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JP5126862B1 - 金属微粒子の製造方法 - Google Patents

金属微粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

粒子径が制御された金属微粒子の製造方法を提供する。
少なくとも2種類の被処理流動体を用い、そのうちで少なくとも1種類の被処理流動体は金属及び/または金属化合物を溶媒に溶解した金属溶液であり、上記以外の被処理流動体で少なくとも1種類の被処理流動体は還元剤を含む還元剤流体であり、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面1,2間にできる薄膜流体中で上記被処理流動体を混合し、粒子径が制御された金属微粒子を析出させる。その際、処理用面1,2間に導入される金属溶液と還元剤流体との少なくとも何れか一方に関する特定の条件を変化させることによって、金属微粒子の粒子径を制御する。上記特定の条件は、金属溶液及び/または還元剤流体の導入速度と、金属溶液及び/または還元剤流体のpHとからなる群から選択された少なくとも1種とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、金属微粒子の製造方法に関する。
近年、触媒、導電性材料、磁性材料、二次電子放出材料、発光体、吸熱体、エネルギー貯蔵、電極材料、色材など、幅広い分野において金属微粒子が求められており、その目的に応じた粒子径をもつ金属微粒子が必要とされている。貴金属、卑金属ともに注目が集まっており、例えば代表的な卑金属であるニッケルは、磁気記録媒体用途などの磁性材料や、触媒、積層セラミックコンデンサや基板における内部伝導性材料または電極材料など、広く使用されている。特に、金属の有する熱収縮特性などの点から、粒度分布の狭い金属微粒子が求められており、その性能や取り扱いやすさによって、異なる粒子径の金属微粒子を作り分ける必要がある。以上のことから、金属微粒子を工業的に活用するためには、安定的且つ大量生産が可能な製造方法だけではなく、精度良く且つ効率的に粒子径を制御できる金属微粒子の製造方法が懇願されている。
金属微粒子の製造方法としては、各種あるが、気相法においては、特許文献1に示されたような金属イオンを含む溶液を噴霧熱分解する方法などが一般的である。しかしながら、上記の方法によって作製される粒子の粒子径や結晶型を均一にする事が難しく、また装置も大きくなり、エネルギーコストが高くなるなどの問題がある。また、液相法としては、特許文献2に示されたような一般的にポリオール還元と呼ばれる方法などがあるが、作製される粒子の粒子径を制御する具体的な方法はこれまで開示されておらず、特にバッチ式の場合には、粒子径を揃えることが難しく上記問題となる粗大粒子の発生及びその分級作業に問題があるなど、産業上において金属微粒子の粒子径を制御することは非常に困難であった。
本願出願人によって特許文献3のような金属微粒子の製造方法が提供されたが、特許文献3においても作製される金属微粒子の粒子径の制御方法については具体的に開示されていなかった。
特開2002−294312号公報 特開2009−24254号公報 国際公開WO2009/008390号パンフレット
本発明はこのことに鑑み、粒子径が制御された金属微粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用面間において、被処理流動体として金属及び/または金属化合物を溶解した金属溶液と還元剤を含む還元剤流体とを混合して、金属微粒子を析出させる際に、上記金属溶液と還元剤流体との少なくとも何れか一方に関する特定の条件を変化させる事によって、粒子径が制御された金属微粒子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、少なくとも2種類の被処理流動体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の被処理流動体は、少なくとも1種類の金属及び/または金属化合物を溶媒に溶解した金属溶液であり、上記以外の被処理流動体で少なくとも1種類の被処理流動体は、還元剤を少なくとも1種類含む還元剤流体であり、上記の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で混合し、粒子径が制御された金属微粒子を析出させる金属微粒子の製造方法において、上記還元剤流体が上記薄膜流体を形成しながら上 記少なくとも2つの処理用面間を通過し、上記還元剤流体が流される流路とは独立した別 途の導入路を備えており、上記2つの処理用面の少なくとも何れか一方に、上記別途の導 入路に通じる開口部を備え、上記金属溶液を、上記開口部から上記少なくとも2つの処理 用面の間に導入し、上記の被処理流動体を上記薄膜流体中で混合するものであり、上記開 口部からの金属溶液の導入速度を変化させることによって、金属微粒子の粒子径を制御す るものであり、上記金属溶液が、ニッケル化合物を溶媒に溶解したニッケル溶液、錫化合 物を溶媒に溶解した錫溶液、金化合物を溶媒に溶解した金溶液の何れか一種であり、上記 還元剤流体は、上記の還元剤を溶媒と混合または溶解した還元剤溶液であり、上記金属溶 液の導入速度が速いほど、粒子径が大きい金属微粒子が得られるよう制御するものであることを特徴とする、金属微粒子の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記金属溶液のpHを変化させるものとして実施することができる。
上記本発明の実施の態様の単なる一例を示せば、被処理流動体に圧力を付与する流体圧付与機構と、上記少なくとも2つの処理用面のうち第1処理用面を備えた第1処理用部と、上記少なくとも2つの処理用面のうち第2処理用面を備えた第2処理用部とを備え、これらの処理用部を相対的に回転させる回転駆動機構とを備え、上記の各処理用面は、上記の圧力が付与された被処理流動体が流される、密封された流路の一部を構成するものであり、上記第1処理用部と第2処理用部のうち、少なくとも第2処理用部は受圧面を備えるものであり、且つ、この受圧面の少なくとも一部が上記第2処理用面により構成され、この受圧面は、上記の流体圧付与機構が被処理流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面から第2処理用面を離反させる方向に移動させる力を発生させ、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する第1処理用面と第2処理用面との間に上記の圧力が付与された被処理流動体が通されることにより、上記被処理流動体が上記薄膜流体を形成し、この薄膜流体中において粒子径が制御された金属微粒子を析出させる金属微粒子の製造方法として実施することができる。
