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JP5125559B2 - 非水電解質電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は非水電解質電池に関するもので、特に、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを含有する非水電解質を用いた非水電解質電池に関する。
近年、高性能化、小型化が進む電子機器用電源、電力貯蔵用電源、移動体用電源等として、リチウム二次電池に代表される非水電解質電池が注目されている。特に、すでに実用化されている電子機器用電源以外の非水電解質電池の用途として、ハイブリッド自動車や電気自動車等の移動体用電源への適用が望まれているが、これら移動体用電源に非水電解質電池を用いるためには、高エネルギー密度であるだけでなく出力特性に優れた電池が強く要求されている。
リチウム二次電池は、一般に、正極集電体と正極活物質を主要構成成分とする正極合剤からなる正極と、負極集電体と負極活物質を主要構成成分とする負極合剤からなる負極と、非水電解質とから構成される。
リチウム二次電池を構成する正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物が、負極活物質としては、黒鉛に代表される炭素質材料が広く知られている。
また、電解質には、一般的に、常温で液状を呈する非水電解質(非水電解液)が用いられている。該非水電解液は、一般的に常温で液状の有機溶媒に常温で固体状のリチウム塩を溶解させてなるものである。該有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、プロピオラクトン、バレロラクトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタン等の有機溶媒が用いられている。また、リチウム塩としては、一般的にLiPFやLiBF等の含フッ素無機アニオンからなる塩が広く用いられている。なお、後述する特許文献1のようなポリマー電解質の分野ではLiN(CSO等の含フッ素有機アニオンからなる塩も用いられる場合があるが、一般的な非水電解液を用いるリチウム二次電池の場合、あくまでもLiPFやLiBF等の含フッ素無機アニオンからなる塩を主体的に用いる場合において、少量混合する等の態様で補助的に用いられるのみである。
負極活物質に黒鉛などの炭素質材料を用いる場合、非水電解液を構成するプロピレンカーボネートに代表される有機溶媒が、充電時、とりわけ製造工程中に最初に行う充電(以下「初充電」という)初充電時に負極上で分解するため、電池性能が充分に得られないという問題があった。上記分解を抑制するために、例えば特許文献6には、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート類であるビニレンカーボネートを必須成分とする有機溶媒を非水電解質電池に適用する技術が開示されている。すなわち、初充電時にビニレンカーボネートが黒鉛負極上で分解することにより、黒鉛負極表面にリチウムイオン透過性の保護被膜を形成するため、プロピレンカーボネートに代表される有機溶媒の分解が抑制され、結果として充放電サイクル性能に優れた非水電解質電池とすることができる。
しかしながら、ビニレンカーボネートを含有する非水電解質を用いると、これを用いない場合に比べて、出力特性が低下するという問題があった。これは、ビニレンカーボネートが耐酸化性に劣るために、負極上で分解して保護被膜を形成するだけでなく、過剰のビニレンカーボネートが正極上で分解し、その分解生成物が正極上に堆積して抵抗成分になっているためと推定される。
特許文献1には、Li[(FSON]で表されるイオン化合物(以下「FSI塩」ともいう)がポリエーテルの中に溶解されて得られた電解質(段落0032、例2)、FSI塩をプロピレンカーボネートに1.0モル濃度、0.5モル濃度及び0.1モル濃度で溶解した電解液(段落0036〜0037、例3)あるいは重合体電解質中にLiN(CFSOとFSI塩を8/100のモル比で適用した電池(段落0051〜0054、例5)が記載されている。
しかしながら、特許文献1には、含フッ素無機アニオンを含有する非水電解質については記載がなく、ビニレンカーボネートを含有する非水電解質についても記載がない。また、非水電解質がN(SOF)アニオンを含有することでビニレンカーボネートの使用による出力特性の低下の問題が解決できることについても記載がない。
特許文献2〜5には、LiN(CSO、LiC(CFSO等の有機リチウム塩と、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsFといった無機リチウム塩を共に含有する非水電解質を用いた電池が提案されている。
しかしながら、特許文献2〜5のいずれにも、N(SOF)アニオンを含有する非水電解質についての記載は皆無である。ましてや、非水電解質がN(SOF)アニオンを含有することでビニレンカーボネートの使用による出力特性の低下の問題が解決できることについては記載も示唆もない。
特許第3878206号公報 特許第3016447号公報 特開2002−270231号公報 特開2002−270232号公報 特開2007−220335号公報 特開平11−67266号公報
本発明は、ビニレンカーボネートに代表される炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを含有する非水電解質を用いると、出力特性が優れないものとなるという問題点に鑑みてなされたものであり、出力特性に優れた非水電解質電池を提供することを、一の目的とする。
