JP5125046B2 - 低屈折率層用コーティング組成物、及び反射防止膜 - Google Patents
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Description
単層型の反射防止膜は、多層型のものと比べて層構成が単純なことから、生産性やコストパフォーマンスに優れる。一方、多層型の反射防止膜は、層構成を組み合わせて反射防止性能を向上させることが可能であり、単層型と比べて高性能化を図り易い。
塗布法としては、分子中にフッ素原子を含むポリマーからなる塗工液を、基材の表面に塗布し乾燥させるか、あるいは、分子中に電離放射線や熱で硬化する官能基を含むモノマーからなる塗工液を、基材の表面に塗布、乾燥した後、UV照射や熱などによって該モノマーを硬化させて低屈折率層を形成することが知られている。
特許文献1には、このような低屈折率層として、電離放射線硬化型樹脂組成物と、外殻層を有し、内部が多孔質又は空洞であるシリカ微粒子を含んでなり、電離放射線硬化性基を有するシランカップリング剤により、そのシリカ微粒子の表面の少なくとも一部を処理されてなる低屈折率層が開示されている。
従来、反射防止フィルムに帯電防止性を付与するためには、最表面に設ける低屈折率層とは別に、帯電防止層を積層する必要があった。このような反射防止フィルムとしては、透明基材上に帯電防止層、低屈折率層がこの順に設けられる構成が挙げられ、更に、ハードコート層や防眩層、中屈折率層、高屈折率層等が、透明基材と低屈折率層の間に適宜設けられた構成が挙げられる(例えば、特許文献2)。
また、本発明の第二の目的は、導電性を有する低屈折率層を備え、生産効率が向上した反射防止膜を提供することにある。
本発明によれば、中空シリカ微粒子上に導電性物質を付着することによって、当該中空シリカ微粒子に導電性が付与されて導電性低屈折率微粒子となるため、当該導電性低屈折率微粒子が膜に分散された低屈折率層は、導電性乃至帯電防止性を付与される。従って、本発明に係る低屈折率層用コーティング組成物を用いて得られる低屈折率層は1層で帯電防止層の機能を兼ね備える。その結果、低屈折率層と帯電防止層を別々に積層する必要がなくなるので、塗工の工程数を減らすことができ、コストを低減できるというメリットを有する。また、低屈折率層1層で帯電防止層を兼用するため、反射防止膜等に用いた場合に、薄膜化しやすく、また透明化しやすいというメリットも有する。
本発明に係る反射防止膜は、導電性を兼ね備えた低屈折率層を備え、生産効率が向上し、低コストで得られるものである。更に、本発明に係る反射防止膜は、低屈折率層1層で帯電防止層等を兼用するため、薄膜化しやすく、また透明化しやすいというメリットも有する。
また、本明細書において上記の導電性物質についていう「付着」とは、当該導電性物質が上記のコアとなる低屈折率微粒子を少なくとも局所的に被覆する被膜を形成していることを意味し、導電性物質が上記低屈折率微粒子を被覆している態様を包含する。また、「光透過性を有する」とは、光学薄膜として利用可能な透過率を有していることを意味し、具体的な透過率の程度は塗膜に要求される性能により決まることから特に限定されないが、一般的には可視光の平均透過率が概ね70%以上であれば光学薄膜として利用可能である。
本発明に係る低屈折率層用コーティング組成物は、少なくとも、低屈折率微粒子上に導電性物質が付着してなる導電性低屈折率微粒子、及び、バインダー成分を含有する。
本発明によれば、低屈折率微粒子上に導電性物質を付着することによって、当該低屈折率微粒子に導電性が付与されて導電性低屈折率微粒子となるため、当該導電性低屈折率微粒子が膜に分散された低屈折率層は、導電性乃至帯電防止性を付与される。従って、本発明に係る低屈折率層用コーティング組成物を用いて得られる低屈折率層は1層で帯電防止層の機能を兼ね備える。その結果、低屈折率層と帯電防止層を別々に積層する必要がなくなるので、塗工の工程数を減らすことができ、コストを低減できるというメリットを有する。また、低屈折率層1層で帯電防止層を兼用するため、反射防止膜等に用いた場合に、薄膜化しやすく、また透明化しやすいというメリットも有する。
本発明における導電性低屈折率微粒子は、低屈折率微粒子上に導電性物質が付着してなるものである。なお、低屈折率微粒子の低屈折率とは、コーティング組成物において用いられるバインダー成分よりも低い屈折率を有する微粒子である。
本発明において用いられるコアとなる低屈折率微粒子は、コーティング組成物において用いられるバインダー成分よりも低い屈折率を有する微粒子である。本発明において用いられる低屈折率微粒子の屈折率としては、1.44以下、更に1.40以下であることが、低屈折率性を付与する点から好ましい。
本発明において、空隙を有する微粒子とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成する微粒子を意味する。気体が屈折率1.0の空気である場合、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の占有率に比例して屈折率が低下する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。
