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JP5242549B2 - 基板表面に共蒸着層を形成する方法 - Google Patents

基板表面に共蒸着層を形成する方法 Download PDF

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Description

本発明は、物理蒸着の分野に関し、さらに具体的には、金属および非金属材料を蒸気から共蒸着(co-deposition)させることに関する。
有機発光デバイス(OLED)は、基板と、アノードと、有機化合物を含む正孔輸送層と、適切なドーパントを含む有機発光層と、有機電子輸送層と、カソードとを備えている。OLEDデバイスが魅力的なのは、駆動電圧が低く、高輝度で、視角が広く、フルカラーのフラット発光ディスプレイが可能だからである。Tangらは、この多層OLEDデバイスを米国特許第4,769,292号および第4,885,211号に記載している。
真空環境中での物理的気相蒸着は、小分子OLEDデバイスで用いられているような有機材料の薄膜を堆積させる主要な方法である。このような方法はよく知られており、例えばBarrの米国特許第2,447,789号とTanabeらの欧州特許第0,982,411号に記載されている。有機材料は、速度依存性の好ましい蒸発温度またはそれに近い温度に長時間にわたって維持したとき、分解することが多い。感受性のある有機材料をより高温にすると、分子構造が変化し、それに伴って材料の性質が変化するおそれがある。
米国特許出願公開第2004/0135749号には、Borosonらが低仕事関数金属でドープした有機層を記載している。例えば、1.2体積%のリチウムを含んだトリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(Alq)の層は、有用な特性を有する。このような層は、加熱された2つのボート源(Alqとリチウムに1つずつ)を備えたコーティング・ステーションにて基板に真空蒸着させたものである。
しかし、別個の蒸発源を使用すると、堆積される膜に勾配効果が生じることがある。この場合、移動している基板に最も近い蒸発源内の材料がその基板に直接接する最初の膜において過剰になるが、これは最後の蒸発源内の材料が、最終的な膜表面において過剰になるためである。この勾配性の共堆積は、単一の材料が複数ある蒸発源のそれぞれから蒸発する従来の蒸発源では不可避である。図1はそういった先行技術の蒸発装置4の断面図を示している。この蒸発装置4は、有機材料を蒸発させるために個別の3つの蒸発源6、7、および8を備えている。異なる蒸発源からの材料の蒸気気柱(vapor plume)9は均一であることが好ましいが、実際には端から端へと組成が変化するため、基板5のコーティングが不均一になる。
従来の蒸発源のさらに別の制約は、装填した材料が消費されるにつれて蒸気用マニホールドの形状が変化することにある。この変化があるために、一定の蒸発速度を維持するためにヒータの温度を変化させる必要がある。しかし、オリフィスから出てくる蒸気の気柱形状は、蒸発源内部における材料の厚さおよび分布の関数として変化することが観察されている。
米国特許第4,769,292号明細書 米国特許第4,885,211号明細書 米国特許第2,447,789号明細書 欧州特許第0,982,411号明細書 米国特許出願公開第2004/0135749号明細書
したがって、本発明の目的は、単一の蒸発源により金属および非金属材料を均一に堆積させて基板に層を形成することである。
この目的は、第1および第2の別個に蒸発した材料を混合して基板表面に堆積させることにより、第1の材料が金属を含み第2の材料が非金属である層を形成する方法であって、
a)蒸発した材料が基板表面に供給可能になるように配設された混合マニホールドを提供すること;
b)第1および第2の材料を別個に蒸発させるように、蒸発した材料が混合マニホールド内に供給可能になるように配設された第1および第2の加熱素子を提供すること;および、
c)制御された速度で第1および第2の材料を計量して(metering)第1および第2の加熱素子それぞれに供給して、金属を含んだ蒸発した材料を混合マニホールドに供給し、そこで第1および第2の材料を混合した後、基板表面に堆積させて金属を含んだ層を形成することを含み、前記第2の材料は、第1領域において、能動的に冷却されて、その蒸発温度よりも低く保持されると共に、ピストンによりチャンバ内で上昇して、チャンバの出口に設けられ、かつ第2の領域内の混合マニホールドの開口部に設けられ、第1の領域と第2の領域との境界を定める第2の加熱素子に供給され、前記第2の加熱素子により加熱されて蒸発された前記第2の材料が前記混合マニホールド内に供給され、前記第1の材料は、第2の領域において、供給構造により前記混合マニホールドの前記第2の加熱素子の配設位置とは異なる位置の開口部に設けられた第1の加熱素子に供給されて加熱され、前記第1の加熱素子により加熱されて蒸発された前記第1の材料が前記混合マニホールド内に供給され、前記第1の領域と前記第2の領域との間には急峻な温度勾配が存在する方法によって達成される。
本発明の1つの利点は、蒸発速度と分解温度閾値が異なる複数の材料を、同じ蒸発源において同時に昇華させられることである。特に有利であるのは、材料の1つが金属であり、別の材料が有機物である場合である。
本発明のさらに別の利点は、材料の計量速度(metering rate)を制御することによって、蒸発速度および蒸気組成の制御を直線的にできることである。
本発明のさらに別の利点は、基板がコーティング中でない場合に、材料の計量速度を制御し、蒸着チャンバ壁の汚染を最小にし、かつ材料を節約することによって、蒸発を迅速に停止させて再開させ、安定した蒸発速度を迅速に達成できることである。
本発明のさらに別の利点は、本発明の装置により、先行技術の装置よりも材料の分解を実質的に少なくして実質的に高い蒸発速度が実現されることである。さらに、蒸発源の材料が消費されるにつれてヒータ温度を変える必要がない。
本発明のさらに別の利点は、蒸発源をどのような配向にもできることである。これは従来の装置では不可能なことが多い。
