JP5240181B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
従来より、図10および図11に示したように、内燃機関(エンジン)の燃焼室に燃料を噴射する噴孔101を開閉するニードル102と、内部の燃料圧力がニードル102に噴孔開弁方向の油圧力(開弁力:F1)を加えるノズル室103と、内部の燃料圧力がニードル102に噴孔閉弁方向の油圧力(閉弁力:F2)を加える制御室104と、ニードル102に噴孔閉弁方向の付勢力(閉弁力:F3)を与えるスプリング105と、オリフィスプレート106のシート面に対して着座、離脱して燃料排出経路を閉鎖、開放する電磁制御弁とを備えた燃料噴射装置(従来技術1のインジェクタ)が公知である(例えば、特許文献1参照)。
しかし、応答性、特に燃料噴射終了時におけるニードル102の閉弁応答性が遅いという不具合を有している。それは、電磁制御弁のバルブ121が閉弁して制御室104に高圧燃料が流入することで、制御室104内の燃料圧力(制御室圧)が上昇していくが、ニードル102の受圧面積が上下で同じであるため、スプリング105の設定荷重に相当する圧力差に制御室104内の燃料圧力が上昇するまで、ニードル102が閉弁を開始しないことによる。
この課題を解消するために、図12および図13に示したような中間弁108を備えた燃料噴射装置(従来技術2のインジェクタ)が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
ところが、従来技術2のインジェクタの場合、電磁制御弁のバルブ121の開弁時においては、制御室104内の燃料が出口オリフィス119から流出して制御室104内の燃料圧力が低下すると同時に、入口オリフィス118からも燃料排出流路116を流れる燃料の流速による吸い出し、所謂霧吹き効果(またはエジェクタ効果)で多くの高圧燃料が低圧側へ排出されてしまう。
さらに、中間弁108が平板形状であり、オリフィスプレート106のシート面への密着(着座)が平面内で行われるため、ニードル102の開弁時における燃料導入流路115から制御室104内への高圧燃料の漏れが発生し易く、安定した燃料噴射を損なう可能性がある。
燃料排出経路は、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞りを有している。また、燃料導入経路は、2つの第1、第2燃料導入経路を有し、第2燃料導入経路は、第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞り、および燃料供給経路と第2制御弁の背圧室とを連通する第2入口絞りを有している。
そして、第1入口絞りの流路断面積を、出口絞りの流路断面積よりも小さく設定している。また、第2入口絞りの流路断面積を、第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定している。
このとき、出口絞りを通過する燃料流は、流速が高速になっており、且つ圧力が低下している。このため、霧吹き効果(またはエジェクタ効果)で、出口絞りに向けて開口している第1入口絞りから背圧室内の燃料が吸い出されて燃料排出経路へ排出される。そして、第1入口絞りの流路断面積よりも第2入口絞りの流路断面積の方が小さいため、第2制御弁の背圧室内の燃料圧力は急激に低下する。
これにより、圧力室内の燃料圧力と背圧室内の燃料圧力との間に圧力差が生じて、スプール付勢手段の付勢力より大きな閉弁力(弁孔閉弁方向の力)が第2制御弁のスプールに作用するので、第2制御弁のスプールが閉弁する。つまり弁孔が閉じて第1燃料導入経路が閉鎖される。すなわち、ニードルを開弁して燃料噴射を開始するという目的で、第1制御弁を開弁させた際に、制御室内の燃料圧力の制御(低下)に先立ち背圧室内の燃料圧力を制御(低下)することで、ニードルの開弁よりも先に第2制御弁が閉弁する。
したがって、第1制御弁を開弁してからニードルが開弁するまでの期間である開弁応答時間を従来の技術1及び2と比べて短縮できる。これにより、ニードルの開弁応答性を向上できる。
しかし、請求項1に記載の発明によれば、燃料噴射期間中には、第2制御弁のスプールが閉弁している。つまり第1燃料導入経路を閉鎖しているため、2つの第1、第2入口絞り(特に流路断面積が最小の第2入口絞り)を有する第2燃料導入経路からしか制御室内の燃料圧力に影響を与えない。これにより、ニードルの開弁に伴って圧力変動が発生した場合であっても、制御室内の燃料圧力は低圧を維持できる。したがって、内燃機関の燃焼室への燃料噴射期間中にニードルが閉弁する、つまり燃料噴射が中断する等の異常噴射動作を防止できる。
したがって、第1制御弁を閉弁してからニードルが閉弁するまでの期間である閉弁応答時間を従来の技術1及び2と比べて短縮できる。これにより、ニードルの閉弁応答性を向上できる。
これにより、スプールの製造時にスプール内部に、第2入口絞りを有する燃料導入流路を形成できるので、内部にスプールの軸線方向に延びるスプール孔が形成されたバルブボディの製造が容易となる。したがって、燃料噴射装置の製造コストを削減できる。
請求項7に記載の発明によれば、燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁と、燃料導入経路(第1燃料導入経路の弁孔)を開閉制御する第2制御弁と、第1燃料導入経路の燃料導入流路を開閉制御する第3制御弁とを備えている。そして、第2制御弁は、スプール、背圧室、圧力室、中間室およびスプール付勢手段を有している。また、第3制御弁は、プレート、第1圧力室(制御室)、第2圧力室(燃料導入流路)およびプレート付勢手段を有している。なお、プレート付勢手段は、プレートに開口閉弁方向の力を与えるスプリング等により構成される。
また、第1制御弁を閉弁すると、請求項1に記載の発明と同様に、第2制御弁が開弁する。このとき、弁孔を介して圧力室と燃料導入流路とが連通し、圧力室から弁孔、中間室、燃料導入流路を経て制御室に導入される高圧燃料が第3制御弁のプレートを開弁する。これにより、第1、第2入口絞りを有しない第1燃料導入経路を通って高圧燃料が制御室に導入されるため、制御室内の燃料圧力が早く上昇する。よって、ニードルの閉弁も早くできる。
また、第3制御弁のプレートは、燃料の噴射開始時の第2制御弁が閉弁するまで第1燃料導入経路(燃料導入流路)から制御室への高圧燃料の流入を防止できるので、圧力室内の高圧燃料が噴孔から内燃機関の燃焼室に噴射されることなく、燃料排出経路へ流出する流出量を減少できる利点がある。
燃料排出経路は、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞り、および第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞りを有している。また、燃料導入経路は、2つの第1、第2燃料導入経路を有し、第2燃料導入経路は、燃料供給経路と第2制御弁の中間室とを連通する第2入口絞りを有している。
そして、第2燃料導入経路に、燃料供給経路と中間室とを連通する第2入口絞りを設けることにより、第1制御弁を閉弁した際に、第2制御弁の背圧室内の燃料圧力の低下を一層早くできる。この結果、請求項1に記載の発明よりも背圧室内の燃料圧力が早く低下するため、第2制御弁の閉弁を請求項1に記載の発明よりも早くできる。したがって、燃料噴射の開始を請求項1に記載の発明よりも早めることができる。
請求項10に記載の発明によれば、第1燃料導入経路および第2燃料導入経路は、中間室から制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有している。
請求項11に記載の発明によれば、第1燃料導入経路は、中間室から制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有している。また、出口絞りの流路断面積は、燃料導入流路の流路断面積よりも小さく設定されている。
燃料排出経路は、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞りを有している。また、燃料導入経路は、2つの第1、第2燃料導入経路を有し、第2燃料導入経路は、第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞り、および第2制御弁の圧力室と第2制御弁の背圧室とを連通する第2入口絞りを有している。
そして、第1入口絞りの流路断面積を、出口絞りの流路断面積よりも小さく設定している。また、第2入口絞りの流路断面積を、第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定している。
この場合、請求項1及び8に記載の発明と同様な開弁応答性および閉弁応答性を備えると共に、第2制御弁の構造および燃料導入経路の製造(形成)が容易になるので、製造コストを削減できる効果を備える。
これにより、プレートの製造時に、同時に第2入口絞りをプレートに形成できるので、第2入口絞りの製造(形成)が容易となる。したがって、燃料噴射装置の製造コストを削減できる。
請求項15に記載の発明によれば、第1燃料導入経路は、圧力室から弁孔を経て制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有している。これにより、第2制御弁の開弁時には、第1、第2入口絞りを有しない燃料導入流路を通って高圧燃料が制御室に導入されるため、制御室内の燃料圧力が早く上昇する。よって、ニードルの閉弁も早くできる。
請求項16に記載の発明によれば、燃料導入流路は、圧力室の壁面、あるいはプレートが着座可能なシート面で開口している。
請求項18に記載の発明によれば、燃料導入流路は、背圧室の壁面で開口している。
請求項19に記載の発明によれば、出口絞りの流路断面積は、燃料導入流路の流路断面積よりも小さく設定されている。
本発明は、ニードルの閉弁応答性およびニードルの開弁応答性を向上するという目的、また、燃料の噴射期間中にニードルが閉弁するような異常噴射動作を防止するという目的を、第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞りの流路断面積を、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞りの流路断面積よりも小さく設定し、燃料供給経路と第2制御弁の背圧室とを連通する第2入口絞りの流路断面積を、第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定することで実現した。
