JP5259100B2 - 作業機械の冷却風排気構造 - Google Patents
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Description
この軸流式冷却ファンに係る冷却風について、図5を用いて詳述する。
冷却風は、図5に白抜き矢印で示すように、クーリングパッケージ103の正面上方に開口された吸気口104から軸流式冷却ファン102によって吸気され、クーリングパッケージ103の内部を通過する。クーリングパッケージ103を通過した後の冷却風は、軸流式冷却ファン102の正面から背面に抜けた後、エンジン101の周囲を旋回しながら、エンジンルーム105の上面や底面に開口された排気口106から排気される。
軸流ファンは、上述のように、冷却風を軸方向から吸い込み軸方向に吐き出す特性を有している。しかしながら、軸流ファンから吐き出された風は、ファン軸から径方向に遠ざかるほど風速が速くなるという特性と、遠心力で径方向に広がろうとする特性とをも有していることが知られている。このとき、図6に示すように、冷却風量が軸流ファンに対して十分多ければ、径方向へ広がりながらも軸方向へ進む。一方、図7に示すように、冷却風量が軸流ファンに対して少なすぎれば、軸方向へ進むよりも径方向へ広がろうとする力が勝り、軸方向よりも遠心方向に偏向して吐き出されてしまう。
このように、軸流式冷却ファン102の背面の冷却風は、遠心方向に偏向して流れる。そのため、図5に示すような、軸流式冷却ファン102から離れた排気口106の位置では、冷却風は、遠心方向への流れが主流であるにも関わらず、排気口106からの排気のために軸方向への流れを余儀なくされ、これにより圧力損失が生じ、排気効率が低下してしまうという課題がある。
特許文献1には、排気効率を向上させながらエンジン騒音にも配慮した技術が開示されている。
図8に示すように、特許文献1の技術では、エンジン111と冷却ファン112とクーリングパッケージ113とが、エンジンルーム115内に収容されている。そして、吸気口(導入開口)114が、クーリングパッケージ113の正面上方に開口され、一方、排気口(排出開口)116が、エンジンルーム115を形成する上壁面115a及び下壁面115bにおいて冷却ファン112の外周位置に開口されている。
これにより、冷却ファン112から遠心方向に吐き出された冷却風が、冷却ファン112の外周に位置する排気口116を介して機外へとスムーズに排出されるので、冷却風の排気効率を向上させることができる。
さらに、エンジンルーム115の天井面が、上壁面115aとダクト117との2重構造になっているので、エンジン騒音をより低減することができる。
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、騒音を低減することができるとともに、冷却風の排気効率を確実に向上させることができるようにした、作業機械の冷却風排気構造を提供することを目的とする。
また、第一外壁と第二外壁とがなす流通空間が冷却風流路として機能し、ここに、上述の遠心方向に流れる高速の冷却風が流通するので、上記流通空間は負圧となり、エンジンルーム内を軸方向に流れる残りの冷却風を、第二の排気口を介して上記流通空間内に良好に導入することができる。
そして、冷却風は、上記流通空間を流通する過程で、第一外壁や第二外壁の壁面にぶつかり、音のエネルギーが吸収され減衰し、冷却風の排出に係る騒音を低減することができる。また、エンジンルームの外郭の少なくとも一部が二重壁構造になっているので、第一外壁と第二外壁とを透過して伝播する騒音を低減することができる。
また、第二の排気口に案内部材を設けているので、案内部材と第二外壁とにより形成される絞り形状で、上記流通空間の流速はより増大し、第二の排気口を介して比較的低速の冷却風が上記流通空間により導入されやすくなり、排気効率をより向上させることができる。
請求項2記載の本発明の作業機械の冷却風排気構造によれば、案内部材は、第二の排気口を第二外壁側から見て完全に覆い隠すようになっているので、第二の排気口を介して第二外壁を透過して伝播する騒音をより低減することができる。
[一実施形態]
図1〜図4は、本発明の一実施形態に係る作業機械の冷却風排気構造を示すもので、図1は機体前方から見たその模式的な断面図、図2は図1の要部拡大断面図、図3はその斜視図、図4はその冷却風排気構造を有する油圧ショベルの全体像の斜視図である。
ここでは、作業機械の代表的な例である油圧ショベルについて説明する。
図4に示すように、油圧ショベル1は、下部走行体2と、下部走行体2上に旋回自在に結合された上部旋回体(機体)3と、上部旋回体3から前方へ延出するように取り付けられた作業装置4とから構成されている。
メインエンジンルーム10Aの天井部(天井面)は、内側の天井壁(外郭)をなす第一エンジンデッキ(第一外壁)31と、第一エンジンデッキ31から膨出して外側の天井壁をなす第二エンジンデッキ(第二外壁)32とからなる二重壁構造(ダブルデッキ構造)になっている。
第一エンジンデッキ31の冷却ファン14の外周に位置する部分には、適宜の大きさの第一の排気口41が開口されている。詳しくは、第一の排気口41は、第一エンジンデッキ31において、冷却ファン14の翼端から冷却風流路下流側に少しずれた位置に形成されている。
そして、図2に示すように、第二の排気口42の冷却風流路上流側の縁部42aにはそれぞれ、上方且つ冷却風流路下流側に向かって傾斜した状態で(つまり、第二エンジンデッキ32に向かって立ち上がるとともに、冷却風流路下流側に傾斜した状態で)、薄板状のルーバー(案内部材)50が取り付けられている。
