JP5245311B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Description
このような芳香族ポリカーボネートの製造方法としては、ビスフェノールA等のビスフェノール類とホスゲンとを直接反応させる方法(界面法)、ビスフェノールA等のビスフェノール類とジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合反応させる方法(溶融法)が知られている。中でも、エステル交換反応による溶融法は、界面法と比較して安価にポリカーボネートを製造することができるという利点を有している。
本発明は、このような溶融法による芳香族ポリカーボネートの製造における課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、溶融法により熱履歴が少なく色相に優れる高分子量の芳香族ポリカーボネートの製造方法を提供することにある。
(1)少なくとも1基の反応器における平均滞留時間が120分以内。
(2)少なくとも1基の反応器における反応液の単位容積当たりの撹拌動力が2.0kW/m3以上。
(3)少なくとも1基の反応器における反応液の単位処理量当たりの蒸発表面積が1.0m2・hr/m3以上。
ここで、反応器が竪型反応器であることが好ましい。
また、反応器としては、直列に接続された複数基の竪型反応器と、竪型反応器に続く少なくとも1基の横型反応器と、を有し、多段工程によるエステル交換反応が行われることが好ましい。
この場合、竪型反応器に続く横型反応器における反応液の平均滞留時間を120分以内とし、横型反応器における反応液の単位処理量当たりの蒸発表面積を4.0m2・hr/m3以上とすることが好ましい。
また、横型反応器の直前の竪型反応器に供給される反応液の極限粘度が0.1dl/g以上の場合に、上述した条件でエステル交換反応が行われることが好ましい。
さらに、このような運転条件により製造される芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量が10,000以上であることが好ましい。
ここで、反応器の少なくとも1基が竪型反応器であり、且つ、竪型反応器の少なくとも1基が、上述した極限粘度及び蒸発表面積の条件を満たすものであることが好ましい。
さらに、竪型反応器における反応液の反応条件が、下記(1)及び(2)の条件を満たすことが好ましい。
(1)竪型反応器における反応液の平均滞留時間が120分以内。
(2)竪型反応器における反応液の単位容積当たりの撹拌動力が2.0kW/m3以上。
本発明において、芳香族ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく重縮合により製造される。
以下、原料として芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを用い、エステル交換触媒の存在下、連続的に重縮合反応を行うことにより、芳香族ポリカーボネートを製造する方法について説明する。
本実施の形態において使用する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」、以下、BPAと略記することがある。)が好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
本実施の形態において使用する炭酸ジエステルとしては、下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルを併用した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
即ち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常、炭酸ジエステル1.01〜1.30、好ましくは1.02〜1.20のモル比で用いられる。同一反応条件下では、このモル比が小さくなるほど反応速度が上昇し、芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量が大きくなる傾向がある。また、この範囲でモル比が大きくなると、反応速度が低下し、粘度平均分子量は小さくなる傾向がある。
モル比が過度に小さいと、重縮合により得られるポリカーボネートの末端OH基の量が多くなり、反応性は高くなるものの、熱安定性、耐加水分解性等が低下する傾向がある。また、モル比が過度に大きいと、所望の分子量を有する芳香族ポリカーボネートの生産が困難となる傾向がある。
本実施の形態において使用するエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネートを製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。一般的には、例えば、アルカリ金属化合物、ベリリウム又はマグネシウム化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。
