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JP5244516B2 - 運転支援装置 - Google Patents

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JP5244516B2 JP2008237764A JP2008237764A JP5244516B2 JP 5244516 B2 JP5244516 B2 JP 5244516B2 JP 2008237764 A JP2008237764 A JP 2008237764A JP 2008237764 A JP2008237764 A JP 2008237764A JP 5244516 B2 JP5244516 B2 JP 5244516B2
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Description

本発明は、自車両前方の環境を認識して操舵制御及び減速制御を行う運転支援装置に関し、特にドライバの運転意思低下時に適切な運転支援を行うものに関する。
運転支援装置は、自車両前方の環境情報や自車両の走行状態に基いて、例えば操舵アシスト等の運転支援制御を行うものである。
このような運転支援装置は、あくまでもドライバの運転装置を支援または補助するものであり、ドライバの運転意思が低下しているのにも関わらず、運転支援装置の制御に依存して走行を続けることは好ましくない。
これに対し、例えば特許文献1には、車両の操舵制御装置において、運転意思の低下度合が所定の判定時間以上にわたって所定の閾値以上である場合に、操舵アシスト処理の禁止、報知手段による報知を行うとともに、走行速度やカーブ曲率等の道路状況に応じて判定時間を決定することが記載されている。
特開2007−168720号公報
しかし、特許文献1に記載された技術のように、ドライバの運転意思の低下時に直ちに操舵制御を停止した場合、運転意思が回復されるまでの間は車両がコントロールを失った状態に陥ってしまい、車線逸脱や衝突のリスクが大きい。また、警報等によってドライバの運転意思が回復した場合であっても、その際の車両状態によっては車両コントロールが不安定または危険な状態に陥る懸念がある。
本発明の課題は、ドライバの運転意思低下時に適切な運転支援制御を行う運転支援装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する
請求項の発明は、自車両前方の環境を認識して操舵機構に操舵力を付与する操舵制御、及び、自車両を減速させる減速制御を行う運転支援装置において、自車両の走行車線を認識する車線認識手段と、前記走行車線内に設定された目標走行位置に沿って自車両が走行するように第1の操舵力を設定する第1の操舵力設定手段と、前記走行車線からの自車両の逸脱傾向に応じて第2の操舵力を設定する第2の操舵力設定手段と、前記第1の操舵力と前記第2の操舵力との少なくとも一方を含む目標操舵力を設定する目標操舵力設定手段と、前記目標操舵力に基づいて操舵機構に操舵力を付与する操舵制御手段と、自車両を減速させる減速制御手段と、ドライバの運転意思低下を判定する運転意思判定手段とを備え、前記目標操舵力設定手段は、前記運転意思低下の判定に応じて前記第1の操舵力に基づいた目標操舵力の設定を中止するとともに前記第2の操舵力に基づいた目標操舵力を設定し、前記減速制御手段は、前記運転意思低下の判定に応じて自車両を減速させることを特徴とする運転支援装置である。
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)運転意思低下の判定に応じて操舵力の付与を中止するとともに、自車両を減速させることによって、ドライバに減速感を感じさせて運転意思の回復を促すとともに、車両の走行速度を低下させてリスクの低減を図ることができる。
(2)運転意思低下の判定に応じて、自車両を目標走行位置に沿って走行させる第1の操舵力に基づいた目標操舵力の設定を中止し、走行車線からの逸脱傾向に応じた第2の操舵力に基づいた目標操舵力の設定を行なうことによって、ドライバの制御への依存を防止するため第1の操舵力付与を中止した状態であっても、仮に自車両が逸脱傾向を有する場合には第2の操舵力により逸脱を防止することができ、リスクをよりいっそう低減することができる。
