本願発明を詳細に説明する前に、本願における用語の意味を説明すると次の通りである。
1.シリコン等物質名を言う場合、特にその旨記載した場合を除き、表示された物質のみを示すものではなく、示された物質(元素、原子群、分子、高分子、共重合体、化合物等)を主要な成分、組成成分とするものを含むものとする。
すなわち、シリコン領域等といっても、特にそうでない旨明示したときを除き、純粋シリコン領域、不純物をドープしたシリコンを主要な成分とする領域、GeSiのようにシリコンを主要な構成要素とする混晶領域等を含むものとする。更に、MISというときの「M」は、特にそうでない旨明示したときを除き、純粋な金属に限定されるものではなく、ポリシリコン(アモルファスを含む)電極、シリサイド層、その他の金属類似の性質を示す部材を含むものとする。更に、MISというときの「I」は、特にそうでない旨明示したときを除き、酸化シリコン膜等の酸化膜に限定されず、窒化膜、酸窒化膜、アルミナ膜その他の通常誘電体、高誘電体、強誘電体膜等を含むものとする。
2.ウエハとは、半導体集積回路の製造に用いるシリコンその他の半導体単結晶基板(一般にほぼ円板形、半導体ウエハ、その他それらを単位集積回路領域に分割した半導体チップ又はペレット並びにその基体領域)、サファイア基板、ガラス基板、その他の絶縁、反絶縁または半導体基板等並びにそれらの複合的基板を言う。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図や斜視図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。
図1〜図12は、本発明の一実施の形態である半導体装置、例えばMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、の製造工程中の要部断面図である。
まず、図1に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体ウエハ(ウエハ、半導体基板)1を準備し、半導体ウエハ1の主面に素子分離領域2を形成する。素子分離領域2は酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon )法などにより形成することができる。素子分離領域2を形成することにより、半導体ウエハ1の主面には、素子分離領域2によって周囲を規定された活性領域が形成される。
次に、半導体ウエハ1の主面から所定の深さに渡ってp型ウエル3を形成する。p型ウエル3は、例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによって形成することができる。
次に、p型ウエル3の表面を清浄化した後、p型ウエル3の表面にゲート絶縁膜5を形成する。ゲート絶縁膜5は、例えば薄い酸化シリコン膜などからなり、例えば熱酸化法などによって形成することができる。また、ゲート絶縁膜5を酸窒化シリコン膜により形成することもできる。また、ゲート絶縁膜5を、いわゆるhigh−k絶縁膜(高誘電率膜)により形成することも可能である。
次に、半導体ウエハ1の主面上に(すなわちゲート絶縁膜5上に)、導電膜(導体膜、導電性膜)6を形成する。導電膜6はゲート電極形成用の導電膜である。導電膜6は、例えば低抵抗の多結晶シリコン膜(不純物を導入した多結晶シリコン膜、ドープトポリシリコン膜)により形成することができる。それから、導電膜6上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、導電膜6をエッチング(ドライエッチング)してパターニングする。これにより、図2に示されるように、パターニングされた導電膜6からなるゲート電極8がp型ウエル3上のゲート絶縁膜5上に形成される。
次に、例えば熱酸化処理などを行うことにより、ゲート絶縁膜5を修復するとともに、ゲート電極8の露出表面(側面)上に薄い酸化シリコン膜(図示せず)を形成する。この薄い酸化シリコン膜の膜厚は、例えば2nm程度とすることができる。
次に、図3に示されるように、半導体ウエハ1の主面の全面に、ゲート電極8を覆うように、酸化シリコンなどからなる絶縁膜11aをCVD法などにより堆積(形成)する。絶縁膜11aは、後述するオフセットスペーサ12形成用の絶縁膜である。絶縁膜11aの堆積膜厚は、例えば10nm程度とすることができる。絶縁膜11aの堆積(形成)後、詳細は後述するが、半導体ウエハ1の主面上に堆積した絶縁膜11(ここでは絶縁膜11a)の膜厚分布を補正(均一化)する処理であるステップS1を行う。
次に、図4に示されるように、絶縁膜11aをエッチバック(異方性エッチング)して、ゲート電極8の側壁上に絶縁膜11aを残し、他の領域の絶縁膜11aを除去する。これにより、ゲート電極8の側壁上に、残存する絶縁膜11aからなるオフセットスペーサ(側壁絶縁膜)12を形成することができる。また、上記のように、ゲート電極8の露出表面上に薄い酸化シリコン膜(図示せず)を形成した後に、絶縁膜11aを形成した場合は、オフセットスペーサ12はその薄い酸化シリコン膜とその上の絶縁膜11aとからなる。オフセットスペーサ12の幅(ゲート長方向の厚み)は、例えば12nm程度とすることができる。
次に、図5に示されるように、p型ウエル3のゲート電極8およびオフセットスペーサ12の両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより、p型ウエル3にn−型半導体領域13を形成する。n−型半導体領域13は、ゲート電極8の側壁上のオフセットスペーサ12に対して自己整合して形成されるが、オフセットスペーサ12の形成を省略することも可能であり、この場合、n−型半導体領域13は、ゲート電極8に対して自己整合して形成される。
次に、半導体ウエハ1の主面の全面に、ゲート電極8を覆うように、絶縁膜11bを堆積(形成)する。絶縁膜11bは、後述するサイドウォールスペーサ15形成用の絶縁膜である。絶縁膜11bは、例えば酸化シリコン膜などからなり、CVD法などにより堆積(形成)することができる。絶縁膜11bの堆積膜厚は、例えば20nm程度とすることができる。絶縁膜11bの堆積(形成)後、詳細は後述するが、半導体ウエハ1の主面上に堆積した絶縁膜11(ここでは絶縁膜11b)の膜厚分布を補正(均一化)する処理であるステップS1を行う。
次に、図6に示されるように、半導体ウエハ1の主面の全面に、すなわち絶縁膜11b上に、絶縁膜11cを堆積(形成)する。絶縁膜11cは、ゲート電極8を覆うように形成される。絶縁膜11cは、後述するサイドウォールスペーサ15形成用の絶縁膜である。絶縁膜11cは、例えば窒化シリコン膜などからなり、CVD法などにより堆積(形成)することができる。絶縁膜11cの堆積膜厚は、例えば25nm程度とすることができる。絶縁膜11cの堆積(形成)後、詳細は後述するが、半導体ウエハ1の主面上に堆積した絶縁膜11(ここでは絶縁膜11c)の膜厚分布を補正(均一化)する処理であるステップS1を行う。
次に、図7に示されるように、半導体ウエハ1の主面の全面に、すなわち絶縁膜11c上に、絶縁膜11dを堆積(形成)する。絶縁膜11dは、ゲート電極8を覆うように形成される。絶縁膜11dは、後述するサイドウォールスペーサ15形成用の絶縁膜である。絶縁膜11dは、例えば酸化シリコン膜などからなり、CVD法などにより堆積(形成)することができる。絶縁膜11dの堆積膜厚は、例えば50nm程度とすることができる。絶縁膜11dの堆積(形成)後、詳細は後述するが、半導体ウエハ1の主面上に堆積した絶縁膜11(ここでは絶縁膜11d)の膜厚分布を補正(均一化)する処理であるステップS1を行う。
次に、図8に示されるように、絶縁膜11b,11c,11dをエッチバック(異方性エッチング)してゲート電極8の側壁上に絶縁膜11b,11c,11dの積層膜をサイドウォールスペーサ(側壁絶縁膜)15として残し、他の領域の絶縁膜11b,11c,11dを除去する。これにより、ゲート電極8の側壁上に、オフセットスペーサ12を介して、絶縁膜11b,11c,11dからなるサイドウォールスペーサ(側壁絶縁膜)15を形成することができる。また、本実施の形態では、絶縁膜11b,11c,11dの積層膜によりサイドウォールスペーサ15を形成しているが、他の形態として、絶縁膜11b,11c,11dのうちの1層または2層のみを形成し、その1層または2層によりサイドウォールスペーサ15を形成することもできる。
次に、図9に示されるように、サイドウォールスペーサ15をイオン注入阻止マスクとして用いて、p型ウエル3のゲート電極8およびサイドウォールスペーサ15の両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより、サイドウォールスペーサ15に自己整合してn+型半導体領域16(ソース、ドレイン)をp型ウエル3に形成する。n+型半導体領域16は、n−型半導体領域13よりも不純物濃度が高い。イオン注入後、導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行うこともできる。
次に、図10に示されるように、ゲート電極8およびn+型半導体領域16の表面を露出させ、例えばコバルト(Co)膜のような金属膜を堆積して熱処理することによって、ゲート電極8とn+型半導体領域16との表面に、それぞれ金属シリサイド層17(例えばコバルトシリサイド層)を形成する。これにより、n+型半導体領域16の拡散抵抗やコンタクト抵抗などを低抵抗化することができる。その後、未反応の金属膜(コバルト膜)は除去する。
このようにして、p型ウエル3にnチャネル型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)QNが形成される。
なお、本実施の形態では、nチャネル型のMISFETを形成する場合について説明したが、n型とp型の導電型を逆にするなどして、pチャネル型のMISFETを形成することもできる。また、nチャネル型のMISFETとpチャネル型のMISFETの両方を形成して、CMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を形成することもできる。
次に、図11に示されるように、半導体ウエハ1の主面上に、ゲート電極8およびサイドウォールスペーサ15を覆うように、絶縁膜(層間絶縁膜)21,22を順に形成する。絶縁膜21は絶縁膜22よりも薄い。絶縁膜21は、例えば窒化シリコン膜からなり、絶縁膜21上の絶縁膜22は、例えば酸化シリコン膜などからなり、CVD法などにより形成することができる。絶縁膜22を複数の絶縁膜の積層膜により形成することもできる。絶縁膜22の形成後、必要に応じてCMP処理などを行って絶縁膜22の上面を平坦化することもできる。
次に、図12に示されるように、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜22上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして、絶縁膜22,21をドライエッチングすることにより、n+型半導体領域16(ソース、ドレイン)およびゲート電極8の上部などにコンタクトホール(開口部、貫通孔)23を形成する。この際、まず絶縁膜21をエッチングストッパ膜として用いて絶縁膜22をドライエッチングして絶縁膜22にコンタクトホール23を形成し、それからコンタクトホール23の底部で絶縁膜21をドライエッチングすることにより、絶縁膜21,22を貫通するコンタクトホール23を形成することができる。これにより、コンタクトホール23の形成のためのドライエッチング工程で、基板領域(n+型半導体領域16)がダメージを受けるのを防止することができる。また、コンタクトホール23を形成するドライエッチングの際には、サイドウォールスペーサ15を、コンタクトホール23の目外れ防止用のエッチングストッパとして機能させることができる。絶縁膜21に形成されたコンタクトホール23の底部では、半導体ウエハ1の主面の一部、例えばn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)の一部やゲート電極8(の表面上の金属シリサイド層17)の一部などが露出される。
次に、コンタクトホール23内にプラグ24を形成する。プラグ24を形成するには、例えば、コンタクトホール23の内部を含む絶縁膜22上に導電性バリア膜(例えばチタン膜と窒化チタン膜の積層膜)24aを形成した後、タングステン膜(主導体膜)24bをCVD法などによって導電性バリア膜24a上にコンタクトホール23を埋めるように形成する。それから、絶縁膜22上の不要なタングステン膜24bおよび導電性バリア膜24aをCMP法またはエッチバック法などによって除去し、コンタクトホール23内に導電性バリア膜24aおよびタングステン膜24bを残す。これにより、コンタクトホール23内に残存して埋め込まれた導電性バリア膜24aおよびタングステン膜24bからなるプラグ24を形成することができる。
次に、プラグ24が埋め込まれた絶縁膜22上に、配線25を形成する。例えば、チタン膜25a、窒化チタン膜25b、アルミニウム膜25cおよび窒化チタン膜25dをスパッタリング法などによって順に形成し、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法などを用いてパターニングすることで、配線25を形成することができる。その後、更に層間絶縁膜や上層の配線層などが形成されるが、ここではその説明は省略する。
上記のように、半導体ウエハ1の主面上に堆積した絶縁膜11a,11b,11c,11dをエッチバック(異方性エッチング)することで、ゲート電極8の側壁上に絶縁膜11a,11b,11c,11d(オフセットスペーサ12やサイドウォールスペーサ15)を残し、それ以外の絶縁膜11a,11b,11c,11dを除去する。しかしながら、半導体ウエハ1の主面上に絶縁膜11a,11b,11c,11dを堆積した段階で、半導体ウエハ1の主面の面内で絶縁膜11a,11b,11c,11dの膜厚がばらついて不均一な膜厚分布が生じ、絶縁膜11a,11b,11c,11dの堆積膜厚が厚い領域(後述する領域1Aに対応)と薄い領域(後述する領域1Bに対応)が発生する可能性がある。
図13〜図15は、本実施の形態とは異なり、ステップS1の処理を行わない第1比較例の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、それぞれ、本実施の形態の図7,図8および図12の工程段階にほぼ対応するものである。図13に示される絶縁膜27は、側壁絶縁膜(サイドウォールスペーサ15)形成用の絶縁膜であり、上記絶縁膜11b,11c,11dの積層膜に対応する。また、図13〜図15には、半導体ウエハ1の主面に堆積した絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aと絶縁膜27の堆積膜厚が薄い領域1Bの要部断面図が示されている。また、図13〜図15では、p型ウエル3、n−型半導体領域13およびn+型半導体領域16は、半導体ウエハ1に含めて図示している。
本実施の形態とは異なり、ステップS1の処理を行わなかった場合、絶縁膜27の堆積膜厚が半導体ウエハ1の主面の面内で不均一になり、図13に示されるように、半導体ウエハ1の主面で、絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bが存在することになる。絶縁膜27の堆積後、サイドウォールスペーサ15を形成するための絶縁膜27のエッチバック工程で、絶縁膜27の膜厚が薄い領域1Bに合わせて絶縁膜27をエッチバックすると、絶縁膜27の膜厚が厚い領域1Aでは絶縁膜27のエッチング残りが発生し、その後の工程に影響が生じる可能性がある。例えば、絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aは、絶縁膜27のエッチング残りが、n+型半導体領域16形成のためのイオン注入工程でイオン注入阻止マスクとして機能したり、あるいは、金属シリサイド層17の形成を阻害する可能性がある。
このため、図13に示されるように、半導体ウエハ1の主面で、絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bが存在している場合、図14に示されるように、絶縁膜27の膜厚が厚い領域1Aに合わせて絶縁膜27をエッチバックする必要がある。図14では、絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aに合わせて絶縁膜27をエッチバックしているので、サイドウォールスペーサ15以外の絶縁膜27のエッチング残りが生じるのを防止することができる。
しかしながら、絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aに合わせて絶縁膜27をエッチバックした場合、絶縁膜27の堆積膜厚が薄い領域1Bでは、オーバーエッチングが生じて、露出した半導体ウエハ1の基板領域(ここではp型ウエル3のうちのn+型半導体領域16を形成すべき領域)にダメージが与えられ、形成されるMISFETQNのゲート特性などに悪影響を与える可能性がある。これは、半導体装置の製造歩留まりを低下させる。なお、図14では、絶縁膜27のエッチバックの際に、オーバーエッチングによりダメージを受ける領域28が点線で模式的に示されている。
また、サイドウォールスペーサ15の厚みは絶縁膜27の堆積膜厚にほぼ対応するので、図14に示されるように、絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aでは、サイドウォールスペーサ15の厚みが厚くなり、絶縁膜27の堆積膜厚が薄い領域1Bでは、サイドウォールスペーサ15の厚みが薄くなる。このため、隣り合うゲート電極8の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサ15の間隔は、絶縁膜27の堆積膜厚が薄い領域1Bよりも絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aで、小さく(狭く)なる。すなわち、絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aにおける隣り合うゲート電極8の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサ15の間隔W1は、絶縁膜27の堆積膜厚が薄い領域1Bにおける隣り合うゲート電極8の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサ15の間隔W2よりも、小さく(狭く)なる(W1<W2)。