ここで図2を参照すると、本発明に従って使用される装置の一実施形態の断面図が示されている。蒸発装置10は、第1および第2の別個に蒸発した材料を混合して基板表面に堆積させることにより層を形成する装置である。第1の材料は金属を含む。第2の材料は非金属であり、特に、有機材料または有機材料の混合物を含む。蒸発装置10は、蒸発した材料が基板表面上に供給可能になるように配設された混合マニホールド60を備えている。すなわち、基板85は、開口部90から混合マニホールド60を出て行く蒸発した材料が基板85の一表面に層を形成するように、混合マニホールド60に関連した位置に置かれる。第1の加熱素子25および第2の加熱素子40は、第1の材料15および第2の材料20をそれぞれ蒸発させる。加熱素子は、蒸発した第1および第2の材料が混合マニホールド60内に供給されるように配設されている。例えば一実施形態では、加熱素子は加熱されたスクリーンを混合マニホールド60の開口部に備える。
第1の材料15は、金属、好ましくは、4.5eV未満の仕事関数を有する反応性または還元性金属を含む。本発明に有用な金属には、Al、Li、Cs、Mg、Ca、Ba、またはAgを含む。いくつかの実施形態では、図2に示したように、第1の材料15は細長状部材(例えば、ワイヤ、ロッド(rod)、棒(bar))である。以下に記載の他の実施形態では、第1の材料15は粉末状または粒状である。第1の材料15は、計量構造55によって制御された速度で計量されて第1の加熱素子25に供給される。ワイヤの場合、図2に示すように、計量構造55は例えばローラであり、このローラは第1の材料15を制御された一定の速度で動かし、第1の加熱素子25と接触させた状態で細長状部材を維持する。第1の材料15は第1の加熱素子25によって蒸発され、金属を含んだ蒸発した第1の材料が、混合マニホールド60内に供給される。
第2の材料20は、圧縮もしくは事前に凝縮された固体、または粉末である。第2の材料20は有機材料であるのが好ましい。第2の材料20は単一の成分を含んでもよいし、2種以上の有機成分(各々異なる蒸発温度を有する)を含んでもよい。第2の材料20は、制御された速度で計量されて第2の加熱素子40に供給される。第2の材料20用の計量構造の一例は、第2の材料20を受け取るチャンバ65とピストン50とを備える。チャンバ65とピストン50は、第2の材料20をチャンバ65内で上昇させるために力制御式駆動機構(a force-controlled drive mechanism)により制御される。第2の材料20は第2の加熱素子40によって蒸発されて、蒸発した第2の材料が混合マニホールド60内に供給される。第1および第2の蒸発した材料は混合マニホールド60内で混合された後、基板85の表面に堆積されて、第1の材料15の金属を含んだ層を形成する。
蒸発装置10は、材料の少なくとも1つをその蒸発温度よりも低くなるように装置の一部において能動的に冷却するための複数の手段を含むこともできる。例えば、蒸発装置10は温度制御のために、第1の領域30および第2の領域35を備えることができる。第1の領域30は基部ブロック67を含み、これは加熱用基部ブロックまたは冷却用基部ブロック、あるいはこの両方であり、加熱用または冷却用流体を供給する制御通路69を含むことができる。制御通路69が基部ブロック67を貫通していることにより、温度制御用流体(すなわち、第1の領域30から熱を吸収するか、第1の領域30に熱を供給するようになされた流体)が流れる。この流体はガス、液体、または混合相である。蒸発装置10は制御通路69に流体を圧送する手段を備える。圧送装置は当業者には周知である。第2の領域35は、混合マニホールド60と第2の加熱素子40によって境界が定められた領域を含む。第2の加熱素子40は混合マニホールド60の一部である。第2の材料20はその蒸発温度よりも低く維持するために第1の領域30内で能動的に冷却される。第2の領域35の第2の加熱素子40は、第2の材料20の薄い断面をその蒸発温度より高く加熱し、これにより第2の材料20の薄い断面が蒸発する。第2の材料20が2種以上の有機成分を含んでいる場合、第2の加熱領域35の温度をそれぞれの成分の蒸発温度よりも高くなるように選択して、第2の材料20の成分の各々を同時に蒸発させる。このようにして、第1の領域30と第2の領域35との間には約200℃/mmという急峻な温度勾配が発生する。この勾配により、直ちに蒸発する材料以外のどの材料も高温になることはなく、第2の材料20の塊は、分解速度の低い温度で維持される。蒸発温度とは、混合マニホールド60に存在する圧力で、基板に材料を堆積させるのに好ましい速度で材料が蒸発するときの温度を意味する。蒸発温度は種々の様式で決定される。Longらが米国特許公開第2005/0186340号に記載しているように、蒸発速度は蒸気圧力に比例するので、所望の蒸発速度のためには、所望の蒸発速度に対応する所要の加熱温度が決定される。蒸発装置10は、対向するターゲット基板へ放射される熱を低減するために、加熱された混合マニホールド60に隣接して配置された1つ以上のシールド70を含んでもよい。熱シールド70は、シールドから熱を逃がすために、基部ブロック67に熱的に連結されている。シールド70の上部部分は、それらの比較的冷たい表面に蒸気が凝縮するのを最小にするために、開口部の平面よりも下に位置するように設計されている。
本発明の装置および方法は、Longらが米国特許公開第2005/0186340号に記載しているように、有機材料の顕著な分解を引き起こすことなく、高い蒸発速度を実現できる。しかしながら、蒸発装置10は金属を共蒸着することもでき、ここでは別個に蒸発した材料(金属および有機材料)が混合マニホールド60内で混合され、基板85の表面に一緒に堆積されて層を形成する。第2の領域35における蒸発速度が一定で、蒸発する第1の材料15および第2の材料20の体積が一定であれば、一定の形状を有する気柱が確立されて維持される。本明細書では、気柱(plume)とは蒸発装置10を出て行く蒸気の雲として定義される。共蒸発された金属および有機材料を含むような層は、有用であることがわかっている。例えば、Borosonらは米国特許公開第2004/0135749号において、共蒸発させた1.2%リチウム金属を有するトリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(Alq)の電子輸送層は、寿命が延長されたより低電圧のOLEDデバイスを提供できることを開示している。この実施形態では、第1の材料15はリチウム金属であり、第2の材料20はAlqである。こういった層の別の使用例として、Hatwarらが米国特許出願シリアル番号第11/217,026号に教示しているように、例えば、タンデム形OLEDデバイスの中間コネクタにおけるn型ドープした有機層がある。