本発明は、ドライバの運転意思低下時に適切な運転支援制御を行う運転支援装置を提供する課題を、覚醒度低下判定に応じて目標走行位置からの自車両の横偏差に応じた操舵アシスト力の付与を停止し、車線逸脱警報制御を継続するとともに、車両を減速することによって解決した。
以下、本発明を適用した運転支援装置の実施例について説明する。
図1は、実施例の運転支援装置を有する車両のシステム構成を示す図である。
実施例の運転支援装置は、例えば、前2輪を操舵する4輪の乗用車等の自動車に設けられ、自車両前方の環境に基づいた操舵アシスト制御、車線逸脱防止制御、減速制御等を行うものである。
車両は、操舵機構10、電動パワーステアリング(EPS)制御ユニット20、操安制御ユニット30、エンジン制御ユニット40、トランスミッション制御ユニット50、車両統合ユニット60等を備えている。
操舵機構10は、前輪FWを支持するハウジングHを、所定の操向軸線(キングピン)回りに回転させて操舵を行うものである。
操舵機構10は、ステアリングホイール11、ステアリングシャフト12、ステアリングギアボックス13、タイロッド14等を備えて構成されている。
ステアリングホイール11は、ドライバが操舵操作を入力する環状の操作部材である。
ステアリングシャフト12は、ステアリングホイール11の回転をステアリングギアボックス13に伝達する回転軸である。
ステアリングギアボックス13は、ステアリングシャフト12の回転運動を車幅方向の直進運動に変換するラックアンドピニオン機構を備えている。
タイロッド14は、一方の端部をステアリングギアボックス13のラックに連結され、他方の端部をハウジングHのナックルアームに連結された軸状の部材である。タイロッド14は、ハウジングHのナックルアームを押し引きすることによってハウジングHを回転させ、操舵を行う。
EPS制御ユニット20は、ドライバの操舵操作に応じて操舵アシスト力を発生する電動パワーステアリング装置を統括的に制御するものである。EPS制御ユニット20には、電動アクチュエータ21、トルクセンサ22等が接続されている。
電動アクチュエータ21は、例えば、ステアリングシャフト12の途中に設けられ、減速機構を介して操舵機構10に対して操舵トルク(操舵力)を付与する電動モータである。
トルクセンサ22は、電動アクチュエータ21とステアリングホイール11との間でステアリングシャフト12に挿入され、ステアリングシャフト12に作用するトルクを検出するものである。通常、トルクセンサ22が検出するトルクは、ドライバがステアリングホイール11に入力する操舵トルクと実質的に等しくなる。
操安制御ユニット30は、各車輪のブレーキの制動力を個別に制御する車両操安性制御及びABS制御を行うものである。車両操安性制御は、アンダーステア又はオーバーステアの発生時に、旋回内輪側と外輪側の制動力を異ならせて復元方向のヨーモーメントを発生させるものである。ABS制御(アンチロックブレーキ制御)は、車輪のロック傾向を検出した際に、当該車輪の制動力を低減して回復させるものである。
操安制御ユニット30には、ハイドロリックコントロールユニット(HCU)31、車速センサ32、ヨーレートセンサ33、横加速度(横G)センサ34、舵角センサ35等が接続されている。
HCU31は、各車輪の液圧式サービスブレーキに付与されるブレーキフルード液圧を個別に制御する装置である。HCU31は、ブレーキフルードを加圧するモータポンプ、及び、各車輪のキャリパシリンダへ付与される圧力を調整するソレノイドバルブ等を備えている。
車速センサ32は、各車輪のハブベアリングを保持するハウジングに設けられ、車輪速に応じた車速パルス信号を出力する。この車速パルス信号は、所定の処理を施すことによって、車両の走行速度を求めることができる。
ヨーレートセンサ33及び横Gセンサ34は、車体の鉛直軸回りの回転速度及び横方向の加速度をそれぞれ検出するMEMSセンサを備えている。
舵角センサ35は、ステアリングシャフト12の角度位置(ステアリングホイール11の角度位置と実質的に等しい)を検出するエンコーダを備えている。
エンジン制御ユニット40は、車両の走行用動力源であるエンジン及びその補器類を統括的に制御するものである。また、エンジン制御ユニット40には、エンジンの始動操作を行う図示しないイグニッションスイッチが接続されている。
トランスミッション制御ユニット50は、エンジンの出力を変速して駆動軸のディファレンシャルギアへ伝達するオートマティックトランスミッションを統括的に制御するものである。