半導体装置の小型化や高集積化に伴い、ゲート電極8間の間隔も狭くなり、隣り合うゲート電極8の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサ15の間隔が狭くなってきているため、図15に示されるように、コンタクトホール23を形成する際には、サイドウォールスペーサ15を、コンタクトホール23の目外れ防止用のエッチングストッパとして機能させる。このため、n+型半導体領域16上に形成したコンタクトホール23では、底部で露出するn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)の面積が、隣り合うゲート電極8の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサ15の間隔W1,W2によって規定されることになる。
従って、絶縁膜27の堆積膜厚が薄い領域1Bでは、隣り合うゲート電極8の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサ15の間隔W2が広いことから、コンタクトホール23の底部で露出するn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)の面積が大きいが、絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aでは、隣り合うゲート電極8の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサ15の間隔W1が狭いことから、コンタクトホール23の底部で露出するn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)の面積が小さくなる。これにより、絶縁膜27の堆積膜厚が薄い領域1Bに比べて絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aでは、コンタクトホール23内のプラグ24とn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)の接続抵抗が高くなる。また、絶縁膜27の堆積膜厚が薄い領域1Bに比べて絶縁膜27の堆積膜厚が厚い領域1Aでは、コンタクトホール23内のプラグ24とn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)の接続不良の発生率が高くなる可能性もある。これは、半導体装置の製造歩留まりを低下させる。
そこで、本実施の形態では、半導体ウエハ1の主面1a上に絶縁膜11を堆積(形成)した後に、以下のようにして、半導体ウエハ1の主面上における絶縁膜11の膜厚分布を補正(均一化)する処理、すなわちステップS1を行うことで、図13〜図15を参照して説明したような問題点を改善する。このステップS1の処理の対象となる絶縁膜11は、絶縁膜27を構成する絶縁膜であり、上記絶縁膜11b,11c,11dに対応する。また、図13〜図15で説明した問題は、サイドウォールスペーサ15だけでなくオフセットスペーサ12形成の際にも生じ得るので、絶縁膜11は、絶縁膜11aにも対応する。すなわち、ステップS1の処理の対象となる絶縁膜11は、ゲート電極8の側壁上に側壁絶縁膜(オフセットスペーサ12またはサイドウォールスペーサ15)を形成するための絶縁膜11a,11b,11c,11dである。
図16は、本実施の形態で行われるステップS1の処理(半導体ウエハ1の主面上に堆積した絶縁膜11の膜厚分布を均一化する処理)の説明図(断面図)である。
本実施の形態では、図16に示されるように、枚葉式のウェットエッチング装置31を用いて絶縁膜11の一部(上層部分)をウェットエッチングすることにより、ステップS1の絶縁膜11の膜厚分布を補正する処理を行う。すなわち、ステップS1は、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚分布が均一化するように、絶縁膜11の堆積膜厚が厚いところでは、絶縁膜11の堆積膜厚が薄いところよりも多く、絶縁膜11をウェットエッチングして、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚分布を補正する処理であり、これは、後述の実施の形態2,3のステップS1a,S1bについても同様である。
図16に示されるように、ウェットエッチング装置31は、回転ステージ(ウエハ回転ステージ、スピンベース)32と、回転ステージ32の外周部に固定、連結されたウエハチャック33とを有している。回転ステージ32は、図示しない回転機構(例えばモータなど)によって高速で回転可能に構成された回転板であり、例えば半導体ウエハ1よりも大きな径を有している。ウエハチャック33は、半導体ウエハ1を保持可能に構成されており、半導体ウエハ1の絶縁膜11が形成された側の面である主面(表面、半導体素子形成側の主面)1aが上方を向き、主面1aとは反対側の面である裏面が下方を向くように半導体ウエハ1が保持される。図示しない回転機構によって回転ステージ32を回転させることで、ウエハチャック33およびウエハチャック33に保持された半導体ウエハ1も回転させることができる。
回転ステージ32の上方、ここではウエハチャック33によって回転ステージ32に固定された半導体ウエハ1の主面1aの中央部上方に、リンス液用ノズル(リンスノズル、リンス液供給手段)34が配置され、リンス液用ノズル34からリンス液(洗浄液、すすぎ液)35を半導体ウエハ1の主面1aに向かって吐出(噴出)し、半導体ウエハ1の主面1aにリンス液35を供給できるように構成されている。リンス液35は、例えば純水を用いることができる。また、バルブ(図示せず)などにより、リンス液用ノズル34からのリンス液35の供給開始および停止の切換えができるように(あるいはリンス液35の供給(吐出)量を調整できるように)構成されている。
また、回転ステージ32の上方に、エッチング液用ノズル(エッチング液供給手段)36が配置され、エッチング液用ノズル36からエッチング液(洗浄液、エッチャント液、薬液)37を半導体ウエハ1の主面1aに向かって吐出(噴出、供給)し、半導体ウエハ1の主面1aにエッチング液37を供給できるように構成されている。エッチング液37は、半導体ウエハ1の主面1aに形成されている絶縁膜11をエッチング可能なエッチング液を用い、例えばフッ酸(HF)の水溶液などを用いることができる。エッチング液37のフッ酸の濃度は、枚葉式のウェットエッチング装置では生産性に支障をきたさない範囲のエッチング時間で目的とするエッチング量を確保できるようにすればよく、例えば、30秒間で熱酸化膜換算で1.5nm程度のエッチング量を狙うのであれば50%HF:H2O=1:100程度に、例えば、20秒間で熱酸化膜換算で5nm程度のエッチング量を狙うのであれば50%HF:H2O=1:20程度に、薄めることができる。
また、バルブ(図示せず)などにより、エッチング液用ノズル36からのエッチング液37の供給開始および停止の切換えができるように(あるいは供給(吐出)量を調整できるように)構成されている。エッチング液用ノズル36から吐出されるエッチング液37の温度は、例えば、フッ酸であれば一般的な24℃程度とすることができる。また、エッチング液用ノズル36から吐出されて半導体ウエハ1の主面1a上に供給されるエッチング液37の流量は、例えば、ウエハチャック33からの跳ね返りを抑制できる流量として0.2L/分程度とすることができる。
リンス液用ノズル34およびエッチング液用ノズル36とそれらにリンス液35およびエッチング液37を供給する配管(図示せず)は回転ステージ32には固定されておらず、回転ステージ32が回転しても、リンス液用ノズル34およびエッチング液用ノズル36は回転しないように構成されている。
エッチング液用ノズル36は、回転ステージ32の上方において、半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向(回転ステージ32およびそこに保持された半導体ウエハ1の主面1aに平行な方向)に移動可能に構成されている。エッチング液用ノズル36の移動速度は、所望の速度に制御可能に構成されている。
次に、ステップS1の具体的な手順について、説明する。
まず、主面1aに絶縁膜11を堆積した半導体ウエハ1を、図16に示されるように、ウエハチャック33によってエッチング装置31の回転ステージ32に保持する。それから、回転ステージ32を回転させることによって、回転ステージ32に保持された半導体ウエハ1を回転させる。この際、回転ステージ32の回転の中心が半導体ウエハ1の主面1aの中心位置とほぼ一致させることで、半導体ウエハ1が主面1aの中心位置を回転中心にして回転するようにする。半導体ウエハ1の回転速度は、例えば500rpm(500回転/分)程度とすることができる。
半導体ウエハ1が回転した状態で、回転する半導体ウエハ1の主面1aの上方でエッチング液用ノズル36を半導体ウエハ1の主面1aの外周部側から中心部側に移動させながら、エッチング液用ノズル36から半導体ウエハの主面1aに絶縁膜11をエッチングするためのエッチング液37を供給する。すなわち、半導体ウエハ1が回転した状態で、エッチング液用ノズル36からのエッチング液37の吐出を開始し、エッチング液37を吐出するエッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向(回転ステージ32およびそこに保持された半導体ウエハ1の主面1aに平行な方向)に移動させる。これにより、半導体ウエハ1の主面1aにエッチング液用ノズル36からエッチング液37が供給され、半導体ウエハ1の主面1aに供給されたエッチング液37により、半導体ウエハ1の主面1aに形成されていた絶縁膜11がエッチングされる。この際、エッチング液用ノズル36が、半導体ウエハ1の主面1aにエッチング液37を供給しながら移動するので、半導体ウエハ1の主面1aにおけるエッチング液37の供給される位置が、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から半導体ウエハ1の主面1aの中心部に移動することになる。
エッチング液用ノズル36を半導体ウエハ1の上方で半導体ウエハ1の主面1aの外周部側から中心部側に移動させ、エッチング液用ノズル36が、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置に到達し、エッチング液用ノズル36から半導体ウエハ1の主面1aへエッチング液37が供給される位置が、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から半導体ウエハ1の主面1aの中心部まで移動した後、エッチング液用ノズル36から半導体ウエハ1の主面1aへのエッチング液37の供給を停止する。それから、半導体ウエハ1の主面1aの中央部上方に位置するリンス液用ノズル34から、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部に、絶縁膜11のエッチングを停止するためのリンス液35を供給する。半導体ウエハ1は回転しているので、リンス液用ノズル34から半導体ウエハ1の主面1aの中心部に供給されたリンス液35は、半導体ウエハ1の主面1aの中心部から外周部側に移動して、半導体ウエハ1の主面1aの全面にリンス液35が行き渡る。これにより、半導体ウエハ1の主面1aのリンス処理(すすぎ処理)が行われ、半導体ウエハ1の主面1aからエッチング液37がリンス液35とともに除去され、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11のエッチングが停止する。
リンス液用ノズル34から半導体ウエハ1の主面1aへリンス液35を供給する際には、エッチング液用ノズル36が、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方に位置していると、エッチング液用ノズル36が邪魔になる可能性がある。このため、エッチング液用ノズル36からのエッチング液37の供給を停止した後、エッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置から外周部側に速やかに移動させてから、リンス液用ノズル34から半導体ウエハ1の主面1aへのリンス液35の供給を開始すれば、より好ましい。
リンス処理の後、リンス液用ノズル34からのリンス液35の吐出が停止され、半導体ウエハ1の主面1aへのリンス液35の供給が終了する。そして、回転ステージ32の回転速度を上昇させることによって半導体ウエハ1の回転速度を上昇させて、半導体ウエハ1を高速回転させ、高速回転による遠心力を利用して半導体ウエハ1の主面1a上に残留する液体または水分(リンス液35)を振り切って、半導体ウエハ1を乾燥させる。所定の時間、高速回転させて半導体ウエハ1を乾燥させた後、半導体ウエハ1の回転を停止させる(回転ステージ32の回転を停止させる)。
その後、半導体ウエハ1は、次の工程(絶縁膜11のエッチバックによるサイドウォールスペーサ15の形成工程)に送られるか、あるいはその前に一旦、収容ケースなどに収容される。
上記のように、半導体ウエハ1が回転した状態で、エッチング液用ノズル36からエッチング液37を吐出させながら、エッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向に移動させる。半導体ウエハ1は回転しているので、エッチング液用ノズル36から半導体ウエハ1の主面1a上に供給されたエッチング液37は、半導体ウエハ1の主面1a上を外周部側に移動する。このため、半導体ウエハ1の主面1aにおいて、エッチング液用ノズル36からエッチング液37が供給された位置から外側(外周側)には、エッチング液37が行き渡った(存在した)状態となり、このエッチング液37により、半導体ウエハ1の主面1aに形成されている絶縁膜11がエッチング(ウェットエッチング)される。このため、半導体ウエハ1の主面1aの各位置では、エッチング液用ノズル36から供給されるエッチング液37に触れて(接液して)から、リンス液用ノズル34から供給されるリンス液35が触れる(接液する)まで、絶縁膜11のエッチングが進行する。従って、エッチング液用ノズル36は、半導体ウエハ1の主面1a上を外周部側から中心部側に1回移動させれば良く、ステップS1の処理の動作を単純化でき、またステップS1に要する時間を短縮できる。
ステップS1における半導体ウエハ1の主面の各位置のエッチング時間は、各位置上をエッチング液用ノズル36が通過してから、リンス液用ノズル34からのリンス液35の供給を開始するまでの時間に対応することになる。従って、本実施の形態では、エッチング液用ノズル36の移動速度を、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布に応じて制御することで、半導体ウエハ1の主面1aの各位置でのエッチング時間を、絶縁膜11の膜厚分布の均一化のために主面1aの各位置で絶縁膜11をエッチングすべき量に対応させ、それによって、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚分布を、位置によらず、均一化することができる。
本実施の形態では、エッチング液37を吐出させながら、エッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向に移動するので、半導体ウエハ1の主面1aの外周部側では、半導体ウエハ1の主面1aの中心部側に比べて、エッチング液37に触れている時間が長く、エッチング時間が長くなる。このため、半導体ウエハ1の主面1aの外周部側では、半導体ウエハ1の主面1aの中心部側に比べて、エッチング液37による絶縁膜11のエッチング量が多く(大きく)なる。
このため、本実施の形態のステップS1は、半導体ウエハ1の主面1aの中心部側に比べて、半導体ウエハ1の主面1aの外周部側で、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い場合に適用することができ、ステップS1を行うことにより、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を均一化させることができる。なお、この場合は、半導体ウエハ1の主面1aの中心部近傍が上記絶縁膜11の堆積膜厚が薄い領域1Bに対応し、半導体ウエハ1の主面1aの外周部近傍が絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aに対応する。
半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布が単純で、絶縁膜11の堆積膜厚の変化量が半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離に比例している場合であれば、エッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ等速で移動させればよい。これにより、半導体ウエハ1の主面1aの各位置における絶縁膜11のエッチング時間を、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離に比例させ、それによって、半導体ウエハ1の主面1aの各位置における絶縁膜11のエッチング量を、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離に比例させることができる。
