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JP5133765B2 - 埋込磁石型モータ及びその設計方法 - Google Patents

埋込磁石型モータ及びその設計方法 Download PDF

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JP5133765B2 JP2008108006A JP2008108006A JP5133765B2 JP 5133765 B2 JP5133765 B2 JP 5133765B2 JP 2008108006 A JP2008108006 A JP 2008108006A JP 2008108006 A JP2008108006 A JP 2008108006A JP 5133765 B2 JP5133765 B2 JP 5133765B2
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Description

本発明は、埋込磁石型モータ及びその設計方法に関するものである。
従来、埋込磁石型モータは、ロータコアに軸方向に貫通する収容孔が周方向に複数形成されその各収容孔にそれぞれ磁石が配設されたロータを備える。
そして、このような埋込磁石型モータとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この埋込磁石型モータにおけるロータコアの収容孔は、略径方向に延びる径方向収容孔と、径方向外側に凸となる略V字形状のV字収容孔とが、磁極数がP極に対して、それぞれP/2個形成されてなるとともにそれらが周方向に交互に形成されてなる。又、磁石は、前記径方向収容孔内に配設されるとともに、前記V字収容孔のV字を形成する各直線に対応した各磁石収容部内にそれぞれ配設される。そして、この埋込磁石型モータでは、径方向収容孔内に配設される磁石と、その周方向の一方に隣り合う磁石収容部内に配設される磁石とで1つの磁極が構成されるとともに、径方向収容孔内に配設される磁石と、その周方向の他方に隣り合う磁石収容部内に配設される磁石とで異なる1つの磁極が構成されるようになっている。
特開2007−195391号公報
ところで、上記した埋込磁石型モータ(特許文献1参照)等では、ステータに最適な回転磁界を発生させてロータを良好に回転駆動制御するために、ロータの回転位置(角度)を高精度に検出する必要があり、例えば、レゾルバを備えたものがある。しかしながら、レゾルバは構成が複雑であって高価であるとともに、ロータの回転位置(角度)を高精度に検出するためにロータと一体回転させるセンサロータの周方向の位置決めに高精度を要するという問題がある。又、例えば、レゾルバに換えて、ロータと一体回転するセンサ磁石と該センサ磁石の磁束を検出する磁気センサとを用いるものでも、ロータの回転位置(角度)を高精度に検出するためにロータと一体回転させるセンサ磁石の周方向の位置決めに高精度を要する等、レゾルバと同様の問題がある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、簡単な構成で高精度にロータの回転位置を検出することができる埋込磁石型モータ及びその設計方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明では、軸方向に貫通する収容孔が周方向に複数形成されたロータコアを有し、磁極数がP極となるように前記収容孔内に磁石が配設されたロータを備え、前記収容孔は、略径方向に延びる径方向収容孔と、径方向外側に凸となる略V字形状のV字収容孔とが、それぞれP/2個形成されてなるとともにそれらが周方向に交互に形成されてなり、前記磁石は、前記径方向収容孔内に配設されるとともに、前記V字収容孔のV字を形成する各直線に対応した各磁石収容部内にそれぞれ配設され、前記径方向収容孔内に配設される前記磁石と、その周方向の一方に隣り合う前記磁石収容部内に配設される前記磁石とで1つの磁極が構成されるとともに、前記径方向収容孔内に配設される前記磁石と、その周方向の他方に隣り合う前記磁石収容部内に配設される前記磁石とで異なる1つの磁極が構成される埋込磁石型モータであって、前記ロータの軸方向の漏れ磁束を検出する回転検出用の磁気センサを、前記ロータの軸方向端面に対向して配置するとともに、前記V字収容孔を構成する一対の磁石収容部内の前記磁石間で検出する磁束の極が1回のみ反転する径方向外側領域に配置し、その径方向外側領域は磁気飽和領域である