車両統合ユニット60は、上記各ユニットに関連する以外の車両の電装品を統括的に制御するものである。
また、車両は、以下説明する運転支援制御ユニット100及び警報装置200等を備えている。
運転支援制御ユニット100は、本実施例の運転支援装置の本体部を構成するものである。運転支援制御ユニット100は、上述したEPS制御ユニット20、操安制御ユニット30、エンジン制御ユニット40、トランスミッション制御ユニット50、車両統合ユニット60等と、例えばCAN通信システム等の車載LANを介して接続され、各種情報や信号を取得可能となっている。
運転支援制御ユニット100は、環境認識手段110、目標走行位置設定手段120、自車進行路推定手段130、操舵アシスト制御手段140、逸脱防止制御手段150、操舵力制御手段160、運転操作検出手段170、覚醒度低下判断手段180、減速制御手段190等を備えて構成されている。なお、これらの各要素は、それぞれ独立したハードウェアとして構成されてもよく、また、一部又は全部を共通したハードウェアとした構成としてもよい。
環境認識手段110は、自車両前方を撮像した画像情報に基づいて、自車両の走行車線の形状等を認識するものである。環境認識手段110は、本発明の車線認識手段として機能する。
環境認識手段110は、ステレオカメラ111、画像処理部112等が接続されている。
ステレオカメラ111は、例えば車両のフロントウインドウ上端部のルームミラー基部付近に設けられた一対のメインカメラ及びサブカメラを備えている。メインカメラ及びサブカメラは、それぞれCCDカメラを有して構成されている。メインカメラ及びサブカメラは、車幅方向に離間して設置されている。メインカメラ及びサブカメラは、それぞれ基準画像及び比較画像を撮像し、これらに係る画像データを画像処理部112に出力する。
画像処理部112は、ステレオカメラ111が出力した基準画像及び比較画像の画像データをA/D変換した後、所定の画像処理を施して環境認識手段110に出力するものである。この画像処理には、例えば、各カメラの取付位置誤差の補正や、ノイズ除去、階調の適切化などが含まれる。デジタル化された画像は、例えば、垂直方向及び水平方向にマトリクス状に配列された複数の画素を有する。これらの各画素は、それぞれ被写体の明るさに応じた輝度値を有する。
環境認識手段110は、基準画像及び比較画像のデータに基づいて、基準画像上の任意の画素又は複数の画素からなるブロックである画素群の視差を検出する。この視差は、ある画素又は画素群の基準画像上の位置と比較画像上の位置とのずれ量である。この視差を用いると、三角測量の原理により、自車両から当該画素に対応する被写体までの距離を算出することができる。
また、環境認識手段110は、自車両前方の車線両端部に配置された白線の形状等を認識する。なお、本明細書、特許請求の範囲等において、白線とは、車線の幅方向における端部に引かれた連続線又は破線を示すものとし、実際の色彩が白色以外(例えば燈色など)の線も含むものとする。
環境認識手段110は、基準画像のデータから画素の輝度データに基づいて白線部分の画素群を検出する。自車両に対する白線部分の画素群の方位は、画像データ上の画素位置に基づいて検出される。具体的には、垂直方向における画素位置が路面上に相当する領域を水平方向に走査し、輝度値が急変する箇所を車線の輪郭として認識する。そして、当該白線部分の画素群の距離を算出することによって、白線の位置を検出する。
そして、環境認識手段110は、白線位置の検出を連続的に行なって車両の進行方向に複数の車線候補点を設定し、整合のとれない車線候補点を無視するとともに、車線候補点を設定できなかった領域は所定の補完処理を行うことによって、自車両前方の車線形状を認識する。
目標走行位置設定手段120は、環境認識手段110が設定した自車両の走行車線の幅方向における中央に目標走行位置Xcを設定する。
自車進行路推定手段130は、環境認識手段110からの情報、車速センサ32、ヨーレートセンサ33、舵角センサ35等によって検出される車両の走行状態、及び、既知の車両諸元等に基づいて、自車進行路を推定するものである。
自車進行路の推定は、例えば、車両前方の注視距離Zにおける自車両の横位置Xeを算出することによって行う。
自車両の重心位置を原点とし、車幅方向へ延びるX軸、及び、車体前方側へ延びるZ軸を有する座標系を用いて以下説明する。
注視距離Zにおける自車両重心の推定横位置Xeは、ハンドル角度αを用いて、以下の式1によって求められる。