また、第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞りの流路断面積を、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞りの流路断面積よりも小さく設定し、燃料供給経路と第2制御弁の中間室とを連通する第2入口絞りの流路断面積を、第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定することで実現した。
さらに、第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞りの流路断面積を、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞りの流路断面積よりも小さく設定し、第2制御弁の圧力室と第2制御弁の背圧室とを連通する第2入口絞りの流路断面積を、第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定することで実現した。
図1ないし図3は本発明の実施例1を示したもので、図1はコモンレール式燃料噴射装置を示した図で、図2(a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した図で、図2(b)はストッパに形成される十字溝を示した図で、図3はインジェクタの作動状態を示したタイミングチャートである。
コモンレール式燃料噴射システムは、吸入した燃料を加圧するサプライポンプ1と、このサプライポンプ1の吐出口から高圧燃料が導入されるコモンレール2と、このコモンレール2の各燃料出口から高圧燃料が分配供給される複数個の燃料噴射装置(以下インジェクタと言う)と、燃料タンクから各インジェクタまで延びる燃料供給配管と、サプライポンプ1、コモンレール2および各インジェクタ等の燃料供給機器(燃料噴射機器)から溢流(リーク)または排出(流出)された余剰燃料を燃料タンクに戻す燃料戻し配管とを備えている。
燃料供給配管は、サプライポンプ1の吐出ポートからコモンレール2のインレットポートに高圧燃料を供給する供給配管、およびコモンレール2の各アウトレットポートから複数個のインジェクタの各インレットポートに高圧燃料を供給する供給配管等を有している。
コモンレール2の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に噴射供給する燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧する蓄圧室が形成されている。
なお、サプライポンプ1またはコモンレール2は、高圧燃料を発生する高圧発生部を構成する。
シリンダ5は、ノズルボディ6の軸線方向に延びるノズル孔の内部においてノズルボディ6に対して移動自在(または摺動自在)に収容されている。このシリンダ5は、スプリング10の付勢力によってオリフィスプレート7の第1密着面に押し付けられている。また、シリンダ5には、ニードル4の軸線方向の図示上端側が摺動するシリンダ孔(摺動孔)14が形成されている。
オリフィスプレート7の軸線方向(板厚方向)の両側には、ノズルボディ6の第1結合面に密着する第1密着面、およびインジェクタボディ8の第2結合面に密着する第2密着面が設けられている。そして、オリフィスプレート7の第2密着面の中央部には、平面化されたバルブシート面が形成されている。また、オリフィスプレート7は、逆止弁のバルブボディとして使用されている。
インジェクタボディ8は、ノズルボディ6との間にオリフィスプレート7を挟み込んだ状態で、リテーニングナット15によりノズルボディ6の図示上端部に締結固定されている。このインジェクタボディ8の軸線方向の先端面(図示下端面)には、オリフィスプレート7の第2密着面に液密的に結合する第2結合面が設けられている。
ノズル室11は、シリンダ5とノズルボディ6との間に形成されている。このノズル室11内の燃料圧力は、上述したように、ニードル4に噴孔開弁方向の油圧力(開弁力:F1)を加える。また、ノズル室11は、オリフィスプレート7よりも燃料流方向の下流側に形成されている。
制御室12は、シリンダ5とオリフィスプレート7との間に形成されている。この制御室12内の燃料圧力は、上述したように、ニードル4に噴孔閉弁方向の油圧力(閉弁力:F3)を加える。
インジェクタボディ8には、燃料供給配管を介してコモンレール2の各アウトレットポートに接続するインレットポート、および燃料戻し配管を介して燃料タンクに接続するアウトレットポートが形成されている。
入口絞りは、制御室12に燃料を導入する燃料流路(連通路、燃料導入流路23)の流路断面積を絞る2つの第1、第2入口オリフィス(以下第1、第2オリフィス31、32と言う)等によって構成されている。また、出口絞りは、制御室12から燃料を排出する燃料流路(燃料排出流路27、28)の流路断面積を絞る少なくとも1つの出口オリフィス(以下第3オリフィス33と言う)等によって構成されている。
なお、オリフィスプレート7、各流路16〜18、22、23、27〜29および第1〜第3オリフィス31〜33の詳細は後述する。
電磁制御弁は、制御室12から燃料を排出(流出)させる弁孔(排出孔、流出ポート:以下燃料排出流路28と言う)を開閉するバルブ35、およびこのバルブ35を駆動する電磁アクチュエータを有している。
バルブ35のシート部がオリフィスプレート7のバルブシート面に着座することにより、燃料排出流路28を閉鎖すると、高圧側の制御室12および燃料排出流路27、28と低圧側の燃料排出流路29との連通状態が遮断される。
また、バルブ35のシート部がオリフィスプレート7のバルブシート面より離脱(離座)することにより、燃料排出流路28を開放すると、高圧側の制御室12および燃料排出流路27、28と低圧側の燃料排出流路29とが連通する。
これにより、制御室12から燃料排出流路27、第3オリフィス33、燃料排出流路28を経て燃料排出流路29へ燃料が流出する。
アーマチャ36は、インジェクタボディ8の摺動孔内に摺動自在に支持される摺動部を有している。このアーマチャ36の軸方向部の先端側には、バルブ35を収容する収容凹部が設けられている。
スプリング37は、バルブ35に弁孔閉弁方向の付勢力(閉弁力)を与える閉弁力付与手段である。
ソレノイドは、二重円筒状のステータ38の環状空間部にコイル39を巻回したもので、コイル39に接続されるコイルリード線を介して供給電流量が供給される。
ECU9には、EDUの他に、CPU、ROM、RAM等を含んで構成される周知のマイクロコンピュータ、サプライポンプ1の電磁弁に接続するポンプ駆動回路が内蔵されている。そして、コモンレール2に取り付けられたコモンレール圧力センサからのセンサ信号や、各種センサからのセンサ信号は、A/D変換回路でA/D変換された後にマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。ここで、マイクロコンピュータの入力部には、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、冷却水温度センサ、燃料温度センサおよび吸入空気温度センサ等が接続されている。
なお、最適な燃料噴射特性とは、エンジンの各気筒毎の燃焼室内への燃料噴射圧力(指令噴射圧力)、各インジェクタの燃料噴射開始時期(指令噴射時期)、各インジェクタの開弁期間(燃料噴射量と指令噴射圧力とから求められる指令噴射期間)等の最適値のことである。
本実施例では、スプール43の摺動部(以下中径ランド45と言う)をそのスプール軸の軸線方向に往復摺動自在に支持するバルブボディとしてオリフィスプレート7を使用している。このオリフィスプレート7のスプール孔は、スプール43の中径ランド45等によって、背圧室46と中間室47とからなる2つの部屋(空間)に区画形成されている。
ここで、ストッパ48は、スプール43のスプール軸の図示右端部よりも大きい外径を有している。このストッパ48には、少なくともスプール43のスプール軸がストッパ48に当接している際(スプール43の開弁時)に、内部を高圧燃料が流通する十字溝49が形成されている。この十字溝49は設けなくても構わない。
なお、逆止弁の詳細は後述する。
燃料供給経路は、コモンレール2から供給配管を経て逆止弁の圧力室41に高圧燃料を供給する燃料供給流路16、およびこの燃料供給流路16または圧力室41からノズル室11に高圧燃料を供給する燃料供給流路17、18等を有している。
燃料供給流路16は、インジェクタボディ8の内部およびオリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料供給流路16は、各インジェクタボディ8の図示上端面で開口したインレットポートと逆止弁の圧力室41とを連通する燃料流路孔である。
燃料供給流路17は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料供給流路17は、燃料供給流路16または圧力室41とノズル室11とを連通する燃料流路孔である。
燃料供給流路18は、ノズルボディ6の内部(シリンダ5との間に形成される筒状の燃料流路孔を含む)に形成されている。この燃料供給流路18は、燃料供給流路17とノズル室11とを連通する燃料流路孔である。
燃料導入経路は、燃料供給流路16から圧力室41、クリアランス42、中間室47を経て制御室12に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および燃料供給流路16から背圧室46、第3オリフィス33、燃料排出流路27を経て制御室12に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有している。
第1燃料導入経路は、燃料供給流路16と燃料供給流路17との間に形成された圧力室41、この圧力室41から中間室47に高圧燃料を導入するクリアランス42、中間室47から制御室12に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)22を有している。燃料導入流路22は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路22は、中間室47の燃料流出ポートと制御室12の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。
