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JP5119212B2 - アンモニア濃度検出方法 - Google Patents

アンモニア濃度検出方法 Download PDF

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JP5119212B2
JP5119212B2 JP2009156486A JP2009156486A JP5119212B2 JP 5119212 B2 JP5119212 B2 JP 5119212B2 JP 2009156486 A JP2009156486 A JP 2009156486A JP 2009156486 A JP2009156486 A JP 2009156486A JP 5119212 B2 JP5119212 B2 JP 5119212B2
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Description

本発明は、ガス中のアンモニア濃度を検出する方法に関する。
近年、自動車等の内燃機関(特にディーゼルエンジン)において、排ガス中のNOx(窒素酸化物)を浄化する尿素添加SCRシステムの開発が進められている。
尿素添加SCRシステムは、排気管に設けられた選択還元型のNOx浄化触媒(SCR触媒)の上流側において、還元剤としての尿素を添加する。そして、NOx浄化触媒において、添加した尿素が分解して生じたアンモニアにより、NOxを選択的に還元して排ガスを浄化する。
上記尿素添加SCRシステムでは、排ガス中のアンモニア濃度についてガスセンサ等を用いて測定している。そして、測定したアンモニア濃度に応じて尿素の添加量を調整している。排ガスの浄化を効率良く行うためには、排ガス中のアンモニア濃度を正確に測定し、尿素の添加量を精度良く調整することが必要となる。
ここで、被測定ガス(例えば、排ガス)中のアンモニア濃度を検出する方法としては、従来から様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、酸素イオン伝導体を用いて、酸素濃度を一定に制御した後、触媒でアンモニアを酸化させ、残った酸素濃度を限界電流から求め、アンモニアを酸化させた際に消費された酸素量からアンモニア濃度を検出する方法が開示されている。
また、特許文献2では、プロトン伝導体を用いて、基準となる参照電極と測定電極との間に発生する電位を測定する混成電位方式によってアンモニア濃度を検出する方法が開示されている。
特開2000−121604号公報 特表2003−518619号公報
しかしながら、上記特許文献1の方法では、酸素イオン伝導体を用いてアンモニア濃度を酸素濃度の変化によって間接的に測定している。すなわち、アンモニア濃度を直接的に測定することができない。そのため、直接的に測定する場合に比べて測定精度が低くなる。また、アンモニア以外の水素含有ガス成分(例えば、炭化水素等)や水素等が混在したガスでは、アンモニア濃度だけを測定することは困難である。
また、上記特許文献2の方法では、混成電位方式を用いてアンモニア濃度を測定しているが、この方式では、ガス濃度と発生電位との関係がリニアとならない。そのため、特に低ガス濃度での測定精度が低くなるという問題がある。また、ガス中にアンモニア以外の水素含有ガス成分(例えば、炭化水素等)や水素等が存在する場合、プロトン伝導体はこれらにも感度があるため、アンモニア濃度を選択的に検出することが困難である。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ガス中のアンモニア濃度を選択的かつ直接的に精度良く検出することができるアンモニア濃度検出方法を提供しようとするものである。
本発明は、プロトン伝導性固体電解質体と、該プロトン伝導性固体電解質体の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けられた被測定ガス側電極及び基準ガス側電極と、上記被測定ガス側電極に面して被測定ガスを導入する被測定ガス室と、上記基準ガス側電極に面して基準ガスを導入する基準ガス室とを備えたガスセンサ素子を用いて、上記被測定ガス中のアンモニア濃度を検出する方法であって、
上記被測定ガス中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分の発火点及び水素の発火点よりも高く、かつ、アンモニアの発火点よりも低い温度に保持された上記被測定ガス室に、上記被測定ガスを導入することにより、該被測定ガス中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分及び水素を燃焼させるガス燃焼工程と、
