本発明にかかる実施の形態は、画像形成装置、画像形成装置端末装置、および、これらを有する画像形成システム、ならびに、画像形成システムを構成する装置のいずれかにおいて実行されるプログラムである。
本発明の実施の形態による画像形成装置は、「認証プリント」印刷出力処理を実行することが可能な画像形成装置である。
<「認証プリント(認証&プリント)」印刷出力処理について>
本発明の実施の形態を具体的に説明するに先立ち、図1ないし図5を参照し、「認証プリント(認証&プリント)」印刷出力処理について、簡単に説明する。「認証(&)プリント」印刷出力処理とは、画像形成装置が印刷出力処理を伴うジョブを実行する場合において、画像形成装置が所定の認証手段を用いたユーザ認証を実施し、当該ユーザ認証が成功裡に完了してはじめて、当該ジョブにかかる印刷出力を開始するような印刷出力形態を指す。
図1は、画像形成装置端末装置(情報処理装置(パーソナル・コンピュータ(PC)))5において作成され、ネットワーク3を介して画像形成装置(デジタル複合機(MFP)1)へ送信される認証プリントジョブにかかるプリントデータに基づいて、画像形成装置(デジタル複合機(MFP))1が、認証プリント印刷出力処理の実行をする状況を示す模式図である。図1においては、MFP1が認証プリント印刷出力処理の実行状況を流れに沿って大まかに4つのフェーズに分け、当該4つのフェーズをI、II、III、IVとして示している。図2は、プリントデータを受信した時点以降における、MFP1のプリントデータに対する処理のフローチャートである。図3は、PC5において、MFP1へ送信されるプリントデータの作成に供されるプリンタドライバ・ソフトウェアのユーザインタフェース11の例図である。
ユーザは、図3に示すプリンタドライバ・ソフトウェアのユーザインタフェース11を用いて、PC5において、認証プリントのプリントデータを作成する。ユーザインタフェース11は、ユーザ認証のための項目として、ユーザ名およびパスワードを備える。ユーザは、ユーザ名テキスト・ボックス13へ、ユーザ名を入力することにより、プリントデータにユーザ名を付与することができる。加えて、ユーザは、パスワード・テキスト・ボックス15へ、必要に応じてパスワードを入力することができる。そしてその後、ユーザは、OKボタン17を押下する。図1を参照すれば、PC5は、OKボタン17の押下を認識し、認証プリントジョブにかかるプリントデータをMFP1へ送信する(図1のフェーズI)。なお、MFP1等画像形成装置におけるユーザ認証に必要な認証データは、所定の記憶領域内に、MFP1がアクセス可能な状態で、ユーザに関する情報の一部として、予め保持される。
フェーズI(図1)は、図2のステップS101と関連する。ステップS101(図2)において、MFP1は、PC5からネットワークを介して送信されたプリントデータを受信する。
ステップS103(図2)において、MFP1は、受信したプリントデータを解析し、認証プリントにかかる設定がオン設定であるか否か、を判定する。MFP1が、当該プリントデータの認証プリントにかかる設定がオン設定である、と判定した場合(ステップS103における「YES」)、処理は、ステップS105へ移行する。MFP1が、当該プリントデータの認証プリントにかかる設定がオン設定でない(オフ設定である)、と判定した場合(ステップS103における「NO」)、処理は、ステップS121へ移行する。ステップS121およびステップS123においてMFP1が実行する処理は、通常の(つまり、認証プリントでない、)印刷出力処理に関する至極一般的な処理内容のみを含むため、ここでは、それらに関する説明を省略する。
ステップS105(図2)において、MFP1は、受信したプリントデータに基づいてジョブデータ(認証プリントジョブデータ)を作成し、当該認証プリントジョブデータを、一時保留状態とする。このように、認証プリント印刷出力処理においては、MFP1は、ジョブの登録を受け付けても、当該ジョブにかかるジョブデータを直ちにキューへ投入しない。
ステップS107(図2)において、MFP1は、ユーザが所定の認証装置を用いてユーザ認証を行うまで、当該ジョブデータを、所定のボックス(所謂、フォルダ)に、一時保留状態にある認証プリントジョブのジョブデータとして、保持する。ここで、ボックスとは、ジョブデータや様々なデータを保存するための記憶領域である。この記憶領域は、物理的には、MFP1が備えるハード・ディスク・ドライブ内に設定される。図4は、MFP1のユーザインタフェースの表示部21の表示例の図である。認証プリントジョブのジョブデータは、例えば、図4に見られるタッチ&プリント・ボックス23に保持される。所定の権限を有するユーザは、タッチ&プリント・ボックス23を選択し、OKボタン25を押下することにより、当該ボックス23内に保持される認証プリントジョブの一覧を参照したり、ジョブを選択したりすることができる。
再び図1を参照する。ユーザは、認証データが格納された認証用ICカードを、MFP1の認証ユニット9にタッチさせることで、ユーザ認証を実行する(図1のフェーズII)。また、フェーズII(図1)は、図2のステップS109と関連する。ステップS109(図2)において、MFP1は、ユーザ認証処理を実行する。ここでは、ユーザ認証は、例えば、当該ジョブを登録したユーザに対するユーザ認証である。ユーザ認証処理は、認証用ICカードからの認証データ等の読み出し、および、予め保持される認証データと、ICカードから読み出した認証データとを、ユーザ名をキーとして照合する処理、および、ユーザ認証の成功/失敗にかかる判定の処理を含む。
図1のフェーズIIIは、当該ユーザ認証が、成功裡に完了された状況を示す。当該フェーズIII(図1)は、ステップS111(図2)と関連する。ステップS111において、MFP1は、ユーザ認証の結果が成功であるか失敗であるか、を判定する。MFP1が、ユーザ認証の結果は成功であると判定した場合(ステップS111における「YES」)、処理は、ステップS113へ移行する。MFP1が、ユーザ認証の結果は失敗であると判定した場合(ステップS111における「NO」)、処理は、ステップS109へ戻る。フェーズIII(図1)は、ステップS111(図2)における「YES」に相当する。
ステップS113(図2)において、MFP1は、そのユーザインタフェースの表示部21に、当該ユーザ認証にかかるユーザの認証プリントジョブの情報を表示する。図5は、ステップS113における表示部21の表示例の図である。このように、表示部21には、ユーザ認証に成功したユーザのユーザ名が付された認証プリントジョブの情報が表示される。(本例においては、2件の認証プリントジョブにかかるドキュメントのサムネイル27aおよび27bが表示される。)表示部21には、当該サムネイル27aおよび27bの他に、認証プリントジョブに対して実行する処理をユーザが選択するためのボタン(削除ボタン29aおよび印刷ボタン29b)や、OKボタン31等が表示される。
ステップS115(図2)において、MFP1は、ユーザインタフェースの入力部を介したユーザからの入力を受け付ける。本例においては、図5に示す表示部21は、液晶タッチパネルで構成されており、入力部をも兼ねる。本ステップにおいて、ユーザは、印刷したいドキュメントを選択し、印刷ボタン29bを押下し、最後に、OKボタン31を押下する。
なお、ステップS113およびS115の代わりに、MFP1は、ユーザ認証にかかるユーザのユーザ名が付された認証プリントジョブを、全て一括して印刷出力処理するように構成されてもよい。
ステップS117(図2)において、MFP1は、選択された認証プリントジョブについて、印刷出力処理を実行する。フェーズIV(図1)は、MFP1がステップS117(図2)を実行することによって、ドキュメントの印刷物が排出された状況を示す。
このように、画像形成装置(MFP)1は、認証プリントジョブデータを一時保留状態で保持し続け、ユーザ認証の成功を確認してから、当該データを実行状態あるいは実行待機状態へ移行(当該データのキューへの投入処理を実行)する。
このように、認証プリント印刷出力処理は、所定の認証手段を用いたユーザ認証が成功するまでは印刷出力処理を開始しない、点において、「通常の」印刷出力処理と異なる。なお、認証プリントは、タッチ&プリントともいう。
本発明は、主として、ユーザ認証の成功を確認する処理と、認証プリントジョブデータを実行状態あるいは実行待機状態へ移行する処理との間の期間において画像形成装置がする処理と関連する。本発明にかかる画像形成装置は、上記期間内にする、本発明に固有の処理のために必要な構成を有する。当該構成については、下記実施の形態の説明において明らかにされる。また、本発明にかかる画像形成装置端末装置は、本発明にかかる画像形成装置に対し、本発明に固有のデータを送信する。当該固有のデータは、プリントデータに含めて、あるいは、該プリントデータと関係づけて、画像形成装置へ送信され、画像形成装置において、上記本発明に固有の処理に供される。
これより、添付の図面を参照し、本発明の好適な実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態による画像形成装置(MFP1a)においては、認証プリントジョブの実行を開始するための所定の認証装置を用いたユーザ認証に関して、ユーザ毎に、当該認証操作の具体的な操作手順を登録することができる。