Figure 0005244516
また、自車進行路推定手段130は、上述したハンドル角度を用いた横位置の推定に代えて、以下の式2の通り、ヨーレートセンサ33が検出したヨーレートを用いて横位置を推定することができる。

Xe=Zγ/2V ・・・(式2)
Xe:注視距離Zにおける自車両重心の推定横位置[m]
Z:注視距離[m]
γ:車両のヨーレート[rad/sec]
操舵アシスト制御手段140は、目標走行位置設定手段120が設定した目標走行位置Xcと、自車進行路推定手段130が推定した自車両の横位置Xeとの横方向の偏差に基づいて、この偏差を低減する方向への目標操舵トルクτcを設定し、操舵力制御手段160に提供するものである。操舵アシスト制御手段140は、本発明の目標操舵力設定手段、第1の操舵力設定手段として機能する。
操舵アシスト制御手段140は、例えば、以下の式3を用いて目標操舵トルクτcを設定する。

τc=G・(Xc−Xe) ・・・(式3)
τc[Nm]:目標操舵トルク
:3次制御ゲイン
Xc[m]:目標走行位置
Xe[m]:自車両の推定横位置
逸脱防止制御手段150は、目標走行位置設定手段120が設定した目標走行位置Xcと、自車進行路推定手段130が推定した自車両の横位置Xeとを用いて、自車両の走行車線からの逸脱傾向を判定するものである。逸脱防止制御手段150は、例えば、目標走行位置Xcと自車両の推定横位置Xeとの横方向偏差を、環境認識手段110によって検出される車線幅と比較して逸脱傾向の判定を行う。
逸脱防止制御手段150は、逸脱傾向ありと判定された場合には、自車両を車線内側へ戻す方向へパルス状の目標操舵トルクτpを設定し、操舵力制御手段160に提供する逸脱防止制御を行う。逸脱防止制御手段150は、本発明の第2の操舵力設定手段として機能する。
操舵力制御手段160は、操舵アシスト制御手段140が設定する目標操舵トルクτc、及び、逸脱防止制御手段150が設定する目標操舵トルクτpに基づいて、EPS制御ユニット20に指示電流値を指示して電動アクチュエータ21を駆動させ、操舵機構10への操舵トルクの付与を行わせる。
また、操舵力制御手段160は、覚醒度低下判断手段180による覚醒度低下の判断に応じて、目標操舵トルクτc、及び、目標操舵トルクτpに基づいた操舵トルクの付与を段階的に中止する機能を備えている。この点については、後に詳しく説明する。
運転操作検出手段170は、EPS制御ユニット20等を介して、トルクセンサ22の出力値等のドライバの運転操作に関する情報を検出し、覚醒度低下判断手段180に提供するものである。
覚醒度低下判断手段180は、ドライバの運転意思を示す指標として覚醒度を検出するものである。覚醒度低下判断手段180は、本発明の運転意思判定手段として機能する。覚醒度低下判断手段180は、例えば、トルクセンサ22によって検出されるドライバからの操舵入力トルクが所定値以下(実質的に操作なし)の状態が、所定の判定時間以上にわたって継続した場合に、ドライバの覚醒度が低下していると判断する。
覚醒度低下判断手段180は、覚醒度低下判断の結果に応じて、操舵力制御手段160及び減速制御手段190の制御状態を変化させる機能を備えている。この点については、後に詳しく説明する。
また、覚醒度低下判断手段180は、ドライバからの操舵入力トルクの検出、アクセル操作やブレーキ操作等の検出に基づいて、ドライバの覚醒(覚醒度及び運転意思の回復)を検出する機能を備えている。
減速制御手段190は、操安制御ユニット30を介してHCU31を制御し、ブレーキ制動力を発生させて車両を減速させる制御を行うものである。この点については、後に詳しく説明する。
警報装置200は、覚醒度低下判断手段180による覚醒度低下判断に応じて、ドライバに対して警報を出力するものである。警報装置200は、例えば警報音を発するスピーカや、点灯、点滅によって警報を行う警告灯等を備えている。
実施例の運転支援制御ユニット100は、ドライバの覚醒度低下(運転意思低下)時に、逸脱防止制御は継続した状態で操舵アシスト制御を停止するとともに、減速制御を実行する機能を備えている。
図2は、ドライバの覚醒度低下時における制御を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS01:フラグ1判断>
覚醒度低下判断手段180は、後述するステップS03及びステップS08において設定されるフラグ1が1であるか否か判断する。