上記被測定ガス側電極と上記基準ガス側電極との間に電圧を印加し、上記プロトン伝導性固体電解質体を介して両電極間に流れる電流の大きさに基づいて、上記被測定ガス中のアンモニア濃度を検出する濃度検出工程とを有することを特徴とするアンモニア濃度検出方法にある(請求項1)。
本発明において、上記ガス燃焼工程では、上記被測定ガス室内の温度を上記被測定ガス中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分の発火点及び水素の発火点(約500℃)よりも高く、かつ、アンモニアの発火点(約651℃)よりも低い温度に保持しておく。このように温度調整した上記被測定ガス室に、上記被測定ガスを導入することにより、該被測定ガス中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分及び水素を燃焼させる。このとき、アンモニアは、燃焼せずに上記被測定ガス中に残った状態となる。
次いで、上記濃度検出工程では、燃焼後の上記被測定ガスを上記被測定ガス側電極上に導入し、上記両電極の間に電圧を印加することにより、上記被測定ガス中において燃焼せずに残った水素含有ガス成分であるアンモニアからプロトンが遊離し、そのプロトンの量に応じた電流(限界電流)が上記両電極の間に上記プロトン固体電解質体を介して流れる。このとき、上記両電極間に流れる電流の大きさは、上記被測定ガス中のアンモニア濃度に依存する。よって、この電流の大きさを測定することにより、上記被測定ガス中のアンモニア濃度を検出することができる。
すなわち、本発明では、上記被測定ガス中において燃焼せずに残った水素含有ガス成分であるアンモニアによって、上記両電極間に上記プロトン固体電解質体を介して流れる電流(限界電流)を測定することにより、上記被測定ガス中のアンモニアを選択的かつ直接的に検出することができる。それ故、上記被測定ガス中のアンモニア濃度を精度良く検出することができる。
このように、本発明によれば、ガス中のアンモニア濃度を選択的かつ直接的に精度良く検出することができるアンモニア濃度検出方法を提供することができる。
実施例1における、ガスセンサ素子の長手方向の断面図。 図1のA−A線矢視断面図。 実施例2における、各ガス種別の酸素濃度と限界電流との関係を示す説明図。 実施例2における、ガス種及びその濃度と限界電流との関係を示す説明図。 実施例2における、ガス種及びその濃度と限界電流との関係を示す説明図。 実施例2における、アンモニア濃度と限界電流との関係を示す説明図。
本発明において、上記ガス燃焼工程では、少なくとも、水素含有ガス成分である炭化水素及び水素を燃焼させることが好ましい。
この場合には、上記被測定ガス中のアンモニア濃度を選択的かつ直接的に精度良く検出することができるという本発明の効果をより一層発揮することができる。
なお、上記炭化水素としては、エチレン(C24、発火点:約450℃)、エタン(C26、発火点:約530℃)、プロパン(C38、発火点:約432℃)、ブタン(C410、発火点:約430℃)、ホルムアルデヒド(HCHO、発火点:約424℃)、アセトアルデヒド(CH3CHO、発火点:約185℃)等が挙げられる。
また、もちろんのことではあるが、上記ガス燃焼工程では、上記被測定ガス中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分及び水素を実質的にすべて燃焼させることが好ましい。
この場合には、上記被測定ガス中のアンモニア濃度を選択的かつ直接的に精度良く検出することができるという本発明の効果をより一層発揮することができる。
また、上記ガス燃焼工程では、上記被測定ガスを上記被測定ガス室に導入してから上記被測定ガス側電極に到達するまでの間に十分かつ確実に燃焼させることができるように、上記被測定ガス室における上記被測定ガスを導入する場所から上記被測定ガス側電極までの距離を十分に確保しておくことが好ましい。
この場合には、上記被測定ガス中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分及び水素を十分かつ確実に燃焼させ、上記被測定ガス中のアンモニア濃度をより一層精度良く検出することができる。
また、上記ガス燃焼工程では、上記被測定ガス室に導入する上記被測定ガスの量を一定に保持しておくことが好ましい。例えば、上記ガスセンサ素子の外部と上記被測定ガス室との間に、上記被測定ガスを所定の拡散抵抗の下に透過させる拡散抵抗層を設けることでそれを実現することができる。
この場合には、上記被測定ガス中のアンモニア濃度をより一層精度良く検出することができる。
また、上記被測定ガス室内の温度は、600℃以上に保持しておくことが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記ガス燃焼工程において、上記被測定ガス中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分及び水素を十分かつ確実に燃焼させることができる。これにより、上記被測定ガス中のアンモニア濃度の検出精度をより一層高めることができる。