蒸発が続くと圧力が発生し、蒸気流がマニホールド60から一連の開口部90を通して出て行く。マニホールドの長さ方向のコンダクタンスは、Graceらにより米国特許公開第2004/0144321号に記載されているように、開口部のコンダクタンスの和よりも大まかに2桁大きくなるように設計されている。このコンダクタンス比によってマニホールド60内部の圧力が一定になりやすくなるため、蒸発速度が局所的に一様でない可能性があるにもかかわらず、蒸発源の長さ方向に沿って分布している開口部90を通る流れの不均一性が抑制される。
材料の僅かの部分(第2の領域35にある部分)だけが速度依存性蒸発温度まで加熱されるので、その材料の塊は蒸発温度よりもはるかに低い温度に維持されるものの、第2の加熱領域35での加熱を中断する(例えばピストン50および計量構造55の運動を止める)ことによって蒸発を中断することが可能である。これは基板表面が被覆されていない場合に実行され、材料を保護し、関連するあらゆる装置(蒸着チャンバの壁など)の汚染を低減する。これについては以下で説明する。
第2の加熱素子40は粉末材料または圧縮した材料が加熱素子40を自由に通過することを妨げる細かいメッシュスクリーンであるので、蒸発装置10はどの向きでも使用される。例えば、蒸発装置10はその下に位置する基板を被覆するために、図2に示したものに対して180°に配向される。
実際には、蒸発装置10は以下のように使用される。ある量の第1の材料を供給構造45に供給する。ある量の、1種以上の成分を含むことのできる第2の材料20を蒸発装置10のチャンバ65に供給する。第1の領域30において、第2の材料20を、その有機成分の各々の蒸発温度より低く能動的に維持する。第1の加熱素子25を第1の材料15の蒸発温度よりも高い温度に加熱する。第2の加熱素子40を第2の材料20またはその成分各々の蒸発温度よりも高い温度に加熱する。第1の材料15および第2の材料20をそれぞれ、制御された速度で計量する。これにより、それらの材料は蒸発し、混合マニホールド60内で混合され、基板表面に堆積して層を形成する。第2の材料20が複数の成分を含む場合、各成分は同時に蒸発する。
ここで図3を参照すると、本発明に従って用いるための基板を取り囲む蒸着チャンバをさらに備える装置の1実施形態が示してある。蒸着チャンバ80は、蒸発装置10から来た蒸発した材料でOLED基板85を被覆することのできる閉鎖装置である。蒸着チャンバ80は制御された状態に保持される。例えば圧力は、真空源100によって1トル(torr)以下にされる。蒸着チャンバ80は、被覆されていないOLED基板85を装着し、被覆されたOLED基板85を除去するのに使用される装着用ロック装置75を備えている。OLED基板85は並進移動装置95によって移動されて、蒸発した材料がOLED基板85の表面全体に均一にコーティングされる。蒸発装置10は蒸着チャンバ80によって一部分が囲まれているように示されているが、蒸発装置10が蒸着チャンバ80によって完全に囲まれている構成など、他の構成も可能であることが理解されよう。
実際には、OLED基板85は、装着用ロック装置75を用いて蒸着チャンバ80の中に配置し、並進移動装置95またはそれに付随する装置によって保持する。蒸発装置10は上記のように動作し、並進移動装置95は、蒸発装置10から材料の蒸気が放出される方向に対して垂直にOLED基板85を移動させるので、混合された金属材料と非金属材料の層がOLED基板85の表面に形成される。
上記蒸発装置10においては、第1の加熱素子25は加熱されたスクリーンとして示されている。しかし、第1の加熱素子はこの構成に限定されるものではない。例えば、ここで図4を参照すると、第1の材料15を蒸発させるための上記装置の一部分の別の実施形態の断面図が示されている。この実施形態では、第1の加熱素子27は加熱されたブロックである。第1の材料15は、第1の加熱素子27と接触している一部が蒸発するように、上記のような制御された一定速度で計量される。この装置形状のために、第1の材料の蒸気87は第1の加熱素子27周囲を通過して、混合マニホールドに供給することができる。必要に応じて、シール93が、供給構造45から蒸気が漏出するのを防ぐことができる。
ここで図5を参照すると、第1および第2の別個に蒸発させた材料を混合し、基板表面に堆積させて層を形成するための本発明に従って使用される装置の、別の実施形態の三次元図が示してある。蒸発装置110は、供給装置140と供給装置145とが取り付けられたマニホールド120を備えている。供給装置140は、第1の容器150とモータ190によって作動される供給路160とを少なくとも備えている。供給装置145は、第1の容器150から離間された第2の容器155と、モータ135によって作動される供給路165とを少なくとも備えている。第1の容器150には、粉末状または粒子状の、ある量の第1の材料が供給される。第2の容器155には、粉末状の、ある量の第2の材料が供給される。第1および第2の材料の組成は上記のようなものである。供給装置140は第3の容器170も備えることができ、供給装置145は第4の容器175も備えることができる。第3の容器170は、第1の容器150と第1の材料に関連付けられている。第4の容器175は、第2の容器155と第2の材料に関連付けられている。明らかなように、第3の容器170と第4の容器175はそれぞれ第1および第2の材料を収容することができ、その材料をそれぞれ第1の容器150と第2の容器155に移すことができる。マニホールド120は1つ以上の開口部130を備えており、蒸発した有機材料がその開口部を通じて出て行って基板の表面に到達することができる。マニホールド120は水平方向に向いた基板上に層を形成できるように図示しているが、この方向に限定されるものではない。マニホールド120が鉛直方向を向いていて、鉛直な基板上に層を形成することもできる。マニホールド120は、Longらによる米国特許公開2005/0186340号に詳細に記載されている。供給装置140と供給装置145は、マニホールド120の対向する側に取り付けた状態で図示してあるが、マニホールド120の同じ側に取り付けることや、マニホールド120が鉛直方向を向いている場合には、マニホールドの底部に取り付けることもできる。マニホールド120への供給装置140の取り付け方は明らかであろう。