これらのエステル交換触媒の中でも、実用的にはアルカリ金属化合物が望ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
エステル交換触媒の使用量は、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10−9〜1×10−1モル、好ましくは1×10−7〜1×10−2モルの範囲で用いられる。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
次に、芳香族ポリカーボネートの製造方法について説明する。
芳香族ポリカーボネートの製造は、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステル化合物の所望のモル比の混合物を調製し(原調工程)、これらの化合物を、エステル交換反応触媒の存在下、溶融状態で複数の反応器を用いて多段階の重縮合反応させる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。反応器は、複数基の竪型反応器及びこれに続く少なくとも1基の横型反応器が用いられる。通常、これらの反応器は直列に設置され、連続的に処理が行われる。
重縮合工程後、反応液中の未反応原料や反応副生物を除去し(脱揮工程)、冷却された芳香族ポリカーボネートは所定の粒径のペレットに成形される(ペレット化工程)。
次に、製造方法の各工程について説明する。
芳香族ポリカーボネートの原料として使用する芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式または連続式の撹拌槽型の装置を用いて、溶融混合物として調製される。溶融混合の温度は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常20℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲から選択される。
この際、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの割合は、炭酸ジエステルが過剰になるように調整され、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルは通常1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの割合になるように調整される。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段〜7段の多段工程で連続的に行われる。具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.33×10−3kPa)である。また、本実施の形態では、平均滞留時間は120分以下、好ましくは90分以下である。
多段工程の各反応器においては、重縮合反応の進行とともに副生するフェノールをより効果的に排出するために、上記の反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。尚、得られる芳香族ポリカーボネートの色相等の品質低下を防止するためには、できるだけ低温、低滞留時間の設定が好ましい。
ここで、竪型反応器とは、撹拌翼の回転軸が竪型(垂直方向)であるものをいう。竪型反応器の形状としては、反応器の内径Dに対する直胴部長さLとの比率(L/D)が3以下、好ましくは0.5〜3であるものが用いられる。尚、反応器の直胴部長さLとは、反応器の形状が、円筒両鏡のときには、反応器のタンジェンシャルライン間の長さを指し、また、反応器の上部または下部が平蓋構造のときには、側胴部片側のタンジェンシャルラインと、もう一方の片側端面間の距離を指す。また、反応器の内径Dは、反応液が充填されている領域での距離を指すものである。
触媒の溶解に使用する水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
重縮合工程後、脱揮工程において反応液中の未反応原料、エステル交換触媒、エステル交換反応で副生するモノヒドロキシ化合物、ポリカーボネートオリゴマー等の低分子量化合物が除去される。脱揮処理は、通常、ベント式の押出機により連続的に行われる。
使用する押出機としては、ベント部を備えたものであればどのような形式のものでも使用することができ特に限定されないが、例えば、ベント式の単軸又は多軸押出機が挙げられるが、特に、かみ合い型二軸押出機が好ましい。押出機の軸の回転方向は同方向回転でも異方向回転でもよい。ベント数は、通常2段〜10段の多段ベントが用いられる。
