JP5136832B2 - 熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液および熱線・紫外線遮蔽膜、並びに、熱線・紫外線遮蔽基材 - Google Patents
熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液および熱線・紫外線遮蔽膜、並びに、熱線・紫外線遮蔽基材 Download PDFInfo
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Description
また、熱線・紫外線遮蔽材料を含有する塗布液を適宜な基材上に塗布し、熱線・紫外線遮蔽膜を当該基材上に形成することによって、簡単かつ低コストで熱線・紫外線遮蔽機能を持たせた透明基材を製造することも提案されている。
また、特許文献2は、上記常温硬化性バインダーに近赤外光遮蔽材料として含ルテニウム酸化物微粒子、含イリジウム酸化物微粒子および/または含ロジウム酸化物微粒子を、無機紫外線遮蔽成分としてCeO2、ZnO、Fe2O3、FeOOH微粒子のうちの1種以上を含有する熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液について開示している。
また、本発明者は、特許文献3に、上記常温硬化性バインダーへ、近赤外光遮蔽材料として複合タングステン酸化物を、無機紫外線遮蔽成分としてCeO2、ZnO、Fe2O3、FeOOH微粒子のうちの1種以上を添加した日射遮蔽膜形成用塗布液について提案している。
また、特許文献5は、硬化性紫外線吸収剤に無機紫外線遮蔽成分として六ホウ化物を、無機紫外線遮蔽成分としてCeO2、ZnO、Fe2O3、FeOOH微粒子のうちの1種以上を含有する熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液について開示している。
場合、優れた紫外線遮蔽能を得るために必要な紫外線遮蔽成分の添加量が多くなり、塗布作業性や成膜の外観、表面硬度が悪化するという問題があった。
硬化性紫外線吸収剤と、近赤外線遮蔽成分と、希釈溶媒と、硬化触媒とを含有する熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液であって、
前記硬化性紫外線吸収剤が10〜40重量%含まれ、且つ、前記近赤外線遮蔽成分が1〜10重量%含まれ、
前記硬化性紫外線吸収剤の少なくとも1種が、2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1モルに対しイソシアノ基をもつアルコキシシランを2モル以上10モル未満の割合で配合し、触媒の存在下で反応させて得られた一般式(化1)で示される反応物であり、
前記近赤外線遮蔽成分が、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物を含む平均粒径200nm以下の微粒子であることを特徴とする熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液である。
前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、立方晶の結晶構造のいずれか1つ以上を含むことを特徴とする第1の発明に記載の熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液である。
前記M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snから選択される1種類以上の元素であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を提供する。
前記硬化触媒がパラトルエンスルホン酸であり、前記熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液中における当該硬化触媒の含有量が0.1〜3重量%であることを特徴とする第1から第3のいずれかの発明に記載の熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を提供する。
第1から第4の発明のいずれかに記載された熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を硬化して得られることを特徴とする熱線・紫外線遮蔽膜を提供する。
第5の発明に記載の熱線・紫外線遮蔽膜が、基板の少なくとも片面に形成されている熱線・紫外線遮蔽基材であって、
前記熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を塗布して得られた基材の可視光透過率と塗布前の基材の可視光透過率との差が10%以下であり、且つ、紫外線透過率が5%以下であり、且つ、日射透過率が65%以下であり、且つ塗布前後の基材のL*a*b*表色系における色度b*値の差が2以下であることを特徴とする熱線・紫外線遮蔽基材を提供する。
本発明において用いられる紫外線吸収剤は、バインダー成分としても用いられる硬化性紫外線吸収剤である。そして、当該バインダー成分としても用いられる硬化性紫外線吸収剤の少なくとも1種は、2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと、イソシアノ基をもつアルコキシシランとを、触媒の存在下で反応させて得られた硬化性紫外線吸収剤である。
