JP5261761B2 - クローラ型走行装置 - Google Patents
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Description
従来の宇宙探査用車両としては、接地面積を広くするため円筒形の4〜8輪の車輪を使用した車両がある。しかし、このような車輪を使用する車両では、車輪の真下で接地面圧が最大となり、この部分が砂に埋もれて滑り、走行が困難になる場合があった。
クローラ型走行装置は、通常多数の金属性の剛体の履板をピンで結合し、ピン部分で隣接する履板が可動であり、履帯は駆動輪と誘導輪との周りを周回するようになっていた。又は、履板をピンで結合するのでなく、ゴム製のそれ自体で柔軟性のある履帯を使用していた。
しかし、月や惑星の真空又は気圧の低い環境においては、履板を結合するピン部分の潤滑性が悪く、そのため摩耗が多くなり、耐久性が低下する。
ゴム製の履帯はアウトガスが多く、変質し易いため、宇宙では使用するのが困難であった。
しかし、特許文献1のクローラ型走行ロボットは、十分に均一な接地面圧を有するとはいえない。また、履帯と駆動輪との噛み合い部分に砂、石等が挟まるおそれがある。
本発明の目的は、少数の転輪機構で均一な接地面圧を実現するクローラ型走行装置を提供することである。
本発明の他の目的は、履帯と駆動輪との噛み合い部分に石や砂が入り込むことが少ないクローラ型走行装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、このようなクローラ型走行装置を備えるクローラ型車両を提供することである。
前記駆動輪との噛み合い構造を有し、前記駆動輪から駆動力を伝達される内側履帯と、
前記内側履帯の周方向の外側を取り囲む外側履帯と、
前記内側履帯と前記外側履帯とを前記履帯の全周にわたって接続する複数の弾性部材と、を備え、
前記外側履帯には、地面と係合するためのラグ構造を有する複数の履板が取り付けられた、ことを特徴とするクローラ型走行装置である。
また、履帯自体が厚さ方向に弾性を有するので、履帯が地面や石に沿った形状に変形し、これにより地盤への接地圧が均一になり、また高い推進力が得られる。
これにより、ピン等で結合した可動部分がない履帯が得られ、可動部分の潤滑の問題はない。
履帯は金属性なので、ガス等が発生せず、宇宙で使用するのに適している。
これにより、より良い弾性を有する履帯を得ることができる。
更に、前記駆動輪は幅方向端部に一定の間隔で突起を有し、前記内側履帯は幅方向端部に前記突起と噛み合う凹部を有し、前記突起が前記凹部と噛み合って前記駆動輪が前記内側履帯を駆動することが好ましい。前記突起と前記凹部とは噛み合い構造を構成する。
これにより、より確実に履帯を駆動することができる。
ワイヤ履帯は、より変形しやすく、地面の形状の変化によりよく追従することができる。
前記外側履帯は、前記外側履帯の周方向と幅方向に金属ワイヤが延びる金属メッシュで構成されたメッシュ履帯であり、前記メッシュ履帯に一定の間隔で複数の履板が接続されていることが好ましい。
メッシュ履帯は、ワイヤ履帯より安定した性能を得ることができる。
クローラ型走行装置の噛み合い部分に石や砂が入り込むのを防止することができる。
履帯と係合する車輪の数が多いので、より均一な接地圧を得ることができる。
前記駆動輪との噛み合い構造を有し、前記駆動輪から駆動力を伝達される内側履帯と、
前記内側履帯の周方向の外側を取り囲む外側履帯と、
前記内側履帯と前記外側履帯とを前記履帯の全周にわたって接続する複数の弾性部材と、を備え、
前記外側履帯には、地面と係合するためのラグ構造を有する複数の履板が取り付けられた、ことを特徴とするクローラ型車両である。
また、履帯自体が厚さ方向に弾性を有するので、履帯が地面や石に沿った形状に変形し、これにより地盤への接地圧が低く抑えられ、また同時に高い推進力が得られる。そのため、砂地などでも地面に埋もれることなく、良好な走行性能を得ることができる。
履帯自体が弾性を有することにより、外側履帯を地面に押付ける機能を有する。そのため、履帯を地面に押付ける機能を果たす転輪の数を少なくすることができる。そのため、構造を簡単にし、軽量化を図ることができ、信頼性が向上する。
更に、外側履帯と内側履帯を接続する弾性部材は、内側に曲がった構造なので、側面で地面を崩すおそれが少ない。
更に、転輪が地面や石に直接触れることが少ないので、履帯外れ防止用の転リンのリブ構造の構造上の制約が少ない。