脱揮工程において添加する酸性化合物又はその誘導体としては、塩基性エステル交換触媒を中和するものであれば、いずれも使用でき、特に限定されない。例えば、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられる。これらの酸性化合物又はその誘導体のなかでも、スルホン酸類又はそのエステル類が好ましく、中でも、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチルが特に好ましい。
脱揮工程において押出機より排出されたストランド状のポリカーボネートは、通常、ストランドバスを経由してストランドカッターによりペレット化され、その後、遠心脱水機等により水分を除去した後に製品サイロに収納される。
次に、図面に基づき、本実施の形態が適用される芳香族ポリカーボネートの製造方法を具体的に説明する。
図1は、芳香族ポリカーボネートの製造装置の一例を示す図である。図1に示す製造装置において、芳香族ポリカーボネートは、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステル化合物を含む混合物を調製する原調工程と、これらの原料を溶融状態で複数の反応器を用いて重縮合反応させる重縮合工程とを経て製造され、その後、反応液中の未反応原料や反応副生物を除去する脱揮工程と、ペレット化工程を経て、芳香族ポリカーボネートのペレットが製造される。
また、第1原料混合槽2aには、DPC供給口1a−1から、炭酸ジエステルであるジフェニルカーボネート(以下、DPCと記載することがある。)が溶融状態で供給され、BPA供給口1bからは、芳香族ジヒドロキシ化合物であるビスフェノールA(以下、BPAと記載することがある。)が粉末状態で供給される。
また、予めエステル交換触媒を調製する触媒溶解槽5aと、触媒溶解槽5aで調製したエステル交換触媒を第1竪型反応器6aに供給するための触媒導入管5bが設けられている。
さらに、4基の反応器には、それぞれ重縮合反応により生成する副生物等を排出するための留出管8a,8b,8c,8dが取り付けられている。留出管8a,8b,8c,8dは、それぞれ凝縮器81a,81b,81c,81dに接続し、また、各反応器は、減圧装置82a,82b,82c,82dにより、所定の減圧状態に保たれる。
ペレット化工程に置いては、押出機11aより排出されたストランド状の芳香族ポリカーボネートを冷却するストランドバス13aと、冷却したストランドを所定の粒径にカットするストランドカッター14aと、ペレットの水分を除去するための遠心脱水機15aと、乾燥したペレットを格納する製品サイロ16a,16bとが設けられている。
次に、原料混合物は、原料供給ポンプ4aを経由して第1竪型反応器6aに連続的に供給される。
またエステル交換触媒として、水溶液状の炭酸セシウムが、触媒溶解槽5aから、触媒導入管5bにより第1竪型反応器6aに連続的に供給される。
本実施の形態においては、第1竪型反応器6aと第2竪型反応器6bとにそれぞれ取り付けられた凝縮器81a,81bからは、フェノール等の副生物が連続的に液化回収される。また、第3竪型反応器6cと第4横型反応器9aとにそれぞれ取り付けられた凝縮器81c,81dにはコールドトラップ(図示せず)が設けられ、副生物が連続的に固化回収される。
押出機11aより排出されたストランド状の芳香族ポリカーボネートはストランドバス13aを経由してストランドカッター14aでペレット化され、遠心脱水機15aにて水分除去した後に製品サイロ16a,16bに導入される。
特に、本実施の形態では、竪型反応器における芳香族ポリカーボネートの製造が、以下の条件を満たすことに特徴を有している。
(1)竪型反応器における平均滞留時間(θ)が90分以下、好ましくは75分以下、さらに好ましくは60分以下。
(2)竪型反応器における反応液の単位容積当たりの撹拌動力(P/V)が2.0kW/m3以上、好ましくは2.5kW/m3以上、さらに好ましくは3.0kW/m3以上。
(3)竪型反応器における反応液の単位処理量当たりの蒸発表面積(A/F)が1.0m2・hr/m3以上、好ましくは2.0m2・hr/m3以上、さらに好ましくは3.0m2・hr/m3以上。
また、竪型反応器に取付けられる撹拌翼の回転数は、採用する翼形状によって撹拌の動力特性が異なるため、採用した翼形状または装置スケール毎に撹拌動力を満たすように、撹拌翼の回転数を設定する必要がある。
また、横型反応器の場合、撹拌動力を大きくしても必ずしもフェノールの除去が効率的に行われるわけではない。そのため、横型反応器における撹拌動力は特に限定されず、装置のスケール又は翼形状に関係無く、通常、2rpm〜15rpmの範囲で設定される。このとき、表面更新性を向上させるために、単位処理量当たりの蒸発表面積(A/F)は4.0m2・hr/m3以上とすることが好ましい。
