JP5139608B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関し、ワニス安定性に優れ、さらに、難燃性、耐熱性、耐湿性、金属密着性等に優れる硬化物を与えることができ、積層、塗料などのエポキシ樹脂を用いる各種用途、特にガラスエポキシ積層板用として適するエポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、その優れた電気特性ゆえに電気電子材料部品を中心に幅広く使用される。
【0003】
これら電気電子材料部品は、ガラスエポキシ積層板やIC封止材に代表されるように高い難燃性が求められるが、エポキシ樹脂単独では充分な効果が得られないため、このエポキシ樹脂にハロゲン系の難燃剤を多く併用しているのが現状である。
【0004】
ところが近年、ダイオキシンに代表されるような有機ハロゲン物質の毒性が大きな問題となっていることや、ICパッケージにおけるハロゲンの長期信頼性への悪影響などから、ハロゲンの使用量を低減するか、ハロゲンに代替できる他の化合物を使用した難燃剤、あるいは他の難燃処方が強く求められている。
【0005】
そこで、例えばリン系化合物などの難燃剤を添加する方法などが考案されているが、この方法によると難燃性は改善されるが、耐熱性、耐湿性などの樹脂の基本的な物性を損なうという欠点を有している。
【0006】
この欠点を解消するため、特開平8−311142号公報には、エポキシ樹脂硬化剤としてトリアジン環を有する化合物で変性されたフェノール樹脂組成物を使用することが提案されている。
【0007】
しかし前記公報によるフェノール樹脂組成物を硬化剤として用いた場合、エポキシ樹脂組成物が経時的に増粘したりゲルタイムが短縮するなどワニスの安定性が悪く、例えば積層板に使用する場合、プリプレグの安定性にも悪影響を及ぼしたり、成形性が劣るなどの問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エポキシ樹脂組成物の硬化剤として使用した場合に、ワニス安定性に優れ、ハロゲンを使用しなくとも難燃性が改善され、難燃性、耐熱性、耐湿性、金属密着性に優れる硬化物を与えることができるエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、エポキシ樹脂の硬化剤として、フェノール類とトリアジン類との結合比率が特定の割合で、しかもフェノール類同士のアルデヒド類との縮合反応のオルソパラ配向性においてオルソ配向の高いフェノール樹脂を使用することで上記課題を解決することを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち
[I]本発明は、エポキシ樹脂と硬化剤とを含んでなるエポキシ樹脂組成物において、硬化剤が、メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のトリアジン類と、フェノール類と、アルデヒド類とからなるトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂であって、かつ、アルデヒド類のフェノール核のオルソ位及びパラ位への反応比率(オルソ位/パラ位)が0.9以上であるトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物を提供するものであり、
[II]本発明は、トリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂が、フェノール類と、メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のトリアジン類と、アルデヒド類との縮合物(a)、前記トリアジン類とアルデヒド類との縮合物(b)、フェノール類とアルデヒド類との縮合物(c)、フェノール類(d)及び前記トリアジン類(e)の混合物からなり、且つ該縮合物(a)及び該縮合物(b)の中に、一般式(1)で表される構成単位Aと一般式(2)で表される構成単位Bが、モル比率で下記式(3)を満足する状態で含まれているフェノール樹脂である、上記[I]記載の組成物を提供するものであり、
(−X−NH−CH2−NH−) (1)
(−X−NH−CH2−Y−) (2)
(式中、Xはトリアジン類の残基を示し、Yはフェノール類残基を示す)
B/A≧1.5 (3)
[III]本発明は、前記縮合物(a)及び縮合物(b)中のトリアジン類のモル比率が、全トリアジン類の30%以上である上記[I]または[II]記載の組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明におけるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等各種のビスフェノール類をベースとするビスフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック等のノボラック樹脂をベースとするノボラック型エポキシ樹脂をはじめ、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エステル型エポキシ樹脂、環状脂肪族エステル型エポキシ樹脂、脂肪族エステル型エポキシ樹脂、エーテルエステル型エポキシ樹脂、リン変性エポキシ樹脂、およびエポキシ化大豆油の如き非グリシジル系エポキシ樹脂およびこれらの臭素あるいは塩素等のハロゲン置換体等があげられるが、これらを混合して適用してもよいし、またこれらのみに限定されるものではない。