また、上記本発明の実施の態様の単なる一例を示せば、上記の被処理流動体のうちの少なくともいずれか1種の流体が上記薄膜流体を形成しながら上記両処理用面間を通過し、上記少なくともいずれか1種の流体が流される流路とは独立した別途の導入路を備えており、上記第1処理用面と第2処理用面の少なくとも何れか一方が、上記の導入路に通じる開口部を少なくとも一つ備え、上記少なくともいずれか1種の流体とは異なる少なくとも1種の流体を、上記開口部から上記処理用面の間に導入し、上記の被処理流動体を上記薄膜流体中で混合し、この薄膜流体中において粒子径が制御された金属微粒子を析出させる金属微粒子の製造方法としてとして実施することができる。
本発明は、従来の製造方法では困難であった、金属微粒子の粒子径の制御を可能とし、粒子径が制御された金属微粒子を簡単且つ連続的に製造する事を可能とした。また、簡単な処理条件の変更によって、得られる金属微粒子の粒子径を制御することが可能となったため、これまで以上に低コスト、低エネルギーで目的に応じた異なる粒子径の金属微粒子を作り分ける事が可能となり、安価且つ安定的に金属微粒子を提供する事ができる。
本発明の実施の形態に係る流体処理装置の略断面図である。 (A)は図1に示す流体処理装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は同装置の処理用面の要部拡大図である。 (A)は同装置の第2導入部の断面図であり、(B)は同第2導入部を説明するための処理用面の要部拡大図である。 実施例1において作製したニッケル微粒子のSEM写真である。 実施例8において作製したニッケル微粒子のSEM写真である。
以下に、本発明の実施の形態の一例について、具体的に説明する。
(金属)
本発明における金属溶液は、金属及び/または金属化合物を溶媒に溶解したものである。
本発明における金属は、特に限定されない。好ましくは化学周期表上における全ての金属である。金属元素としては、例えば、Ti,Fe,W,Pt,Au,Cu,Ag,Pb,Ni,Mn,Co,Ru,V,Zn,Zr,Sn,Ta,Nb,Hf,Cr,Mo,Re,In、Ir、Os、Y、Tc、Pd、Rh,Sc、Ga,Al,Bi、Na,Mg,Ca,Ba、La、Ce,Nd、Ho,Euなどの金属元素が挙げられる。また、本発明においては、それらの金属元素に加えて、B,Si,Ge,As,Sb,C,N,O,S,Te,Se,F,Cl,Br,I,Atの非金属元素を挙げることができる。それらの金属について、単一の元素であっても良く、複数の金属元素からなる合金や金属元素に非金属元素を含む物質であっても良い。当然、卑金属と貴金属の合金としても実施できる。
(金属化合物)
また、上記の金属(上記に列挙した非金属元素をも含む)の単体に加えて、それら金属の化合物である金属化合物を溶媒に溶解したものを金属溶液として用いることができる。本発明における金属化合物としては特に限定されないが、例えば、金属の塩、酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、窒化物、炭化物、錯体、有機塩、有機錯体、有機化合物、またはそれら金属化合物の水和物や有機溶媒和物などが挙げられる。金属塩としては、特に限定されないが、金属の硝酸塩や亜硝酸塩、硫酸塩や亜硫酸塩、蟻酸塩や酢酸塩、リン酸塩や亜リン酸塩、次亜リン酸塩や塩化物、オキシ塩やアセチルアセトナート塩、またはそれら金属塩の水和物や有機溶媒和物などや、有機化合物としては金属のアルコキシドなどが挙げられる。これらの金属化合物は単独で使用しても良く、複数以上が混合された混合物として使用しても良い。また、上記の金属及び/または金属化合物は、後述する溶媒に溶解された金属溶液として用いる事が好ましい。
(還元剤)
本発明に用いる還元剤としては、上記の金属溶液中に含まれる、金属及び/または金属化合物、好ましくは金属イオンを還元することができる物質であり、特に限定されないが、ヒドラジンまたはヒドラジン一水和物、ホルムアルデヒド、スルホキシル酸ナトリウム、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム金属塩、水素化トリエチルホウ素金属塩、グルコース、クエン酸、アスコルビン酸、タンニン酸、ジメチルホルムアミド、ピロガロール、テトラブチルアンモニウムボロヒドリド、次亜リン酸ナトリウム(NaHPO・HO)、ロンガリットC(NaHSO・CHO・2HO)、金属の化合物またはそれらのイオン、好ましくは遷移金属の化合物またはそれらのイオン(鉄、チタンなど)などが挙げられる。上記に挙げた還元剤には、それらの水和物や有機溶媒和物、または無水物などを含む。これらの還元剤は、それぞれ単独で使用しても良く、複数以上が混合された混合物として使用しても良い。
本発明における還元剤流体は、上記の還元剤を少なくとも1種類含むものとする。また、上記の還元剤を後述する溶媒と混合または溶解して、還元剤溶液としたものを還元剤流体として使用しても良い。上記の還元剤流体には、分散液やスラリーなどの状態のものも含んでも実施できる。
(溶媒)
本発明に用いる溶媒としては特に限定されないが、イオン交換水やRO水、純水や超純水などの水や、メタノールやエタノールのようなアルコール系有機溶媒や、エチレングリコールやプロピレングリコール、トリメチレングリコールやテトラエチレングリコール、またはポリエチレングリコールやグリセリンなどのポリオール(多価アルコール)系有機溶媒、アセトンやメチルエチルケトンのようなケトン系有機溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチルのようなエステル系有機溶媒、ジメチルエーテルやジブチルエーテルなどのエーテル系有機溶媒、ベンゼンやトルエン、キシレンなどの芳香族系有機溶媒、ヘキサンや、ペンタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶媒などが挙げられる。また上記アルコール系有機溶媒やポリオール系有機溶媒を溶媒として用いた場合には、溶媒そのものが還元剤としても働く利点がある。上記溶媒はそれぞれ単独で使用しても良く、複数以上を混合して使用しても良い。