当該硬化性紫外線吸収剤の基本構造は下記の一般式(化1)で示される。
ここで、イソシアノ基をもつアルコキシシランとしては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランやγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
このように本発明に係る硬化性紫外線吸収剤は自身が重合し、堅牢な塗膜を形成することでバインダーとしての効果を発揮する。このため、本発明に係る熱線・紫外線遮蔽膜においては、紫外線吸収剤のブリードアウトが起こらず、塗布膜表面に紫外線吸収剤が浮き出し、脱落したり、流れたりしない上、紫外線遮蔽効果が劣化しにくい。
上記硬化性紫外線吸収剤を製造する反応において、上記2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンとアルコキシシランとの配合比は、2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1モルに対して、イソシアノ基をもつアルコキシシラン2モル
以上、10モル未満が望ましい。
イソシアノ基をもつアルコキシシランの配合比を2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1モルに対して2モル以上とすれば、本発明に係る熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を塗布して得られる紫外線遮蔽膜が、ガラスクリーナーなどのアルカリ性物質に暴露された際であっても、著しく黄変することを回避出来るからである。また、イソシアノ基をもつアルコキシシランの配合比を2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1モルに対して10モル未満とすることで、高い紫外線遮蔽能を得られる水準の希釈をした時であっても、均一な塗布が容易な粘度を維持出来るからである。
また、触媒としてはジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオクトエート、ジオクチルスズジラウレート等が望ましい。
上記反応は、常温〜60℃程度の加温下において30分間〜2時間程度で完了する。
本発明において近赤外遮蔽成分として用いられる近赤外線吸収材料は、平均分散粒子径が200nm以下である複合タングステン酸化物の微粒子を主成分として含んでいる。
当該複合タングステン酸化物は、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0
)で示される複合タングステン酸化物微粒子であり、十分な量の自由電子が生成されるため近赤外線吸収成分として有効に機能する。
好ましい。
さらに、例えば、六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子の場合であれば、好ましいM元素として、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの各元素から選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物微粒子が挙げられる。
このとき、添加されるM元素の添加量xは、x/yの値で0.001以上、1.0以下
が好ましく、更に好ましくは0.33付近であることが良い。これは六方晶の結晶構造か
ら理論的に算出されるxの値が0.33であり、この前後の添加量で好ましい光学特性が
得られるからである。
一方、酸素の存在量は、z/yの値で2.2以上3.0以下が好ましい。典型的な例としてはCs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3などを挙げることができるが、y、zが上記の範囲に収まるものであれば、有用な近赤外線吸収特性を得ることができる。
nm以下とすることが好ましい。平均粒径が200nm以下であると微粒子同士の凝集傾向が強くならず、塗布液中における微粒子の沈降が回避できるからであり、また、平均粒径が200nm以下の微粒子は、光散乱による可視光透過率の低下の原因とならないという特徴も有している。現在の技術において、粒径2nm程度までの微粒子は容易に商業的に製造できる。
上記一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン化合物出発原料を不活性ガス雰囲気もしくは還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。
熱処理温度が650℃を下回ると還元不足となり、所定の日射遮蔽特性が得られない。即ち、所定の可視光透過率に対して日射透過率が高くなってしまう。言い換えると、所定の日射遮蔽能を得るために、より多くの複合タングステン酸化物微粒子が必要になってしまう。
。そこで、この水素を含む複合タングステン酸化物微粒子を、不活性雰囲気中、650℃以上で熱処理することで、さらに安定なものとすることができる。この650℃以上の熱処理時の雰囲気は特に限定されないが、工業的観点から、N2、Arが好ましい。当該650℃以上の熱処理により、複合タングステン酸化物微粒子中にマグネリ相が得られ耐候性が向上する。ここで、当該マグネリ相には、一般式WOX(2.45≦x≦2.999)で示されるタングステン酸化物が含まれる。
熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液に用いる希釈溶媒は、特に限定されるものではなく、塗布条件や、塗布環境、塗布液中の固形分の種類に合わせて選択可能である。当該希釈溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、イソブチルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテルアルコール類、酢酸メチルや酢酸エチルなどのエステル類、メチルエチルケトンやシクロヘキサノンなどのケトン類など各種溶媒が使用可能である。また用途によって、前記1種または2種以上の溶媒を組み合わせて使用することもできる。
上述の硬化性紫外線吸収剤(バインダー成分)には湿気硬化性があるが、常温での硬化速度を実用的なものとするためには、熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液への硬化触媒の添加が必須である。そして、当該硬化触媒としては、パラトルエンスルホン酸が望ましい。さらに、当該硬化触媒の添加量を調整することによって、硬化時間を制御することが可能となる。この結果、当該熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液の応用範囲を広げることが出来た。ここで、硬化触媒の添加量は0.1〜3重量%が好ましい。
本発明の熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液は、上記硬化性紫外線吸収剤を少なくとも1種類含有するものであるが、その硬化は硬化性紫外線吸収剤のアルコキシル基の加水分解とこれに続くシラノールの縮合重合による高分子化によって起こり、他のバインダー成分の添加は必須ではない。この結果、上述したように、硬化性紫外線吸収剤自身が重合し、堅牢な塗膜を形成するため、紫外線吸収剤のブリードアウトが起こらず、塗布膜表面に紫外線吸収剤が浮き出し、脱落したり、流れたりしない上、紫外線遮蔽効果は劣化しにくい。
したがって、本発明に係る、上記硬化性紫外線吸収剤をバインダーとする塗布液から得られる塗布膜は、紫外線遮蔽能の長期安定性に優れるため無機紫外線遮蔽成分を必要としない。また、該硬化性紫外線吸収剤をバインダーとし、近赤外線遮蔽材料として該複合タングステン酸化物を組み合わせた塗布液において、それぞれの添加量を最適範囲とすることによって、高い可視光透過率、無色透明に近い色調、優れた熱線・紫外線遮蔽機能、実用的な表面硬度を有する塗膜となる熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液が得られる。
本発明に係る熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液の調製において、近赤外遮蔽成分である複合タングステン酸化物微粒子を1〜10重量%となるよう添加し、硬化性紫外線吸収剤(バインダー成分)を10〜40重量%、さらに希釈溶剤と硬化触媒とを添加することで、総計を100重量%となるように秤量し、混合すれば良い。
なお、硬化性紫外線吸収剤(バインダー成分)自体が長期的に安定な紫外線遮蔽能を有するため、無機紫外線遮蔽成分は添加する必要がない。
さらに、硬化性紫外線吸収剤(バインダー成分)の配合量が10重量%以上あれば形成される熱線・紫外線遮蔽膜の表面硬度が十分に確保でき、一方、40重量%以下であれば塗布液の粘度が過剰に高くなるのを回避でき、均一な塗布が容易である。
硬化触媒が熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液に添加されると、硬化性紫外線吸収剤(バインダー成分)の硬化が開始するが、塗布液中での硬化速度は極めて遅い。そこで、硬化触媒を予め該熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液に添加しておくことも可能である。
さらに、該硬化触媒は、上述した各種の希釈溶媒へ予め溶解させておくことが好ましい。溶液の形態であれば、添加が容易で且つ直ちに均一化できるからである。
本発明に係る熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を、ガラス基板、プラスチック板、フィルムなどの透明基材を始めとする所定の基材の片面あるいは両面に塗布し、常温で硬化させることによって前記透明基材の表面上に表面硬度の高い熱線・紫外線遮蔽能を持つ熱線・紫外線遮蔽膜を形成することができる。
この結果、熱線・紫外線遮蔽膜の形成の生産性は非常に高いものとなった。得られた熱線・紫外線遮蔽膜は、表面硬度が高く透明性に優れながら、高い熱線・紫外線遮蔽機能を有していた。さらに、当該熱線・紫外線遮蔽膜が片面あるいは両面に形成された透明基材は、高い機械的耐久性と透明性とを有し、高い熱線・紫外線遮蔽機能を有していた。そして、当該熱線・紫外線遮蔽膜は前記基材自体の紫外線による劣化をも抑制する。
なお、実施例および比較例に用いた熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液の構成成分、該熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を用いて形成した熱線・紫外線遮蔽膜の光学特性の一覧表を表1に示した。