しかしながら、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布が単純ではなく、絶縁膜11の堆積膜厚の変化量が半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離に比例していない場合には、エッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ等速移動させることでは、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を均一化させることはできない。
エッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ移動させるが、本実施の形態では、エッチング液用ノズル36の移動速度は等速ではなく、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度を制御する(変化させる)。
次に、エッチング液用ノズル36の移動速度の制御について、より詳細に説明する。
図17は、半導体ウエハ1上を移動するエッチング液用ノズル36の移動速度の制御の説明図(平面図)である。図18は、半導体ウエハ1の主面1aに絶縁膜11を堆積した段階(ステップS1の処理前)の絶縁膜11の膜厚(堆積膜厚)分布を示すグラフである。図19は、ステップS1におけるエッチング液用ノズル36の移動位置を示すグラフである。図20は、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率とステップS1におけるエッチング液用ノズル36の移動速度を示すグラフである。図21は、ステップS1における絶縁膜11のエッチング量を示すグラフである。図22は、ステップS1を行った後の絶縁膜11の膜厚分布を示すグラフである。なお、図18〜図22の各グラフの縦軸および横軸は、任意単位(arbitrary unit)で示してある。
本実施の形態では、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率(後述するC(n)に対応する)に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度を制御(調整)する。すなわち、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率(後述するC(n)に対応)が大きい領域では、エッチング液用ノズル36の移動速度を遅くし、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率(後述するC(n)に対応)が小さい領域では、エッチング液用ノズル36の移動速度を速くする。
具体的には、例えば、図17に示されるように、半導体ウエハ1の主面1aの外周部の位置P(1)から中心部の位置P(6)まで、半導体ウエハ1の主面1aの半径方向に順に配列した6箇所の位置P(1)〜P(6)を決め、半導体ウエハ1の主面1aを5つの区間(領域)RG(1)〜RG(5)に分ける。
位置P(6)は、半導体ウエハ1の主面1aの中心に対応し、位置P(5)は、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離がL(5)である位置に対応し、位置P(4)は、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離がL(5)+L(4)である位置に対応し、位置P(3)は、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離がL(5)+L(4)+L(3)である位置に対応する。位置P(2)は、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離がL(5)+L(4)+L(3)+L(2)である位置に対応する。位置P(1)は、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離がL(5)+L(4)+L(3)+L(2)+L(1)、すなわち半導体ウエハ1の半径に相当する値、の位置に対応する。従って、区間RG(5)は、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離がL(5)以内の領域に対応し、区間RG(4)は、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離がL(5)からL(5)+L(4)の間の領域に対応し、区間RG(3)は、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離がL(5)+L(4)からL(5)+L(4)+L(3)の間の領域に対応する。区間RG(2)は、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離がL(5)+L(4)+L(3)からL(5)+L(4)+L(3)+L(2)の間の領域に対応し、区間RG(1)は、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離がL(5)+L(4)+L(3)+L(2)以上の領域に対応する。このため、図18〜図22のグラフの横軸は、半導体ウエハ1の主面1aにおける位置であるが、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離にも対応している。これは、後述する実施の形態2以降のグラフにおいても同様である。
半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚の分布は図18に示されており、各位置P(1)〜P(6)での絶縁膜11の堆積膜厚がt(1)〜t(6)であったとする。エッチング液37による絶縁膜11のエッチングレート(エッチング速度)はErであるとする(Erは絶縁膜11をエッチング液37にさらしたときに単位時間当たりにエッチングされる絶縁膜11の厚みに対応する)。
絶縁膜11の堆積膜厚の分布(t(1)〜t(6))は、膜厚測定装置を用いて直接的に測定して決定することができるが、他の形態として、同じ成膜装置で絶縁膜11の成膜を繰り返し行った場合の半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚の分布(t(1)〜t(6))の傾向を予め調べておき、この予め調べておいた堆積膜厚の分布の傾向のデータを用いることで、間接的に決定することもできる。このことは、本実施の形態だけでなく、実施の形態2〜4についても同様である。
また、本実施の形態のステップS1および後述する実施の形態2,3のステップS1a,S1bにおいては、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離が同じ位置(領域)では、絶縁膜11は同じ量(厚み)だけエッチングされる。このため、本実施の形態のステップS1および後述する実施の形態2,3のステップS1a,S1bは、半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離が同じである位置では、絶縁膜11の堆積膜厚がほぼ同じ(すなわち半導体ウエハ1の主面1aの円周方向で絶縁膜11の堆積膜厚がほぼ均一)で、半導体ウエハ1の主面1aの半径方向に絶縁膜11の堆積膜厚が変動するような堆積膜厚分布を絶縁膜11が有する場合に適用して好適である。
ステップS1では、エッチング液用ノズル36の移動位置を時間の経過とともに図19のような位置にあるように制御する。なお、図19のグラフの縦軸は、時間(時刻)に対応するが、縦軸の下方に向かう方向が、時間が経過する方向である。
具体的には、エッチング液用ノズル36が区間RG(n)を通過するのに要する時間、すなわち位置P(n)上から位置P(n+1)上までを通過するのに要する時間をT(n)とすると、
T(n)=(t(n)−t(n+1))/Er、但しn=1〜5 ・・・(式1)
となるように、エッチング液用ノズル36の移動速度を制御する。
また、エッチング液用ノズル36が半導体ウエハ1の主面1aの中心部の位置P(6)上に到達した後、リンス液用ノズル34からリンス液35を半導体ウエハ1の主面1aの中心部の位置P(6)に供給するまでの時間(待つ時間)をT(6)とすると、
T(6)=t0/Er ・・・(式2)
となるように、リンス液用ノズル34からのリンス液35の供給開始のタイミングを制御する。なお、式2中のt0は、中心部の位置P(6)での絶縁膜11のエッチング量(エッチング厚み)に対応する。
エッチング液用ノズル36から半導体ウエハ1の主面1aへエッチング液37の供給を開始してから、リンス液用ノズル34からリンス液35を半導体ウエハ1の主面1aの中心部の位置P(6)に供給するまでの時間、すなわちT(1)+T(2)+T(3)+T(4)+T(5)+T(6)は、絶縁膜11の膜厚分布やエッチング液37の種類や濃度にもよるが、例えば、50%HF:H2O=1:100で熱酸化膜換算で1.5nm程度のエッチング量を狙うのであれば30秒間、例えば、50%HF:H2O=1:20で熱酸化膜換算で5nm程度のエッチング量を狙うのであれば20秒間、程度とすることができる。
位置P(n)から位置P(n+1)までの距離をL(n)とすれば、区間RG(n)を移動する間、すなわち位置P(n)から位置P(n+1)までを移動する間のエッチング液用ノズル36の移動速度V(n)は、
V(n)=L(n)/T(n) ・・・(式3)
で表されるので、上記式3に式1を代入して、
V(n)=Er×L(n)/(t(n)−t(n+1)) ・・・(式4)
となる。
ここで、位置P(n)から位置P(n+1)までの間の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率(すなわち区間RG(n)の両端間での絶縁膜11の堆積膜厚の差)をC(n)とすると、
C(n)=(t(n)−t(n+1))/L(n) ・・・(式5)
で表されるので、式4は、
V(n)=Er/C(n) ・・・(式6)
で表される。
なお、式5からも分かるように、半導体ウエハ1主面1aにおいて、外周側の位置P(n)から中心部側の位置P(n+1)に向かって、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)が薄くなる場合を、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が正であるものとし、本実施の形態は、t(n+1)≦t(n)となる場合に適用すれば好適であり、この場合、C(n)≧0となる。
従って、本実施の形態において、半導体ウエハ1の主面1aの半径方向における絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)は、式5からも分かるように、半導体ウエハ1の主面1aの中心から外周部に向かう方向での単位長さ当たりの絶縁膜11の堆積膜厚の増加率(増加量)に対応する。
本実施の形態では、位置P(1)〜P(6)の各区間でのエッチング液用ノズル36の移動速度を、式6を満たすような移動速度V(n)に制御する。図20のグラフには、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が点線で示され、ステップS1におけるエッチング液用ノズル36の移動速度V(n)が実線で示されている。式6や図20からも分かるように、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が大きい領域では、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を遅く(小さく)し、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が小さい領域では、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を速く(大きく)する。このようにして、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を制御(調整)する。また、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)がゼロに近い領域(絶縁膜11の堆積膜厚がほぼ均一な領域)では、式6のV(n)が、エッチング装置31の可能な範囲を超えしまう場合があるが、この領域では、エッチング装置31の可能な範囲で、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を速くすればよい。また、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が負となる(C(n)<0)領域があれば、そこでも、エッチング装置31の可能な範囲で、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を速くする。
位置P(n)がエッチング液37に始めて触れるのは、位置P(n)上にエッチング液37を吐出するエッチング液用ノズル36がきたときであり、それによって、位置P(n)での絶縁膜11のエッチング液37によるエッチングが開始される。位置P(n)上をエッチング液用ノズル36が通過した後は、リンス液用ノズル34からのリンス液35の供給を開始するまで、位置P(n)上にエッチング液37が存在した状態が継続し、それによって位置P(n)での絶縁膜11のエッチングが継続する。これは、エッチング液用ノズル36から、位置P(n)よりも中心部P(6)寄りの位置にエッチング液37が供給されても、エッチング液37が半導体ウエハ1の回転によって外側(外周側)方向に移動し、このエッチング液37が位置P(n)上を通過するためである。従って、位置P(n)がエッチング液37に触れている時間、すなわち位置P(n)における絶縁膜11のエッチング時間ET(n)は、図23に示されるような式7で表される。また、図19のグラフの斜線で示される領域が、半導体ウエハ1の主面1aの各位置におけるエッチング時間に対応する。
図23の式7に上記式1および式2を代入すると、位置P(n)における絶縁膜11のエッチング時間ET(n)は、
ET(n)=(t(n)−t(6)+t0)/Er
で表される。位置P(n)における絶縁膜11のエッチング量(エッチング厚み)EW(n)は、エッチング時間ET(n)およびエッチングレートErに比例し、両者の積(すなわちET(n)×Er)となるので、
EW(n)=t(n)−t(6)+t0
となる。
なお、半導体ウエハ1の主面1aの各位置におけるステップS1中の絶縁膜11のエッチング量(EW(n))をグラフ化すると、図21のようになる。
従って、ステップS1の後の位置P(n)における絶縁膜11の膜厚ta(n)は、
ta(n)=t(n)−EW(n)=t(6)−t0
となり、ステップS1の処理の後の半導体ウエハ1の主面1aの絶縁膜11の膜厚(残存膜厚)は、位置によらず一定(t(6)−t0)となる。すなわち、ステップS1の後の各位置P(1)〜P(6)における絶縁膜11の膜厚ta(1)〜ta(6)は、
ta(1)=ta(2)=ta(3)=ta(4)=ta(5)=ta(6)=t(6)−t0
と均一になる。
なお、ステップS1を行った後の半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚分布をグラフ化すると、図22のようになる。
上記式6から分かるように、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が一定の場合、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)も一定にすればよいが、実際の半導体ウエハ1の主面1aにおいて、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)は一定ではなく、例えば図18や図20のグラフに示されるように、半導体ウエハ1の主面1aの中心部近傍(例えば区間RG(5))よりも外周部近傍(例えば区間RG(1))で、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が大きくなる(C(1)>C(5))。このため、半導体ウエハ1の主面1aの外周部近傍(例えば区間RG(1))では、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を遅くし、半導体ウエハ1の主面1aの中心部近傍(例えば区間RG(5))では、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を速くする(V(1)<V(5))。このため、半導体ウエハ1の外周部側と中心部側とで、エッチング液用ノズル36の移動速度が異なることになる。
このように、本実施の形態では、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度を制御し、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が大きい領域では、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を遅くし、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が小さい領域では、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を速くする。これにより、図22に示されるように、ステップS1の後の半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚(ta(n))を均一化することができる。
