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JP5126573B2 - 打込機 - Google Patents

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Description

本発明は打込機に関する。
打込バネで付勢されるプランジャを打込バネの付勢力に抗して押上げ上死点側に移動させた後開放することによってプランジャを加速し、このプランジャで釘を被打込材に打込むバネ駆動式の打込機はすでに生産されている。この打込機では、プランジャの押上げをハウジング内に内蔵したモータにより行うことにより、プランジャ引き上げの労力を軽減させている。具体的には、特許文献1に示されるように、モータと減速歯車を介して連係された複数の回転歯車とを対向配置し、プランジャに形成された係合突起に各回転歯車の回転中心から偏心した位置に固定された駆動ピンを係合させる構造を採っており、この駆動ピンによりプランジャを所定ストローク押上げている。
特開平9―295283号公報
従来の打込機に使用されている打込バネは、上死点位置でモータ等により付勢されて弾性エネルギーが蓄えられ、打撃時に開放されて下死点側に移動している。打込バネの一端が下死点位置に到達した後は、打込バネの一端側から縮み初めて打込バネの他端側が下死点側へと移動し、下死点位置で打込バネに再び弾性エネルギーが蓄えられる。ある程度縮んだ後に打込バネは蓄えられた弾性エネルギーにより上死点側へと移動し、打込バネの他端が上死点位置に到達して打込バネに再度弾性エネルギーが蓄えられる。
この動作を上死点位置及び下死点位置で繰り返すことにより打込バネは減衰し、打込前の状態に戻るため、打込バネは常に端部から上死点位置及び下死点位置に到達し、必然的に打込バネの両端部が最も衝撃を受けて伸縮する箇所になる。よって打込バネは端部より劣化するおそれがあった。これに対し打込バネを大きくして強度を高めることなどが考えられるが、打込機が大型化しバネ定数が大きくなって打撃力が強くなりすぎ、作業性を損ねる場合があった。そこで本発明は、小型かつ高寿命化を図った打込機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、ハウジングと、該ハウジングに設けられたモータと、該ハウジング内において上死点と下死点との間を移動可能に保持され、打込具を打撃するプランジャと、該ハウジング内で該プランジャに対して上死点側に位置し、該モータにより圧縮されて弾性エネルギーが蓄積されると共に蓄積された該弾性エネルギーを開放することにより該プランジャを下死点方向に加速させるバネと、を備え、該バネは、伸縮方向の中央部のバネ定数に比べて、伸縮方向の端部のバネ定数が小さく構成されており、該バネは、両端部にそれぞれ座巻部と、該座巻部の間に位置する有効巻部とを有し、該有効巻部が不等ピッチであるコイルバネであり、該バネは、該プランジャが初期位置である下死点に位置するときに、下死点側端部が該プランジャに当接すると共に、上死点側端部が該ハウジングの一部に当接する長さを有して打込機を提供する。
このような構成によると、バネ端部のバネ定数が小さいため、バネ端部が伸縮しやすくなり、バネ端部に衝撃が加えられた際にも、容易にその衝撃を吸収することができる。よってバネ端部の伸縮に対する耐久性を向上させることができる。また中央部分は、バネ定数が高いため、プランジャの打撃に必要な弾性エネルギーを蓄積することができる。よって大きなバネを用いずとも好適に打撃を行うことができ、打込機の小型化を図ることができる。
また該不等ピッチコイルバネは巻線から構成され、該不等ピッチコイルバネの半径方向における該巻線の断面において該半径方向の長さが、該断面において該不等ピッチコイルバネの軸方向の長さより長く構成されていることが好ましく、該バネは座巻数の領域と有効巻数の領域とをそれぞれ有し、該有効巻数の領域が不等ピッチであることが好ましい。
