JP5254527B2 - 男性臭抑制剤 - Google Patents
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一方、皮膚常在菌の活性を抑制することで揮発性ステロイドの発生を抑制する技術が報告されている(非特許文献2参照)。
さらに、抗酸化物質と、揮発性ステロイドの生物代謝抑制成分および/または抗菌成分とを組み合わせることにより、上記酸化変換反応の制御と共に皮膚常在菌等による生物代謝が抑制され、男性特異臭をより顕著に抑制できることを見出した。
本発明は、係る知見に基づくものである。
ここで、抗酸化物質としては、ヤマジソ抽出物、ユーカリ抽出物、ゴマ抽出物、ローズマリー抽出物、イチョウ抽出物、クワ抽出物、セージ抽出物、ワレモコウ抽出物、ドクダミ抽出物、クジン抽出物、ホップ抽出物、アスコルビン酸、およびトコフェロールから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明の男性臭抑制剤は、揮発性ステロイドの生物代謝抑制成分および/または抗菌成分を有効成分としてさらに含有することが好ましい。
ここで、揮発性ステロイドの生物代謝抑制成分は、ゲンノショウコ抽出物、キョウニン抽出物、キウイ抽出物、カワラヨモギ抽出物、ゼニアオイ抽出物、プルーン抽出物、グレープフルーツ抽出物、トウキ抽出物、ゲンチアナ抽出物、センキュウ抽出物、トルメンチラ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、サイシン抽出物、ニンニク抽出物、オランダカラシ抽出物、ベニバナ抽出物、シナノキ抽出物、タイソウ抽出物、コメヌカ抽出物、テンチャ抽出物、カリン抽出物、セイヨウキズタ抽出物、ビワ抽出物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウオトギリソウ抽出物、トウヒ抽出物、エイジツ抽出物、ニンジン抽出物、ノバラ抽出物、クインスシード抽出物、ユズ抽出物、シタン抽出物、および納豆抽出物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
そして、本発明は、上記男性臭抑制剤を含む製剤をも提供するものである。かかる製剤は、化粧料、医薬品、および医薬部外品のいずれかであることが好ましい。
また、本発明の男性臭抑制剤は、抗酸化物質に加え、さらに抗菌成分および/または生物代謝抑制成分を組み合わせることにより、従来技術と比較して目的の男性特異臭を確実に抑制することを可能とする新規な知見に基づくものである。
本発明の男性臭抑制剤は、汗臭、腋臭、足臭等の体臭中に存在する男性臭を抑制するデオドラント剤の一種である。
男性臭とは、男性に特異的な体臭であり、その代表的なものは揮発性ステロイド類である。揮発性ステロイド類とは、例えば、3α−アンドロステノール、3β−アンドロステノール、アンドロスタジェノール、アンドロスタジェノン、アンドロステロン、アンドロステノン等が挙げられる。アンドロステノンとしては、5α−アンドロスト−16−エン−3−オン(androst−16−en−3−one)、4,16−アンドロスタジエン−3−オン(4,16−androstadien−3−one)等が挙げられ、3β−アンドロステノールとしては5,16−アンドロスタジエン3β−オール(5,16−androstadien−3β−ol)が挙げられ、3α−アンドロステノールとしては5α−アンドロスト−16−エン−3α−オール(5α−androst−16−en−3α−ol)、5α−アンドロスト−16−エン−3β−オール(5α−androst−16−en−3β−ol)等が挙げられる。
溶媒抽出処理の温度やpH等の実施条件に特に限定はなく、冷浸、温浸、加熱還流、パーコレーション法などの形態で実施することができる。
また、溶媒抽出処理および分離精製処理以外にも、水蒸気蒸留、炭酸ガスを超臨界状態にして行う超臨界抽出等の抽出処理により得られる結果物を植物抽出物として用いることもできる。なお、超臨界抽出においては、抽出助剤としてヘキサン、エタノールなどを用いることができる。
また、本発明において抗菌成分を抗酸化物質と併せて有効成分として含有させることにより、皮膚常在菌等の生物自体の生命力を低下させることができるので揮発性ステロイドの生成量が減少し、抗酸化物質の作用とあいまって不快な男性臭をより顕著に抑制することができる。
さらに、生物代謝抑制成分および抗菌成分の両者を抗酸化物質と共に含有させることにより、皮膚常在菌などの生物の代謝を抑制すると共に、生物自体の生命力を低下させることができるので、抗酸化物質の作用とあいまって不快な男性臭をより顕著に抑制することができる。
皮膚常在菌において揮発性ステロイド生成の代謝に関わる酵素としては、β−グルクロニダーゼ、4−エンレダクターゼおよび5α−レダクターゼの存在が知られているが、その他の関連酵素や代謝経路については未知である。従って、揮発性ステロイドの生物代謝抑制成分は、β−グルクロニダーゼ、4−エンレダクターゼおよび5α−レダクターゼの阻害作用の有無に拘わらず、体臭の主たる原因物質である揮発性ステロイド生成を抑制する効果を有するものであれば良い。