また、本実施の形態では、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)ではなく、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を制御している。このため、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)が厚い領域で、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を遅くし、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)が薄い領域で、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を速くするという制御を行うのではない。本実施の形態では、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)が厚いか薄いかに関わらず、導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が小さければ、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を速くし、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が大きければ、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を遅くする制御を行うものである。
本実施の形態は、半導体ウエハ1の主面1aの絶縁膜11の堆積膜厚(t(n))の分布が、図18のグラフのように、半導体ウエハ1の主面1aの外周部(位置P(1))で最も厚く、半導体ウエハ1の主面1aの中心部(位置P(6))に近づくにつれて絶縁膜11の堆積膜厚(t(n))が薄くなるような場合(t(n+1)≦t(n)となる場合)に適用することができる。このような絶縁膜11の堆積膜厚分布は、バッチ式の成膜装置(バッチ式のCVD装置など)を用いて絶縁膜11を半導体ウエハ1上に堆積した場合に、生じ易い。従って、バッチ式の成膜装置(バッチ式のCVD装置など)を用いて絶縁膜11を半導体ウエハ1上に堆積した場合に、本実施の形態を適用すれば、より効果が大きい。
そして、エッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ移動させる。これにより、エッチング液37に触れている時間、すなわちエッチング時間を、図19のように半導体ウエハ1の主面1aの外周部で長くし、半導体ウエハ1の主面1aの中心部側に近づくほど短くし、それによって、絶縁膜11のエッチング量(エッチング厚み)を、図21のように半導体ウエハ1の主面1aの外周部で多く(大きく)し、半導体ウエハ1の主面1aの中心部側に近づくほど少なく(小さく)することができる。このため、半導体ウエハ1の主面1aの外周部で最も厚く、半導体ウエハ1の主面1aの中心部に近づくにつれて薄くなるような堆積膜厚分布の絶縁膜11の膜厚を、ある程度均一化することができる。
しかしながら、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布が単純ではなく、絶縁膜11の堆積膜厚の変化量が半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離に比例していない場合には、エッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ等速移動させることでは、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を十分に均一化させることはできず、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚の分布に不均一性が残ってしまう。このため、本実施の形態では、エッチング液用ノズル36の移動速度は等速ではなく、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度を制御する(変化させる)。具体的には、上記のように、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)ではなく、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を制御する。すなわち、導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が大きい領域では、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が小さい領域よりも、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を遅くする制御を行う。図18に示されるように、半導体ウエハ1の主面1aの絶縁膜11の堆積膜厚の分布は、半導体ウエハ1の中心部近傍では絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が小さく、半導体ウエハ1の外周部近傍では絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が大きくなるような分布になりやすく、この場合、図20のように、半導体ウエハ1の主面1aの外周部側と中心部側とでエッチング液用ノズル36の移動速度が異なることになる。これにより、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布が単純ではなく、絶縁膜11の堆積膜厚の変化量が半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離に比例していない場合であっても、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を十分に均一化させることができ、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚の分布の不均一性を十分に除去することができる。
図24〜図26は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、それぞれ、本実施の形態の図7,図8および図12の工程段階にほぼ対応するものである。図24〜図26は、それぞれ、上記第1比較例の図13〜図15に対応するものであるが、図13〜図15の第1比較例とは異なり、本実施の形態(図24〜図26)では、ステップS1の処理を行っている。また、図24に示される絶縁膜27は、側壁絶縁膜(サイドウォールスペーサ15)形成用の絶縁膜であり、上記絶縁11b,11c,11dの積層膜に対応する。また、図24〜図26には、上記図13〜図15と同じ絶縁膜27(11)の堆積膜厚が厚い領域1Aと絶縁膜27の堆積膜厚が薄い領域1Bの要部断面図が示されている。また、図24〜図26では、p型ウエル3、n−型半導体領域13およびn+型半導体領域16は、半導体ウエハ1に含めて図示している。
本実施の形態では、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11(11a,11b,11c,11d)の堆積時の膜厚分布が不均一であっても、ステップS1の処理を行うことにより、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を十分に均一化させることができるので、上記図13〜図15を参照して説明したような不具合が生じるのを防止することができる。
すなわち、絶縁膜11(11a,11b,11c,11d)を堆積した段階で、絶縁膜11の堆積膜厚分布が不均一となり、半導体ウエハ1の主面1aで、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bが存在していても、絶縁膜11の堆積後にステップS1の処理を行うことにより、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を均一化することができる。このため、半導体ウエハ1の主面1aの面内で均一な膜厚分布を有する絶縁膜11(11b,11c,11d)により絶縁膜27が構成されるので、半導体ウエハ1の主面1aの面内で絶縁膜27の膜厚分布が均一になり、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで、図24に示されるように、絶縁膜27の膜厚を均一(同じ)にすることができる。
絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで、絶縁膜27の膜厚が均一(同じ)となるため、図25のようなサイドウォールスペーサ15形成のための絶縁膜27のエッチバック工程で、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで絶縁膜27のエッチング量を同じにすることができ、サイドウォールスペーサ15以外の絶縁膜27のエッチング残りが生じるのを防止することができる。また、サイドウォールスペーサ15形成のための絶縁膜27のエッチバック工程で、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで絶縁膜11のエッチング量を同じにすることができるので、オーバーエッチングを抑制でき、露出した半導体ウエハ1の基板領域(ここではp型ウエル3のうちのn+型半導体領域16を形成すべき領域)にダメージが与えられるのを防止することができる。従って、半導体装置の信頼性や性能を向上することができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
また、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで、絶縁膜27の膜厚が均一(同じ)であるため、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで、図25に示されるように、サイドウォールスペーサ15の厚みが均一(同じ)になる。このため、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで、隣り合うゲート電極8の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサ15の間隔は均一(同じ)になる。すなわち、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aにおける隣り合うゲート電極8の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサ15の間隔W3と、絶縁膜11の堆積膜厚が薄い領域1Bにおける隣り合うゲート電極8の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサ15の間隔W4とが、均一(同じ)になる(W3=W4)。従って、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで、隣り合うゲート電極8の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサ15の間隔W3,W4が均一(W3=W4)であることから、図26に示されるようにコンタクトホール23を形成した際に、コンタクトホール23の底部で露出するn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)の面積が均一(同じ)になる。これにより、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで、コンタクトホール23内のプラグ24とn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)の接続抵抗を均一(同じ)にすることができる。また、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで、コンタクトホール23内のプラグ24とn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)とを確実に接続することができ、接続不良の発生を防止することができる。従って、半導体装置の信頼性や性能を向上することができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
また、図13〜図15で説明した問題は、サイドウォールスペーサ15だけでなくオフセットスペーサ12形成の際にも生じ得るが、これも絶縁膜11aの堆積後にステップS1の処理を行うことで改善できる。従って、ステップS1の対象となる絶縁膜11は、ゲート電極8の側壁上に側壁絶縁膜(オフセットスペーサ12またはサイドウォールスペーサ15)を形成するための絶縁膜11a,11b,11c,11dである。また、絶縁膜11a,11b,11c,11dのうちの少なくとも1つの膜の堆積後にステップS1の処理を行えば、ステップS1を全く行わない場合に比べて膜厚分布を均一化することができるので有効であるが、各絶縁膜11a,11b,11c,11dの堆積を行う毎に、ステップS1の処理を行うことが、側壁絶縁膜を形成用の絶縁膜の膜厚分布を最も均一化できるので、より好ましい。また、各絶縁膜11a,11b,11c,11dの堆積後に行うステップS1の処理を、全膜について行わない場合は、絶縁膜11a,11b,11c,11dのうち、膜厚分布の不均一性が高い膜を堆積した後に、ステップS1の処理を行うことが好ましい。また、サイドウォールスペーサ15を積層膜ではなく単体膜により形成する場合は、その単体膜の堆積後にステップS1の処理を行えばよい。これらのことは、以下の実施の形態2以降についても、同様である。
また、図13〜図15で説明した問題は、絶縁膜11の膜厚分布の不均一さに敏感であり、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚の分布の変動量(半導体ウエハ1の主面1aの面内における絶縁膜11の堆積膜厚の最大値と最小値の差)が大きくなくとも、堆積膜厚に不均一性が残っていれば、図13〜図15で説明した問題が生じやすい。このため、図13〜図15で説明した問題を改善するために絶縁膜11の膜厚分布を均一化する処理を行う際に、エッチング液用ノズル36を単調に移動させるのではなく、本実施の形態のように、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚分布に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度を制御することが好ましい。これにより、絶縁膜11の堆積膜厚が半導体ウエハ1の主面1aで複雑な分布を有していても、ステップS1の処理後の絶縁膜11の膜厚分布の均一性を高めることができ、図13〜図15で説明した問題が生じるのを的確に防止することができる。
また、本実施の形態では、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から中心までに6箇所の位置P(1)〜P(6)を決め、半導体ウエハ1の主面1aを5つの区間RG(1)〜RG(5)に分けて各区間RG(1)〜RG(5)ごとにエッチング液用ノズル36の移動速度を制御する場合について説明したが、エッチング液用ノズル36の移動速度を制御するために半導体ウエハ1の主面1aを分ける区間数はこれ(5区間)に限定されない。これは、以下の実施の形態2以降についても同様である。半導体ウエハ1の主面1aの外周部から中心までを少なくとも2区間以上に分けて各区間ごとにエッチング液用ノズル36の移動速度を制御すれば、有効である。しかしながら、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から中心までを分ける区間RG(n)の数が少ないと、ステップS1の処理後の絶縁膜11の膜厚の半導体ウエハ1の主面1aにおける均一性が低下する可能性がある。このため、絶縁膜11の堆積時の膜厚分布が複雑であれば、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から中心までをより多くの区間(例えば本実施の形態のように5区間以上)に分けて各区間ごとにエッチング液用ノズル36の移動速度を制御することが好ましく、これにより、ステップS1の処理後の絶縁膜11の膜厚膜厚の半導体ウエハ1の主面1aにおける均一性の向上効果がより大きくなる。
(実施の形態2)
本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、上記実施の形態1のステップS1の処理の代わりに、以下のようなステップS1aの処理を行うこと以外は、上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではステップS1aの処理以外については、その説明を省略する。
本実施の形態においても、上記のように、半導体ウエハ1の主面1a上に絶縁膜11を堆積した後、半導体ウエハ1の主面上に堆積した絶縁膜11の膜厚分布を補正(均一化)する処理(以下ステップS1aと呼ぶ)を行う。
図27は、本実施の形態で行われるステップS1aの処理(半導体ウエハ1の主面上に堆積した絶縁膜11の膜厚分布を補正する処理)の説明図(断面図)であり、上記実施の形態1の図16に対応するものである。
本実施の形態においては、図27に示されるように、枚葉式のウェットエッチング装置31aを用いて絶縁膜11の一部をウェットエッチングすることにより、ステップS1aの絶縁膜11の膜厚分布を補正(均一化)する処理を行う。
図27に示されるように、本実施の形態で用いるウェットエッチング装置31aは、回転ステージ32とウエハチャック33とを有しており、回転ステージ32とウエハチャック33の構成および機能については、上記実施の形態1のウェットエッチング装置31と同様であるので、ここではその説明は省略する。