この様な構成によると、同一の弾性エネルギーを蓄えられるバネにおいて、最も圧縮された状態でのバネ長を短くすることができる。よってバネの長さを短くすることができ、打込機を小型化することができる。
本発明の打込機によれば、小型かつ高寿命化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る打込機について、図1乃至図4に基づき説明する。図1に示される打込機である釘打機1は電動式であり、止具である図示せぬ釘を木材や石膏ボードなどの被打込材Wに打ち込むために用いられている。釘打機1はハウジング2と、モータ3と、クラッチ機構4と、伝達部5と、コイルバネ部6と、ノーズ部7と、マガジン8と、から主に構成されている。尚、後述のプランジャ63が移動する方向を上下方向と定義し、プランジャ63がコイルバネ部6を構成する後述のコイルバネ62により付勢されて図示せぬ釘を打撃する方向を下方向と定義して以下説明する。
ハウジング2は、ナイロンまたはポリカーボネイト等の樹脂から構成されており、内部にモータ3等を内蔵している。ハウジング2の上側部分には、ハンドル21が設けられており、ハンドル21にはモータ3の制御を行うトリガ21Aが設けられている。またハンドル21端部には、モータ3に電力を供給する着脱式の電池22が設けられている。
モータ3は、ハウジング2内であってハンドル21の下側に設けられており、回転軸が上下方向と直交する方向になるように配置されている。モータ3の回転軸には、第一プーリ31が設けられており、第一プーリ31には、ベルト32が掛けてある。ベルト32は、第一プーリ31から上方へ向けて延出されており、ベルト32の上端位置で第二プーリ33に掛けられている。第二プーリ33は、ハウジング2に回転可能に支持されると共に、同軸回転する第一ギア34が併設されている。第一ギア34の上方には、第一ギア34と噛合する第二ギア35が配置されている。第二ギア35は、ハウジング2に回転可能に支持されると共に、同軸回転する第三ギア36が併設されている。第三ギア36の上方には、第三ギア36と噛合する第四ギア37が設けられている。これら第一プーリ31〜第四ギア37により、モータ3の回転数が減じられてクラッチ機構4に伝達される。
クラッチ機構4は、一端が第四ギア37に同軸回転可能に接続されており、他端に後述のドラム51が同軸回転可能に接続されている。クラッチ機構4は、一端側が第四ギア37により所定角度(後述のプランジャ63が上死点まで到達するに必要な角度、約270°)回転されるまでは、一端側と他端側とを接続して一体に同軸回転させている。またクラッチ機構4は一端側が所定角度回転した状態で一端側と他端側との接続を遮断し、一端側(第四ギア37側)に対して他端側(ドラム51側)を同軸上で自由に回転可能にしている。
伝達部5は、ドラム51とワイヤ52とから主に構成されている。ドラム51は略円板状に構成されて後述のブレード63Bの軸上に配置されている。ワイヤ52は、一方がドラム51の外周部分に形成されている溝内に固定され、他方が後述の付勢部63Aに接続されており、繊維状の鋼線を束ねて構成されるとともに表面に樹脂コーティングされている。
コイルバネ部6は、バネガイド61と、コイルバネ62と、プランジャ63とから主に構成されている。バネガイド61は、ハウジング2とは別体に構成され、アルミ製またはナイロン、ポリカーボネイト等の樹脂製であって筒状に形成されており、その軸方向が上下方向になるようにハウジング2内に配置されている。
コイルバネ62は、鋼線が巻回された巻線から構成されており、その外径がバネガイド61の内径より僅かに小さくなるよう製作され、バネガイド61内に挿入されて配置されている。コイルバネ62は、図2に示されるように、両端部に座巻部分Eがそれぞれ規定されると共に、一端の座巻部分Eと他端の座巻部分Eとの間に有効巻部分Aが規定されている。有効巻部分Aは両端が密になって低バネ定数であり、中央が粗になって高バネ定数となる不等ピッチスプリングから構成されている。よってコイルバネ62においては、両端部において衝撃を吸収し易くなると共に、中央部において大きな衝撃を吸収することができ、コイルバネ62全体としては、等ピッチのバネと同様の弾性エネルギーを蓄積することができる。このコイルバネ62において、低バネ定数部分であって下死点側になり一端の座巻部分Eを含む端部を第一端部62Aと定義し、同じく低バネ定数部分であって上死点側になり他端の座巻部分Eを含む端部を第二端部62Bと定義する。有効巻部分Aであってコイルバネ62の高バネ定数部分である略中央部分を中央部62Cと定義する。
