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JP5250219B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、トレッド踏面に、周方向に連続して延びる周溝を設けるとともに、周溝から離れた位置で陸部表面に開口する気室と、この気室を前記周溝に連通させる狭窄ネックとよりなる共鳴器を陸部に配設したタイヤに関し、特に、気柱共鳴音低減効果を犠牲にすることなく、走行時の打音も抑制することのできるものに関する。
近年の車両の静粛化に伴って、自動車騒音に対する、タイヤ騒音の占める割合が相対的に大きくなっているため、そのタイヤ騒音の低減が大きな課題となっている。なかでも、人の耳につき易い、1000Hz前後のタイヤ騒音は車外騒音の主な要因となっており、この騒音は、環境問題の点からも早急な対策が望まれるに至っている。
ところで、ほぼ800〜1200Hzのタイヤ騒音は、タイヤの接地面内で、それの周方向溝と路面とによって区画される気柱が共鳴することに起因する気柱共鳴によって発生するものであることが一般に知られており、このような気柱共鳴の抑制のため、トレッド踏面に、周方向に連続して延びる周溝を設けるとともに、周溝から離れた位置で陸部表面に開口する気室と、この気室を前記周溝に連通させる狭窄ネックとよりなる共鳴器を陸部に配設した空気入りタイヤが提案されており(例えば、特許文献1参照。)、このタイヤによると横溝の反共振により気柱共鳴音が低減できるとされている。
特開2001−191734号公報
しかしながら、上記に示した従来技術においては、狭窄ネックは、周溝から気室に至るまでの全長にわたって一定の開口幅を有するもので構成されていて、この場合、狭窄ネックを形成する陸部の剛性は、周方向に連続する周溝に繋がる周溝側よりも、陸部で囲まれている気室に繋がる気室側の方が高く、この剛性差が大きければ大きいほど陸部が路面を叩くときの打音が大きいことが分かっていて、この剛性差に起因する打音を抑制することが求められていた。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、気柱共鳴音低減効果を犠牲にすることなく、走行時の打音も抑制することのできるタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、トレッド踏面に、周方向に連続して延びる周溝を設けるとともに、周溝から離れた位置で陸部表面に開口する気室と、この気室を前記周溝に連通させる狭窄ネックとよりなる共鳴器を陸部に配設したタイヤにおいて、前記狭窄ネックのトレッド踏面への開口幅を、周溝側で狭く、気室側で広くなるよう、その長さ方向で変化させ、前記狭窄ネックの幅が段階的に変化するタイヤである。
本発明によれば、狭窄ネックのトレッド踏面への開口幅を、周溝側で狭く、気室側で狭くなるよう、その長さ方向で変化させたので、狭窄ネックが長さ方向において一定の開口幅を有する場合には周溝側の方が気室側に対比して低くなる陸部剛性を、周溝側の陸部面積を気室側より広くすることにより、周溝側と気室側とで同じにすることができ、このことによって打音を抑制することができる。
本発明の実施形態について、図に基づいて説明する。図1は本発明に係る実施形態の空気入りタイヤを適用リムに組付けて最高空気圧を充填するとともに最大負荷能力に相当する質量を負荷した状態下でのタイヤ接地面を示す平面図であり、このタイヤは、トレッド踏面に、周方向に連続して延びる周溝1を有するとともに、周溝1に開口し周溝1から離れた陸部2の表面に開口する気室3と、気室3を周溝1に連通させる狭窄ネック4とよりなる共鳴器5を陸部2に配設して構成される。
ここで、適用リムとは下記の規格に規定されたリムをいい、最高空気圧とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応して規定される空気圧をいい、最大負荷能力とは、下記の規格でタイヤに負荷することが許される最大の質量をいう。
