形法、あるいはインモールド成形法などの射出成形法においては、有機ガラス積層用フィルムの裏面にポリカーボネート樹脂などの基体用樹脂を射出して、有機ガラスを製造することができる。このようにして得られた有機ガラスは、種々の曲面を有することができるため、自動車用窓ガラスなどに好適に用いられる。インモールド成形法では、有機ガラス積層用フィルムを加熱することなく、射出成型機の金型内に挟み込み、基体用樹脂を射出することにより、該射出樹脂の熱などを利用して有機ガラス積層用フィルムを積層して有機ガラスを得ることができる。
押出し成形法では、ポリカーボネート樹脂などの基体用樹脂がダイスから吐出する直後又は冷却後に、ロールなどを用いて有機ガラス積層用フィルムの裏面を、該基体用樹脂に圧着して積層することができる。
さらに、射出プレス成形法では、型開きした金型に予め有機ガラス積層用フィルムを配置し、圧縮ストローク分だけ開いた金型空間に溶融樹脂を射出し、充填完了後金型を閉じ、型締め力で圧縮して、該積層用フィルムを有機ガラスに積層する。
また、本発明の有機ガラス積層用フィルムを有機ガラスに貼着した後、有機ガラスを加熱成形して、自動車用窓ガラスなどとして用いてもよい。
本発明の有機ガラス積層用フィルムの優れた性能、すなわち優れた透明性、優れた耐候性、耐傷性、かつ優れた三次元成形性を有効に活用する観点から、上記の方法のなかでも、射出成形法、すなわちサーモジェクト成形法、インサート成形法、あるいはインモールド成形法が好適に採用される。以下、これらの成形法について、より具体的に説明するが、有機ガラスの製造方法はこれらの例示には限定されない。
サーモジェクト成形法による有機ガラスの製造方法は、工程(A)本発明の有機ガラス積層用フィルムの樹脂フィルム側を金型内に向けて、熱盤によって該樹脂フィルム側から該積層用フィルムを加熱する工程、工程(B)加熱された該積層用フィルムを金型内形状に沿うように予備成形して金型内面に密着させて型締する工程、工程(C)基体用樹脂を金型内に射出する工程、及び工程(D)該基体用樹脂が冷却した後に金型から有機ガラスを取り出す工程を順に有する方法である。
上記工程(A)及び(B)において、本発明の有機ガラス積層用フィルムを加熱する温度は、樹脂フィルムのガラス転移温度近傍以上で、かつ、溶融温度(又は融点)未満の範囲であることが好ましい。通常はガラス転移温度近傍の温度で行うことが、より好ましい。なお、上記のガラス転移温度近傍とは、ガラス転移温度±5℃程度の範囲のことをいう。例えば、樹脂フィルムを構成する樹脂としてポリカーボネート樹脂を選定した場合は通常140〜170℃程度で加熱することが好ましく、アクリル樹脂やポリエステル樹脂を選定した場合は通常70〜130℃程度で加熱することが好ましい。
工程(C)において、基体用樹脂を溶融させて、キャビティ内に射出して積層用フィルムと基体用樹脂とを一体化させた積層体を得る。基体用樹脂は加熱により溶融させればよく、その加熱温度は、基体用樹脂によるが、通常180〜320℃程度である。
このようにして得られた積層体を冷却した後に金型から取り出すことで、本発明の有機ガラスが得られる。
インサート成形法による有機ガラスの製造方法は、工程(a)本発明の有機ガラス積層用フィルムの樹脂フィルム側に支持体層を配置する工程、工程(b)該積層用フィルムの支持体層側を金型側に配置して真空成形する工程、工程(c)真空成形後の支持体層付き該積層用フィルムの該支持体層側に射出するように、基体用樹脂を金型内に射出する工程、及び工程(d)該基体用樹脂が冷却した後に金型から有機ガラスを取り出す工程を順に有する方法である。
工程(a)において、支持体層に用いられる材料としては、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましく挙げられる。支持体層に用いられる材料は、基体用樹脂との接着性を向上させる観点から、基体用樹脂と同じ材料であることが好ましく、例えば、基体用樹脂としてポリカーボネート樹脂を採用する場合は、支持体層に用いられる材料もポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
支持体層は、積層用フィルムを補強し、一体化物の形態を保持するために積層されるため、0.1〜1.0mm程度の厚さが好ましい。
工程(b)において、本発明の有機ガラス積層用フィルムは、上記のサーモジェクト成形法と同様に、射出成形機のキャビティ(凹型)側に表面保護層を向けて設けてもよいし、コア(凸型)側に表面保護層を向けて設けてもよい。また、キャビティ(凹型)側及びコア(凸型)側の双方に表面保護層を向けて設けてもよい。
インモールド成形法による有機ガラスの製造方法は、工程(α)本発明の有機ガラス積層用フィルムを金型内に配置する工程、工程(β)基体用樹脂を金型内に射出する工程、及び工程(γ)該基体用樹脂が冷却した後に金型から有機ガラスを取り出す工程を順に有する方法である。また、この方法において、工程(β)の基体用樹脂を金型内に射出する前に、有機ガラス積層用フィルムを真空引きしてもよい。金型と積層用フィルムとの間の空間に生じる隙間に空気が存在すると、成形時にシワが生じるなどの不具合ができるためである。この方法により、基体用樹脂の表面に積層用フィルムを一体化接着させて有機ガラスを製造することができる。
