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JP5104586B2 - 車両用制動装置 - Google Patents

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JP5104586B2 JP2008161833A JP2008161833A JP5104586B2 JP 5104586 B2 JP5104586 B2 JP 5104586B2 JP 2008161833 A JP2008161833 A JP 2008161833A JP 2008161833 A JP2008161833 A JP 2008161833A JP 5104586 B2 JP5104586 B2 JP 5104586B2
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Description

本発明は、乗員のブレーキ操作に対して車両に付与する制動力を電子制御する車両用制動装置に関するものである。
車両の制動装置として、ブレーキペダルから入力されたブレーキ操作力やブレーキ操作量などに対して、車両の制動力、つまり、制動力を発生させるホイールシリンダへ供給する油圧を電気的に制御する電子制御制動装置が知られている。この電子制御制動装置としては、ブレーキ操作量に応じて目標制動油圧を設定し、アキュムレータに蓄えられた油圧を調圧してから、ホイールシリンダへ供給することで、制動力を制御するECB(Electronically Controlled Brake)が知られている。
このECBは、運転者によるブレーキペダル操作に応じて作動するマスタシリンダと、このマスタシリンダに連結されたストロークシミュレータと、マスタシリンダとブレーキホイールシリンダとを連結する油圧経路に設けられたマスタカット弁と、油圧を蓄えられるアキュムレータと、このアキュムレータに蓄えられた油圧を調圧する調圧機構とを有している。従って、運転者がブレーキペダルを踏み込むと、マスタシリンダがその操作量に応じた油圧を発生すると共に、作動油の一部がストロークシミュレータに流れ込み、ブレーキペダルストロークを吸収すると共に、ブレーキペダルにブレーキ反力を付与することで、ブレーキペダルの操作量が調整される。一方、ブレーキECUは、ブレーキ操作量に応じて車両の目標制動力、つまり、目標制動油圧を設定し、調圧機構によりアキュムレータの油圧を調圧して各ホイールシリンダに供給することで、乗員が所望する制動力が得られる。
上述したECBでは、ブレーキペダルから入力されたブレーキ操作に応じた適正な制動油圧を設定し、アキュムレータから各ホイールシリンダに対して適正な油圧を供給することで、制動力を電気的に制御することから、電源装置の失陥時には、ホイールシリンダに適正な油圧を供給することができない。そこで、マスタシリンダと各ホイールシリンダとの間にマスタカット弁を設け、電源装置の失陥時には、このマスタカット弁を開放し、マスタシリンダからの加圧力を直接ホイールシリンダに付与することで、制動力を確保するようにしている。
このような車両用ブレーキシステムとして、例えば、下記に示す特許文献1に記載されたものがある。
特開2001−225739号公報
ところで、このECBにて、前後4つの車輪の各ホイールシリンダを個別に加圧することで、4つの車輪の制動力を独立して制御可能に構成する場合、加圧ラインが4系統あるためにマスタカット弁が2系統必要となってしまい、構造の複雑化や製造コストの増大を招いてしまう。また、電源装置の失陥時におけるバックアップシステム、ハイドロブースターによる助勢制御にて、左右輪の各ホイールシリンダへの制御圧差による仕様変更対応が必要であり、この点でも、構造の複雑化や製造コストの増大を招いてしまう。
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、構造の簡素化及び低コスト化を可能とすると共に、失陥時であっても適正な制動力を確保することで信頼性及び安全性の向上を図る車両用制動装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の車両用制動装置は、乗員が制動操作可能な操作部材と、該操作部材の操作ストロークに応じてピストンが前進することで作動流体を加圧して所定の油圧を出力可能なマスタシリンダと、前記ピストンのストロークを吸収可能なストローク吸収機構と、油圧を受けて車輪に制動力を発生させる第1及び第2ホイールシリンダと、前記マスタシリンダと前記第1及び第2ホイールシリンダとを連結する第1及び第2油圧通路と、該第1油圧通路を開閉可能なマスタカット弁と、前記操作部材の操作ストロークに応じて油圧供給源の油圧を調圧して出力可能な調圧手段と、該調圧手段からの油圧を前記第1ホイールシリンダに供給可能な第1制御圧通路と、前記調圧手段からの油圧を前記マスタシリンダにおけるピストンの背面側に供給可能な第2制御圧通路と、前記第1油圧通路及び前記第1制御圧通路に設けられてピストンが作動して油圧を前記第1ホイールシリンダに伝達可能な系統分離機構と、を備えることを特徴とするものである。
本発明の車両用制動装置では、前記系統分離機構は、シリンダ内に前記第1油圧通路の油圧により作動する第1ピストンと、前記第1制御圧通路の油圧により作動する第2ピストンとが嵌合状態で相対移動自在に支持され、前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に加圧室が区画されることで構成され、該加圧室が前記第1ホイールシリンダに連結されることを特徴としている。