加えて、本発明の第1の実施の形態による画像形成装置(MFP1a)においては、ユーザ毎に、複数の、認証操作の具体的な操作手順を登録することができる。さらに、画像形成装置は、ユーザ毎に登録された認証操作手順のそれぞれに認証プリントジョブに対する具体的な処理の内容を関係付けつつ、当該処理の内容を登録することができる。そうすることで、ユーザは、認証プリントの実行の開始をさせるための所定の認証装置を用いたユーザ認証を所定の操作手順で実行するだけで、認証プリントジョブに対し様々な処理を任意に選択して実行させることが可能である。よって、本発明の第1の実施の形態による画像形成装置においては、認証プリントジョブに関し、ユーザは、画像形成装置に備え付けられたユーザインタフェースを用いることなく、画像形成装置に対し様々な処理を選択的に実行させることができる。
当然のことながら、本発明にかかる画像形成装置は、「認証プリント」でない印刷出力処理、すなわち、「通常の」印刷出力処理を実行可能である。「通常の」印刷出力処理においては、画像形成装置は、入力されたプリントデータについてジョブデータを作成し、直ちに印刷出力処理を実行する。「認証プリント」印刷出力処理および「通常の」印刷出力処理の切り替えは、プリントデータに含まれる設定パラメータ値に基づいてジョブ単位で切り替え可能である。なお、当該切り替えは、プリントデータに含まれる設定パラメータ値に代えて/加えて、画像形成装置へ別途入力される情報に基づいて行われてもよい。
以下に例示する実施の形態においては、プリントデータは、外部の画像形成装置端末装置(情報処理装置)から、ネットワークを介し、画像形成装置へ入力される。当該プリントデータにかかるジョブを画像形成装置に「認証プリント」させるためのパラメータ設定は、当該画像形成装置端末装置において、ユーザが所定のパラメータを設定することによりなされる。また、その他の設定の内容についても、ユーザが外部の情報処理装置において設定したり、予め設定された設定の内容に従ったりすることで、プリントデータに設定される。
ただし、本発明においては、プリントデータを画像形成装置へ入力する形態は、上記のような、ネットワークを介した入力形態に限定されない。別の入力形態として、例えば、ユーザが画像形成装置に対して直接的にジョブを登録するような形態、ユーザが可搬性記憶媒体等を用いて画像形成装置に対してジョブを登録するような形態、等が可能である。
図6は、本発明の第1の実施の形態による、画像形成システム100の構成を示す概略図である。
<画像形成システム>
画像形成システム100は、画像形成装置として、デジタル複合機(MFP)1、および、画像形成装置1の端末装置として複数の情報処理装置(パーソナル・コンピュータ(PC))5、7を有する。MFP1、および、複数のPC5、7は、ネットワーク3を介して、相互に通信可能に接続される。ここで、ネットワーク3は、例えば、インターネット(Internet)やローカル・エリア・ネットワーク(LAN)である。また、ネットワーク3は、専用回線を用いたネットワーク、一般回線を用いたネットワーク、および、無線通信路を用いたネットワークのいずれでも、それらの少なくとも2つの組み合わせから構成されるネットワークでもよい。
デジタル複合機1は、本発明にかかる実施の形態による画像形成装置を構成する。デジタル複合機(MFP)とは、印刷機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、メール送信機能、等、複数の機能を集約的に併せ持つ画像形成装置である。MFP1は、MFP1においてスキャンした原稿画像や、ネットワーク3を介して受信したプリントデータから生成した画像を、紙のような印刷媒体上に形成する。ここで、プリントデータとは、PC5等の端末装置上で実行されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムが発行する描画命令をプリンタドライバが処理して生成される、MFP1が処理可能な描画命令や印刷されるドキュメントのデータを含むデータである。プリントデータに含まれる描画命令は、MFP1が処理可能なページ記述言語により記述されればよい。また、ドキュメントのデータは、PDF(Portable Document Format)、TIFF(Tagged Image File Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、XPS(XML Paper Specification)といったファイル形式を備えたドキュメントのデータファイルでよい。さらに加えて、MFP1は、MFP1において画像をスキャンして得た画像データを、ネットワーク3を介して他の機器へ提供することも可能である。また、MFP1は、認証プリント印刷出力処理においてユーザ認証を実施するための所定の認証手段として、認証ユニット9を、自機に備えている。
ただし、本実施の形態にかかる画像形成装置は、ネットワークを介して端末装置から送られるプリントデータに基づくジョブデータを受信し、印刷出力処理を実行可能な画像形成装置であれば足りる。あるいは、本実施の形態にかかる画像形成装置は、受信したプリントデータからジョブデータを生成可能であってもよい。この場合、端末装置は、画像形成装置に対し、プリントデータそのもの、あるいは、プリントデータに基づくジョブデータ、のいずれを送信してもよい。また、認証ユニット9は、必ずしも、MFP1本体に内蔵される必要はない。認証ユニット9は、MFP1に接続され、その近傍に配置されればよい。
認証ユニット9の具体的構成は、MFP1において実施されるユーザ認証の手法に適うように適宜選択されればよい。認証ユニット9は、例えば、ICカード・リーダである。また、認証ユニット9は、例えば、ユーザ名およびパスワードを入力可能なタッチパネルである。この場合には、MFP1のユーザインタフェースが認証ユニットの機能を兼ね備えることができる。またあるいは、認証ユニット9は、例えば、生体認証装置である。生体認証装置は、指紋、掌紋、静脈パターン、虹彩、網膜、声紋、顔形、耳形、といった個人の身体的特徴、あるいは、筆跡、キーストローク、といった個人の行動的特徴を計測し、事前に登録された情報と比較し、個人の同定を行うための装置である。
パーソナル・コンピュータ5および7はそれぞれ、本発明にかかる実施の形態による画像形成装置端末装置を構成する。パーソナル・コンピュータ5および7は、それぞれ、中央処理装置(CPU)、主記憶装置(ROM、RAM)、補助記憶装置(HDD)、入出力装置(ディスプレイ、キーボード、マウス)を有する一般的なコンピュータ装置である。ユーザは、PC5を用いてプリントデータを作成し、ネットワーク3を介してMFP1へ送信することができる。
ただし、本発明にかかる実施の形態による画像形成装置端末装置は、パーソナル・コンピュータといった、汎用性を有する情報処理装置である必要はない。画像形成装置へ、ドキュメントの印刷出力を指示することができる装置であれば、本実施の形態の画像形成装置端末装置として十分である。
画像形成システム100は、加えて、サーバ装置(図示せず)を有することも可能である。
ここでのサーバ装置は、例えば、認証サーバである。認証サーバとは、クライアント(例えば、MFP1やPC5)から送られるユーザ識別情報(例えば、ユーザID)やユーザ認証情報(例えば、パスワード、認証データ)を、サーバ装置が備えるユーザ情報やユーザ認証情報と照合し、ユーザ認証の成功/失敗、を判定し、判定結果を、クライアントへ返信する機能を有するサーバである。認証サーバは、MFP1のユーザ認証部77(図10)の機能を実現する。この場合、MFP1においては、ユーザ認証部77(図10)を省略することができる。
また、サーバ装置は、例えば、データサーバである。データサーバは、ドキュメントのデータファイルや、MFP1へ送信されるジョブのデータ(プリントデータ)や、MFP1内で保持されるジョブデータ等を保持し、クライアントからのリクエストに応じて、ドキュメントのデータファイル、プリントデータ、ジョブデータ等を送信する機能を有するサーバ装置である。
ただし、サーバ装置(図示せず)は、画像形成システム100にとって必須の要素ではない。また、必要に応じて、画像形成システムを構成するMFP1やPC5または7が、上記サーバの機能を備えてもよい。
<画像形成装置のハードウェア構成>
図7は、MFP1のハードウェア構成を示すブロック図である。
MFP1は、中央処理装置(CPU)33、リード・オンリ・メモリ(ROM)35、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)37、フラッシュメモリ39、不揮発性メモリ(NVRAM)41、暗号化復号化部45、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)47、HDD47内のボックス49、プリンタ部51、スキャナ部53、ファクシミリ部55、ユーザインタフェース57、ユーザインタフェース57の表示部21および入力部59、通信インタフェース61、ならびに、認証ユニット9を有する。これらは、MFP1内部においてデータバスを介して互いに接続される。