燃料導入流路23は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路23は、燃料供給流路16の分岐部と背圧室46の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。また、燃料導入流路23の燃料流方向の下流端には、燃料供給流路16と背圧室46とを連通する第2オリフィス32が設けられている。この第2オリフィス32は、スプール43の軸線方向に対して直交する方向に形成されて、背圧室46に直接連絡している。また、第2オリフィス32は、燃料導入流路23の燃料流方向の下流端の流路断面積を絞るように設けられている。また、第2オリフィス32は、背圧室46に臨むように背圧室46のスプール孔壁面で開口している。
燃料排出経路は、制御室12から電磁制御弁に燃料を排出(流出)させる第1燃料排出経路、および電磁制御弁からインジェクタボディ8のアウトレットポートに燃料を排出(流出)させる第2燃料排出経路を有している。
第1燃料排出経路は、燃料排出流路(第1燃料排出流路)22を有している。また、第1燃料排出経路は、高圧側の制御室12および燃料排出流路27、28と低圧側の燃料排出流路29とを連通する第3オリフィス33を有している。
燃料排出流路27、28は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料排出流路27、28は、制御室12と燃料排出流路29とを連通する燃料流路孔である。また、燃料排出流路27、28は、オリフィスプレート7の板厚方向の両端面(第1、第2密着面)を連通するようにオリフィスプレート7の板厚方向に貫通している。
第3オリフィス33は、第1燃料排出経路の燃料流方向の中間部(燃料排出流路27、28の燃料流方向の上流側と下流側とを連通する連通路)の流路断面積を絞るように設けられている。この第3オリフィス33は、燃料排出流路27、28の中間部に形成されている。また、第3オリフィス33の流路断面積は、第1、第2オリフィス31、32の流路断面積よりも大きく設定されている。
そして、制御室12から燃料排出流路27、28を経て燃料排出流路29の内部に流入した燃料は、インジェクタボディ8に設けられるアウトレットポートからインジェクタの外部に排出される。なお、アウトレットポートは、インジェクタから溢流または排出された燃料を燃料タンクに戻すための燃料戻し配管(リターンパイプ、オーバーフローパイプ)に接続されている。
また、オリフィスプレート7の内部には、逆止弁のスプール43の中径ランド45が摺動するスプール孔、および燃料供給流路16に連通し、高圧発生部(サプライポンプ1、コモンレール2)から高圧燃料が供給される圧力室41が形成されている。このスプール孔は、第1燃料排出経路の軸線方向(オリフィスプレート7の板厚方向)に対して直交する垂直方向に延びるように形成されている。
また、開口断面積の小さいスプール孔と、このスプール孔よりも開口断面積の大きい圧力室41との間には、円環状の段差が形成されている。この段差には、逆止弁の閉弁時にスプール43のバルブ頭部(大径ランド)51の円錐台形状の円錐シート面(テーパ面)52が当接(着座)する円環状のシート部53が設けられている。
また、第1オリフィス31の流路断面積は、第3オリフィス33の流路断面積よりも小さく設定されている。また、第2オリフィス32の流路断面積は、第1オリフィス31の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第2オリフィス32の流路断面積をS1とし、第1オリフィス31の流路断面積をS2とし、第3オリフィス33の流路断面積をS3としたとき、S1<S2<S3の関係を満足している。
また、第3オリフィス33の流路断面積は、燃料導入流路22の流路断面積よりも小さく設定されている。また、燃料導入流路22の流路断面積は、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積(総断面積)よりも小さく設定されている。また、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積は、燃料供給流路16〜18の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第3オリフィス33の流路断面積をS3とし、燃料導入流路22の流路断面積をS4とし、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積をS5とし、燃料供給流路16〜18の流路断面積をS6としたとき、S3<S4<S5<S6の関係を満足している。
逆止弁は、内部に中空部が形成されたオリフィスプレート7、このオリフィスプレート7の中空部内を往復移動するスプール43、およびスプール43とスプール孔壁面との間に設置されたスプリング44等により構成されている。
オリフィスプレート7の中空部は、圧力室41およびスプール孔(背圧室46、中間室47)等を有している。
スプリング44は、スプール43に弁孔開弁方向の付勢力(開弁力:F4)を与える開弁力付与手段である。また、背圧室46内の燃料圧力(背圧室圧)は、スプール43に弁孔開弁方向の油圧力(開弁力:F5)を加える。また、圧力室41内の燃料圧力(高圧室圧)は、スプール43に弁孔閉弁方向の油圧力(閉弁力:F6)を加える。
背圧室46は、スプリング44を収容するスプリング収容室を構成する。また、背圧室46の容積は、制御室12の容積よりも極めて小さく形成されている。
また、スプール軸は、中径ランド45と大径ランド51との間に径小部を有している。この径小部の周囲には、環状溝が形成されている。この環状溝は、スプール孔壁面との間に円筒状の中間室47を形成する。
中径ランド45は、スプール孔を、背圧室46と中間室47とに区画形成する。
大径ランド51は、中径ランド45の外径およびスプール孔の孔径よりも大きい外径を有している。この大径ランド51の環状溝側には、オリフィスプレート7のシート部53(圧力室41と中間室47との間に形成されるエッジ)に対して着座、離脱してクリアランス42を閉鎖、開放する円錐台形状の円錐シート面(テーパ面)52が形成されている。
ここで、逆止弁の開弁時、つまりスプール43の全開時には、オリフィスプレート7のシート部53と大径ランド51の円錐シート面52との間に、燃料が通過可能なクリアランス42が形成される。
また、逆止弁が閉弁すると、つまりスプール43のスプール軸がストッパ48より離脱(離座)して、スプール43の大径ランド51の円錐シート面52がオリフィスプレート7のシート部53に当接(着座)すると、燃料供給流路16と燃料導入流路22との連通状態が遮断される。これにより、燃料導入流路22から制御室12への高圧燃料の導入がなくなる。
次に、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムの作用を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。ここで、図2は電磁制御弁が閉弁し、逆止弁が開弁した状態を示している。
そして、圧力室41の内部に流入した高圧燃料は、圧力室41から燃料供給流路17→燃料供給流路18を経てノズル室11の内部に流入する。
また、圧力室41の内部に流入した高圧燃料は、逆止弁が開弁しているので、圧力室41からクリアランス42→中間室47→燃料導入流路22を経て制御室12の内部に流入する。
これによって、ニードル4は、ノズル室11内の燃料圧力によって押し上げる方向(噴孔開弁方向)の開弁力を受けると共に、制御室12内の燃料圧力によって押し下げる方向(噴孔閉弁方向)の閉弁力を受けることになる。
すなわち、ニードル4には、ノズル室11内の燃料圧力による開弁力(F1)と、スプリング37の付勢力(スプリング荷重)による閉弁力(F2)と、制御室12内の燃料圧力による閉弁力(F3)とが作用しており、F1<F2+F3が成立している。このため、ECU9により電磁制御弁のソレノイドのコイル39への通電が成されず、電磁制御弁が閉弁している場合には、全体として図2(a)にて図示下向きの力が勝ることになる。
したがって、当該インジェクタは、ニードル4が閉弁した閉弁状態となり、エンジンの気筒の燃焼室内には燃料の噴射が成されない。
なお、電磁制御弁の閉弁時には、スプリング44の付勢力(スプリング荷重)による開弁力(F4)と、逆止弁のスプール43に、背圧室46内の燃料圧力による開弁力(F5)と、圧力室41内の燃料圧力による閉弁力(F6)とが作用しており、F4+F5>F6が成立している。このため、逆止弁のスプール43は、図2に示したように、スプール43の大径ランド51の円錐シート面52がオリフィスプレート7のシート部53より引き離されて、開弁している。
そして、電磁制御弁が開弁すると、コモンレール2から導入されて制御室12の内部に充満していた高圧燃料は、制御室12から燃料排出流路27→第3オリフィス33→燃料排出流路28を経て電磁制御弁側(低圧側)の燃料排出流路29に流出する。
これによって、背圧室46と圧力室41との間に圧力差が生じて、スプリング44の弁孔開弁方向の付勢力よりも大きな閉弁力が逆止弁のスプール43に作用する。そして、F4+F5<F6が成立すると、圧力室41内の燃料圧力による弁孔閉弁方向の閉弁力によってスプール43が図示左側に移動し、スプール43の大径ランド51の円錐シート面52がオリフィスプレート7のシート部53に着座する。これにより、逆止弁のスプール43が閉弁するため、スプール43がクリアランス42を閉鎖し、圧力室41と中間室47との連通状態が遮断される。
このため、制御室12内の燃料圧力は急速に低下する。そして、ノズル室11と制御室12との間の圧力差が増加して、ニードル4に働く開弁力が増加し、スプリング37の弁孔閉弁方向の付勢力よりも大きくなる。そして、F1>F2+F3が成立すると、ノズル室11内の燃料圧力による押し上げる方向(噴孔開弁方向)の開弁力によってニードル4が上昇し(リフトを開始し)、ニードル4のシート部がノズルボディ6のシート面から離れる(離脱する、離座する)。その結果、ニードル4が開弁した開弁状態となり、ノズル室11内の高圧燃料が各噴孔3から噴射される。
したがって、当該インジェクタは、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射を開始する。
すなわち、スプリング37がその付勢力でアーマチャ36を押し下げ、電磁制御弁のバルブ35がオリフィスプレート7のバルブシート面に着座する。これにより、電磁制御弁のバルブ35が閉弁する。このため、電磁制御弁のバルブ35が、電磁制御弁の弁孔である燃料排出流路28を閉鎖し、高圧側の制御室12および燃料排出流路27、28と低圧側の燃料排出流路29との連通状態が遮断される。
そして、ノズル室11と制御室12との間の圧力差が減少し、ニードル4を開弁する開弁力がスプリング37の弁孔閉弁方向の付勢力以下になると、つまり制御室12内の燃料圧力を急速に上昇し、F1<F2+F3が成立するため、ニードル4が噴孔閉弁方向に移動してニードル4のシート部がノズルボディ6のシート面に着座する。その結果、当該インジェクタは、ニードル4のシート部がノズルボディ6のシート面に押さえ付けられ、各噴孔3を塞ぎ、ニードル4が閉弁した閉弁状態に戻ることになる。よって、各噴孔3からの燃料噴射は終了する。