【0011】
本発明の硬化剤であるフェノール樹脂を得るためのフェノール類としては、特に限定されるものではなく、たとえばフェノール、あるいはクレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノールなどのアルキルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシン、カテコールなどの多価フェノール類、ハロゲン化フェノール、フェニルフェノール、アミノフェノール、ナフトールなどが挙げられる。またこれらのフェノール類は、その使用にあたって1種類のみに限定されるものではなく、2種以上の併用も可能であるが、本発明の主旨から、フェノール性水酸基に対するオルソ位が置換されていないフェノール類を必ず使用する必要がある。
さらに本発明のフェノール樹脂に用いるトリアジン類としては、特に限定されるものではなく、トリアジン環を有すれば構造の如何を問わないが、メラミン、アセトグアナミン又はベンゾグアナミンが好ましい。
【0012】
これらのトリアジン類を使用するにあたっては、1種類のみに限定されるものではなく、2種以上を併用することも可能である。
【0013】
本発明のフェノール樹脂を得るためのアルデヒド類は、特に限定されるものではないが、取扱いの容易さの点からホルムアルデヒドが好ましい。ホルムアルデヒドとしては、限定するものではないが、代表的な供給源としてホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
【0014】
本発明におけるノボラック型フェノール樹脂とは、メチロール基を実質的に含まないフェノール樹脂をいい、未反応アルデヒドを殆ど含まないことを特徴とするもので、メチロール化されたトリアジン環を含む化合物を含有しないことは溶剤溶解性を高める要因の一つになっている。
【0015】
また本発明のノボラック型フェノール樹脂に含まれる未反応一官能性フェノール単量体の量は特に制限されるものではないが、より少ない方が架橋密度を上げるのに好適で、3重量%以下であることが好ましい。未反応一官能性フェノール単量体を3重量%以下にすることによりエポキシ樹脂との配合安定性が向上し、硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物の耐熱性、耐湿性が良くなるという効果がある。
【0016】
ここでいう未反応一官能性フェノール単量体とは、1分子中にエポキシ基と反応し得るフェノール性の水酸基を1つだけ含むフェノール単量体を意味する。
【0017】
また本発明のフェノール樹脂は、フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類とからなるトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂を含んでいるが、該ノボラック型フェノール樹脂のうち、フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類との縮合物(a)、トリアジン類とアルデヒド類との縮合物(b)の中に、一般式(1)で表される構成単位Aと一般式(2)で表される構成単位Bとが、モル比率で下記式(3)を満足する状態で含まれていることを特徴とするものである。
(−X−NH−CH2−NH−) (1)
(−X−NH−CH2−Y−) (2)
(式中、Xはトリアジン類の残基を示し、Yはフェノール類残基を示す)
B/A≧1.5 (3)
このうちB/A≧3であることがより好ましい。B/A<1.5であると、エポキシ樹脂との相溶性が悪くなり、耐熱性が低下するほか、溶剤溶解性も低下する。
【0018】
本発明で規定する構成単位Aと構成単位Bとのモル比率は、核磁気共鳴スペクトル(以下13C−NMRという)のチャートから求めることができる。すなわち測定溶媒として重ジメチルスルフォキシド(以下重DMSOという)や重アセトンを用い、基準物質としてテトラメチルシランを用い、常法の測定条件にしたがって測定すると、構成単位Bのピークは13C−NMRチャートの42.5〜45ppmに現れ、構成単位Aのピークは47〜48.5ppmに現れることがわかっており、両者のピーク積分値の比率を算出することにより構成単位Aと構成単位Bとのモル比率を求めることができる。
【0019】
また、本発明のトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂は、縮合物(a)及び縮合物(b)中のトリアジン類のモル比率は、特に制限しないが、全トリアジン類の30%以上であることが好ましい。30%未満であると、耐熱性や耐湿性が低下する。
【0020】
トリアジン類のモル比率は上記構成単位A及び構成単位Bと同様、13C−NMRのチャートから求めることができる。すなわちチャートの167.2〜167.4ppmに現れるシャープなピークは未反応のトリアジン類に帰属でき、そのピーク積分値をTmとし、163〜167.2ppmに現れるブロ−ドなピークはホルムアルデヒドと反応したトリアジン類に帰属でき、そのピーク積分値をTrとすると、前記縮合物(a)及び縮合物(b)中のトリアジン類の全トリアジン類中に占めるモル比率は下記式(4)で表わすことができる。