すなわち、第1工程として、予めシリカ原料およびシリカ以外の無機酸化物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、または、両者の混合水溶液を調製する。次に、目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、得られた上記水溶液を、pH10以上のアルカリ水溶液中に撹拌しながら徐々に添加する。なお、第1工程の代わりに、予めシード粒子を含む分散液を出発原料とすることも可能である。
続いて、第3工程として、この一部元素が除去された複合酸化物のコロイド粒子に、加水分解性の有機ケイ素化合物またはケイ酸液等を加えることにより、コロイド粒子の表面を加水分解性有機ケイ素化合物またはケイ酸液等の重合物で被覆する。このようにして、上記公報に記載の複合酸化物ゾルを製造することができる。
なお本発明における低屈折率微粒子の屈折率の測定は、以下のように行う。
80μmトリアセチルセルロース(TAC)基材上に、低屈折率微粒子のみの分散液を、膜厚が反射率の極小値の波長550nm付近になるように、ワイヤーバーを用いて塗工し、約100nmの低屈折率微粒子の塗膜を作成する。分光光度計(島津製作所(株)製 UV−3100PC)を用いて、前記低屈折率微粒子の塗膜の絶対反射率を測定する。基材の屈折率と得られた反射率曲線から、前記低屈折率微粒子の塗膜の屈折率を求め、これを前記低屈折率微粒子の屈折率とする。基材の屈折率と得られた反射率曲線から、前記塗膜の屈折率を求める際には、例えば(株)ニューリンクス製TFCalc Ver.3.3のシミュレーションソフト等を用いることができる。
球状の低屈折率微粒子の平均粒子径は、好ましくは1nm以上100nm以下であり、更に好ましくは下限が10nm以上であり上限が50nm以下である。微粒子の平均粒子径が100nmを超える場合には、透明性を損なう恐れがある。一方、微粒子の平均粒子径が1nm未満である場合には、微粒子の分散が困難になる恐れがある。微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、低屈折率層に優れた透明性を付与することが可能となる。
導電性物質としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、酸化錫(SnO2)、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化アンチモン(Sb2O5)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)等の導電性を有する金属酸化物や、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、パラジウム、プラチナ等の金属、他に、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、またはその各誘導体等の導電性ポリマーが挙げられる。これらの中でも透明性の点から、導電性金属酸化物であることが好ましい。また、導電性、透明性の点から、導電性ポリマーも好適に用いられる。
導電性物質は、低屈折率微粒子上に局所的に付着していてもよいが、導電性の良好な塗膜を形成するうえから、出来るだけ広い範囲に亘って低屈折率微粒子を被覆していることが好ましい。
コアとなる低屈折率微粒子に導電性物質を付着する方法としては、特に限定されないが、例えば、中空シリカ微粒子を例にすると、中空シリカ微粒子に金属酸化物(例えば、ATO)の水溶液中にスラリー化し、ATOを中和加水分解し、焼成することにより付着することができる。付着の状態は、中和加水分解条件(温度、時間、pH)や焼成条件(温度、時間、焼成雰囲気)により調整することができる。
具体的には例えば、水、アルコール、アセトニトリルの1種または2種以上からなる溶媒中に、コアとなる低屈折率微粒子を添加し、ピロール等の導電性ポリマー、酸化剤及びドーパントの存在下、−30〜40℃の温度範囲で攪拌することにより製造できる。
上記酸化剤としては、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類、塩化第二鉄、三フッ化ホウ素、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化物、過酸化水素、過酢酸、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、過硫酸およびその塩、遷移金属化合物、プロトン酸等が挙げられ、単独、もしくは混合して用いることができる。