回転ステージ32の上方、ここではウエハチャック33によって回転ステージ32に固定された半導体ウエハ1の主面1aの中央部上方に、エッチング液用とリンス液とを兼用したノズル(エッチング液およびリンス液供給手段)34aが配置され、ノズル34aからエッチング液37またはリンス液35を半導体ウエハ1の主面1aに向かって吐出(噴出)し、半導体ウエハ1の主面1aにエッチング液37またはリンス液35を供給できるように構成されている。エッチング液37は、上記実施の形態1と同様に、半導体ウエハ1の主面1aに形成されている絶縁膜11をエッチング可能なエッチング液を用い、例えばフッ酸(HF)の水溶液などを用いることができる。ノズル34aから吐出されるエッチング液37の温度は、例えば、フッ酸であれば一般的な24℃程度とすることができる。また、ノズル34aから吐出されるエッチング液37の流量は、例えば、速やかにウエハ全面に行き渡らせる流量として2L/分程度とすることができる。ノズル34aから供給するリンス液35は、例えば純水を用いることができる。また、バルブ(図示せず)などにより、ノズル34aからのエッチング液37またはリンス液35の供給開始、供給停止および供給切り換えなどが行えるように(あるいは供給(吐出)量を調整できるように)構成されている。すなわち、ノズル34aは、上記実施の形態1のリンス液用ノズル34と同じ位置に配置されているが、上記実施の形態1では、リンス液用ノズル34からはリンス液35を供給していたのに対して、本実施の形態では、ノズル34aからはエッチング液37とリンス液35の両方を選択して供給可能である。
また、回転ステージ32の上方に、リンス液用ノズル(リンス液供給手段)36aが配置され、リンス液用ノズル36aからリンス液(洗浄液、すすぎ液)35を半導体ウエハ1の主面1aに向かって吐出(噴出、供給)し、半導体ウエハ1の主面1aにリンス液35を供給できるように構成されている。リンス液用ノズル36aから吐出するリンス液35は、例えば純水を用いることができる。リンス液用ノズル36aから吐出されて半導体ウエハ1の主面1a上に供給されるリンス液35の流量は、例えば、ウエハチャック33からの跳ね返りを抑制できる流量として0.2L/分程度とすることができる。また、バルブ(図示せず)などにより、リンス液用ノズル36aからのリンス液35の供給開始および停止の切換えができるように(あるいはリンス液35の供給(吐出)量を調整できるように)構成されている。
ノズル34aおよびリンス液用ノズル36aとそれらにエッチング液37およびリンス液35を供給する配管(図示せず)は回転ステージ32には固定されておらず、回転ステージ32が回転しても、ノズル34aおよびリンス液用ノズル36aは回転しないように構成されている。
リンス液用ノズル36aは、上記実施の形態1のエッチング液用ノズル36と同様に、回転ステージ32の上方において、半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向(回転ステージ32およびそこに保持された半導体ウエハ1の主面1aに平行な方向)に移動可能に構成されている。リンス液用ノズル36aの移動速度は、所望の速度に制御可能に構成されている。すなわち、リンス液用ノズル36aは、上記実施の形態1のエッチング液ノズル36と同じように移動可能に構成されているが、上記実施の形態1では、エッチング液用ノズル36からエッチング液37を供給していたのに対して、本実施の形態では、リンス液用ノズル36aからリンス液35を供給する。
次に、ステップS1aの具体的な手順について、説明する。
まず、主面1aに絶縁膜11を堆積した半導体ウエハ1を、図27に示されるように、ウエハチャック33によってエッチング装置31aの回転ステージ32に保持する。それから、回転ステージ32を回転させることによって、回転ステージ32に保持された半導体ウエハ1を回転させる。この際、回転ステージ32の回転の中心が半導体ウエハ1の主面1aの中心位置とほぼ一致させることで、半導体ウエハ1が主面1aの中心位置を回転中心にして回転するようにする。半導体ウエハ1の回転速度は、例えば200rpm(200回転/分)程度とすることができる。
半導体ウエハ1が回転した状態で、回転する半導体ウエハ1の主面1aにノズル34aから絶縁膜11をエッチングするためのエッチング液37を供給した後、回転する半導体ウエハ1の主面1aの上方でリンス液用ノズル36aを半導体ウエハ1の主面1aの外周部側から中心部側に移動させながら、リンス液用ノズル36aから半導体ウエハ1の主面1aに絶縁膜11のエッチングを停止するためのリンス液35を供給する。
より具体的には、まず、半導体ウエハ1が回転した状態で、半導体ウエハ1の主面1aの中央部上方に位置するノズル34aから、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部にエッチング液37を供給する。半導体ウエハ1は回転しているので、ノズル34aから半導体ウエハ1の主面1aの中心部に供給されたエッチング液37は、半導体ウエハ1の主面1aの中心部から外周部側に移動して、半導体ウエハ1の主面1aの全面にエッチング液37が行き渡り、半導体ウエハ1の主面1aの全面で、エッチング液37による絶縁膜11のエッチングが開始される。
所定の時間、ノズル34aから、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部にエッチング液37を供給した後、ノズル34aから半導体ウエハ1の主面1aへのエッチング液37の供給を停止する。それから、半導体ウエハ1が回転した状態で、リンス液用ノズル36aからのリンス液35の吐出を開始し、リンス液35を吐出するリンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向(回転ステージ32およびそこに保持された半導体ウエハ1の主面1aに平行な方向)に移動させる。これにより、半導体ウエハ1の主面1aにリンス液用ノズル36aからリンス液35が供給され、半導体ウエハ1の主面1aに供給されたリンス液35により、半導体ウエハ1の主面1aのリンス処理(すすぎ処理)が行われ、半導体ウエハ1の主面1aからエッチング液37がリンス液35とともに除去され、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11のエッチングが停止する。なお、リンス液用ノズル36aが、半導体ウエハ1の主面1aにリンス液35を供給しながら移動するので、半導体ウエハ1の主面1aにおけるリンス液35の供給される位置が、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から半導体ウエハ1の主面1aの中心部に移動することになる。
リンス液用ノズル36aが、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置に到達し、リンス液用ノズル36aから半導体ウエハ1の主面1aへリンス液35が供給される位置が、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から半導体ウエハ1の主面1aの中心部まで移動した後、リンス液用ノズル36aから半導体ウエハ1の主面1aへのリンス液35の供給を停止する。それから、半導体ウエハ1の主面1aの中央部上方に位置するノズル34aから、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部にリンス液35を供給する。
ノズル34aから半導体ウエハ1の主面1aへリンス液35を供給する際には、リンス液用ノズル36aが、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方に位置していると、リンス液用ノズル36aが邪魔になる可能性がある。このため、リンス液用ノズル36aからのリンス液35の供給を停止した後、リンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置から外周部側に速やかに移動させてから、ノズル34aから半導体ウエハ1の主面1aへのリンス液35の供給を開始すれば、より好ましい。
リンス処理の後、ノズル34aからのリンス液35の吐出が停止され、半導体ウエハ1の主面1aへのリンス液35の供給が終了する。そして、回転ステージ32の回転速度を上昇させることによって半導体ウエハ1の回転速度を上昇させて、半導体ウエハ1を高速回転させ、高速回転による遠心力を利用して半導体ウエハ1の主面1a上に残留する液体または水分(リンス液)を振り切って、半導体ウエハ1を乾燥させる。所定の時間、高速回転させて半導体ウエハ1を乾燥させた後、半導体ウエハ1の回転を停止させる(回転ステージ32の回転を停止させる)。
その後、半導体ウエハ1は、次の工程(絶縁膜11のエッチバックによるサイドウォールスペーサ15の形成工程)に送られるか、あるいはその前に一旦、収容ケースなどに収容される。
上記のように、半導体ウエハ1が回転した状態で、半導体ウエハ1の主面1aの中央部上方に位置するノズル34aから、半導体ウエハ1の主面1aの中心部にエッチング液37を供給することで、半導体ウエハ1の主面1aの全面にエッチング液37を行き渡らせ、このエッチング液37により、半導体ウエハ1の主面1aに形成されていた絶縁膜11のエッチングを開始することができる。半導体ウエハ1が回転しているので、半導体ウエハ1の主面1aの中心部に供給したエッチング液37は、半導体ウエハ1の主面1aの全面に速やかに行き渡るので、半導体ウエハ1の主面1aの各位置で、ほぼ同時にエッチング液37による絶縁膜11のエッチングが開始される。
半導体ウエハ1の回転速度が速すぎると、高速回転による遠心力によって半導体ウエハ1の主面1a上からエッチング液37が振り切られて完全に除去されるが、半導体ウエハ1の主面1aからエッチング液37が完全に除去されずに、半導体ウエハ1の主面1aの全面に所定の量のエッチング液37が残留できる程度に、半導体ウエハ1の回転速度を制御する。例えば、半導体ウエハ1の回転速度を200rpm程度とする。これにより、ノズル34aから半導体ウエハ1の主面1aへのエッチング液37の供給を停止した後も、半導体ウエハ1の主面1aに残留するエッチング液37により、半導体ウエハ1の主面1aに形成されていた絶縁膜11のエッチングが進行する。
ノズル34aから半導体ウエハ1の主面1aへのエッチング液37の供給を停止した後、上記のように、半導体ウエハ1が回転した状態で、リンス液用ノズル36aからリンス液35を吐出させながら、リンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向に移動させる。半導体ウエハ1は回転しているので、リンス液用ノズル36aから半導体ウエハ1の主面1a上に供給されたリンス液35は、半導体ウエハ1の主面1a上を外周部側に移動する。このため、半導体ウエハ1の主面1aにおいて、リンス液用ノズル36aからリンス液35が供給された位置から外側(外周側)では、リンス液35が行き渡った(存在した)状態となり、リンス処理(すすぎ処理)が行われ、エッチング液37がリンス液35とともに除去されて、絶縁膜11のエッチング(ウェットエッチング)が停止する。
半導体ウエハ1の主面1aの各位置においては、ノズル34aから供給されたエッチング液37によってほぼ同時に絶縁膜11のエッチングが開始されるが、リンス液35を吐出するリンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向に移動するので、リンス液35によるリンス処理の開始時間は、半導体ウエハ1の主面1aの各位置で異なる。半導体ウエハ1の主面1aの各位置では、ノズル34aから供給されたエッチング液37が触れて(接液して)から、リンス液用ノズル36aから供給されたリンス液35に触れる(接液する)まで、絶縁膜11のエッチングが進行する。このため、リンス液用ノズル36aは、半導体ウエハ1の主面1a上を外周部側から中心部側に1回移動させれば良く、ステップS1aの処理の動作を単純化でき、またステップS1aに要する時間を短縮できる。
ステップS1aにおける半導体ウエハ1の主面の各位置のエッチング時間は、ノズル34aからのエッチング液37の供給を開始してから、各位置上をリンス液用ノズル36aが通過するまでの時間に対応することになる。従って、本実施の形態では、リンス液用ノズル36aの移動速度を、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布に応じて制御することで、半導体ウエハ1の主面1aの各位置でのエッチング時間を、絶縁膜11の膜厚分布の均一化のために主面1aの各位置で絶縁膜11をエッチングすべき量に対応させ、それによって、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚分布を、位置によらず、均一化することができる。
本実施の形態では、半導体ウエハ1の主面1aの中心部側では、半導体ウエハ1の主面1aの外周部側に比べて、リンス液35の供給が開始されるまでの時間が長くなり、エッチング液37によるエッチングが継続している時間(すなわちエッチング時間)が長くなる。このため、半導体ウエハ1の主面1aの中心部側では、半導体ウエハ1の主面1aの外周部側に比べて、エッチング液37による絶縁膜11のエッチング量が大きくなる。従って、本実施の形態のステップS1aは、半導体ウエハ1の主面1aの外周部側に比べて、半導体ウエハ1の主面1aの中心部側で、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い場合に適用することができ、ステップS1aの処理を行うことにより、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を均一化させることができる。なお、この場合は、半導体ウエハ1の主面1aの外周部近傍が上記実施の形態1の絶縁膜11の堆積膜厚が薄い領域1Bに対応し、半導体ウエハ1の主面1aの中心部近傍が上記実施の形態1の絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aに対応する。
半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布が単純で、絶縁膜11の堆積膜厚の変化量が半導体ウエハ1の主面1aの外周部からの距離に比例している場合であれば、リンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ等速で移動させればよい。これにより、半導体ウエハ1の主面1aの各位置における絶縁膜11のエッチング時間を、半導体ウエハ1の主面1aの外周部からの距離に比例させ、それによって、半導体ウエハ1の主面1aの各位置における絶縁膜11のエッチング量を、半導体ウエハ1の主面1aの外周部からの距離に比例させることができる。
しかしながら、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布が単純ではなく、絶縁膜11の堆積膜厚の変化量が半導体ウエハ1の主面1aの外周部からの距離に比例していない場合には、リンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ等速移動させることでは、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を十分に均一化させることはできない。
このため、リンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ移動させるが、本実施の形態では、リンス液用ノズル36aの移動速度は等速ではなく、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布に応じて、リンス液用ノズル36aの移動速度を制御する(変化させる)。
次に、リンス液用ノズル36aの移動速度の制御について、より詳細に説明する。
図28は、半導体ウエハ1の主面1aに絶縁膜11を堆積した段階(ステップS1aの処理前)の絶縁膜11の膜厚(堆積膜厚)分布を示すグラフである。図29は、ステップS1aにおけるリンス液用ノズル36aの移動位置を示すグラフである。図30は、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率とステップS1aにおけるリンス液用ノズル36aの移動速度を示すグラフである。図31は、ステップS1aにおける絶縁膜11のエッチング量を示すグラフである。図32は、ステップS1aを行った後の絶縁膜11の膜厚分布を示すグラフである。なお、図28〜図32は、それぞれ、上記実施の形態1の図18〜図22のグラフに対応するものであり、これらのグラフの縦軸および横軸も、任意単位(arbitrary unit)で示してある。
本実施の形態では、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率(後述するCr(n)に対応)に応じて、リンス液用ノズル36aの移動速度(後述するVr(n)に対応)を制御(調整)する。すなわち、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率(後述するCr(n)に対応)が大きい領域では、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を遅くし、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率(後述するCr(n)に対応)が小さい領域では、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を速くする制御を行う。
具体的には、上記実施の形態1と同様に、半導体ウエハ1の主面1aの外周部の位置P(1)から中心部の位置P(6)まで、半導体ウエハ1の主面1aの半径方向に順に配列した例えば6箇所の位置P(1)〜P(6)を決める。
半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚の分布は図28に示されており、各位置P(1)〜P(6)での絶縁膜11の堆積膜厚がt(1)〜t(6)であったとする。但し、上記実施の形態1では、t(n+1)≦t(n)であったが、本実施の形態では、t(n+1)≧t(n)である。エッチング液37による絶縁膜11のエッチングレートはErであるとする。