ここで図6を参照すると、本発明に従って粉末状材料または粒子状材料を供給するための上記蒸発装置の一部の一実施形態の断面図が示してある。この蒸発装置によって材料が流動化されて、螺旋状構造に移送される。第1の容器150には第1の材料260(粒子状または細かく分割された粉末の形態の金属であり、均一なサイズであることが望ましい)が収容されており、その第1の材料は供給路160の螺旋状構造180に供給される。螺旋状構造180は第1の容器150の内部を貫通しており、上記マニホールド(わかり易いように図示せず)の中へと通じている。螺旋状構造180の少なくとも一部がモータ190によって回転され、第1の材料が供給路160に沿って、制御された体積速度または圧力で蒸発ゾーンに移送される。第1の材料は蒸発ゾーンで蒸発した後、第2の蒸発した材料と混合され、基板に供給されて堆積し、層を形成する。供給路160、したがって供給路160内の第1の材料は、その材料の望ましい蒸発温度よりも低い温度に維持される。第1の材料260が螺旋状構造180へ移動しやすくするため、撹拌装置(an agitating device)(例えば圧電構造230または電気機械式バイブレータ)を用いて第1の材料260を撹拌することによって流動化する。このように流動化した材料は、重力による供給によって螺旋状構造180へとより容易に移動する。
追加の第1の材料を収容するための任意の第3の容器170を追加すると、いくつかの利点が得られる。Longらによる米国特許出願第10/945,941号および米国特許出願第10/945,940号にLongらが記載しているように、大量の第1の材料200を装置に装填して、より長時間にわたって装置を連続的に動作させることが可能となる。また、第3の容器170は、第1の容器150の動作に影響を与えることなく再充填されるように構成されているので、さらに長時間にわたって装置を連続的に動作させることが可能となる。第1の材料200は、例えばスクリーン210および220によって第3の容器170の中に保持される。スクリーンのメッシュのサイズは、粉末状材料が自由に流れるのを阻止するが、制御された流れが可能になるように選択する。スクリーン210および220は、測定された量の第1の材料を供給して、ある量の粉末がスクリーンを通過するように起動される撹拌装置(図示せず)によって接触させることにより、第3の容器170から第1の容器150に移動させる機構とすることもできる。そういった撹拌装置としては、スクリーンを振動させる装置や、スクリーン210および220を選択的に撹拌できるようにするためにスクリーンの真上または真下に位置する移動可能なアームが挙げられる。撹拌装置(例えば圧電構造240)は、第1の容器150への供給路に有機材料が蓄積しないようにする。図5の供給装置145は、第2の容器155、第4の容器175、供給路165、モータ135を備えて同様に動作し、第2の材料を計量する。
ここで図7を参照すると、本発明に従って粉末を供給して蒸発させるための上記装置の一部の一実施形態のさらに詳細な断面図が示してある。螺旋状構造180が第1の有機材料の粉末を供給路160に沿ってマニホールド120および加熱素子270へと移送する。加熱素子270は、例えば加熱されたスクリーンであり、Longらによって以前に詳細に記載されている。マニホールド120は、加熱素子270に隣接する供給路160の領域として定義される蒸発ゾーンを備えている。第1の材料粉末の薄い断面が、接触および熱伝導によって、加熱素子270の温度である、速度に依存した望ましい蒸発温度まで加熱され、それによって第1の材料粉末の薄い断面が蒸発する。同様に、図5の供給装置145は、第2の材料をマニホールド120内の第2の加熱素子まで移送する。こうしてマニホールド120で第2の材料が蒸発する。蒸発した第1および第2の材料はマニホールド120の中で混合された後、基板の表面に供給され、堆積して、層を形成する。螺旋状構造180の構造およびその回転速度が、第1の材料が加熱素子270に供給される速度を制御する。これにより蒸発速度は制御されて直線的になるため、第1の材料が蒸気の状態でマニホールドから出ていく速度も直線的になる。したがって第1の材料を螺旋状構造および蒸発ゾーンに供給する速度が、蒸発した第1の材料を所望の表面に堆積させる速度を制御する。図5のように、このような構造を2つ用いる場合、第1および第2の材料をそれぞれの螺旋状構造とそれぞれの蒸発ゾーンに供給する相対的供給速度が、マニホールド内の第1および第2の材料の相対的部分圧を制御し、したがってその相対的堆積速度と、堆積された層内の濃度を制御する。
また、基部280が含まれる。基部280は放熱構造であり、加熱素子270からの熱の大半が供給路160の長さを縦断するのを妨げ、能動的に冷却して、材料をその蒸発温度よりも低くすることができる。これは加熱素子270が材料をその蒸発温度よりも高く加熱するからである。基部280用の放熱手段は、Longらによって米国特許公開2005/0186340号に記載されている。このようにして発生される急峻な熱勾配により、蒸発している材料に隣接している部分以外のすべての部分が高温から保護される。このことは、第1の材料が低溶融金属(例えばリチウム)である場合、または第2の材料が有機材料である場合には特に重要である。蒸発した材料は加熱素子270を迅速に通過し、加熱されたマニホールド120に入ることができる。
ここで図8を参照すると、本発明に従って使用される装置の別の実施形態の断面図が示されている。蒸発装置105は、金属を含んだ材料を蒸発させて基板表面に層を形成する装置である。蒸発装置105は上記蒸発装置10に類似するが、蒸発した材料がマニホールド63内に供給可能になるように配設された単一の加熱素子43のみを備えている。マニホールド63は、蒸発した材料が供給可能になり基板表面に層を形成するように配設されている。材料23は金属および非金属材料の両方を含む。材料23は、例えば、粉末状の第1の材料および粉末状の第2の材料を含むことができ、これら材料は上記のように、所望の比率で事前に混合されたものである。材料23(金属を含んでいる)は、例えばピストン50によって計量されて、制御された速度で加熱素子43に供給される。加熱素子43は金属を含んだ材料を蒸発させるのに十分な温度を有しており、これにより、蒸発した材料がマニホールド63に供給された後、開口部90を介して基板表面に堆積される。堆積した蒸気が、金属を含んだ層を基板表面に形成する。
材料23は第1の領域30において能動的に冷却されて、装置の一部においてその材料の蒸発温度よりも低く保持される。第2の領域35の加熱素子43が材料23の薄い断面をその蒸発温度よりも高く加熱し、これにより、材料23の薄い断面が蒸発する。第2の領域35の温度は、材料23の成分の各々が同時に蒸発するように、金属を含んだ成分の各々の蒸発温度よりも高くなるように選択される。このようにして、Longらが米国特許出願第10/945,940号および米国特許出願第11/134,654号に開示しているように、第1の領域30と第2の領域35との間には急峻な温度勾配が存在する。この温度勾配は約500℃/mmである。この勾配があることで、直ぐに蒸発する材料以外の材料が高温から保護され、材料23の塊が、分解速度の低い温度で維持される。