先ず、従来技術1のインジェクタ(圧力バランス型インジェクタ)の詳細を図10および図11に基づいて説明する。
ECU124からのソレノイド駆動信号がONすると、電磁制御弁のソレノイドのコイル125にインジェクタ駆動電流が流れる。そして、コイル125に発生する電磁力によりアーマチャ122を吸引し、電磁制御弁のバルブ121が磁気特性の遅れ分だけ遅れて開弁する。電磁制御弁が開弁すると、燃料排出流路116の流路断面積が入口オリフィス118の流路断面積よりも大きいため、制御室104内の燃料圧力が低下していく。そして、ニードル102が開弁する条件の燃料圧力まで制御室104内の燃料圧力が低下すると、開弁応答時間(To)の経過後にニードル102が開弁する。
ここで、開弁応答時間(To)とは、電磁制御弁のソレノイドのコイル125への通電を開始(ON)してから、ニードル102が実際に開き始めるまでの経過時間のことである。
ここで、閉弁応答時間(Tc)とは、電磁制御弁のソレノイドのコイル125への通電を停止(OFF)してから、ニードル102が実際に閉弁するまでの経過時間のことである。
そして、従来技術1のインジェクタは、ニードル102の軸方向上下の受圧面積が同じため、スプリング105の付勢力だけで閉弁していく。このため、制御室104内の燃料圧力がニードル102の閉弁圧力に早く到達するように、電磁制御弁が閉弁した後に、制御室104の内部に流入する高圧燃料を増加させる必要がある。
この不具合を対策したのが、図12に示した従来技術2のインジェクタである。
電磁制御弁の作動は、従来技術1のインジェクタと同じであるため、説明を省略する。電磁制御弁の閉弁時における、制御室104内の圧力低下は、オリフィスプレート106に形成された入口オリフィス118と中間弁108に形成された出口オリフィス119との流路断面積関係で変わるが、基本的に従来技術1のインジェクタと同じと考えて良い。 制御室104内の圧力低下でニードル102が開弁すると、燃料噴射が開始される。開弁応答時間(To)は、基本的に従来技術1と変わらない。
なお、燃料供給流路111および燃料導入流路114、115には、流路断面積を絞るオリフィス(固定絞り)が設けられていないため、燃料導入流路114、115から制御室104に高圧燃料が短時間に流入し、制御室104内の燃料圧力が短時間で高圧となるので、ニードル102の閉弁が早くなる。これにより、従来技術1のインジェクタよりも従来技術2のインジェクタの方が、電磁制御弁のソレノイドのコイル125をOFFしてから、ニードル102が実際に閉弁するまでの閉弁応答時間(Tc)を短縮できるので、閉弁応答性を向上することができる。
そして、この水撃圧と制御室104内の燃料圧力との圧力差による中間弁108に対する開弁力が、スプリング129の設定荷重を超えて中間弁108を開弁してしまう。そして、中間弁108の開弁によって燃料供給流路111および燃料導入流路114、115に絞りが無いため、制御室104に高圧燃料が流入して、制御室104内の燃料圧力が高圧になり、ニードル102を閉弁して燃料噴射を中断してしまう異常噴射を発生させるという問題がある。
図2に示したように、ニードル4の開弁による水撃は、インジェクタの内部に形成される各流路16〜18、22、23、27〜29および第1〜第3オリフィス31〜33のうちで、流路断面積が最も小さい第2オリフィス32を介して、燃料供給流路16から燃料導入流路23を経て背圧室46の内部に導入されている。このため、背圧室46内の燃料圧力は、逆止弁の開弁に影響を与える程には変化させないだけでなく、逆止弁の圧力室41側(高圧供給側)に水撃が加わり、弁孔閉弁方向に逆止弁のスプール43を付勢する。
このため、従来技術2のインジェクタで起きるような燃料噴射が中断するような異常噴射は発生しない。ソレノイド駆動信号がOFFされてソレノイドのコイル39への通電が止まると、電磁制御弁が閉弁する。
上述したように、逆止弁を開弁することで、圧力室41の高圧燃料が固定絞りのない燃料導入流路22を介して制御室12の内部に流入して制御室12内の燃料圧力を短時間で高め、ニードル4を閉弁させる。
したがって、従来技術2のインジェクタのように中間弁108の半径方向を迂回して高圧燃料が流入する必要がないため、従来技術2のインジェクタよりも閉弁応答時間(Tc)を短縮できる。これにより、本実施例のインジェクタにおいては、従来技術2のインジェクタよりも閉弁応答性をより向上することができる。
先ず、燃料の噴射開始時には、第3オリフィス33の霧吹き効果によって、逆止弁の背圧室46の燃料圧力(背圧室圧)を素早く低下させることで、逆止弁を閉弁させる。そして、逆止弁を閉弁することで、大流路断面積を有する燃料導入流路22を閉鎖し、制御室12への実質の高圧燃料の流入を遮断する。これにより、制御室12内の燃料圧力(制御室圧)を素早く低下させることで、ニードル4の開弁応答性を高めることができる。
また、入口絞りとして働く2つの第1、第2オリフィス31、32は、図1および図2に示したように、背圧室46を挟んで直列配置になっている。このため、背圧室46から第1オリフィス31を通って第3オリフィス33に流出していく燃料は少なく、且つ第2オリフィス32の流路断面積が第1オリフィス31の流路断面積よりも小さく設定されている。これにより、逆止弁の閉弁時に、背圧室46内の燃料圧力(背圧室圧)が低い状態のまま維持される。
また、燃料の噴射時、特に逆止弁の閉弁時には、制御室12よりも容積の小さい背圧室46が更に逆止弁の行程容積分だけ容積を減じており、燃料の噴射終了時には、第2オリフィス32からの高圧燃料の流入により背圧室46内の燃料圧力(背圧室圧)がより早く上昇して逆止弁の開弁時間を短縮することができる。これにより、逆止弁の開弁により流路断面積の大きい燃料導入流路22から制御室12へ高圧燃料が流入し、制御室12内の燃料圧力(制御室圧)をより素早く上昇させることで、ニードル4の閉弁応答性を高めることができる。
また、ニードル4の閉弁時にも水撃圧力波が発生し、逆止弁の中間室47を経て制御室12の内部にも水撃圧力波が付加される可能性がある。しかし、その水撃圧力波は、ニードル4の噴孔閉弁方向に力が働くため、ニードル4の閉弁時に2次噴射が発生することはない。
また、従来技術1のインジェクタの長所である静的な燃料漏れが無いことを維持している。
また、背圧室46内の燃料圧力を霧吹き効果、また、小容積による素早い圧力低減効果で、大流路断面積の燃料導入流路22を逆止弁が瞬時に閉じる。その上、2つの第1、第2オリフィス31、32が直列配置されているため、第2オリフィス32、第1オリフィス31、第3オリフィス33を通過する燃料量の増加を妨げている。これにより、動的な燃料漏れも少なく維持されている。
また、逆止弁は、平面シート形状ではなく、スプール43の大径ランド51の環状溝側にオリフィスプレート7のシート部53に着座する円錐形状の円錐シート面52を形成し、高圧供給側の圧力変動は逆止弁のスプール43を弁孔閉弁方向に付加する構造としている。
この構造により、逆止弁の閉弁時におけるシート部53と円錐シート面52との間の漏れをなくすと共に、指令噴射期間、つまり電磁制御弁の開弁時には逆止弁が閉弁していて、背圧室46内の燃料圧力が低圧に保持されている。このため、高圧供給側の圧力変動で逆止弁が開弁して、制御室12内の燃料圧力が上昇してしまい、燃料噴射を中断させる不具合を防止することができる。
また、燃料の噴射開始指令時には、第1オリフィス31を第3オリフィス33に臨むように開口することで、第1オリフィス31よりも燃料流方向の上流側、つまり背圧室46内の燃料を、制御室12から第3オリフィス33を通過する燃料の流れによる霧吹き効果で吸い出している。これにより、背圧室46内の燃料圧力が素早く低下するため、逆止弁の閉弁を早くできる。このため、流路断面積が大きい燃料導入流路22から制御室12への高圧燃料の流入が遮断され、制御室12から燃料排出流路27、28を経て燃料排出流路29側に燃料が流出し、制御室12内の燃料圧力が素早く低下する。これにより、ニードル4の開弁応答性を高めることができる。
この構造により、電磁制御弁のソレノイドのコイル39をONしてから、ニードル4が実際に開弁するまでの開弁応答時間(To)を短縮できるので、ニードル4の開弁応答性を向上することができる。また、電磁制御弁のソレノイドのコイル39をOFFしてから、ニードル4が実際に閉弁するまでの閉弁応答時間(Tc)を短縮できるので、ニードル4の閉弁応答性を向上することができる。
さらに、インジェクタの内部の漏れを低いままに維持して、噴射作動時に漏れる燃料も低減できる製造容易なインジェクタを得ることができる。これにより、エンジンの燃料消費の低減を実現することができる。このように、燃料供給流路16から制御室12に高圧燃料を流入させる燃料導入経路の途中に逆止弁を配置し、ニードル4の開弁応答性および閉弁応答性が向上し、漏れの少ないインジェクタを得ることで、燃費の良い高性能なエンジンを提供することができる。
スプール孔は、逆止弁のクリアランス42を開閉するスプール43をそのスプール軸の軸線方向(移動方向)に往復移動可能に収容している。また、スプール孔は、実施例1と同様に、スプール43の大径ランド51よりも外径の小さい中径ランド45等によって背圧室46、中間室47等に区画形成されている。
また、スプール43の中径ランド45は、オリフィスプレート7のスプール孔内を往復摺動自在に支持されている。また、スプール43の大径ランド51の環状溝側には、実施例1と同様に、円錐形状の円錐シート面52が形成されている。
すなわち、オリフィスプレート7の内部には、燃料供給流路16から圧力室41→燃料導入流路23としての貫通孔54→第2オリフィス32→背圧室46→第1オリフィス31→第3オリフィス33→燃料排出流路27を経て制御室12に燃料を流入させる第2燃料導入経路が設けられる。
本実施例の逆止弁は、十字溝49が形成された円板状のストッパ48を有している。なお、十字溝49は設けなくても構わない。十字溝49を設けない場合、逆止弁の開弁時に、燃料導入流路23としての貫通孔54の圧力室側開口部がストッパ48により液密的に閉鎖されるため、燃料の噴射開始時における背圧室46内の燃料圧力(背圧室圧)の低下が実施例1よりも一層早くなる。これにより、ニードル4の開弁応答性を実施例1よりも向上することができる。