同構成によれば、回転検出用の磁気センサは、ロータの軸方向端面に対向して配置されるとともに、V字収容孔を構成する一対の磁石収容部内の磁石間で検出する磁束の極が1回のみ反転(ゼロクロス)する径方向外側領域に配置されるため、レゾルバやセンサ磁石を用いることなく、簡単な構成で高精度にロータの回転位置を検出することができる。
詳しくは、構成が複雑で高価なレゾルバを用いず、またロータの磁極を構成する磁石の磁束を用いて別途センサ磁石を用いないため、部品点数低減や小型化が可能となり、その構成が簡単となる。また、レゾルバのセンサロータやセンサ磁石をロータに対して高精度に位置決めする必要もないため、その位置決め作業等も含めて構成が簡単となる。そして、ロータの軸方向の漏れ磁束を検出する磁気センサは、V字収容孔を構成する一対の磁石収容部内の磁石間で検出する磁束の極が1回のみ反転する径方向外側領域に配置されるため、ロータの磁極毎に検出する磁束の極が反転(ゼロクロス)し、高精度にロータの回転位置を検出することができる。言い換えると、磁気センサが、前記一対の磁石収容部内の磁石間で検出する磁束の極が2回以上反転してしまう領域(前記径方向外側領域より径方向内側の領域(図4及び図5の実験結果参照))に配置されると、ロータの磁極の変わり目以外でも検出する磁束の極が反転(ゼロクロス)してしまうことになり、ロータの回転位置を検出することが困難となるが、これを回避でき、容易且つ高精度にロータの回転位置を検出することができる。よって、ステータに最適な回転磁界を発生させることができ、ロータを良好に回転駆動制御することができる。
請求項2に記載の発明では、軸方向に貫通する収容孔が周方向に複数形成されたロータコアを有し、磁極数がP極となるように前記収容孔内に磁石が配設されたロータを備え、前記収容孔は、略径方向に延びる径方向収容孔と、径方向外側に凸となる略V字形状のV字収容孔とが、それぞれP/2個形成されてなるとともにそれらが周方向に交互に形成されてなり、前記磁石は、前記径方向収容孔内に配設されるとともに、前記V字収容孔のV字を形成する各直線に対応した各磁石収容部内にそれぞれ配設され、前記径方向収容孔内に配設される前記磁石と、その周方向の一方に隣り合う前記磁石収容部内に配設される前記磁石とで1つの磁極が構成されるとともに、前記径方向収容孔内に配設される前記磁石と、その周方向の他方に隣り合う前記磁石収容部内に配設される前記磁石とで異なる1つの磁極が構成される埋込磁石型モータの設計方法であって、前記ロータの軸方向の漏れ磁束を検出可能な回転検出用の磁気センサを、前記ロータの軸方向端面に対向して配置するとともに、その径方向位置を変更してその径方向位置毎の特性を測定する測定工程と、前記測定工程の結果に基づいて、前記V字収容孔を構成する一対の磁石収容部内の前記磁石間で検出する磁束の極が1回のみ反転する径方向外側領域に前記磁気センサの位置を決定する位置決定工程とを備え、前記径方向外側領域は磁気飽和領域である
同発明によれば、測定工程にて、ロータの軸方向の漏れ磁束を検出可能な回転検出用の磁気センサが、ロータの軸方向端面に対向して配置されるとともに、その径方向位置が変更されてその径方向位置毎の特性が測定される。そして、位置決定工程にて、前記測定工程の結果に基づいて、V字収容孔を構成する一対の磁石収容部内の磁石間で検出する磁束の極が1回のみ反転する径方向外側領域に磁気センサの位置が決定される。よって、容易に請求項1に記載の埋込磁石型モータを設計することができる。
本発明によれば、簡単な構成で高精度にロータの回転位置を検出することができる埋込磁石型モータ及びその設計方法を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、埋込磁石型モータのモータケース1は、有底筒状に形成されたヨーク2と、該ヨーク2の開口部を閉塞するエンドプレート3とからなる。ヨーク2の内周面にはステータ4が固定されている。
ステータ4は、図2に示すように、全体的に略円筒状に形成され、外形を形成する円筒部5の内周面から周方向等角度間隔で軸中心に向かって延びるように形成された複数のティース6を有したステータコア7と、各ティース6にインシュレータ(図2中、図示略)を介して集中巻にて巻回された巻線8(図2中、一部のみ2点鎖線で図示)とを備える。尚、本実施の形態では、ティース6は、12個形成されている。
