JP5139936B2 - 架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂組成物、成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、耐衝撃性と耐久性とを兼ね備えた高重合度樹脂を用いることが提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、この方法の場合、耐衝撃性改良剤を増加させることで、クリープ性能が低下する傾向がある。また、高重合度樹脂では、成形時の過負荷、粘度上昇による外観の悪化の問題点が依然として残る。
塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH2=CH−SiRnX3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とを共重合して得られ、かつ重合度が500〜900である架橋性塩化ビニル系樹脂を、後塩素化して得られることを特徴とする。
この架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂は、塩素含有率が60〜75重量%であることが好ましい。
この塩化ビニル系樹脂組成物では、
架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、錫メルカプト化合物が1.0〜10重量部、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒が0.1〜3.0重量部配合されてなることが好ましい。
また、錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物:錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒=4:1〜1:1であることが好ましい。
上述した塩化ビニル系樹脂組成物を、溶融・冷却固化及び架橋して得られることを特徴とする。
塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH2=CH−SiRnX3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とを共重合して得られ、かつ重合度が500〜900である架橋性塩化ビニル系樹脂を後塩素化して架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂を得、
得られた架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂を、加熱溶融・冷却固化して成形体とし、
その後、該成形体を架橋処理に付すことを含むことを特徴とする。
架橋性塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーと、ビニルシラン化合物とを共重合して得ることができる。
例えば、式
CH2=CH−SiRnX3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表わされる化合物を用いることが適している。
Xは、加水分解性を有する有機基であればよく、炭素数1〜3のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基が例示される。ただし、アルコキシ基の炭素数が大きくなると、加水分解速度が遅くなる傾向があり、架橋工程に時間がかかる傾向がある。よって、メトキシ、エトキシ基がより好ましい。
リエトキシシラン等を挙げることができる。これらのビニルシラン化合物は目的とする用途により、2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなラジカル重合性モノマーとしては、例えば、塩化ビニルモノマーと共重合が可能なモノマーが挙げられ、ビニルモノマーのすべてが含まれる。
例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類:エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類:メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合度を調整する方法としては、例えば、重合の際の温度、用いる溶媒の種類、重合度調節剤の種類及び量等を調整する方法が例示される。なかでも、重合の際の温度等を調整する方法が適している。一般に、重合温度が高いほど重合度は低くなる。例えば、重合度が500〜900程度の場合、重合温度としては60℃〜90℃程度が好ましい。
共重合の際には、塩化ビニルモノマー及びビニルシラン化合物の反応比、溶媒への分散性等により各々の重合率が変化することを考慮する必要がある。
重合反応は、ランダム共重合、ブロック共重合又はこれらを併用してもよい。
特に、水懸濁重合法を行う場合には、油溶性重合開始剤、分散剤、水溶性増粘剤、重合度調節剤等の1種以上の種々の添加剤を用いることが好ましい。
。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられる。これらは単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
反応終了後、未反応の塩化ビニルを除去してスラリー状にし、さらに脱水乾燥することが好ましい。
水懸濁熱塩素化法の反応温度としては、70〜130℃が好ましい。低温すぎると、塩素化反応が著しく遅くなる傾向がある。高温すぎると、樹脂が熱劣化で変色しやすくなる傾向がある。さらに好ましくは、90〜120℃である。また、反応の進行状況によって、反応温度を反応途中で変更するなど、多段階で温度制御を行ってもよい。
適宜調整することにより、バランスを図ることが必要となる。また、塩素含有率を75重量%より高くすることは、塩化ビニル分子の立体反発が生じる傾向があり、一般に困難である。
錫メルカプト系化合物としては、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト等が例示される。つまり、シロキサン触媒としては作用しない錫メルカプト化合物を用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ここで、シロキサン触媒とはビニルシラン化合物による架橋を促進するもので、互いにSi−OHを有する化合物からSi−O−Si結合(シロキサン結合)する際の反応を促進する触媒となるものを意味する。
錫マレート又は錫ラウレート触媒としては、例えば、ジメチル錫マレート、ジオクチル錫マレート、ジブチル錫マレート等が例示され、錫ラウレートとしては、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー、ジオクチル錫ラウレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物:錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒=4:1〜1:1であることが適している。錫マレート及び/又は錫ラウレート系触媒の比率が高いと、成形直後の塩酸補足の効果が低く、架橋反応を促進する傾向がある。よって、この範囲とすることにより、錫メルカプト系化合物によって、その塩酸を補足することができ、架橋率の制御が可能となる。
ジブチル錫ジアセテート、オクタン酸第一錫、オクタン酸鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ブテン酸コバルト、オクタン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸鉄、チタン酸テトラブチル、チタン酸エチレングリコール等が挙げられる。有機塩基としては、エチルアミン、ヘキシルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン等が挙げられる。有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、酢酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
成形体を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、プレス成形法等が挙げられる。また、成形温度は特に限定されないが、成形温度が高すぎると、脱塩化水素による分解が発生する。このため、塩化ビニルモノマーの重合度、ビニルシラン化合物の量及び塩素化度等を適宜調整しながら、成形温度を210℃以下とすることが好ましい。
ここでゲル分率とは、試料をテトラヒドロフラン(THF)中に16時間抽出したときの重量変化率であり、