本発明の車両用制動装置では、前記第1及び第2ホイールシリンダは、前輪または後輪の左右輪に対して制動力を発生させるホイールシリンダであることを特徴としている。
本発明の車両用制動装置では、前記調圧手段は、前記操作部材の操作ストロークに応じた目標制御圧に基づいた電磁力により駆動弁を移動することで油圧を調圧して出力可能である第1圧力制御弁と、前記操作部材の操作ストロークに応じた目標制御圧に基づいた電磁力により駆動弁を移動することで油圧を調圧して出力可能であると共に、前記マスタシリンダからの油圧をパイロット圧として前記駆動弁を移動することで油圧を調圧して出力可能である第2圧力制御弁とを有し、前記第1圧力制御弁が前記第1制御圧通路により系統分離機構に連結され、前記第2圧力制御弁が前記第2制御圧通路により前記マスタシリンダにおけるピストンの背面側に連結されることを特徴としている。
本発明の車両用制動装置では、前記マスタシリンダは、前記シリンダ内に前記ピストンとしての入力ピストン及び加圧ピストンが移動自在に支持されることで、第1圧力室と第2圧力室と第3圧力室が区画され、前記第1圧力室に前記第1及び第2油圧通路が連結され、前記ピストンの背面側に区画された前記第3圧力室に前記第2制御圧通路が連結されることを特徴としている。
本発明の車両用制動装置によれば、マスタシリンダの油圧を第1及び第2油圧通路を通して第1及び第2ホイールシリンダに供給可能とすると共に、調圧手段からの油圧を第1制御圧通路を通して第1ホイールシリンダに供給可能とし、第1油圧通路及び第1制御圧通路にピストンが作動して油圧を第1ホイールシリンダに伝達可能な系統分離機構を設けている。従って、系統分離機構によりマスタシリンダ側と調圧手段側とホイールシリンダ側の油圧系統が分離されることで、構造の簡素化及び低コスト化を可能とすることができると共に、失陥時であっても適正な制動力を確保することで信頼性及び安全性の向上を図ることができる。
以下に、本発明に係る車両用制動装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施例に係る車両用制動装置を表す概略構成図、図2は、本実施例の車両用制動装置における圧力制御弁の断面図である。
本実施例の車両用制動装置において、図1に示すように、マスタシリンダ11は、シリンダ12内にピストンとしての入力ピストン13と加圧ピストン14が軸方向に移動自在に支持されて構成されている。このシリンダ12は、基端部が開口して先端部が閉塞した円筒形状をなし、内部に入力ピストン13と加圧ピストン14が同軸上に配置されて軸方向に沿って移動自在に支持されている。
また、操作部材としてのブレーキペダル15は、上端部が図示しない車体の取付ブラケットに支持軸16により回動自在に支持されており、下端部に運転者が踏み込み操作可能なペダル17が取付けられている。そして、ブレーキペダル15は、中間部に連結軸18によりクレビス19が取付けられ、このクレビス19には操作ロッド20の基端部が連結されている。そして、シリンダ12の基端部側に配置された入力ピストン13は、基端部にブレーキペダル15の操作ロッド20の先端部が連結されている。
入力ピストン13は、外周面がシリンダ12の内周部に圧入または螺合して固定された円筒形状をなす支持部材21の内周面により移動自在に支持されている。この入力ピストン13は、支持部材21の内周面に嵌合する第1支持部13aと、基端部に固定されたブラケット13bと、シリンダ12の第1内周面12aに嵌合して第1支持部13aより大径のフランジ部13cと、シリンダ12の第1内周面12aより小径の第2内周面12bに嵌合する第2支持部13dとを有している。そして、支持部材21と入力ピストン13のブラケット13bとの間に反力スプリング22が介装されており、入力ピストン13が一方方向(図1にて、右方)に付勢支持されている。
加圧ピストン14は、シリンダ12内にて、入力ピストン13の先端部側に配置されており、外周面がシリンダ12の内周面に移動自在に支持されている。この加圧ピストン14は、シリンダ12の第2内周面12bに嵌合する支持部14aと、第2内周面12bに段部12cを介して大径に形成される第3内周面12dに嵌合するフランジ部14bとを有している。そして、シリンダ12のブラケット23と加圧ピストン14との間に付勢スプリング24が介装されており、加圧ピストン14が一方方向(図1にて、右方)に付勢支持されている。
そのため、入力ピストン13は、反力スプリング22の付勢力により、フランジ部13cが支持部材21に当接する位置に付勢支持されており、反力スプリング22の付勢力に抗して前進すると、第2支持部13dが加圧ピストン14に当接することができる。加圧ピストン14は、付勢スプリング24の付勢力により、フランジ部14bがシリンダ12の段部12cに当接する位置に付勢支持されている。そして、入力ピストン13は、第2支持部13dが加圧ピストン14に当接した後に更に前進することで、この加圧ピストン14を押圧し、入力ピストン13と加圧ピストン14とが一体となって前進することができる。
また、入力ピストン13が反力スプリング22の付勢力により後退位置に付勢支持され、加圧ピストン14が付勢スプリング24の付勢力により後退位置に付勢支持されているとき、この入力ピストン13と加圧ピストン14との間には、初期隙間Sが設定されている。即ち、入力ピストン13が初期ストロークだけ前進する間、加圧ピストンが前進することはない。
