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JP5128460B2 - 塗工白板紙 - Google Patents

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Description

本発明は、2層以上積層された原紙に塗工液を塗工し乾燥した後、グロスカレンダー又はソフトカレンダーで光沢仕上げされた塗工白板紙に関する。
塗工白板紙は、主として化粧箱、ギフトケース用箱等の紙器又は書籍表紙などに使用される。これらの用途において美粧性の観点から微小光沢ムラが少なく、表面の質感、すなわち面質に優れ、白紙塗工面の75度ISO光沢度が高く、かつ、糊貼りなどの加工適性に優れる塗工白板紙が求められている。
塗工白板紙の製造においては、省力、省スペース、生産性などの観点から、原紙抄造、塗工、乾燥、カレンダー処理までをオンラインで行う方式が従来多く行われており、高温で少ないニップ数で処理するグロスカレンダー又はソフトカレンダーによる光沢仕上げが広く導入されている。
しかし、グロスカレンダー又はソフトカレンダー処理においては坪量ムラ、塗工量ムラなどが微小なムラとなって現れ易くなり、美粧性を損なう結果となる。処理温度が高いと塗工層表面を柔軟化した上で潰すことになるので、顔料の配向ムラ等に起因する微小光沢ムラが顕著になる。この問題を解決するために、高温でソフトカレンダー処理する直前に軽度の蒸気を付与する方法によって、光沢ムラに起因すると思われるトラッピングムラの改善が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、上塗りに炭酸カルシウムを全顔料に対して65〜80質量%、使用モノマー中のブタジエン含有量が20〜40質量%で平均粒子径50〜100nmであるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを含有する塗工液が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
従来、塗工層に使用される顔料としてデラミネーテッドカオリンが使用されており(例えば、特許文献4参照。)、塗工層の下塗り層にデラミネーテッドカオリンを含有した塗工白板紙が提案されている(例えば、特許文献3及び5参照。)。
前述した従来の塗工白板紙では、高温でソフトカレンダー処理する直前に軽度の蒸気を付与しても、微小な光沢ムラの改善については十分な効果が得られない。また、2層以上積層してなる板紙原紙の凹凸は単層の洋紙原紙に比べると劣ることが多いため、塗工白板紙においては塗工紙に比較して微小光沢ムラが生じ易く、十分な白紙塗工面の75度ISO光沢度も得難い。さらに、ブタジエン含有量が高いスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスは、成膜性が高いために乾燥時の収縮が大きく顔料の配向を乱れ易くするため十分に高い白紙塗工面の75度ISO光沢度を得ることが難しく、白紙塗工面の75度ISO光沢度を高めるためグロスカレンダー又はソフトカレンダーの処理を高温で行うと微小光沢ムラを生じさせ易いため問題となる。また、デラミネーテッドカオリンを含有する塗工層では、微小光沢ムラの低減、糊貼りなどの加工適性が十分に得られないため、その改良が求められている。
特開平4−370298号公報 特許第3082188号公報 特開2002−363887号公報 特開2006−9184号公報 特開2007−254914号公報
本発明は、2層以上積層された原紙に塗工液を塗工し乾燥した後、グロスカレンダー又はソフトカレンダーで光沢仕上げされた塗工白板紙について、ブタジエン含有量が高いスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを含有するバインダー及びデラミネーテッドカオリンを含有する顔料を主成分として含有する塗工液を用いそして高温でのグロスカレンダー処理でも、微小光沢ムラが少なく面質に優れ、白紙塗工面の75度ISO光沢度が高く、かつ、糊貼りなどの加工適性に優れる塗工白板紙を実現することを目的とするものである。
本発明は、前記課題を達成するために、顔料とバインダーを主成分として含有する塗工液を2層以上塗工してなる塗工白板紙において、レーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が2.5以上であり、かつ、レーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が38%以上のデラミネーテッドカオリンを全顔料の40〜80質量%、使用モノマー中のブタジエン含有量が30〜50質量%のスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを含有する塗工液を最上層に塗工し乾燥した後、115℃以上の高温でグロスカレンダー又はソフトカレンダーで処理することによって光沢付けしたものである。
本発明に係る塗工白板紙では、前記顔料としてプラスチックピグメントを全顔料の3質量%以上含有する塗工液を最上層に塗工したことによって形成された場合を含む。