また、メインエンジンルーム10Aの底壁(底面)の、冷却ファン14の外周に位置する部分には、第四の排気口44が開口されている。
本発明の一実施形態にかかる作業機械の冷却風排気構造は上述のように構成されているので、以下のような作用・効果がある。
冷却風は、冷却ファン14の回転によって、吸気口21から吸気され、クーリングルーム10C内に入り、クーリングパッケージ13の内部を通過したのち、冷却ファン14に軸方向に吸い込まれる。
そのため、図1中矢印Qで示すようなファン軸近傍の比較的低速の冷却風は、エンジン11周りを旋回しながら軸方向に流れるが、このような冷却風も、ダクトDの負圧により、第二の排気口42を介してダクトD内に吸い込まれる。
したがって、冷却ファン14背面の冷却風は、第四の排気口44から機外に排出されるとともに、第一の排気口41及び第二の排気口42を介してダクトDに良好に導入され第三の排気口43から機外に排出されるので、圧力損失がなく、排気効率を確実に向上させることができる。
また、メインエンジンルーム10Aの天井部は、ダブルデッキ構造になっているので、第一エンジンデッキ31と第二エンジンデッキ32とを透過して鉛直方向に伝播する騒音をより低減することができる。
また、第二の排気口42にルーバー50を設けているので、図2に示すように、ルーバー50と第二エンジンデッキ32とにより形成される絞り形状Tで、ダクトD内の流速はより増大し、第二の排気口42を介して比較的低速の冷却風がダクトD内に導入されやすくなり、排気効率をより向上させることができる。
また、排気効率が向上したので、全体の排気圧損が下がり、冷却ファン14の冷却風量が増加し、クーリングパッケージ13のクーリング能力をよりアップさせることができ、よりコンパクトなクーリングパッケージ13の設計が可能になる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上記実施形態において、ルーバー50を、第二の排気口42を鉛直方向で完全に覆い隠すように構成したが、必ずしも鉛直方向で完全に覆い隠すように構成しなくても良く、例えば、少なくとも、第二の排気口42からダクトDに導入された冷却風を冷却風流路下流側に案内するように構成するにとどめても良い。
また、上記実施形態では、エンジンルーム10の天井部以外に開口された排気口は、メインエンジンルーム10Aの底壁の第四の排気口44のみであったが、例えば、第四の排気口44に加え、ポンプルーム10Bに補助的な排気口を開口し、ポンプルーム10Bに漏れた冷却風を機外に良好に排出できるようにしても良い。
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業装置
5 カウンタウエイト
10 エンジンルーム
10A メインエンジンルーム
10B ポンプルーム
10C クーリングルーム
11 エンジン
12 油圧ポンプ
13 クーリングパッケージ(冷却装置)
14 冷却ファン
21 吸気口
31 第一エンジンデッキ(第一外壁)
32 第二エンジンデッキ(第二外壁)
41 第一の排気口
42 第二の排気口
43 第三の排気口
44 第四の排気口
50 ルーバー(案内部材)
100 上部旋回体
101,111 エンジン
102,112 冷却ファン
103,113 クーリングパッケージ(冷却装置)
104,114 吸気口
105,115 エンジンルーム
106,116 排気口
117 ダクト
D ダクト(流通空間)
Claims (2)
- 作業機械の動力源であるエンジンと、
機外から冷却風を吸気する冷却ファンと、
該冷却ファンにより吸気された冷却風が通風される冷却装置と、
該エンジン,該冷却ファン及び該冷却装置をその内部空間に収容するとともに、その内部空間が冷却風の流路として機能するエンジンルームと、
該エンジンルームの外郭をなす第一外壁と、
該冷却装置を通過した後の冷却風を該エンジンルーム外に排出すべく、該第一外壁における該冷却ファンの外周に位置する部分に開口された第一の排気口と、
該冷却装置を通過した後の冷却風を該エンジンルーム外に排出すべく、該第一外壁における該第一の排気口よりも冷却風流路下流側に開口された第二の排気口と、
該第一の排気口及び該第二の排気口を覆うように該第一外壁から膨出して該第一外壁に取り付けられ、該第一外壁と二重壁構造で該エンジンルームの外郭をなすとともに、該第一外壁との間に冷却風の流路として機能する流通空間を形成する第二外壁と、
該第二の排気口の冷却風流路上流側の縁部に、該第二外壁に向かって立ち上がるとともに該冷却風流路下流側に傾斜した状態で取り付けられ、該第二の排気口から排出された冷却風を該流通空間内の該冷却風流路下流側へ案内する案内部材と、
該流通空間内の冷却風を該機外へ排出すべく、該第二外壁の冷却風流路下流側端部に形成された第三の排気口とを備え、
該案内部材と該第二外壁とによって該流通空間内に絞り形状が形成され、該絞り形状は該流通空間内を流通する冷却風の流速を増大させて該流通空間内を負圧にする
ことを特徴とする、作業機械の冷却風排気構造。 - 該案内部材は、該第二外壁側から見て、該第二の排気口を完全に覆い隠すように取り付けられている
ことを特徴とする、請求項1記載の作業機械の冷却風排気構造。
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