そして、ステータ4の内側には、ロータ11が配設されている。ロータ11は回転軸12を有し、回転軸12は、図1に示すように、ヨーク2の底部及びエンドプレート3に設けられた軸受け13,14により回転可能に支持されている。又、ロータ11は、図2に示すように、前記回転軸12に対して固定(外嵌)されるロータコア15と、ロータコア15に形成された収容孔(径方向収容孔15a及びV字収容孔15b)内に配設される磁石16,17とを備える。尚、ロータ11における磁極数はP極であって本実施の形態では8極に設定されている。
ロータコア15は、略円盤状のコアシートが軸方向に積層されることで略円筒状に形成され、各コアシートに形成された軸方向に貫通する締結用孔18(図2参照)を貫通する締結部材としてのリベット19によって締結固定されている。又、ロータコア15において磁石16,17を内部に収容すべく軸方向に貫通する収容孔は、径方向に延びる径方向収容孔15aと、径方向外側に凸となる略V字形状のV字収容孔15bとが、それぞれP/2個であって本実施の形態では(8/2=)4個ずつ形成されてなるとともにそれらが周方向に交互であって等角度間隔に形成されてなる。
径方向収容孔15aの径方向外側端部には、軸方向から見た(径方向の直交方向の)幅が他の部分(径方向収容孔15a内に配設される前記磁石16の幅)より大きく設定された大幅部15cが軸方向全体に(貫通するように)形成されている。又、径方向収容孔15aの径方向外側において大幅部15cの径方向内側には、磁石16の径方向外側への移動を規制すべく軸方向から見た(径方向の直交方向の)幅が他の部分より小さくなるように径方向の直交方向に突出した突出部15dが軸方向全体に形成されている。この突出部15dは、周方向両側から一対、同じ量だけ(多くとも互いに当接しない量だけ)突出して形成されている。
V字収容孔15bは、そのV字を形成する2つの直線に対応した一対の磁石収容部15eを備える。本実施の形態の一対の磁石収容部15eは、径方向外側ほど周方向の間隔が近くなるが径方向外側端部でも互いに連通しないようにそれぞれ独立した(軸方向に貫通する)孔として形成されている。又、V字収容孔15bの径方向外側端部、即ち各磁石収容部15eの径方向外側端部には、前記磁石17が配置されないV字側空隙15fが形成されている。本実施の形態のV字側空隙15fは、軸方向から見た幅が他の部分(磁石17を収容する部分)と略同じとなるように形成されている。又、磁石収容部15eの径方向外側においてV字側空隙15fの径方向内側には、磁石17の径方向外側(V字側空隙15f)への移動を規制すべく軸方向から見た幅が他の部分より小さくなるように突出したV字側突出部15gが形成されている。このV字側突出部15gは、一対の磁石収容部15eの対向する側からそれぞれ離間する側へ同じ量だけ突出して形成されている。
又、本実施の形態における磁石収容部15eの径方向内側端部は、軸方向から見て、径方向収容孔15aの側部、詳しくは径方向収容孔15aの径方向内側において径方向の直交方向を向いた辺(内壁面)と対向するように形成されている。そして、径方向収容孔15aと磁石収容部15e間における径方向内側には内側ブリッジ部15hが形成されている。又、本実施の形態における内側ブリッジ部15hの軸方向から見た幅は径方向に沿って一定となるように形成されている。尚、これは、磁石収容部15eの径方向内側端部に軸方向から見て略三角形状の(磁石17が配置されない)延設部15iが延設されることで実現されている。又、上記形状のロータコア15には、径方向収容孔15aの径方向外側(大幅部15c)とロータコア15の外周面との間に外側ブリッジ部15jが形成され、V字収容孔15bにおける磁石収容部15eの径方向外側(V字側空隙15f)とロータコア15の外周面との間に外側ブリッジ部15kが形成されることになる。又、上記形状のロータコア15には、一対の磁石収容部15e間における径方向外側に径方向に延びる(前記外側ブリッジ部15kと繋がる)収容部間ブリッジ部15lが形成されることになる。
そして、前記径方向収容孔15a内と前記磁石収容部15e内には、それぞれ略直方体形状の磁石16,17が配設される。
上記のように構成されるロータ11では、径方向収容孔15a内に配設される磁石16と、その周方向の一方(図2中、時計回り方向)に隣り合う磁石収容部15e内に配設される磁石17とで1つの磁極(例えばS極)が構成されるとともに、径方向収容孔15a内に配設される磁石16と、その周方向の他方(図2中、反時計回り方向)に隣り合う磁石収容部15e内に配設される磁石17とで異なる1つの磁極(例えばN極)が構成されている。