(流体処理装置)
本発明においては、少なくとも1種類の金属及び/または金属化合物を溶媒に溶解した金属溶液と、還元剤を少なくとも1種類含む還元剤流体との混合を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる、薄膜流体中で均一に攪拌・混合する方法を用いて行うことが好ましく、例えば、本願出願人による、特許文献3に示される装置と同様の原理の装置を用いて混合する事によって金属微粒子を析出させることが好ましい。このような原理の装置を用いる事によって、均一且つ均質に粒子径が制御された金属微粒子を作製する事が可能である。
以下、図面を用いて上記流体処理装置の実施の形態について説明する。
図1〜図3に示す流体処理装置は、特許文献3に記載の装置と同様であり、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間で被処理物を処理するものであって、被処理流動体のうちの第1の被処理流動体である第1流体を処理用面間に導入し、前記第1流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から被処理流動体のうちの第2の被処理流動体である第2流体を処理用面間に導入して処理用面間で上記第1流体と第2流体を混合・攪拌して処理を行う装置である。なお、図1においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示しているが、本発明において上下前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。図2(A)、図3(B)においてRは回転方向を示している。図3(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
この装置は、被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体については被処理物を少なくとも1種類含むものであり、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面を備え、これらの処理用面の間で上記の各流体を合流させて薄膜流体とするものであり、当該薄膜流体中において上記の被処理物を処理する装置である。この装置は、上述のとおり、複数の被処理流動体を処理することができるが、単一の被処理流動体を処理することもできる。
この流体処理装置は、対向する第1及び第2の、2つの処理用部10,20を備え、少なくとも一方の処理用部が回転する。両処理用部10,20の対向する面が、夫々処理用面となる。第1処理用部10は第1処理用面1を備え、第2処理用部20は第2処理用面2を備える。
両処理用面1,2は、被処理流動体の流路に接続され、被処理流動体の流路の一部を構成する。この両処理用面1,2間の間隔は、適宜変更して実施することができるが、通常は、1mm以下、例えば0.1μmから50μm程度の微小間隔に調整される。これによって、この両処理用面1,2間を通過する被処理流動体は、両処理用面1,2によって強制された強制薄膜流体となる。
この装置を用いて複数の被処理流動体を処理する場合、この装置は、第1の被処理流動体の流路に接続され、当該第1被処理流動体の流路の一部を形成すると共に、第1被処理流動体とは別の、第2被処理流動体の流路の一部を形成する。そして、この装置は、両流路を合流させて、処理用面1,2間において、両被処理流動体を混合し、反応させるなどの流体の処理を行なう。なお、ここで「処理」とは、被処理物が反応する形態に限らず、反応を伴わずに混合・分散のみがなされる形態も含む。
具体的に説明すると、上記の第1処理用部10を保持する第1ホルダ11と、第2処理用部20を保持する第2ホルダ21と、接面圧付与機構と、回転駆動機構と、第1導入部d1と、第2導入部d2と、流体圧付与機構pとを備える。
図2(A)へ示す通り、この実施の形態において、第1処理用部10は、環状体であり、より詳しくはリング状のディスクである。また、第2処理用部20もリング状のディスクである。第1、第2処理用部10、20の材質は、金属の他、セラミックや焼結金属、耐磨耗鋼、サファイア、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどを施工したものを採用することができる。この実施の形態において、両処理用部10,20は、互いに対向する第1、第2の処理用面1、2の少なくとも一部が鏡面研磨されている。
この鏡面研磨の面粗度は、特に限定されないが、好ましくはRa0.01〜1.0μm、より好ましくはRa0.03〜0.3μmとする。
少なくとも一方のホルダは、電動機などの回転駆動機構(図示せず)にて、他方のホルダに対して相対的に回転することができる。図1の50は、回転駆動機構の回転軸を示しており、この例では、この回転軸50に取り付けられた第1ホルダ11が回転し、この第1ホルダ11に支持された第1処理用部10が第2処理用部20に対して回転する。もちろん、第2処理用部20を回転させるようにしてもよく、双方を回転させるようにしてもよい。また、この例では、第1、第2ホルダ11、21を固定しておき、この第1、第2ホルダ11、21に対して第1、第2処理用部10、20が回転するようにしてもよい。
第1処理用部10と第2処理用部20とは、少なくとも何れか一方が、少なくとも何れか他方に、接近・離反可能となっており、両処理用面1,2は、接近・離反できる。
この実施の形態では、第1処理用部10に対して、第2処理用部20が接近・離反するもので、第2ホルダ21に設けられた収容部41に、第2処理用部20が出没可能に収容されている。但し、これとは、逆に、第1処理用部10が、第2処理用部20に対して接近・離反するものであってもよく、両処理用部10,20が互いに接近・離反するものであってもよい。