この場合、第3竪型反応器6cに供給される重合反応液の極限粘度[η]が0.1dl/g以上、好ましくは0.2dl/g以上、さらに好ましくは0.3dl/g以上である場合に、第3竪型反応器6cにおける芳香族ポリカーボネートの製造運転が、少なくとも上述した(3)の条件(反応液の単位処理量当たりの蒸発表面積(A/F)が1.0m2・hr/m3以上)を満たすことが望ましい。さらに、第3竪型反応器6cにおいては、上述した(1)〜(3)の条件を満たすことがより望ましい。
上述した条件を満たすことにより、粘度平均分子量(Mv)が10,000以上の色相に優れた芳香族ポリカーボネートを製造することができる。
また、芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中20℃で測定した極限粘度[η](単位:dl/g)に基づき、以下の式より求めた。
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83
重合反応液の粘度は、直列に接続した3基の竪型反応器の最後段に設けた第3竪型反応器6cから排出される段階で増大する。重合反応液はさらに第4横型反応器9aへ供給されて、目標とする分子量の芳香族ポリカーボネートが得られるまで重縮合反応が継続される。
ここで、第3竪型反応器6cの後段に接続した第4横型反応器9aにおける芳香族ポリカーボネートの製造が、以下の条件を満たすことが好ましい。
(a)第4横型反応器9aでの平均滞留時間(θ)が120分以内、好ましくは90分以内、さらに好ましくは60分以内。
(b)第4横型反応器9aでの単位処理量当たりの蒸発表面積が4.0m2・hr/m3以上、好ましくは10m2・hr/m3以上、さらに好ましくは15m2・hr/m3以上である。
第4横型反応器9aにおける反応が上述した条件を満たすことにより、粘度平均分子量(Mv)が10000以上の色相に優れた芳香族ポリカーボネートを製造することができる。
(1)芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)
芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中20℃の極限粘度[η](単位:dl/g)を測定し以下の式より求めた。
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83
(2)芳香族ポリカーボネートの色相
芳香族ポリカーボネートの色相は、射出成形機(株式会社日本製鋼所製J100SS−2)を用いて、バレル温度280℃、金型温度90℃の条件下にて成形した厚み3mm、一辺100mm角のシートについて、カラーテスター(スガ試験機株式会社製SC−1−CH)で色の絶対値である三刺激値XYZを測定し、次の関係式により黄色度の指標であるYI値を計算した。
YI=(100/Y)×(1.28X−1.06Z)
YI値が大きいほど着色していることを示す。
前述した図1に示すように、原料混合槽2基と、竪型反応器3基及び横型反応器1基とを有する製造装置により、以下の条件で芳香族ポリカーボネートの製造を行った。
初めに、原調工程において、DPC(ジフェニルカーボネート)とBPA(ビスフェノールA)とを、窒素ガス雰囲気下、一定のモル比(DPC/BPA=1.040)に混合し、DPC/BPAの原料混合溶融液を調製した。
第1竪型反応器6a内は、温度222℃、圧力13.33KPa(100Torr)とし、単位容積当たりの撹拌動力0.8kW/m3(翼回転数:200rpm)、単位処理当たりの蒸発表面積2.7m2・hr/m3、に制御した。
また、重合反応液の平均滞留時間が60分になるように、反応器底部のポリマー排出ラインに設けたバルブ開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。
また、第2竪型反応器6b及び第3竪型反応器6cは容量130Lであり、第4横型反応器9aは容量280L(蒸発表面積0.59m2)である。
第4横型反応器9aのポリマー排出口から抜き出した芳香族ポリカーボネートは、押出機11aを用い脱揮し、冷却後ペレット化した。
運転条件は、反応器の温度(℃)、反応器の圧力(Torr)、平均滞留時間(分)、反応器における単位容積当たりの撹拌動力(kW/m3)、反応器における単位処理量当たりの蒸発表面積(m2・hr/m3)の順番に表記した。
220℃、100Torr、60分、0.8kW/m3(160rpm)、2.7m2・hr/m3
[η]=0.06dl/g
(第2竪型反応器6b)
240℃、15Torr、60分、0.8kW/m3(100rpm)、2.7m2・hr/m3
[η]=0.16dl/g
(第3竪型反応器6c)
270℃、0.5Torr、60分、4.2kW/m3(60rpm)、2.7m2・hr/m3
[η]=0.30dl/g
尚、芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)の目標値は、22000〜23000とした。