他の一つの実施態様は、前記塗工白板紙において、JIS P 8142:2005「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に規定する白紙塗工面の75度ISO光沢度が50%以上である。
別の一つの実施態様は、塗工白板紙が両面に塗工されている。
本発明の構成とすることによって、塗工液を塗工し乾燥した後、グロスカレンダー又はソフトカレンダーで光沢仕上げされた塗工白板紙について、微小光沢ムラが少なく面質に優れ、白紙塗工面の75度ISO光沢度が高く、かつ、糊貼りなどの加工適性に優れる塗工白板紙が得られる。斯かる効果が得られる理論的根拠は必ずしも明確ではないが、2層以上塗工してなる塗工白板紙の最上層の塗工液に特定の粒度分布のデラミネーテッドカオリンを含有することによって表面での顔料の均一な被覆及び配向が達成されると考えられる。これによって微小光沢ムラが少なく高い白紙塗工面の75度ISO光沢度が得られる。
また、糊貼りなどの加工適性に優れるが乾燥時に収縮し顔料の配向を乱れやすくするブタジエン含有量が高いスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを最上層の塗工液に含有しても、前記の特定のデラミネーテッドカオリンを含有することで表面での顔料の均一な被覆及び配向が維持されるとともに、グロスカレンダー又はソフトカレンダー処理によって過度に高温とせずとも十分な白紙塗工面の75度ISO光沢度が得られるため、微小光沢ムラが生じ難い。
さらに、最上層の塗工液にプラスチックピグメントを含有することによって、高い白紙塗工面の75度ISO光沢度が得られる。また、プラスチックピグメントを含有することによってグロスカレンダー又はソフトカレンダーの処理による過度に高温とせずとも十分な白紙塗工面の75度ISO光沢度が得られるため、微小光沢ムラが生じ難い。
前述したように本発明の塗工白板紙は、塗工液を塗工し乾燥した後、グロスカレンダー又はソフトカレンダーで光沢仕上げされ、微小光沢ムラが少なく面質に優れ、白紙塗工面の75度ISO光沢度が高く、かつ、糊貼りなどの加工適性に優れる塗工白板紙を提供できる。
本発明において、顔料とバインダーを主成分として含有する塗工液を2層以上塗工し乾燥した後、グロスカレンダー又はソフトカレンダー処理してなる塗工白板紙において、最上層の塗工液にレーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が2.5以上、好ましくは3.0〜10.0、特に好ましくは3.0〜8.5以下、レーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が38%以上、好ましくは42%〜95%、特に好ましくは40〜85%のデラミネーテッドカオリンを全顔料の40〜80質量%、好ましくは40〜75質量%、特に好ましくは43〜73質量%含有せしめることが必要である。デラミネーテッドカオリンのレーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が2.5未満及び/又はレーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が38%未満の場合には、微小光沢ムラ及び/又は白紙塗工面の75度ISO光沢度が劣り、含有量が35質量%未満では、微小光沢ムラ及び/又は白紙塗工面の75度ISO光沢度が劣り、80質量%より多い場合は、糊貼りなどの加工適性が劣る。使用モノマー中のブタジエン含有量が30〜50質量%、特に好ましくは32〜48質量%のスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを含有せしめることが必要である。使用モノマー中のブタジエン含有量が30質量%未満の場合は、糊貼りなどの加工適性が劣る。また、レーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が10.0を超えるか及び/又はレーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が95%を超える場合には、糊貼りなどの後加工適性が劣る問題を生じ易い。さらに、ブタジエン含有量が50質量%を超えると、微小光沢ムラ及び/又は白紙塗工面の75度ISO光沢度が劣る問題を生じ易い。
さらに、最上層の塗工液の顔料としてプラスチックピグメントを全顔料の3質量%以上、好ましくは3〜30質量%、特に好ましくは5〜25質量%含有せしめることによって微小光沢ムラの低減及び/又は高い白紙塗工面の75度ISO光沢度が得られる。3質量%未満では、効果が乏しい。また、含有量を多くすることによって効果は大となるが、コスト、操業性などの兼ね合いで要求される品質によってその都度決められるものであるが、30質量%を超えて配合しても要するコストに対する効果が乏しく、塗工性の悪化や塗工後カレンダー処理でのダスティング増加などの操業性の問題を生じ易い。