CPU33は、ROM35、RAM37、フラッシュメモリ39、NVRAM41、あるいは、HDD47に保持される画像形成プログラム、あるいは、通信インタフェース61を介して提供される画像形成プログラム、を実行し、ROM35、RAM37、フラッシュメモリ39、NVRAM41、あるいは、HDD47に保持されるデータを処理することができる。CPU33、ROM35、RAM37、フラッシュメモリ39、NVRAM41は、上記画像形成プログラムを実行することができるコンピュータ主要部43を構成する。上記画像形成プログラムは、主要部43において実行され、もって、主要部43は、MFP1を制御する機能、演算処理を実行する機能、および、データを保持する機能を具備する。このようにして、画像形成プログラムは、MFP1上で実行されることにより、本発明が有する技術的思想を実現する。上記画像形成プログラムは、予めMFP1のフラッシュメモリ39等にインストールされればよい。あるいは、画像形成プログラムは、フレキシブル・ディスク(FD)、光ディスク、USBメモリといった記憶媒体、もしくは、インターネットといった通信手段を通じてMFP1へ提供されてもよい。
主要部43は、MFP1全体を制御する機能を有し、コピー、プリント、スキャン、ファクシミリ、といった機能を実現する。そのために、CPU33は、本発明にかかる画像形成プログラムに加え、各種制御用プログラムを必要に応じて実行することができる。
ROM33、RAM35、フラッシュメモリ39、NVRAM41、HDD47、は、データ、および、プログラムを保持する記憶装置である。MFP1は、これら記憶装置群を、適宜、適切に使い分け、保持する必要があるデータやプログラムを保持する。
第1の実施の形態によるMFP1においては、各種MFP制御プログラムおよび画像形成プログラムは、フラッシュメモリ39に保持される。また、フラッシュメモリ39は、入力部59や通信インタフェース61からの入力に応答するために表示部21に表示される各国言語によるメッセージのデータや、VxWorksといった組み込み機器用のオペレーティングシステム(OS)も保持する。
RAM35は、MFP1の、所謂、ワーキング・メモリを構成する。このRAM35は、SRAM、SDRAM、DRAM等から構成されればよい。
NVRAM41は、画像形成に関連する各種の設定を保持する記憶装置である。このNVRAM41は、MFP1の動作において必要な様々なデータ(IPアドレス等ネットワーク設定値データ、画質調整機能等設定値データ)を保持する。
暗号化復号化部45は、HDD47へ書き込まれるデータを暗号化し、HDD47から読み出される暗号化データを復号化する。暗号化復号化部45は、専用の集積回路基板により構成されればよい。
第1の実施の形態によるMFP1においては、補助記憶装置として、固定記憶装置であるハード・ディスク・ドライブ(HDD)47を有する。HDD47は、その大容量記憶領域を用いて、画像データや、ジョブデータを保持する。また、HDD47は、RAM37の容量をオーバーするデータについて、データがスワップされる領域を備える。MFP1においては、HDD47に対するデータの読み書きに対し、パスワードを設定することができる(パスワード保護機能(HDDロック機能))。さらに、HDD47は、受信したプリントデータや、MFP1がプリントデータから作成したジョブデータ等、様々なデータを格納する領域(ボックス49)を有する。認証プリントジョブにかかるジョブデータも、ボックス49に保持される。加えて、ボックス49には、ユーザ毎に利用権限が与えられる個人ボックスも含まれる。さらに加えて、HDD47は、ユーザ認証に必要な認証情報を保持することもできる。
プリンタ部51は、画像データを受け、印刷出力を実行する。プリンタ部51は、例えば、紙のような印刷媒体上に画像を形成する。画像形成がなされた印刷媒体は、印刷物としてプリンタ部51より排出される。プリンタ部51は、排出される印刷物に対し、ソート処理、パンチ穴あけ処理、ステープル処理等といったフィニッシング処理をするフィニッシャ(図示せず。)を備えることができる。
スキャナ部53は、紙媒体等に記録された情報を光電的に読み取り(スキャンし)、当該情報の画像データを出力することができる。スキャナ部53は、複数枚の原稿を自動的に連続的にスキャンするための原稿自動送り装置(ADF(Auto Document Feeder))や、両面スキャンにかかる機能であるDuplex機能を有する装置を備えることができる。
ファクシミリ部55は、公衆回線を介してファクシミリ・データの送受信を行う。
ユーザインタフェース57は、MFP1とユーザと間で情報の入出力を行う部分であり、ユーザがMFP1を操作するための装置である。
ユーザインタフェース57は、ユーザに情報を提示する表示部21と、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力部59と、を備える。MFP1のユーザインタフェース57は、液晶タッチパネルを有し、その表示部21と入力部59とは一体的に構成される。入力部59は、液晶タッチパネルに表示されるソフト・キー、ならびに、テンキー、スタート・キー、ストップ・キー、画面表示切替キー等のハード・キーを有する。認証プリントのためのユーザ認証を、ユーザインタフェース57を介して入力可能な情報に基づいて(例えば、ユーザ名およびパスワードのキー入力)実行する場合には、ユーザインタフェース57は、認証プリント印刷出力処理のための所定の認証手段を構成する。
通信インタフェース61は、MFP1と外部の装置との間でデータの送受信を行うためのインタフェースである。
通信インタフェース61は、例えば、MFP1をLANなどのネットワークに、イーサネット(登録商標)接続するためのインタフェースである。この場合、通信インタフェース61は、10BASE−T、100BASE−Tといった規格をサポートする。
また、例えば、通信インタフェース61は、USBポートである。USBポートには、認証ユニット9を接続することも可能である。また、USBポートを介し、MFP1とPC5とをローカル接続することも可能である。
加えて、通信インタフェース61は、シリアル通信方式(RS−232C規格)でMFP1とPC5とを接続するインタフェースであってもよい。また、通信インタフェース61は、MFP1と認証ユニット9とを、シリアル通信方式で接続することも可能である。
さらには、通信インタフェース61は、セントロニクスインタフェース(パラレルポート)を有することもできる。セントロニクスインタフェースを介し、MFP1とPC5とをローカル接続することができる。
認証ユニット9は、認証プリント印刷出力処理において、印刷出力の実行を開始させるためのユーザ認証で用いる情報入力装置である。認証ユニット9は、本発明における、認証プリント印刷出力処理のための所定の認証手段を構成する。
図8は、本発明にかかる実施の形態によるMFP1が備える認証ユニット9を説明する図である。部分拡大領域63を参照すれば明らかだが、認証ユニット9は、ユーザ67が所持するICカード(スマート・カード)65に記録された情報を読み出すためのICカード・リーダ9である。ICカード65およびICカード・リーダ9は、例えば、周知のRFID(Radio Frequency IDentification)の技術を用いて構成することができる。ユーザ67は、ICカード65を、ICカード・リーダ9にタッチさせる(両者間の間隔を所定の間隔以下の状態にする)ことで、MFP1にユーザ認証処理の実行を開始させることができる。
ただし、本発明に対して適用可能な所定の認証手段は、認証ユニット9(ICカード・リーダ9)に限定されない。上述のように、ユーザインタフェース57を、所定の認証手段として利用することが可能である。また、本発明においては、一台のMFP1が、複数種類の装置を、当該所定の認証手段として備えることも可能である。
また、本発明にかかる実施の形態によるMFP1は、認証ユニット9として、生体認証装置を備えてもよい。生体認証装置は、例えば、ユーザの指紋といった生体測定量を定量することができる。その場合、ユーザは、生体認証装置に自らの指でタッチする(触れる)ことで、MFP1にユーザ認証処理の実行を開始させることができる。
<画像形成装置のソフトウェア構成>
これより、MFP1の各種制御プログラム等の構成について説明する。
図9は、MFP1のフラッシュメモリ39に保持される各種制御プログラムの一例(m1〜m9)を示すブロック図である。各種制御プログラムは、MFP1のコンピュータ主要部43において実行可能な、複数のモジュール(m1〜m9)からなる。複数のモジュールのうち、メイン制御モジュールm1は、MFP1の全体制御の中核をなすモジュールである。その余のモジュールm2〜m9は、MFP1のハードウェア構成要素等を制御するモジュールである。
各モジュール(m1〜m9)はそれぞれ、図7に示したハードウェア構成要素とのインタフェースを備え、それらハードウェア構成要素の制御、データの送受、データの処理を実行する。