従って、運転者がペダル17を踏み込むことでブレーキペダル15が回動すると、その操作力が操作ロッド20を介して入力ピストン13に伝達され、この入力ピストン13が反力スプリング22の付勢力に抗して前進することができる。そして、入力ピストン13が初期ストロークSだけ前進すると、加圧ピストン14に当接することができ、入力ピストン13は加圧ピストン14を押圧し、一体となって前進することができる。
なお、入力ピストン13と加圧ピストン14との受圧面積の関係は、以下に表すものとなっている。この場合、A1は、入力ピストン13の第2支持部14dの断面積、A2は、入力ピストン12のフランジ部14cの断面積、A3は、入力ピストン13の第1支持部13aの断面積、A4は、加圧ピストン14の支持部14aの断面積である。
A1=A2−A3=A4
このように、シリンダ12内に入力ピストン13と加圧ピストン14が同軸上に移動自在に配置されることで、加圧ピストン14における前進方向(図1にて左方)に第1圧力室(前方圧力室)Rが区画され、加圧ピストン14における後退方向(図1にて右方)、つまり、入力ピストン13と加圧ピストン14との間に第2圧力室Rが区画され、入力ピストン13及び加圧ピストン14における後退方向(図1にて右方)、つまり、加圧ピストン14と支持部材21との間に背面圧力室(後方圧力室)Rが区画されている。また、シリンダ12と加圧ピストン14との間に反力室Rが形成されている。
一方、前輪FR,FL及び後輪RR,RLにはそれぞれブレーキ装置(制動装置)を作動させるホイールシリンダ25FR,25FL,25RR,25RLが設けられており、調圧機構26により作動可能となっている。この調圧機構26は、4つの圧力制御弁27a,27b,27c,27dにより構成されており、各圧力制御弁27a,27b,27c,27dはほぼ同様の構成となっている。
ここで、上述した調圧手段を構成する圧力制御弁27a,27b,27c,27dについて詳細に説明する。ここで、圧力制御弁27a,27b,27c,27dは、同様の構成であるため、圧力制御弁27aについて詳細に説明する。
この圧力制御弁27aにおいて、図2に示すように、ハウジング111は、その中心部に上下方向に沿って貫通する第1支持孔112が形成され、その上部には、第1支持孔112に連通する取付孔113及びねじ孔114が形成され、上方が外部に開口している。そして、位置調整用円盤115が外部からねじ孔114に螺合することで、第1支持孔112の上方の開口が閉塞されている。
また、ハウジング111の下部には、第1支持孔112に連通し、且つ、この第1支持孔112より小径の第2支持孔116が形成されている。そして、ハウジング111の第1支持孔112と第2支持孔116にわたって駆動ピストン117が移動自在に嵌合している。この駆動ピストン117は、円柱形状をなし、フランジ部117aが一体に形成されている。また、駆動ピストン117には、軸方向に貫通する第1通路117bが形成されると共に、この第1通路117bと交差するように径方向に貫通する第2通路117cが形成されている。
ハウジング111の下部には、プランジャ118が上下方向に沿って移動自在に支持されると共にリターンスプリング119により下方に付勢支持されている。そして、このプランジャ118は、上方に延出されて第2支持孔116に移動自在に嵌合するロッド部118aを有し、第1弁部118bが駆動ピストン117に形成された第1弁座117dに着座可能となっている。そして、プランジャ118の外周側には、通電可能なコイル120が巻装されており、このプランジャ118とコイル120によりソレノイドが構成されている。
ハウジング111の第1支持孔112には、駆動ピストン117の上方に位置して、円筒形状をなす外部ピストン121が移動自在に嵌合し、この外部ピストン121の内部に制御弁122が配設され、この外部ピストン121と相対移動自在となっている。外部ピストン121は、連通孔121aが形成されると共に、上方が開口している。そして、駆動ピストン117のフランジ部117aと外部ピストン121との間には、リターンスプリング123が張設されており、駆動ピストン117は下方に付勢支持され、外部ピストン121は上方に付勢支持されている。
外部ピストン121は、内部に制御弁122が収容され、上端部に蓋部124が固定されている。制御弁122は、上端部が蓋部124に嵌合する一方、下端部に連通孔121aを貫通する連結部122aが形成され、この連結部122aが駆動ピストン117の上端部に形成された連結凹部117eに嵌合している。また、制御弁122は、第2弁部122bが形成され、この第2弁部122bは、外部ピストン121に形成された第2弁座121bに着座可能となっている。そして、外部ピストン121と制御弁122との間には、リターンスプリング125が張設されており、その付勢力により外部ピストン121が上方に、制御弁122が下方に支持されることで、第2弁部122bが第2弁座121bに着座している。
本実施例の圧力制御弁27aは、上述したように、ハウジング111内に駆動ピストン117、外部ピストン121、制御弁122が移動自在に支持されることから、外部ピストン121と制御弁122により区画される高圧室R11と、ハウジング111と駆動ピストン117とプランジャ118により区画される減圧室R12と、ハウジング111と駆動ピストン117と外部ピストン121と制御弁122とにより区画される圧力室R13と、ハウジング111と外部ピストン121と制御弁122とにより区画されるリリーフ室R14と、ハウジング111と外部ピストン121により区画される外部圧力室R15が設けられている。