(第4横型反応器9a)
280℃、0.5Torr、60分、5rpm、10.0m2・hr/m3
粘度平均分子量(Mv)=22100
製品ポリマー色相(黄色度:YI)=1.5
実施例1において、(BPA/DPC)原料混合溶融液の供給速度を71.0kg/時とし、炭酸セシウム水溶液の供給速度を66g/時とし、第1竪型反応器6a〜第3竪型反応器6cの各反応器での平均滞留時間をそれぞれ90分とした。
また、第4横型反応器9a内の重合反応液の充填率を約25%とし、第4横型反応器9aの平均滞留時間を120分とした。これ以外の製造条件は、実施例1と同様に設定して芳香族ポリカーボネートを製造した。
第1竪型反応器6a、第2竪型反応器6b、第3竪型反応器6cにおける運転条件と、運転開始30時間後に各反応器の重合反応液について測定した極限粘度([η])を以下に示す。
運転条件は、実施例1と同様に、反応器の温度(℃)、反応器の圧力(Torr)、平均滞留時間(分)、反応器における単位容積当たりの撹拌動力(kW/m3)、反応器における単位処理量当たりの蒸発表面積(m2・hr/m3)の順番に表記した。
220℃、100Torr、90分、0.8kW/m3(160rpm)、4.0m2・hr/m3
[η]=0.06dl/g
(第2竪型反応器6b)
245℃、15Torr、90分、0.8kW/m3(100rpm)、4.0m2・hr/m3
[η]=0.16dl/g
(第3竪型反応器6c)
270℃、0.5Torr、90分、4.2kW/m3(60rpm)、4.0m2・hr/m3
[η]=0.33dl/g
(第4横型反応器9a)
280℃、0.5Torr、60分、5rpm、15.0m2・hr/m3
粘度平均分子量(Mv)=22400
製品ポリマー色相(黄色度:YI)=1.7
実施例1において、(BPA/DPC)原料混合溶融液の供給速度を212.9kg/時とし、炭酸セシウム水溶液の供給速度を200g/時とし、第1竪型反応器6a〜第3竪型反応器6cの各反応器での平均滞留時間をそれぞれ30分とした。
また、第4横型反応器9a内の重合反応液の充填率を約40%とし、第4横型反応器9aの平均滞留時間を60分とした。これ以外の製造条件は、実施例1と同様に設定して芳香族ポリカーボネートを製造した。
運転条件は、実施例1と同様に、反応器の温度(℃)、反応器の圧力(Torr)、平均滞留時間(分)、反応器における単位容積当たりの撹拌動力(kW/m3)、反応器における単位処理量当たりの蒸発表面積(m2・hr/m3)の順番に表記した。
220℃、100Torr、30分、0.8kW/m3(160rpm)、1.3m2・hr/m3
[η]=0.06dl/g
(第2竪型反応器6b)
245℃、15Torr、30分、0.8kW/m3(100rpm)、1.3m2・hr/m3
[η]=0.15dl/g
(第3竪型反応器6c)
270℃、0.5Torr、30分、4.2kW/m3(60rpm)、1.3m2・hr/m3
[η]=0.30dl/g
(第4横型反応器9a)
280℃、0.5Torr、60分、5rpm、5.0m2・hr/m3
粘度平均分子量(Mv)=22000
製品ポリマー色相(黄色度:YI)=1.5
実施例1において、(BPA/DPC)原料混合溶融液の供給速度を312.6kg/時とし、炭酸セシウム水溶液の供給速度を294g/時とし、第1竪型反応器6a〜第3竪型反応器6cの各反応器での平均滞留時間をそれぞれ30分とし、翼回転数を上昇させた。
また、第4横型反応器9a内の重合反応液の充填率を約40%とし、第4横型反応器9aの平均滞留時間を40分とした。これ以外の製造条件は、実施例1と同様に設定して芳香族ポリカーボネートを製造した。
運転条件は、実施例1と同様に、反応器の温度(℃)、反応器の圧力(Torr)、平均滞留時間(分)、反応器における単位容積当たりの撹拌動力(kW/m3)、反応器における単位処理量当たりの蒸発表面積(m2・hr/m3)の順番に表記した。
220℃、100Torr、30分、0.8kW/m3(186rpm)、0.9m2・hr/m3
[η]=0.06dl/g
(第2竪型反応器6b)
245℃、15Torr、30分、0.8kW/m3(116rpm)、0.9m2・hr/m3
[η]=0.14dl/g
(第3竪型反応器6c)
270℃、0.5Torr、30分、4.2kW/m3(70rpm)、0.9m2・hr/m3
[η]=0.28dl/g
(第4横型反応器9a)
280℃、0.5Torr、60分、5rpm、3.4m2・hr/m3
粘度平均分子量(Mv)=20100
製品ポリマー色相(黄色度:YI)=1.6
尚、製品ポリマーの分子量を増大させるために、第4横型反応器9aのポリマー排出部における温度を285℃に上昇させて製造運転を行ったところ、製品ポリマーの色相(黄色度:YI)がさらに2.2までに悪化した。