メイン制御モジュールm1は、その余のモジュール(m2〜m9)におけるジョブ実行指示の生成を統括的に制御する。メイン制御モジュールm1は、例えば、コピージョブの実行制御においては、コピージョブの開始、停止、再開、破棄、割り込み等、スキャン動作処理やプリント動作処理など、各モジュールの処理の全てを制御する。また、メイン制御モジュールm1は、MFP1の起動時等における処理を実行可能であるとともに、コピー、プリント、スキャン、ファクシミリ等の各ジョブの登録要求を受け付けたり、各ジョブに対して固有のジョブIDを割り当てたりする処理を実行し、もって、ジョブを適切に割り振る機能を有する。また、メイン制御モジュールm1は、ユーザからのジョブ削除指示を受け付けることができ、その場合には、ジョブデータ等の削除を実行する。さらには、メイン制御モジュールm1は、記憶装置(RAM37やHDD47)に対するアクセスの制御も行う。なおさらには、HDD47が、オペレーティングシステム(OS、例えば、VxWorks、XFS)の有する機能によって、ファイルシステムのための記憶領域として扱われる場合において、メイン制御モジュールm1は、ファイルシステムに対するアクセス制御も実行する。例えば、ユーザが認証プリントジョブをMFP1へ投入した場合には、データは、ネットワーク処理モジュールm5、PCPrintアプリモジュールm6を介して、メイン制御モジュールm1へ入力され、そして、メイン制御モジュールm1が、当該データをHDD47内の所定の記憶領域に保存する。また、例えば、ユーザが、HDD47内のデータの削除や移動の指示を入力した場合にも、同様に、メイン制御モジュールm1が、HDD47内のデータの削除や移動を実行する。
プリンタ制御モジュールm2は、プリンタ部51を制御する機能を有するモジュールである。プリンタ制御モジュールm2は、設定された印刷条件(印刷モード:片面/両面、スタンプ印刷等)に基づいた印刷出力処理を、プリンタ部51に実行させる。なお、プリンタ制御モジュールm2は、ファクシミリ受信時における印刷出力処理等においても、プリンタ部51を制御する。
スキャナ制御モジュールm3は、スキャナ部53を制御する機能を有するモジュールである。スキャナ制御モジュールm3は、設定されたスキャン条件(文字/写真モード等)に基づき、所定のスキャン形態(ADFを使用する、原稿読み取りガラス面を使用する、等)に従ったスキャン動作処理を、スキャナ部53に実行させる。なお、スキャナ制御モジュールm3は、ファクシミリ送信時における原稿読み取り処理等においても、スキャナ部53を制御する。
ファクシミリ処理モジュールm4は、ファクシミリ部55を制御する機能を有するモジュールである。ファクシミリ処理モジュールm4は、ファクシミリ・データ受信時においては、ファクシミリ部55から着信の通知を受け取ることで、メイン制御モジュールm1に対し、ファクシミリ・データ受信ジョブの登録の要求を送ったり、当該受信ジョブの実行の開始を指示したりする。なお、ファクシミリ・データの送受信においては、ファクシミリ部55の備えるモデム(図示せず。)を用いた公衆回線利用の形態と、通信インタフェース61を用いたインターネット・ファックスの形態と、が共存する。
ネットワーク処理モジュールm5は、通信インタフェース61を介したネットワーク処理を実行する機能を有するモジュールである。MFP1においては、例えばTCP/IPといった通信プロトコルをサポートするネットワーク処理モジュールm5は、通信インタフェース61と接続され、フロントエンドとして利用される。通信インタフェース61を通じて受信される外部からのリクエストは、OS(VxWorks)が供するメッセージ・キューを介して内部へ取り込まれる。ネットワーク処理モジュールm5は、取り込んだリクエストの内容に基づいて実行された処理の結果を通信インタフェース61へ送る。また、ネットワーク処理モジュールm5は、TCP/IP、IPX/SPX、SNMP等をサポートし、外部ネットワーク3(図6)に接続されたPC5(図6)からプリントデータをインターネット経由で受信することができ、受信したプリントデータをPCPrintアプリモジュールm6へ送ることができる。そうすることで、MFP1は、インターネットを介して受信されるデータに基づく印刷出力処理を実現する。認証プリント(タッチ&プリント)の設定がオンになっているプリントデータについても同様、ネットワーク処理モジュールm5は、受信したプリントデータをPCPrintアプリモジュールm6へ送る。その後、メイン制御モジュールm1は、当該プリントデータあるいは当該プリントデータに基づいて作成されたジョブデータを、HDD47の所定領域(タッチ&プリント・ボックス23(図4))に保存する。さらに、ネットワーク処理モジュールm5は、認証ユニット9(図8)が受信したICカード65(図8)内の認証データ等(認証データ等)を受け取り、そして、受け取った認証データ等を認証データ管理モジュールm8へ送る。このように、ネットワーク処理モジュールm5は、通信インタフェース61や認証ユニット9とモジュール群(m1、m4、m6、m7、m8)との間のインタフェース処理を実行する機能を有する。
PCScanアプリモジュールm6は、ネットワーク3を介してMFP1と接続されたPC5(図6)からの指示にもとづいてスキャン処理を実行する機能を有するモジュールである。PCScanアプリモジュールm6は、PC5からスキャン実行の指示を受け取ると、当該指示に従ってスキャンジョブを実行し、画像データファイルを作成し、ネットワーク処理モジュールm5、通信インタフェース61、ネットワーク3(図6)を介してPC5(図6)へ画像データファイルを送信する。なお、ユーザが、ユーザインタフェース57を介してスキャン実行の指示をMFP1へ入力した場合には、ユーザインタフェース制御モジュールm9およびメイン制御モジュールm1によって、スキャンジョブの実行指示が送られる。
PCPrintアプリモジュールm7は、ネットワーク3を介してMFP1と接続されたPC5(図6)からの指示にもとづいて印刷出力処理を実行する機能を有するモジュールである。例えば、ユーザが、PC5から認証プリントジョブをMFP1へ投入すると、PCPrintアプリモジュールm7は、ネットワーク処理モジュールm5を介してプリントデータを受信し、当該プリントデータからビットマップイメージ・データを作成し、メイン制御モジュールm1へ当該ビットマップイメージ・データを含んだジョブデータを送る。そして、メイン制御モジュールm1は、認証プリントジョブにかかるジョブデータを、HDD47内の所定のボックス(タッチ&プリント・ボックス23)へ保存する。
認証データ管理モジュールm8は、ユーザ認証処理と関連する機能を有するモジュールである。例えば、認証プリントジョブと関連し、認証データ管理モジュールm8は、ネットワーク処理モジュールm5から認証データ等を受け取ると、予めHDD47等に保持したユーザ認証情報と照合し、ユーザ認証の成功/失敗を判定する。当該判定が成功であれば、認証データ管理モジュールm8は、ユーザ認証は成功裡に完了された旨を、メイン制御モジュールm1へ通知する。メイン制御モジュールm1は、一時保留状態としてHDD47に保持されたジョブデータを、PCPrintアプリモジュールm7へ送信し、PCPrintアプリモジュールm7は、プリンタ部51に対し印刷出力処理を実行する指示を送る。そうすることによって、認証プリントジョブにかかる印刷物は、プリンタ部51から排出される。
ユーザインタフェース制御モジュールm9は、ユーザインタフェース57を介した情報の入出力を制御する機能を有するモジュールである。ユーザインタフェース制御モジュールm9は、ユーザインタフェース57の入力部59から送られてくる信号の処理を、イベント処理として、実行し、かつ、表示部21(液晶タッチパネル)へ表示される内容を生成する画面処理プログラムを実行する。当該画面処理プログラムは、表示すべき画面が決定したときの前処理や、表示部21への画面表示処理や、特定の画面が表示されているときにおけるハード・キー、ソフト・キー、その他において生じるイベントの処理に関するプログラムを含んでいる。ここで、イベントの処理としては、例えば、ユーザが入力部59を介して指定したMFP1の動作を実行するために、メイン制御モジュールm1へ、当該指定にかかる情報を通知したり、次のしかるべき画面表示への移行を実行することでユーザへMFP1からの応答を通知したりする。なお、認証プリントジョブの実行時には、必要に応じ、ジョブのリストの表示を実行する。
本発明にかかる画像形成プログラムは、上記したモジュール群(m1〜m9)および図示しないその他の各種モジュール群が協調的に動作することにより実現される。ただし、本発明にかかる画像形成プログラムは、単一のモジュールとしてMFP1にインストールすることも可能である。つまり、本発明にかかる画像形成プログラムには、その表現形態に関し、一切の制限がない。
<画像形成装置の機能的構成>
図10は、本発明にかかる第1の実施の形態による画像形成装置、MFP1aの構成を、機能ブロックを用いて表したブロック図である。但、MFP1aが有する機能であっても、本実施の形態と関係しない機能については、図示を省略する。下記ブロックの幾つかは、CPU33(図7)が、本実施の形態にかかる画像形成プログラム等を実行することにより、実現される。つまり、図10に示された機能ブロック群は、図7に示すハードウェア構成要素および図9に示すモジュール等が協調的に動作することによって、実現される。
MFP1aは、制御部69を有する。制御部69は、MFP1の各ブロックとデータ送受信可能に接続され、各ブロックの状態を把握し、適宜、各ブロックの動作を制御する。
既に述べたように通信インタフェース61は、ネットワーク3を介してPC5等からプリントデータを受け取る。
