JP5110371B2 - ラックエンド用ボールジョイント - Google Patents
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Description
また、球頭部の表面の面圧が不均一であると、球頭部と樹脂シートとの間の面圧が大きい部分で摩擦が大きくなり、樹脂シートに異常磨耗が生じて、球頭部とソケットとの間にがたつきが発生するおそれがある。
この構成によれば、第1部材内に球頭部と樹脂シートとが嵌め入れられた後、第1部材と第2部材とが結合されて、球頭部および樹脂シートのソケット内への収容が達成される。第1保持面が球頭部の表面に沿う曲面に形成されているので、球頭部の表面に付与されている面圧が均一になる。これにより、揺動トルクの安定化を図ることができる。
前記第1樹脂シートは、球面状の球面シートを有し、前記第2樹脂シートが、前記第1樹脂シートと前記第2部材との間に介装されていてもよい(請求項2)。
図1は、本発明の一実施形態に係るラックエンド用ボールジョイントが搭載されたステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。ステアリング装置1は、操舵部材としてのステアリングホイール2と、転舵輪(図示せず)を転舵する転舵機構としてのラックアンドピニオン機構3とを備えている。
ラックアンドピニオン機構3は、ピニオン軸6およびラック軸7を備えている。ピニオン軸6は、中間軸5に連結された軸部8と、この軸部8の先端に連結されたピニオン9とを含む。ステアリングホイール2の回転は、ステアリングシャフト4および中間軸5を介してピニオン軸6に伝達される。
ラック軸7は筒状のラックハウジング11に挿通されている。ラック軸7の両端部は、それぞれラックハウジング11から突出している。ラック軸7の各端部(いわゆるラックエンド)には、インナーボールジョイント12を介して、タイロッド14の一端が連結されている。また、タイロッド14の他端(いわゆるタイロッドエンド)には、アウターボールジョイント13が設けられている。このアウターボールジョイント13は、ナックルアーム41(図2参照)を介して転舵輪に連結されている。
インナーボールジョイント12は、ラック軸7の端部に連結されるソケット16と、このソケット16内に収容された樹脂シート17と、ソケット16および樹脂シート17によって揺動可能に支持されたボールスタッド18とを備えている。ソケット16には、ラック軸7の端部に連結される連結部20が設けられている。
スタッド軸24は、ソケット16から突出している。このスタッド軸24と、このスタッド軸24に連結されるアウターボールジョイント13に連結されたロッド25とによって、タイロッド14が構成されている。
また、雄ねじ部26にはロックナット28が螺合されている。ボールスタッド18およびロッド25は、ロックナット28によって互いに固定されている。また、雌ねじ孔27に対する雄ねじ部26のねじ込み量は、ロッド24(ボールスタッド18)を回転させ調節し、ロックナット28によって固定されている。雌ねじ孔27に対する雄ねじ部26のねじ込み量を調節することにより、転舵輪のトーイン角を調節することができる。
一方、アウターボールジョイント13は、カップ状のソケット29と、このソケット29内に収容された樹脂シート30と、ソケット29および樹脂シート30によって揺動可能に支持されたボールスタッド31とを備えている。
ソケット29の開放側端部、すなわち、円筒32の他端部(図2で示す上端部)には、その内面が半径方向内方に突出した突出部38が形成されている。そのため、円筒32の他端部(図2では上端部)は、円筒32の他の部分に比べてその内径が縮径されている。突出部38の内面は、球頭部23の外表面に沿う球面状に形成されている。
ソケット29およびボールスタッド31には、筒状のカバー42が取り付けられている。カバー42の一端は、ソケット29の開放側端部に外嵌されて、この開放側端部に固定されている。また、カバー42の他端は、ボールスタッド31のスタッド軸40に外嵌されて、このスタッド軸40に固定されている。ソケット29の開放側端部およびスタッド軸40の一部は、カバー42によって覆われている。このカバー42によって、水や埃などの異物が、アウターボールジョイント13内に進入することが防止されている。