また、上記ドーパントとしては、一般に使用されるアクセプター性のドーパントを用いることができる。具体的には、塩素、臭素、ヨウ素、塩化水素等のハロゲンアニオン、ヘキサフロロリン、ヘキサフロロヒ素等のハロゲン化物アニオン、アルキルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸アニオン、過塩素酸カリウム等の過塩素酸アニオン、硫酸等の硫酸アニオンが挙げられ、これらは単独または混合して用いられる。
上述した低屈折率微粒子と共に用いられるバインダー成分は、本発明に係るコーティング組成物に、成膜性や、基材や隣接する層に対する密着性を付与するために、必須成分として配合される。
このようなバインダー成分としては、(i)光や熱等に感応して硬化する反応性バインダー成分、例えば可視光、紫外線、電子線等の電磁波又はエネルギー粒子線に感応して硬化するバインダー成分(以下、「光硬化性バインダー成分」という。)や、熱に感応して硬化するバインダー成分(以下、「熱硬化性バインダー成分」という。)、または(ii)光や熱等に感応することなく乾燥又は冷却により固化する非反応性バインダー成分、例えば熱可塑性樹脂等の中から、少なく
とも固化又は硬化して塗膜となった時に光透過性を有するものを用いることが可能である。
以上、必須成分である導電性低屈折率微粒子及びバインダー成分について説明したが、本発明に係るコーティング組成物は、これらの必須成分以外に、溶剤などを含有していることが好ましい。また、バインダー成分として電離放射線硬化性バインダー成分を用いる場合には、光重合開始剤を含有させることが好ましい。
溶剤は、固形成分を溶解ないし分散するためのものであり、特に制限されず、種々のもの、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、あるいはこれらの混合物を用いることができる。
これらの有機溶剤のうちでも、ケトン系の有機溶剤を用いるのが好ましい。ケトン系溶剤を用いて本発明に係るコーティング組成物を調製すると、当該組成物を基材表面に容易に薄く均一に塗布することができ、且つ、塗工後において溶剤の蒸発速度が適度で乾燥むらを起こし難いので、均一な薄さの大面積塗膜を容易に得ることができる。ケトン系溶剤としては、1種のケトンからなる単独溶剤、2種以上のケトンからなる混合溶剤、及び、1種又は2種以上のケトンと共に他の溶剤を含有しケトン溶剤としての性質を失っていないものを用いることができる。好ましくは、溶剤の70質量%以上、特に80質量%以上が1種又は2種以上のケトンで占められているケトン系溶剤が用いられる。
本発明において用いられるバインダー成分が電離放射線硬化性である場合には、光重合を開始させるために光重合開始剤を用いることが望ましい。光重合開始剤は、バインダー成分の電離放射線硬化性の反応形式に合わせて、光ラジカル開始剤又は光カチオン開始剤等を適宜選択する。光重合開始剤には特に限定されないが、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物類などが挙げられる。より具体的には、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケトン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン等を例示できる。これらのうちでも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、及び、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、少量でも電離放射線の照射による重合反応を開始し促進するので、本発明において好ましく用いられる。これらは、いずれか一方を単独で、又は、両方を組み合わせて用いることができる。これらは市販品にも存在し、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンはイルガキュア 184(Irgacure 184)の商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)から入手できる。
本発明に係るコーティング組成物においては、塗膜表面を平坦化することができ、また、反射防止膜に必要とされる防汚性や耐擦傷性の向上に効果がある、滑り性を付与することができる点から、フッ素系および/またはシリコーン系添加剤を用いても良い。
さらに、フッ素系及び/又はシリコーン系添加剤の少なくとも一部が、バインダー成分と、化学反応により共有結合を形成して塗膜最表面に固定されていることが好ましい。これにより、滑り性を安定的に付与でき、本発明に係るコーティング組成物を用いて形成された低屈折率層が製品化後に必要となる、長期に渡り防汚性や耐擦傷性を維持することができる。
このような化合物は、市販の製品として入手することができ、例えば、フルオロアルキル基をもつシリコーンオイルFL100(信越化学工業社製)や、ポリエーテル変性シリコーンオイルTSF4460 (商品名、GE東芝シリコーン社製)等、目的に合わせて種々の変性シリコーンオイルを入手できる。
