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JP5117337B2 - 熱可塑性樹脂用添加剤 - Google Patents

熱可塑性樹脂用添加剤 Download PDF

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本発明は、熱可塑性樹脂用の添加剤に関する。具体的には加工時の熱安定性に優れ、樹脂の溶融温度で配合しても揮発することがなく、樹脂に配合した際に有効に機能する熱可塑性樹脂用添加剤に関するものである。
アリル基を有する化合物は架橋助剤として知られており、架橋剤との併用、または、電子線やガンマ線などの放射線照射処理との併用により、ポリマーの架橋密度を高め、ゴムや樹脂などの耐熱性、耐候性などを向上させることができるため広く使用されている。アリル基を有する化合物を用いた例としては、例えば、特許文献1および2にはナイロン12樹脂に架橋助剤としてトリアリルシアヌレートやトリアリルイソシアヌレートを配合した後、放射線架橋によって架橋せしめた架橋ポリアミド樹脂組成物および架橋ポリアミド樹脂成型物が提案されている。また、特許文献3にはPBT樹脂に架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレートを配合した後、放射線架橋によって架橋せしめたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が提案されている。
特開昭59−12935号公報 特開昭59−12936号公報 特公平2−8606号公報
しかしながら、トリアリルシアヌレートやトリアリルイソシアヌレートは液状の低分子化合物であるため揮発性が高く、融点が200℃を超えるようなポリマーに添加して溶融混練すると、溶融混練中に架橋助剤の飛散損失してしまい、添加した架橋助剤が有効に機能しないという問題があった。また、加工温度が250℃を超えるような場合はさらに揮発が激しくなり、環境面や衛生面にも問題があった。
そこで、本発明の課題は、高温加工時の熱安定性に優れ、樹脂の溶融温度で配合しても揮発することがなく、樹脂に配合した際に有効に機能する熱可塑性樹脂用添加剤を提供することである。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、1級アミン化合物とグリシジル基及びアリル基を有する化合物を熱的に反応させることにより、沸点が高く1分子中に多くのアリル基を有するモノマー性化合物を得ることができ、熱可塑性樹脂の添加剤として有用であることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、下記式(1)で示される1級アミン化合物と、アリル基及びグリシジル基を有する多官能性化合物との反応によって得られるアリル化合物からなることを特徴とする熱可塑性樹脂用添加剤を要旨とするものである。
R−(NH (1)
ここでn=〜4、Rは芳香族系もしくは脂肪族系の〜4置換残基を示す。
好ましくは、多官能性化合物が、イソシアヌレート化合物であるものであり、さらに好ましくは、イソシアヌレート化合物が、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートであるものである。
本発明によれば、添加する熱可塑性樹脂の溶融温度、すなわち溶融加工する際の加工温度よりも高い沸点を持つ添加剤とすることができるため、加工温度においても揮発することがなく、架橋助剤、末端封鎖剤などとして有効に使用できる。また、溶融加工温度においては液状であるため、それが添加された樹脂の溶融粘度を低下させることができることから、可塑剤としても有効に使用できる。また、1分子中に多数のアリル基を有することから、従来公知の方法でアリル基と樹脂を架橋させることができ、効率良く樹脂を強化することができる。さらに、特定の性能を樹脂に付与する目的で、所望の官能基を導入しておくことも可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる1級アミン化合物は、下記構造式で示されるモノマー性化合物である。
R−(NH
ここでn=〜4、Rは芳香族系もしくは脂肪族系の〜4置換残基を示す。
これらのうち、好ましくはn=2のジアミン類である。n=2のジアミン類について具体例を例示すると、例えば、エチレジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)スルホン、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、2,2´−ジメチル−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ビス(トリクロロメチル)−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ビス(トリブロモメチル)−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ジフルオロ−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ジクロロ−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ジブロモ−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2-ビス(4−アミノシクロへキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,3−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,7−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,2−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、2,2´−ジメチル−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリクロロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリブロモメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジフルオロ−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジクロロ−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジブロモ−4,4´−ジアミノビフェニル、4,4´−ジアミノビフェニル、4,4´−ジアミノ−ベンゾフェノン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェニル)フルオレン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルプロパン、2,2-ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。