ソケット16は、ほぼ有底円筒状であり、ほぼ円筒状の第1部材43と、この第1部材43と別部材に形成された第2部材44とが結合された構造である。ソケット16の開放側端部には開口部45が形成されている。この開口部45にはスタッド軸24が挿通している。第1部材43は、たとえば鋼などの金属製の単一部材により形成されたほぼ円筒状の部材であり、その内部に球頭部23を収容することができる大きさに形成されている。第1部材43の一端部(図3で示す上端部)には、その一端に向かうにつれて第1部材43の中心軸線C側に近づくように湾曲する湾曲部46が形成されている。そのため、第1部材43の一端部は、第1部材43の他の部分に比べて縮径している。湾曲部46の内面(第1保持面)47は、旋削加工などによって、球頭部23の外表面に沿う球面状に形成されている。
第3シート52および第4シート53は、たとえば、ポリアセタールかPEEK等の樹脂材料を用いて形成されている。ポリウレタンやポリエステルなどのゴム状の材料(エラストマー)を用いても良い。
図4は、インナーボールジョイント12の製造工程を示す模式的な断面図である。
インナーボールジョイント12は、第1部材43の他端部から、ボールスタッド18、第3シート52および第4シート53の順で嵌め入れられる。第3シート52は、予め球面状に形成されている。各部品の嵌入後に第2部材44が第1部材43の他端部から内嵌され、予め定められた量だけ押し込まれた後に、第1部材43の他端部がかしめ変形されて、かしめ部48(図3参照)が形成される。これにより、第1部材43と第2部材44とが固定される。
また、球頭部23の外表面の面圧が均一であるので、球頭部23と第3シート52との間の摩擦を低く抑えることができる。このため、第3シート52における異常磨耗の発生を抑制することができる。これにより、長期にわたってがたつきの発生を抑制することができる。
この図5に示す実施形態にかかるインナーボールジョイント12Aが、図1〜図4に示すインナーボールジョイント12と大きく相違する点は、樹脂シート(球面シート)17Aを、球面状の樹脂シート単体としたことである。この樹脂シート17Aは、前述した第3シート52とほぼ同一の形状および寸法に形成されている。
この図5に示す実施形態によれば、内面47および内端面49が球頭部23の外表面に沿う球面状に形成されており、その上、第3シート52が球面状に形成されているために、ソケット16内に収容された後の球頭部23の外表面に付与されている面圧が全域にわたって均一になる。これにより、揺動トルクの安定化を図ることができる。
この図6の実施形態に係るインナーボールジョイント12Bが、図5に示すインナーボールジョイント12Aと大きく相違する点は、第2部材44Bの第1部材43Bへの固定がねじ嵌合により達成されていることある。
図6の実施形態では、図5に示す構成にねじ嵌合による固定を適用する場合を例にとって説明したが、このねじ嵌合構造が図1〜図4の実施形態に適用されていてもよい。
また、第2部材44Aの内端面49Aは、球面状でなくても、湾曲面状または屈曲面状に形成されていればよい。
また、球面状のシート52,17Aにスリットが形成されていてもよい。
Claims (1)
- ステアリング装置のラックの端部に設けられるラックエンド用ボールジョイントであって、
球頭部を有するボールスタッドと、
前記球頭部の表面を覆う樹脂シートと、
前記樹脂シートで覆われた前記球頭部を収容し、前記球頭部を前記樹脂シートを介して摺動可能に支持するソケットとを備え、
前記樹脂シートが、前記球頭部を包み込むように配置される球面状の第1樹脂シートと、前記第1樹脂シートと別部材で形成されて、前記第1樹脂シートと前記第2部材との間に、前記球頭部に接しない状態で介装される第2樹脂シートとを含み、
前記ソケットが、筒状の第1部材と、前記第1部材とは別部材で形成され、前記第1部材の一端部を塞ぐための第2部材とを備えるとともに、前記第1および第2部材はかしめ結合により互いに結合されており、
前記第1部材の他端部の内面は、前記球頭部の表面に沿う曲面に形成されて、前記球頭部を保持する第1保持面を有し、
前記ボールスタッドならびに前記第1および第2樹脂シートが前記第1部材に入れられた後、前記第1および第2部材が互いにかしめ結合されていることを特徴とする、ラックエンド用ボールジョイント。
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