また、上記被測定ガス室内の温度は、上記ガスセンサ素子に備えられた通電により発熱する発熱体により調整することが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記被測定ガス室内の温度調整を上記発熱体によって迅速かつ容易に行うことができる。これにより、上記ガス燃焼工程における上記被測定ガスの燃焼を良好に行うことができる。
また、上記プロトン伝導性固体電解質体は、SrZrO3、SrCeO3、SrTiO3及びCaZrO3のいずれか一種以上を基本構造とする材料からなることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記プロトン伝導性固体電解質体は、優れた耐熱性を有するものとなる。そのため、上記被測定ガス室内を高温とする本発明のアンモニア濃度検出方法において、特に有効である。
また、上記プロトン伝導体固体電解質体としては、具体的には、上述したSrZrO3、SrCeO3、SrTiO3、CaZrO3等を基本構造とし、その基本構造におけるZr、Ce、Ti等の一部をYb、In等で置換した材料を用いることができる。
また、上記被測定ガスは、ディーゼルエンジンの排ガスであることが好ましい(請求項5)。
すなわち、ディーゼルエンジンの排ガス中には、酸素が十分に存在する。そのため、上記ガス燃焼工程における上記被測定ガスの燃焼を良好に行うことができる。
また、本発明のアンモニア濃度検出方法を用いれば、上記被測定ガス中のアンモニア濃度を精度良く検出することができる。そのため、ディーゼルエンジンの排ガス中のNOx(窒素酸化物)を浄化するためのものであり、排ガス中のアンモニア濃度を正確に測定する必要がある尿素添加SCRシステムに、本発明のアンモニア濃度検出方法を適用することが特に有効である。
(実施例1)
本発明の実施例にかかるアンモニア濃度検出方法について、図を用いて説明する。
本例のアンモニア濃度検出方法は、図1、図2に示すガスセンサ素子1を用いて行う。ガスセンサ素子1は、プロトン伝導性固体電解質体13と、プロトン伝導性固体電解質体13の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けた被測定ガス側電極14及び基準ガス側電極15と、被測定ガス側電極14に面して被測定ガスGを導入する被測定ガス室140と、基準ガス側電極15に面して基準ガスを導入する基準ガス室150とを備えている。
以下、このガスセンサ素子1について詳説する。
本例のガスセンサ素子1は、ディーゼルエンジンの排気管に取り付けられ、排ガス中のアンモニア濃度を検出するガスセンサに内蔵されるものである。また、ガスセンサは、排ガス中のNOx(窒素酸化物)を浄化する尿素添加SCRシステムに適用されるものである。尿素添加SCRシステムは、ガスセンサにおいて検出した排ガス中のアンモニア濃度に応じて、排ガスに対する尿素の添加量を調整する。
図1、図2に示すごとく、ガスセンサ素子1において、SrZr0.9Yb0.13よりなるプロトン伝導性固体電解質体13の一方の面には、白金(Pt)よりなる被測定ガス側電極14が設けられている。また、プロトン伝導性固体電解質体13の他方の面には、白金(Pt)よりなる基準ガス側電極15が設けられている。
また、プロトン伝導性固体電解質体13の基準ガス側電極15側には、電気的絶縁性を有し、かつ緻密でガスを透過させないアルミナセラミックスよりなる基準ガス室形成層16が積層されている。基準ガス室形成層16には、基準ガス室150を形成する溝部160が設けられている。基準ガス室150は、基準ガスを導入することができるよう構成されている。本例において、基準ガスは、大気である。
また、基準ガス室形成層16におけるプロトン伝導性固体電解質体13とは反対側の面には、ヒータ基板17が積層されている。ヒータ基板17には、白金(Pt)よりなるヒータ(発熱体)18が基準ガス室形成層16と対面するよう設けられている。ヒータ18は、通電により発熱させることができ、ガスセンサ素子1が活性温度となるように加熱すると共に、後述する被測定ガス室140の温度を所定の温度に調整する。
また、プロトン伝導性固体電解質体13の被測定ガス側電極14側には、開口部120を有する被測定ガス室形成層12が積層されている。被測定ガス室形成層12の長手方向の一方の端部には、気孔率の高いガス透過性のアルミナセラミックスよりなる拡散抵抗層121が設けられている。
また、被測定ガス室形成層12におけるプロトン伝導性固体電解質体13とは反対側の面には、電気的絶縁性を有し、かつ緻密でガスを透過させないアルミナセラミックスよりなる遮蔽層11が積層されている。