フラグ1=1である場合は、既にドライバの覚醒度低下により後述する急減速制御が行われたものとしてステップS09に進み、フラグ1≠1である場合はステップS02に進む。
<ステップS02:ドライバ意思低下判断>
覚醒度低下判断手段180は、運転操作検出手段170を介して取得されたトルクセンサ22の出力履歴に基づいて、上述したドライバの覚醒度低下判断を行う。
そして、覚醒度(運転意思)が低下していると判断された場合はステップS04に進み、その他の場合はステップS03に進む。
<ステップS03:操舵アシスト制御復帰、フラグ1=0>
覚醒度低下判断手段180は、操舵力制御手段160に指示を出し、操舵アシスト制御手段140が設定する目標操舵トルクτcに基づく操舵機構10への操舵トルクの付与を実行させる。
また、覚醒度低下判断手段180は、フラグ1を0にセットする。
その後、リターンし、ステップS01以降の処理を繰り返す。
<ステップS04:警報出力>
覚醒度低下判断手段180は、警報装置200に指示を出し、警報を出力させる。なお、この警報は、ドライバの覚醒が検出されるまで(ステップS02で意思低下が判定されなくなるまで)継続される。
その後、ステップS05に進む。
<ステップS05:操舵アシスト制御中止・逸脱防止制御継続>
操舵力制御手段160は、覚醒度低下判断手段180がドライバの覚醒度低下を判定したことを受け、操舵アシスト制御手段140が設定する目標操舵トルクτcに基づいた操舵機構10への操舵トルク付与を中止する。このとき、操舵力制御手段160は、逸脱防止制御手段150が設定する目標操舵トルクτpに基づいた操舵トルク付与は継続する。
これにより、操舵力制御手段160は、逸脱防止制御手段150における逸脱判定が不成立の状態では操舵機構10への操舵トルク付与を行わないとともに、逸脱判定が成立した場合には、パルス状の操舵トルク付与を行う状態となる。
その後、ステップS06に進む。
<ステップS06:減速制御作動>
減速制御手段190は、車両を緩減速する減速制御を作動させる。減速制御は、減速制御手段190が操安制御ユニット30を介してHCU31を制御し、各車輪の液圧式サービスブレーキに制動力を発生させることによって行われる。この減速制御における減速度は、例えば、エンジンブレーキと同程度となるように設定される。
その後、ステップS07に進む。
<ステップS07:所要時間判断>
覚醒度低下判断手段180は、ステップS02において最初に覚醒度低下判断が成立してからの所要時間(操舵アシスト制御を中止してからの時間、減速制御を作動させてからの時間と実質的に等しい)を、予め設定された所定値Tと比較し、所要時間がTを上回っている場合はステップS08に進み、所要時間がT以下である場合はリターンし、ステップS01以降の処理を繰り返す。
<ステップS08:急減速制御・フラグ1=1>
減速制御手段190は、ドライバにさらなる覚醒を促すため、上述した減速制御よりも減速度の大きい急減速制御を行う。急減速制御は、各車輪の液圧式サービスブレーキによって、例えば0.5G程度の減速Gを、例えば0.5秒間程度付与する。
また、覚醒度低下判断手段180は、フラグ1を1にセットする。
その後、ステップS09に進む。
<ステップS09:逸脱防止制御禁止・減速制御禁止>
操舵力制御手段160は、逸脱防止制御手段150が設定する目標操舵トルクτpに基づいた操舵トルク付与を禁止して、一切の操舵力付与を停止する。
また、減速制御手段190は、ステップS06において開始した減速制御を禁止し、制動力の発生を停止する。
その後、リターンし、ステップS01以降の処理を繰り返す。
上述したルーチンにより、覚醒度低下判断手段180がドライバの覚醒度低下を検出した場合には、運転支援装置は、先ず、操舵アシスト制御を停止するとともに、減速制御を行ってドライバの覚醒を促す。このとき、逸脱防止制御は継続されており、自車両の走行車線からの逸脱傾向が判定された場合には、車線中央側へのパルス状の操舵トルクが付与され、ドライバへの警報及び自車両の逸脱防止が図られる。そして、この状態で一定時間が経過してもドライバの覚醒度が向上しない場合には、急減速制御が行われた後、一切の操舵力付与が停止される。
また、この過程でドライバの覚醒度向上を覚醒度低下判断手段180が検出した場合には、運転支援装置の制御は通常の状態に復帰し、操舵アシスト制御及び逸脱防止制御が行われ、減速制御及び急減速制御は禁止される。