この収容部41は、第2処理用部20の、主として処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、平面視において、円を呈する、即ち環状に形成された、溝である。この収容部41は、第2処理用部20を回転させ得る十分なクリアランスを持って、第2処理用部20を収容する。なお、第2処理用部20は軸方向に平行移動のみが可能なように配置してもよいが、上記クリアランスを大きくすることにより、第2処理用部20は、収容部41に対して、処理用部20の中心線を、上記収容部41の軸方向と平行の関係を崩すように傾斜して変位できるようにしてもよく、さらに、第2処理用部20の中心線と収容部41の中心線とが半径方向にずれるように変位できるようにしてもよい。
このように、3次元的に変位可能に保持するフローティング機構によって、第2処理用部20を保持することが望ましい。
上記の被処理流動体は、各種のポンプや位置エネルギーなどによって構成される流体圧付与機構pによって圧力が付与された状態で、第1導入部d1と、第2導入部d2から両処理用面1、2間に導入される。この実施の形態において、第1導入部d1は、環状の第2ホルダ21の中央に設けられた通路であり、その一端が、環状の両処理用部10、20の内側から、両処理用面1、2間に導入される。第2導入部d2は、第1の被処理流動体と反応させる第2の被処理流動体を処理用面1,2へ供給する。この実施の形態において、第2導入部d2は、第2処理用部20の内部に設けられた通路であり、その一端が、第2処理用面2にて開口する。流体圧付与機構pにより加圧された第1の被処理流動体は、第1導入部d1から、両処理用部10,20の内側の空間に導入され、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通り、両処理用部10,20の外側に通り抜けようとする。これらの処理用面1,2間において、第2導入部d2から流体圧付与機構pにより加圧された第2の被処理流動体が供給され、第1の被処理流動体と合流し、混合、攪拌、乳化、分散、反応、晶出、晶析、析出などの種々の流体処理がなされ、両処理用面1,2から、両処理用部10,20の外側に排出される。なお、減圧ポンプにより両処理用部10,20の外側の環境を負圧にすることもできる。
上記の接面圧付与機構は、第1処理用面1と第2処理用面2とを接近させる方向に作用させる力を、処理用部に付与する。この実施の形態では、接面圧付与機構は、第2ホルダ21に設けられ、第2処理用部20を第1処理用部10に向けて付勢する。
前記の接面圧付与機構は、第1処理用部10の第1処理用面1と第2処理用部20の第2処理用面2とが接近する方向に押す力(以下、接面圧力という)を発生させるための機構である。この接面圧力と、流体圧力などの両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、nm単位ないしμm単位の微小な膜厚を有する薄膜流体を発生させる。言い換えれば、上記力の均衡によって、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保つ。
図1に示す実施の形態において、接面圧付与機構は、上記の収容部41と第2処理用部20との間に配位される。具体的には、第2処理用部20を第1処理用部10に近づく方向に付勢するスプリング43と、空気や油などの付勢用流体を導入する付勢用流体導入部44とにて構成され、スプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とによって、上記の接面圧力を付与する。このスプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とは、いずれか一方が付与されるものであればよく、磁力や重力などの他の力であってもよい。この接面圧付与機構の付勢に抗して、流体圧付与機構pにより加圧された被処理流動体の圧力や粘性などによって生じる離反力によって、第2処理用部20は、第1処理用部10から遠ざかり、両処理用面間に微小な間隔を開ける。このように、この接面圧力と離反力とのバランスによって、第1処理用面1と第2処理用面2とは、μm単位の精度で設定され、両処理用面1,2間の微小間隔の設定がなされる。上記離反力としては、被処理流動体の流体圧や粘性と、処理用部の回転による遠心力と、付勢用流体導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧、スプリング43を引っ張りスプリングとした場合のバネの力などを挙げることができる。この接面圧付与機構は、第2処理用部20ではなく、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。
上記の離反力について、具体的に説明すると、第2処理用部20は、上記の第2処理用面2と共に、第2処理用面2の内側(即ち、第1処理用面1と第2処理用面2との間への被処理流動体の進入口側)に位置して当該第2処理用面2に隣接する離反用調整面23を備える。この例では、離反用調整面23は、傾斜面として実施されているが、水平面であってもよい。被処理流動体の圧力が、離反用調整面23に作用して、第2処理用部20を第1処理用部10から離反させる方向への力を発生させる。従って、離反力を発生させるための受圧面は、第2処理用面2と離反用調整面23とになる。
さらに、この図1の例では、第2処理用部20に近接用調整面24が形成されている。この近接用調整面24は、離反用調整面23と軸方向において反対側の面(図1においては上方の面)であり、被処理流動体の圧力が作用して、第2処理用部20を第1処理用部10に接近させる方向への力を発生させる。
なお、第2処理用面2及び離反用調整面23に作用する被処理流動体の圧力、即ち流体圧は、メカニカルシールにおけるオープニングフォースを構成する力として理解される。処理用面1,2の接近・離反の方向、即ち第2処理用部20の出没方向(図1においては軸方向)と直交する仮想平面上に投影した近接用調整面24の投影面積A1と、当該仮想平面上に投影した第2処理用部20の第2処理用面2及び離反用調整面23との投影面積の合計面積A2との、面積比A1/A2は、バランス比Kと呼ばれ、上記オープニングフォースの調整に重要である。このオープニングフォースについては、上記バランスライン、即ち近接用調整面24の面積A1を変更することで、被処理流動体の圧力、即ち流体圧により調整できる。
摺動面の実面圧P、即ち、接面圧力のうち流体圧によるものは次式で計算される。
P=P1×(K−k)+Ps