次に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、この例によって何ら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)三次元成形性
実施例及び比較例で得られた有機ガラスについて、下記の評価基準で評価した。
◎ 最大伸展部(伸度100%の部分)において、外観に割れや白化などの外観不良は確認されなかった
○ 最大伸展部において微細な割れや白化などが確認されたものの、浅絞り形状部(伸度50%の部分)では割れや白化などは確認されなかった。
△ 最大伸展部において割れや白化などが確認されたものの、浅絞り形状部(伸度25%の部分)では割れや白化などは確認されなかった。
× 著しい割れや白化などの外観不良が確認された。
(2)耐傷性
実施例及び比較例で得られた有機ガラスについて、スチールウール(「ボンスター#0000(商品名)」,日本スチールウール株式会社製)を用いて、300g/cm2の荷重をかけて5往復擦り、外観を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
○ :外観にほとんど変化なかった。
△ :外観に微細の傷つきや艶変化があった。
× :外観に傷つきがあり、艶変化があった。
(3)耐候性
実施例及び比較例で得られた有機ガラスを、メタルウェザー(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)にセットし、ライト条件(照度:60mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、層内湿度50%RH)で20時間、結露条件(照度:0mW/cm2、ブラックパネル温度30℃、層内湿度98%RH)で4時間、水噴霧条件(結露条件の前後10秒間)の条件で500時間放置する耐候性試験を行った。該耐候性試験を行った後、25℃50%RHの条件下で2日間保持してから、有機ガラスのクラックや黄変などの外観を目視で下記の基準により評価した。
(有機ガラス表面外観)
○ :外観変化は全くなかった。
△ :表面に微細なクラックがあった。
× :表面に無数のクラックがあった。
(樹脂フィルムの着色)
○ :外観変化は全くなかった。
△ :若干の黄変がみられた。
× :著しく黄変した。
(4)色差
実施例及び比較例で得られた有機ガラスについて、各硬化反応終了後7日後の色差と樹脂フィルムの色差との差ΔEを測定し、その値を下記の基準で評価した。
○ :ΔE≦1.0
× :ΔE>1.0
(5)ブリードアウトの評価
実施例及び比較例で得られた有機ガラスを、40℃温水下で24時間保管した後、有機ガラスの表面を指で触って、下記の基準で評価した。
○ :べたつきは全くなかった。
△ :紫外線吸収剤などのブリードアウトによるべたつきは若干あるが、実用上問題なかった。
× :ブリードによるべたつきが著しかった。
(6)耐薬品性
実施例及び比較例で得られた有機ガラスについて、10%のエタノール溶液をスポイトで数滴滴下し時計皿で蓋をして24時間放置した後、滴下したエタノール溶液を拭き取り、外観を目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○ :外観にほとんど変化なかった
× :外観に溶解や変色、艶変化があった
実施例1
樹脂フィルムとして厚さ100μmのトリアジン系紫外線吸収剤をアクリル樹脂100質量部に対して1質量部含有するアクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂)フィルムを用い、該樹脂フィルムの片面に下記プライマー層形成用樹脂組成物を膜厚3μmとなるように塗布し、その上から下記表面保護層形成用の電子線硬化性樹脂組成物を膜厚10μmとなるように塗布した後、165kV−50kGyの条件で電子線を照射して硬化させて、有機ガラス積層用フィルムを得た。
次いで得られた有機ガラス積層用フィルムの樹脂フィルム側を金型内に向けて配設し、熱盤温度350℃で該積層用フィルムを加熱して該積層用フィルムの温度を100℃とし、該積層用フィルムを金型内形状に沿うように予備成形して金型内面に密着させて型締した。金型は、80mm角の大きさで、絞り3mm、コーナー部11Rのトレー状である形状のものを用いた。基体用樹脂としてポリカーボネート樹脂(「パンライトL−1250Z(商品名)」,帝人化成株式会社製)を用いて、これを310℃にて溶融状態にしてから、キャビティ内に射出した。その後、温度90℃の金型から、樹脂基体と有機ガラス積層用フィルムとが積層した有機ガラスを取り出した。
得られた有機ガラスについて、上記の方法により評価した。その結果を第1表に示す。
(プライマー層形成用樹脂組成物)
ポリウレタン2液硬化型樹脂(アクリルポリマーポリオールと硬化剤としてキシリレンジイソシアネートとを、NCO当量とOH当量とが同量になるように含む組成物,ガラス転移温度Tg(ポリオールの未硬化時):100℃):80質量部
ウレタン樹脂:20質量部
トリアジン系紫外線吸収剤:10質量部(「TINUVIN479(商品名)」,BASF社製,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン)