【0021】
【式1】
【0022】
このモル比率の値を以下「トリアジン類の反応率」という。
【0023】
本発明のトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂中の、フェノール類とアルデヒド類との縮合物(c)において、アルデヒド類のフェノール核のオルソ位及びパラ位への反応比率(オルソ位/パラ位)(以下o/p比という)は0.9以上であることが必要である。
【0024】
このo/p比は、一般的には次式で表すことができる。
【0025】
o/p比={(オルソ位同士で結合しているメチレン結合の数)+(オルソ位とパラ位とで結合しているメチレン結合数の1/2)}/{(パラ位同士で結合しているメチレン結合の数)+(オルソ位とパラ位とで結合しているメチレン結合数の1/2)}
このo/p比は高いほどエポキシ樹脂組成物のワニスやプリプレグの貯蔵安定性がよくなり、安定性を向上させる上で、このo/p比を制御することは重要である。しかし、トリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂のトリアジン類の種類や変性率によってo/p比の調整範囲には制限が生じるし、トリアジン類の変性率が小さいほどo/p比を大にしないと貯蔵安定性向上に寄与しない。よって、トリアジン類の種類や変性率等を勘案する必要はあるが、トリアジン類の種類や変性率を勘案しなくても、ワニス安定性を良好にするには、o/p比は少なくとも0.9以上であることが必要であり、1.0以上であることが好ましい。
【0026】
本発明におけるトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂の、フェノール類とアルデヒド類との縮合物(c)のo/p比もC−NMRのチャートから求めることができる。すなわち、測定溶媒として重DMSOを用い、基準物質としてテトラメチルシランを用い、常法の測定条件にしたがって測定すると、例えば、フェノール類としてフェノールを主原料としたトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂では、 13C−NMRチャート上で、オルソ−オルソ結合は31.6ppm付近に、オルソ−パラ結合は34.5ppm付近に、パラ−パラ結合は40.6ppm付近に、フェノール核間を結ぶメチレンのピークが現れる。測定溶媒を重アセトンにして同様の測定をすると、オルソ−オルソ結合は30.6ppm付近に、オルソ−パラ結合は35.2ppm付近に、パラ−パラ結合は40.9ppm付近にメチレンのピークが現れる。オルソ−オルソ結合のピーク積分値をJ、オルソ−パラ結合のピーク積分値をK、パラ−パラ結合のピーク積分値をL、とすると、o/p比は次式(5)によって算出することができる。
【0027】
o/p比=(J+K×1/2)/(L+K×1/2) (5)
本発明のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂を得るための製造方法については特に限定されるものではないが、反応触媒として酢酸亜鉛等の金属塩や酸化亜鉛等の金属酸化物を用いると好適に得ることができる。製造方法の一例を挙げれば、フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類との混合物を、酢酸亜鉛存在下、アルデヒド類が揮散しない条件下で該混合物を反応させる工程(i)及び系内の水や未反応揮発性モノマ−等を除去する工程(ii)を含み、第一段反応として工程(i)、工程(ii)を順次実施し、次いで第2段反応として工程(i)、工程(ii)を第1段反応より高い温度下に順次実施し、第3段反応として工程(i)、工程(ii)を第2段反応より更に高い温度下に実施し、更に未反応モノマーや残存触媒を蒸留や抽出によって除去するという方法である。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、例えば、メチルエキルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、メタノール等のアルコール類、トルエン等の芳香族溶剤等の各種溶剤の単独または混合物を、作業性から必要な希釈溶剤として配合することができる。
【0029】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂とフェノール樹脂に係わる硬化促進剤として、イミダゾール化合物、ホスフィン類、各種のアミン類等を使用することができる。
【0030】