そして、ハウジング111及び外部ピストン121を貫通して高圧室R11に連通する高圧ポートP11が形成されると共に、ハウジング111を貫通して減圧室R12に連通する減圧ポートP12が形成されている。また、ハウジング111を貫通して圧力室R13に連通する制御圧ポートP13が形成されている。更に、ハウジング111及び外部ピストン121を貫通してリリーフ室R14に連通するリリーフポートP14が形成されている。また、ハウジング111を貫通して外部圧力室R15に連通する外部圧ポートP15が形成されている。
このように構成された圧力制御弁27aにて、コイル120が消磁状態にあるとき、リターンスプリング119によりプランジャ118の第1弁部118bが、駆動ピストン117の第1弁座117dから離間している。一方、リターンスプリング125により制御弁122の第2弁部122bが外部ピストン121の第2弁座121bに着座している。従って、連通孔121aが閉止されることで、高圧室R11と圧力室R13とが遮断され、圧力室R13と減圧室R12とが連通する。
この状態から、コイル120に通電すると、発生する電磁力によりプランジャ118が上方に移動し、ロッド部118aが駆動ピストン117を押圧し、この駆動ピストン117がリターンスプリング123の付勢力に抗して上方に移動する。すると、駆動ピストン117が制御弁122をリターンスプリング125の付勢力に抗して押圧し、この制御弁122が上方に移動する。制御弁122が上方に移動すると、第2弁部122bが外部ピストン121の第2弁座121bから離間して連通孔121aが開放される。従って、高圧室R11と圧力室R13が連通され、圧力室R13と減圧室R12とが遮断される。
また、外部圧ポートP15から外部圧力室R15に外部圧(油圧)が供給されると、蓋部124を介して外部ピストン121が下方に移動する。すると、この外部ピストン121がリターンスプリング123の付勢力に抗して下方に移動し、制御弁122の第2弁部122bから外部ピストン121の第2弁座121bが離間して連通孔121aが開放される。従って、前述と同様に、高圧室R11と圧力室R13が連通され、圧力室R13と減圧室R12とが遮断される。
また、図1に示すように、マスタシリンダ11にて、第1圧力室Rに連通する第1圧力ポート28には、油圧配管29の一端部が連結されており、この油圧配管29の他端部は、第1及び第2油圧配管30,31と外部圧供給配管32に分岐されている。そして、第1油圧配管30は、前輪FRに配置されるブレーキ装置のホイールシリンダ(第1ホイールシリンダ)25FRに連結され、第2油圧配管31は、前輪FLに配置されるブレーキ装置のホイールシリンダ(第2ホイールシリンダ)25FLに連結されている。
第1油圧配管30には、油圧配管29からの分岐部より下流側(ホイールシリンダ25FR)側に位置してマスタカット弁33が設けられている。このマスタカット弁33は、ノーマルオープンタイプの電磁式開閉弁であって、電力供給時に閉止する。また、第1油圧配管30には、このマスタカット弁33(ホイールシリンダ25FR)側に位置して系統分離機構34が設けられている。
この系統分離機構34において、シリンダ211内には、断面がコ字形状をなす第1ピストン212が移動自在に支持されると共に、断面がコ字形状をなす第2ピストン213が移動自在に支持されている。この場合、第1ピストン212と第2ピストン213は、開口部が対向するように配置され、第1ピストン212内に第2ピストン213が嵌合して相対移動可能であると共に、両者の間に設けられた付勢スプリング214により互いに離間する方向に付勢支持されている。そして、シリンダ211と第1ピストン212との間には、第1室R21が区画されると共に、シリンダ211と第2ピストン213との間には、第2室R22が区画され、また、第1ピストン212と第2ピストン213との間には、加圧室R23が区画されている。
そして、系統分離機構34にて、第1室R21に、第1油圧配管30の上流側配管30aが連結され、加圧室R23に連通ポート211aを介して第1油圧配管30の下流側配管30bが連結されている。なお、シリンダ211には、第1ピストン212と第2ピストン213との嵌合部に連通する連通ポート211bが形成されており、この連通ポート211bはリリーフ配管60を介してリザーバタンク37の第1貯留室37aに連結されている。
油圧ポンプ35はモータ36により駆動可能である。リザーバタンク37は、3つの貯留部37a,37b,37cに分割されている。油圧ポンプ35は、第3油圧配管38を介してリザーバタンク37の第3貯留部37cに連結されると共に、配管39を介してアキュムレータ40に連結されている。従って、モータ36を駆動すると、油圧ポンプ35はリザーバタンク37に貯留されている作動油を加圧してアキュムレータ40に供給することができ、アキュムレータ40は、所定圧力の油圧を蓄圧することができる。
油圧ポンプ35及びアキュムレータ40は、高圧供給配管41を介して各圧力制御弁27a,27b,27c,27dにおける各高圧ポートP11に連結されている。そして、調圧機構26にて、第1圧力制御弁27aの制御圧ポートP13が第1制御圧供給配管(第1制御圧通路)42を介して系統分離機構34における第2室R22に連結されている。また、第2圧力制御弁27bの制御圧ポートP13が第2制御圧供給配管(第2制御圧通路)43を介してマスタシリンダ11の背面圧力室Rに連通する第2圧力ポート44に連結されている。更に、第3及び第4圧力制御弁27c,27dの各制御圧ポートP13は、油圧供給配管45,46を介して後輪RR,RLのホイールシリンダ25RR,25RLに連結されている。