ヒンダードアミン系光安定剤:10質量部(「TINUVIN123(商品名)」,BASF社製,デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル)
(表面保護層形成用樹脂組成物)
2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量:10,000):94質量部
6官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量:6,000):6質量部
トリアジン系紫外線吸収剤:5質量部(「TINUVIN479(商品名)」,BASF社製,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン)
電子線反応性ヒンダードアミン系光安定剤:5質量部(「サノール LS−3410(商品名)」,BASF社製,1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート)
実施例2〜8、及び比較例1〜5
実施例1において、樹脂フィルム、プライマー層形成用樹脂組成物、及び表面保護層形成用樹脂組成物を第1表に示されるものにかえた以外は、実施例1と同様にして有機ガラスを得た。得られた有機ガラスについて、上記の方法により評価した。その結果を第1表に示す。
[注]
*1,アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂)
*2,ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)
*3,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(BASF社製,商品名「TINUVIN 479」)
*4,イソオクチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−3級ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート、(BASF社製、商品名「TINUVIN384−2」)
*5,2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASF社製,商品名「TINUVIN900」)
*6,ポリウレタン2液硬化型樹脂(アクリルポリマーポリオールと硬化剤としてキシリレンジイソシアネートとを、NCO当量とOH当量とが同量になるように含む組成物,ガラス転移温度Tg(ポリオールの未硬化時):100℃):80質量部とウレタン樹脂:20質量部との混合物。
*7,(メタ)アクリル/ウレタン共重合体樹脂(アクリル/ウレタン比(重量比)=3/7)
*8,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(商品名「TINUVIN 479」,BASF社製)
*9,デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物,(「TINUVIN123(商品名)」,BASF社製)
*10,電子線硬化性樹脂A;2官能のポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量:10,000)
*11,電子線硬化性樹脂B;6官能のポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量:6,000)
*12,電子線硬化性樹脂C;6官能のウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:6,000)
*13,電子線硬化性樹脂D;6官能のウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:10,000)
*14,ポリウレタン2液硬化型樹脂(アクリルポリマーポリオールと硬化剤としてキシリレンジイソシアネートとを、NCO当量とOH当量とが同量になるように含む組成物,ガラス転移温度Tg(ポリオールの未硬化時):100℃)
*15,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(商品名「TINUVIN 479」,BASF社製)
*16,1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート,(「サノール LS−3410(商品名)」,BASF社製)
実施例1〜8で得られた有機ガラスは、全ての評価で優れた効果を有することが確認された。一方、樹脂フィルムに含有する紫外線吸収剤をベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とした比較例1及び2では、著しく着色してしまい商品価値を損ねる結果となった。表面保護層形成用の電子線硬化性樹脂組成物の樹脂成分として多官能(メタ)アクリレートを用いなかった比較例3では、耐傷性が悪いことが確認された。ポリカーボネートアクリレート樹脂の含有量が少ない比較例4では、良好な三次元成形性が得られず、また耐傷性も若干低下することが確認された。また、表面保護層の形成に熱硬化性樹脂を用いた比較例5では、耐傷性が悪く、耐候性も若干低下することが確認された。