n=3の具体例としては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、トリス(3−アミノフェニル)アミン、トリス(4−アミノフェニル)アミン、トリス(3−アミノフェニル)ベンゼン、トリス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)トリアジン等が挙げられる。
n=4の具体例としては、テトラアミンとしては、分子内に4個のアミノ基を有する化合物、例えば、トリエチレンテトラミン、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルスルホン、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルスルフィド、2,3,6,7−テトラアミノナフタレン、1,2,5,6−テトラアミノナフタレン等が挙げられる。
尚、種々特性を調整する等の目的で、これらの内複数のアミンを併用して用いることも可能である。
本発明に用いる多官能性化合物としては、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートを用いる必要がある。
本発明の熱可塑性樹脂用添加剤は、上記した1級アミン化合物と、アリル基及びグリシジル基を有する多官能性化合物を混合し加熱することにより、アミンとグリシジルの熱による付加反応により得られるアリル化合物からなるものである。反応させる際の1級アミン化合物とアリル基及びグリシジル基を有する多官能性化合物の配合比は、1級アミン化合物1当量に対しグリシジル基が1〜2当量となるようにすればよい。1級アミン化合物が脂肪族系の場合、アミンの求核性が強いため1つのアミンに対して2つのグリシジル基を付加反応させることができる。すなわち、例えば脂肪族ジアミン1モルに対し、グリシジル基は4モル量反応すると考えられる。1級アミン化合物が芳香族系の場合、アミンの求核性が比較して弱く、2つのグリシジル基を付加反応させることができない場合がある。すなわち、例えば芳香ジアミン1モルに対し、グリシジル基は概略2モル量は反応すると考えられる。
反応させる方法は特に限定されるものではないが、例えば1級アミン化合物とアリル基及びグリシジル基を有する多官能性化合物を所定量混合し、加熱溶融させることにより上記反応を簡便に行うことができる。その際、必要に応じて適当な反応溶媒を用いることも可能である。反応させるための加熱温度は、通常80〜200℃の範囲で設定すればよい。反応させる際の雰囲気は特に限定されず、大気中で行えばよいが、酸素による酸化が問題となる場合は、窒素ガスなど不活性ガスで雰囲気を置換すればよい。
本発明の熱可塑性樹脂用添加剤が適用される熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂用添加剤の添加量としては、熱可塑性樹脂の種類や目的とする物性改良により、広範囲から選択し得るが、熱可塑性樹脂に対し、通常0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。添加量が上記範囲外の場合は満足すべき特性が発現しない。
本発明の熱可塑性樹脂用添加剤は1分子中に多数のアリル基を有することから、従来公知の方法に従い、架橋剤との併用、または、電子線やガンマ線などの放射線照射処理との併用により熱可塑性樹脂を架橋させることができる。中でも、所望の形に成形した後短時間で処理ができるという点から電子線やガンマ線による架橋方法が好ましく、γ線は電子線に比べて透過性が強いために照射が均一となりより好ましい。電子線照射は公知の電子加速器等が使用でき、γ線照射は、公知のコバルト60線源等による照射装置を用いることができる。電子線の照射線量は1〜300kGyが好ましく、50〜100kGyがより好ましい。γ線照射の場合、照射線量は10〜100kGyが好ましく、20〜40kGyがより好ましい。放射線の照射線量が上記上限値を超えると、樹脂の分解によって強度が低下してしまうため好ましくない。また、上記下限値未満では、架橋による効果が発揮されないため好ましくない。また、照射雰囲気は通常空気存在下で差し支えないが、所望により窒素雰囲気下や真空中で行うことができる。
本発明の熱可塑性樹脂用添加剤と熱可塑性樹脂との混合方法は特に限定されないが、一般的な押出機、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール混錬機、ブラベンダー等を用いて溶融混練すればよいが、混練状態をよくするためには二軸押出機を使用することが好ましい。
また、機械的強度、耐熱性等の諸特性を向上させるためにその特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、有機・無機充填材、結晶核材、繊維状充填材等を添加することができる。熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。難燃剤としては、水和金属化合物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等)、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤が挙げられる。無機充填材としては、タルク、層状珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。無機結晶核材としては、タルク、カオリン等が挙げられ、有機結晶核材としては、ソルビトール化合物、安息香酸およびその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物等が挙げられる。繊維状充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、ケナフや麻等の天然繊維等が挙げられる。