ここでP1は、被処理流動体の圧力即ち流体圧を示し、Kは上記のバランス比を示し、kはオープニングフォース係数を示し、Psはスプリング及び背圧力を示す。
このバランスラインの調整により摺動面の実面圧Pを調整することで処理用面1,2間を所望の微小隙間量にし被処理流動体による流動体膜を形成させ、生成物などの処理された被処理物を微細とし、また、均一な反応処理を行うのである。
なお、図示は省略するが、近接用調整面24を離反用調整面23よりも広い面積を持ったものとして実施することも可能である。
被処理流動体は、上記の微小な隙間を保持する両処理用面1,2によって強制された薄膜流体となり、環状の両処理用面1、2の外側に移動しようとする。ところが、第1処理用部10は回転しているので、混合された被処理流動体は、環状の両処理用面1,2の内側から外側へ直線的に移動するのではなく、環状の半径方向への移動ベクトルと周方向への移動ベクトルとの合成ベクトルが被処理流動体に作用して、内側から外側へ略渦巻き状に移動する。
尚、回転軸50は、鉛直に配置されたものに限定するものではなく、水平方向に配位されたものであってもよく、傾斜して配位されたものであってよい。被処理流動体は両処理用面1,2間の微細な間隔にて処理がなされるものであり、実質的に重力の影響を排除できるからである。また、この接面圧付与機構は、前述の第2処理用部20を変位可能に保持するフローティング機構と併用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能する。
第1、第2処理用部10、20は、その少なくともいずれか一方を、冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよく、図1では、第1、第2処理用部10、20に温調機構(温度調整機構)J1,J2を設けた例を図示している。また、導入される被処理流動体を冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしもよい。これらの温度は、処理された被処理物の析出のために用いることもでき、また、第1、第2処理用面1、2間における被処理流動体にベナール対流若しくはマランゴニ対流を発生させるために設定してもよい。
図2に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1には、第1処理用部10の中心側から外側に向けて、即ち径方向について伸びる溝状の凹部13を形成して実施してもよい。この凹部13の平面形状は、図2(B)へ示すように、第1処理用面1上をカーブして或いは渦巻き状に伸びるものや、図示はしないが、真っ直ぐ外方向に伸びるもの、L字状などに屈曲あるいは湾曲するもの、連続したもの、断続するもの、枝分かれするものであってもよい。また、この凹部13は、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、第1及び第2の処理用面1,2の双方に形成するものとしても実施可能である。この様な凹部13を形成することによりマイクロポンプ効果を得ることができ、被処理流動体を第1及び第2の処理用面1,2間に吸引することができる効果がある。
この凹部13の基端は第1処理用部10の内周に達することが望ましい。この凹部13の先端は、第1処理用部面1の外周面側に向けて伸びるもので、その深さ(横断面積)は、基端から先端に向かうにつれて、漸次減少するものとしている。
この凹部13の先端と第1処理用面1の外周面との間には、凹部13のない平坦面16が設けられている。
前述の第2導入部d2の開口部d20を第2処理用面2に設ける場合は、対向する上記第1処理用面1の平坦面16と対向する位置に設けることが好ましい。
この開口部d20は、第1処理用面1の凹部13からよりも下流側(この例では外側)に設けることが望ましい。特に、マイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側の平坦面16に対向する位置に設置することが望ましい。具体的には、図2(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の最も外側の位置から、径方向への距離nを、約0.5mm以上とするのが好ましい。特に、流体中から微粒子を析出させる場合には、層流条件下にて複数の被処理流動体の混合と、微粒子の析出が行なわれることが望ましい。
この第2導入部d2は方向性を持たせることができる。例えば、図3(A)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、第2処理用面2に対して所定の仰角(θ1)で傾斜している。この仰角(θ1)は、0度を超えて90度未満に設定されており、さらに反応速度が速い反応の場合には1度以上45度以下で設置されるのが好ましい。
また、図3(B)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、上記の第2処理用面2に沿う平面において、方向性を有するものである。この第2流体の導入方向は、処理用面の半径方向の成分にあっては中心から遠ざかる外方向であって、且つ、回転する処理用面間における流体の回転方向に対しての成分にあっては順方向である。言い換えると、開口部d20を通る半径方向であって外方向の線分を基準線gとして、この基準線gから回転方向Rへの所定の角度(θ2)を有するものである。この角度(θ2)についても、0度を超えて90度未満に設定されることが好ましい。
この角度(θ2)は、流体の種類、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。また、第2導入部d2に方向性を全く持たせないこともできる。
上記の被処理流動体の種類とその流路の数は、図1の例では、2つとしたが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。図1の例では、第2導入部d2から処理用面1,2間に第2流体を導入したが、この導入部は、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。また、一種類の被処理流動体に対して、複数の導入部を用意してもよい。また、各処理用部に設けられる導入用の開口部は、その形状や大きさや数は特に制限はなく適宜変更して実施し得る。また、上記第1及び第2の処理用面間1、2の直前或いはさらに上流側に導入用の開口部を設けてもよい。