ステップS1aでは、リンス液用ノズル36aの移動位置を時間の経過とともに図29のような位置にあるように制御する。なお、図29のグラフの縦軸は、時間(時刻)に対応するが、縦軸の下方に向かう方向が、時間が経過する方向である。
具体的には、リンス液用ノズル36aが区間RG(n)を通過するのに要する時間、すなわち位置P(n)上から位置P(n+1)上までを通過するのに要する時間をTr(n+1)とすると、
Tr(n+1)=(t(n+1)−t(n))/Er、但しn=1〜5 ・・・(式11)
となるように、リンス液用ノズル36aの移動速度を制御する。
また、ノズル34aから半導体ウエハ1の主面1aの中心部の位置P(6)へエッチング液37を供給してから、リンス液用ノズル36aから半導体ウエハ1の主面1aの外周部の位置P(1)へのリンス液35の供給を開始するまでの時間をTr(1)とすると、
Tr(1)=tr0/Er ・・・(式12)
となるように、ノズル34aからのエッチング液37供給開始とリンス液用ノズル36aからのリンス液35の供給開始のタイミングを制御する。なお、式12中のtr0は、外周部の位置P(1)での絶縁膜11のエッチング量(エッチング厚み)に対応する。
ノズル34aから半導体ウエハ1の中心部の位置P(6)へエッチング液37を供給してから、リンス液用ノズル36aが半導体ウエハ1の主面1aの中心部の位置P(6)上に移動して位置P(6)へリンス液35を供給するまでの時間、すなわちTr(1)+Tr(2)+Tr(3)+Tr(4)+Tr(5)+Tr(6)は、絶縁膜11の膜厚分布やエッチング液37の種類や濃度にもよるが、例えば、50%HF:H2O=1:100で熱酸化膜換算で1.5nm程度のエッチング量を狙うのであれば30秒間、例えば、50%HF:H2O=1:20で熱酸化膜換算で5nm程度のエッチング量を狙うのであれば20秒間、程度とすることができる。
位置P(n)から位置P(n+1)までの距離をL(n)とすれば、区間RG(n)を移動する間、すなわち位置P(n)から位置P(n+1)までを移動する間のリンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)は、
Vr(n)=L(n)/Tr(n+1) ・・・(式13)
で表されるので、上記式13に式11を代入して、
Vr(n)=Er×L(n)/(t(n+1)−t(n)) ・・・(式14)
となる。
ここで、位置P(n)から位置P(n+1)までの間の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率(すなわち区間RG(n)の両端間での絶縁膜11の堆積膜厚の差)をCr(n)とすると、
Cr(n)=(t(n+1)−t(n))/L(n) ・・・(式15)
で表されるので、式14は、
Vr(n)=Er/Cr(n) ・・・(式16)
で表される。
なお、式15からも分かるように、半導体ウエハ1主面1aにおいて、外周側の位置P(n)から中心部側の位置P(n+1)に向かって、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)が厚くなる場合を、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が正であるものとし、本実施の形態は、t(n+1)≧t(n)となる場合に適用すれば好適であり、この場合、Cr(n)≧0となる。従って、上記実施の形態1の変化率C(n)の正負を逆にしたものが、本実施の形態の変化率Cr(n)に対応する(C(n)=−Cr(n))。
従って、本実施の形態において、半導体ウエハ1の主面1aの半径方向における絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)は、式15からも分かるように、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から中心に向かう方向での単位長さ当たりの絶縁膜11の堆積膜厚の増加率(増加量)に対応する。
本実施の形態では、位置P(1)〜P(6)の各区間でのリンス液用ノズル36aの移動速度を、式16を満たすような移動速度Vr(n)に制御する。図30のグラフには、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が点線で示され、ステップS1aにおけるリンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)が実線で示されている。式16や図30からも分かるように、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が大きい領域では、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を遅く(小さく)し、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が小さい領域では、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を速く(大きく)する。このようにして、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)に応じて、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を制御(調整)する。また、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)がゼロに近い領域(絶縁膜11の堆積膜厚がほぼ均一な領域)では、式16のVr(n)が、エッチング装置31aの可能な範囲を超えしまう場合があるが、この領域では、エッチング装置31aの可能な範囲で、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を速くすればよい。また、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が負となる(Cr(n)<0)領域があれば、そこでも、エッチング装置31aの可能な範囲で、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を速くする。
位置P(1)〜P(6)がエッチング液37に始めて触れるのは、ノズル34aから半導体ウエハ1の主面1aにエッチング液37の供給を開始したときであり、それによって、位置P(1)〜P(6)での絶縁膜11のエッチング液37によるエッチングが開始される。エッチング開始後、位置P(n)がリンス液35に始めて触れるのは、位置P(n)上にリンス液35を吐出するリンス液用ノズル36aがきたときであり、それによって、位置P(n)でのリンス液35によるリンス処理が始まってエッチング液37によるエッチングが停止される。位置P(n)上をリンス液用ノズル36aが通過した後は、リンス液用ノズル36aから供給されたリンス液35が位置P(n)上を通過するので、位置P(n)でのリンス処理が継続される。従って、位置P(n)がエッチング液37に触れている時間、すなわち位置P(n)における絶縁膜11のエッチング時間ETr(n)は、図33に示されるような式17で表される。また、図29のグラフの斜線で示される領域が、半導体ウエハ1の主面1aの各位置におけるエッチング時間に対応する。
図33の式17に上記式11および式12を代入すると、位置P(n)における絶縁膜11のエッチング時間ET(n)は、
ET(n)=(t(n)−t(1)+tr0)/Er
で表される。位置P(n)における絶縁膜11のエッチング量(エッチング厚み)EWr(n)は、エッチング時間ET(n)およびエッチングレートErに比例し、両者の積(すなわちETr(n)×Er)となるので、
EWr(n)=t(n)−t(1)+tr0
となる。
なお、半導体ウエハ1の主面1aの各位置におけるステップS1a中の絶縁膜11のエッチング量(EWr(n))をグラフ化すると、図31のようになる。
従って、ステップS1aの後の位置P(n)における絶縁膜11の膜厚ta(n)は、
ta(n)=t(n)−EWr(n)=t(6)−tr0
となり、ステップS1aの処理の後の半導体ウエハ1の主面1aの絶縁膜11の膜厚(残存膜厚)は、位置によらず一定(t(6)−t0)となる。すなわち、ステップS1aの後の各位置P(1)〜P(6)における絶縁膜11の膜厚ta(1)〜ta(6)は、
ta(1)=ta(2)=ta(3)=ta(4)=ta(5)=ta(6)=t(6)−t0
と均一になる。
なお、ステップS1aを行った後の半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚分布をグラフ化すると、図32のようになる。
上記式16から分かるように、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が一定の場合、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)も一定にすればよいが、実際の半導体ウエハ1の主面1aにおいて、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)は一定ではなく、例えば図28や図30のグラフに示されるように、半導体ウエハ1の主面1aの中心部近傍(例えば区間RG(5))よりも外周部近傍(例えば区間RG(1))で、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が大きくなる(Cr(1)>Cr(5))。このため、半導体ウエハ1の主面1aの外周部近傍(例えば区間RG(1))では、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を遅くし、半導体ウエハ1の主面1aの中心部近傍(例えば区間RG(5))では、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を速くする(Vr(1)<Vr(5))。このため、半導体ウエハ1の外周部側と中心部側とで、リンス液用ノズル36aの移動速度が異なることになる。
このように、本実施の形態では、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)に応じて、リンス液用ノズル36aの移動速度を制御し、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が大きい領域では、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を遅くし、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が小さい領域では、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を速くする。これにより、図32に示されるように、ステップS1aの後の半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚(ta(n))を均一化することができる。
また、本実施の形態では、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)ではなく、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)に応じて、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を制御している。このため、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)が薄い領域で、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を遅くし、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)が厚い領域で、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を速くするという制御を行うのではない。本実施の形態では、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)が厚いか薄いかに関わらず、導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が小さければ、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を速くし、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が大きければ、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を遅くする制御を行うものである。
本実施の形態は、半導体ウエハ1の主面1aの絶縁膜11の堆積膜厚(t(n))の分布が、図28のグラフのように、半導体ウエハ1の主面1aの外周部(位置P(1))で最も薄く、半導体ウエハ1の主面1aの中心部(位置P(6))に近づくにつれて絶縁膜11の堆積膜厚(t(n))が厚くなるような場合(t(n+1)≧t(n)となる場合)に適用することができる。このような絶縁膜11の堆積膜厚分布は、枚葉式の成膜装置(枚葉式のCVD装置など)を用いて絶縁膜11を半導体ウエハ1上に堆積した場合に、生じ易い。従って、枚葉式の成膜装置(枚葉式のCVD装置など)を用いて絶縁膜11を半導体ウエハ1上に堆積した場合に、本実施の形態を適用すれば、より効果が大きい。
このように、本実施の形態では、エッチング液37による絶縁膜11のエッチングを開始した後、リンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ移動させ、リンス液用ノズル36aから供給したリンス液35によって絶縁膜11のエッチングを停止させる。これにより、エッチング液37によるエッチング時間を、半導体ウエハ1の主面1aの外周部で短くし、半導体ウエハ1の主面1aの中心部側に近づくほど長くし、それによって、絶縁膜11のエッチング量(エッチング厚み)を、半導体ウエハ1の主面1aの外周部で少なく(小さく)し、半導体ウエハ1の主面1aの中心部側に近づくほど多く(大きく)することができる。このため、半導体ウエハ1の主面1aの外周部で最も薄く、半導体ウエハ1の主面1aの中心部に近づくにつれて厚くなるような堆積膜厚分布の絶縁膜11の膜厚を、均一化することができる。
しかしながら、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布が単純ではなく、絶縁膜11の堆積膜厚の変化量が半導体ウエハ1の主面1aの外周部からの距離に比例していない場合には、リンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ等速移動させることでは、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を十分に均一化させることはできず、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚の分布に不均一性が残ってしまう。
このため、本実施の形態では、リンス液用ノズル36aの移動速度は等速ではなく、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布に応じて、リンス液用ノズル36aの移動速度を制御する(変化させる)。具体的には、上記のように、絶縁膜11の堆積膜厚t(n)ではなく、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)に応じて、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を制御する。すなわち、導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が小さければ、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を速くし、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が大きければ、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を遅くする制御を行う。これにより、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布が単純ではなく、絶縁膜11の堆積膜厚の変化量が半導体ウエハ1の主面1aの外周部からの距離に比例していない場合であっても、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を十分に均一化させることができ、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚の分布の不均一性を十分に除去することができる。
本実施の形態においても、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布が不均一であっても、ステップS1aの処理を行うことにより、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を十分に均一化させることができるので、上記実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができる。例えば、サイドウォールスペーサ15形成のための絶縁膜27のエッチバック工程で、サイドウォールスペーサ15以外の絶縁膜27のエッチング残りが生じるのを防止することができ、また、オーバーエッチングが生じるのを抑制して、露出した半導体ウエハ1の基板領域(ここではp型ウエル3のうちのn+型半導体領域16を形成すべき領域)にダメージが与えられるのを防止することができる。また、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで、サイドウォールスペーサ15の厚みを均一(同じ)にできるので、コンタクトホール23内のプラグ24とn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)の接続抵抗を均一(同じ)にすることができ、また、コンタクトホール23内のプラグ24とn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)との接続不良の発生を防止することができる。従って、半導体装置の信頼性や性能を向上することができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