また、遮蔽層11と被測定ガス室形成層12の開口部120とプロトン伝導性固体電解質体13とによって覆われた場所には、被測定ガス室140が形成されている。被測定ガス室140は、所定の拡散抵抗の下に拡散抵抗層121を透過した被測定ガスGを導入することができるよう構成されている。本例の被測定ガスGは、ディーゼルエンジンの排ガスである。
次に、上記構成のガスセンサ素子1を用いたアンモニア濃度検出方法及びその作用効果について説明する。
本例のアンモニア濃度検出方法は、以下のガス燃焼工程と濃度検出工程とを有する。
ガス燃焼工程では、被測定ガスG中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分の発火点及び水素の発火点よりも高く、かつ、アンモニアの発火点よりも低い温度に保持された被測定ガス室140に、被測定ガスGを導入することにより、被測定ガスG中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分及び水素を燃焼させる。
濃度検出工程では、被測定ガス側電極14と基準ガス側電極15との間に電圧を印加し、プロトン伝導性固体電解質体13を介して両電極14、15間に流れる電流の大きさに基づいて、被測定ガスG中のアンモニア濃度を検出する。
以下、これを詳説する。
まず、ガス燃焼工程では、ヒータ18を通電により発熱させ、被測定ガス室140内の温度を所定の温度に保持しておく。具体的には、被測定ガスG中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分(例えば、エチレン、エタン、プロパン、ブタン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の炭化水素)の発火点(約530℃以下)及び水素の発火点(約500℃)よりも高く、かつ、アンモニアの発火点(約651℃)よりも低い温度に保持しておく。本例では、被測定ガス室140内の温度を600℃に保持した。
そして、所定の温度に保持した被測定ガス室140に、ガスセンサ素子1の外部から所定の拡散抵抗を有する拡散抵抗層121を介して被測定ガスGを導入する。これにより、被測定ガス室140内の温度よりも発火点が低い、アンモニア以外の水素含有ガス成分及び水素を燃焼させる。このとき、アンモニアは、燃焼せずに被測定ガスG中に残った状態となる。
次いで、濃度検出工程では、燃焼後の被測定ガスGを被測定ガス側電極14上に導入し、両電極14、15の間に電圧を印加する。これにより、被測定ガスG中において燃焼せずに残った水素含有ガス成分であるアンモニアからプロトンが遊離し、そのプロトンの量に応じた電流(限界電流)が両電極14、15の間にプロトン伝導性固体電解質体13を介して流れる。
このとき、両電極14、15間に流れる電流の大きさは、被測定ガスG中のアンモニア濃度に依存する。よって、この電流の大きさを測定し、被測定ガスG中のアンモニア濃度を検出する。
以上のように、本例のアンモニア濃度検出方法では、被測定ガスG中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分及び水素を燃焼させておく。そして、プロトン伝導性固体電解質体を利用し、被測定ガスG中において燃焼せずに残った水素含有ガス成分であるアンモニアに依存して両電極14、15間に流れる電流(限界電流)を測定する。これにより、被測定ガスG中のアンモニア濃度を選択的かつ直接的に検出することができる。それ故、被測定ガスG中のアンモニア濃度を精度良く検出することができる。
また、本例において、ガス燃焼工程では、被測定ガス室140に導入する被測定ガスGの量が一定となるように調整している。すなわち、ガスセンサ素子1の外部と被測定ガス室140との間に、被測定ガスGを所定の拡散抵抗の下に透過させる拡散抵抗層121を設け、これを実現している。そのため、被測定ガスG中のアンモニア濃度をより一層精度良く検出することができる。
また、被測定ガス室140内の温度は、600℃以上に保持しておく。そのため、ガス燃焼工程において、被測定ガスG中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分及び水素を十分かつ確実に燃焼させることができる。これにより、被測定ガスG中のアンモニア濃度をより一層選択的かつ高精度に検出することができる。
また、被測定ガス室140内の温度は、ガスセンサ素子1に備えられた通電により発熱するヒータ(発熱体)18により調整する。そのため、被測定ガス室140内の温度調整をヒータ18によって迅速かつ容易に行うことができる。これにより、ガス燃焼工程における被測定ガスGの燃焼を良好に行うことができる。
また、プロトン伝導性固体電解質体13は、SrZrO3を基本構造とし、その基本構造におけるZrの一部をYbで置換したSrZr0.9Yb0.13よりなる。そのため、プロトン伝導性固体電解質体13は、優れた耐熱性及びプロトン伝導性を同時に有するものとなる。これにより、被測定ガス室140内の温度を高温とする本例のアンモニア濃度検出方法において、特に有効である。