又、図1に示すように、前記エンドプレート3において、ロータ11の軸方向端面(図1中、左側端面)に対向する位置には、ロータ11の軸方向の漏れ磁束を検出するための回転検出用の磁気センサとしてのホールIC21が基板22を介して配設されている。このホールIC21は、ロータ11の回転位置(角度)を検出するためのものであって、ひいては、ステータ4に最適な回転磁界を発生させてロータ11を良好に回転駆動制御するためのものである。
ここで、ホールIC21は、図2及び図3に示すように、前記V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の前記磁石17間(周方向の間)で検出する磁束の極が1回のみ反転(ゼロクロス)する径方向外側領域H(図3参照)に配置されている。
本実施の形態では、ホールIC21の径方向の位置は、以下に記載する埋込磁石型モータの設計方法にて決定されている。即ち、埋込磁石型モータの設計方法は、「測定工程」と「位置決定工程」とを備えている。
まず「測定工程」では、ホールIC21を、ロータ11の軸方向端面に対向して配置するとともに、その径方向位置を変更してその径方向位置毎の特性を測定する(図4〜図6参照)。詳しくは、本実施の形態では、図4に示すように、ホールIC21a〜21hの位置を、ロータ11の径方向内側から径方向外側まで順次変更するとともに、図5及び図6に示すように、その径方向位置(ホールIC21a〜21h)毎の回転角度−磁束密度特性Za〜Zhを測定する。
そして、「位置決定工程」では、前記「測定工程」の結果(図5及び図6参照)に基づいて、前記一対の磁石収容部15e内の磁石17間で検出する磁束の極が1回のみ反転(ゼロクロス)する径方向外側領域Hを特定し、その径方向外側領域HにホールIC21の位置を決定する。詳しくは、本実施の形態では、図6に示すように、回転角度−磁束密度特性Zf〜Zhが、前記磁石17間で検出する磁束の極が1回のみ反転(ゼロクロス)するため、図4に示すホールIC21fからホールIC21hまでの径方向位置を前記径方向外側領域Hとして特定し、図3に示すように、ホールIC21の位置を(回転角度−磁束密度特性Zgに対応した径方向外側領域Hの前記ホールIC21gの位置に)決定している。ホールIC21(21g)の位置を具体的に言うと、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の磁石17同士が最も近づく点同士を結ぶ線L(図4参照)の直ぐ径方向内側の位置であり、前記締結用孔18及び前記リベット19から大きく離間した位置である。尚、本実施の形態では、図5に示すように、回転角度−磁束密度特性Za〜Zeが、前記磁石17間で検出する磁束の極が2回以上反転(ゼロクロス)してしまうため、図4に示すホールIC21aからホールIC21eまでの径方向位置が前記径方向外側領域Hに含まれない径方向内側の領域として特定される。
又、ここで、前記径方向外側領域Hは、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の前記磁石17間において無通電時の磁束密度が高い(径方向外側の)領域であって磁気飽和する領域と対応している(図示しない実験結果より)。即ち、前記径方向外側領域Hは、言い換えると、無通電時高磁束密度領域であって磁気飽和領域と言える。
又、前記径方向外側領域Hは、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の磁石17同士の対向する側を半分に分ける中心X(図3及び図4参照)より径方向外側の領域と対応している。
又、本実施の形態では、図3に示すように、前記締結用孔18及び前記リベット19が、前記径方向外側領域Hの径方向内側端部(前記中心Xを通る円(図3中、2点鎖線の円弧)のすぐ内側)に隣接して配置されている。
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)ホールIC21は、ロータ11の軸方向端面に対向して配置されるとともに、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の磁石17間で検出する磁束の極が1回のみ反転(ゼロクロス)する径方向外側領域Hに配置されるため、レゾルバやセンサ磁石を用いることなく、簡単な構成で高精度にロータ11の回転位置(角度)を検出することができる。