なお、処理用面1,2間にて上記処理を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
上記装置においては、析出・沈殿または結晶化のような処理が、図1に示すように、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間で強制的に均一混合しながら起こる。処理された被処理物の粒子径や単分散度は処理用部10、20の回転数や流速、処理用面1,2間の距離や、被処理流動体の原料濃度、または被処理流動体の溶媒種等を適宜調整することにより、制御することができる。
以下、上記の装置を用いて行う金属微粒子の製造方法の具体的な態様について説明する。
上記の装置において、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間に形成される薄膜流体中で、少なくとも1種類の金属及び/または金属化合物を溶媒に溶解した金属溶液と、還元剤を少なくとも1種類含む還元剤流体とを混合させ、粒子径が制御された金属微粒子を析出させる。その際、処理用面1,2間に導入される金属溶液と還元剤流体との少なくとも何れか一方に関する特定の条件を変化させることによって金属微粒子の粒子径を制御する。特定の条件としては、金属溶液と還元剤流体とのうちの少なくともいずれか一方の導入速度と、金属溶液と還元剤流体とのうちの少なくともいずれか一方のpHとからなる群から選択された少なくとも1種とする。
上記の金属微粒子の析出反応は、本願の図1に示す装置の、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間で強制的に均一混合しながら起こる。
まず、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として還元剤を少なくとも1種類含む還元剤流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体から構成された薄膜流体である第1流体膜を作る。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として少なくとも1種類の金属及び/または金属化合物を溶媒に溶解した金属溶液を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記のように、被処理流動体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を固定された処理用面1,2間にて、第1流体と第2流体とが混合され、粒子径を制御された金属微粒子の析出反応を行う事が出来る。
なお、処理用面1,2間にて上記反応を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
前述のように、第1導入部d1、第2導入部d2以外に第3導入部d3を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体、第2流体、第3流体として後述するpH調整物質を含む流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。そうすると、各溶液の濃度や圧力を個々に管理することができ、析出反応及び金属微粒子の粒子径をより精密に制御することができる。なお、各導入部へ導入する被処理流動体(第1流体〜第3流体)の組み合わせは、任意に設定できる。第4以上の導入部を設けた場合も同様であって、このように処理装置へ導入する流体を細分化できる。この場合、pH調整物質は、少なくとも上記の第3流体に含まれていればよく、上記の第1流体、上記の第2流体の少なくともいずれか一方に含まれていてもよく、上記第1流体及び第2流体の双方に含まれていなくてもよい。
さらに、第1、第2流体等の被処理流動体の温度を制御したり、第1流体と第2流体等との温度差(即ち、供給する各被処理流動体の温度差)を制御することもできる。供給する各被処理流動体の温度や温度差を制御するために、各被処理流動体の温度(処理装置、より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前の温度)を測定し、処理用面1,2間に導入される各被処理流動体の加熱又は冷却を行う機構を付加して実施することも可能である。
(導入速度変更)
本発明においては、処理用面1,2間に導入される、金属溶液と還元剤流体とのうちの少なくとも何れか一方の被処理流動体の導入速度を変化させる事によって、得られる金属微粒子の粒子径を制御する事が可能である。この方法を用いた場合には、金属溶液と還元剤流体とのうちの少なくとも何れか一方の導入速度を変化させるだけで、金属または金属化合物に対する還元剤の混合比を容易に制御できる利点があり、結果として作製される金属微粒子の粒子径を容易に制御できるため、これまでのように複雑な処方検討を必要とせず、目的に応じた粒子径の金属微粒子を作りわけることが可能である。
処理用面1,2間に導入される、金属溶液と還元剤流体とのうちの少なくとも何れか一方の導入速度を変化させる方法としては、特に限定されない。上記流体処理装置の流体圧付与機構pを用いて、処理用面1,2間に導入される、金属溶液と還元剤流体とのうちの少なくとも何れか一方の導入速度を変化させてもよいし、ポンプ等の送液装置を用いて、処理用面1,2間に導入される、金属溶液と還元剤流体とのうちの少なくとも何れか一方の導入速度を変化させてもよい。上記の流体圧付与機構pとポンプ等の送液装置とを組み合わせて実施してもよい。
(pH調整)
また、本発明においては、処理用面1,2間に導入される、金属溶液と還元剤流体とのうちの少なくとも何れか一方のpHを変化させることによって、金属微粒子の粒子径を容易に制御する事が可能である。具体的には、特に限定されないが、金属溶液と還元剤流体とのうちの少なくとも何れか一方に、後述するpH調整物質を含む事によってpHを変化させても良いし、原料となる上記金属及び/または金属化合物の溶媒への溶解濃度の変更や、還元剤流体に含まれる還元剤濃度の変更によって、pHを変化させても良い。さらに、複数種の金属及び/または金属化合物を溶媒に溶解するような方法や、還元剤流体に複数種の還元剤を含むなどの方法によって、金属溶液と還元剤溶液とのうちの少なくとも何れか一方のpHを変化させても実施できる。これらのpH調製によって、金属微粒子の粒子径を容易に制御でき、目的に応じた粒子径の金属微粒子を作りわけることが可能である。