これによって、実施例1と同様に、電磁制御弁を開弁してからニードル4が開弁するまでの期間(開弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の開弁応答性を向上できる。また、実施例1と同様に、電磁制御弁を閉弁してからニードル4が閉弁するまでの期間(閉弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の閉弁応答性を向上できる。
また、本実施例のインジェクタにおいては、実施例1と異なり、燃料導入流路23として使用される貫通孔54を逆止弁のスプール43の内部に設けているので、逆止弁のスプール43に加工を集中することができる。これにより、実施例1と比べて、インジェクタ、特にオリフィスプレート7の製造コストを低減することができる。
バルブボディは、オリフィスプレート7およびインジェクタボディ8等により構成されている。
中空部は、オリフィスプレート7の第2密着面で開口した凹部(スプール孔)、およびインジェクタボディ8の第2結合面で開口した凹部(圧力室41)等により構成されている。
スプール43は、オリフィスプレート7の板厚方向に延びるスプール軸を有している。また、スプール43の中径ランド45は、オリフィスプレート7のスプール孔内を往復摺動自在に支持されている。また、スプール43の大径ランド51の環状溝側には、オリフィスプレート7のシート部(エッジ)53に着座可能な円錐形状の円錐シート面52が形成されている。
第1燃料導入経路は、燃料供給流路16から圧力室41に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)21、圧力室41から中間室47に高圧燃料を導入するクリアランス42、中間室47から制御室12に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)22を有している。
燃料導入流路21は、オリフィスプレート7の第2密着面とインジェクタボディ8の第2結合面で開口した連通溝の溝底面との間に形成されている。この燃料導入流路21は、燃料供給流路16の分岐部と圧力室41の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔(連通路)である。
燃料導入流路22は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路22は、中間室47の燃料流出ポートと制御室12の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。
燃料導入流路23は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路23は、燃料供給流路17の分岐部と背圧室46の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。また、燃料導入流路23の途中には、燃料供給流路17と背圧室46とを連通する第2オリフィス32が設けられている。この第2オリフィス32は、燃料導入流路23の流路断面積を絞るように設けられている。
連通路24は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この連通路24は、背圧室46の連通ポートと第3オリフィス33の合流部(T字型の合流部)とを連通する燃料流路孔である。また、連通路24の第3オリフィス側端部には、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する第1オリフィス31が設けられている。この第1オリフィス31は、連通路24の流路断面積を絞るように設けられている。また、第1オリフィス31は、第3オリフィス33に臨むように第3オリフィス33の絞り孔壁面で開口している。
また、第3オリフィス33の流路断面積は、燃料導入流路21、22の流路断面積よりも小さく設定されている。また、燃料導入流路21、22の流路断面積は、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積よりも小さく設定されている。また、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積は、燃料供給流路16〜18の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第3オリフィス33の流路断面積をS3とし、燃料導入流路21、22の流路断面積をS4とし、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積をS5とし、燃料供給流路16〜18の流路断面積をS6としたとき、S3<S4<S5<S6の関係を満足している。
また、背圧室46の容積は、制御室12の容積よりも小さく形成されている。
これによって、実施例1と同様に、電磁制御弁を開弁してからニードル4が開弁するまでの期間(開弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の開弁応答性を向上できる。また、実施例1と同様に、電磁制御弁を閉弁してからニードル4が閉弁するまでの期間(閉弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の閉弁応答性を向上できる。
また、本実施例のインジェクタは、逆止弁のスプール43の移動範囲(特に全開位置)を規制するストッパ(規制部)をインジェクタボディ8の圧力室41の壁面により構成している。これにより、実施例1及び2のストッパ48を廃止できる。また、スプール43の大径ランド51の円錐シート面52が着座するシート部53をオリフィスプレート7の第2密着面に設けているので、シート部53の加工作業を容易化できる。これにより、更なる製造コストの低減が可能となる。
なお、実施例2のように、スプール43の内部にスプール軸を貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔を第2オリフィス32を有する燃料導入流路23として使用しても良い。
中間弁は、制御室12の内部に設置されて、燃料導入流路22を開閉制御する第3制御弁を構成する。この中間弁は、燃料導入流路22を開閉するプレート(プレート状のバルブ)61、およびこのプレート61を弁孔閉弁方向に付勢するスプリング(プレート付勢手段、第3スプリング)62を有している。
スプリング62は、プレート61に弁孔閉弁方向の付勢力(閉弁力)を与える閉弁力付与手段である。
なお、ニードル4の軸線方向の図示上端部(ニードル4の頭頂部)には、中間弁のプレート61の移動範囲(特に全開位置)を規制する円板状のストッパ(規制部)63が設けられている。
そして、電磁制御弁が開弁すると、実施例1と同様に、第3オリフィス33を通過する燃料による霧吹き効果(エジェクタ効果)で、第3オリフィス33に臨むように開口している第1オリフィス31から背圧室46の内部に充満していた燃料が吸い出され、背圧室46内の燃料圧力が急激に低下する。これによって、F4+F5<F6が成立して、圧力室41内の燃料圧力による弁孔閉弁方向の閉弁力によって逆止弁が閉弁する。
このとき、中間弁のプレート61が燃料導入流路22を閉じている。このため、制御室12が、第4オリフィス34、燃料排出流路27、第3オリフィス33、背圧室46、第2オリフィス32、燃料導入流路23を介して燃料供給流路16に連通していても、制御室12内の燃料圧力は素早く低下する。これにより、ニードル4の開弁を早めることができる。
そして、電磁制御弁が閉弁すると、実施例1と同様に、制御室12から燃料排出流路29への燃料流出が停止するため、コモンレール2から燃料供給流路16→燃料導入流路23→第2オリフィス32を経て背圧室46の内部に流入する高圧燃料が背圧室46内の燃料圧力を回復させる。これによって、F4+F5>F6が成立して、スプリング44の付勢力による弁孔開弁方向の開弁力によって逆止弁が開弁する。
逆止弁が開弁すると、燃料供給流路16から圧力室41→クリアランス42→中間室47→燃料導入流路22を経て制御室12の内部に高圧燃料が導入される。このとき、燃料導入流路22より制御室12の内部に流入する燃料圧力によって、中間弁のプレート61が押し下げられる。これによって、中間弁のプレート61が開弁するため、燃料導入流路22からプレート61の外周とシリンダ5の内周との間のクリアランスを経て制御室12の内部に高圧燃料が導入される。このため、制御室12内の燃料圧力が素早く上昇する。これにより、ニードル4の閉弁も早めることができる。
ここで、中間弁のプレート61は、燃料の噴射開始時に逆止弁が閉じるまで、燃料供給流路16から圧力室41→クリアランス42→中間室47→燃料導入流路22を経て制御室12の内部に高圧燃料が流入することを防止できる。これにより、燃料の噴射開始時に逆止弁が閉じるまでの期間における、制御室12から燃料排出流路27→第3オリフィス33→燃料排出流路28を経て電磁制御弁側の燃料排出流路29側への燃料流出量を減少できる利点がある。
また、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、中間弁が閉弁し、ニードル4が開弁している期間(燃料の噴射期間)中には、逆止弁および中間弁が流路断面積の大きい燃料導入流路22を閉鎖している。これにより、ニードル4の開弁に伴って圧力変動が発生した場合であっても、制御室12内の燃料圧力は、実施例1と同様に、低圧を維持できる。したがって、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射期間中にニードル4が閉弁するような異常噴射動作を防止することができる。
第1燃料導入経路は、燃料供給流路16から高圧燃料が導入される圧力室41、この圧力室41から中間室47に高圧燃料を導入するクリアランス42、中間室47から制御室12に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)25を有している。燃料導入流路25は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路25は、中間室47の燃料流出ポートと制御室12の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。
燃料導入流路23は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路23は、燃料供給流路16の分岐部と中間室47の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。また、燃料導入流路23の燃料流方向の下流端には、燃料供給流路16と中間室47とを連通する第2オリフィス32が設けられている。この第2オリフィス32は、スプール43の軸線方向に対して直交する方向に形成されて、中間室47に直接連絡している。また、第2オリフィス32は、燃料導入流路23の燃料流方向の下流端の流路断面積を絞るように設けられている。また、第2オリフィス32は、中間室47に臨むように中間室47のスプール孔壁面で開口している。