また、図13〜図15で説明した問題は、絶縁膜11の膜厚分布の不均一さに敏感であり、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚の分布の変動量が大きくなくとも、堆積膜厚に不均一性が残っていれば、図13〜図15で説明した問題が生じやすい。このため、図13〜図15で説明した問題を改善するために絶縁膜11の膜厚分布を均一化する処理を行う際に、リンス液用ノズル36aを単調に移動させるのではなく、本実施の形態のように、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚分布に応じて、リンス液用ノズル36aの移動速度を制御することが好ましい。これにより、絶縁膜11の堆積膜厚が半導体ウエハ1の主面1aで複雑な分布を有していても、ステップS1aの処理後の絶縁膜11の膜厚分布の均一性を高めることができ、図13〜図15で説明した問題が生じるのを的確に防止することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、上記実施の形態1のステップS1の処理の代わりに、以下のようなステップS1bの処理を行うこと以外は、上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではステップS1bの処理以外については、その説明を省略する。
本実施の形態においても、上記のように、半導体ウエハ1の主面1a上に絶縁膜11を堆積した後、半導体ウエハ1の主面上に堆積した絶縁膜11の膜厚分布を補正(均一化)する処理(以下ステップS1bと呼ぶ)を行う。
図34は、本実施の形態で行われるステップS1bの処理(半導体ウエハ1の主面上に堆積した絶縁膜11の膜厚分布を補正する処理)の説明図(断面図)であり、上記実施の形態1,2の図16,図27に対応するものである。図35は、半導体ウエハ1の主面1aに絶縁膜11を堆積した段階(ステップS1bの処理前)の絶縁膜11の膜厚(堆積膜厚)分布を示すグラフである。図36は、ステップS1bにおけるエッチング液用ノズル36とリンス液用ノズル36aの移動位置を示すグラフである。図37は、ステップS1bにおけるエッチング液用ノズル36の移動速度とリンス液用ノズル36aの移動速度を示すグラフである。図38は、ステップS1bにおける絶縁膜11のエッチング量を示すグラフである。図39は、ステップS1bを行った後の絶縁膜11の膜厚分布を示すグラフである。なお、図35〜図39は、それぞれ、上記実施の形態1の図18〜図22のグラフにほぼ対応するものであり、これらのグラフの縦軸および横軸も、任意単位(arbitrary unit)で示してある。但し、図37では、ステップS1bにおけるエッチング液用ノズル36の移動速度が実線で示され、ステップS1bにおけるリンス液用ノズル36aの移動速度が一点差線で示されている。
本実施の形態においては、図34に示されるように、枚葉式のウェットエッチング装置31bを用いて絶縁膜11の一部(上層部分)をウェットエッチングすることにより、ステップS1aの絶縁膜11の膜厚分布を補正(均一化)する処理を行う。
図34に示されるように、本実施の形態で用いるウェットエッチング装置31bは、回転ステージ32とウエハチャック33とを有しており、回転ステージ32とウエハチャック33の構成および機能については、上記実施の形態1のウェットエッチング装置31と同様であるので、ここではその説明は省略する。
本実施の形態で用いるウェットエッチング装置31bにおいても、上記実施の形態1と同様に、回転ステージ32の上方、ここではウエハチャック33によって回転ステージ32に固定された半導体ウエハ1の主面1aの中央部上方に、リンス液用ノズル34が配置され、リンス液用ノズル34からリンス液35を半導体ウエハ1の主面1aに向かって吐出し、半導体ウエハ1の主面1aにリンス液35を供給できるように構成されている。また、本実施の形態で用いるウェットエッチング装置31bにおいても、上記実施の形態1と同様に、回転ステージ32の上方に、エッチング液用ノズル36が配置され、エッチング液用ノズル36からエッチング液37を半導体ウエハ1の主面1aに向かって吐出し、半導体ウエハ1の主面1aにエッチング液37を供給できるように構成されている。
また、本実施の形態で用いるウェットエッチング装置31bにおいては、更に、上記実施の形態2と同様のリンス液用ノズル36aが回転ステージ32の上方に配置され、リンス液用ノズル36aからリンス液35を半導体ウエハ1の主面1aに向かって吐出し、半導体ウエハ1の主面1aにリンス液35を供給できるように構成されている。リンス液用ノズル34、リンス液35、エッチング液用ノズル36およびエッチング液37の構成は、上記実施の形態1とほぼ同様であり、リンス液用ノズル36aの構成は、上記実施の形態2とほぼ同様である。従って、エッチング液用ノズル36およびリンス液用ノズル36aは、それぞれ、回転ステージ32の上方において、半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向(回転ステージ32およびそこに保持された半導体ウエハ1の主面1aに平行な方向)に独立に移動可能に構成されている。エッチング液用ノズル36およびリンス液用ノズル36aの移動速度は、それぞれ所望の速度に制御可能に構成されている。また、エッチング液用ノズル36とリンス液用ノズル36aは、いずれも半導体ウエハ1の主面1a上を外周部から中心部に移動するよう構成されているが、図34に示されるように、互いに異なる方向の外周部から中心部に移動するようにしておくことが好ましい。
次に、ステップS1bの具体的な手順について、説明する。
まず、主面1aに絶縁膜11を堆積した半導体ウエハ1を、図34に示されるように、ウエハチャック33によってエッチング装置31bの回転ステージ32に保持する。それから、回転ステージ32を回転させることによって、回転ステージ32に保持された半導体ウエハ1を回転させる。この際、回転ステージ32の回転の中心が半導体ウエハ1の主面1aの中心位置とほぼ一致させることで、半導体ウエハ1が主面1aの中心位置を回転中心にして回転するようにする。半導体ウエハ1の回転速度は、例えば200rpm(200回転/分)程度とすることができる。
半導体ウエハ1が回転した状態で、エッチング液用ノズル36からのエッチング液37の吐出を開始し、エッチング液37を吐出するエッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向(回転ステージ32およびそこに保持された半導体ウエハ1の主面1aに平行な方向)に移動させる。これにより、半導体ウエハ1の主面1aにエッチング液用ノズル36からエッチング液37が供給され、半導体ウエハ1の主面1aに供給されたエッチング液37により、半導体ウエハ1の主面1aに形成されていた絶縁膜11がエッチングされる。この際、エッチング液用ノズル36が、半導体ウエハ1の主面1aにエッチング液37を供給しながら移動するので、半導体ウエハ1の主面1aにおけるエッチング液37の供給される位置が、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から半導体ウエハ1の主面1aの中心部に移動することになる。
エッチング液用ノズル36が、半導体ウエハ1の主面1aにエッチング液37を供給しながらの移動を開始してから所定の時間経過した後、半導体ウエハ1が回転した状態で、リンス液用ノズル36aからのリンス液35の吐出を開始し、リンス液35を吐出するリンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向に移動させる。これにより、半導体ウエハ1の主面1aにリンス液用ノズル36aからリンス液35が供給され、半導体ウエハ1の主面1aに供給されたリンス液35により、半導体ウエハ1の主面1aのリンス処理(すすぎ処理)が行われ、半導体ウエハ1の主面1aからエッチング液37がリンス液35とともに除去され、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11のエッチングが停止する。なお、リンス液用ノズル36aが、半導体ウエハ1の主面1aにリンス液35を供給しながら移動するので、半導体ウエハ1の主面1aにおけるリンス液35の供給される位置が、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から半導体ウエハ1の主面1aの中心部に移動することになる。
エッチング液用ノズル36が、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置に到達し、エッチング液用ノズル36から半導体ウエハ1の主面1aへエッチング液37が供給される位置が、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から半導体ウエハ1の主面1aの中心部まで移動した後、エッチング液用ノズル36から半導体ウエハ1の主面1aへのエッチング液37の供給を停止する。その後、リンス液用ノズル36aが、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置に到達し、リンス液用ノズル36aから半導体ウエハ1の主面1aへリンス液35が供給される位置が、半導体ウエハ1の主面1aの外周部から半導体ウエハ1の主面1aの中心部まで移動した後、リンス液用ノズル36aから半導体ウエハ1の主面1aへのリンス液35の供給を停止する。それから、半導体ウエハ1の主面1aの中央部上方に位置するリンス液用ノズル34から、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部にリンス液35を供給する。
リンス液用ノズル34から半導体ウエハ1の主面1aへリンス液35を供給する際には、エッチング液用ノズル36およびリンス液用ノズル36aが、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方に位置していると、リンス液用ノズル36aが邪魔になる可能性がある。このため、エッチング液用ノズル36からのエッチング液37の供給を停止した後、エッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置から外周部側に速やかに移動させる。また、リンス液用ノズル36aからのリンス液35の供給を停止した後、リンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置から外周部側に速やかに移動させる。その後、リンス液用ノズル34から半導体ウエハ1の主面1aへリンス液35を供給すればよい。
リンス処理の後、リンス液用ノズル34からのリンス液35の吐出が停止され、半導体ウエハ1の主面1aへのリンス液35の供給が終了する。そして、回転ステージ32の回転速度を上昇させることによって半導体ウエハ1の回転速度を上昇させて、半導体ウエハ1を高速回転させ、高速回転による遠心力を利用して半導体ウエハ1の主面1a上に残留する液体または水分(リンス液35)を振り切って、半導体ウエハ1を乾燥させる。所定の時間、高速回転させて半導体ウエハ1を乾燥させた後、半導体ウエハ1の回転を停止させる(回転ステージ32の回転を停止させる)。
その後、半導体ウエハ1は、次の工程(絶縁膜11のエッチバックによるサイドウォールスペーサ15の形成工程)に送られるか、あるいはその前に一旦、収容ケースなどに収容される。
上記のように、半導体ウエハ1が回転した状態で、エッチング液用ノズル36からエッチング液37を吐出させながら、エッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向に移動させる。半導体ウエハ1は回転しているので、エッチング液用ノズル36から半導体ウエハ1の主面1a上に供給されたエッチング液37は、半導体ウエハ1の主面1a上を外周部側に移動する。このため、半導体ウエハ1の主面1aにおいて、エッチング液用ノズル36からエッチング液37が供給された位置から外側(外周側)には、エッチング液37が行き渡った(存在した)状態となり、このエッチング液37により、半導体ウエハ1の主面1aに形成されている絶縁膜11がエッチング(ウェットエッチング)される。
エッチング液用ノズル36から供給されたエッチング液37による絶縁膜11のエッチングが開始した後、上記のように、半導体ウエハ1が回転した状態で、リンス液用ノズル36aからリンス液35を吐出させながら、リンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向に移動させる。半導体ウエハ1は回転しているので、リンス液用ノズル36aから半導体ウエハ1の主面1a上に供給されたリンス液35は、半導体ウエハ1の主面1a上を外周部側に移動する。このため、半導体ウエハ1の主面1aにおいて、リンス液用ノズル36aからリンス液35が供給された位置から外側(外周側)では、リンス液35が行き渡った(存在した)状態となり、リンス処理(すすぎ処理)が行われ、エッチング液37がリンス液35とともに除去されて、絶縁膜11のエッチング(ウェットエッチング)が停止する。
本実施の形態では、上記実施の形態1と同様に、エッチング液37を吐出するエッチング液用ノズル36を、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向に移動するので、エッチング液37によるエッチング処理の開始時間は、半導体ウエハ1の主面1aの各位置で異なる。すなわち、半導体ウエハ1の主面1aの各位置において、エッチング液用ノズル36から供給されたエッチング液37によって時間差を持って絶縁膜11のエッチングが開始され、半導体ウエハ1の主面1aの各位置での絶縁膜11のエッチング開始時間は、その位置の上をエッチング液37を吐出するエッチング液用ノズル36が通過してエッチング液用ノズル36から供給されたエッチング液37がその位置に触れた瞬間である。更に、本実施の形態では、上記実施の形態2と同様に、リンス液35を吐出するリンス液用ノズル36aを、回転する半導体ウエハ1の主面1aの外周部の上方の位置から半導体ウエハ1の主面1aの中心部の上方の位置へ水平方向に移動するので、リンス液35によるリンス処理の開始時間は、半導体ウエハ1の主面1aの各位置で異なる。すなわち、半導体ウエハ1の主面1aの各位置において、リンス液用ノズル36aから供給されたリンス液35によって時間差を持って絶縁膜11のエッチングが停止され、半導体ウエハ1の主面1aの各位置での絶縁膜11のエッチング停止時間は、その位置の上をリンス液35を吐出するリンス液用ノズル36aが通過してリンス液用ノズル36aから供給されたリンス液35がその位置に触れた瞬間である。
このため、半導体ウエハ1の主面1aの各位置では、エッチング液用ノズル36から供給されるエッチング液37に触れて(接液して)から、リンス液用ノズル36aから供給されるリンス液35が触れる(接液する)まで、絶縁膜11のエッチングが進行する。従って、エッチング液用ノズル36とリンス液用ノズル36aは、半導体ウエハ1の主面1a上を外周部側から中心部側に1回移動させれば良く、ステップS1bの処理の動作を単純化でき、またステップS1bに要する時間を短縮できる。
ステップS1bにおける半導体ウエハ1の主面の各位置のエッチング時間は、各位置上をエッチング液用ノズル36が通過してから、各位置上をリンス液用ノズル36aが通過するまでの時間に対応することになる。従って、本実施の形態では、エッチング液用ノズル36の移動速度とリンス液用ノズル36aの移動速度とを、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布に応じて制御することで、半導体ウエハ1の主面1aの各位置でのエッチング時間を、絶縁膜11の膜厚分布の均一化のために主面1aの各位置で絶縁膜11をエッチングすべき量に対応させ、それによって、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚分布を、位置によらず、均一化することができる。
本実施の形態では、図36や図37に示されるように、エッチング液用ノズル36とリンス液用ノズル36aの移動速度を、等速ではなく、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布に応じて制御する(変化させる)。このため、絶縁膜11のエッチング時間を、半導体ウエハ1の主面1aの各位置で異ならせることができる。
本実施の形態とは異なり、エッチング液用ノズル36の移動速度が等速で、かつリンス液用ノズル36aの移動速度も等速であれば、半導体ウエハ1の主面1aの各位置において、その位置の上をエッチング液用ノズル36が通過してから、その位置の上をリンス液用ノズル36aが通過するまでの時間(これがエッチング時間に相当する)が同じであるため、絶縁膜11のエッチング時間は、半導体ウエハ1の主面1aの各位置で同じになる。