詳しくは、構成が複雑で高価なレゾルバを用いず、またロータ11の磁極を構成する磁石16,17の磁束を用いて別途センサ磁石を用いないため、部品点数低減や小型化が可能となり、その構成が簡単となる。また、レゾルバのセンサロータやセンサ磁石をロータに対して高精度に位置決めする必要もないため、その位置決め作業等も含めて構成が簡単となる。そして、ロータ11の軸方向の漏れ磁束を検出するホールIC21は、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の磁石17間で検出する磁束の極が1回のみ反転(ゼロクロス)する径方向外側領域Hに配置されるため、ロータ11の磁極(N極、S極)毎に検出する磁束の極が反転(ゼロクロス)し、高精度にロータ11の回転位置(角度)を検出することができる。言い換えると、ホールIC21が、前記一対の磁石収容部15e内の磁石17間で検出する磁束の極が2回以上反転してしまう領域(前記径方向外側領域Hより径方向内側の領域(図4に示すホールIC21aからホールIC21eまで)に配置されると、ロータ11の磁極の変わり目以外でも検出する磁束の極が反転(ゼロクロス)してしまう(図5参照)ことになり、ロータ11の回転位置を検出することが困難となるが、これを回避でき、容易且つ高精度にロータ11の回転位置を検出することができる。よって、ステータ4に最適な回転磁界を発生させることができ、ロータ11を良好に回転駆動制御することができる。
(2)前記径方向外側領域Hは無通電時の磁束密度が高い領域であって磁気飽和する領域と対応しており、この磁気飽和領域に締結用孔18及びリベット19を配置するとコギングトルクやトルクリップルに悪影響を及ぼす虞があるが、径方向外側領域H(磁気飽和領域)の径方向内側端部に隣接して配置したため、これが回避される。しかも、前記径方向外側領域Hの径方向内側端部に隣接して配置されることで、締結用孔18及びリベット19が(上記効果を得ながら)極力径方向外側に配置されることになり、ロータコア15の機械的強度を極力高くすることができる。
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、ホールIC21の位置を、回転角度−磁束密度特性Zgに対応した位置であって、図4に示すホールIC21gの位置に決定して配置したが、前記径方向外側領域Hの他の位置(例えば、図4に示すホールIC21f,21hの位置)に変更してもよい。尚、ホールIC21fの位置を具体的に言うと、前記締結用孔18及び前記リベット19の直ぐ径方向外側の位置であり、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の磁石17同士が最も近づく点同士を結ぶ線L(図4参照)から大きく離間した位置である。又、ホールIC21hの位置を具体的に言うと、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の磁石17同士が最も近づく点同士を結ぶ線L(図4参照)の直ぐ径方向外側の位置である。
又、ホールIC21f,21g,21h毎の回転角度−磁束密度特性Zf,Zg,Zhを図6から考察すると、ホールICが最も径方向外側に配置されたときの回転角度−磁束密度特性Zhが、磁束の極が反転(ゼロクロス)する付近で最も急激に変化する(傾斜が大きい)ため、磁極が明確に判別でき、回転位置の検出に最も適している。
・上記実施の形態では、締結用孔18及びリベット19を径方向外側領域H(磁気飽和領域)の径方向内側端部に隣接して配置したが、これに限定されず、他の位置に配置してもよい。又、リベット19は、勿論、ボルトとナット等の他の締結部材に変更してもよい。又、上記実施の形態では、ロータコア15は略円盤状のコアシートが軸方向に積層されることで略円筒状に形成されるものとしたが、コアシートを用いない、例えば、磁性粉体を焼結した焼結コアとしてもよく、この場合、コアシート同士を締結する締結部材は不要となる。
・上記実施の形態では、「測定工程」で、ホールIC21の径方向位置を変更してその径方向位置毎の特性を測定し、「位置決定工程」で、「測定工程」の結果(図5及び図6参照)に基づいて、前記径方向外側領域Hを特定し、その径方向外側領域HにホールIC21の位置を決定するとしたが、他の方法でホールIC21の位置を決定してもよい。
例えば、前記径方向外側領域Hは、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の磁石17間において無通電時の磁束密度が高い(径方向外側の)領域であって磁気飽和する領域と対応していることから、上記実施の形態の「測定工程」等を行わずに、ホールIC21の位置を、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の磁石17間の無通電時高磁束密度領域又は磁気飽和領域に決定して、配置してもよい。