第1燃料排出経路は、燃料排出流路(第1燃料排出流路)27、28、および背圧室46と第3オリフィス33とを連通する連通路を有している。また、燃料排出流路27と燃料排出流路28との間、つまり第1燃料排出経路の中間部には、第1、第2オリフィス31、32の流路断面積よりも大きい流路断面積を有する第3オリフィス33が設けられている。
連通路は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この連通路は、背圧室46の連通ポートと第3オリフィス33の合流部とを連通する燃料流路孔である。また、本実施例の連通路は、この連通路全体が、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する第1オリフィス31を構成している。この第1オリフィス31は、連通路の流路断面積を絞るように設けられている。また、第1オリフィス31の一方側は、背圧室46に臨むように背圧室46のスプール孔壁面で開口している。また、第1オリフィス31の他方側は、第3オリフィス33に臨むように第3オリフィス33の絞り孔壁面で開口している。
また、第3オリフィス33の流路断面積は、燃料導入流路25の流路断面積よりも小さく設定されている。また、燃料導入流路25の流路断面積は、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積よりも小さく設定されている。また、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積は、燃料供給流路16〜18の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第3オリフィス33の流路断面積をS3とし、燃料導入流路25の流路断面積をS4とし、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積をS5とし、燃料供給流路16〜18の流路断面積をS6としたとき、S3<S4<S5<S6の関係を満足している。
そして、電磁制御弁が開弁すると、実施例1と同様に、第3オリフィス33を通過する燃料による霧吹き効果(エジェクタ効果)で、第3オリフィス33に臨むように開口している第1オリフィス31から背圧室46の内部に充満していた燃料が吸い出され、背圧室46内の燃料圧力が急激に低下する。これによって、F4+F5<F6が成立して、圧力室41内の燃料圧力による弁孔閉弁方向の閉弁力によって逆止弁が閉弁する。
ここで、第2オリフィス32の流路断面積が、第3オリフィス33の流路断面積よりも小さくなるように形成されている。これにより、燃料供給流路16から燃料導入流路23→第2オリフィス32→中間室47→燃料導入流路25を経て制御室12の内部に流入する燃料の流量よりも、制御室12から燃料排出流路27→第3オリフィス33→燃料排出流路28を経て燃料排出流路29側に流出する燃料の流量の方が多いので、制御室12内の燃料圧力は素早く低下する。これにより、ニードル4の開弁を早めることができる。
そして、電磁制御弁が閉弁すると、実施例1と同様に、制御室12から燃料排出流路29への燃料流出が停止するため、コモンレール2から燃料供給流路16→燃料導入流路23→第2オリフィス32→中間室47→燃料導入流路25→制御室12→燃料排出流路27→第3オリフィス33→第1オリフィス31を経て背圧室46の内部に流入する高圧燃料が背圧室46内の燃料圧力を回復させる。これによって、F4+F5>F6が成立して、スプリング44の付勢力による弁孔開弁方向の開弁力によって逆止弁が開弁する。
逆止弁が開弁すると、燃料供給流路16から圧力室41→クリアランス42→中間室47→燃料導入流路25を経て制御室12の内部に高圧燃料が導入される。これによって、制御室12内の燃料圧力が素早く上昇する。これにより、ニードル4の閉弁も早めることができる。
また、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、ニードル4が開弁している期間(燃料の噴射期間)中には、逆止弁が流路断面積の大きいクリアランス42を閉鎖している。このため、第2オリフィス32を有する燃料導入流路23からしか制御室12内の燃料圧力に影響を与えない。これにより、ニードル4の開弁に伴って圧力変動が発生した場合であっても、制御室12内の燃料圧力は、実施例1と同様に、低圧を維持できる。したがって、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射期間中にニードル4が閉弁するような異常噴射動作を防止することができる。
本実施例の逆止弁は、燃料導入経路に設置されて、燃料導入経路を開閉制御する第2制御弁を構成する。この逆止弁は、内部に中空部(内部空間)が形成されたバルブボディ、燃料導入流路22を開閉するプレート71、およびこのプレート71を弁孔開弁方向に付勢するスプリング(プレート付勢手段、第2スプリング)72を有している。
バルブボディは、オリフィスプレート7およびインジェクタボディ8等により構成されている。
なお、背圧室46は、その流路断面積が、圧力室41の流路断面積よりも小さくなるように設定されている。これにより、オリフィスプレート7は、燃料導入流路22および背圧室46の燃料導入ポートの開口周縁部に、プレート71が着座可能なバルブシート面(以下シート面73と言う)を有している。このシート面73は、平面研削加工等により平面化された平面形状の弁座である。
背圧室46の内部に収容されるスプリング72は、逆止弁のプレート71に弁孔開弁方向の付勢力(開弁力:F4)を与える開弁力付与手段である。また、背圧室46内の燃料圧力(背圧室圧)は、逆止弁のプレート71に弁孔開弁方向の油圧力(開弁力:F5)を加える。また、圧力室41内の燃料圧力(高圧室圧)は、逆止弁のプレート71に弁孔閉弁方向の油圧力(閉弁力:F6)を加える。
ここで、ストッパ74は、円板形状のプレート71よりも小さい外径を有している。このストッパ74には、少なくともプレート71がストッパ74に当接している際(プレート71の開弁時)に、内部を高圧燃料が流通する十字溝75が形成されている。この十字溝75は設けなくても構わない。
なお、逆止弁の燃料導入流路22および背圧室46の燃料導入ポートは、オリフィスプレート7のシート面73で開口している。
燃料導入流路21は、オリフィスプレート7の第2密着面とインジェクタボディ8の第2結合面で開口した連通溝の溝底面との間に形成されている。この燃料導入流路21は、燃料供給流路16の分岐部と圧力室41の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔(連通路)である。
燃料導入流路22は、オリフィスプレート7をその板厚方向に貫通するように形成されている。この燃料導入流路22は、背圧室46を迂回して、圧力室41の燃料流出ポートと制御室12の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。
連通路24は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この連通路24は、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する燃料流路孔である。また、連通路24の第3オリフィス側端部には、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する第1オリフィス31が設けられている。この第1オリフィス31は、連通路24の流路断面積を絞るように設けられている。また、第1オリフィス31は、第3オリフィス33に臨むように第3オリフィス33の絞り孔壁面で開口している。
また、第1オリフィス31の流路断面積は、第3オリフィス33の流路断面積よりも小さく設定されている。また、第2オリフィス32の流路断面積は、第1オリフィス31の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第2オリフィス32の流路断面積をS1とし、第1オリフィス31の流路断面積をS2とし、第3オリフィス33の流路断面積をS3としたとき、S1<S2<S3の関係を満足している。
そして、電磁制御弁が開弁すると、実施例1と同様に、第3オリフィス33を通過する燃料による霧吹き効果(エジェクタ効果)で、第3オリフィス33に臨むように開口している第1オリフィス31から背圧室46の内部に充満していた燃料が吸い出され、背圧室46内の燃料圧力が急激に低下する。これによって、F4+F5<F6が成立して、圧力室41内の燃料圧力による弁孔閉弁方向の閉弁力によって逆止弁のプレート71がオリフィスプレート7のシート面73に着座する。つまり逆止弁が閉弁する。
そして、逆止弁が閉弁すると、制御室12の内部に充満していた燃料は、制御室12から燃料排出流路27→第3オリフィス33→燃料排出流路28→燃料排出流路29→アウトレットポート→燃料戻し配管を経て燃料タンクに戻される。このため、制御室12内の燃料圧力は素早く低下する。これにより、ニードル4の開弁を早めることができる。
そして、電磁制御弁が閉弁すると、実施例1と同様に、制御室12から燃料排出流路29への燃料流出が停止するため、コモンレール2から燃料供給流路16→燃料導入流路21→圧力室41→第2オリフィス32を経て背圧室46の内部に流入する高圧燃料が背圧室46内の燃料圧力を回復させる。これによって、F4+F5>F6が成立して、スプリング44の付勢力による弁孔開弁方向の開弁力によって逆止弁のプレート71がストッパ74に当接する位置までリフトする。つまり逆止弁が開弁する。
逆止弁が開弁すると、燃料供給流路16から燃料導入流路21→圧力室41→クリアランス→燃料導入流路22を経て制御室12の内部に高圧燃料が導入される。これによって、制御室12内の燃料圧力が素早く上昇する。これにより、ニードル4の閉弁も早めることができる。
これによって、実施例1と同様に、電磁制御弁を開弁してからニードル4が開弁するまでの期間(開弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の開弁応答性を向上できる。また、実施例1と同様に、電磁制御弁を閉弁してからニードル4が閉弁するまでの期間(閉弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の閉弁応答性を向上できる。