ここで図9を参照するとともに、図2も参照すると、第1および第2の別個に蒸発した材料を混合して基板表面に堆積させて層を形成する本発明の方法の一実施形態を示すブロック図が示されている。第1の材料は金属を含み、第2の材料は非金属である。開始時(ステップ300)では、マニホールド内の蒸発した材料を基板表面に供給するように配設された混合マニホールド60が提供される(ステップ310)。第1の材料15を蒸発させる第1の加熱素子25と第2の材料20を蒸発させる第2の加熱素子40とが提供される(ステップ320および330)。これら加熱素子は、蒸発した第1の材料15および第2の材料20が、混合マニホールド60内に供給可能であるように配設されている。第1の材料15は、制御された速度で計量されて第1の加熱素子25に供給され(ステップ340)、金属を含んだ蒸発した材料は、混合マニホールド60に供給される(ステップ360)。これと同時に、第2の材料20は、制御された速度で計量されて第2の加熱素子40に供給され(ステップ350)、蒸発した材料は混合マニホールド60に供給され(ステップ370)、ここでは、蒸発した第1および第2の材料が混合される(ステップ380)。この後、蒸発した材料はOLED基板85の表面に堆積されて(ステップ390)金属を含んだ層を形成した後、プロセスが終了する(ステップ395)。
この基本的な方法に変化を加えることも可能である。一例では、例えば第1の領域30内の第2の材料20がその蒸発温度よりも低くなるよう、材料の少なくとも1つを能動的に冷却するために、ステップ350の直前に1つのステップを含むことができる。別の例では、ステップ310、320、340、360、および390は、金属を含んだ材料を蒸発させて基板表面に層を形成する一方法において図8の蒸発装置105と一緒に用いられる。
ここで図10を参照すると、一部が本発明に従って製造される発光OLEDデバイス410の画素の断面が示してある。このOLEDデバイス410は、少なくとも、基板420と、カソード490と、カソード490から離間されたアノード430と、電子輸送層455と、発光層450とを備えている。このOLEDデバイスは、正孔注入層435と、正孔輸送層440と、電子注入層460とを備えることもできる。正孔注入層435と、正孔輸送層440と、発光層450と、電子輸送層455と、電子注入層460は、アノード430とカソード490との間に配設された一連の有機層470を含む。電子輸送層455は本発明の方法によって堆積させることが最も望ましい有機材料層の一例である。これらの成分についてさらに詳しく説明する。
基板420は、有機の固体または無機の固体であるか、あるいは有機の固体と無機の固体とを含む。基板420は剛性または可撓性であり、個別の部材(例えばシートやウエハ)として、または連続したロールとして加工される。典型的な基板材料としては、ガラス、プラスチック、金属、セラミック、半導体、金属酸化物、酸化物半導体、窒化物半導体、ならびにこれらの組み合わせがある。基板420は、複数の材料が均一に混合したもの、複数の材料の複合体、または多層材料である。基板420は、OLEDデバイスを作製するのに一般的に使用されているOLED基板(例えばアクティブ−マトリックス用の低温ポリシリコンまたはアモルファス−シリコンのTFT基板)である。基板420は、どの方向に発光させたいかに応じ、透過性または不透明にすることができる。光透過特性は、基板を通してEL光を見る上で望ましい。このような場合には透明なガラスまたはプラスチックが一般に用いられる。EL光を上部電極を通して見るような用途では、底部支持体の透過特性は重要でないため、底部支持体は、光透過性、光吸収性、または光反射性である。この場合に用いる基板としては、ガラス、プラスチック、半導体材料、セラミック、回路基板材料、あるいはOLEDデバイス(パッシブ・マトリックス・デバイスでもアクティブ・マトリックス・デバイスでもよい)を形成するのに一般に用いられている他の任意の材料が挙げられるが、これに限定するものではない。
1つの電極が基板420上に形成され、それがアノード430として構成されるのが最も一般的である。EL光を、基板420を通して見る場合、アノード430は、対象とする光に対して透明であるか、実質的に透明である必要がある。本発明で有用な透明なアノード用の一般的な材料は、インジウム−スズ酸化物と酸化スズであるが、他の金属酸化物、例えばアルミニウムをドープした酸化亜鉛、インジウムをドープした酸化亜鉛、マグネシウム−インジウム酸化物、およびニッケル−タングステン酸化物も可能であるが、これらに限定されるものではない。これら酸化物に加え、金属窒化物(例えば窒化ガリウム)、金属セレン化物(例えばセレン化亜鉛)、金属硫化物(例えば硫化亜鉛)をアノード用材料として用いることができる。EL光を上部電極を通して見るような用途では、アノード用材料の透光特性は重要ではなく、あらゆる導電性材料(透明なもの、不透明なもの、反射性のもの)を使用することができる。この用途のための例示的な導電性材料としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム、白金などがあるが、これらに限定されるものではない。好ましいアノード用材料は、透光性であろうとそうでなかろうと、仕事関数が4.1eV以上である。望ましいアノード用材料は、適切な任意の手段(例えば蒸着、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的プロセス)で堆積させることができる。アノード用材料は、よく知られているフォトリソグラフィ法を利用してパターニングすることができる。
必ずしも必要なわけではないが、有機発光ディスプレイでは、多くの場合、正孔注入層435をアノード430の上に形成することが有用である。正孔注入材料は、その後に形成する有機層の膜形成特性を改善することと、正孔輸送層に正孔を容易に注入することに役立つ。正孔注入層435で使用するのに適した材料としては、米国特許第4,720,432号に記載されているポルフィリン化合物、米国特許第6,208,075号に記載されているプラズマ堆積させたフルオロカーボン・ポリマ、無機酸化物(例えばバナジウム酸化物(VOx)、モリブデン酸化物(MoOx)、ニッケル酸化物(NiOx))などがある。有機ELデバイスで有用であることが報告されている別の正孔注入材料は、欧州特許0,891,121A1号および1,029,909A1号に記載されている。