そして規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では“THE TIRE AND RIM ASSOCIARION INC. の YEAR BOOK ”あり、欧州では、“The European Tyre and Rim Technical Organization の STANDARDS MANUAL”であり、日本では日本自動車タイヤ協会の“JATMA YEAR BOOK”である。
本発明の特徴は、狭窄ネック4の幅を長さ方向、すなわち、共鳴器の幅方向の中点を繋いでできる中心線LNに沿った方向で変化させている点にあり、図2は、共鳴器5の開口部を示す平面図であり、図3は、共鳴器5を、幅方向中心線LNに沿った長さ方向断面において模式的に示す断面図であり、この例の場合、共鳴器5は、幅がW、長さがL1、深さがD1の気室3と、長さがL2、深さがD2の狭窄ネック4とで構成され、狭窄ネック4は、幅がw1で長さがm1の周溝側部分14aと、幅がw2で長さがm2の気室側部分14bとよりなっていて、幅w1はw2よりも小さい。
図3に示したものは、狭窄ネックの幅が段階的に変化するが、この幅を、周溝側から気室側に連続的に広げてゆくこともできる。
この例のように、狭窄ネック4の幅を周溝側で狭く、気室側で広くすることによって、もし幅を変化させない場合には、周溝側で高く気室側で低くなってしまう陸部剛性を、両側でほぼ等しくすることができ、このことによって陸部剛性の分布により発生する打音を低減することができる。この打音低減作用について、以下の実施例を参照して説明する。
図2、図3に示した実施形態のタイヤを実施例とし、この実施例と比較するため、図4に平面図で示すような、深さおよび長さが実施例と同じであるが、狭窄ネックの幅が長さ方向で一様な点だけが実施例と異なる共鳴器を有するタイヤを比較例として、これらについて騒音を測定した。測定結果を図5に、横軸に周波数、縦軸に音圧をとって表すグラフにて示す。
なお、実施例および比較例の共鳴器は、気室の幅Wが10mm、気室の長さL1が25mm、気室の深さD1が8mm、狭窄ネックの長さL2が10mm、狭窄ネックの深さD2が2mmのものを用い、実施例の狭窄ネック4については、幅w1が3.5mmで長さm1が5mmの周溝側部分14aと、幅w2が5mmで長さm2が5mmの気室側部分14bとよりなるものとした。また、比較例の狭窄ネックの幅幅w3は4mmであった。
騒音の測定方法としては、195/65R15のサイズのタイヤを6JJのリムに装着し、210kPa空気圧を充填し、室内ドラム試験機により、4.4kNの荷重の作用下で40km/hの速度で負荷転動させ、このときのタイヤの側方音をJASO C606に定める条件に従って測定し、1/3オクターブバンドでの値を求めて図5のようにグラフ化した。
打音による騒音の周波数は、40km/hの速度条件、195/65R15のタイヤの周長、および、共鳴器の数が60個であることの条件より計算すると667Hzであり、図5に示すようにこの帯域において、実施例のものは比較例のものに対比して音圧レベルが明らかに低減されていることが分かる。一方、周溝の共鳴音による騒音の周波数帯域は800〜1200Hzであり、この領域の音圧レベルは実施例と比較例とはほぼ差がなく、従って、図5より明らかなように、本発明のタイヤは、共鳴音低減効果を犠牲にすることなく、打音の発生を抑制できることがわかる。
本発明に係る実施形態のタイヤの接地面を示す平面図である。 実施形態のタイヤの共鳴器を示す平面図である。 実施形態のタイヤの共鳴器を示す断面図である。 比較例のタイヤの共鳴器を示す平面図である。 騒音の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1 周溝
2 陸部
3 気室
4 狭窄ネック
5 共鳴器
10 タイヤ接地面
14a 狭窄ネックの周溝側部分
14b 狭窄ネックの気室側部分

Claims (1)

  1. トレッド踏面に、周方向に連続して延びる周溝を設けるとともに、周溝から離れた位置で陸部表面に開口する気室と、この気室を前記周溝に連通させる狭窄ネックとよりなる共鳴器を陸部に配設したタイヤにおいて、前記狭窄ネックのトレッド踏面への開口幅を、周溝側で狭く、気室側で広くなるよう、その長さ方向で変化させ
    前記狭窄ネックの幅が段階的に変化するタイヤ。
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