少数の転輪機構で均一な接地面圧を実現するクローラ型走行装置を提供することができる。
また、このようなクローラ型走行装置を備えるクローラ型車両を提供することができる。
従来のクローラ機構では、リブの直径を大きくしすぎると、リブが履帯より出っ張り、リブが地面に直接接触しやすくなる。そのため、リブの直径を余り大きくできない。本発明の履帯は二重で厚みが厚いので、リブの出っ張りを大きくすることができる。
クローラユニット10は、クローラユニット10の主構造部であり、クローラユニット10の各部材を保持する保持構造17を備え、保持構造17に、円筒形のスプロケット12、前側誘導輪13a、後側誘導輪13b、その他の構成部品が取り付けられている。
内側履帯18と外側履帯19とは、弾性部材20により接続されている。弾性部材20の一端部は内側履帯18の幅方向外側近くに接続され、弾性部材20の他端部は外側履帯19の幅方向外側近くに接続される。弾性部材20の中央部は履帯の幅方向内側に湾曲した形状で、弾性のある金属でできていて、履帯の厚さ方向に容易に変形することができる。
内側履帯18と外側履帯19と弾性部材20とは、一体として履帯を構成し、それ自体で屈曲性があり、履帯はスプロケット12と誘導輪13a,bの周りを周回することができる。
外側履帯19の外側には、履板21が設けられている。履帯の構造については、図4〜5を参照して後述する。
更にクローラユニット10は、ブラシ15を備える。ブラシ15は、内側履帯18に内側から係合し、内側履帯18に付いた小石、砂等を払い落とす。
更にクローラユニット10は、側面カバー16を備える(図1(A)では内部が見えるよう点線で示す)。側面カバー16は、スプロケット12、前側誘導輪13a、後側誘導輪13b、内側履帯18の側面を覆い、内側履帯とスプロケットとの噛み合い部分に石や砂が入り込むのを防止する。側面カバー16の形状については、図8を参照して後述する。
2つの揺動梁33のそれぞれの両端部には、操舵機構32が設けられる。操舵機構32は、車体30の方向転換のため、車体30の上下方向の軸を中心として、クローラユニット10を回転させることができる。操舵機構32は一端部のみに設けることもできる。
短い円筒形状の内側履帯18の外周に内側履帯18を取り囲む外側履帯19が巻きまわされている。内側履帯18と外側履帯19とは、複数の弾性部材20により接続されている。弾性部材20は、内側履帯18の長さ方向に一定の間隔で設けられ、内側履帯18の幅方向外側と、外側履帯19の幅方向外側とを接続し、内側履帯18と外側履帯19の中間部では、幅方向の中央部に凹状となっている。即ち、曲がり梁構造である。
弾性部材20の形状は、ここに示した以外に、容易にたわむことができる形状であれば他の形状でも良い。例えば、弾性部材20は、内側履帯18の幅方向に平行でなく、内側履帯18の幅方向に対して斜め方向に形成されていても良い。
外側履帯19の外周部には、長さ方向に一定の間隔をおいて履板21が設けられている。履板21は金属製の剛体である。履板21は、地面と係合し、推進力を得るためのものである。
弾性部材20と外側履帯19と履板21とは,ボルト25により固定される。各履板21は外側履帯19に取り付けられる。履板21同士がピンで固定されるのではない。
履板21は基部に窪み21bが形成されている。窪み21bは、履板21が滑らないようにし、推進力を得るためのものである。窪み21bの形状は地面とのすべりを防止できる形状であれば、任意の形状でよい。窪み21bは任意でありなくてもよい。
履板21は突起部21cを有する。突起部21cは、履板21が滑らないようにすると同時に、履板21を外側履帯19に固定するための雌ネジ(図示せず)がきってあり、ボルト25で履板21を外側履帯19に固定することができるようになっている。突起部21cは任意でありなくてもよい。
外側履帯19には、砂抜き孔19bが設けられている。
スプロケット12の外周の幅方向中央部には、一定の間隔で突起12aが形成されている。内側履帯18の幅方向中央部には、スプロケット12の突起12aが入り込む孔18bが突起12aの間隔と同じ間隔で形成されている。スプロケット12の突起12aが内側履帯18の孔18bに噛み合って履帯18を駆動するようになっている。
(B)の概略断面図に示すように、スプロケット12の突起12bは、内側履帯18の凹部と噛みあっている。誘導輪13a,bには、外周部の幅方向端部にリブ13cが設けられ、内側履帯18の両端を保持し、内側履帯18が誘導輪13a,bから外れないように保持する。