必ずしも必要なわけではないが、多くの場合、正孔輸送層440をアノード430の上に形成して配置することが有用である。望ましい正孔輸送材料は、適切な任意の手段(例えば蒸着、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段、熱転写、レーザによるドナー材料からの熱転写)で堆積させることができる。正孔輸送層440に有用な正孔輸送材料は周知であり、例えば、芳香族第三級アミンなどの化合物がある。芳香族第三級アミンは、炭素原子(そのうちの少なくとも1つは芳香族環のメンバである)だけに結合する少なくとも1つの3価の窒素原子を含んでいる化合物であることを理解されたい。芳香族第三級アミンの一形態は、アリールアミン(例えばモノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ポリマ・アリールアミン)である。例示的なモノマ・トリアリールアミン類は、Klupfelらによって米国特許第3,180,730号に示されている。1個以上のビニル基で置換された他の適切なトリアリールアミン類、および少なくとも1つの活性な水素含有基を含む他の適切なトリアリールアミン類は、Brantleyらによって米国特許第3,567,450号および第3,658,520号に開示されている。
芳香族第三級アミン類のより好ましいクラスは、米国特許第4,720,432号および第5,061,569号に記載されている少なくとも2つの芳香族第三級アミン部分を含むものである。このような化合物としては、構造式Aで表わされるものがある。

上式中、QおよびQは独立して、芳香族第三級アミン部分の中から選択され、Gは、結合基(例えば、炭素−炭素結合のアリーレン基、シクロアルキレン基、アルキレン基など)である。
一実施形態では、QおよびQの少なくとも一方は、多環縮合環構造(例えばナフタレン)を含んでいる。Gがアリール基である場合、QおよびQの少なくとも一方は、フェニレン部分、ビフェニレン部分、ナフタレン部分であることが好ましい。
構造式Aを満たすとともに2つのトリアリールアミン部分を含むトリアリールアミン類の有用な1つのクラスは、構造式Bで表わされる。

上式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、アリール基、アルキル基のいずれかを表わすか、RおよびRは合わさって、シクロアルキル基を完成させる原子を表わし、RおよびRはそれぞれ独立してアリール基を表わし、そのアリール基は、構造式Cに示したように、ジアリール置換されたアミノ基によって置換されている。

上式中、RとおよびRは独立して、アリール基の中から選択される。一実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも一方は、多環縮合環構造(例えばナフタレン)を含んでいる。
芳香族第三級アミン類の別のクラスは、テトラアリールジアミン類である。望ましいテトラアリールジアミン類として、構造式Cに示したように、アリーレン基を通じて結合した2つのジアリールアミノ基が挙げられる。有用なテトラアリールジアミン類としては、構造式Dで表わされるものがある。

上式中、それぞれのAreは独立して、アリーレン基(例えばフェニレン部分またはアントラセン部分)の中から選択され、nは1〜4の整数であり、Ar、R、R、Rは独立して、アリール基の中から選択される。
典型的な一実施形態では、Ar、R、R、Rのうちの少なくとも1つは多環縮合環構造(例えばナフタレン)である。
上記の構造式A、B、C、Dの種々のアルキル部分、アルキレン部分、アリール部分、アリーレン部分は、それぞれ、置換されていてもよい。典型的な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン(例えばフッ化物、塩化物、臭化物)などがある。さまざまなアルキル部分とアルキレン部分は、一般に、1〜約6個の炭素原子を含んでいる。シクロアルキル部分は、3〜約10個の炭素原子を含むことができるが、一般には5個、または6個、または7個の炭素原子を含んでいる(例えばシクロペンチル環構造、シクロヘキシル環構造、シクロヘプチル環構造)。アリール部分とアリーレン部分は、通常は、フェニル部分とフェニレン部分である。
OLEDデバイスにおける正孔輸送層は、単一の芳香族第三級アミン化合物、または芳香族第三級アミン化合物の混合物から形成することができる。具体的には、トリアリールアミン(例えば構造式Bを満たすトリアリールアミン)をテトラアリールジアミン(例えば構造式Dに示したもの)と組み合わせて使用することができる。トリアリールアミンをテトラアリールジアミンと組み合わせて使用する場合には、テトラアリールジアミンは、トリアリールアミンと電子注入・輸送層の間に配置された層として位置決めされる。
有用な正孔輸送材料の別のクラスとして、欧州特許第1,009,041号に記載されている多環式芳香族化合物がある。さらに、ポリマ正孔輸送材料を使用することができる。それは、例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン類、ポリピロール、ポリアニリン、コポリマ(例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSSとも呼ばれる))などである。
発光層450は、正孔−電子再結合に応答して光を出す。発光層450は、一般に正孔輸送層440の上に堆積される。所望の有機発光材料は、適切な任意の手段(例えば蒸着、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段、放射線によるドナー材料からの熱転写)で堆積させることができる。有用な有機発光材料は周知である。米国特許第4,769,292号および第5,935,721号により詳しく記載されているように、有機EL素子の発光層は、発光材料または蛍光材料を含んでおり、この領域で電子−正孔対の再結合が起こる結果としてエレクトロルミネッセンスが生じる。発光層は単一の材料で構成されるが、より一般的には、ゲスト化合物(すなわちドーパント)をドープしたホスト材料を含んでいる。後者の場合、光は主としてドーパントから発生する。ドーパントは、特定のスペクトルを持つ色の光が出るように選択する。発光層内のホスト材料は、以下に示す電子輸送材料、または上記の正孔輸送材料、または正孔−電子再結合を支援する別の材料である。ドーパントは通常、強い蛍光を出す染料の中から選択されるが、リン光化合物(例えばWO98/55561、WO00/18851、WO00/57676、WO00/70655に記載されている遷移金属錯体)も有用である。ドーパントは、一般に、0.01〜10重量%の割合でホスト材料に組み込まれる。この明細書に記載した装置と方法を用いて、複数の蒸発源を必要とせずに多成分ゲスト/ホスト層をコーティングする。