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には、難燃剤等の添加剤、シリカや水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの無機充填剤等を適宜配合することができるが、その中で、特にリン化合物を配合することでハロゲン化合物を配合することなく難燃性を高めることができる。ここで、リン化合物とは、その構造中にリン原子を含む化合物をいい、例えば、リン酸、およびリン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、これらリン酸エステルの機能的誘導体、重合性りん化合物、含窒素リン化合物、ホスフィン類、ホスフィンオキサイド類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスファイト、ジブチルハイドロジエンホスファイト、ジブチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスクレジルホスフェート、トリスキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、ジヒドロキシフェニルフェニルホスフェート、トリヒドロキシフェニルホスフェート、及びこれらフェニルホスフェートのアルキル化物、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンオキサイド、フェニルジアリルホスフィンオキサイドや赤リンなどが例示される。
【0031】
エポキシ樹脂と硬化剤としてのフェノール樹脂との混合割合は、特に限定されるものではないが、エポキシ基1当量に対してフェノール樹脂のフェノール性水酸基当量が0.3〜2.0当量が好ましく、0.7〜1.4当量がより好ましい。
【0032】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ワニス安定性、難燃性、耐熱性、耐湿性、金属密着性に優れる硬化物を与えるので、積層、塗料などのエポキシ樹脂を用いる各種用途、特にガラスエポキシ積層板用として適する。
【0033】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に詳細に説明する。以下で用いる部および%は特に断りのない限り重量基準である。
【0034】
実施例1
フェノール800部、41.5%ホルマリン62部、92%パラホルム138部および酢酸亜鉛2水和物1.6部を反応容器に仕込み、110℃で1時間反応させた後、ベンゾグアナミン200部を加えて110℃で2時間反応させた。次いで、常圧蒸留しながら120℃に昇温し、2時間リフラックス反応させ、再度常圧蒸留しながら140℃に昇温して1時間リフラックス反応させ、その後180℃まで常圧蒸留しながら昇温の後、170〜180℃で減圧蒸留して未反応モノマー等を除去し、軟化点101℃のフェノール樹脂820部を得た。
【0035】
以下この樹脂を「N1」と略記する。
【0036】
N1のフェノール類/トリアジン類とのモル比率は84/16、未反応ホルムアルデヒド量は0.0%、メチロール基は分析的に未検出、構成単位Aは分析的に殆ど検出できなかったので構成単位Aと構成単位Bのモル比率はB/A=ほぼ無限大、未反応フェノールモノマーは1.6%、未反応トリアジン類は分析的に未検出、o/p比は1.13であった。
【0037】
実施例2
フェノール800部、41.5%ホルマリン62部、92%パラホルム138部およびベンゾグアナミン200部を反応容器に仕込み、110℃に昇温して1時間反応させた後、酢酸亜鉛2水和物1.6部を加えて110℃で1時間反応させた。次いで、常圧蒸留しながら135℃に昇温し、2時間リフラックス反応させ、再度常圧蒸留しながら150℃に昇温して1時間リフラックス反応させ、その後180まで常圧蒸留にしながら昇温の後、170〜180℃で減圧蒸留して未反応モノマー等を除去し、軟化点119℃のフェノール樹脂729部を得た。
【0038】
以下この樹脂を「N2」と略記する。
【0039】
N2のフェノール類/トリアジン類とのモル比率は81/19、未反応ホルムアルデヒド量は0.0%、メチロール基は分析的に未検出、構成単位Aは分析的に殆ど検出できなかったので構成単位Aと構成単位Bのモル比率はB/A=ほぼ無限大、未反応フェノールモノマーは1.9%、未反応トリ
アジン類は分析的に未検出、o/p比は1.23であった。
【0040】
比較例1
フェノール940部、ベンゾグアナミン188部に41.5%ホルマリン434部、およびトリエチルアミン2部を加え、100℃まで昇温した。100℃にて2時間反応させた後、常圧蒸留しながら120℃まで昇温し、2時間リフラックス反応させた後、常圧蒸留しながら140℃まで昇温し、2時間リフラックス反応させた。その後、常圧蒸留しながら180℃まで昇温し、170〜180℃で減圧蒸留により未反応モノマー等を除去し、軟化点110℃のフェノール樹脂870部を得た。
【0041】
以下この樹脂を「N3」と略記する。
【0042】
N3のフェノール類/トリアジン類とのモル比率は87/13、未反応ホルムアルデヒド量は0.0%、メチロール基は分析的に未検出、構成単位Aは分析的に殆ど検出できなかったので構成単位Aと構成単位Bのモル比率はB/A=ほぼ無限大、未反応フェノールモノマーは0.5%、未反応トリアジン類は全トリアジン中の5%、o/p比は0.72であった。
【0043】
比較例2