当該プリントデータは、例えば、印刷出力処理の設定に関するデータ(設定パラメータ・データ)、および、印刷出力されるドキュメントのデータ(ドキュメント・データ)を、含むデータ構造を備える。設定パラメータ・データは、認証プリントとして印刷出力処理を実行するか否か、を示すパラメータ(認証プリント設定パラメータ、あるいは、認証プリント設定フラグ)や、ユーザが入力したユーザ名やパスワードのデータ、プリントモード(片面/両面、等)のパラメータ、認証プリントジョブが完了した後の当該ジョブのジョブデータの処理(保存、削除等)の設定内容のデータ等を含む。該パスワードのデータは、プリントデータが真正のユーザにより作成されたものであることの証明に供される。加えて、該認証のためのデータを、認証プリントのためのユーザ認証のために用いてもよい。通信インタフェース61が受け取ったプリントデータは、ジョブ登録部81へ送られる。
ジョブ登録部81は、受け取ったプリントデータの設定パラメータ・データを参照し、ユーザ識別符合(ユーザ名)から、当該プリントデータにかかる印刷出力処理(プリントジョブ)の所有者の情報(ユーザ名)を取得する。そして、ジョブ登録部81は、プリントデータをビットマップイメージ・データへ展開し、該ビットマップイメージ・データおよび設定パラメータ・データからジョブデータを生成する。ジョブ登録部81は、プリントデータにパスワードも含まれている場合には、予めHDD47に保持された、ユーザ名とパスワードとの対応関係を示すデータ(登録ユーザ情報データ)を参照することができる。ただし、MFP1の外部の装置において当該登録ユーザ情報データが保持され、MFP1が当該登録ユーザ情報データへアクセス可能であれば、MFP1は、当該登録ユーザ情報データを内部に保持する必要はない。
さらに、ジョブ登録部81は、プリントデータの設定パラメータ・データの認証プリント設定パラメータを参照し、当該プリントデータにかかるジョブを、認証プリントとして印刷出力処理するか否か、を判定する。ジョブ登録部81が、当該ジョブを認証プリントジョブとして実行する、と判定した場合、当該ジョブのジョブデータは、ジョブ保持部75へ送られ、ジョブ保持部75において認証プリントジョブデータとして保持される。ここで、MFP1は、認証プリントのためのユーザ認証が完了するまでジョブ保持部75において保持される認証プリントジョブデータを、一時保留状態(ホールド状態)にあるジョブデータとして認識する。
他方、ジョブ登録部81が、当該ジョブを認証プリントではない、通常の印刷出力処理として実行する、と判定した場合、当該ジョブのジョブデータは、直ちに、ジョブ実行部79へ送られ、当該ジョブは直ちに実行されるか、もしくは、キュー79aへ投入される。
ジョブ保持部75は、認証プリントジョブデータを、当該ジョブデータの所有者であるユーザがユーザ認証を成功裡に完了させるまで、保持する。ジョブ保持部75においては、認証プリントジョブデータは、所定のボックス(タッチ&プリント・ボックス49a)に保持される。
ジョブ実行部79は、受け取ったジョブデータに基づき、ジョブを実行する。ただし、ジョブデータを受け取った時点において、直ちに当該ジョブデータにかかるジョブを実行できない場合、MFP1は、当該ジョブデータをキュー79aへ投入する。ここで、MFP1は、実行中のジョブデータを、実行状態にあるジョブデータとして認識し、キュー79aにあるジョブデータを、実行待機状態にあるジョブデータとして認識する。
ユーザ認証部77は、認証ユニット9からの入力認証データの入力を監視する。ユーザ認証部77が、認証ユニット9から、入力認証データの入力を受けると、ユーザ認証部77は、入力された入力認証データと予め保持している認証プリントのユーザ認証のためのデータとを照合し、ユーザ認証の成功/失敗を判定し、当該判定結果を出力する。ここで、入力認証データのデータ構造は、ユーザ認証に用いる認証手法に応じ、適宜選択されればよい。入力認証データは、例えば、ユーザ識別符合(ユーザ名)およびユーザ認証データを含めばよい。ユーザ認証データは、例えば、ユーザが入力するパスワード文字列や、ICカードに保持されたユーザ認証データや、ユーザ個人に固有の生体的特徴量等である。また、ユーザ認証に用いる認証手法によっては、(例えば、バイオメトリクス認証においては、)入力認証データは、ユーザ認証データのみでよく、ユーザ名を省略することも可能である。本願明細書においては、バイオメトリクス認証を実施するために生体的特徴量等を取得する装置を生体認証装置と称する。MFP1は、認証プリントのユーザ認証のためのデータとして、ユーザ識別符合(ユーザ名)と対応付けされたユーザ認証データ(パスワード、ICカードに保持されたユーザ認証データ、生体的特徴量(ユーザ指紋特徴量データ)等)を保持する。
また、ユーザ認証部77は、認証ユニット9から入力される入力認証データをもとに、ユーザが、ユーザ認証において実際に実行した認証操作の内容に関する特徴量(ICカード等を認証ユニット9にタッチした回数、および、各タッチの継続時間等)を生成し、出力することができる。
ユーザ認証操作管理部73は、認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証においてユーザが実行するユーザ認証操作の内容と、認証プリントジョブデータに対して実行される処理の内容との対応関係を、ユーザ毎に、記憶し、管理する。ユーザ認証操作管理部73は、例えば、上記対応関係を、所定のテーブル(認証操作管理テーブル73a)として記憶することができる。ユーザ認証操作管理部73が記憶し、管理する上記対応関係のデータは、後述する実行処理決定部71に対し適宜出力可能である。なお、ユーザ認証操作管理部73は、テーブル形式とは別の形式で上記対応関係を保持してもよい。ユーザ認証操作管理部73は、ユーザ毎に、上記対応関係を保持し、適宜出力可能であればよい。
実行処理決定部71は、ユーザ認証部77からは、ユーザ認証の成功/失敗に関する情報、当該ユーザ認証にかかるユーザに関する情報、当該ユーザ認証にかかるユーザがした操作内容に関する特徴量の情報等を受け取ることができる。実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取る情報に基づいて、認証プリントジョブの実行開始のためのユーザ認証のためにユーザが実際に行ったユーザ認証操作の内容を判別する。また、実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取る情報に基づく上記ユーザ認証操作の内容にかかる判別に基づいて、ユーザ認証操作管理部73に対し、当該ユーザ認証操作の内容の照会を要求する。ユーザ認証操作管理部73は、当該ユーザ認証操作の内容が、該当するユーザについて認証操作管理テーブル73aに記憶されている場合、当該ユーザ認証操作の内容と対応付けられて記憶されている、認証プリントジョブデータに対する処理の内容を、実行処理決定部71へ返す。あるいは、ユーザ認証操作管理部73は、当該ユーザ認証操作の内容が、該当するユーザについて認証操作管理テーブル73aに記憶されていなければ、該当する操作内容はない旨を、実行処理決定部71へ返す。そして、実行処理決定部71は、ユーザ認証操作管理部73からの返答の内容に基づいて、ユーザ認証を行ったユーザの認証プリントジョブデータに対する処理の内容を決定し、当該処理内容の情報を制御部69へ出力する。
制御部69は、実行処理決定部71から受け取った、認証プリントジョブデータに対する処理内容の情報に基づいて、ジョブ実行部79に対し、認証プリントジョブデータに対する処理を指示する。ジョブ実行部79は、当該指示にもとづいて、ユーザ認証を実行したユーザの、認証プリントジョブに対する処理を実行する。
<画像形成装置端末装置のハードウェア構成>
図11は、本発明にかかる画像形成装置端末装置(PC5)のハードウェア構成を示すブロック図である。
PC5は、一般的なパーソナル・コンピュータでよい。PC5は、周知のように、中央処理装置(CPU)87、リード・オンリ・メモリ(ROM)89、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)91、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)93、コンパクトディスクロム・ドライブ(CD−ROMドライブ)95、フレキシブル・ディスク・ドライブ(FDD)97、表示部(ディスプレイ)11、入力部(キーボード、マウス、等)99、通信インタフェース101、を有し、これらは、データバスを用いて互いに接続される。
CPU87は、ROM89、RAM91、HDD93、CD−ROMドライブ95、あるいは、FDD97に保持される画像形成装置制御用プログラム、または、通信インタフェース101を介して提供される画像形成装置制御用プログラムを実行し、RAM91、HDD93等に保持されるデータを処理する。CPU87は、上記プログラムを実行することにより、PC5(画像形成装置端末装置)の制御部等を構成し、本実施の形態の画像形成装置端末装置を実現する。
ROM89、RAM91、HDD93、CD−ROMドライブ95、FDD97は、データ、および、プログラムを保持する記憶装置である。PC5は、これら記憶装置群を、適宜、適切に使い分けて、保持する必要があるデータを、保持する。
表示部11は、例えば、ディスプレイ装置である。表示部11は、ユーザに対し、MFP1a等を操作するために必要な情報を表示する。
入力部99は、例えば、キーボード、マウス等である。ユーザは、入力部99を用いてPC5へ、MFP1a等を操作するために必要な情報を入力する。