有用であることが知られているホスト分子および発光分子としては、米国特許第4,76,292号、第5,141,671号、第5,150,006号、第5,151,629号、第5,294,870号、第5,405,709号、第5,484,922号、第5,593,788号、第5,645,948号、第5,683,823号、第5,755,999号、第5,928,802号、第5,935,720号、第5,935,721号、第6,020,078号に開示されているものがあるが、これに限定するものではない。
8−ヒドロキシキノリンおよび同様の誘導体の金属錯体(構造式E)は、エレクトロルミネッセンスをサポートすることのできる有用なホスト材料の1つのクラスを形成し、波長が500nmよりも長い光(例えば緑、黄、オレンジ、赤)を放出させるのに特に適している。

上式中、Mは金属を表わし、nは1〜3の整数であり、Zは各々独立して、少なくとも2つの縮合芳香族環を有する核を完成させる原子を表わす。
以上の説明から、金属は、一価、二価、三価の金属が可能であることが明らかである。金属としては、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)、土類金属(ホウ素、アルミニウムなど)が可能である。一般に、キレート化金属として有用であることが知られている任意の一価、二価、三価の金属を使用することができる。
Zは、少なくとも2つの縮合芳香族環を持っていてそのうちの少なくとも一方はアゾール環またはアジン環である複素環の核を完成させる。必要な場合には、必要なその2つの環に追加の環(例えば脂肪族環と芳香族環の両方)を縮合させることができる。機能の向上なしに分子が大きくなることを避けるため、環の原子数は、通常は18個以下に維持する。
発光層450のホスト材料としては、9位と10位に炭化水素置換基または置換された炭化水素置換基を有するアントラセン誘導体が可能である。例えば9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセンの誘導体は、エレクトロルミネッセンスをサポートすることのできる有用なホスト材料の1つのクラスを形成し、波長が400nmよりも長い光(例えば青、緑、黄、オレンジ、赤)を放出させるのに特に適している。
ベンズアゾール誘導体は、エレクトロルミネッセンスをサポートすることのできる有用なホスト材料の別のクラスを形成し、波長が400nmよりも長い光(例えば青、緑、黄、オレンジ、赤)を放出させるのに特に適している。有用なベンズアゾールの一例は、2,2’,2’’−(1,3,5−フェニレン)トリス[1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール]である。
好ましい蛍光ドーパントとしては、ペリレンまたはその誘導体、アントラセンの誘導体、テトラセンの誘導体、キサンテンの誘導体、ルブレンの誘導体、クマリンの誘導体、ローダミンの誘導体、キナクリドンの誘導体、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、ジスチリルベンゼンの誘導体、ジスチリルビフェニルの誘導体、ビス(アジニル)メタンホウ素錯体化合物、およびカルボスチリル化合物などがある。
他の有機発光材料としては、Wolkらが、譲受人に譲渡された米国特許第6,194,119B1号とその中で引用している参考文献に記載しているように、ポリマ物質(例えばポリフェニレンビニレン誘導体、ジアルコキシ−ポリフェニレンビニレン類、ポリ−パラ−フェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体)が可能である。
OLEDデバイス410は、発光層450の上に配置された電子輸送層455を含んでいるのが好ましい。所望の電子輸送材料は、適切な任意の手段(例えば蒸着、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段、熱転写、レーザによるドナー材料からの熱転写)で堆積させ、この明細書に記載した装置と方法を利用して堆積される。特に、金属でドープした電子輸送層を本発明の方法によって形成することが想定される。電子輸送層455で用いるのが好ましい電子輸送材料は、金属キレート化オキシノイド系化合物(オキシンそのもの(一般には8−キノリノールまたは8−ヒドロキシキノリンとも呼ばれる)のキレートも含む)である。このような化合物は、電子の注入と輸送を容易にし、優れた性能を示すのを助け、容易に薄膜の形態にすることができる。考慮するオキシノイド系化合物の例は、すでに説明した構造式Eを満たす化合物である。
他の電子輸送材料としては、米国特許第4,356,429号に開示されている種々のブタジエン誘導体や、米国特許第4,539,507号に記載されている種々の複素環式蛍光増白剤がある。構造式Gを満たすベンズアゾールも、有用な電子輸送材料である。
他の電子輸送材料としては、ポリマ物質が可能である。これは例えば、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ−パラ−フェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類や、他の導電性ポリマ有機材料(例えば「Handbook of Conductive Molecules and Polymers」,Vols.1−4,H.S.Nalwa,ed.,John Wiley and Sons,Chichester(1997)に記載されているもの)である。
電子注入層460がカソードと電子輸送層との間に存在していてもよい。電子注入材料の例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化アルカリ塩(例えば上記のLiF)や、アルカリ金属またはアルカリ土類金属をドープした有機層がある。