又、例えば、前記径方向外側領域Hは、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の磁石17同士の対向する側を半分に分ける中心X(図3及び図4参照)より径方向外側の領域と対応していることから、上記実施の形態の「測定工程」等を行わずに、ホールIC21の位置を、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15e内の磁石17同士の対向する側を半分に分ける中心X(図3及び図4参照)より径方向外側の領域に決定して、配置してもよい。
・上記実施の形態では、径方向収容孔15aの径方向外側端部に大幅部15cが形成されるとしたが、これに限定されず、大幅部15cが形成されていない径方向収容孔に変更し、その径方向収容孔の径方向外側端部まで磁石を設けてもよい。
・上記実施の形態では、V字収容孔15b(磁石収容部15e)の径方向外側端部にV字側空隙15fが形成されとしたが、これに限定されず、V字側空隙15fが形成されていないV字収容孔(磁石収容部)に変更し、そのV字収容孔(磁石収容部)の径方向外側端部まで磁石を設けてもよい。
・上記実施の形態では、V字収容孔15bを構成する一対の磁石収容部15eは、径方向外側端部が互いに連通しないようにそれぞれ独立した(軸方向に貫通する)孔として形成されるとしたが、これに限定されず、磁石収容部15eの径方向外側同士を連通する頂部を有するように(1つの繋がった孔として)形成してもよい。尚、この場合、前記収容部間ブリッジ部15lがなくなることになる。
・上記実施の形態では、磁石収容部15eの径方向内側と径方向収容孔15aとの間に形成される内側ブリッジ部15hの軸方向から見た幅が径方向に沿って一定とされるとしたが、これに限定されず、内側ブリッジ部15hの軸方向から見た幅が径方向に沿って変化するように変更してもよい。例えば、上記実施の形態の延設部15iを形成せず、内側ブリッジ部15hを磁石17の(径方向内側の)長手方向端部に当接するような軸方向から見て略三角形状のものとしてもよい。
・上記実施の形態では、ロータコア15は、大幅部15cや突出部15dが軸方向全体に形成されるとしたが、これに限定されず、軸方向の一部のみに大幅部15cや突出部15dが形成されたロータコアに変更してもよい。
・上記実施の形態では、磁石収容部15eは、軸方向から見て直線状であってその幅が一定とされ、磁石収容部15e内に配設される磁石17は、略直方体形状とされるとしたが、これに限定されず、磁石収容部及び磁石の軸方向から見た形状や幅等を変更してもよい。即ち、V字収容孔の略V字形状とは、V字を形成する各直線(一対の直線)がそれぞれ湾曲しているものや、直線の幅が一定ではないもの等を含む形状であって、V字収容孔のV字を形成する各直線に対応した各磁石収容部は、前記直線に対して湾曲しているものや、幅が一定とされていないものを含む。
・上記実施の形態の磁石16,17及びロータコア15を軸方向に分割し、それらを周方向にずらして配設してもよい。このようにすると、ステータ4とロータ11間での急激な磁束の流れ(変化)を低減することができコギングトルク及びトルクリップルを低減することができる。
・上記実施の形態のティース6の数や磁極数(磁石16,17)の数等は、他の数に変更してもよい。
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項1に記載の埋込磁石型モータにおいて、前記ロータコアは、複数のコアシートが軸方向に積層されてなるとともに、前記コアシートに形成された軸方向に貫通する締結用孔を貫通する締結部材によって締結固定されたものであって、前記締結用孔及び前記締結部材は、前記径方向外側領域の径方向内側端部に隣接して配置されたことを特徴とする埋込磁石型モータ。
同構成によれば、前記径方向外側領域は無通電時の磁束密度が高い(径方向外側の)領域であって磁気飽和する領域と対応しており、この磁気飽和領域に締結用孔及び締結部材を配置するとコギングトルクやトルクリップルに悪影響を及ぼす虞があるが、径方向外側領域(磁気飽和領域)の径方向内側端部に隣接して配置されるため、これが回避される。しかも、前記径方向外側領域の径方向内側端部に隣接して配置されることで、締結用孔及び締結部材が(上記効果を得ながら)極力径方向外側に配置されることになり、ロータコアの機械的強度を極力高くすることができる。