フェノール1000部、ベンゾグアナミン40部、メラミン150部に41.5%ホルマリン423部、およびトリエチルアミン2部を加え、100℃まで昇温した。100℃にて2時間反応させた後、常圧蒸留しながら135℃まで昇温し、2時間リフラックス反応させた後、常圧蒸留しながら150℃まで昇温し、2時間リフラックス反応させ、その後、常圧蒸留しながら180℃まで昇温し、170〜180℃で減圧蒸留により未反応モノマー等を除去し、軟化点125℃のフェノール樹脂932部を得た。
【0044】
以下この樹脂を「N4」と略記する。
【0045】
N4のフェノール類/トリアジン類とのモル比率は77/23、未反応ホルムアルデヒド量は0.0%、メチロール基は分析的に未検出、構成単位Aと構成単位Bのモル比率はB/A=8、未反応フェノールモノマーは0.5%、未反応トリアジン類は全トリアジン中の5%、o/p比は0.54であった。
【0046】
応用例1及び2 比較応用例1及び2
エピクロン1050[エポキシ樹脂 エポキシ当量450 大日本インキ化学工業(株)製]50部とエピクロンN690[エポキシ樹脂 エポキシ当量220大日本インキ化学工業(株)製]50部に対して、硬化剤としてN1、N2、N3、N4を表1に示した割合にて配合した。この時のエポキシ基とフェノール性水酸基の当量比は約1.0である。エピクロン及び硬化剤は不揮発分の60%のメチルエチルケトン溶液にし、各々に硬化促進剤として2E4MZをエポキシ樹脂の0.1%加えて、応用例1、2および比較応用例1、2の混合溶液を調整した。
【0047】
得られたエポキシ樹脂組成物のゲルタイムを170℃で測定した後、溶液の一部を安定性試験用として40℃の恒温器中に保管した。
【0048】
また、各々の混合溶液をガラスクロスに含浸させ、160℃で3分間乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグを8枚重ね、その両面に35μの銅箔を重ね、170℃、圧40kgf/cm2にて1時間加熱加圧成型して厚さ1.6mmの両面銅張積層板を作製した。
【0049】
次いで、積層板は、エッチング処理を施し、銅箔除去した後、各物性試験を行った。この試験結果も表1に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
*1:DMAによる。昇温スピード 3℃/min
*2:プレシャークッカーテスト(PCT)は、120℃水蒸気下中で、2時間試験片を処理した。
*3:耐半田性試験は、PCT処理2時間後260℃の半田浴に20sec浸漬して評価を行った(試験片は3箇使用した)。
【0052】
評価は、その試験片の外観、特にミーズリングの有無を目視判定により行った。
【0053】
○:全く異常なし △:わずかにミーズリング発生 ×:ミーズリング有り*4:消炎性試験
幅12.7mmの試験片を垂直に立て、10秒間炎にさらした後、自己消火するまでの時間(秒)。また、2分以上燃焼が継続するか、下端から15cmまで燃焼した場合には「燃焼」とした。
【0054】
また表1中の2E4MZは、2−エチル4−メチルイミダゾールを表わす。
【0055】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、難燃性、耐熱性、耐湿性、金属密着性の良好な硬化物を与えることができ、ハロゲンを使用しなくとも難燃性にも優れ、積層、塗料などのエポキシ樹脂を用いる各種用途、特にガラスエポキシ積層板に有用である。しかも、同等の性能を示す従来のエポキシ樹脂組成物に比べ、ワニス安定性が格段に優れている。
Claims (3)
- エポキシ樹脂と硬化剤とを含んでなるエポキシ樹脂組成物において、硬化剤が、メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のトリアジン類と、フェノール類と、アルデヒド類とからなるトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂であって、かつ、アルデヒド類のフェノール核のオルソ位及びパラ位への反応比率(オルソ位/パラ位)が0.9以上であるトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- トリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂が、フェノール類と、メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のトリアジン類と、アルデヒド類との縮合物(a)、前記トリアジン類とアルデヒド類との縮合物(b)、フェノール類とアルデヒド類との縮合物(c)、フェノール類(d)及び前記トリアジン類(e)の混合物からなり、且つ該縮合物(a)及び該縮合物(b)の中に、一般式(1)で表される構成単位Aと一般式(2)で表される構成単位Bが、モル比率で下記式(3)を満足する状態で含まれているフェノール樹脂である、請求項1記載の組成物。
(−X−NH−CH2−NH−) (1)
(−X−NH−CH2−Y−) (2)
(式中、Xはトリアジン類の残基を示し、Yはフェノール類残基を示す)
B/A≧1.5 (3) - 前記縮合物(a)及び縮合物(b)中のトリアジン類のモル比率が、全トリアジン類の30%以上である請求項1又は2記載の組成物。
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