カソード490は電子輸送層455の上に形成される。アノード430を通して発光する場合、カソード材料は、ほぼ任意の導電性材料から構成される。好ましい材料は効果的な膜形成特性を有するため、下にある有機層との接触がよくなり、低電圧で電子注入が促進され、優れた安定性が得られる。有用なカソード材料は多くの場合、仕事関数が低い(3.0eV未満)金属または合金を含んでいる。好ましい1つのカソード材料は、米国特許第4,885,221号に記載されているように、銀が1〜20%の割合で含まれたMg:Ag合金を含む。適切なカソード材料の別のクラスとしては、仕事関数が低い金属または金属塩の薄い層の上に導電性金属の厚い層を被せた二層がある。このような1つのカソードは、米国特許第5,677,572号に記載されているように、LiFの薄い層と、その上に載るより厚いAl層を含む。他の有用なカソード材料としては、米国特許第5,059,861号、第5,059,862号、第6,140,763号に記載されているものがあるが、これらに限定されない。
カソード490を通して発光を見る場合、カソードは、透明であるか、ほぼ透明である必要がある。このような用途のためには、金属が薄いか、透明な導電性酸化物を使用するか、これらの材料を含む必要がある。光学的に透明なカソードは、米国特許第5,776,623号により詳細に記載されている。カソード材料は、蒸着、スパッタリング、化学蒸着によって堆積させる。必要な場合、よく知られた多数の方法でパターニングすることができる。方法としては、限定するものではないが、例えば、スルー・マスク蒸着、米国特許第5,276,380号と欧州特許第0,732,868号に記載されている一体化シャドウ・マスキング(integral shadow masking)、レーザ除去(laser ablation)、選択的化学蒸着などがある。
先行技術の蒸発装置を示す断面図である。 第1および第2の別個に蒸発した材料を混合して堆積させて基板表面に層を形成するために、本発明に従って用いられる装置の一実施形態を示す断面図である。 本発明に従って用いられる装置を示す断面図であり、基板を封入する蒸着チャンバをさらに備えている。 材料を蒸発させるための図2の装置の一部の別の実施形態を示す断面図である。 第1および第2の別個に蒸発した材料を混合して堆積させて基板表面に層を形成するために、本発明に従って用いられる装置の別の実施形態を示す三次元図である。 本発明に従って粉末状材料を供給するための図5の装置の一部の一実施形態を示す断面図である。 本発明に従って粉末を供給して蒸発させる上記装置の一部の一実施形態をさらに詳細に示す断面図である。 金属を含んだ材料を蒸発させて基板表面に層を形成するための本発明に従って用いられる装置の別の実施形態を示す断面図である。 本発明の方法の一実施形態を示すブロック図である。 本発明に従って一部が作製されるOLEDデバイス構造を示す断面図である。
符号の説明
4 蒸発装置、5 基板、6 蒸発源、7 蒸発源、8 蒸発源、9 蒸気気柱、10 蒸発装置、15 第1の材料、20 第2の材料、23 材料、25 第1の加熱素子、27 第1の加熱素子、30 第1の領域、35 第2の領域、40 第2の加熱素子、43 加熱素子、45 供給構造、50 ピストン、55 計量構造、60 混合マニホールド、63 マニホールド、65 チャンバ、67 基部ブロック、69 制御通路、70 シールド、75 装着用ロック装置、80 蒸着チャンバ、85 OLED基板、87 第1の材料蒸気、90 開口部、93 シール、95 並進移動装置、100 真空源、105 蒸発装置、110 蒸発装置、120 マニホールド、130 開口部、135 モータ、140 供給装置、145 供給装置、150 第1の容器、155 第2の容器、160 供給路、165 供給路、170 第3の容器、175 第4の容器、180 螺旋状構造、190 モータ、200 第1の材料、210 スクリーン、220 スクリーン、230 圧電構造、240 圧電構造、260 第1の材料、270 加熱素子、280 基部、300 ステップ、310 ステップ、320 ステップ、330 ステップ、340 ステップ、350 ステップ、360 ステップ、370 ステップ、380 ステップ、390 ステップ、395 ステップ、410 OLEDデバイス、420 基板、430 アノード、435 正孔注入層、440 正孔輸送層、450 発光層、455 電子輸送層、460 電子注入層、470 有機層、490 カソード。

Claims (5)

  1. 第1および第2の別個に蒸発した材料を混合して基板表面に堆積させることにより、第1の材料が金属を含み第2の材料が非金属である層を形成する方法であって、
    a)蒸発した材料が基板表面に供給可能になるように配設された混合マニホールドを提供すること;
    b)第1および第2の材料を別個に蒸発させるように、前記蒸発した材料が前記混合マニホールド内に供給可能になるように配設された第1および第2の加熱素子を提供すること;および、
    c)制御された速度で前記第1および第2の材料を計量して前記第1および第2の加熱素子それぞれに供給して、金属を含んだ蒸発した材料を前記混合マニホールドに供給し、そこで前記第1および第2の材料を混合した後、前記基板表面に堆積させて前記金属を含んだ層を形成することを含み、
    前記第2の材料は、第1領域において、能動的に冷却されて、その蒸発温度よりも低く保持されると共に、ピストンによりチャンバ内で上昇して、チャンバの出口に設けられ、かつ第2の領域内の混合マニホールドの開口部に設けられ、第1の領域と第2の領域との境界を定める第2の加熱素子に供給され、前記第2の加熱素子により加熱されて蒸発された前記第2の材料が前記混合マニホールド内に供給され、
    前記第1の材料は、第2の領域において、供給構造により前記混合マニホールドの前記第2の加熱素子の配設位置とは異なる位置の開口部に設けられた第1の加熱素子に供給されて加熱され、前記第1の加熱素子により加熱されて蒸発された前記第1の材料が前記混合マニホールド内に供給され、
    前記第1の領域と前記第2の領域との間には急峻な温度勾配が存在する
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記第1の材料が細長状部材の形態であり、前記計量するステップが前記第1の加熱素子と接触させた状態で前記細長状部材を維持することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の材料が、4.5eV未満の仕事関数を有する反応性金属または還元性金属を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第1の材料がAl、Li、Cs、Mg、Ca、Ba、またはAgを含む、請求項に記載の方法。
  5. 前記第2の材料が1つ以上の成分を有する有機材料を含む、請求項1に記載の方法。
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