次に実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、各種物性値の試験方法は、次のとおりである。
(1)揮発性の評価:TGA装置(Perkin-Elmer社製TGA-7)を用いて5mgの試料を窒素置換雰囲気中で昇温速度20℃/分の速度で室温から600℃まで昇温させ、試料の重量変化を測定した。また、樹脂との混合物について溶融加工時の揮発ガスの発生状況を観察した。
(2)融解温度の測定:ガラス板に極少量の粉末状試料を挟み、ホットプレート上で加熱して試料が融解して液状になる際の温度を融解温度とした。
(3)曲げ強さ:ISO178に準拠して曲げ試験片を作成し、絶乾状態での曲げ強さを測定した。
実施例1
丸底フラスコに1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン10g(0.073mol)およびモノグリシジルジアリルイソシアヌレート(四国化成社製DA−MGIC)74.4g(0.294mol)を入れ、攪拌しながら80℃で30分間加熱した。さらに180℃で30分間加熱して、無色透明な液状物を得た。得られた液状物を室温まで徐冷した後固化した固形物を粉砕して83.4gの白色粉末を得た。
得られた粉末のTGA測定による5%重量減少温度は332℃であった。なお、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼンのTGA測定による5%重量減少温度は52℃、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートのTGA測定による5%重量減少温度は178℃であった。また、得られた粉末の融解点は55〜70℃の範囲にあった。
実施例2
丸底フラスコにヘキサメチレンジアミン8.48g(0.073mol)およびモノグリシジルジアリルイソシアヌレート74.3g(0.293mol)を入れ、攪拌しながら80℃で30分間加熱した。さらに180℃で30分間加熱して、無色透明な液状物を得た。得られた液状物を室温まで徐冷した後固形物を粉砕して81.8gの白色粉末を得た。
得られた粉末のTGA測定による5%重量減少温度は356℃であった。なお、ヘキサメチレンジアミンのTGA測定による5%重量減少温度は76℃であった。また、得られた粉末の融解点は35〜45℃の範囲にあった。
実施例3
丸底フラスコに1,4−ジアミノベンゼン15.78g(0.146mol)およびモノグリシジルジアリルイソシアヌレート74.2g(0.293mol)を入れ、攪拌しながら80℃で30分間加熱した。さらに180℃で30分間加熱して、褐色透明な液状物を得た。得られた液状物を室温まで徐冷した後固形物を粉砕して89.8gの白色粉末を得た。
得られた粉末のTGA測定による5%重量減少温度は336℃であった。なお、1,4−ジアミノベンゼンのTGA測定による5%重量減少温度は268℃であった。また、得られた粉末の融解点は40〜55℃の範囲にあった。
実施例4
二軸押出機(東芝機械製:TEM26SS、スクリュ径26mm)の主ホッパーに、ナイロン66樹脂(旭化成ケミカルズ社製レオナ1300S)100質量部と実施例1に示した方法によって得られたアリル化合物5質量部とをドライブレンドした物を供給し、280℃で溶融混練しストランド状に押出して冷却固化した後、ペレット状に切断し樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械製:EC−100型)を用いてシリンダ温度280℃、金型温度80℃で射出成形し曲げ強さ測定用の成形体を得た。混練および射出成形操作において揮発ガスの発生は観測されなかった。
得られた成形体に、コバルト60を線源としたガンマ線を30kGy照射した後、曲げ強さ測定を行なったところ、曲げ強さは130MPaであった。
比較例1
射出成形機(東芝機械製:EC−100型)を用いてナイロン66樹脂(旭化成ケミカルズ社製レオナ1300S)をシリンダ温度280℃、金型温度80℃で射出成形し曲げ強さ測定用の成形体を得た。射出成形操作において揮発ガスの発生は観測されなかった。
得られた成形体に、コバルト60を線源としたガンマ線を30kGy照射した後、曲げ強さ測定を行なったところ、曲げ強さは115MPaであった。なお、ガンマ線を照射しなかった場合の曲げ強さは113MPaであった。
比較例2
二軸押出機(東芝機械製:TEM26SS、スクリュ径26mm)の主ホッパーに、ナイロン66樹脂(旭化成ケミカルズ社製レオナ1300S)100質量部とモノグリシジルジアリルイソシアヌレート(四国化成社製DA−MGIC)5質量部とをドライブレンドした物を供給し、280℃で溶融混練しストランド状に押出して冷却固化した後、ペレット状に切断し樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械製:EC−100型)を用いてシリンダ温度280℃、金型温度80℃で射出成形し曲げ強さ測定用の成形体を得た。混練および射出成形操作において著しい揮発ガスの発生が観測された。
得られた成形体に、コバルト60を線源としたガンマ線を30kGy照射した後、曲げ強さ測定を行なったところ、曲げ強さは121MPaであった。
以上の実施例および比較例より、本発明による熱可塑性樹脂用添加剤は、樹脂に溶融混練した際に揮発除去される心配が無く、樹脂に配合した際に有効に機能するものであることが明らかになった。

Claims (1)

  1. 下記式(1)で示される1級アミン化合物と、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートとの反応によって得られるアリル化合物からなることを特徴とする熱可塑性樹脂用添加剤。
    R−(NH (1)
    ここでn=〜4、Rは芳香族系もしくは脂肪族系の1〜4置換残基を示す。
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