以上説明した実施例によると、以下の効果を得ることができる。
(1)覚醒度低下の判定に応じて、自車両が目標走行位置Xcに沿って走行するよう設定される目標操舵トルクτcに基づいた操舵トルクの付与を中止するとともに、自車両を減速させることによって、ドライバに減速感を感じさせて覚醒を促すとともに、車両の走行速度を低下させてリスク低減を図ることができる。
(2)覚醒度低下の判定に応じて、自車両を目標走行位置に沿って走行させる目標操舵トルクτcに基づいた操舵トルクの付与を中止し、走行車線からの逸脱判定が成立した際にのみパルス状の目標操舵トルクτpに基づいた操舵トルクの付与を行なうことによって、ドライバの制御への依存を防止するため、車線維持のための操舵アシスト制御を中止した状態であっても、仮に自車両が逸脱傾向を有する場合には逸脱防止制御に基づいたパルス状の操舵トルクにより逸脱を防止することができ、リスクをよりいっそう低減することができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)ドライバの運転意思低下を判別する手法は、実施例のような操舵入力トルクの履歴を検出するものに限らず、他の手法によるものであってもよい。例えば、舵角変化やその他の運転操作の履歴に基づいて運転意思低下を判別したり、ドライバを撮像した画像データに基づいて覚醒度低下時等特有の動作を検出したり、ドライバの生理的情報を取得して運転意思低下を判別するようにしてもよい。また、運転意思を示す指標も実施例のような覚醒度に限定されず、例えば漫然度等を用いることができる。
(2)減速制御及び急減速制御は、実施例では液圧式サービスブレーキの制動力を発生させることによって行っているが、本発明はこれに限定されず、例えば、電動スロットルバルブの急閉、燃料カット等によるエンジン出力抑制、駆動用モータへの通電停止又は電力回生ブレーキの作動、変速機のダウンシフト、電動パーキングブレーキの動的制動等、他の手法によって制動力を発生させるようにしてもよい。
本発明を適用した運転支援装置の実施例を有する車両のシステム構成を示す図である。 図1の運転支援装置におけるドライバ覚醒度低下時の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
10 操舵機構 11 ステアリングホイール
12 ステアリングシャフト 13 ステアリングギアボックス
14 タイロッド
FW 前輪 H ハウジング
20 電動パワーステアリング(EPS)制御ユニット
21 電動アクチュエータ 22 トルクセンサ
30 操安制御ユニット
31 HCU 32 車速センサ
33 ヨーレートセンサ 34 横Gセンサ
35 舵角センサ
40 エンジン制御ユニット 50 トランスミッション制御ユニット
60 車両統合ユニット
100 運転支援制御ユニット 110 環境認識手段
111 ステレオカメラ 112 画像処理部
120 目標走行位置設定手段 130 自車進行路推定手段
140 操舵アシスト制御手段 150 逸脱防止制御手段
160 操舵力制御手段 170 運転操作検出手段
180 覚醒度低下判断手段 190 減速制御手段
200 警報装置

Claims (1)

  1. 自車両前方の環境を認識して操舵機構に操舵力を付与する操舵制御、及び、自車両を減速させる減速制御を行う運転支援装置において、
    自車両の走行車線を認識する車線認識手段と、
    前記走行車線内に設定された目標走行位置に沿って自車両が走行するように第1の操舵力を設定する第1の操舵力設定手段と、
    前記走行車線からの自車両の逸脱傾向に応じて第2の操舵力を設定する第2の操舵力設定手段と、
    前記第1の操舵力と前記第2の操舵力との少なくとも一方を含む目標操舵力を設定する目標操舵力設定手段と、
    前記目標操舵力に基づいて操舵機構に操舵力を付与する操舵制御手段と、
    自車両を減速させる減速制御手段と、
    ドライバの運転意思低下を判定する運転意思判定手段と
    を備え、
    前記目標操舵力設定手段は、前記運転意思低下の判定に応じて前記第1の操舵力に基づいた目標操舵力の設定を中止するとともに前記第2の操舵力に基づいた目標操舵力を設定し、
    前記減速制御手段は、前記運転意思低下の判定に応じて自車両を減速させること
    を特徴とする運転支援装置。
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