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JP5248661B2 - ゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブ - Google Patents

ゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブ Download PDF

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JP5248661B2 JP2011156688A JP2011156688A JP5248661B2 JP 5248661 B2 JP5248661 B2 JP 5248661B2 JP 2011156688 A JP2011156688 A JP 2011156688A JP 2011156688 A JP2011156688 A JP 2011156688A JP 5248661 B2 JP5248661 B2 JP 5248661B2
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    • A63B2209/02Characteristics of used materials with reinforcing fibres, e.g. carbon, polyamide fibres

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂プリプレグ(シート)を巻回し熱硬化させて製造するゴルフクラブシャフト(カーボンシャフト)及びゴルフクラブに関する。
プリプレグは、未硬化の熱硬化性樹脂を強化繊維(補強繊維、炭素繊維等)に含浸させたシート状のものとして知られており、ゴルフクラブシャフトでは、テーパ軸からなるマンドレルに複数枚のプリプレグを巻回し、加熱硬化させてテーパ状シャフトとしている。
図10は、複数のプリプレグからなるゴルフクラブシャフト1の典型的な構成例を示す概念図である。ゴルフクラブシャフト1は、その下層から順に、繊維方向をシャフトの長手方向に対して直交させたプリプレグ(90゜(フープ)層プリプレグ)から構成した圧縮剛性(潰れ剛性)保持層2、繊維方向をシャフトの長手方向に対して斜交させたプリプレグ(斜交(バイアス)プリプレグ、45゜層プリプレグ)から構成した捩り剛性保持層3、及び繊維方向をシャフトの長手方向と平行な方向に向けたプリプレグ(0゜層プリプレグ)から構成した曲げ剛性保持層4を有している。圧縮剛性保持層2と捩り剛性保持層3は、上下を入れ替えることもある。圧縮剛性保持層2と曲げ剛性保持層4を構成するプリプレグは、繊維方向が単一なので一般にUD(UNI-DIRECTION)プリプレグと呼ばれる。また、捩り剛性保持層3は一般に、シャフト長手方向に対する繊維方向が対称(一般的に長手方向に対して±45゜)の一対のUDプリプレグ(45゜層、バイアス層)を含んでおり、さらに、平織織物(二軸織物)、三軸織物、四軸織物を熱硬化性樹脂に含浸させた平織織物(二軸織物)プリプレグ、三軸織物プリプレグ、四軸織物プリプレグを捩り剛性保持層3中に含ませたゴルフクラブシャフト1も本出願人によって開発されている。
特開平9−131422号公報 特開2000-51413号公報
このようなゴルフクラブシャフト1では、圧縮剛性保持層2は繊維方向が90゜に限定され、曲げ剛性保持層4は繊維方向が0゜に限定されている。これに対し、捩り剛性保持層3は、これに含まれる繊維の方向が多様であればあるほど、等方性(方向を問わない捩り強度)が高くなり、スチールシャフトに近い打感が得られると考えられている。これが捩り剛性保持層3に平織織物、三軸織物、四軸織物が用いられる主な理由である。等方性の大小について「等方性度(度数)」という概念を用いれば、一対のバイアス層プリプレグ、平織織物プリプレグ、三軸織物層プリプレグ、四軸織物層プリプレグの順に、等方性度は上がると考えられる。ちなみに、スチールシャフトの等方性度は最も高い。
しかし、別の問題は、捩り剛性保持層3の厚さ(重量)には制限がある点である。厚さに制限がある以上、より少ないプリプレグのより少ないプライ数(巻回数)で十分な捩り剛性を確保するための工夫が必要である。別言すれば、同じ枚数の異種または同種のプリプレグを用いたときに、より捩り剛性を高くすることができる構造が求められる。
本発明は、以上の問題意識に基づいてなされたものであり、捩り剛性保持層を構成するプリプレグの等方性が高く、より少ないプリプレグのより少ないプライ数で、十分な捩り剛性を確保できるゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブを得ることを目的とする。
