JP5114834B2 - 冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)鋼板表面に、鋼成分を偏析させて化合物層を形成させたり、酸化物を形成させるだけでは十分でなく、Pを含むバリヤー皮膜を形成させることが有効である。
(2)上述のように、バリヤー皮膜の膜厚を厚くすると剥離など問題が生じるので、薄い膜で初期防錆性を改善するには、鋼中のMnとS量を制御することが有効である。
鋼板の表層には、MnSのような硫化物が不均一に濃化し易く、そのため初期錆の発生を促進させるので、S量は0.020mass%以下とする必要がある。初期錆の発生を抑制するには、S量は少ないほど好ましいが、極端に低下させると脱硫のために著しいコスト増を招くので、0.001mass%以上とすることが好ましい。また、Mn量が0.05mass%未満だと、Sが硫化物として析出せず、表層に不均一に濃化して初期防錆性を低下させる。したがって、Mn量は0.05mass%以上とする必要があるが、2.0mass%を超えると鋼板表層にMn系の酸化物が生成し易くなり、表層の均質性を維持できなくなるため、2.0mass%以下とすることが好ましい。
Pを含む皮膜は、Pを含む溶液を鋼板表面に接触させることにより形成させる。例えば、リン酸アルミニウム水溶液を塗布し、水洗することなく乾燥させて得られるような非晶質の皮膜である。リン酸イオンに対するカチオン種は、特に限定されるものでなく、Al以外にも、Ti、Zr、V、Mo、Co、Fe、Ni、Mg、La、Ceなどでもよく、これらの元素が2種以上複合化されてもよい。添加されるカチオンは、炭酸塩、酸素酸イオン、酸化物ゾル、キレート剤などの状態でリン酸水溶液と混合させることができる。また、リン酸イオンには、ピロリン酸、ポリリン酸、トリポリリン酸、ウルトラリン酸などの縮合リン酸イオンも含まれる。さらに、水溶性の有機ホスホン酸が含まれてもよく、これらを主体としてもよい。
本発明の冷延鋼板は、Mn:0.05mass%以上およびS:0.020mass%以下を含有する冷延鋼板を連続焼鈍後、上述のように、Pを含有する溶液に接触させればよいが、Pを含む薄い皮膜でも優れた初期防錆性を発揮させるには、鋼板の表面状態を適切に制御することが好ましい。そこで、本発明者らは、連続焼鈍時の雰囲気の露点の影響について、以下のような検討を行った。
鋼板を70mm×70mmのサイズにせん断し、端面と片方の面をシールし、次の条件で腐食試験を行った。
人工海塩をイオン交換水に溶解させ、濃度0.035mass%の水溶液を作成し、この水溶液をシール後の鋼板に、噴射し、乾燥させて、塩分を100mg/m2付着させた。引き続き、この鋼板を環境試験機に入れ、乾燥(温度60℃、相対湿度35%)3時間→湿潤(温度40℃、相対湿度95%)3時間のサイクルで乾湿を3回繰り返して腐食試験を行った。なお、このとき乾湿間の移行時間は1時間とした。その後、鋼板の塩分をイオン交換水で洗浄し、乾燥して、再び人工海塩を100mg/m2付着させて同様な腐食試験を行った。
そして、発生した点錆の1cm2あたりの個数を求め、以下のように評価した。
◎:発錆なし
○:1個以上10個未満
△:10個以上30個未満
×:30個以上50個未満
××:50個以上
その結果、露点を-30℃以下に制御することにより、Pを含む皮膜の厚さが極めて薄くても発錆状況は◎か○で、優れた初期防錆性が得られることが明らかになった。露点の条件により初期錆の発生に違いが現れる理由は十分には明らかでないが、以下のように推察される。すなわち、露点が低い場合には還元効果が高く、表層に濃化される酸化物が存在し難いうえ、硫化物などが比較的均質に表層に存在するため、表面性状が極めて均質となる。その結果、皮膜形成用の処理液と鋼との濡れ性が均質化し、形成されるPを含む皮膜は欠陥部の極めて少ない、均一なものとなって、初期錆の発生が抑制される。一方、露点が高い場合には表面性状の均質性が十分でなくなり、pHが2程度のリン酸アルミニウム水溶液と鋼との反応性が場所によって異なり、不均一な皮膜が形成されて、初期錆が発生し易くなる。
(i)Pを含む皮膜と鋼との界面に形成される反応層
(ii)Pを含む皮膜
なお、本発明の冷延鋼板は、基本的には、冷間圧延後、連続焼鈍、必要に応じて過時効処理、調質圧延、必要に応じて酸性水溶液との接触、水洗、乾燥、引き続きPを含む皮膜形成の順で、製造されるが、調質圧延前に酸性水溶液と接触させることもできる。また、酸性水溶液との接触時に直接Pを含む皮膜を形成させることも可能である。連続焼鈍後、コーティングラインなどでオフラインでPを含む皮膜を形成させることもできるが、インラインで形成した方が生産性上好ましい。
FIB加工により切り出した断面の任意の3箇所を、TEMにより観察し、厚みを測定し、平均を求めた。
予め付着量を湿式分析(酸で溶解し、酸中のP量を検量線法にてICP分析[高周波プラズマ発光分析])して求めた検量板との比較により、蛍光X線分析で定量した。
TEMによるFIB加工した試料の皮膜厚さの測定時に、元素分析により皮膜内部におけるFeの存在有無を確認し、界面から連続的にFeが存在する場合には、反応層が形成しているものとして判断した。
Claims (5)
- Mn:0.05mass%以上およびS:0.020mass%以下を含有する鋼を冷間圧延し水素を含み残部が窒素からなる露点:−60〜−30℃の雰囲気で連続焼鈍を行うことにより得られる冷延鋼板の、少なくとも一方の表面にリン酸アルミニウム、リン酸バナジン、リン酸マグネシウムから選ばれる1種を含有する水溶液を接触させ、水洗することなく乾燥させて形成されるPを含有する非晶質の皮膜を有することを特徴とする冷延鋼板。
- 前記Pを含有する非晶質の皮膜の厚さが5〜1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の冷延鋼板。
- 前記Pを含有する非晶質の皮膜と鋼との界面に反応層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷延鋼板。
- Mn:0.05mass%以上およびS:0.020mass%以下を含有する鋼を冷間圧延して冷延鋼板とした後、前記冷延鋼板を水素を含み残部が窒素からなる露点:−60〜−30℃の雰囲気で連続焼鈍を行い、次いで、前記連続焼鈍後の冷延鋼板の少なくとも一方の表面に、リン酸アルミニウム、リン酸バナジン、リン酸マグネシウムから選ばれる1種を含有する水溶液を接触させ、水洗することなく乾燥させて、Pを含有する非晶質の皮膜を形成させることを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
- Mn:0.05mass%以上およびS:0.020mass%以下を含有する鋼を冷間圧延して冷延鋼板とした後、前記冷延鋼板を水素を含み残部が窒素からなる露点:−60〜−30℃の雰囲気で連続焼鈍を行い、次いで、前記連続焼鈍後の冷延鋼板の少なくとも一方の表面を酸性水溶液に接触させ、水洗した後、リン酸アルミニウム、リン酸バナジン、リン酸マグネシウムから選ばれる1種を含有する水溶液に接触させ、水洗することなく乾燥させて、Pを含有する非晶質の皮膜を形成させることを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
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