通信インタフェース101は、PC5と、外部の装置と、の間でデータの送受信を行うためのインタフェースである。
<画像形成装置端末装置の機能的構成>
図12は、本発明にかかる第1の実施の形態による画像形成装置端末装置、PC5aの構成を、機能ブロックを用いて表したブロック図である。但、PC5aの有する機能であっても、本実施の形態と関係しない機能については、図示を省略する。下記ブロックの幾つかは、CPU87(図11)が、本実施の形態による画像形成装置制御用プログラム等を実行することにより、実現される。つまり、図12に示された機能ブロックは、CPU87が実行する画像形成装置制御用プログラムに従って、図11に示すハードウェア構成要素が協調的に動作することによって、実現される。
PC5aは、制御部103を有する。制御部103は、先述のように、CPU87(図11)が、本実施の形態にかかる画像形成装置制御用プログラムを実行することによって、実現される。制御部103は、PC5aの各ブロックとデータの送受信が可能に接続されており、各ブロックの状態を把握し、適宜、各ブロックの動作を制御する機能を有する。
認証プリント設定決定部105は、ユーザが入力部99を介して入力する、認証プリント設定の選択の情報を受け取り、当該情報に基づいて、ジョブ(印刷出力処理)を、認証プリント印刷出力処理とするか、通常の印刷出力処理にするか、を決定し、当該決定の結果を、プリントデータ生成部107へ、送る。
プリントデータ生成部107は、プリンタ(MFP1a)へ送信されるプリントデータを生成する。プリントデータは、例えば、印刷出力処理の設定に関するデータ(設定パラメータ・データ)、および、印刷出力されるドキュメントのデータ(ドキュメント・データ)を、含むデータ構造を備える。プリントデータ生成部107は、設定パラメータ・データを作成し、HDD93等に保存されているドキュメントのデータファイルと、作成した設定パラメータ・データとで、プリントデータを生成する。このとき、プリントデータ生成部107は、認証プリント設定決定部105が出力した認証プリント設定に従って、設定パラメータ・データに含まれる認証プリント設定のパラメータ(認証プリント設定フラグ)を記述する。
プリントデータ生成部107において生成されたプリントデータは、通信インタフェース101を介して、選択されたプリンタ(例えば、MFP1a)へ送られる。選択されたプリンタは、プリントデータを受信し、そのプリントデータの設定パラメータ・データに含まれる認証プリント設定パラメータに従って、認証プリント印刷出力または通常の印刷出力を実行する。
<画像形成処理の流れ>
≪画像形成装置端末装置における処理の流れ≫
これより、ユーザが、本実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5a)において、画像形成システムに含まれる画像形成装置を用いた印刷出力を指示する際に画像形成装置端末装置がする処理の流れを説明する。
図13は、画像形成装置端末装置PC5aがする処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS201と関連し、ユーザは、PC5aに対し、ドキュメントの印刷を、認証プリントとして実行するか否かについての設定の選択を、入力部99(図12)を介して入力する。
ステップS201において、PC5aは、認証プリント設定のオン/オフに関する選択の入力を受け取る。認証プリント設定決定部105(図12)は、当該選択の入力に基づいて、ドキュメントの印刷にかかる認証プリント設定を決定する。決定された認証プリント設定は、認証プリント設定情報としてプリントデータ生成部107へ出力される。
ステップS203において、プリントデータ生成部107は、認証プリント設定情報がオン設定を示すものであるか、オフ設定を示すものであるか、を判定する。選択された認証プリント設定がオン設定である場合(ステップS203における「YES」)、処理は、ステップS205へ移行する。選択された認証プリント設定がオフ設定である場合(ステップS203における「NO」)、処理は、ステップS207へ移行する。
ステップS205において、プリントデータ生成部107は、印刷出力の方法を認証プリント印刷出力処理(認証プリント設定ON)に設定し、プリントデータを作成する。例えば、プリントデータ生成部107は、プリントデータに含まれる設定パラメータ・データの認証プリント設定フラグを、「True」に設定し、プリントデータを作成すればよい。
ステップS207において、プリントデータ生成部107は、印刷出力の方法を通常の印刷出力処理(認証プリント設定OFF)に設定し、プリントデータを作成する。例えば、プリントデータ生成部107は、プリントデータに含まれる設定パラメータ・データの認証プリント設定フラグを、「False」に設定し、プリントデータを作成すればよい。
ステップS209において、PC5aは、プリントデータ生成部107が作成したプリントデータを、通信インタフェース101を介してMFP1aへ送信する。
このようにして、プリントデータはPC5aからネットワーク3を介してMFP1aへ送られる。
≪画像形成装置における処理の流れ≫
以下、本実施の形態による画像形成装置(MFP1a)において、プリントデータが受信されてから当該プリントデータに基づいて印刷出力処理が実行されるまでの間に画像形成装置がする処理の流れを説明する。
図14は、MFP1aが実行する画像形成処理の流れを説明するためのフローチャートである。なお、図14に示されたステップのうち、既に図2を参照して説明したステップについては、図2における参照数字と同様の参照数字を付し、適宜説明を省略する。
ステップS101からステップS107までの一連の処理は、図2を参照して説明したとおりである。
ステップS109と関連し、ユーザ67(図8)は、認証プリントジョブの実行を、MFP1aに開始させるためのユーザ認証の操作を行う。本実施の形態においては、当該ユーザ認証のための操作は、ICカード65(図8)を、MFP1aの認証ユニット9(図10)であるICカード・リーダ9(図8)に触れさせる(タッチする)操作を含む。ただし、本願明細書において「タッチする」とは、ICカード65とICカード・リーダ9との間でデータ送信可能な状態にすることを意味し、必ずしも、ICカード65とICカード・リーダ9とが物理的に接触した状態にすることを意味するものではない。
また、本実施の形態によるMFP1aの認証ユニット9の構成とは異なるが、認証ユニット9が、指紋読み取り可能なバイオメトリクス認証ユニット(指紋読取装置)として実現される場合、ステップS109と関連してユーザが行うユーザ認証操作には、ユーザの指を当該バイオメトリクス認証ユニットにかざす(タッチする)操作を含む。ただし、この場合もまた、ユーザが指をバイオメトリクス認証ユニットにタッチすることは、バイオメトリクス認証ユニットがユーザの指紋を読み取り可能な状態にすることを意味し、必ずしも、ユーザの指がバイオメトリクス認証ユニットと物理的に接触した状態にすることを意味するものではない。
本実施の形態によるMFP1aにおいては、ユーザ67(図8)は、ステップS109と関連する認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証操作(タッチ操作)に関し、タッチ操作の回数、タッチ操作状態の継続時間、等を様々に組み合わせて当該ユーザ認証操作を構成し、ユーザ認証処理を実行することができる。
例えば、ユーザ認証操作には、以下のような一連のタッチ操作が含まれる。
例1 タッチ操作回数に関するバリエーション。
例1−1: ユーザ67(図8)が、ICカード65(図8)を、ICカード・リーダ9(図8)に、1回タッチさせる。
例1−2: ユーザ67が、ICカード65を、ICカード・リーダ9に、2回タッチさせる。
例1−3: ユーザ67が、ICカード65を、ICカード・リーダ9に、3回タッチさせる。
例2 タッチ操作状態が継続される時間に関するバリエーション。
例2−1: ユーザ67が、ICカード65を、ICカード・リーダ9に、1秒間タッチさせる。
例2−2: ユーザ67が、ICカード65を、ICカード・リーダ9に、2秒間タッチさせる。
例2−3: ユーザ67が、ICカード65を、ICカード・リーダ9に、3秒間タッチさせる。
例3 タッチ操作回数とタッチ操作状態継続時間の組み合わせからなるバリエーション。
例3−1: ユーザ67が、ICカード65を、ICカード・リーダ9に、1秒間タッチさせる操作を1回行い、その後で、2秒間タッチさせる操作を2回行う。
例3−2: ユーザ67が、ICカード65を、ICカード・リーダ9に、3秒間タッチさせる操作を1回行い、その後で、(継続時間を問わずに)2回タッチさせる。
ユーザ認証のためのタッチ操作の回数および各タッチ操作の継続時間は、例えば、認証ユニット9の動作クロックにもとづいて、ユーザ認証部77(図10)が判定すればよい。例えば、ICカード・リーダ9が、ICカード65に記録された認証データを読み取った後、所定の動作クロック数以上の時間にわたりICカード・リーダ9が認証データを読み取ることがなく、その後に、ICカード・リーダ9が再び、ICカード65に記録された認証データを読み取った場合には、ユーザ認証部77は、合計2回のタッチ操作を受け付けたと判別する。また、所定の動作クロック数未満の時間間隔内で複数回の認証データ読み取りが実施された場合、ユーザ認証部77は、それら複数回の認証データの読み取りの時間間隔に渡り、ICカード65が継続的にICカード・リーダ9にかざされていたものと判別し、当該タッチ操作を、当該時間間隔の間継続的になされた1回のタッチ操作と判別する。