(ロ)前記ロータの軸方向の漏れ磁束を検出する回転検出用の磁気センサを、前記ロータの軸方向端面に対向して配置するとともに、前記V字収容孔を構成する一対の前記磁石収容部内の前記磁石間の無通電時高磁束密度領域又は磁気飽和領域に配置したことを特徴とする埋込磁石型モータ。
同構成によれば、前記無通電時高磁束密度領域及び前記磁気飽和領域は、前記径方向外側領域と対応している(実験結果より)ため、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
(ハ)前記ロータの軸方向の漏れ磁束を検出する回転検出用の磁気センサを、前記ロータの軸方向端面に対向して配置するとともに、前記V字収容孔を構成する一対の前記磁石収容部内の磁石同士の対向する側を半分に分ける中心より径方向外側の領域に配置したことを特徴とする埋込磁石型モータ。
同構成によれば、前記V字収容孔を構成する一対の前記磁石収容部内の磁石同士の対向する側を半分に分ける中心より径方向外側の領域は、前記径方向外側領域と対応している(実験結果より)ため、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
本実施の形態における埋込磁石型モータの一部断面図。 本実施の形態における埋込磁石型モータのステータ及びロータの平面図。 本実施の形態におけるロータの一部拡大平面図。 本実施の形態における測定工程を説明するための説明図。 本実施の形態における測定工程で得た回転角度−磁束密度特性図。 本実施の形態における測定工程で得た回転角度−磁束密度特性図。
符号の説明
11…ロータ、15…ロータコア、15a…径方向収容孔、15b…V字収容孔、15e…磁石収容部、16,17……磁石、21…ホールIC(磁気センサ)、H…径方向外側領域。

Claims (2)

  1. 軸方向に貫通する収容孔が周方向に複数形成されたロータコアを有し、磁極数がP極となるように前記収容孔内に磁石が配設されたロータを備え、
    前記収容孔は、略径方向に延びる径方向収容孔と、径方向外側に凸となる略V字形状のV字収容孔とが、それぞれP/2個形成されてなるとともにそれらが周方向に交互に形成されてなり、
    前記磁石は、前記径方向収容孔内に配設されるとともに、前記V字収容孔のV字を形成する各直線に対応した各磁石収容部内にそれぞれ配設され、
    前記径方向収容孔内に配設される前記磁石と、その周方向の一方に隣り合う前記磁石収容部内に配設される前記磁石とで1つの磁極が構成されるとともに、前記径方向収容孔内に配設される前記磁石と、その周方向の他方に隣り合う前記磁石収容部内に配設される前記磁石とで異なる1つの磁極が構成される埋込磁石型モータであって、
    前記ロータの軸方向の漏れ磁束を検出する回転検出用の磁気センサを、前記ロータの軸方向端面に対向して配置するとともに、前記V字収容孔を構成する一対の磁石収容部内の前記磁石間で検出する磁束の極が1回のみ反転する径方向外側領域に配置し、その径方向外側領域は磁気飽和領域であることを特徴とする埋込磁石型モータ。
  2. 軸方向に貫通する収容孔が周方向に複数形成されたロータコアを有し、磁極数がP極となるように前記収容孔内に磁石が配設されたロータを備え、
    前記収容孔は、略径方向に延びる径方向収容孔と、径方向外側に凸となる略V字形状のV字収容孔とが、それぞれP/2個形成されてなるとともにそれらが周方向に交互に形成されてなり、
    前記磁石は、前記径方向収容孔内に配設されるとともに、前記V字収容孔のV字を形成する各直線に対応した各磁石収容部内にそれぞれ配設され、
    前記径方向収容孔内に配設される前記磁石と、その周方向の一方に隣り合う前記磁石収容部内に配設される前記磁石とで1つの磁極が構成されるとともに、前記径方向収容孔内に配設される前記磁石と、その周方向の他方に隣り合う前記磁石収容部内に配設される前記磁石とで異なる1つの磁極が構成される埋込磁石型モータの設計方法であって、
    前記ロータの軸方向の漏れ磁束を検出可能な回転検出用の磁気センサを、前記ロータの軸方向端面に対向して配置するとともに、その径方向位置を変更してその径方向位置毎の特性を測定する測定工程と、
    前記測定工程の結果に基づいて、前記V字収容孔を構成する一対の磁石収容部内の前記磁石間で検出する磁束の極が1回のみ反転する径方向外側領域に前記磁気センサの位置を決定する位置決定工程とを備え
    前記径方向外側領域は磁気飽和領域であることを特徴とする埋込磁石型モータの設計方法。
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