また、被測定ガスGは、ディーゼルエンジンの排ガスである。ここで、ディーゼルエンジンの排ガス中には、酸素が十分に存在する。そのため、ガス燃焼工程における被測定ガスGの燃焼を良好に行うことができる。
また、本例のアンモニア濃度検出方法は、被測定ガスGである排ガス中のアンモニア濃度を精度良く検出することができる。そのため、このアンモニア濃度検出方法をディーゼルエンジンの排ガス中のNOx(窒素酸化物)を浄化する尿素添加SCRシステムに適用することが特に有効である。
このように、本例によれば、ガス中のアンモニア濃度を選択的かつ直接的に精度良く検出することができるアンモニア濃度検出方法を提供することができる。
(実施例2)
本例は、本発明のアンモニア濃度検出方法の有効性を確認するための試験を行ったものである。
本例では、まず、図3に示すごとく、対象となるガスのうちの1種を含む被測定ガスについて、その被測定ガス中の酸素濃度と限界電流値との関係から各ガスの燃焼状態を確認した。
対象となるガスは、アンモニア(NH3、発火点:約651℃)、水素(H2、発火点:約500℃)、アンモニア以外の水素含有ガス成分である炭化水素のうちのエチレン(C24、発火点:約450℃)である。
具体的には、プロトン伝導性固体電解質体SrZr0.9Yb0.13よりなるペレットの両面にそれぞれ白金(Pt)電極を形成し、一方の面に白金電極を覆うように、中央部に小孔を設けた拡散抵抗体を設置した試験用サンプルを用いた。管状炉に試験用サンプルを設置し、温度を600℃に設定して被測定ガスGを導入すると共に、一対の白金電極の間に所定の電圧をかけることにより、限界電流値を測定した。そして、被測定ガス中の酸素濃度に対する限界電流値の変化から、各ガスの燃焼状態(濃度変化)を確認した。
なお、被測定ガスGに含まれる各ガス(アンモニア(NH3)、水素(H2)、エチレン(C24))の濃度は、図3に示すとおりである。
測定結果を図3に示す。同図は、縦軸が限界電流(mA)、横軸が酸素濃度(ppm)である。
同図に示すごとく、水素(H2)及びエチレン(C24)は、酸素濃度が高くなればなるほど限界電流値が低くなっている、つまり濃度が低くなっている。これは、水素(H2)及びエチレン(C24)が燃焼していることを示している。
一方、アンモニア(NH3)は、酸素濃度が750ppm以上の領域において、酸素濃度が変化しても限界電流値がほぼ一定である、つまり濃度にほとんど変化がない。これは、アンモニア(NH3)が燃焼せずに残っていることを示している。
なお、酸素濃度が0ppmの場合の限界電流値は、酸素濃度が750ppm以上の領域の限界電流値に比べて少し高くなっているが、これは電極として用いている白金(Pt)の触媒作用が影響しているものと考えられる。つまり、酸素が存在する雰囲気においては、電極付近に存在する測定温度(600℃)より発火点(約651℃)が高いアンモニアが、上記の電極の触媒作用により酸化され、アンモニア濃度が低下するが、酸素濃度0ppmの雰囲気下においては、このようなことがないため、上記の現象が生じているものと考えられる。
次に、図4、図5に示すごとく、実施例1のガスセンサ素子1を用い、各種被測定ガスG(試料A1〜A3、試料B1〜B3)について、その限界電流値を測定して比較した。
具体的には、各種被測定ガスGを所定温度(600℃)に保持した被測定ガス室140に導入し、その限界電流値を測定した。そして、測定した限界電流値を比較することによって、アンモニア濃度の検出精度を確認した。
なお、各種被測定ガスG(試料A1〜A3、試料B1〜B3)に含まれるガス種及びその濃度は、図4、図5に示すとおりである。
測定結果を図4、図5を示す。同図は、縦軸が限界電流(mA)、横軸が各種被測定ガスG(試料A1〜A3、試料B1〜B3)である。
図4に示すごとく、試料A1と試料A2とを比較すると、試料A2の限界電流値が試料A1に比べて低くなっている。これは、試料A2に含まれている酸素(O2)によって、被測定ガスG中の水素(H2)が燃焼していることを示している。
そして、試料A2と試料A3とを比較すると、限界電流値がほぼ同じ値となっている。ここで、試料A3は、水素(H2)が含まれていない被測定ガスG中のアンモニア(NH3)の濃度を測定したものである。したがって、試料A2は、被測定ガスG中の水素(H2)がほぼすべて燃焼しており、その燃焼後の被測定ガスG中から燃焼せずに残ったアンモニア(NH3)の濃度が精度良く検出されていることを示している。
また、図5に示すごとく、試料B1と試料B2とを比較すると、試料B2の限界電流値が試料B1に比べて低くなっている。これは、試料B2に含まれている酸素(O2)によって、被測定ガスG中のエチレン(C24)が燃焼していることを示している。