また、各圧力制御弁27a,27b,27c,27dにおける各減圧ポートP12には、減圧供給配管47が連結されると共に、各リリーフポートP14には、リリーフ配管48が連結され、減圧供給配管47及びリリーフ配管48は第4油圧配管49を介してリザーバタンク37の第3貯留室37cに連結されている。そして、圧力制御弁27bにおける外部圧ポートP15に、外部圧供給配管32が連結されている。この場合、外部圧供給配管32は、第1油圧配管29におけるマスタカット弁33よりマスタシリンダ11側に連結されている。
なお、本実施例では、圧力制御弁27aが本発明の第1圧力制御弁として機能し、圧力制御弁27bが本発明の第2圧力制御弁として機能する。また、各圧力制御弁27a,27b,27c,27dは、外部圧ポートP15を有しているものの、圧力制御弁27a,27c,27dは、外部圧ポートP15が閉塞されている。そのため、この圧力制御弁27a,27c,27dは、外部ピストン121を有しないものとしてもよい。
マスタシリンダ11にて、入力ピストン13には、第2圧力室Rと背面圧力室Rとを連通する連通孔51が形成されている。また、シリンダ12には、反力室Rに連通する反力ポート52が形成され、この反力ポート52には、第5油圧配管53を介してストロークシミュレータ54が連結されている。そして、この第5油圧配管53は、第6油圧配管55を介して第4油圧配管49に連結され、この第6油圧配管55にシミュレータカット弁56が設けられている。
また、マスタシリンダ11にて、シリンダ12には、リリーフポート56が形成され、このリリーフポート56は、第7油圧配管57を介してリザーバタンク37の第2貯留室37bに連結されている。加圧ピストン14には、このリリーフポート56と第1圧力室Rとを連通可能な連通孔58が形成され、シリンダ12と加圧ピストン14との間には、リリーフポート56の両側に位置してワンウェイシール59が設けられている。そのため、加圧ピストン14が後退位置にあるとき、第1圧力室Rとリザーバタンク46とがリリーフポート56、第7油圧配管57、連通孔58により連通し、加圧ピストン14が前進すると、第7油圧配管57と連通孔58との連通が遮断され、第1圧力室Rとリザーバタンク37との連通が遮断される。
このように構成された本実施例の車両用制動装置にて、電子制御ユニット(ECU)71は、ブレーキペダル15から入力ピストン13に入力される操作力(ペダル踏力)に応じた目標制御圧を設定し、圧力制御弁27a,27b,27c,27dにより調圧し、この設定された目標制御圧を背面圧力室Rに作用させて入力ピストン13をアシストする。そして、マスタシリンダ11から出力された制御圧と、圧力制御弁27a,27b,27c,27dに調圧された制御圧を各ホイールシリンダ25FR,25FL,25RR,25RLに制動油圧として付与することで、この各ホイールシリンダ25FR,25FL,25RR,25RLを作動し、前輪FR,FL及び後輪RR,RLに所望の制動力を作用させる。
即ち、ブレーキペダル15には、このブレーキペダル15のペダルストロークSpを検出するストロークセンサ72と、そのペダル踏力を検出する踏力センサ73が設けられており、各検出結果をECU71に出力している。また、油圧配管29にて、油圧を検出する第1圧力センサ74が設けられ、第1油圧配管30にて、マスタカット弁32より下流側、つまり、系統分離機構34側には、油圧を検出する第2圧力センサ75が設けられている。マスタカット弁33が閉止状態にあるとき、第1圧力センサ74は、第1圧力室Rの圧力、つまり、前輪FLのホイールシリンダ25FLへ供給される油圧(制御圧)を検出し、検出結果をECU71に出力している。一方、第2圧力センサ75は、マスタカット弁33と系統分離機構34との間の油圧を検出し、検出結果をECU71に出力している。
また、油圧ポンプ35からアキュムレータ40を介して圧力制御弁27a,27b,27c,27dに至る高圧供給配管41には、油圧を検出する第3圧力センサ76が設けられている。この第3圧力センサ76は、アキュムレータ40に蓄圧されて圧力制御弁27a,27b,27c,27dに供給される油圧を検出し、検出結果をECU71に出力している。
更に、圧力制御弁27c,27dから後輪RR,RLの各ホイールシリンダ25RR,25RLに至る油圧供給配管45,46には、油圧を検出する第4及び第5圧力センサ77,78が設けられ、各ホイールシリンダ25RR,25RLへ供給される油圧(制御圧)を検出し、検出結果をECU71に出力している。なお、前輪FR,FL及び後輪RR,RLには、それぞれ図示しない車輪速センサが設けられており、検出した各車輪速度をECU71に出力している。
従って、ECU71は、踏力センサ73が検出したブレーキペダル15のペダル踏力(または、ストロークセンサ72が検出したペダルストローク)に基づいて目標制御圧を設定し、圧力制御弁27a,27b,27c,27dにおける駆動ピストン117を制御する一方、各圧力センサ74,77,78が検出した制御圧をフィードバックし、目標制御圧と制御圧とが一致するように制御している。この場合、ECU71は、ペダル踏力(ペダルストローク)に対する目標制御圧を表すマップを有しており、このマップに基づいて圧力制御弁27a,27b,27c,27dを制御する。