本発明の有機ガラス積層用フィルムは、樹脂フィルムの電子線照射後の着色を抑制した優れた透明性を有しており、また優れた耐候性、耐傷性を有し、かつ優れた三次元成形性を有するので、一般住居の玄関ドアや外装材、公共施設の床材や外壁、屋根などの建造物外装、あるいは自動車、列車、船舶、航空機、産業機械、重機などの構造物外装、とりわけ窓材やサンルーフ材、さらにはヘッドランプ、ヘッドランプカバーなどといった、従来無機ガラスが用いられていた部分に好適に用いられる。
1.樹脂フィルム
2.プライマー層
3.表面保護層
4.接着層
5.樹脂基体
10.有機ガラス積層用フィルム
11.有機ガラス

Claims (13)

  1. トリアジン系紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルムと表面保護層とを有し、該表面保護層がポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを98:2〜50:50の質量比で含有する電子線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものである有機ガラス積層用フィルム。
  2. 樹脂フィルムと表面保護層との間に、プライマー層を有する請求項1に記載の有機ガラス積層用フィルム。
  3. 多官能(メタ)アクリレートが、3官能以上である請求項1又は2に記載の有機ガラス積層用フィルム。
  4. ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、2000を超えて50000以下である請求項1〜3のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルム。
  5. 電子線硬化性樹脂組成物が、トリアジン系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルム。
  6. プライマー層を形成するプライマー層形成用樹脂組成物が、ポリマーポリオールと硬化剤とを含む組成物である請求項2〜5のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルム。
  7. プライマー層を形成するプライマー層形成用樹脂組成物が、トリアジン系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を含む請求項2〜6のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルム。
  8. 樹脂フィルムを構成する樹脂が、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、及びポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜7のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルム。
  9. 射出成形法によって基体用樹脂と一体化させて使用される、請求項1〜8のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルム。
  10. トリアジン系紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルムと表面保護層とを有し、該表面保護層がポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを98:2〜50:50の質量比で含有する電子線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものである有機ガラス用フィルムの樹脂フィルム側に、樹脂基体を有する有機ガラス。
  11. 下記の工程を順に有する有機ガラス積層用フィルムの製造方法。
    工程(I)トリアジン系紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルム上に、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを98:2〜50:50の質量比で含有する電子線硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成する工程
    工程(II)該未硬化樹脂層に電子線を照射して硬化させて表面保護層を形成する工程
  12. 工程(I)において、樹脂フィルム上に、プライマー層形成用樹脂組成物を塗布した後、電子線硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成する請求項11に記載の有機ガラス用フィルムの製造方法。
  13. 下記の工程を順に有する有機ガラスの製造方法。
    工程(α)請求項1〜9のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルムを金型内に配置する工程
    工程(β)基体用樹脂を金型内に射出する工程
    工程(γ)該基体用樹脂が冷却した後に金型から有機ガラスを取り出す工程
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