上記課題を解決するための本発明の構成は以下の通りである。但し、作用機構については推定を含んでおり、その作用機構の成否は、本発明を制限するものではない。
本発明は、正極及び負極を備え、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート及びN(SOF)アニオンを含有する非水電解質を用いた非水電解質電池である。
また、本発明は、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート及びN(SOF)アニオンを含有する非水電解質を用いて正極及び負極を備えた非水電解質電池を製造する非水電解質電池の製造方法である。
本発明の作用機構については必ずしも明らかではないが、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを含有する非水電解質がN(SOF)アニオンを含有していることにより、初期充電時に負極表面上でN(SOF)アニオンが非水電解質構成成分の中で最も貴な電位から還元分解することにより、負極表面に非常に低抵抗でありながら他の非水電解質構成成分の還元分解を抑制できる保護被膜が形成されるためと推定される。このことは、N(SOF)アニオンが電気化学的安定性に劣ることを示唆しているが、さらに、他のアニオンが共存することにより、その後の充放電中におけるN(SOF)アニオンの酸化還元分解が抑制され、電気化学特性に優れた非水電解質電池を容易に提供することが可能となる。さらに、特に出力特性に優れた非水電解質電池を提供できる作用効果が得られるのは、N(SOF)アニオンが良好な保護被膜形成剤として作用することに加え、非水電解質電池に用いられる従来の有機アニオンと比較して分子量が小さく、従来の有機アニオンと無機アニオンの中間に位置する性質を持つことにより、放電開始直後の非水電解質中のリチウムカチオンの移動を妨げにくいためと推定される。
本発明によれば、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを含有する非水電解質を用いながらも、出力特性に優れた非水電解質電池を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はこれらの記述により限定されるものではない。
本発明における有機溶媒としては、何ら限定されるものではなく、一般に非水電解質電池用電解液に使用される有機溶媒を使用することができる。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどの鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン、プロピオラクトン、バレロラクトン、酢酸メチル、酪酸メチル、プロピオン酸メチル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタンなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
本発明における炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート類は、ビニレンカーボネート、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1−フェニルビニレンカーボネート、1,2−ジフェニルビニレンカーボネートなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。なかでも、ビニレンカーボネート、カテコールカーボネート、ビニルエチレンカーボネートの内、少なくとも1種であることが望ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート類の含有量は、非水電解質の全重量に対して0.01重量%〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは1重量%〜5重量%である。炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート類の含有量が、非水電解質の全重量に対して0.01重量%以上であることによって、初充電時における非水電解質を構成するその他の有機溶媒の分解をほぼ完全に抑制し、充電をより確実に行うことができる。また、20重量%以下であることによって、過剰に含有された炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート類が正極上で分解することによる電池性能の劣化がほとんど発生せず、充分な電池性能を発揮することができる。
前記炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート類は、少なくとも初充電の前に非水電解質中に含有されていることが重要である。前記炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート類は、前記初充電時に少なくとも一部が分解して消失するので、非水電解質が含有する前記炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート類が少量の場合、初充電後の非水電解質電池の非水電解質中に前記炭素−炭素二重結合を有するカーボネート類が検出されない場合も考えられるが、このようなものも本発明の範囲内である。