(C)レダクターゼ阻害剤としては、レダクターゼを阻害することにより揮発性ステロイドの生成抑制するものであれば特に限定されずに用いることができる。
コリネバクテリウム キセロシス(Corynebacterium xerosis)を用いた揮発性ステロイド生成系とは、前記不揮発性のステロイド硫酸塩に、コリネバクテリウム キセロシス(Corynebacterium xerosis)を1×108個/mL接種し、37℃で6時間培養して揮発性ステロイドを生成させる反応系のことをいう。前記した各種植物や植物加工品の抽出物は、この系で90%以上という高度の揮発性ステロイド生成抑制率を示すものである。
本発明の男性臭抑制剤に配合されうる制汗成分としては、塩化アルミニウム、オキシ塩化アルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、硫酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、塩基性乳酸アルミニウム亜鉛等の収斂作用を有する単体塩類、あるいはこれらの単体塩類を含有するグリコール複合体やアミノ酸複合体等が挙げられ、これらは単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
ここで、形態としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えばエアゾールスプレー、ロールオン、スティック、ボディーソープ、ローション、ジェル、クリーム、シート、乳液、ムース、軟膏、等適宜選択することができる。なお、粉末は、通常組成物中に均一に分散されるが、使用時に振とうして用いる多層分離系としてもよい。
試験に用いた植物の全草(植物体)、もしくは根茎部、樹皮部、果実部といった特定部位を、乾燥、粉砕して粗末とし、各粗末10gを70%エタノール100mLに浸漬し、室温で5日間抽出した。残渣をろ別して得られた抽出液を減圧濃縮し、抽出固形物が1質量%となるように、70%エタノールで希釈し、各植物抽出物を得た。
アンドロステノール(シグマ社製)と、調製例1で調製された植物抽出物、アスコルビン酸、およびトコフェロールから様々な組み合わせとなるように選ばれたサンプルとを、エタノールに溶解させ、表1〜3に示す組成の試験溶液を調製した。サンプルがエタノールに不溶であった場合は、懸濁状態のまま試験溶液として用いた。実験に用いたアスコルビン酸、トコフェロールはいずれも和光純薬製のものを用いた。なお、表1〜3における各組成の単位は、いずれも質量%とした。
それぞれの試験溶液5mLを、90mm径のガラスシャーレに広げ、60℃にて1昼夜加熱した。その後、シャーレ上の残存物を酢酸エチル20mLにて再溶解して回収し、エバポレーターで脱溶媒した。さらに、1mLの酢酸エチルに再溶解し、ガスクロマトグラフィーにて、女性が不快に感じるアンドロステノン(Asn)の発生量(Asn量)を調べた。
アンドロステノールのみ含む比較例1の試験溶液におけるAsn量を基準として、下記の式(1)により、各実施例のアンドロステノン発生抑制率を下記の式(1)にて求めた。
結果を表1〜3に示す。
このことから、ホップ、ゴマ、セージ、クジン、ドクダミ、イチョウ、ヤマジソ、クワ、ユーカリ、ローズマリー、またはワレモコウ由来の抽出物、アスコルビン酸、およびトコフェロールは、アンドロステロールからアンドロステノンへの酸化変換反応を阻害する効果を発揮することが明らかとなった。
表4〜6に示す様々な組成のエアゾール型デオドラント剤を調製し、以下の手順および基準で各デオドラント剤のデオドラント効果を評価した。なお、表4〜6における各組成の単位は、いずれも質量%とした。
男性被験者10名について、入浴後、片腋のみエアゾール型デオドラント剤を0.1g/10cm2の割合でスプレーし、もう一方の腋は塗布しないまま、予め洗浄したガーゼを両腋部に縫いつけたシャツを8時間着用してもらった。着用後両腋部のガーゼに付着した体臭について、女性専門パネラー5名により、エアゾール型デオドラント剤塗布部と未塗布部の比較を行い、以下の評価基準にて官能評価した。
4点:未塗布部よりかなり臭わない。
3点:未塗布部より臭わない。
2点:未塗布部よりやや臭わない。
1点:未塗布部と同等の臭いである。
[デオドラント効果の評価基準]
◎:平均値が3.0点以上
○:平均値が2.5以上3.0未満
△:平均値が1.5以上2.5未満
×:平均値が1.5未満
特に、これらの物質をゲンチアナ抽出物やキョウニン抽出物といった揮発性ステロイドの生物代謝抑制成分と組み合わせて配合した実施例24、参考実施例30および34、また、さらに、トリクロサンや塩化ベンザルコニウムといった抗菌成分をさらに組み合わせて配合した参考実施例27および31では、顕著に優れたデオドラント効果が示された。