(pH調整物質)
上記pHを調整するためのpH調整物質としては、特に限定されないが、塩酸や硫酸、硝酸や王水、トリクロロ酢酸やトリフルオロ酢酸、リン酸やクエン酸、アスコルビン酸などの無機または有機の酸のような酸性物質や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水酸化アルカリや、トリエチルアミンやジメチルアミノエタノールなどのアミン類などの塩基性物質、また上記酸性物質や塩基性物質の塩などが挙げられる。上記のpH調整物質は、それぞれ単独で使用しても良く、複数以上を混合して使用しても良い。金属溶液及び/または還元剤流体への上記pH調整物質の混合量や金属溶液及び/または還元剤流体の濃度を変化させることによって、金属溶液と還元剤流体とのうちの少なくとも何れか一方のpHを変化させることが可能である。
上記のpH調整物質は、金属溶液もしくは還元剤流体、またはその両方に含まれていてもよい。また、上記のpH調整物質は、金属溶液とも還元剤流体とも異なる第3の流体に含まれていてもよい。
(pH領域)
本発明における金属溶液及び/または還元剤流体のpHは特に限定されない。目的や対象となる金属種、粒子径などによって、適宜変更する事が可能である。
(分散剤等)
また、本発明においては、目的や必要に応じて各種分散剤や界面活性剤を用いる事ができる。特に限定されないが、界面活性剤及び分散剤としては一般的に用いられる様々な市販品や、製品または新規に合成したものなどを使用できる。一例として、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤や、各種ポリマーなどの分散剤などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の界面活性剤及び分散剤は、金属溶液もしくは還元剤流体、またはその両方に含まれていてもよい。また、上記の界面活性剤及び分散剤は、金属溶液とも還元剤流体とも異なる第3の流体に含まれていてもよい。
(温度)
本発明において、金属溶液と還元剤流体とを混合する際の温度は特に限定されない。用いる金属及び/または金属化合物の種類や還元剤の種類、対象とする金属種または上記pHなどによって適切な温度で実施することが可能である。
(金属微粒子)
本発明における金属微粒子は、単一の金属元素の微粒子のほか、複数の金属元素からなる合金の微粒子や金属元素と非金属元素とからなる微粒子であっても良い。また、本発明における金属微粒子は、B,Si,Ge,As,Sb,C,N,O,S,Te,Se,F,Cl,Br,I,Atの非金属元素をも金属元素として含むものとする。
また、本発明における金属微粒子は、酸化物や水酸化物、酸化水酸化物などを一部含んでも実施できる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
尚、以下の実施例において、「中央から」というのは、図1に示す処理装置の「第1導入部d1から」という意味であり、第1流体は、第1導入部d1から導入される、前述の第1被処理流動体を指し、第2流体は、図1に示す処理装置の第2導入部d2から導入される、前述の第2被処理流動体を指す。
(pH測定)
pH測定には、HORIBA製の型番D-51のpHメーターを用いた。各被処理流動体を流体処理装置に導入する前に、その被処理流動体のpHを室温にて測定した。
(走査型電子顕微鏡観察)
走査型電子顕微鏡(SEM)観察には、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM):日本電子製のJSM-7500Fを使用した。
実施例1〜10として、図1に示すように、特許文献3に示された装置と同様の原理の装置を用いて、処理用面1,2間に形成される薄膜流体中で金属化合物として硫酸ニッケル六水和物を用いたニッケル溶液と還元剤としてヒドラジン一水和物を用いた還元剤溶液とを混合し、薄膜流体中で金属微粒子としてニッケル微粒子を析出させた。その際、ニッケル溶液と還元剤溶液とのうちの少なくともいずれか一方の導入速度と、ニッケル溶液と還元剤溶液とのうちの少なくともいずれか一方のpHとからなる群から選択された少なくとも1種を変化させることによって、ニッケル微粒子の粒子径を制御した。
中央から第1流体として還元剤溶液を、供給圧力=0.50MPaG、回転数2000rpm、110℃で送液しながら、第2流体として、25℃のニッケル溶液を処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した。また、第1流体のpHは13.2であった。ニッケル微粒子分散液が処理用面より吐出された。吐出されたニッケル微粒子分散液を磁石の上に置き、ニッケル微粒子を沈降させ、上澄み液を除去した後に、メタノールにて洗浄する作業を3回行い、25℃の条件で大気圧にて乾燥した。乾燥後のニッケル微粒子粉体のXRD測定の結果、不純物のない、ニッケル微粒子が作製されたことが確認された。また、ニッケル微粒子の粒子径の確認は、SEM観察によって行い、その一次粒子径を判断した。SEM観察の観察条件としては、観察倍率を5千倍以上とし、3箇所の平均値を用いた。表1に、処理条件及び得られたニッケル微粒子の粒子径を示す。また、図4に実施例1において得られたニッケル微粒子のSEM写真、及び図5に実施例8において得られたニッケル微粒子のSEM写真を示す。
図4〜図5と表1から、ニッケル溶液と還元剤溶液とのうちの少なくともいずれか一方の導入速度と、ニッケル溶液と還元剤溶液とのうちの少なくともいずれか一方のpHとからなる群から選択された少なくとも1種を変化させることによって、得られたニッケル微粒子の粒子径が制御できていることが確認できた。
具体的には、第1流体及び第2流体のpHと第1流体の導入速度を一定とし、第2流体の導入速度を変化させた実施例1〜3においては、第2流体の導入速度が速いほど粒子径の大きいニッケル微粒子が得られた。第1流体及び第2流体のpHと第2流体の導入速度を一定とし、第1流体の導入速度を変化させた実施例1、4においては、第1流体の導入速度が遅い方が粒子径の大きいニッケル微粒子が得られた。