本発明の非水電解質は、少なくともリチウムカチオン及びN(SOF)アニオンを含有することが必要である。但し、LiN(SOF)はLiPFなど他のリチウム塩と比較して有機溶媒への溶解性が極めて悪く、電解質塩としてLiN(SOF)を単独で用いることは、このような電解液の調整に長時間の撹拌や加熱などの非常に繁雑な工程が必要となり、工業上も現実的でない。このため、他のアニオンを有する塩と混合して用いることが好ましい。本発明の非水電解質を得るための方法については、何ら限定されるものではなく、リチウムカチオンとN(SOF)アニオンからなるリチウム塩及びリチウムカチオンと他のアニオンからなるリチウム塩を、有機溶媒に溶解させることにより得ることができる。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、上記リチウム塩の一方に代えて四級アンモニウム塩を用いてもよい。
前記他のアニオンは、単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。前記他のアニオンとしては限定されるものではなく、ClOやAsFを用いることもできる。しかし、これらのアニオンは安全性あるいは毒性の観点から使用を避けることが好ましい。前記他のアニオンを含フッ素アニオンの中から選択すると比較的好ましい結果が得られる。具体的には、BF、PF、SbF、SOCF、N(CFSO、N(CSO、N(CFSO)(CSO)、C(CFSO、C(CSO等が挙げられる。なかでも、充放電サイクル性能の点で、含フッ素無機アニオンを選択することが好ましく、具体的には、PFアニオン及びBFアニオンの内、少なくとも1種であることが好ましい。なお、本願明細書において、N(SOF)アニオンは「含フッ素無機アニオン」の範囲に含まれないものとする。
非水電解質中のN(SOF)アニオンと他のアニオンとの混合割合は任意に選択することが可能であるが、本発明の効果を充分に得るためには、アニオン総量に占めるN(SOF)アニオンの混合割合は、80mol%未満であることが好ましい。N(SOF)アニオンの混合割合が80mol%以上になると、リチウムカチオンとN(SOF)アニオンからなるリチウム塩の非水電解質への溶解度が低いため、対イオンであるリチウムカチオンの非水電解質中に含有できる量が小さくなり、電池の充放電効率が低下する。逆にN(SOF)アニオンの混合割合が1mol%未満になると、電池の出力特性がかえって低下する。従って、非水電解質中のN(SOF)アニオンの混合割合は、1〜80mol%の範囲、さらに言うならば、10〜50mol%の範囲、なかでも20〜50mol%の範囲であることが好ましい。
非水電解質中のリチウムカチオンの含有量は、0.5〜3mol/lの範囲であることが好ましい。リチウムカチオンの含有量が0.5mol/l未満になると、電解質抵抗が大きすぎ、電池の充放電効率が低下する。逆にリチウムカチオンの含有量が3mol/lを越えると、非水電解質の融点が上昇し、常温で液状を保つのが困難となる。以上の点で、非水電解質中のリチウムカチオンの含有量は、0.5〜3mol/lの範囲、さらに言うならば、0.5〜2mol/lの範囲であることが好ましい。
非水電解質は、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。例えば、エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、スルフォラン、スルフォレン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、及びこれらの誘導体等のS=O結合を有する環状有機化合物等が挙げられる。これらの中では、エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルト及び1,3−プロペンスルトンの内、少なくとも1種を用いることが望ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。なお、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート類とS=O結合を有する環状有機化合物の含有比は、任意に選択することができるが、重量比1:1前後であることが好ましい。
本発明に係る非水電解質電池が備える正極に用いることのできる正極活物質としては、何ら限定されるものではなく、種々の酸化物、硫化物等が挙げられる。例えば、二酸化マンガン(MnO)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn又はLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−yCo)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNiCoMn1−y−z)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LiMn2−yNi)、リチウムポリアニオン化合物(LiFePO、LiCoPO、LiVOPO、LiVPOF、LiMnPO、LiMn1−xFePO、LiNiVO、LiCoPO、Li(PO、LiFeP、LiFe(PO、LiCoSiO、LiMnSiO、LiFeSiO、LiTePO等)、硫酸鉄(Fe(SO)、バナジウム酸化物(例えばV)などが挙げられる。また、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、イオウ(S)、フッ化カーボンなどの有機材料及び無機材料も挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