<複合タングステン酸化物微粒子分散液>
メタタングステンアンモニウム水溶液(WO3換算で50wt%)と塩化セシウムの水溶液とを、WとCsとのモル比が1対0.33となるように所定量秤量し、両液を混合し
て混合溶液を得た。この混合溶液を130℃で乾燥し、粉末状の出発原料とした。この出発原料を、還元雰囲気(アルゴン/水素=95/5体積比)中において550℃で1時間加熱した。そして、一度室温に戻した後、800℃アルゴン雰囲気中で1時間加熱することで、Cs0.33WO3の粉末を製造した。この粉末の比表面積は20m2/gであっ
た。また、当該Cs0.33WO3粉末についてX線回折による結晶相の同定の結果、六方晶タングステンブロンズ(複合タングステン酸化物微粒子)の結晶相が観察された。このCs0.33WO3粉末20gと、トルエン75gと、分散剤5gとを混合し分散処理を行い、平均分散粒子径80nmの分散液(A液)とした。
2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン28.4gとγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン71.1gをビーカーにとり、ジブチルスズジラウレートを0.5g加えてメカニカルスターラーで混合撹拌を行った。
当該混合液中のγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン量は、2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1モルに対して2.5モルとした。
発熱反応が起こるがそのまま約1時間放置冷却し、目的の反応性紫外線吸収剤を含む赤褐色、高粘度の液を得た(当該本発明に係る硬化性紫外線吸収剤(バインダー成分)を含む赤褐色、高粘度の液を、以降において「合成液1」と記載する。)。
25gの「合成液1」と、希釈溶媒である39.8gのイソブチルアルコールと20gのプロピレングリコールモノエチルエーテルと、15gのA液とを混合撹拌し、さらに硬化触媒としてパラトルエンスルホン酸(一水和物)0.2gを加えて撹拌することによって熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を製造した。
この熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を、厚さ3mmのソーダライム系ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布し、常温で放置して熱線・紫外線遮蔽膜を得た。
得られた熱線・紫外線遮蔽膜の光の透過率を、日立製作所(社)製の分光光度計を用いて測定し、JIS R 3106にしたがって可視光透過率(τv)、日射透過率(τe)を、ISO 9050にしたがって紫外線透過率(τuv)を算出した。
次に、熱線・紫外線遮蔽膜の色調は、JIS Z 8729にしたがってL*a*b*表色系における色度b*を算出した。
さらに、膜の表面硬度を、摩耗試験前後のへイズの変化量(ΔH)から評価した。具体的には、摩耗試験として、テーバー摩耗試験機に摩耗輪CS10fを用い、荷重250g、50回転を行った。へイズは村上色彩技術研究所(社)製の反射・透過率計で測定した。
また膜のτvは81.5%、τeは51.0%、τuvは0.2%であり、可視光透過性に優れ、熱線・紫外線遮蔽能があることが判明した。
さらに、b*は−0.3であり、塗布前のガラス基板との色調の差が小さいことが判明した。ΔHは12.5%であり、爪で強く引っ掻いても傷のつかない実用的な表面硬度の膜が形成されていた。
<熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液>
25gの実施例1で調製した「合成液1」と、希釈溶媒である44.8gのイソブチルアルコールと20gのプロピレングリコールモノエチルエーテルと、10gのA液とを混合撹拌し、さらに硬化触媒としてパラトルエンスルホン酸(一水和物)0.2gを加えて撹拌することによって熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を製造した。
この熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を、厚さ3mmのソーダライム系ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布し、常温で放置して熱線・紫外線遮蔽膜を得た。
得られた熱線・紫外線遮蔽膜の可視光透過率(τv)、日射透過率(τe)、紫外線透過率(τuv)を実施例1と同様に算出した。
また、熱線・紫外線遮蔽膜の色調の色度b*についても、実施例1と同様に算出した。
さらに、膜の表面硬度についても実施例1と同様に評価した。
また膜のτvは83.5%、τeは57.5%、τuvは0.3%であり、可視光透過性に優れ、熱線・紫外線遮蔽能があることが判明した。
また、b*は0.4であり、塗布前のガラス基板との色調の差が小さいことが判明した。ΔHは10.2%であり、爪で強く引っ掻いても傷のつかない実用的な表面硬度の膜が形成されていた。
<熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液>