また、第1流体及び第2流体の導入速度と第1流体のpHを一定とし、第2流体のpHを変化させた実施例2、5〜6においては、第2流体のpHを変化させることによって異なる粒子径のニッケル微粒子が得られた。
ニッケル化合物の溶解濃度を変化させた実施例7〜10においても、実施例1〜6と同様の傾向が見られた。また、図4〜図5から、得られたニッケル微粒子は、均一且つ均質に粒子径が制御されていることが確認できた。
実施例11〜14として、図1に示すように、特許文献3に示された装置と同様の原理の装置を用いて、処理用面1,2間に形成される薄膜流体中で金属化合物として塩化錫を用いた錫溶液と還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元剤溶液とを混合し、薄膜流体中で金属微粒子として錫微粒子を析出させた。その際、錫溶液と還元剤溶液との少なくともいずれか一方の導入速度と、錫溶液と還元剤溶液との少なくともいずれか一方のpHとからなる群から選択された少なくとも1種を変化させることによって、錫微粒子の粒子径を制御した。
中央から第1流体として還元剤溶液を、供給圧力=0.50MPaG、回転数2000rpm、25℃で送液しながら、第2流体として、25℃の錫溶液を処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した。また、第1流体のpHは14.1であった。錫微粒子分散液が処理用面より吐出された。吐出された錫微粒子分散液を遠心分離にて沈降させ、上澄み液を除去した後に、メタノールにて洗浄する作業を3回行い、25℃の条件で大気圧にて乾燥した。乾燥後の錫微粒子粉体のXRD測定の結果、不純物のない、錫微粒子が作製されたことが確認された。また、錫微粒子の粒子径の確認は、SEM観察によって行い、その一次粒子径を判断した。SEM観察の観察条件としては、観察倍率を5千倍以上とし、3箇所の平均値を用いた。表2に、処理条件及び得られた錫微粒子の粒子径を示す。
表2から、錫溶液と還元剤溶液との少なくともいずれか一方の導入速度と、錫溶液と還元剤溶液との少なくともいずれか一方のpHとからなる群から選択された少なくとも1種を変化させることによって、得られた錫微粒子の粒子径が制御できていることが確認できた。具体的には、第1流体及び第2流体のpHと第1流体の導入速度を一定とし、第2流体の導入速度を変化させた実施例12〜14においては、第2流体の導入速度が速いほど粒子径の大きい錫微粒子が得られた。
実施例15〜21として、図1に示すように、特許文献3に示された装置と同様の原理の装置を用いて、処理用面1,2間に形成される薄膜流体中で金属化合物として塩化金酸を用いた金溶液と還元剤として硫酸鉄を用いた還元剤溶液とを混合し、薄膜流体中で金属微粒子として金微粒子を析出させた。その際、金溶液と還元剤溶液との少なくともいずれか一方の導入速度と、金溶液と還元剤溶液との少なくともいずれか一方のpHとからなる群から選択された少なくとも1種を変化させることによって、金微粒子の粒子径を制御した。
中央から第1流体として還元剤溶液を、供給圧力=0.50MPaG、回転数2000rpm、25℃で送液しながら、第2流体として、25℃の金溶液を処理用面1,2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前)にて測定した。金微粒子分散液が処理用面より吐出された。吐出された金微粒子分散液を遠心分離にて沈降させ、上澄み液を除去した後に、メタノールにて洗浄する作業を3回行い、25℃の条件で大気圧にて乾燥した。乾燥後の金微粒子粉体のXRD測定の結果、不純物のない、金微粒子が作製されたことが確認された。また、金微粒子の粒子径の確認は、SEM観察によって行い、その一次粒子径を判断した。SEM観察の観察条件としては、観察倍率を5千倍以上とし、3箇所の平均値を用いた。表3に、処理条件及び得られた金微粒子の粒子径を示す。
表3から、金溶液と還元剤溶液との少なくともいずれか一方の導入速度と、金溶液と還元剤溶液との少なくともいずれか一方のpHとからなる群から選択された少なくとも1種を変化させることによって、得られた金微粒子の粒子径が制御できていることが確認できた。具体的には、第1流体及び第2流体のpHと第1流体の導入速度を一定とし、第2流体の導入速度を変化させた実施例15〜17並びに実施例18〜21において、第2流体の導入速度が速いほど粒子径の大きい金微粒子が得られた。
1 第1処理用面
2 第2処理用面
10 第1処理用部
11 第1ホルダ
20 第2処理用部
21 第2ホルダ
d1 第1導入部
d2 第2導入部
d20 開口部

Claims (2)

  1. 少なくとも2種類の被処理流動体を用いるものであり、
    そのうちで少なくとも1種類の被処理流動体は、少なくとも1種類の金属及び/または金属化合物を溶媒に溶解した金属溶液であり、
    上記以外の被処理流動体で少なくとも1種類の被処理流動体は、還元剤を少なくとも1種類含む還元剤流体であり、
    上記の被処理流動体を、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で混合し、粒子径が制御された金属微粒子を析出させる金属微粒子の製造方法において、
    上記還元剤流体が上記薄膜流体を形成しながら上記少なくとも2つの処理用面間を通過し、
    上記還元剤流体が流される流路とは独立した別途の導入路を備えており、
    上記2つの処理用面の少なくとも何れか一方に、上記別途の導入路に通じる開口部を備え、
    上記金属溶液を、上記開口部から上記少なくとも2つの処理用面の間に導入し、上記の被処理流動体を上記薄膜流体中で混合するものであり、
    上記開口部からの金属溶液の導入速度を変化させることによって、金属微粒子の粒子径を制御するものであり、
    上記金属溶液が、ニッケル化合物を溶媒に溶解したニッケル溶液、錫化合物を溶媒に溶解した錫溶液、金化合物を溶媒に溶解した金溶液の何れか一種であり、
    上記還元剤流体は、上記の還元剤を溶媒と混合または溶解した還元剤溶液であり、
    上記金属溶液の導入速度が速いほど、粒子径が大きい金属微粒子が得られるよう制御するものであることを特徴とする、金属微粒子の製造方法。
  2. 上記金属溶液のpHを変化させることを特徴とする、請求項1に記載の金属微粒子の製造方法。
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