本発明における非水電解質電池の負極は、主要構成成分である負極活物質として、炭素質材料、スズ酸化物,珪素酸化物等の金属酸化物、さらにこれらの物質に負極特性を向上させる目的でリンやホウ素を添加し改質を行った材料等を用いることができる。炭素質材料としては、例えば黒鉛を用いることができる。黒鉛結晶には良く知られている六方晶系とその他に菱面体晶系に属するものがある。特に、菱面体晶系の黒鉛は、電解液中の溶媒の選択性が広く、例えば、リチウムカチオンと共挿入しやすい有機化合物や、比較的貴な電位で還元分解されやすい有機化合物を、非水電解質の構成材料として用いても、層剥離が抑制され優れた充放電効率を示すことから好ましい。大部分の天然黒鉛及び人造黒鉛は六方晶系であるが、天然黒鉛及び非常に高温で加熱処理された人造黒鉛中に菱面体晶系構造が数%存在していることが知られている。また、粉砕や摩砕することにより六方晶系から菱面体晶系への増加があることが知られている。特に、黒鉛粒子表面に菱面体晶系が多く含まれ、粒子内部は六方晶系が多く含まれるような黒鉛は高容量、耐溶剤性、製造工程などの優位性から最も好ましい。また、炭素質材料として、非黒鉛質炭素材料を用いる場合には、エックス線広角回折法による(002)面の面間隔が0.34nm以上の非黒鉛質炭素材料であることが好ましい。このような非黒鉛質炭素材料を用いると、特に高率充放電特性や出力特性、サイクル充放電特性に優れた非水電解質電池を提供することが可能となる。上記効果が発揮される理由については必ずしも明らかではないが、上記したような非黒鉛質炭素材料は、リチウムカチオンの挿入脱離が起こる反応活性点がランダムに形成されているため、非水電解質を構成する有機溶媒の還元分解や共挿入などの副反応が抑制されるものと推定される。また、化学式Li4+xTi12(0≦x≦3)で表され、スピネル型構造を有するチタン酸リチウムを用いてもよい。ここで、Tiの一部が他の元素で置換されたものを用いてもよく、例えばTiの一部がAlやMgによって特定の比率で置換された構造のチタン酸リチウムを用いると、電位平坦性や高率放電特性の向上を図れるため、好ましい。
以下に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載により限定されるものではない。
(本発明電解質1)
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(MEC)を体積比1:1:1で混合した1リットルの混合溶媒(以下、混合溶媒Aという)に、ビニレンカーボネート(VC)を1重量%と、0.625モルのLiPFと0.625モルのLiN(SOF)を混合することにより、非水電解質を得た。
(本発明電解質2)
1リットルの混合溶媒Aに、VCと1,3−プロパンスルトン(PS)をそれぞれ5重量%と、0.625モルのLiPFと0.625モルのLiN(SOF)を混合することにより、非水電解質を得た。
(本発明電解質3)
1リットルの混合溶媒Aに、VCを1重量%と、0.875モルのLiPFと0.375モルのLiN(SOF)を混合することにより、非水電解質を得た。
(比較電解質1)
1リットルの混合溶媒Aに、0.625モルのLiPFと0.625モルのLiN(SOF)を混合することにより、非水電解質を得た。
(比較電解質2)
1リットルの混合溶媒Aに、1モルのLiPFと0.25モルのLiN(SOF)を混合することにより、非水電解質を得た。
(比較電解質3)
1リットルの混合溶媒Aに、VCを1重量%と、1.25モルのLiPFを混合することにより、非水電解質を得た。
(比較電解質4)
1リットルの混合溶媒Aに、VCとPSをそれぞれ5重量%と、1.25モルのLiPFを混合することにより、非水電解質を得た。
(比較電解質5)
1リットルの混合溶媒Aに、1.25モルのLiPFを混合することにより、非水電解質を得た。
(非水電解質電池の作製)
本発明電解質1〜3及び比較電解質1〜5を用いて、非水電解質電池を作製した。実施例に係る非水電解質電池の断面図を図2に示す。実施例に係る非水電解質電池は、正極1、負極2、及びセパレータ3からなる極群4と、非水電解質と、外装材としての金属樹脂複合フィルム5から構成されている。正極1は、正極合剤11が正極集電体12上に塗布されてなる。また、負極2は、負極合剤21が負極集電体22上に塗布されてなる。非水電解質は極群4に含浸されている。金属樹脂複合フィルム5は、極群4を覆い、その四方を熱溶着により封止されている。
次に、上記構成の非水電解質電池の製造方法を説明する。正極1は次のようにして得た。まず、LiCoOと、導電剤であるアセチレンブラックを混合し、さらに結着剤としてポリフッ化ビニリデンのN−メチル−2−ピロリドン溶液を混合し、この混合物をアルミ箔からなる正極集電体12の片面に塗布した後、乾燥し、正極合剤11の厚さが所定の厚さとなるようにプレスした。以上の工程により正極1を得た。負極2は、次のようにして得た。まず、負極活物質である黒鉛(エックス線広角回折法による(002)面の面間隔0.336nm)と、結着剤であるポリフッ化ビニリデンのN−メチル−2−ピロリドン溶液を混合し、この混合物を銅箔からなる負極集電体22の片面に塗布した後、乾燥し、負極合剤21厚みが所定の厚さとなるようにプレスした。以上の工程により負極2を得た。セパレータ3は、ポリエチレン製微孔膜を用いた。極群4は、正極合剤11と負極合剤21とを対向させ、その間にセパレータ3を配し、正極1、セパレータ3、負極2の順に積層することにより、構成した。次に、非水電解質中に極群4を浸漬させることにより、極群4に非水電解質を含浸させた。さらに、金属樹脂複合フィルム5で極群4を覆い、その四方を熱溶着により封止した。以上のようにして、本発明電池1〜3及び比較電池1〜5を作製した。