一般的に従来の釘打機では、プランジャを駆動するコイルバネの端部とプランジャとの密着度を高めるため、端部一ターン目だけ不等ピッチにする端部添え巻きコイルバネが使用されている。しかし、二ターン目からは均等ピッチであるため、全ターンが均等ピッチのコイルバネと寸法・質量ともに大差は無い。
これに対して本実施の形態に係るコイルバネ62では端部より数えて約2ターン目以上の領域で不等ピッチの領域(有効巻部分A)を有しており、この不等ピッチ領域(有効巻部分A)においては中央に近いほうがより大きいピッチとなっている。この形状を採ることにより、従来のコイルバネよりも著しく軽量・小型化を達成できている。
図1に示されるように、プランジャ63は上述した付勢部63Aとブレード63Bとから構成されている。付勢部63Aは、コイルバネ62の下方側の端部に位置し、その外径がコイルバネ62の外径と略同径の金属板により円盤状に構成され、中心部分でコイルバネ62内に挿通されたワイヤ52の他方側端部に連結されている。よって付勢部63Aは、ワイヤ52により牽引され、コイルバネ62の付勢力に抗ってバネガイド61内を上方に移動してコイルバネ62を圧縮することができる。付勢部63Aがコイルバネ62に付勢されて通常位置している位置を下死点と定義し、付勢部63Aが牽引されて最も上方に移動した位置を上死点と定義する。
ブレード63Bは、細長い板状に構成されており、付勢部63Aの略中心部分であってワイヤ52との接続箇所の裏面となる位置から下側に延出されて設けられている。ハウジング2内において、付勢部63Aの下側には、軟質ゴム、又はウレタン等の樹脂製のバンパ64が設けられている。
ノーズ部7は、コイルバネ部6の下方に配置されている。ノーズ部7内には、ブレード63Bが通過する図示せぬ射出路が形成されている。
マガジン8は、モータ3の下方になる位置でノーズ部7に取り付けられており、複数本の図示せぬ釘を内蔵している。図示せぬ釘は、マガジン8からノーズ部7に設けられた図示せぬ射出路内に供給されている。
釘打機1で釘を打ち込む際には、作業者がハンドル21を把持して釘打機1を被打込材Wの上面に対して略直交するように保持し、トリガ21Aを引くことにより、モータ3を回転させる。モータ3の回転に連動するクラッチ機構4によりドラム51が回転されてワイヤ52が巻き取られプランジャ63が上死点まで移動し、コイルバネ62が圧縮されて弾性エネルギーが蓄積される。
プランジャ63が上死点まで到達したところでクラッチ機構4が遮断されてドラム51が回転自在となるため、付勢部63Aによるコイルバネ62への付勢力が消滅し、コイルバネ62に蓄積された弾性エネルギーが解放されてプランジャ63を急激に下死点側に押し下げ、ブレード63Bによりノーズ部7内にマガジン8から供給された釘を打撃し、被打込材Wに釘を打ち込む。
ブレード63Bは、下死点まで下がって釘を打ち込むと共にバンパ64に衝突することにより、その運動を停止する。しかしコイルバネ62は、図3に示されるように、打撃時に下死点側に移動して第一端部62Aが下死点位置に到達した後に、第一端部62Aから縮み初めて第二端部62Bが下死点側へと更に移動してコイルバネ62全体として縮み、下死点位置で弾性エネルギーを蓄積する。ある程度縮んだ後に図4に示されるようにコイルバネ62は蓄えられた弾性エネルギーにより上死点側へと移動し、第二端部62Bが上死点位置に到達してコイルバネ62に再度弾性エネルギーが蓄積される動作を採る。