実施例1において、(BPA/DPC)原料混合溶融液の供給速度を53.2kg/時とし、炭酸セシウム水溶液の供給速度を50g/時とし、第1竪型反応器6a〜第3竪型反応器6cの各反応器での平均滞留時間をそれぞれ120分とした。
また、第4横型反応器9a内の重合反応液の充填率を約30%とし、第4横型反応器9aの平均滞留時間を40分とした。これ以外の製造条件は、実施例1と同様に設定して芳香族ポリカーボネートを製造した。
運転条件は、実施例1と同様に、反応器の温度(℃)、反応器の圧力(Torr)、平均滞留時間(分)、反応器における単位容積当たりの撹拌動力(kW/m3)、反応器における単位処理量当たりの蒸発表面積(m2・hr/m3)の順番に表記した。
220℃、100Torr、120分、0.8kW/m3(160rpm)、5.3m2・hr/m3
[η]=0.06dl/g
(第2竪型反応器6b)
245℃、15Torr、120分、0.8kW/m3(100rpm)、5.3m2・hr/m3
[η]=0.16dl/g
(第3竪型反応器6c)
270℃、0.5Torr、120分、0.8kW/m3(70rpm)、0.9m2・hr/m3
[η]=0.31dl/g
(第4横型反応器9a)
280℃、0.5Torr、40分、5rpm、20.0m2・hr/m3
粘度平均分子量(Mv)=22300
製品ポリマー色相(黄色度:YI)=2.4
尚、実施例1〜実施例3及び比較例1、比較例2の結果を表1に示す。
こうして得られた芳香族ポリカーボネートは、シート等の建築材料、水用ボトル等の容器、自動車用ヘッドランプレンズ、眼鏡等の光学用レンズ類、光ディスク等の光学用記録材料、液晶ディスプレイの導光板等に好適に使用することができる。
Claims (8)
- 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料とし撹拌装置を備えた反応器を複数基用いてエステル交換反応により溶融重縮合して芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、
前記反応器の少なくとも1基が竪型反応器であり、
下記(1)〜(3)の条件を満たすことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
(1)少なくとも1基の竪型反応器における平均滞留時間が120分以内。
(2)少なくとも1基の竪型反応器における反応液の単位容積当たりの撹拌動力が2.0kW/m3以上。
(3)少なくとも1基の竪型反応器における前記反応液の単位処理量当たりの蒸発表面積が1.0m2・hr/m3以上。 - 前記反応器が、
直列に接続された複数基の竪型反応器と、
前記竪型反応器に続く少なくとも1基の横型反応器と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 横型反応器における反応液の平均滞留時間を120分以内とし、当該横型反応器における前記反応液の単位処理量当たりの蒸発表面積を4.0m2・hr/m3以上とすることを特徴とする請求項2に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 横型反応器の直前の竪型反応器に供給される反応液の極限粘度が0.1dl/g以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 得られる芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量が10000以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料とし撹拌装置を備えた反応器を複数基用いてエステル交換反応により溶融重縮合して芳香族ポリカーボネートを製造する方法であって、
極限粘度が0.1dl/g以上の反応液が供給される前記反応器中の当該反応液の単位処理量当たりの蒸発表面積が1.0m2・hr/m3以上であることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 前記反応器の少なくとも1基が竪型反応器であり、且つ、当該竪型反応器の少なくとも1基が請求項6に記載の条件を満たすものであることを特徴とする請求項6に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 前記竪型反応器における前記反応液の反応条件が、さらに、下記(1)及び(2)の条件を満たすことを特徴とする請求項7に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
(1)竪型反応器における反応液の平均滞留時間が120分以内。
(2)竪型反応器における反応液の単位容積当たりの撹拌動力が2.0kW/m3以上。
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