本発明は、従来の捩り剛性保持層は、まず、ゴルフクラブシャフトの長手方向に対する繊維の斜交方向が特定のプリプレグを巻回した後、その上に別の繊維方向のプリプレグを巻いて構成されていたのを改め、これらの繊維方向の異なるプリプレグを予め重ね、これを重ねた状態のまま、連続して2回以上巻回すれば、重ねられたプリプレグを1枚のプリプレグと見たときには等方性度が上がり、一方、1枚毎のプリプレグと見たときには、そのプリプレグの表裏には2回転(周)以上に亘って、別の繊維方向のプリプレグが位置することとなるから、各プリプレグの層間のずれ(加熱硬化後の各プリプレグの繊維間のずれ)を抑えることができ、従って捩り剛性を高めることができるとの着眼に基づいてなされたものである。
本発明のゴルフクラブシャフトは、その一態様では、シャフトの長手方向に対して斜交する強化繊維を備えた熱硬化性樹脂の捩り剛性保持層を有するゴルフクラブシャフトにおいて、上記捩り剛性保持層が、繊維方向を一方向に揃えた強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた3層のUDプリプレグをセットにした3層セットプリプレグを含むこと、上記3層セットプリプレグ中の各UDプリプレグには、互いに異なる方向の強化繊維が含まれていること、上記3層セットプリプレグは、繊維方向がシャフト長手方向に対して直交するUDプリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向に対して対称をなす一対の傾斜UDプリプレグとからなること、及び上記3層セットプリプレグは、上記3層のUDプリプレグを重ねた状態で連続させて2回以上巻回されていること、を特徴としている。
本発明のゴルフクラブシャフトは、別の態様では、シャフトの長手方向に対して斜交する強化繊維を備えた熱硬化性樹脂の捩り剛性保持層を有するゴルフクラブシャフトにおいて、上記捩り剛性保持層が、繊維方向を一方向に揃えた強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた3層のUDプリプレグをセットにした3層セットプリプレグを含むこと、上記3層セットプリプレグ中の各UDプリプレグには、互いに異なる方向の強化繊維が含まれていること、上記3層セットプリプレグは、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなすUDプリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向に対して対称をなす一対の傾斜UDプリプレグとからなること、及び上記3層セットプリプレグは、上記3層のUDプリプレグを重ねた状態で連続させて2回以上巻回されていること、を特徴としている。
本明細書で「強化繊維」とは、炭素繊維のほかに、アルミナ繊維、アラミド繊維、チラノ繊維、アモルファス繊維、ガラス繊維などの種々の繊維を意味する。
本発明のゴルフクラブは、以上の構成のゴルフクラブシャフトに、クラブヘッドとグリップを装着したゴルフクラブである。
本発明によれば、捩り剛性保持層を構成するプリプレグの等方性が高く、より少ないプリプレグのより少ないプライ数で、十分な捩り剛性を確保できるゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブを得ることができる。
本発明によるゴルフクラブシャフトの第1の実施形態を示す、長手方向と直交する断面模式図である。 三軸織物の平面図である。 図2のIII-III線に沿う断面図である。 強化繊維の方向がシャフトの長手方向に対して対称な2枚のUDプリプレグからなるUDプリプレグの概念的平面図である。 本発明によるゴルフクラブシャフトの第2の実施形態を示す、長手方向と直交する断面模式図である。 本発明によるゴルフクラブシャフトの第3の実施形態を示す、長手方向と直交する断面模式図である。 平織織物の平面図である。 平織織物の断面図である。 4軸織物の平面図である。 従来の一般的なゴルフクラブシャフトの構成例を示す模式斜視図である。
以下、図面を参照して本発明によるゴルフクラブシャフトの各実施形態について説明する。本明細書中で「等方性」とは、ゴルフクラブシャフトの方向を問わない捩り強度を意味する。
(実施形態1)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るゴルフクラブシャフト10の模式断面図である。周知のように、ゴルフクラブシャフト10は、その先端小径側から手元大径側に向かって漸次外径を大きくしたテーパ筒状に形成されており、その小径側端部にはクラブヘッドが装着され、大径側端部にはグリップが装着されるが、その図示は省略している。