本発明において、グロスカレンダー又はソフトカレンダーの処理は、金属ロール温度が115℃以上、好ましくは120〜250℃、特に好ましくは130〜200℃で行う必要がある。115℃未満では、微小光沢ムラは良化傾向となるが、白紙塗工面の75度ISO光沢度の向上が不十分となり、十分な白紙塗工面の75度ISO光沢度を得ようとするとニップ数を増やさなければならなくため、省力、省スペース化のメリットが少なくなる。また、250℃を超えると白色度の低下やダスティング増加などの問題が生じ易い。
また、塗工面のJIS P 8142に規定する白紙塗工面の75度ISO光沢度が50%以上、好ましくは55%以上である。白紙塗工面の75度ISO光沢度50%未満では、グロスカレンダー又はソフトカレンダーの処理において温度が低くてすむため微小光沢ムラが生じ難い。
次に本発明に使用する薬剤などの好ましい形態例を上げて具体的に説明する。
本発明に使用する塗工液に使用する他の顔料としては、前記範囲外のデラミネーテッドカオリン、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、シリカ,水酸化アルミニウム、サチンホワイト、珪藻土、ホワイトカーボンなどの通常紙塗工用顔料として知られているものの中から適宜使用できる。
本発明に使用する塗工液に使用するスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスとは、モノマーとしてスチレンとブタジエンを含み、必要に応じ他のモノマーを共重合させたり、化学反応に共重合体を変性させたりした、紙塗工用に一般的に使用される共重合体ラテックスである。他のモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリル、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニルなどのビニル系モノマーが良く使用されるものである。また、スチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス以外に用いられるバインダーとしては、スチレン・アクリル系、酢酸ビニル・アクリル系、ブタジエン・メチルメタクリル系などの各種共重合体ラテックス、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などの澱粉類、カゼイン、大豆蛋白などの蛋白類、ポリビニールアルコールなどのその他水溶性バインダーの中から適宜使用できる。
本発明の塗工液には、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤など通常の塗工液に配合される各種助剤を適宜使用してもよい。
なお、下塗り塗工液については、特に限定されるものではなく、塗工白板紙の品質設計に応じて、適宜配合を選択できるものである。すなわち、塗工液構成としては、一般に塗工白板紙分野で使用されている顔料及び接着剤を主成分とする塗工液が用いられる。顔料としては、例えばカオリン、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、シリカ,水酸化アルミニウム、サチンホワイト、珪藻土、ホワイトカーボンなどが例示できる。また、接着剤としては、例えばスチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、酢酸ビニル・アクリル系、ブタジエン・メチルメタクリル系などの各種共重合体等ラテックス、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、ヒドロシキエチル化澱粉などの澱粉類、カゼイン、大豆蛋白などの蛋白類、ポリビニールアルコールなどのその他水性接着剤等が例示できる。また、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤などの各種助剤を使用してもよい。これらは、いずれも必要に応じて単独又は2種類以上を選択して使用してよい。
本発明の原紙としては、従来の塗工白板紙の製造に使用される2層以上積層された原紙を特に制限なく使用でき、例えば、坪量100〜800g/m程度の多層抄板紙を用いることができる。より好ましくは、坪量120〜600g/mである。また、原紙に使用するパルプは、通常塗工白板紙に用いるパルプが使用でき、例えば化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプなどがある。さらに、原紙に内添される填料としては、通常塗工白板紙に用いる填料が使用でき、例えばタルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、デラミネーテッドカオリン、二酸化チタン、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土、水酸化アルミニウムなどがある。なお、原紙には、歩留り向上剤、濾水向上剤、サイズ剤、紙力向上剤、着色剤などの通常の塗工白板紙原紙抄造に用いられる薬品を適宜使用してもよい。
塗工方式については特に制限はなく、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、ロールコーターなどの通常の各種塗工装置を用い、2層以上塗工する。塗工量についても特に制限はないが、各層とも固形分で3〜35g/mが好ましい。より好ましくは、5〜20g/mである。各層を塗工する毎に、又は2層以上を塗工した後に乾燥する。