(ゲル分率)=(THF抽出後の試料重量)/(THF抽出前の試料重量)
で定義される。
ゲル分率が小さい場合には、機械的強度が不十分となることがある。
架橋性塩化ビニル系樹脂の粉体の重合度をJIS K 6720−2に準拠して測定した。
後塩素化前の樹脂に対して、塩素含有率(重量%)をJIS K7229に準拠して測定し、この塩素重量含有率から次式によりビニルシラン含有量(重量比率)を算出した。
ビニルシラン含有量(重量%)=[1−1.762×塩素含有率(重量%)/100]×100
架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂の粉体中の塩素含有率を、JIS K 7229に準拠して測定した。
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン0.5重量部、油溶性ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.05部、界面活性剤として部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点で、ジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
冷却後、未反応の塩化ビニルモノマー等を除去し、重合スラリーを取り出した。これをイオン交換水で洗浄し、乾燥して架橋性塩化ビニル系樹脂(以下、「PVC」とする)を得た。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は0.5重量%であった。
内容積300リットルのグラスライニング製耐圧反応槽に脱イオン水300重量部と、上記で得たPVC100重量部とを入れ、攪拌してPVCを水中に分散させた。真空ポンプで反応層内部空気を吸引し、ゲージ圧が−0.08MPaになるまで減圧した。窒素ガスで圧戻しを行い、再び真空ポンプで吸引して反応槽内の酸素を除去した。この間、加熱したオイルをジャケットに通して反応槽内を加温した。
反応槽内の温度が90℃に達したとき、塩素ガスを供給し始め、110℃の定温で反応を進行させた。反応槽内の発生塩化水素濃度から塩素含有率を計算し、塩素化含有率が65重量%に達した時点で、濃度200ppmの過酸化水素水を1重量部/時で連続添加しながら反応を継続した。
さらに反応器内に窒素ガスを吹き込んで未反応塩素を除去し、得られた樹脂を水で洗浄し、脱水、乾燥して粉末状の架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂(以下、「CPVC」とする)を得た。
得られた樹脂の塩素含有率は70.3重量%であった。
上記で得たCPVC100重量部に対して、安定剤として有機錫系安定剤であるジオクチル錫メルカプト2重量部、ジブチル錫マレート1重量部、滑剤としてポリエチレンワックス0.8重量部、エステル系ワックス0.8重量部、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系加工助剤2重量部を添加し、スーパーミキサー(100L、カワタ社製)にて攪拌混合して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
この塩化ビニル系樹脂組成物を、直径20mmの2軸異方向回転押出機(ブラベンダー社製)に供給し、樹脂温度が180℃になるようにして成形し、幅30mm、厚さ3mmの塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
得られた塩化ビニル系樹脂成形体を、架橋処理を行う、つまり、90℃、湿度98%の恒温恒湿槽に6時間暴露することにより、架橋塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
PVCは実施例1と同様に製造した。
PVCの後塩素化を、塩素化含有率が74重量%に達した時点で塩素ガスの供給を停止した以外は、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は73.9重量%であった。
CPVCの成形は、成形温度を195℃にし、恒温恒湿槽に12時間曝露した以外は実施例1と同様にして実施した。
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン10重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、64℃まで昇温し、重合器内の温度を64℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は8.7重量%であった。
PVCの後塩素化を、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は70.1重量%であった。
CPVCの成形を、実施例1と同様にして実施した。
PVCの製造を、実施例3と同様にして実施した。
PVCの後塩素化は、実施例3と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は74.0重量%であった。
CPVCの成形を、実施例2と同様にして実施した。
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン1重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800,ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、64℃まで昇温し、重合器内の温度を64℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点で、ジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は0.7重量%であった。
PVCの後塩素化を、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は70.0重量%であった。
CPVCの成形は、成形温度を200℃にした以外は実施例1と同様にして実施した。
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン10重量部、油溶性ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、54℃まで昇温し、重合器内の温度を54℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は8.3重量%であった。
PVCの後塩素化を、実施例2と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は73.7重量%であった。
CPVCの成形は、成形温度を200℃にした以外は実施例2と同様にして実施した。
PVCの製造を、実施例1と同様にして実施した。
[架橋性塩化ビニル樹脂の後塩素化]
内容積300リットルのグラスライニング製耐圧反応槽に脱イオン水300重量部と、上記で得たPVC100重量部とを入れ、攪拌してPVCを水中に分散させた。真空ポンプで反応層内部空気を吸引し、ゲージ圧が−0.08MPaになるまで減圧した。窒素ガスで圧戻しを行い、再び真空ポンプで吸引して反応槽内の酸素を除去した。この間、加熱したオイルをジャケットに通して反応槽内を加温した。
反応槽内の温度が90℃に達したとき、塩素ガスを供給し始め、110℃定温で反応を進行させた。反応槽内の発生塩化水素濃度から塩素含有率を計算し、塩素化含有率が64.5重量%に達した時点で、塩素ガスの供給を停止し、塩素化反応を終了した。
さらに、反応器内に窒素ガスを吹き込んで未反応塩素を除去し、得られた樹脂を水で洗浄し、脱水、乾燥して粉末状のCPVCを得た。
得られた樹脂の塩素含有率は64.5重量%であった。
CPVCの成形は、実施例1と同様にして実施した。
PVCの製造を、実施例6と同様にして実施した。
PVCの後塩素化は、塩素化含有率が65重量%に達した時点で塩素ガスの供給を停止した以外は実施例7と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は64.9重量%であった。
CPVCの成形は、実施例1と同様にして実施した。
PVCの製造を、実施例1と同様にして実施した。
PVCの後塩素化は、塩素化含有率が68重量%に達した時点で塩素ガスの供給を停止した以外は実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は68.2重量%であった。
CPVCの成形を、実施例1と同様にして実施した。
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量