ワイヤ履帯23は、図1の実施形態の外側履帯19と比較してよりたわみやすいので、より地面の形状の変化によりよく追従することができる。
図9の(B)は、メッシュ履帯24を示す概略斜視図である。(A)のワイヤ履帯のワイヤと直交する方向にもワイヤが設けられ、メッシュ履帯24を形成する。メッシュ履帯24は縦横方向にワイヤが設けられるので、より安定した性能を得ることができる。
11 回転駆動軸
12 スプロケット
12a,b 突起
12c リブ
13a 前側誘導輪
13b 後側誘導輪
13c リブ
14 テンショナ
15 ブラシ
16 側面カバー
17 保持構造
18 内側履帯
18b 孔
18c 凹部
19 外側履帯
19b 砂抜き孔
20 弾性部材
20b 接続部
21 履板
21a ラグ
21b 窪み
21c 突起部
22 転輪
23 ワイヤ履帯
24 メッシュ履帯
25 ボルト
30 車体
31 走行装置
32 操舵機構
33 揺動梁
34 揺動ヒンジ
35 車体
Claims (9)
- 駆動軸により駆動力を伝達される駆動輪と、前記駆動輪の軸と平行な軸を有する誘導輪と、前記駆動輪と前記誘導輪とに巻き回され、前記駆動輪と前記誘導輪の周りを周回する履帯とを備える無限軌道方式のクローラ型走行装置であって、前記履帯は、
前記駆動輪との噛み合い構造を有し、前記駆動輪から駆動力を伝達される内側履帯と、 前記内側履帯の周方向の外側を取り囲む外側履帯と、
前記内側履帯と前記外側履帯とを前記履帯の全周にわたって接続する複数の弾性部材と、を備え、
前記外側履帯には、地面と係合するためのラグ構造を有する複数の履板が取り付けられ、
前記内側履帯と前記外側履帯とは、変形が容易なリング状の薄い金属板又は樹脂板でできていて、
前記内側履帯と前記外側履帯とを接続する前記弾性部材は、弾性のある湾曲した形状の薄い金属板又は樹脂板からなる、ことを特徴とするクローラ型走行装置。 - 前記弾性部材の一端部は前記内側履帯の幅方向端部に接続され、他端部は前記外側履帯の幅方向端部に接続され、中間部は幅方向中央部に向かって凹状の湾曲した形状である請求項1に記載のクローラ型走行装置。
- 前記駆動輪は幅方向中央部に一定の間隔で突起を有し、前記内側履帯は幅方向中央部に前記突起と噛み合う凹部を有し、前記突起が前記凹部と噛み合って前記駆動輪が前記内側履帯を駆動する請求項1に記載のクローラ型走行装置。
- 前記駆動輪は幅方向端部に一定の間隔で突起を有し、前記内側履帯は幅方向端部に前記突起と噛み合う凹部を有し、前記突起が前記凹部と噛み合って前記駆動輪が前記内側履帯を駆動する請求項3に記載のクローラ型走行装置。
- 前記外側履帯は、前記外側履帯の周方向に延びる複数の金属ワイヤで構成されたワイヤ履帯であり、前記ワイヤ履帯に一定の間隔で複数の履板が接続されている請求項1に記載のクローラ型走行装置。
- 前記外側履帯は、前記外側履帯の周方向と幅方向に金属ワイヤが延びる金属メッシュで構成されたメッシュ履帯であり、前記メッシュ履帯に一定の間隔で複数の履板が接続されている請求項1に記載のクローラ型走行装置。
- 前記駆動輪と前記誘導輪と前記内側履帯との側面を覆い、先端部が前記内側履帯と前記外側履帯の間に入りこむ側面カバーを備える請求項1に記載のクローラ型走行装置。
- 更に、前記駆動輪の軸と平行な軸を有する転輪を備え、前記履帯は、前記駆動輪と前記誘導輪と、前記転輪とに巻き回される請求項1に記載のクローラ型走行装置。
- 駆動軸により駆動力を伝達される駆動輪と、前記駆動輪の軸と平行な軸を有する誘導輪と、前記駆動輪と前記誘導輪とに巻き回され、前記駆動輪と前記誘導輪の周りを周回する履帯とを備える無限軌道方式の複数のクローラ型走行装置を備えるクローラ型車両であって、前記クローラ型走行装置の前記履帯は、
前記駆動輪との噛み合い構造を有し、前記駆動輪から駆動力を伝達される内側履帯と、 前記内側履帯の周方向の外側を取り囲む外側履帯と、
前記内側履帯と前記外側履帯とを前記履帯の全周にわたって接続する複数の弾性部材と、を備え、
前記外側履帯には、地面と係合するためのラグ構造を有する複数の履板が取り付けられ、
前記内側履帯と前記外側履帯とは、変形が容易なリング状の薄い金属板又は樹脂板でできていて、
前記内側履帯と前記外側履帯とを接続する前記弾性部材は、弾性のある湾曲した形状の薄い金属板又は樹脂板からなる、ことを特徴とするクローラ型車両。
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