塗工、乾燥された後、グロスカレンダー又はソフトカレンダーで光沢仕上げされる。グロスカレンダー又はソフトカレンダーは、通紙の容易さ、省スペースを考慮して2〜6ニップが好ましい、特に4ニップが好ましい。弾性ロールは、鋼鉄の鉄心が合成ゴム又は合成樹脂で覆われており、また、金属ロールはチルドロール、鋼鉄ロールなどが使用される。
次に、実施例を用いて、更に詳細に本発明の効果を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、全顔料を100質量部に対する質量部である。
[実施例1]
坪量200g/mの多層抄板紙原紙に、次に記載の各塗工液を塗工し乾燥した後、金属ロール温度130℃の4ニップのグロスカレンダーで光沢仕上げし、塗工白板紙を作成した。
下塗り塗工液として、カオリン30質量部、重質炭酸カルシウム30質量部、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス15質量部及び燐酸エステル化澱粉3質量部を含有するように調整し、ブレードコーターで片面9g/m(乾燥質量)ずつ両面に塗工した。
最上層用の上塗り塗工液として、レーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が3.6であり、レーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が51%のデラミネーテッドカオリン(商品名:コンツアーエクストリーム、イメリス社製)65質量部、軽質炭酸カルシウム35質量%、使用モノマー中のブタジエン含有量40%のスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス15質量部、燐酸エステル化澱粉質量2部、ステアリン酸カルシウム0.5質量部を含有するように調製し、エアーナイフコーターで片面10g/m(乾燥質量)ずつ両面に塗工した。
[実施例2]
最上層用の上塗り塗工液を調整するときに、使用モノマー中のブタジエン含有量が32質量%のスチレン・ブタジエン共重合体ラテックスを用いた以外は実施例1と同様に塗工白板紙を作成した。
[実施例3]
最上層用の上塗り塗工液を調整するときに、使用モノマー中のブタジエン含有量が48質量%のスチレン・ブタジエン共重合体ラテックスを用いた以外は実施例1と同様に塗工白板紙を作成した。
[実施例4]
最上層用の上塗り塗工液を調整するときに、レーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が3.6であり、レーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が51%のデラミネーテッドカオリン(商品名:コンツアーエクストリーム、イメリス社製)50質量部、軽質炭酸カルシウム40質量部、プラスチックピグメント10質量部の割合で含有した以外は実施例1と同様に塗工白板紙を作成した。
[比較例1]
最上層用の上塗り塗工液を調整するときに、レーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が3.6であり、レーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が51%のデラミネーテッドカオリン(商品名:コンツアーエクストリーム、イメリス社製)30質量部、軽質炭酸カルシウム70質量部の割合で含有した以外は実施例1と同様に塗工白板紙を作成した。
[比較例2]
最上層用の上塗り塗工液を調整するときに、レーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が3.6であり、レーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が51%のデラミネーテッドカオリン(商品名:コンツアーエクストリーム、イメリス社製)100質量部の割合で含有した以外は実施例1と同様に塗工白板紙を作成した。
[比較例3]
最上層用の上塗り塗工液を調整するときに、レーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が8.6であり、レーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が18%のデラミネーテッドカオリン(商品名:コンツアー1500、イメリス社製)65質量部、軽質炭酸カルシウム35質量部の割合で含有した以外は実施例1と同様に塗工白板紙を作成した。
[比較例4]
最上層用の上塗り塗工液を調整するときに、レーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が9.2であり、レーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が12%のデラミネーテッドカオリン(商品名:アストラプレート、イメリス社製)65質量部、軽質炭酸カルシウム35質量部の割合で含有した以外は実施例1と同様に塗工白板紙を作成した。
[比較例5]