また、本実施例のインジェクタにおいては、実施例1〜5に対し、逆止弁を円錐形状のシート面形状から平板形状のシート面73に変更し、また、第2オリフィス32を逆止弁のプレート71の内部に形成している。これにより、実施例1と比べて、インジェクタ、特に逆止弁、オリフィスプレート7の製造コストを低減することができる。
バルブボディは、オリフィスプレート7およびインジェクタボディ8等により構成されている。
なお、背圧室46の燃料導入ポートの開口周縁部には、プレート71が着座可能なシート面73が設けられている。また、背圧室46の燃料導入ポートは、オリフィスプレート7のシート面73で開口している。
プレート71は、オリフィスプレート7のシート面73に対して着座、離脱して背圧室46の燃料導入ポートを閉鎖、開放するプレート状のバルブである。また、プレート71には、その板厚方向(移動方向)に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は、圧力室41と背圧室46とを連通する第2オリフィス32として使用される。
燃料導入流路21は、燃料供給流路16の分岐部と圧力室41の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。
燃料導入流路26は、背圧室46の燃料流出ポートと制御室12の燃料導入ポートとを連通すると共に、オリフィスプレート7の板厚方向に真っ直ぐに延びる燃料流路孔である。
連通路24は、背圧室46の連通ポートと第3オリフィス33の連通ポートとを連通する燃料流路孔である。また、連通路24の第3オリフィス側端部には、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する第1オリフィス31が設けられている。この第1オリフィス31は、連通路24の流路断面積を絞るように設けられている。また、第1オリフィス31は、第3オリフィス33に臨むように第3オリフィス33の絞り孔壁面で開口している。
また、第1オリフィス31の流路断面積は、第3オリフィス33の流路断面積よりも小さく設定されている。また、第2オリフィス32の流路断面積は、第1オリフィス31の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第2オリフィス32の流路断面積をS1とし、第1オリフィス31の流路断面積をS2とし、第3オリフィス33の流路断面積をS3としたとき、S1<S2<S3の関係を満足している。
そして、電磁制御弁が開弁すると、実施例6と同様に、背圧室46内の燃料圧力が急激に低下する。これによって、F4+F5<F6が成立して、圧力室41内の燃料圧力による弁孔閉弁方向の閉弁力によって逆止弁が閉弁する。
そして、逆止弁が閉弁すると、制御室12の内部に充満していた燃料が、制御室12から流出して燃料タンクに戻されるため、制御室12内の燃料圧力は素早く低下する。これにより、ニードル4の開弁を早めることができる。
そして、電磁制御弁が閉弁すると、実施例6と同様に、制御室12から燃料排出流路29への燃料流出が停止するため、コモンレール2から燃料供給流路16→燃料導入流路21→圧力室41→第2オリフィス32を経て背圧室46の内部に流入する高圧燃料が背圧室46内の燃料圧力を回復させる。これによって、F4+F5>F6が成立して、スプリング44の付勢力による弁孔開弁方向の開弁力によって逆止弁が開弁する。
逆止弁が開弁すると、燃料供給流路16から燃料導入流路21→圧力室41→クリアランス→背圧室46→燃料導入流路26を経て制御室12の内部に高圧燃料が導入される。これによって、制御室12内の燃料圧力が素早く上昇する。これにより、ニードル4の閉弁も早めることができる。
これによって、実施例1及び6と同様に、電磁制御弁を開弁してからニードル4が開弁するまでの期間(開弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の開弁応答性を向上できる。また、実施例1及び6と同様に、電磁制御弁を閉弁してからニードル4が閉弁するまでの期間(閉弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の閉弁応答性を向上できる。
また、電磁制御弁の閉弁時に背圧室46の圧力が制御室12と連通していることから、実施例4よりも背圧室46の圧力低下が遅れるが、制御室12の圧力低下は早まる。故に、噴射開始遅れは、実施例4と同等にできて、燃料導入流路26の形成が容易になり、製造価格を低減することができる。
本実施例では、逆止弁をオリフィスプレート7に構成しているが、逆止弁をインジェクタボデー8の内部、あるいはノズルボディ6の内部に構成しても良い。
本実施例では、第1制御弁として、電磁アクチュエータによりバルブが駆動される電磁制御弁を採用しているが、燃料排出経路を開閉して制御室12内の燃料圧力を増減するバルブを駆動できる駆動装置であれば、電動アクチュエータ、ピエゾアクチュエータ、負圧作動式アクチュエータ等の他のアクチュエータを備えた制御弁を採用しても良い。
2 コモンレール(高圧発生部)
3 インジェクタ(燃料噴射装置)の噴孔
4 インジェクタ(燃料噴射装置)のニードル
7 オリフィスプレート(バルブボディ)
10 インジェクタ(燃料噴射装置)のスプリング(ニードル付勢手段)
11 インジェクタ(燃料噴射装置)のノズル室
12 インジェクタ(燃料噴射装置)の制御室(第1圧力室)
16 燃料供給流路(燃料供給経路)
17 燃料供給流路(燃料供給経路)
18 燃料供給流路(燃料供給経路)
21 燃料導入流路(燃料導入経路、第1燃料導入経路)
22 燃料導入流路(燃料導入経路、第1燃料導入経路、第2、第3弁孔、第2圧力室)
23 燃料導入流路(燃料導入経路、第2燃料導入経路)
24 連通路(燃料導入経路、第2燃料導入経路)
25 燃料導入流路(燃料導入経路、第1燃料導入経路)
26 燃料導入流路(燃料導入経路、第1燃料導入経路)
27 燃料排出流路(燃料排出経路)
28 燃料排出流路(燃料排出経路、電磁制御弁(第1制御弁)の弁孔(第1弁孔)) 29 燃料排出流路(燃料排出経路)
31 第1オリフィス(第1入口絞り、第1入口オリフィス)
32 第2オリフィス(第2入口絞り、第2入口オリフィス)
33 第3オリフィス(出口絞り、出口オリフィス)
35 電磁制御弁(第1制御弁)のバルブ
37 電磁制御弁(第1制御弁)のスプリング(バルブ付勢手段、第1スプリング)
39 電磁制御弁(第1制御弁)のコイル(ソレノイド)
41 逆止弁(第2制御弁)の圧力室
42 逆止弁(第2制御弁)のクリアランス(弁孔、第2弁孔)
43 逆止弁(第2制御弁)のスプール(スプールバルブ)
44 逆止弁(第2制御弁)のスプリング(スプール付勢手段、第2スプリング)
45 スプールの中径ランド(摺動部)
46 逆止弁(第2制御弁)の背圧室(スプール孔、中空部)
47 逆止弁(第2制御弁)の中間室(スプール孔、中空部)
61 中間弁(第3制御弁)のプレート(プレート状のバルブ)
62 中間弁(第3制御弁)のスプリング(プレート付勢手段、第3スプリング)
71 逆止弁(第2制御弁)のプレート(プレート状のバルブ)
72 逆止弁(第2制御弁)のスプリング(プレート付勢手段、第2スプリング)
Claims (20)
- (a)内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、
(b)内部の燃料が前記ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、
(c)内部の燃料が前記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える制御室と、
(d)前記ニードルを噴孔閉弁方向に付勢するニードル付勢手段と、
(e)高圧燃料を発生させる高圧発生部から前記ノズル室に高圧燃料を供給する燃料供給経路と、
(f)この燃料供給経路から前記制御室に高圧燃料を流入させる燃料導入経路と、
(g)前記制御室から燃料を排出させる燃料排出経路と、
(h)この燃料排出経路に設置されて、前記燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁と、
(i)前記燃料導入経路に設置されて、前記燃料導入経路を開閉制御する第2制御弁とを備え、
前記第1制御弁を閉弁または開弁して前記制御室内の燃料圧力を増減することで、前記ニードルを閉弁または開弁させて燃料の噴射制御を行う燃料噴射装置において、
前記第2制御弁は、前記制御室に燃料を導入する弁孔を開閉するスプール、内部の燃料が前記スプールに弁孔開弁方向の力を加える背圧室、内部の燃料が前記スプールに弁孔閉弁方向の力を加える圧力室、前記弁孔を介して前記圧力室と前記制御室とを連通する中間室、および前記スプールを弁孔開弁方向に付勢するスプール付勢手段を有し、
前記圧力室は、前記燃料供給経路に連通し、前記高圧発生部から高圧燃料が供給されており、
前記燃料導入経路は、前記圧力室から前記弁孔、前記中間室を経て前記制御室に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および前記燃料供給経路から前記背圧室、前記燃料排出経路を経て前記制御室に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有し、
前記燃料排出経路は、前記制御室と前記第1制御弁とを連通する出口絞りを有し、
前記第2燃料導入経路は、前記出口絞りに臨むように開口し、前記背圧室と前記出口絞りとを連通する第1入口絞り、および前記燃料供給経路と前記背圧室とを連通する第2入口絞りを有し、
前記第1入口絞りの流路断面積は、前記出口絞りの流路断面積よりも小さく設定されており、
前記第2入口絞りの流路断面積は、前記第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
前記第2燃料導入経路は、前記燃料供給経路から前記背圧室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有し、
前記第2入口絞りは、前記背圧室に臨むように開口し、前記燃料導入流路に設置されていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
前記第2燃料導入経路は、前記燃料供給経路から前記圧力室を経て前記背圧室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有し、
前記第2入口絞りは、前記背圧室に臨むように開口し、前記燃料導入流路に設置されていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項3に記載の燃料噴射装置において、