このゴルフクラブシャフト10は、図10の従来品と同様に、下層(内側)から順に、圧縮剛性(潰れ剛性)保持層11、捩り剛性保持層20、曲げ剛性保持層12及び化粧層(研磨層、曲げ剛性保持層)13を有している。図1では、本実施形態を理解し易くするため、これら各層11、20、12、13の厚み、段差を誇張して描いている。図1では各層11、20、12、13の巻回開始終了位置の近傍に隙間があるように描かれているが、この隙間は加熱硬化時には熱硬化樹脂によって満たされる。また、本実施形態の特徴は、捩り剛性保持層20の構成にあり、圧縮剛性保持層11と曲げ剛性保持層12は、図10の従来品と同様の構成である(構成とすることができる)ので、その断面形状を省略している。一般的には、圧縮剛性保持層11は、繊維方向をシャフトの長手方向と直交する方向に向けた90°層のUDプリプレグからなり、曲げ剛性保持層12は、繊維方向がシャフトの長手方向と平行をなす0°層のUDプリプレグからなっている。これら圧縮剛性保持層11と曲げ剛性保持層12のプリプレグのプライ数は、含まれる強化繊維の物性及び含浸させる熱硬化性樹脂の物性を勘案し、シャフトに要求される仕様に応じて設定される。ゴルフクラブシャフト10の最外層に位置させる化粧層(研磨層、曲げ剛性保持層)13は、繊維方向がシャフトの長手方向と平行をなす0°層のUDプリプレグからなっており、この化粧層13を研磨することによりシャフトの曲げ剛性が調整され、またシャフトの見栄えがよくなる。なお、本実施形態の圧縮剛性保持層11、捩り剛性保持層20、曲げ剛性保持層12及び化粧層13は、全てゴルフクラブシャフト10の全長に渡る全長層である。先端小径部及び(又は)手元大径部には、必要に応じ(常法に従い)、短尺のプリプレグを巻回することがある。
捩り剛性保持層20は、三軸織物プリプレグ31とUDプリプレグ32を重ね合わせた複数層セットプリプレグ30を連続して2回巻回してなっている。すなわち、三軸織物プリプレグ31とUDプリプレグ32は予め重ね合わされて複数層セットプリプレグ30にされ、円錐状のマンドレル上に巻いた圧縮剛性保持層11の上に巻回されている。この複数層セットプリプレグ30の上には曲げ剛性保持層12のプリプレグが巻回され、常法に従い、加熱硬化されてゴルフクラブシャフト10が形成される。圧縮剛性保持層11と曲げ剛性保持層12のプリプレグと、三軸織物プリプレグ31とUDプリプレグ32は、周知のように、マンドレルに巻いたとき全長が整数プライとなるように、平面台形状とするのが一般的である。
図2、図3は、三軸織物プリプレグ31に含まれる三軸織物3の概念図である。三軸織物3は、緯糸3aに対して斜交した第1の経糸3bと第2の経糸3cを有し、これらの緯糸3a、経糸3b及び3cは、正六角形の空隙3Pを形成するように、交互に糸の上下を通り織られた構造となっている。各糸のなす角度θは、理想的には120°である。三軸織物は擬似等方性があるため、UDプリプレグと比較して、単独でも変形やずれが生じにくい。また、三軸織物プリプレグ31を巻回する際には、例えば緯糸3aをシャフトの長手方向に向けて、あるいは直交させて巻くことができるが、方向のずれがあったとしても、必ずシャフトの長手方向に対して傾斜した強化繊維が含まれることとなる。
図4に示すように、UDプリプレグ32は、強化繊維の方向がシャフトの長手方向に対して対称な2枚の傾斜UDプリプレグ32a、32bからなっている。傾斜UDプリプレグ32aと32bに含まれる強化繊維のシャフト長手方向に対する傾斜方向は、30°から60°とするのが一般的であるが、これに限定されない。
ここで、三軸織物プリプレグ31のみを複数回巻回した場合には、三軸織物プリプレグどうしが当接することになるが、三軸織物プリプレグは3方向の糸を織って形成されていて凹凸があるため、層間に隙間が生じやすい。これに対し、本実施形態のように、三軸織物プリプレグ31とUDプリプレグ32を積層して複数層セットプリプレグ30とすると層間に生じる凹凸が少なくなるので、プリプレグの熱硬化性樹脂を硬化させたとき、三軸織物プリプレグ31とUDプリプレグ32の層間のずれ(繊維間のずれ)を極めて生じにくくすることができる。また、三軸織物プリプレグ31とUDプリプレグ32には、互いに異なる方向の強化繊維が含まれているため、相互のねじれ変形を抑制することができる。
また、繊維方向の異なる三軸織物プリプレグ31とUDプリプレグ32(32a、32b)を別個の層として巻回するのではなく、1セットの層として巻回するので、複数層セットプリプレグ30を1枚のプリプレグと見ることができる結果、ゴルフクラブシャフト10の等方性を大きくすることができる。すなわち、三軸織物プリプレグ31とUDプリプレグ32(32a、32b)を別個の層として巻回した場合、ゴルフクラブシャフト10の等方性は各プリプレグが有する等方性の単純な足し合わせに過ぎないが、三軸織物プリプレグ31とUDプリプレグ32(32a、32b)を重ねた状態で連続して巻回すれば、使用するプリプレグは全く同一でありながら、各プリプレグが有する等方性の単純な足し合わせを飛躍的に超えた高い等方性が発現される。これにより、等方性の高いスチールシャフトに近い打感のゴルフクラブシャフト10が得られる。