ステップS109において、MFP1aのユーザ認証部77は、認証ユニット9からの入力認証データの入力を受けて、ユーザ認証処理を実行する。
ステップS111において、ユーザ認証部77は、入力された入力認証データと予め保持する認証プリントのユーザ認証のためのデータとを照合し、ユーザ認証の成功/失敗を判定する。また、該ユーザ認証が成功であると判定された場合には、ユーザ認証部77は、該ユーザ認証を行ったユーザについての情報、および、該ユーザがユーザ認証のために行った操作の内容の情報(タッチ操作の回数、各タッチ操作の継続時間等の情報)を、実行処理決定部71へ送る。ユーザ認証部77が、ユーザ認証の結果は成功であると判定した場合(ステップS111における「YES」)、処理は、ステップS313へ移行する。ユーザ認証部77が、ユーザ認証の結果は失敗であると判定した場合(ステップS111における「NO」)、処理は、ステップS109へ戻る。
ステップS313において、MFP1aの実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取った、該ユーザ認証を行ったユーザについての情報、および、該ユーザがユーザ認証のために行った操作の内容の情報に基づいて、ユーザ認証操作管理部73に対し、ユーザがステップS109との関連において行ったユーザ認証操作を照会する。ユーザ認証操作管理部73は、認証操作管理テーブル73a内の、該当するユーザに関係付けて記録された項目内で、ユーザ認証操作を検索する。
図15は、ユーザ認証操作管理部73が保持する認証操作管理テーブル73aの例図である。認証操作管理テーブル73aは、各レコードについて、ユーザ名欄Cu、認証操作内容欄Co、および、処理内容欄Cpを備える。例えば、ユーザAがステップS109と関連したユーザ認証において、ICカード65(図8)をICカード・リーダ9(図8)に約3秒間に渡ってタッチさせた場合、ユーザ認証操作管理部73は、処理内容「認証プリントジョブのリストを表示する」を、実行処理決定部71へ返す。また、ユーザAがステップS109と関連したユーザ認証において、ICカード65(図8)をICカード・リーダ9(図8)に2回タッチさせた場合、ユーザ認証操作管理部73は、「該当する操作内容なし」を、実行処理決定部71へ返す。
認証操作管理テーブル73aは、図15に示すように、ユーザ毎に、ユーザ認証操作の内容(Co)と、処理内容(Cp)とを関係づけて、予め登録しておくことができるテーブルである。しかしながら、ユーザ認証操作管理部73は、必ずしも、テーブル形式でユーザ認証操作の内容と処理内容とを保持する必要はない。当該保持のための形式は、適宜、変更されてよい。
ステップS315において、実行処理決定部71は、ユーザがステップS109と関連して行ったユーザ認証の操作内容が、当該ユーザについて認証操作管理テーブル73aに登録された操作内容のいずれか1つと一致したか否かを、ユーザ認証操作管理部73からの応答に基づいて判断する。実行処理決定部71が、ユーザが行ったユーザ認証の操作内容とテーブル73aに登録された操作内容のいずれか1つと一致した、と判断した場合(ステップS315における「YES」)、処理は、ステップS317へ移行する。実行処理決定部71が、ユーザが行ったユーザ認証の操作内容がテーブル73aに登録された操作内容のいずれとも一致しなかった、と判断した場合(ステップS315における「NO」)、処理は、ステップS113へ移行する。また、実行処理決定部71は、ステップS315の判断と併せて、認証プリントジョブに対して実行するべき処理の内容を制御部69へ送る。当該内容は、ステップS317へ移行する場合には、認証操作管理テーブル73aから検索された処理内容と一致させればよく、検索の結果が「該当操作なし」の場合には、予め定められた通常の処理内容でよい。制御部69は、実行処理決定部71からの入力に基づいて、ジョブ実行部79等へ、認証プリントジョブに対する処理を実行する指示を送る。
ステップS113、S115、および、S117における処理は、既に説明したとおりであり、前段における「予め定められた通常の処理」である。つまり、MFP1aは、ユーザがステップS109と関連して行ったユーザ認証の操作の内容が、認証操作管理テーブル73aに登録されていない場合には、予め定められた通常の処理を実行する。
ステップS317において、MFP1aは、実行処理決定部71がユーザ認証操作の内容、および、認証操作管理テーブル73aにもとづいて決定した処理を実行する。つまり、MFP1aは、ユーザがステップS109と関連して行ったユーザ認証の操作の内容が、認証操作管理テーブル73aに登録された操作内容である場合、予め定められた通常の処理ではない処理を実行することができる。
このように、第1の実施の形態によるMFP1aは、認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証としてユーザが行った認証操作の内容に従って、通常の認証プリントジョブの処理の流れとは異なる処理を実行することができる。よって、ユーザは、所望の処理を、ユーザ認証操作の内容と関係づけて、予めMFP1aへ登録しておきさえすれば、MFP1aに対し、予め定められた通常の処理の流れとは異なる処理を、自身の認証プリントジョブについて、ユーザ認証操作で指示することができる。ユーザは、ユーザ認証を所定の一連の操作手順で実行、つまり、ICカード65(図8)をICカード・リーダ9(図8)に所定の手順に従ってタッチさせるのみで、MFP1aに所望の処理を実行させることができる。よって、本発明にかかる画像形成装置においては、ユーザは、予め定められた通常の、認証プリントジョブに対する処理とは異なる処理をMFP1aに実行させることを望む場合であっても、ユーザインタフェース57に対して煩雑な手順で構成される処理内容変更の操作をする必要がない。そのため、本実施の形態によるMFP1aは、ユーザにとっては非常に使い勝手のよい画像形成装置である。
なお、認証操作管理テーブル73aの処理内容欄Cpに登録可能な処理は、図15に例示した操作に限定されない。本発明にかかる第1の実施の形態によるMFP1aにおいては、凡そあらゆる処理内容を、処理内容欄Cpに登録しておくことが可能である。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態による画像形成装置(MFP1b)においても、認証プリントジョブの実行を開始するための所定の認証装置を用いたユーザ認証に関して、ユーザ毎に、当該認証操作の具体的な操作手順を複数登録することができる。MFP1bは、第1の実施の形態によるMFP1aとは異なり、ユーザ毎に登録された認証操作手順のそれぞれに、認証プリントジョブデータが保持されるボックス(フォルダ)を関係付けつつ、当該フォルダを登録することができる。
そうすることで、ユーザは、認証プリントの実行の開始をさせるための所定の認証装置を用いたユーザ認証を所定の操作手順で実行するだけで、フォルダを任意に選択することができる。そして、MFP1bは、当該選択にかかるフォルダに保持される認証プリントジョブデータについて、認証プリントジョブを選択的に実行することができる。よって、本発明の第2の実施の形態による画像形成装置においては、認証プリントジョブに関し、ユーザは、画像形成装置に備え付けられたユーザインタフェースを用いることなく、認証プリントジョブデータを保持するフォルダ単位で、認証プリントジョブを選択的に実行させることができる。そのため、ユーザは、ユーザインタフェースを用いることなく、画像形成装置が保持する認証プリントジョブを選択的に実行させることができる。
上記第2の実施の形態によるMFP1bの構成と関連し、本発明の第2の実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5b)は、プリントデータの作成の際、当該プリントデータに基づいて生成される認証プリントジョブデータが保持されるフォルダを指定することができる。
MFP1bおよびPC5bを有する画像形成システムにおいては、ユーザは、認証プリントジョブデータが保持されるフォルダを、PC5bに対する簡便な操作で、各プリントデータについて任意に選択可能であり、かつ、MFP1bに対する簡便な操作で、認証プリントジョブをフォルダ単位で選択的にMFP1bに実行させることができる。
以下の説明においては先の実施の形態と関連して説明した内容と共通する部分について、適宜省略する。また、添付の図面の各図においては、複数の実施の形態にわたり共通する本発明の構成要素および工程については共通する参照符合を付すこととする。
<画像形成システム>
本発明にかかる第2の実施の形態による画像形成装置を用いた画像形成システムの構成は、第1の実施の形態に関する説明において参照した図6に示される画像形成システム100と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置のハードウェア構成>
本発明にかかる第2の実施の形態による画像形成装置の構成は、第1の実施の形態に関する説明において参照した図7に示されるMFP1と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置のソフトウェア構成>