以上の結果から、抗酸化物質は、男性臭を抑制する効果を有することが明らかになると共に、抗酸化物質を揮発性ステロイドの生物代謝成分や抗菌成分と併用することにより、より顕著な効果が得られることが明らかとなった。
表7に示す様々な組成の化粧料を調製し、以下の手順および基準で各化粧料のデオドラント効果を評価した。なお、表7における各組成の単位は、いずれも質量%とした。
男性被験者10名の片方の脇下に各化粧料を塗布し、あらかじめ洗浄したガーゼを両腋部に縫いつけたシャツを着用してもらった。8時間着用後のガーゼに付着した体臭を専門パネラーにより参考実施例17と同様の評価基準で官能評価した。被験者は試験3日前から他のデオドラント剤の使用を禁止し、試験前日には無香料のボディーソープを使用してもらった。
[評価基準]
◎:3点以上の人数が8名〜10名であった。
○:3点以上の人数が7名〜6名であった。
△:3点以上の人数が5名〜3名であった。
×:3点以上の人数が2名〜0名であった。
以上の結果から、抗酸化物質を揮発性ステロイドの生物代謝成分と併用することにより、男性臭を顕著に抑制する効果が発揮されることが明らかとなった。
表8に示す様々な組成の化粧料を調製し、参考実施例18と同様の手順および基準で各化粧料のデオドラント効果を評価すると共に、溶解性を以下のようにして評価した。なお、表8における各組成の単位は、いずれも質量%とした。
溶解性の評価方法は、以下の通りである。すなわち、耐圧ガラス瓶に原液を加え、耐圧ガラス瓶用バルブを装着しクリンプした後、液化石油ガスを原液/液化石油ガス比10/90となるように注入した。25℃で30日間静置保存した後、液層部の透明度を目視で判断し、均一に溶解した場合は○、析出物がある場合は×とした。
結果を表8に示す。
以上の結果から、抗酸化物質は男性臭を抑制する効果を有することが明らかになると共に、抗酸化物質を揮発性ステロイドの生物代謝成分と組み合わせ、さらに抗菌成分や制汗成分をも配合することにより、より顕著な効果を得られることが明らかとなった。
表9に示すようにローズマリー抽出物の量を様々に変化させた組成の化粧料を調製し、参考実施例36と同様の手順および基準で各化粧料のデオドラント効果を評価すると共に、実施例41と同様の手順で溶解性を評価した。なお、表9における各組成の単位は、いずれも質量%とした。
結果を表9に示す。
以上の結果から、男性臭抑制効果と溶解性のバランスの取れた男性臭抑制剤を得るためには、抗酸化物質の配合量を0.0005質量%以上15質量%未満、特に0.0001質量%以上15質量%未満とすることが好ましいことが明らかとなった。
以下に、本発明の男性臭抑制剤の各種剤型(デオドラントスティック、ロールオンタイプ制汗剤、ボディーソープ、ボディーローション、ボディージェル)における参考配合例1〜14を、以下の表10〜14に示す。なお、表10〜14における各組成の単位は、いずれも質量%とした。
尚、以下の配合例に記載された各植物抽出物は、前記[調製例]にて示した抽出法により抽出されたものを用いた。
Claims (5)
- (a)アンドロステノールの酸化変換反応を抑制する抗酸化物質と、
(b)キョウニン抽出物、キウイ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ゲンチアナ抽出物ならびにカリン抽出物から選ばれる少なくとも1種の成分、および/または
(c)抗菌成分、と
を有効成分として含有し、有効成分が、
(a)としてのクワ抽出物と(b)としてのキウイ抽出物、
(a)としてのワレモコウ抽出物と(b)としてのキウイ抽出物と(c)としてのイソプロピルメチルフェノール、
(a)としてのホップ抽出物と(b)としてのゲンチアナ抽出物、
(a)としてのクジン抽出物と、(b)としてのグレープフルーツ抽出物と、(c)としての塩化ベンザルコニウム、
(a)としてのクジン抽出物およびクワ抽出物と、(b)としてのカリン抽出物と、(c)としての塩化ベンザルコニウム、ならびに
(a)としてのローズマリー抽出物と、(b)としてのキョウニン抽出物と、(c)としてのイソプロピルメチルフェノール、
から選ばれるいずれかであることを特徴とする男性臭抑制剤。 - 前記(a)の含有率が抑制剤全体に対し0.00005質量%以上15質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の男性臭抑制剤。
- 前記(b)および/または(c)の含有率が抑制剤全体に対し0.001質量%〜5.0質量%である請求項1または2に記載の男性臭抑制剤。
- 化粧料、医薬品、および医薬部外品である請求項1から3のいずれかに記載の男性臭抑制剤。
- エアゾールスプレーである請求項1から4のいずれかに記載の男性臭抑制剤。
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