25gの実施例1で調製した「合成液1」と、希釈溶媒である24.8gのイソブチルアルコールと20gのプロピレングリコールモノエチルエーテルと、30gのA液とを混合撹拌し、さらに硬化触媒としてパラトルエンスルホン酸(一水和物)0.2gを加えて撹拌することによって熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を製造した。
この熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を、厚さ3mmのソーダライム系ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布し、常温で放置して熱線・紫外線遮蔽膜を得た。
得られた熱線・紫外線遮蔽膜の可視光透過率(τv)、日射透過率(τe)、紫外線透過率(τuv)を実施例1と同様に算出した。
また、熱線・紫外線遮蔽膜の色調の色度b*についても、実施例1と同様に算出した。
さらに、膜の表面硬度についても実施例1と同様に評価した。
実施例3で得られた熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液は常温で硬化可能であり、容易に熱線・紫外線遮蔽膜を得ることができた。
また、b*は−1.8であり、塗布前のガラス基板との色調の差が小さいことが判明した。ΔHは14.5%であり、爪で強く引っ掻いても傷のつかない実用的な表面硬度の膜が形成されていた。
比較のため、3mmのソーダライム系ガラス基板のみを試料として、実施例1と同様の測定を行った。
その結果、当該ソーダライム系ガラス基板のτvは90.3%、τeは87.3%、τuvは70.7%であった。
25gの実施例1で調製した「合成液1」と、希釈溶媒である42.3gのイソブチルアルコールと30gのプロピレングリコールモノエチルエーテルと、2.5gのA液とを混合撹拌し、さらに硬化触媒としてパラトルエンスルホン酸(一水和物)0.2gを加えて撹拌することによって熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を製造した。
比較例2により得られた熱線・紫外線遮蔽膜のτvは87.5%、τeは75.5%、τuvは0.2%、b*は1.2であったことから、可視光透過性に優れ、十分な紫外線遮蔽能を有し、塗布前のガラス基板との色調の差が小さくなったが、日射遮蔽能が不十分であることが判明した。
25gの実施例1で調製した「合成液1」と、希釈溶媒である10gのイソブチルアルコールと4.8gのプロピレングリコールモノエチルエーテルと、60gのA液とを混合撹拌し、さらに硬化触媒としてパラトルエンスルホン酸(一水和物)0.2gを加えて撹拌することによって熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を製造した。
比較例3により得られた熱線・紫外線遮蔽膜のτvは75.2%、τeは41.5%、τuvは0.1%、b*は−2.5であったことから、可視光透過性に優れ、十分な熱線・紫外線遮蔽能を有し、塗布前のガラス基板との色調の差が小さいことが判明した。しかしながら、ΔHは24%であり、爪で引っ掻くと塗膜に傷がつき、表面硬度の弱い膜であった。
45gの実施例1で調製した「合成液1」と、希釈溶媒である19.8gのイソブチルアルコールと20gのプロピレングリコールモノエチルエーテルと、15gのA液とを混合撹拌し、さらに硬化触媒としてパラトルエンスルホン酸(一水和物)0.2gを加えて撹拌することによって熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を製造した。
比較例4により得られた熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液は粘度が著しく高く、均一な塗布が行えなかった。
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン60gとアミノプロピルトリエトキシシラン40gとを混合し、マグネティックスターラーで1時間撹拌後、室温で14日間熟成させて、比較例に係るバインダー成分100gを得た(当該比較例に係るバインダー成分を以降において「合成液2」と記載する。)。
FeOOH微粒子15gと、プロピレングリコールモノエチルエーテル80gと、分散剤5gとを混合して分散処理を行い、平均分散粒子径80nmの分散液(C液)とした。
25gの「合成液2」と、希釈溶媒である21.7gのイソブチルアルコールと20gのプロピレングリコールモノエチルエーテルと、3.3gのB液と、20gのC液とを混合撹拌し、さらに硬化触媒として三弗化ホウ素ピペリジンのイソブチルアルコール溶液(濃度:1重量%)10gを加えて撹拌することによって熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を製造した。
比較例5により得られた熱線・紫外線遮蔽膜のτvは68.8%、τeは61.6%、τuvは2.2%、b*は17.8であったことから、熱線・紫外線遮蔽能には優れるが、基材への着色が強く、塗布前のガラス基板との色調の差が大きいことが判明した。
LaB6粉末10g、トルエン83gおよび分散剤7gとを混合し分散処理を行い、平均粒径90nmの分散液(D液)とした。
25gの比較例5で調製した「合成液2」と、希釈溶媒である20gのイソブチルアルコールと20gのプロピレングリコールモノエチルエーテルと、5gのD液と、20gのC液とを混合撹拌し、さらに硬化触媒として三弗化ホウ素ピペリジンのイソブチルアルコール溶液(濃度:1重量%)10gを加えて撹拌することによって熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を製造した。