また、複数層セットプリプレグ30を三軸織物プリプレグ31とUDプリプレグ32(32a、32b)の1枚毎のプリプレグと見たときには、各プリプレグの表裏には2回転(周)以上に亘って、別の繊維方向のプリプレグが位置することとなるから、各プリプレグの層間のずれ(加熱硬化後の各プリプレグの繊維間のずれ)を抑えることができ、従って捩り剛性を高めることができる。すなわち、内外に隣接する三軸織物プリプレグ31とUDプリプレグ32(32a、32b)が互いに押さえ合って移動を規制する結果、層間のずれ(繊維間のずれ)を抑えて捩り剛性を高めることができる。
圧縮剛性保持層11及び曲げ剛性保持層12を構成するプリプレグ、並びに三軸織物プリプレグ31及びUDプリプレグ32に含まれる強化繊維としては、炭素繊維のほかに、アルミナ繊維、アラミド繊維、チラノ繊維、アモルファス繊維、ガラス繊維などを用いることができる。すなわち、糸の種類は基本的に限定されない。
糸の太さは、好ましくは、3K(1Kはフィラメント1000本)以下であるのがよい。3Kを超えるとプリプレグが厚くなりすぎ、十分な繊維密度(打込本数)を確保できないおそれがあり、また、マンドレルに巻きつける作業性が悪くなるおそれがある。
このような強化繊維に含浸させる樹脂は、基本的にいかなるものでも使用し得る。例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ピーク樹脂などを用いることができる。
プリプレグの厚さは、UDプリプレグにあっては0.02から0.25mmであることが好ましく、織物プリプレグにあっては0.06から0.30mmであることが好ましい。UDプリプレグ(織物プリプレグ)の厚さが0.02mm(0.06mm)未満であると、良好な剛性を得ることが難しく、0.25mm(0.30mm)を超えると、シャフトの長さ方向に剛性のばらつきを生じるおそれがある。
プリプレグの重さは、400g/m2以下であるのがよい。400g/m2を超えると、厚くなりすぎ、マンドレルに巻回するのが困難になる。
プリプレグの樹脂量は、UDプリプレグにあっては20から50重量%であることが好ましく、織物プリプレグにあっては30から60重量%であることが好ましい。UDプリプレグ(織物プリプレグ)の樹脂量が20重量%(30重量%)未満であると、樹脂量が少なすぎて良好なシャフトを製造できないおそれがあり、50重量%(60重量%)を超えると、シャフトが同重量の場合には十分な捩れ剛性が発現されないおそれがある。
図示例の複数層セットプリプレグ30の巻回数は「2」であるが、強化繊維及び熱硬化性樹脂の物性その他を勘案し、シャフトに要求される性能に基づいて、「2」以上とすることができる。
(実施形態2)
図5は、本発明の第2の実施形態に係るゴルフクラブシャフト40の模式断面図である。この実施形態は、図1ないし図4で説明した2回巻きの複数層セットプリプレグ30を2つ設け(捩り剛性保持層20を2層設け)、かつ、その巻回方向を互いに逆にしたものである(一方が右回りなら他方は左回り)。このように構成されたゴルフクラブシャフト40によれば、巻回による方向性をなくし、さらに、円周方向の層間の変形及びずれをより確実に防止することができる。すなわち、捩り剛性保持層20の周方向の均一度が増し、強度が高まるとともに、外観上の見栄えも良くなる。
(実施形態3)
図6は、本発明の第3の実施形態に係るゴルフクラブシャフト50の模式断面図である。この実施形態では、平織織物(二軸織物)に熱硬化性樹脂を含浸させた平織織物(二軸織物)プリプレグ41とUDプリプレグ32を積層した複数層セットプリプレグ60を用意し、この複数層セットプリプレグ60を、図1で説明した複数層セットプリプレグ30の上に2回連続して、かつ複数層セットプリプレグ30とは逆向きに巻回している。
図7、図8は、平織織物プリプレグ41に含まれる平織織物4の概念図である。平織織物4は、互いに直交する緯糸4aと経糸4bを織った構造であり、シャフトの長手方向に対して緯糸4aと経糸4bがそれぞれ理想的には45°をなすように巻回されている。マンドレルは円錐状であるため、巻回態様によっては緯糸4a、経糸4bとシャフト長手方向とのなす角度が45°から若干外れることがあるが、緯糸4aと経糸4bのなす角度は90°であるため、安定している。