本発明に係る反射防止膜は、低屈折率微粒子上に導電性物質が付着してなる導電性低屈折率微粒子、及びバインダー成分を含んでなる低屈折率層を有する。
本発明に係る反射防止膜に含まれる低屈折率層は前述した導電性低屈折率微粒子を含有するため、1層で低屈折率層と帯電防止層の機能を兼ね備える。その結果、低屈折率層と帯電防止層を別々に積層する必要がないので、塗工の工程数を減らすことができ、コストを低減できるというメリットを有する。また、低屈折率層1層で帯電防止層を兼用するため、本発明に係る反射防止膜は、薄膜化しやすく、また透明化しやすいというメリットも有する。
以下、本発明において必須の層である低屈折率層から順に説明する。
低屈折率層は、低屈折率微粒子上に導電性物質が付着してなる導電性低屈折率微粒子、及びバインダー成分を必須成分として含み、必要に応じて任意成分により形成されてよい。
導電性低屈折率微粒子、及びバインダー成分、更に任意成分としては、前記コーティング組成物において述べたものと同様のものを用いることができる。
(m/4)λ×0.7<n1 d1<(m/4)λ×1.3 数式(I)
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、380〜780nmの範囲の値である。
なお、上記数式(I)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(I)を満たすm(正の奇数。通常1である。)が存在することを意味している。
低屈折率層の膜厚は15〜200nm、更に30〜150nmの範囲であることが好ましい。
本発明に係る低屈折率層は、上記本発明に係る低屈折率層用コーティング組成物を用いて形成されることが好ましい。低屈折率層用コーティング組成物は光透過性基材上、或いは一つ又は複数の機能層上に、塗布、乾燥した後、必要に応じて電離放射線の照射及び/又は加熱により硬化させる。
塗布法の具体例としては、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
本発明に係る反射防止膜の低屈折率層は、膜厚が0.05〜0.15μmの時に、埃付着防止のために必要な表面抵抗率が1.0×1013Ω/□以下を実現できる。1.0×1013Ω/□以下1.0×1012Ω/□超過では帯電するが静電荷が蓄積しないため、フィルムなどに埃付着防止性が得られる。好ましくは、静電荷が帯電するが、すぐ減衰する範囲1.0×1012Ω/□〜1.0×1010Ω/□であり、より好ましくは帯電しない範囲1.0×1010Ω/□未満であり、最も好ましくは1.0×108Ω/□以下である。
<光透過性基材>
光透過性基材の材質は、特に限定されないが、反射防止膜に用いられる一般的な材料を用いることができ、例えば、トリアセテートセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルホン、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、トリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、(メタ)アクリロニトリル等の各種樹脂で形成したフィルム等を例示することができる。基材の厚さは、通常25μm〜1000μm程度である。
ハードコート層は、反射防止膜に耐擦傷性、強度等の性能を向上させる目的で設けてもよい。「ハードコート層」とは、JIS5600−5−4:1999で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいう。ハードコート層は、電離放射線硬化型樹脂組成物を使用して形成することが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエーテル樹脂、多価アルコール、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート誘導体、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能化合物としてのモノマー類、またはエポキシアクリレート又はウレタンアクリレート等のオリゴマーを使用することができる。
ハードコート層は硬化後の膜厚が0.1〜100μm、好ましくは0.8〜20μmの範囲にあることが望ましい。膜厚が0.1μm以下の場合は充分なハードコート性能が得られず、100μm以上の場合は外部からの衝撃に対して割れやすくなる。
また、本発明においては、上記電離放射線硬化型樹脂組成物からなるハードコート層が、下記に説明するような中屈折率層または高屈折率層の機能を兼ね備えるものであっても良い。
本発明の態様によれば、他の屈折率層(高屈折率層と中屈折率層)が反射防止性をさらに向上させるために設けられよい。