最上層用の上塗り塗工液を調整するときに、レーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が1.6であり、レーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が94%のカオリン(商品名:DBグレーズ、イメリス社製)65質量部、軽質炭酸カルシウム35質量部の割合で含有した以外は実施例1と同様に塗工白板紙を作成した。
[比較例6]
最上層用の上塗り塗工液を調整するときに、レーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が3.2であり、レーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が32%のカオリン(商品名:カピムDG、イメリス社製)65質量部、軽質炭酸カルシウム35質量部の割合で含有した以外は実施例1と同様に塗工白板紙を作成した。
[比較例7]
最上層用の上塗り塗工液を調整するときに、使用モノマー中のブタジエン含有量が28質量%のスチレン・ブタジエン共重合体ラテックスを用いた以外は実施例1と同様に塗工白板紙を作成した。
[比較例8]
グロスカレンダーの金属ロール温度105℃とした以外は実施例1と同様に塗工白板紙を作成した。
[品質評価試験方法]
実施例及び比較例によって作製された各塗工白板紙について評価を行った。
1)レーザー法粒度分布測定によるメジアン径及び1μm以下の粒子の体積分布:堀場製作所製LA920型で測定した。
2)沈降法粒度分布測定による平均粒子径d50:マイクロメリティックス社製セディグラフ5100で測定した。
3)白紙塗工面のISO光沢度:JIS P 8142に従い、村上色彩研究所製の光沢度計を用い角度75度で測定した。
4)微小光沢ムラ:次の4段階で目視評価した。
◎:ムラの発生がなく、実用上問題がない。
○:ムラの発生が僅かに認められるが、実用上問題がない。
△:ムラの発生が多く認められ、実用上問題がある。
×:ムラの発生が非常に多く認められ、実用上問題がある。
5)糊貼り:塗工板紙表面にライフボンドAV−650(日栄加工社製)を幅1mm、長さ5mm、厚さ0.1mmとなるようにスペーサーを用いて塗布し、この塗布面に同じ種類の紙の裏面が対面するように重ね、1kgの質量を1分間かけて圧着、1kgの質量を除いた後、温度23℃、湿度50%の環境下に24時間放置する。その後、剥ぎ取り、接着状態から次のように判断する。
◎:接着部分のうち原紙層から剥がれている面積の割合が100%であり、実用上問題がない。
○:接着部分のうち原紙層から剥がれている面積の割合が100%未満、75%以上であり、実用上問題がない。
△:接着部分のうち原紙層から剥がれている面積の割合が75%未満、50%以上であり、実用上問題がある。
×:接着部分のうち原紙層から剥がれている面積の割合が50%未満であり、実用上問題がある。
Figure 0005128460
Figure 0005128460
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜4は微小光沢ムラが少なく、かつ、白紙塗工面の75度ISO光沢度が高く、糊貼りに優れている。
これに対して、比較例1は微小光沢ムラが多い。比較例2、7は、糊貼りが劣る。比較例3、4、6、8は、白紙塗工面の75度ISO光沢度が劣る。比較例5は、微小光沢ムラが多く、糊貼りが劣る。
したがって、本発明の塗工白板紙は、微小光沢ムラが少なく面質に優れ、白紙塗工面の75度ISO光沢度が高く、かつ、糊貼りなどの加工適性に優れる。

Claims (4)

  1. 2層以上積層された原紙に顔料とバインダーを主成分として含有する塗工液を2層以上塗工してなる塗工白板紙において、レーザー法粒度分布測定によるメジアン径と沈降法粒度分布測定による平均粒径d50との比(メジアン径/d50)が2.5以上であり、かつ、レーザー法粒度分布測定による1μm以下の粒子の体積分布が38%以上のデラミネーテッドカオリンを全顔料の40〜80質量%、使用モノマー中のブタジエン含有量が30〜50質量%のスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを含有する塗工液を最上層に塗工し乾燥した後、115℃以上の高温でグロスカレンダー又はソフトカレンダーで処理することによって光沢付けしたことを特徴とする塗工白板紙。
  2. 前記最上層の塗工液の顔料としてプラスチックピグメントを全顔料の3質量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の塗工白板紙。
  3. JIS P 8142:2005「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に規定する白紙塗工面の75度ISO光沢度が50%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗工白板紙。
  4. 両面に塗工されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の塗工白板紙。
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