本実施例の車両用制動装置による制動力制御について、具体的に説明すると、図1及び図2に示すように、乗員がブレーキペダル15を踏むと、その操作力(踏力)により入力ピストン13が前進(図1にて左方へ移動)する。このとき、踏力センサ73はペダル踏力を検出し、ECU71は、このペダル踏力に基づいて目標制御圧を設定する。そして、ECU71は、この目標制御圧に基づいて圧力制御弁27a,27b,27c,27dを制御し、圧力制御弁27a,27b,27c,27dは、アキュムレータ40に蓄圧された油圧を調圧し、目標制御圧となる制御圧を出力する。
即ち、圧力制御弁27aにて、コイル120に通電し、発生する吸引力によりプランジャ118をリターンスプリング119の付勢力に抗して上方に移動し、駆動ピストン117を押圧して上方に移動する。すると、駆動ピストン117が制御弁122を押圧して上方に移動し、連通孔121aが開放されることで、高圧ポートP11と制御圧ポートP13が連通する一方、減圧ポートP12と制御圧ポートP13が遮断される。そのため、アキュムレータ40の油圧が高圧供給配管41から高圧ポートP11に供給され、高圧室R11から連通孔121aを通ることで調圧されて圧力室R13に供給され、制御圧ポートP13から第1制御圧供給配管42を通して系統分離機構34に供給される。この系統分離機構34では、第1制御圧供給配管42からの制御圧が第2室R22に供給されることで第2ピストン213が移動して加圧室R23が加圧され、制御圧が第1油圧配管30の下流側配管30bを通して前輪FRのホイールシリンダ25FRに付与される。
また、圧力制御弁27bでも、圧力制御弁27aと同様に、アキュムレータ40の油圧が高圧供給配管41から高圧ポートP11に供給され、高圧室R11から連通孔121aを通ることで調圧されて圧力室R13に供給され、制御圧ポートP13から第2制御圧供給配管43を通してマスタシリンダ11の第2圧力ポート44を通して背面圧力室Rに作用する。すると、背面圧力室Rの制御圧により入力ピストン13がアシストされて前進し、第2圧力室Rを介して加圧ピストン14を押圧して前進させることで、油圧配管29に制御圧が供給される。そして、この油圧配管29の制御圧が第2油圧配管31を通して前輪FLのホイールシリンダ25FLに付与される。なお、入力ピストン13が前進することで、反力室Rからの油圧が第5油圧配管53を通してストロークシミュレータ54に作用することで、所定のペダルストロークが吸収される。
更に、圧力制御弁27c,27dでも、圧力制御弁27a,27bと同様に、アキュムレータ40の油圧が高圧供給配管41から高圧ポートP11に供給され、高圧室R11から連通孔121aを通ることで調圧されて圧力室R13に供給され、制御圧ポートP13から油圧供給配管45,46を通して後輪RR,RLのホイールシリンダ25RR,25RLに適正な制御圧が付与される。
このとき、ECU71は、各圧力センサ74,75,77,78が検出した制御圧をフィードバックし、目標制御圧と制御圧とが一致するように各圧力制御弁27a,27b,27c,27dを制御する。
従って、前輪FR,FLのホイールシリンダ25FR,25FLに適正な制御圧が付与されると共に、後輪RR,RLのホイールシリンダ25RR,25RLに適正な制御圧が付与されることとなり、前輪FR,FL及び後輪RR,RLに対して乗員のブレーキペダル15の操作力に応じた所望の制動力を発生させることができる。
一方、電源系統に故障が発生して失陥した場合には、各圧力制御弁27a,27b,27c,27dのコイル120への電流値を制御することで、各ホイールシリンダ25FR,25FL,25RR,25RLへ付与する制御圧を適正油圧に制御することができない。ところが、本実施例では、圧力制御弁27bに、マスタシリンダ11の第1圧力室Rで発生したパイロット油圧を(外部圧)により作動する外部ピストン121を設け、この外部ピストン121により駆動ピストン117を制御して適正な制御圧を出力可能としている。
電源系統の失陥時に、乗員がブレーキペダル15を踏むと、その操作力により入力ピストン13が前進し、入力ピストン13が第2圧力室Rを介して加圧ピストン14を押圧し、入力ピストン13と加圧ピストン14が一体となって前進する。入力ピストン13及び加圧ピストン14が前進すると、第1圧力室Rが加圧される。このとき、マスタカット弁33が開放されているため、第1圧力室Rの油圧が外部圧として油圧配管29に吐出され、外部圧供給配管32を通して圧力制御弁27bに作用する。
この圧力制御弁27bにて、外部圧が外部圧供給配管32から外部圧ポートP15を介して外部圧力室R15に作用すると、外部ピストン121が下方に移動する。すると、連通孔121aが開放されることで、高圧ポートP11と制御圧ポートP13が連通する一方、減圧ポートP12と制御圧ポートP13が遮断される。そのため、アキュムレータ40の油圧が高圧供給配管41から高圧ポートP11に供給され、高圧室R11から連通孔121aを通ることで調圧されて圧力室R13に供給され、制御圧ポートP13から第2制御圧供給配管43に吐出され、マスタシリンダ11の第2圧力ポート44を通して背面圧力室Rに作用することとなり、この制御圧により入力ピストン13がアシストされる。
そのため、油圧配管29に供給された制御圧が、第1油圧配管30を通して系統分離機構34に供給される。この系統分離機構34では、第1油圧配管30からの制御圧が第1室R21に供給されることで第1ピストン212が移動して加圧室R23が加圧され、制御圧が第1油圧配管30の下流側配管30bを通して前輪FRのホイールシリンダ25FRに付与される。また、油圧配管29に供給された制御圧が、第2油圧配管31を通して前輪FLのホイールシリンダ25FLに付与される。従って、前輪FR,FLのホイールシリンダ25FR,25FLに適正な制御圧が付与されることとなり、前輪FR,FLに対して乗員のブレーキペダル15の操作力に応じた所望の制動力を発生させることができる。