これらの屈折率層の屈折率は1.46〜2.00の範囲内で任意に設定することができる。本発明においては、中屈折率層は、少なくとも上記低屈折率層よりも屈折率が高く、その屈折率が1.46〜1.80の範囲内のものを意味し、高屈折率層は、中屈折率層と併用される場合には少なくとも上記中屈折率層よりも屈折率が高く、その屈折率が1.65〜2.00の範囲内のものを意味する。これら屈折率層は、バインダーと、平均粒子径100nm以下であり、所定の屈折率を有する超微粒子とにより形成されてよい。このような微粒子の具体例(かっこ内は屈折率を示す)としては、酸化亜鉛(1.90)、チタニア(2.3〜2.7)、セリア(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95〜2.00)、アンチモンドープ酸化スズ(1.75〜1.85)、イットリア(1.87)、ジルコニア(2.10)が挙げられる。
上記他の屈折率層(高屈折率層と中屈折率層)は光透過性基材に直接設けても良いが、光透過性基材にハードコート層を設け、ハードコート層と低屈折率層との間に設けることが好ましい。
本発明に係る反射防止膜は、どのような層が積層されている場合であっても、JIS−K7361−1に規定されるヘイズ値が、前記基材だけのヘイズ値と変わらないか又は前記基材だけのヘイズ値との差が1.5%以内となることが好ましい。
[評価方法]
(1)塗膜の屈折率
塗膜の屈折率は、分光エリプソメーター(UVSEL、ジョバンーイーボン社製:測定波長633nm)を用いて測定した。
表面抵抗率(Ω/□)の測定は、高抵抗率計(ハイレスタ・UP、三菱化学 (株)製)を用い、印加電圧100V、10秒にて測定を行った。
(3)反射率
反射率の測定は、5℃正反射測定装置を備えた分光光度計(島津製作所(株)製、UV−3100PC)を用いて測定を行った。なお、反射率は波長550nm付近で極小値(最低反射率)となったときの値を示した。
(1)低屈折率層用コーティング組成物の調製
下記組成の成分を混合して低屈折率層形成用組成物を調製した。
・アンチモン錫酸化物被覆中空シリカ微粒子分散液(平均粒子径50nm、被覆量30質量%、固形分20%、溶剤:メチルイソブチルケトン);14.94質量部
・EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEA−12:商品名、日本化薬製);1.99質量部
・イルガキュア184(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);0.07質量部
・TSF4460(商品名、GE東芝シリコーン(株)製:アルキルポリエーテル変性シリコーンオイル);0.20質量部
・メチルイソブチルケトン;82.80質量部
下記の組成の成分を配合してハードコート層形成用コーティング組成物を調製した。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA);30.0質量部
・イルガキュア184(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);1.5質量部
・メチルイソブチルケトン;73.5質量部
厚み80μmのトリアセテートセルロース(TAC)フィルム上にバーコーティングし、乾燥により溶剤を除去した後、紫外線照射装置を用いて照射線量約20mJ/cm2で紫外線照射を行い、ハードコート層を硬化させて、膜厚10μmのハードコート層を有する、基材/ハードコート層からなる積層コートフィルムを得た。
得られた基材/ハードコート層フィルム上に,上記の低屈折率層用コーティング組成物をバーコーティングし、乾燥させることにより溶剤を除去した後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン(株),光源Hバルブ)を用いて,照射線量200mJ/cm2で紫外線照射を行い、塗膜を硬化させて、膜厚約100nmの低屈折率層を作成することにより、基材/ハードコート層/低屈折率層からなる本実施例1の反射防止膜を得た。該反射防止膜について、表面抵抗値、最低反射率を上記方法にて測定し、その結果を下記の表1に示す。
(1)低屈折率層用コーティング組成物の調製
下記組成の成分を混合して低屈折率層形成用組成物を調製した。
・インジウム錫酸化物被覆中空シリカ微粒子分散液(平均粒子径55nm、被覆量40質量%、固形分20%、溶剤:メチルイソブチルケトン);14.94質量部
・EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEA−12:商品名、日本化薬製);1.99質量部
・イルガキュア184(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);0.07質量部
・モディパーFS720(商品名、日本油脂製:シリコン系添加剤);0.66質量部
・メチルイソブチルケトン;82.33質量部
低屈折率層用コーティング組成物として、上記(1)で得られた組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止膜を得た。該反射防止膜について、表面抵抗値、最低反射率を上記方法にて測定し、その結果を下記の表1に示す。
(1)低屈折率層用コーティング組成物の調製