(電池特性試験)
電池特性試験として、本発明電池及び比較電池について、高率放電試験及び充放電サイクル試験を行った。試験温度は20℃とした。高率放電試験における充電は、電流10mA、終止電圧4.2Vの定電流充電とし、放電は、電流10mA、30mA、50mAにて終止電圧2.7Vの定電流放電とした。電流50mAで放電し、得られた放電容量を、5It高率放電容量とした。また、それぞれの電流で放電したときの放電開始後10秒目の電池電圧から、最小二乗法で求めた直線(電流−電圧直線)の傾きの絶対値をSOC100%DCRとした。出力特性は、電流−電圧直線の傾きと放電下限電圧の交点から求めることができ、SOC100%DCRが小さいほど出力特性が優れていることを意味する。サイクル充放電試験における充電は、電流10mA、終止電圧4.2Vの定電流充電とした。放電は、電流10mAにて終止電圧3.0Vの定電流放電とした。上記条件で200サイクル繰り返したときの200サイクル目放電容量を求めた。なお、本発明電池及び比較電池の設計容量は、全て10mAhであり、電流10mAで放電したときの1サイクル目放電容量はいずれも概ね10mAhであった。
以上の結果を表1にまとめて示す。なお、5It高率放電容量及びSOC100%DCRの値は、比較電池5の特性を100%としたときの百分率で示す。また、200サイクル目放電容量は、各電池の1サイクル目放電容量を100%としたときの百分率で示す。
表1からわかるように、PFアニオンを含有するがN(SOF)アニオンを含有しない非水電解質を用いた比較電池3〜5同士を比べると、VCを含有する非水電解質を用いた比較電池3,4は、VCを含有しない非水電解質を用いた比較電池5に比べて、充放電サイクル性能が向上しており、VCの効果が奏されているものの、出力性能に影響を与えるSOC100%DCRの値が増大している。
これに対して、PFアニオンと共にN(SOF)アニオンを含有している非水電解質を用いた本発明電池1〜3及び比較電池1,2においては、VCを含有する非水電解質を用いた本発明電池1〜3は、VCを含有しない非水電解質を用いた比較電池1,2に比べて、実に驚くべきことに、出力性能に影響を与えるSOC100%DCRの値の増大が観察されていないことから、VCを含有する非水電解質を用いると出力特性が低下するという従来技術における問題点が本発明によって解決できていることがわかる。それどころか、表1のデータによれば、むしろ逆にSOC100%DCRの値が低下する結果すら観察されている。
また、VCを含有する非水電解質を用いた本発明電池1〜3は、VCを含有しない非水電解質を用いた比較電池1,2に比べて充放電サイクル性能が向上していることから、有機溶媒の分解を抑制し充放電サイクル性能に優れた非水電解質電池とするという、VCを含有する非水電解質を用いる本来の目的及び効果は、N(SOF)アニオンを含有する非水電解質においても奏されていることがわかる。それどころか、表1のデータによれば、N(SOF)アニオンを含有しない非水電解質を用いた場合(比較電池3〜5)に比べて、より優れたものとなっている結果すら観察されている。
なお、表1に示した全ての電池は、いずれも優れた高率放電性能を示しているから、本発明電池は、高エネルギー密度を有する非水電解質電池の特性を何ら阻却するものでもない。
以上のことから、N(SOF)アニオンを含有している非水電解質を用いることで、ビニレンカーボネートに代表される炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートを含有する非水電解質を用いた場合に出力特性が低下するという問題点が解消でき、もって、出力特性に優れた非水電解質電池を提供することができることが確認された。
なお、本実施例においては、含フッ素無機アニオンとしてPFアニオンを用いたが、BFアニオンなどのその他の含フッ素無機アニオンを用いても同様の効果が得られる。また、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート類としてVCを用いたが、ビニルエチレンカーボネートなどのその他の炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート類を用いても同様の効果が得られる。
実施例に係る非水電解質電池の断面図である。
符号の説明
1 正極
11 正極合剤
12 正極集電体
2 負極
21 負極合剤
22 負極集電体
3 セパレータ
4 極群
5 金属樹脂複合フィルム

Claims (2)

  1. 正極及び負極を備え、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート及びN(SOF)アニオンを含有する非水電解質を用いた非水電解質電池。
  2. 炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート及びN(SOF)アニオンを含有する非水電解質を用いて正極及び負極を備えた非水電解質電池を製造する非水電解質電池の製造方法。
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