そして、試料B2と試料B3とを比較すると、限界電流値がほぼ同じ値となっている。ここで、試料B3は、水素含有ガス成分であるエチレン(C24)が含まれていない被測定ガスG中のアンモニア(NH3)の濃度を測定したものである。したがって、試料B2は、被測定ガスG中のエチレン(C24)がほぼすべて燃焼しており、その燃焼後の被測定ガスG中から燃焼せずに残ったアンモニア(NH3)の濃度が精度良く検出されていることを示している。
次に、図6に示すごとく、各種被測定ガスG(試料C1〜C3)について、アンモニア(NH3)の濃度を変化させ、その限界電流値を測定して比較した。
具体的には、各種被測定ガスGを所定温度(600℃)に保持した被測定ガス室140に導入し、その限界電流値を測定した。そして、測定した限界電流値を比較することによって、アンモニア濃度の検出精度を確認した。
なお、各種被測定ガスG(試料C1〜C3)に含まれるガス種及びその濃度は、図6に示すとおりである。アンモニア(NH3)の濃度は、300ppm、500ppm、700ppm、1000ppmとした。
測定結果を図6に示す。同図は、縦軸が限界電流(mA)、横軸がNH3濃度(ppm)である。
同図に示すごとく、試料C1〜C3を比較すると、被測定ガスG中のアンモニア(NH3)の濃度が変化しても、それぞれ測定される限界電流値がほぼ同じ値となっている。ここで、試料C1は、水素含有ガス成分であるエチレン(C24)及び水素(H2)が含まれていない被測定ガスG中のアンモニア(NH3)の濃度を測定したものである。したがって、試料C2、C3は、それぞれに含まれている酸素(O2)によって、被測定ガスG中の水素(H2)又はエチレン(C24)がほぼすべて燃焼しており、その燃焼後の被測定ガスG中から燃焼せずに残ったアンモニア(NH3)の濃度が精度良く検出されていることを示している。
また、限界電流値とアンモニア(NH3)濃度との関係がリニアである(比例している)。そのため、限界電流値を測定することにより、アンモニア(NH3)の濃度を精度良く検出できる。
以上の結果から、本発明のアンモニア濃度検出方法を用いれば、被測定ガスG中に水素(H2)や炭化水素(例えば、C24等)が含まれていても、アンモニア(NH3)の濃度を選択的に精度良く検出できることがわかった。
また、プロトン伝導性固体電解質体を用いてアンモニア(NH3)に依存して流れる電流の大きさ(限界電流値)を測定することによって、被測定ガスG中のアンモニア(NH3)の濃度を直接的に精度良く検出できることがわかった。
1 ガスセンサ素子
13 プロトン伝導性固体電解質体
14 被測定ガス側電極
140 被測定ガス室
15 基準ガス側電極
150 基準ガス室
G 被測定ガス

Claims (5)

  1. プロトン伝導性固体電解質体と、該プロトン伝導性固体電解質体の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けられた被測定ガス側電極及び基準ガス側電極と、上記被測定ガス側電極に面して被測定ガスを導入する被測定ガス室と、上記基準ガス側電極に面して基準ガスを導入する基準ガス室とを備えたガスセンサ素子を用いて、上記被測定ガス中のアンモニア濃度を検出する方法であって、
    上記被測定ガス中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分の発火点及び水素の発火点よりも高く、かつ、アンモニアの発火点よりも低い温度に保持された上記被測定ガス室に、上記被測定ガスを導入することにより、該被測定ガス中におけるアンモニア以外の水素含有ガス成分及び水素を燃焼させるガス燃焼工程と、
    上記被測定ガス側電極と上記基準ガス側電極との間に電圧を印加し、上記プロトン伝導性固体電解質体を介して両電極間に流れる電流の大きさに基づいて、上記被測定ガス中のアンモニア濃度を検出する濃度検出工程とを有することを特徴とするアンモニア濃度検出方法。
  2. 請求項1において、上記被測定ガス室内の温度は、600℃以上に保持しておくことを特徴とするアンモニア濃度検出方法。
  3. 請求項1又は2において、上記被測定ガス室内の温度は、上記ガスセンサ素子に備えられた通電により発熱する発熱体により調整することを特徴とするアンモニア濃度の検出方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記プロトン伝導性固体電解質体は、SrZrO3、SrCeO3、SrTiO3及びCaZrO3のいずれか一種以上を基本構造とする材料からなることを特徴とするアンモニア濃度検出方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、上記被測定ガスは、ディーゼルエンジンの排ガスであることを特徴とするアンモニア濃度検出方法。
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