前記第2制御弁は、前記スプールを往復移動可能に収容するスプール孔が形成されたバルブボディを有し、
前記スプールは、その移動方向に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記燃料導入流路として使用されることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
前記第2燃料導入経路は、前記燃料供給経路から前記背圧室に高圧燃料を導入する燃料導入流路、および前記背圧室と前記出口絞りとを連通する連通路を有し、
前記第1入口絞りは、前記連通路に設置されており、
前記第2入口絞りは、前記燃料導入流路に設置されていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
前記燃料排出経路は、前記制御室から燃料を排出する燃料排出流路を有し、
前記出口絞りは、前記燃料排出流路に設置されていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
前記第1燃料導入経路は、前記中間室から前記制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有し、
前記制御室に設置されて、前記燃料導入流路を開閉制御する第3制御弁を備え、
前記第3制御弁は、前記燃料導入流路の制御室側開口を開閉するプレート、およびこのプレートを開口閉弁方向に付勢するプレート付勢手段を有し、
前記制御室は、内部の燃料が前記プレートに開口閉弁方向の力を加える第1圧力室を構成し、
前記燃料導入流路は、内部の燃料が前記プレートに開口開弁方向の力を加える第2圧力室を構成し、
前記プレートは、その板厚方向に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記制御室と前記出口絞りとを連通するオリフィスとして使用されることを特徴とする燃料噴射装置。 - (a)内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、
(b)内部の燃料が前記ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、
(c)内部の燃料が前記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える制御室と、
(d)前記ニードルを噴孔閉弁方向に付勢するニードル付勢手段と、
(e)高圧燃料を発生させる高圧発生部から前記ノズル室に高圧燃料を供給する燃料供給経路と、
(f)この燃料供給経路から前記制御室に高圧燃料を流入させる燃料導入経路と、
(g)前記制御室から燃料を排出させる燃料排出経路と、
(h)この燃料排出経路に設置されて、前記燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁と、
(i)前記燃料導入経路に設置されて、前記燃料導入経路を開閉制御する第2制御弁とを備え、
前記第1制御弁を閉弁または開弁して前記制御室内の燃料圧力を増減することで、前記ニードルを閉弁または開弁させて燃料の噴射制御を行う燃料噴射装置において、
前記第2制御弁は、前記制御室に燃料を導入する弁孔を開閉するスプール、内部の燃料が前記スプールに弁孔開弁方向の力を加える背圧室、内部の燃料が前記スプールに弁孔閉弁方向の力を加える圧力室、前記弁孔を介して前記圧力室と前記制御室とを連通する中間室、および前記スプールを弁孔開弁方向に付勢するスプール付勢手段を有し、
前記圧力室は、前記燃料供給経路に連通し、前記高圧発生部から高圧燃料が供給されており、
前記燃料導入経路は、前記圧力室から前記弁孔、前記中間室を経て前記制御室に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および前記燃料供給経路から前記中間室を経て前記制御室に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有し、
前記燃料排出経路は、前記制御室と前記第1制御弁とを連通する出口絞り、および前記出口絞りに臨むように開口し、前記背圧室と前記出口絞りとを連通する第1入口絞りを有し、
前記第2燃料導入経路は、前記燃料供給経路と前記中間室とを連通する第2入口絞りを有し、
前記第1入口絞りの流路断面積は、前記出口絞りの流路断面積よりも小さく設定されており、
前記第2入口絞りの流路断面積は、前記第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項8に記載の燃料噴射装置において、
前記燃料排出経路は、前記制御室から燃料を排出する燃料排出流路を有し、
前記出口絞りは、前記燃料排出流路に設置されていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項8または請求項9に記載の燃料噴射装置において、
前記第1燃料導入経路および前記第2燃料導入経路は、前記中間室から前記制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有していることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項2ないし請求項5、請求項10のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
前記出口絞りの流路断面積は、前記燃料導入流路の流路断面積よりも小さく設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
前記背圧室の容積は、前記制御室の容積よりも小さく形成されていることを特徴とする燃料噴射装置。 - (a)内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、
(b)内部の燃料が前記ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、
(c)内部の燃料が前記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える制御室と、
(d)前記ニードルを噴孔閉弁方向に付勢するニードル付勢手段と、
(e)高圧燃料を発生させる高圧発生部から前記ノズル室に高圧燃料を供給する燃料供給経路と、
(f)この燃料供給経路から前記制御室に高圧燃料を流入させる燃料導入経路と、
(g)前記制御室から燃料を排出させる燃料排出経路と、
(h)この燃料排出経路に設置されて、前記燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁と、
(i)前記燃料導入経路に設置されて、前記燃料導入経路を開閉制御する第2制御弁とを備え、
前記第1制御弁を閉弁または開弁して前記制御室内の燃料圧力を増減することで、前記ニードルを閉弁または開弁させて燃料の噴射制御を行う燃料噴射装置において、
前記第2制御弁は、前記制御室に燃料を導入する弁孔を開閉するプレート、内部の燃料が前記プレートに弁孔開弁方向の力を加える背圧室、内部の燃料が前記プレートに弁孔閉弁方向の力を加える圧力室、および前記プレートを弁孔開弁方向に付勢するプレート付勢手段を有し、
前記圧力室は、前記燃料供給経路に連通し、前記高圧発生部から高圧燃料が供給されており、
前記燃料導入経路は、前記圧力室から前記弁孔を経て前記制御室に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および前記圧力室から前記背圧室、前記燃料排出経路を経て前記制御室に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有し、
前記燃料排出経路は、前記制御室と前記第1制御弁とを連通する出口絞りを有し、
前記第2燃料導入経路は、前記出口絞りに臨むように開口し、前記背圧室と前記出口絞りとを連通する第1入口絞り、および前記圧力室と前記背圧室とを連通する第2入口絞りを有し、
前記第1入口絞りの流路断面積は、前記出口絞りの流路断面積よりも小さく設定されており、
前記第2入口絞りの流路断面積は、前記第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項13に記載の燃料噴射装置において、
前記プレートは、その板厚方向に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記第2入口絞りとして使用されることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項13または請求項14に記載の燃料噴射装置において、
前記第1燃料導入経路は、前記圧力室から前記弁孔を経て前記制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有していることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項15に記載の燃料噴射装置において、
前記燃料導入流路は、前記圧力室の壁面、あるいは前記プレートが着座可能なシート面で開口していることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項13または請求項14に記載の燃料噴射装置において、
前記第1燃料導入経路は、前記圧力室から前記弁孔、前記背圧室を経て前記制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有していることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項17に記載の燃料噴射装置において、
前記燃料導入流路は、前記背圧室の壁面で開口していることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項15ないし請求項18のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
前記出口絞りの流路断面積は、前記燃料導入流路の流路断面積よりも小さく設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項13ないし請求項19のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
前記背圧室の容積は、前記制御室の容積よりも小さく形成されていることを特徴とする燃料噴射装置。
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