下記組成の成分を混合して低屈折率層形成用組成物を調製した。
・ポリピロール被覆中空シリカ微粒子分散液(平均粒子径55nm、被覆量20質量%、固形分20%、溶剤:イソプロパノール);14.94質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30:商品名、日本化薬製);1.99質量部
・イルガキュア184(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);0.07質量部
・モディパーFS720(商品名、日本油脂製:シリコン系添加剤);0.66質量部
・イソプロパノール;82.33質量部
低屈折率層用コーティング組成物として、上記(1)で得られた組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止膜を得た。該反射防止膜について、表面抵抗値、最低反射率を上記方法にて測定し、その結果を下記の表1に示す。
(1)低屈折率層用コーティング組成物の調製
下記組成の成分を混合して低屈折率層形成用組成物を調製した。
・ポリチオフェン被覆中空シリカ微粒子分散液(平均粒子径55nm、被覆量10質量%、固形分20%、溶剤:イソプロパノール);14.94質量部
・ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA:商品名、日本化薬製);1.99質量部
・イルガキュア184(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);0.07質量部
・モディパーFS720(商品名、日本油脂製:シリコン系添加剤);0.66質量部
・イソプロパノール;82.33質量部
低屈折率層用コーティング組成物として、上記(1)で得られた組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止膜を得た。該反射防止膜について、表面抵抗値、最低反射率を上記方法にて測定し、その結果を下記の表1に示す。
低屈折率微粒子として、導電性物質が付着していない低屈折率微粒子を用いた。
(1)低屈折率層用コーティング組成物の調製
下記組成の成分を混合して低屈折率層形成用組成物を調製した。
・中空シリカ微粒子分散液(触媒化成工業製、平均粒子径50nm、固形分20%、溶剤:メチルイソブチルケトン);14.94質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30:商品名、日本化薬製);1.99質量部
・イルガキュア184(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);0.07質量部
・モディパーFS720(商品名、日本油脂製:シリコン系添加剤);0.66質量部
・メチルイソブチルケトン;82.33質量部
低屈折率層用コーティング組成物として、上記(1)で得られた組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止膜を得た。該反射防止膜について、表面抵抗値、最低反射率を上記方法にて測定し、その結果を下記の表1に示す。表面抵抗値については、1.0×1014Ω/□以上となった。
低屈折率微粒子上に導電性物質が付着してなる導電性低屈折率微粒子を用いた、実施例1、2、3及び4で得られた本発明に係る反射防止膜は、低屈折率、低反射性が良好で、且つ、静電荷がすぐ減衰する範囲か、帯電しない範囲の表面抵抗値を有し、帯電防止性にも優れることが明らかになった。
これに対し、導電性物質が付着していない低屈折率微粒子を用いた比較例1では、低屈折率、低反射性は良好であったが、表面抵抗値が1.0×1014Ω/□以上を超えてしまい、帯電防止性は有しなかった。
2 光透過性基材
3 低屈折率層
4 ハードコート層
Claims (8)
- 少なくとも、中空シリカ微粒子上に導電性物質が付着してなる導電性低屈折率微粒子、及び、バインダー成分を含有する、低屈折率層用コーティング組成物。
- 前記導電性物質が金属酸化物及び/又は導電性ポリマーである、請求項1に記載の低屈折率層用コーティング組成物。
- 前記バインダー成分が電離放射線硬化性を有する、請求項1又は2に記載の低屈折率層用コーティング組成物。
- 更に、溶剤を含有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の低屈折率層用コーティング組成物。
- 中空シリカ微粒子上に導電性物質が付着してなる導電性低屈折率微粒子、及びバインダー成分を含んでなる低屈折率層を有する反射防止膜。
- 前記導電性物質が金属酸化物及び/又は導電性ポリマーである、請求項5に記載の反射防止膜。
- 前記バインダー成分が電離放射線硬化性を有する、請求項5又は6に記載の反射防止膜。
- 表面抵抗値が1.0×1013Ω/□以下である、請求項5乃至7のいずれかに記載の反射防止膜。
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