なお、前輪FR,FLのホイールシリンダ25FR,25FLに制御圧を供給する供給ライン(第1、第2油圧配管30,31)のいずれか一方が失陥した場合であっても、各供給ラインは系統分離機構34により分離して構成されていることから、少なくとも一方の供給ラインにより前輪FR,FLのホイールシリンダ25FR,25FLの一方に制御圧を供給して制動力を確保することができる。
また、アキュムレータ40の残圧が不足した場合であっても、乗員がブレーキペダル15を踏むと、その操作力により入力ピストン13が前進し、加圧ピストン14を押圧して前進し、第1圧力室Rを加圧することができる。そのため、第1圧力室Rから油圧配管29に踏力に応じた油圧が吐出されるため、この油圧を前輪FR,FLのホイールシリンダ25FR,25FLに付与し、前輪FR,FLに対して乗員のブレーキペダル15の操作力に応じた制動力を発生させることができる。
更に、本実施例では、乗員によりイグニッションキースイッチがONされたとき、ECU71はイニシャルチェックを行うが、このとき、系統分離機構34における第1ピストン212を作動させる。即ち、ECU71は、イグニッションキースイッチがONされると、圧力制御弁27bだけを作動し、アキュムレータ40の油圧を調圧してマスタシリンダ11の背面圧力室Rに作用させ、入力ピストン13及び加圧ピストン14を前進させ、第1圧力室Rから油圧配管29に制御圧を供給する。このとき、マスタカット弁33を開放することで、この制御圧を第1油圧配管30を通して系統分離機構34に供給し、第1ピストン212を前進させる。従って、電源系統の失陥時などだけ作動する第1ピストン212を定期的に作動することで、シリンダ211への固着が抑制される。
このように本実施例の車両用制動装置にあっては、シリンダ12内に入力ピストン13と加圧ピストン14を直列に移動自在に支持することで第1圧力室R、第2圧力室R、背面圧力室Rを区画するマスタシリンダ11を設け、第1圧力室Rに連結された油圧配管29に、マスタカット弁33及び系統分離機構34を介して前輪FRのホイールシリンダ25FRに連結すると共に、前輪FLのホイールシリンダ25FLに連結し、一方、電子制御可能な圧力制御弁27a,27b,27c,27dを設け、圧力制御弁27aを系統分離機構34に連結し、圧力制御弁27bを背面圧力室Rに連結し、圧力制御弁27c,27dを後輪RR,RLのホイールシリンダ25RR,25RLに連結している。
従って、電源系統の正常時には、圧力制御弁27a,27b,27c,27dを制御することで、アキュムレータ40の油圧を調圧して各ホイールシリンダ25FR,25FL,25RR,25RLに供給することができる。一方、電源系統の失陥時には、ブレーキペダル15の操作に応じた外部圧により圧力制御弁27bを作動することで、アキュムレータ40の油圧を調圧して前輪FR,FLの各ホイールシリンダ25FR,25FLに供給することができる。即ち、電磁力及び外部圧により作動する圧力制御弁27a,27b,27c,27dを適用することで、電源系統の状態に拘らず乗員によるブレーキペダル15の操作に応じた制御圧を確実に発生させることができ、その結果、油圧経路を簡略化して構造の簡素化を図ることができると共に、製造コストを低減することができる一方、適正な制動力制御を可能とすることができ、信頼性及び安全性の向上を図ることができる。
また、本実施例の車両用制動装置では、圧力制御弁27aからの油圧を前輪FRのホイールシリンダ25FRに供給可能な第1制御圧供給配管42と、圧力制御弁27bからの油圧をマスタシリンダ11における入力ピストン13の背面圧力室Rに供給可能な第2制御圧供給配管43と、第1油圧配管30と第1制御圧供給配管42との連結部に設けられて各ピストン212,213が作動して油圧を前輪FRの各ホイールシリンダ25FRに伝達可能な系統分離機構34とを設けている。
従って、系統分離機構34によりマスタシリンダ11側と圧力制御弁27a,27b,27c,27d側とホイールシリンダ25FR,25FL,25RR,25RL側の油圧系統が分離されることで、構造の簡素化及び低コスト化を可能とすることができると共に、失陥時であっても適正な制動力を確保することで信頼性及び安全性の向上を図ることができる。
そして、本実施例の車両用制動装置では、シリンダ211内に第1油圧配管30の油圧により作動する第1ピストン212と、第1制御圧供給配管42の油圧により作動する第2ピストン213とを嵌合状態で相対移動自在に支持し、第1ピストン212と第2ピストン213との間に加圧室R23を区画して系統分離機構34を構成し、加圧室R23を前輪FRのホイールシリンダ25FRに連結している。従って、系統分離機構34の構成を簡素化することができ、装置の小型化、低コスト化に寄与することができる。
また、本実施例の車両用制動装置では、マスタシリンダ11の第1加圧室Rに、マスタカット弁33及び系統分離機構34を介して前輪FRのホイールシリンダ25FRを連結すると共に、前輪FLのホイールシリンダ25FLを連結している。従って、前輪FR,FLのホイールシリンダ25FR,25FLの一方が失陥しても、少なくとも他方に制御圧を供給して制動力を確保することができる。