コイルバネ62はこの動作を上死点位置及び下死点位置で繰り返すことにより減衰振動するため、常に端部から上死点位置及び下死点位置に到達するが、必然的にコイルバネ62の両端部が最も高速で伸縮する箇所になる。よってコイルバネ62は端部が最も衝撃を受ける箇所になるが、この端部は何れも低バネ定数部分であるため、容易にこの衝撃を吸収し、コイルバネ62が劣化することを抑制している。コイルバネ62の何れかの端部が縮んだ後に、中央部62Cが縮み始めるが、この中央部62Cは高バネ定数部分であるため、充分に弾性エネルギーを蓄積することができる。よってコイルバネ62全体としては、不等ピッチではない従来のバネと同様の弾性エネルギーを蓄えることができ、釘打ちに係る弾性力を担保した状態でコイルバネ62の劣化を防止し、釘打機1の高寿命化を図ることができる。
本発明に係る打込機は上述した実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形や改良が可能である。実施の形態においては、不等ピッチスプリングを用いて両端部と中央部とでバネ定数の異なるバネを提案したが、例えば等ピッチのスプリングにおいて、両端部と中央部とにおいて、異なる熱処理や、線径を変化させることによりバネ定数を異ならせてもよい。
本発明の実施の形態に係る釘打機の断面図。 本発明の実施の形態に係る釘打機のコイルバネの側面図。 本発明の実施の形態に係る釘打機において、コイルバネが下死点側へと移動した状態の断面図。 本発明の実施の形態に係る釘打機において、コイルバネが上死点側へと移動した状態の断面図。
符号の説明
1・・釘打機 2・・ハウジング 3・・モータ 4・・クラッチ機構 5・・伝達部
6・・コイルバネ部 7・・ノーズ部 8・・マガジン 21・・ハンドル
21A・・トリガ 22・・電池 31・・第一プーリ 32・・ベルト
33・・第二プーリ 34・・第一ギア 35・・第二ギア 36・・第三ギア
37・・第四ギア 51・・ドラム 52・・ワイヤ 61・・バネガイド
62・・コイルバネ 62A・・第一端部 62B・・第二端部 62C・・中央部
63・・プランジャ 63A・・付勢部 63B・・ブレード 63C・・軸
64・・バンパ

Claims (3)

  1. ハウジングと、
    該ハウジングに設けられたモータと、
    該ハウジング内において上死点と下死点との間を移動可能に保持され、打込具を打撃するプランジャと、
    該ハウジング内で該プランジャに対して上死点側に位置し、該モータにより圧縮されて弾性エネルギーが蓄積されると共に蓄積された該弾性エネルギーを開放することにより該プランジャを下死点方向に加速させるバネと、を備え、
    該バネは、伸縮方向の中央部のバネ定数に比べて、伸縮方向の端部のバネ定数が小さく構成されており、
    該バネは、両端部にそれぞれ座巻部と、該座巻部の間に位置する有効巻部とを有し、該有効巻部が不等ピッチであるコイルバネであり、該バネは、該プランジャが初期位置である下死点に位置するときに、下死点側端部が該プランジャに当接すると共に、上死点側端部が該ハウジングの一部に当接する長さを有していることを特徴とする打込機。
  2. 該バネは、巻線から構成される不等ピッチコイルバネからなり、
    該不等ピッチコイルバネの半径方向における該巻線の断面において該半径方向の長さが、該断面において該不等ピッチコイルバネの軸方向の長さより長く構成されていることを特徴とする請求項1に記載の打込機。
  3. 該モータにより回転されるドラムと、
    該コイルバネ内に挿通されて、一端が該ドラムに連結されると共に他端が該プランジャに連結されたワイヤと、
    を有し、
    該ドラムが回転して該ワイヤを巻き取ることにより、該プランジャは該コイルバネの付勢力に抗して該上死点に向けて移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の打込機。
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