部、油溶性ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、79℃まで昇温し、重合器内の温度を79℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
PVCの後塩素化を、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は70.1重量%であった。
CPVCの成形を、実施例1と同様にして実施した。
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、64℃まで昇温し、重合器内の温度を64℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
冷却後、未反応の塩化ビニルモノマーなどを除去し、重合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥してPVCを得た。
PVCの後塩素化を、実施例2と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は73.9重量%であった。
CPVCの成形は、成形温度を200℃にしたこと以外は実施例2と同様にして実施した。
しかし、この比較例では、表面凹凸が激しく、良好なサンプルを得られなかった。
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン1重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、85℃まで昇温し、重合器内の温度を85℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は0.9重量%であった。
PVCの後塩素化を、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は70.0重量%であった。
CPVCの成形を、実施例1同様にして成形温度175℃で実施した。
しかし、この比較例では、成形中の分解により評価可能なサンプルが得られなかった。
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン1重量部、油溶性ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシネオヘプタネート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、57℃まで昇温し、重合器内の温度を57℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は0.7重量%であった。
PVCの後塩素化を、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は70.1重量%であった。
CPVCの成形を、実施例1同様にして成形温度210℃で実施した。
しかし、この比較例では、成形体が網状になり、評価可能なサンプルが得られなかった。
[架橋性塩化ビニル樹脂の調整]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン15重量部、油溶性ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800,ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、50℃まで昇温し、重合器内の温度を50℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。冷却後、未反応の塩化ビニルモノマーなどを除去し、重合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥してポリ塩化ビニル系樹脂を得た。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は8.3重量%であった。
PVCの後塩素化は実施例2と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素化度は73.9重量%であった。
CPVCの成形は、実施例6と同様にして実施したが、表面凹凸が激しく、良好なサンプルを得られなかった。
それらの結果を、表1及び表2に示す。
成形後の成形体の外観を以下の4段階で目視評価した。
◎ ・・・ 表面が平滑で、光沢がある
○ ・・・ 表面が平滑であるが、光沢は少ない
× ・・・ 表面の凸凹が激しくサンプルを作成できない
×× ・・・ 網状になる、または、樹脂の分解により成形体を得られない
熱可塑性プラスチックのビカット軟化温度試験方法(JIS K 7206)に則り、ビカット軟化温度を測定した。測定には1kg錘を使用し、単位は(℃)である。
JIS K 7113記載の1号形ダンベル試験片(厚さ3mm)を用いて、35℃、最大応力29.4MPa、周波数5Hzの条件で、繰り返し引張り荷重(29.4MPa
→0MPa → 29.4MPa)をかけ、破断するまでの繰り返し回数を測定した。
Claims (7)
- 塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH2=CH−SiRnX3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とを共重合して得られ、かつ重合度が500〜900である架橋性塩化ビニル系樹脂を、後塩素化して得られることを特徴とする架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂。 - 塩素含有率が60〜75重量%である請求項1に記載の架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂。
- 請求項1又は2に記載の架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂と、錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒とを含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
- 架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、錫メルカプト系化合物が1.0〜10重量部、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒が0.1〜3.0重量部配合されてなる請求項3に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
- 錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物:錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒=4:1〜1:1である請求項3又は4に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
- 請求項3〜5のいずれか1つに記載の塩化ビニル系樹脂組成物を、溶融・冷却固化及び架橋して得られることを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体。
- 塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH2=CH−SiRnX3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とを共重合して得られ、かつ重合度が500〜900である架橋性塩化ビニル系樹脂を後塩素化して架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂を得、
得られた架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂を、加熱溶融・冷却固化して成形体とし、
その後、該成形体を架橋処理に付すことを含むことを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008243612A JP5139936B2 (ja) | 2008-09-24 | 2008-09-24 | 架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂組成物、成形体及びその製造方法 |
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