それに対して、本実施の形態では、エッチング液用ノズル36の移動速度とリンス液用ノズル36aの移動速度の両者を、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布(堆積膜厚分布)に応じて制御する(変化させる)。このため、半導体ウエハ1の主面1aの各位置において、その位置の上をエッチング液用ノズル36が通過してから、その位置の上をリンス液用ノズル36aが通過するまでの時間(これがエッチング時間に相当する)を異ならせることができる。すなわち、絶縁膜11のエッチング時間を、半導体ウエハ1の主面1aの各位置で異ならせることができる。
例えば、上記実施の形態1のように、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が大きい領域では、図37に示されるように、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を遅くし、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が小さい領域では、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を速くする制御を行う。そして、上記実施の形態2のように、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が大きい領域では、図37に示されるように、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を遅くし、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が小さい領域では、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を速くする制御を行う。また、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)が負の領域(すなわち変化率Cr(n)が正の領域)では、エッチング装置31bの可能な範囲で、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)を速くし、また、絶縁膜11の堆積膜厚の変化率Cr(n)が負の領域(すなわち変化率C(n)が正の領域)では、エッチング装置31bの可能な範囲で、リンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を速くすればよい。
このように、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)、Cr(n)に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度V(n)とリンス液用ノズル36aの移動速度Vr(n)を制御することで、図35のグラフのように半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布が複雑な場合でも、図38のように絶縁膜11のエッチング量を、絶縁膜11の堆積膜厚の分布に応じて、半導体ウエハ1の主面1aの各位置で異ならせることができる。このため、図39のように、ステップS1bの後の半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚(ta(n))を均一化することができる。
本実施の形態は、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布に応じてエッチング液用ノズル36とリンス液用ノズル36aの移動速度を制御する(変化させる)ことで、例えば図38のように、絶縁膜11のエッチング時間(エッチング量)を、半導体ウエハ1の主面1aの各位置で異ならせることができる。このため、半導体ウエハ1の主面1aの絶縁膜11の堆積膜厚の膜厚分布が、上記実施の形態1,2よりも複雑な場合にも適用することができる。例えば、半導体ウエハ1の主面1aの絶縁膜11の堆積膜厚(t(n))の分布が、図35のグラフのように、半導体ウエハ1の主面1aの外周部と中心部で薄く、その間で厚くなるような場合などにも適用することができる。このような絶縁膜11の堆積膜厚分布は、枚葉式の成膜装置(枚葉式のCVD装置など)を用いて絶縁膜11を半導体ウエハ1上に堆積した場合に、生じ易い。従って、枚葉式の成膜装置(枚葉式のCVD装置など)を用いて絶縁膜11を半導体ウエハ1上に堆積した場合に、本実施の形態を適用すれば、より効果が大きい。
本実施の形態においても、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布が不均一であっても、ステップS1bの処理を行うことにより、半導体ウエハ1の主面1aの面内の絶縁膜11の膜厚分布を十分に均一化させることができる。このため、上記実施の形態1,2とほぼ同様の効果を得ることができる。例えば、サイドウォールスペーサ15形成のための絶縁膜27のエッチバック工程で、サイドウォールスペーサ15以外の絶縁膜27のエッチング残りが生じるのを防止することができ、また、オーバーエッチングが生じるのを抑制して、露出した半導体ウエハ1の基板領域(ここではp型ウエル3のうちのn+型半導体領域16を形成すべき領域)にダメージが与えられるのを防止することができる。また、絶縁膜11の堆積膜厚が厚い領域1Aと薄い領域1Bで、サイドウォールスペーサ15の厚みを均一(同じ)にできるので、コンタクトホール23内のプラグ24とn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)の接続抵抗を均一(同じ)にすることができ、また、コンタクトホール23内のプラグ24とn+型半導体領域16(の表面上の金属シリサイド層17)との接続不良の発生を防止することができる。従って、半導体装置の信頼性や性能を向上することができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。図40〜図42は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。本実施の形態は、図1の工程までは上記実施の形態1と同様であるのでここではその説明は省略し、図1に続く工程について説明する。
上記実施の形態1と同様にして図1の構造が得られた後、上記実施の形態1と同様にして半導体ウエハ1の主面上に(すなわちゲート絶縁膜5上に)、導電膜6を形成し、更に、図40に示されるように、導電膜6上に絶縁膜7を形成する。絶縁膜7はゲート電極加工時のハードマスク用の絶縁膜であり、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン膜などにより形成することができる。
次に、絶縁膜7上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、図41に示されるように、絶縁膜7をエッチング(ドライエッチング)してパターニングする。これにより、パターニングされた絶縁膜7からなる絶縁膜パターン7a(すなわち絶縁膜7のパターン)が形成される。
次に、フォトレジストパターンを除去した後、詳細は後述するが、上記実施の形態1のステップS1と同様の処理を行い、絶縁膜パターン7aの寸法を補正する処理を行う。それから、図42に示されるように、絶縁膜パターン7aをエッチングマスク(ハードマスク)として用いて、導電膜6をエッチング(ドライエッチング)してパターニングする。これにより、パターニングされた導電膜6からなるゲート電極8がp型ウエル3上のゲート絶縁膜5上に形成される。
以降の工程は、上記実施の形態1の図3〜図12の工程とほぼ同様であるので、ここではその説明は省略する。絶縁膜7は、ゲート電極8形成後の任意の工程で除去することもできる。
図43および図44は、本実施の形態とは異なり、ステップS1の処理を行わない第2比較例の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、各図中には、半導体ウエハ1の主面の周辺部(外周部)1Cと中央部(中心部)1Dが示されている。
図43は、上記図41の工程段階に対応し、絶縁膜7をパターニングして絶縁膜パターン7aを形成した状態が示されている。図44は、上記図42の工程段階に対応するが、本実施の形態とは異なり、ステップS1の処理を行うことなく、絶縁膜パターン7aをエッチングマスクとして導電膜6をパターニングしてゲート電極8を形成した状態が示されている。
半導体ウエハ1の主面の周辺部1Cと中央部1Dでは、同じマスク(フォトマスク)を用いて形成したフォトレジストパターンを用いて絶縁膜7をパターニングするので、図43に示されるように、絶縁膜パターン7aの寸法51(後で形成されるゲート電極8のゲート長方向に対応する方向の寸法)は、半導体ウエハ1の主面の周辺部1Cと中央部1Dでほぼ同じになる。
図45は、半導体ウエハ1の各位置における絶縁膜パターン7aの寸法51と、その寸法の絶縁膜パターン7aを用いて形成されるゲート電極8の実効的なゲート長8aを示すグラフであり、ステップS1の処理を行わずに、半導体ウエハの全位置で同じ寸法51の絶縁膜パターン7aをエッチングマスクとして導電膜6パターニングしてゲート電極8を形成した場合が示されている。
同じ寸法51にパターニングされた絶縁膜パターン7aをエッチングマスクとして導電膜6をドライエッチングした場合、図44に示されるように、半導体ウエハ1の主面の中央部1Dに比べて、周辺部1Cでは、導電膜6がテーパ状にエッチングされやすい。このため、半導体ウエハ1の主面の中央部1Dに比べて、周辺部1Cでは、形成されるゲート電極8が裾引き(テーパ、テーパー)形状になりやすい。従って、図44および図45のように、半導体ウエハ1の主面の中央部1Dに比べて、周辺部1Cでは、ゲート電極8の実効的なゲート長が大きくなる。これは、半導体ウエハ1の主面の周辺部1Cで、半導体装置の特性劣化の原因となり、半導体装置の製造歩留まりを低下させる可能性がある。
そこで、本実施の形態では、絶縁膜7をパターニングして絶縁膜パターン7aを形成した後、上記実施の形態1のステップS1と同様の処理を行って絶縁膜パターン7aの寸法51を寸法補正(後述の寸法51aに補正)してから、寸法補正後の絶縁膜パターン7aをエッチングマスクとして導電膜6のドライエッチングを行いゲート電極8を形成する。ステップS1の具体的な手順は、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその説明は省略する。
図46および図47は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、各図中には、半導体ウエハ1の主面の周辺部(外周部)1Cと中央部(中心部)1Dが示されている。図46は、図43の構造が得られた後、ステップS1の処理を行って、絶縁膜パターン7aの寸法を補正した状態が示されている。図47は、上記図42の工程段階に対応し、図46のようにステップS1の処理を行って絶縁膜パターン7aの寸法を補正した後に、補正後の寸法51aの絶縁膜パターン7aをエッチングマスクとして導電膜6パターニングしてゲート電極8を形成した状態が示されている。
図48は、ステップS1の処理による絶縁膜パターン7aのエッチング量、すなわち絶縁膜パターン7aの寸法51の縮小量(寸法51と寸法51aとの差に対応)を示すグラフである。図49は、ステップS1の処理後の半導体ウエハ1の主面1aの各位置における絶縁膜パターン7aの寸法51aと、その寸法の絶縁膜パターン7aを用いて形成されるゲート電極8の実効的なゲート長8aを示すグラフである。図49のグラフでは、ステップS1の処理により、半導体ウエハ1の主面1aの位置により絶縁膜パターン7aの寸法51aを異ならせ、この絶縁膜パターン7aをエッチングマスクとして導電膜6をパターニングしてゲート電極8を形成した場合が示されている。なお、絶縁膜パターン7aの寸法51,51aは、後で形成されるゲート電極8のゲート長方向に対応する方向の寸法であるが、ステップS1の処理前の寸法が寸法51であり、ステップS1の処理後の寸法が寸法51aである。
本実施の形態では、ステップS1の処理により、半導体ウエハ1の主面1aにおけるゲート電極8の実効的なゲート長8aの分布が均一化するように、ゲート電極8のテーパ量61が大きいところでは、ゲート電極8のテーパ量61が小さいところよりも多く、絶縁膜パターン7aをウェットエッチングして寸法51を縮小させ、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜パターン7aの分布を補正する。すなわち、絶縁膜パターン7aをエッチングマスクとした導電膜6のエッチング工程(ゲート電極8の加工工程)で生じるゲート電極8のテーパ量(テーパ形状の発生程度、ゲート電極8の裾引き形状の程度)61に応じてエッチング装置31のエッチング液用ノズル36からのエッチング液37により絶縁膜パターン7aをウェットエッチングして絶縁膜パターン7aの寸法51を寸法51aに縮小させる。ここで、ゲート電極8のテーパ量61は、絶縁膜パターン7aの寸法51aと、ゲート電極8の下部の寸法に対応する実効的なゲート長8aとの差に対応し、図49のグラフの実線と点線の差に相当する。また、本実施の形態では、エッチング液37は、絶縁膜パターン7aをエッチングして、絶縁膜パターン7aの寸法51を縮小させるためのエッチング液であるので、エッチング液37としては、絶縁膜パターン7aをエッチング可能で、導電膜6がエッチングされにくいようなエッチング液を用いる。
図46および図48に示されるように、導電膜6のエッチングの際にテーパ形状が発生しやすい(テーパ量61が大きくなってゲート電極8の裾引き形状が発生しやすい)半導体ウエハ1の主面の周辺部1Cでは、ステップS1による絶縁膜7のエッチング量(エッチング時間)を多く(長く)して絶縁膜パターン7aの寸法51の縮小量(ステップS1の処理前の寸法51とステップS1の処理後の寸法51aの差)を大きくする。一方、導電膜6のエッチングの際にテーパ形状が発生しにくい(テーパ量61が小さくゲート電極8の裾引き形状が発生しにくい)半導体ウエハ1の主面の中央部1Dでは、図46および図48に示されるように、ステップS1による絶縁膜パターン7aのエッチング量(エッチング時間)を少なく(短く)して絶縁膜パターン7aの寸法51の縮小量(ステップS1の処理前の寸法51とステップS1の処理後の寸法51aの差)を小さくする。すなわち、絶縁膜パターン7aの寸法51の縮小量を、半導体ウエハ1の主面1aの中心部側よりも外周部側で大きくする。これにより、ステップS1の処理の前には半導体ウエハ1の主面1aの位置によらず同じ寸法51であった絶縁膜パターン7aが、ステップS1の処理を行うことにより、半導体ウエハ1の主面1aの位置によって異なる寸法51aを有する絶縁膜パターン7aとなる。
このようなステップS1の処理による寸法補正を行った絶縁膜パターン7aをハードマスクとして用いて導電膜6をエッチングすることで、図47および図49に示されるように、ゲート電極8の上部の寸法(ゲート長方向の寸法)は、半導体ウエハ1の主面の周辺部1Cでは、中央部1Dに比べて、小さくなるが、ゲート電極8の下部の寸法(ゲート長方向の寸法)、すなわちゲート電極8の実効的なゲート長8aは、半導体ウエハ1の主面の周辺部1Cと中央部1Dでほぼ同じにすることができる。このため、半導体ウエハ1の主面の中央部1Dと周辺部1Cで、すなわち半導体ウエハ1の主面1aの全面で、ゲート電極8の実効的なゲート長8aを均一にすることができる。従って、半導体ウエハ1の主面の周辺部1Cでの半導体装置の特性劣化を防止でき、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
本実施の形態でも、上記実施の形態1と同様に、半導体ウエハ1を複数の区間(上記区間RG(1)〜RG(5)に相当するもの)に分けて各区間ごとにエッチング液用ノズル36の移動速度を制御する。このため、半導体ウエハ1の外周部側と中心部側とで、エッチング液用ノズル36の移動速度が異なっている。
本実施の形態における図49のゲート電極8のテーパ量61の半導体ウエハ1の主面1aにおける分布が、上記実施の形態1における図18に示される半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の堆積膜厚分布に相当するものである。上記実施の形態1では、半導体ウエハ1の主面1aにおける絶縁膜11の膜厚分布に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度を制御したように、本実施の形態においても、ゲート電極8加工の際に生じるゲート電極8のテーパ量61の半導体ウエハ1の主面1aにおける分布に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度を制御すればよい。より具体的には、上記実施の形態1で、半導体ウエハ1の主面1aにおける半径方向の絶縁膜11の堆積膜厚の変化率C(n)に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度を制御したように、本実施の形態では、ゲート電極8のテーパ量61の変化率(半導体ウエハ1の主面1aの半径方向での変化率)に応じて、エッチング液用ノズル36の移動速度を制御すればよい。すなわち、ゲート電極8のテーパ量61の変化率が大きい領域では、エッチング液用ノズル36の移動速度を遅くし、ゲート電極8のテーパ量61の変化率が小さい領域では、エッチング液用ノズル36の移動速度を速くすればよい。
従って、ゲート電極8加工の際のテーパ量61の発生程度が単純ではなく、図48や図49のように、絶縁膜パターン7aの寸法51の縮小量(絶縁膜パターン7aのエッチング量)が半導体ウエハ1の主面1aの中心からの距離に比例していない場合であっても、上記実施の形態1のようなステップS1の処理を行うことにより、ステップS1後の絶縁膜パターン7aの寸法51aを所望の分布に制御でき、図49などのような複雑な分布を実現できる。このため、形成されるゲート電極8の実効的なゲート長8aを半導体ウエハ1の主面の面内で均一にすることができる。従って、半導体ウエハ1の主面の面内で半導体装置の特性を均一にすることができ、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。