以上の実施形態の三軸織物プリプレグ31または平織織物プリプレグ41に代えて、四軸織物に熱硬化性樹脂を含浸させた四軸織物プリプレグを用いてもよい。図9は、四軸織物プリプレグに含まれる四軸織物5を示すもので、シャフト長手方向と平行な縦軸糸5aと、この縦軸糸5aに直交する横軸糸5bと、縦軸糸5aと横軸糸5bに対して対称な角度(例えば45°と−45°)で斜交する斜交軸糸5c及び5dとを有し、これらの縦軸糸5a、横軸糸5b、斜交軸糸5c、5dが交互に糸の上下を通り織られた構造になっている。縦軸糸5a、横軸糸5b、斜交軸糸5c、5dの間には、五角形の空隙5Pが形成されている。このような四軸織物5を未硬化熱硬化性樹脂に含浸させることにより四軸織物プリプレグとなる。尚、縦軸糸5a(横軸糸5b)と斜交軸糸5c(5d)が斜交する角度は限定されない。
以上の実施形態では、複数層セットプリプレグを三軸織物プリプレグとUDプリプレグの組み合わせ、平織織物プリプレグとUDプリプレグの組み合わせ、または四軸織物プリプレグとUDプリプレグの組み合わせから構成したが、これらの組み合わせは一例であり、本発明は、基本的に、複数層セットプリプレグ中の複数のプリプレグ中に互いに異なる方向の強化繊維が含まれていればよい。可能なプリプレグの組み合わせの例を表1に示す。
Figure 0005248661
いずれの組み合わせで複数層セットプリプレグを構成しても、各プリプレグを別個の層として巻回した場合と比較して、使用するプリプレグは全く同一でありながら、各プリプレグが有する等方性の単純な足し合わせを飛躍的に超えた高い等方性が発現される。また、内外に隣接するプリプレグが互いに押さえ合って移動を規制する結果、層間のずれ(繊維間のずれ)を抑えることができ、捩り剛性を高めることができる。
さらに、複数層セットプリプレグに、繊維方向をシャフトの長手方向と平行をなす0°層のUDプリプレグ、及び繊維方向をシャフトの長手方向と直交する方向に向けた90°層のUDプリプレグを含ませることにより、捩り剛性保持層に、圧縮(潰れ)と曲げに対する剛性を持たせることも可能である。
以上の実施形態では、下層(内側)から順に、圧縮剛性保持層11、捩り剛性保持層20、曲げ剛性保持層12及び化粧層13を配置しているが、これら各層の上下(内外)関係には自由度がある。例えば、圧縮剛性保持層11と捩り剛性保持層20の配置を入れ替えて、下層(内側)から順に、捩り剛性保持層20、圧縮剛性保持層11、曲げ剛性保持層12及び化粧層13を配置してもよい。
10 40 50 ゴルフクラブシャフト
11 圧縮剛性(潰れ剛性)保持層
12 曲げ剛性保持層
13 化粧層(研磨層、曲げ剛性保持層)
20 捩り剛性保持層
30 60 複数層セットプリプレグ
31 三軸織物プリプレグ
32 UDプリプレグ
32a 32b 傾斜UDプリプレグ
3 三軸織物
41 平織織物(二軸織物)プリプレグ
4 平織織物(二軸織物)
5 四軸織物

Claims (3)

  1. シャフトの長手方向に対して斜交する強化繊維を備えた熱硬化性樹脂の捩り剛性保持層を有するゴルフクラブシャフトにおいて、
    上記捩り剛性保持層が、繊維方向を一方向に揃えた強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた3層のUDプリプレグをセットにした3層セットプリプレグを含むこと、
    上記3層セットプリプレグ中の各UDプリプレグには、互いに異なる方向の強化繊維が含まれていること
    上記3層セットプリプレグは、繊維方向がシャフト長手方向に対して直交するUDプリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向に対して対称をなす一対の傾斜UDプリプレグとからなること、及び
    上記3層セットプリプレグは、上記3層のUDプリプレグを重ねた状態で連続させて2回以上巻回されていること、を特徴とするゴルフクラブシャフト。
  2. シャフトの長手方向に対して斜交する強化繊維を備えた熱硬化性樹脂の捩り剛性保持層を有するゴルフクラブシャフトにおいて、
    上記捩り剛性保持層が、繊維方向を一方向に揃えた強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた3層のUDプリプレグをセットにした3層セットプリプレグを含むこと、
    上記3層セットプリプレグ中の各UDプリプレグには、互いに異なる方向の強化繊維が含まれていること、
    上記3層セットプリプレグは、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなすUDプリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向に対して対称をなす一対の傾斜UDプリプレグとからなること、及び
    上記3層セットプリプレグは、上記3層のUDプリプレグを重ねた状態で連続させて2回以上巻回されていること、を特徴とするゴルフクラブシャフト。
  3. 請求項1または2記載のゴルフクラブシャフトにクラブヘッド及びグリップを装着したゴルフクラブ。
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