比較例6により得られた熱線・紫外線遮蔽膜のτvは72.2%、τeは53.5%、τuvは1.5%、b*は19.8であったことから、熱線・紫外線遮蔽能には優れるが、基材への着色が強く、塗布前のガラス基板との色調の差が大きいことが判明した。
25gの比較例5で調製した「合成液2」と、希釈溶媒である30gのイソブチルアルコールと15gのプロピレングリコールモノエチルエーテルと、15gの(A液)と、20gの(C液)とを混合撹拌し、さらに触媒として三弗化ホウ素ピペリジンのイソブチルアルコール溶液(濃度:1重量%)10gを加えて撹拌することによって熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を製造した。
比較例7により得られた熱線・紫外線遮蔽膜のτvは76.4%、τeは49.8%、τuvは2.1%、b*は14.4であったことから、熱線・紫外線遮蔽能には優れるが、基材への着色が強く、塗布前のガラス基板との色調の差が大きいことが判明した。
25gの実施例1で調製した「合成液1」と、希釈溶媒である41.5gのイソブチルアルコールと30gのプロピレングリコールモノエチルエーテルと、3.3gの(B液)とを混合撹拌し、さらに硬化触媒としてパラトルエンスルホン酸(一水和物)0.2gを加えて撹拌することによって熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を製造した。
比較例8により得られた熱線・紫外線遮蔽膜のτvは70.5%、τeは63.2%、τuvは0.2%、b*は4.5であったことから、熱線・紫外線遮蔽能には優れるが、基材への着色が強く、塗布前のガラス基板との色調の差が大きいことが判明した。
25gの実施例1で調製した「合成液1」と、希釈溶媒である39.8gのイソブチルアルコールと30gのプロピレングリコールモノエチルエーテルと、5gの(D液)とを混合撹拌し、さらに硬化触媒としてパラトルエンスルホン酸(一水和物)0.2gを加えて撹拌することによって熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を製造した。
比較例9により得られた熱線・紫外線遮蔽膜のτvは74.5%、τeは55.5%、τuvは0.2%、b*は5.5であったことから、熱線・紫外線遮蔽能には優れるが、基材への着色が強く、塗布前のガラス基板との色調の差が大きいことが判明した。
Claims (6)
- 硬化性紫外線吸収剤と、近赤外線遮蔽成分と、希釈溶媒と、硬化触媒とを含有する熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液であって、
前記硬化性紫外線吸収剤が10〜40重量%含まれ、且つ、前記近赤外線遮蔽成分が1〜10重量%含まれ、
前記硬化性紫外線吸収剤の少なくとも1種が、2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1モルに対しイソシアノ基をもつアルコキシシランを2モル以上10モル未満の割合で配合し、触媒の存在下で反応させて得られた一般式(化1)で示される反応物であり、
前記近赤外線遮蔽成分が、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物を含む平均粒径200nm以下の微粒子であることを特徴とする熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、立方晶の結晶構造のいずれか1つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液。
- 前記M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snから選択される1種類以上の元素であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液。
- 前記硬化触媒がパラトルエンスルホン酸であり、前記熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液中における当該硬化触媒の含有量が0.1〜3重量%であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液。
- 請求項1から4のいずれかに記載された熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を硬化して得られることを特徴とする熱線・紫外線遮蔽膜。
- 請求項5に記載の熱線・紫外線遮蔽膜が、基板の少なくとも片面に形成されている熱線・紫外線遮蔽基材であって、
前記熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液を塗布して得られた基材の可視光透過率と塗布前の基材の可視光透過率との差が10%以下であり、且つ、紫外線透過率が5%以下であり、且つ、日射透過率が65%以下であり、且つ塗布前後の基材のL*a*b*表色系における色度b*値の差が2以下であることを特徴とする熱線・紫外線遮蔽基材。
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