また、本実施例の車両用制動装置では、ECU71の起動時に、イニシャルチェックを実行するとき、圧力制御弁27bだけを作動し、アキュムレータ40の油圧を調圧してマスタシリンダ11の背面圧力室Rに作用させると共に、マスタカット弁33を所定時間開放状態とする。従って、圧力制御弁27bの制御圧がマスタシリンダ11の背面圧力室Rに作用することで、入力ピストン13及び加圧ピストン14が前進し、第1圧力室Rから油圧配管29に制御圧が供給され、第1油圧配管30を通して系統分離機構34に供給され、第1ピストン212が前進する。そのため、電源系統の失陥時などだけ作動する第1ピストン212を定期的に作動することで、シリンダ211への固着を抑制することができる。
以上のように、本発明に係る車両用制動装置は、調圧手段からの油圧を第1ホイールシリンダに供給可能な第1制御圧通路と、調圧手段からの油圧をマスタシリンダにおけるピストンの背面側に供給可能な第2制御圧通路を設けると共に、第1油圧通路及び第1制御圧通路にピストンが作動して油圧を第1ホイールシリンダに伝達可能な系統分離機構を設けることで、構造の簡素化及び低コスト化を可能とすると共に、失陥時であっても適正な制動力を確保することで信頼性及び安全性の向上を図るものであり、いずれの種類の制動装置に用いても好適である。
本発明の一実施例に係る車両用制動装置を表す概略構成図である。 本実施例の車両用制動装置における圧力制御弁の断面図である。
符号の説明
11 マスタシリンダ
12 シリンダ
13 入力ピストン(ピストン)
14 加圧ピストン
15 ブレーキペダル(操作部材)
21 支持部材
22 反力スプリング
25FR,25FL,25RR,25RL ホイールシリンダ
26 調圧機構
27a,27b,27c,27d 圧力制御弁
29 油圧配管(第1油圧通路、第2油圧通路)
30 第1油圧配管(第1油圧通路)
31 第2油圧配管(第2油圧通路)
32 外部圧供給配管
33 マスタカット弁
34 系統分離機構
35 油圧ポンプ(油圧供給源)
37 リザーバタンク
40 アキュムレータ(油圧供給源)
41 高圧供給配管
42 第1制御圧供給配管(第1制御圧通路)
43 第2制御圧供給配管(第2制御圧通路)
45,46 油圧供給配管
71 電子制御ユニット、ECU
72 ストロークセンサ
73 踏力センサ
74 第1圧力センサ
75 第2圧力センサ
76 第3圧力センサ
77 第4圧力センサ
78 第5圧力センサ
117 駆動ピストン(駆動弁)
121 外部ピストン
122 制御弁
212 第1ピストン
213 第2ピストン
第1圧力室
第2圧力室
背面圧力室
反力室

Claims (4)

  1. 乗員が制動操作可能な操作部材と、
    該操作部材の操作ストロークに応じてピストンが前進することで作動流体を加圧して所定の油圧を出力可能なマスタシリンダと、
    前記ピストンのストロークを吸収可能なストローク吸収機構と、
    油圧を受けて車輪に制動力を発生させる第1及び第2ホイールシリンダと、
    前記マスタシリンダと前記第1及び第2ホイールシリンダとを連結する第1及び第2油圧通路と、
    該第1油圧通路を開閉可能なマスタカット弁と、
    前記操作部材の操作ストロークに応じて油圧供給源の油圧を調圧して出力可能な調圧手段と、
    該調圧手段からの油圧を前記第1ホイールシリンダに供給可能な第1制御圧通路と、
    前記調圧手段からの油圧を前記マスタシリンダにおけるピストンの背面側に供給可能な第2制御圧通路と、
    前記第1油圧通路及び前記第1制御圧通路に設けられてピストンが作動して油圧を前記第1ホイールシリンダに伝達可能な系統分離機構と、
    を備え
    前記系統分離機構は、シリンダ内に前記第1油圧通路の油圧により作動する第1ピストンと、前記第1制御圧通路の油圧により作動する第2ピストンとが嵌合状態で相対移動自在に支持され、前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に加圧室が区画されることで構成され、該加圧室が前記第1ホイールシリンダに連結されることを特徴とする車両用制動装置。
  2. 前記第1及び第2ホイールシリンダは、前輪または後輪の左右輪に対して制動力を発生させるホイールシリンダであることを特徴とする請求項1に記載の車両用制動装置。
  3. 前記調圧手段は、前記操作部材の操作ストロークに応じた目標制御圧に基づいた電磁力により駆動弁を移動することで油圧を調圧して出力可能である第1圧力制御弁と、前記操作部材の操作ストロークに応じた目標制御圧に基づいた電磁力により駆動弁を移動することで油圧を調圧して出力可能であると共に、前記マスタシリンダからの油圧をパイロット圧として前記駆動弁を移動することで油圧を調圧して出力可能である第2圧力制御弁とを有し、前記第1圧力制御弁が前記第1制御圧通路により系統分離機構に連結され、前記第2圧力制御弁が前記第2制御圧通路により前記マスタシリンダにおけるピストンの背面側に連結されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用制動装置。
  4. 前記マスタシリンダは、前記シリンダ内に前記ピストンとしての入力ピストン及び加圧ピストンが移動自在に支持されることで、第1圧力室と第2圧力室と第3圧力室が区画され、前記第1圧力室に前記第1及び第2油圧通路が連結され、前記ピストンの背面側に区画された前記第3圧力室に前記第2制御圧通路が連結されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の車両用制動装置。
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