本発明にかかる第2の実施の形態による画像形成装置のソフトウェア構成は、第1の実施の形態に関する説明において参照した図9に示されるソフトウェア構成と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置の機能的構成>
図16は、本発明にかかる第2の実施の形態による画像形成装置、MFP1bの構成を、機能ブロックを用いて表したブロック図である。但、MFP1bが有する機能であっても、本実施の形態と関係しない機能については、図示を省略する。
通信インタフェース61は、ネットワーク3を介してPC5等からプリントデータを受け取る。
当該プリントデータは、例えば、印刷出力処理の設定に関するデータ(設定パラメータ・データ)、および、印刷出力されるドキュメントのデータ(ドキュメント・データ)を有する。そして、設定パラメータ・データは、データ保持領域指定情報のデータを含む。データ保持領域指定情報は、当該プリントデータに基づいてジョブ登録部81が生成するジョブデータが保持されるべき記憶領域(例えば、ボックス(フォルダ))に関する情報である。なお、データ保持領域指定情報のデータは、プリントデータとは別に、該プリントデータとの関連付けを示すデータと共に、PC5等から受信してもよい。
ジョブ登録部81は、受け取ったプリントデータのデータ保持領域指定情報のデータを参照し、当該プリントデータに基づいて生成されるジョブデータが保持されるべき記憶領域に関する情報(データ保持領域情報)を取得する。
そして、ジョブ登録部81は、認証プリントジョブのジョブデータを、データ保持領域を指定してジョブ保持部75へ送る。ジョブ保持部75は、受け取った認証プリントジョブデータを、指定されたデータ保持領域に保持する。
ジョブ保持部75は、認証プリントジョブデータを保持するためのデータ記憶領域として、タッチ&プリント・ボックス49aに加え、複数のボックス(フォルダ)49bおよび49cを備える。フォルダ49bおよび49cは、認証プリントデータが保持可能なフォルダであればよい。フォルダ49bおよび49cとして、MFP1bの外部にある記憶領域、ネットワークフォルダ85を用いてもよい。なお、フォルダ49bおよび49cは、ユーザ毎に利用権限が与えられる個人ボックス(個人フォルダ)であることがより好ましい。
ユーザ認証操作管理部73は、認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証においてユーザが実行するユーザ認証操作の内容と、実行するべき認証プリントジョブデータが保持されるフォルダとの対応関係を、ユーザ毎に、記憶し、管理する。ユーザ認証操作管理部73は、例えば、上記対応関係を、所定のテーブル(認証操作管理テーブル73b)として記憶することができる。
実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取る情報に基づいて、認証プリントジョブの実行開始のためのユーザ認証のためにユーザが実際に行ったユーザ認証操作の内容を判別する。また、実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取る情報に基づく上記ユーザ認証操作の内容にかかる判別に基づいて、ユーザ認証操作管理部73に対し、当該ユーザ認証操作の内容の照会を要求する。ユーザ認証操作管理部73は、当該ユーザ認証操作の内容が、該当するユーザについて認証操作管理テーブル73bに記憶されている場合、当該ユーザ認証操作の内容と対応付けられて記憶されている、データ記憶領域(フォルダ)の情報(処理実行対象フォルダ情報)を、実行処理決定部71へ返す。あるいは、ユーザ認証操作管理部73は、当該ユーザ認証操作の内容が、該当するユーザについて認証操作管理テーブル73bに記憶されていなければ、該当するデータ記憶領域はない旨の処理実行対象フォルダ情報を、実行処理決定部71へ返す。そして、実行処理決定部71は、ユーザ認証操作管理部73からの返答の内容に基づいて、実行するべきユーザ認証を行ったユーザの認証プリントジョブデータが保持されるデータ記憶領域を決定し、当該データ記憶領域の情報を制御部69へ出力する。
制御部69は、実行処理決定部71から受け取った、処理実行対象フォルダ情報に基づいて、ジョブ実行部79に対し、認証プリントジョブデータに対する処理を指示する。ジョブ実行部79は、当該指示にもとづいて、ユーザ認証を実行したユーザの、認証プリントジョブに対する処理を実行する。つまり、ジョブ実行部79は、処理実行対象フォルダ情報が示すフォルダ内に含まれる、ユーザ認証を実行したユーザの認証プリントジョブデータについて、印刷出力処理を実行する。
<画像形成装置端末装置のハードウェア構成>
本発明にかかる第2の実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5b)の構成は、第1の実施の形態に関する説明において参照した図11に示されるPC5と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置端末装置の機能的構成>
図17は、本発明にかかる第2の実施の形態による画像形成装置端末装置、PC5bの構成を、機能ブロックを用いて表したブロック図である。但、PC5bの有する機能であっても、本実施の形態と関係しない機能については、図示を省略する。
PC5bは、データ保持領域選択受付部109を有する。データ保持領域選択受付部109は、ユーザが入力部99を介して入力する、プリントデータにもとづいてMFP1b内で生成される認証プリントジョブデータが保持される記憶領域の選択を受け付ける。データ保持領域選択受付部109は、ユーザがいずれの記憶領域(ボックス(フォルダ))を選択したかを示す情報(データ保持領域選択情報)を、プリントデータ生成部107へ、送る。
プリントデータ生成部107は、プリンタ(MFP1b)へ送信されるプリントデータを生成する。PC5bのプリントデータ生成部107は、生成するプリントデータの設定パラメータ・データに、データ保持領域指定情報のデータを含めることができる。プリントデータ生成部107は、データ保持領域指定情報のデータを含む設定パラメータ・データを作成し、HDD93等に保存されているドキュメントのデータファイルと、作成した設定パラメータ・データとで、プリントデータを生成する。
<画像形成処理の流れ>
≪画像形成装置端末装置における処理の流れ≫
これより、ユーザが、本実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5b)において、画像形成システムに含まれる画像形成装置を用いた印刷出力を指示する際に画像形成装置端末装置がする処理の流れを説明する。
図18は、画像形成装置端末装置PC5bがする処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS405と関連し、ユーザは、PC5bに対し、プリントデータにもとづいてMFP1b内で生成される認証プリントジョブデータが保持される記憶領域にかかる選択を、入力部99(図17)を介して入力する。図19は、PC5bにおいて、プリントデータの作成に供されるプリンタドライバ・ソフトウェアのユーザインタフェース11aの例図である。ステップS201およびS405と関連して、ユーザは、ユーザインタフェース11aのチェック・ボックス111をチェックすることで認証プリント設定オン設定を選択し、また、プルダウン・メニュー113から記憶領域を選択することで認証プリントジョブデータを保持する記憶領域を選択することができる。OKボタン17およびキャンセル・ボタン115の機能については、周知の事柄であるため説明を省略する。
ステップS405において、PC5bは、認証プリントジョブデータが保持される記憶領域にかかる選択の入力を受け取る。そしてPC5bのデータ保持領域選択受付部109(図17)は、当該選択の入力に基づいて、認証プリントジョブデータが保持される記憶領域を決定する。決定された記憶領域の情報は、データ保持領域選択情報のデータとしてプリントデータ生成部107へ出力される。
ステップS407において、プリントデータ生成部107は、印刷出力の方法を認証プリント印刷出力処理(認証プリント設定ON)に設定し、プリントデータを作成する。さらに、プリントデータ生成部107は、設定パラメータ・データに、MFP1bに対しプリントデータから生成したジョブデータを保持する記憶領域を指定する情報である、データ保持領域指定情報を含めるようにしてプリントデータを作成する。
ステップS209において、PC5bは、プリントデータ生成部107が作成したプリントデータを、通信インタフェース101を介してMFP1bへ送信する。
このようにして、プリントデータはPC5bからネットワーク3を介してMFP1bへ送られる。
≪画像形成装置における処理の流れ≫
以下、本実施の形態による画像形成装置(MFP1b)において、プリントデータが受信されてから当該プリントデータに基づいて印刷出力処理が実行されるまでの間に画像形成装置がする処理の流れを説明する。
図20は、MFP1bが実行する画像形成処理の流れを説明するためのフローチャートである。なお、図20に示されたステップのうち、既に図2および図14を参照して説明したステップについては、図2および図14における参照数字と同様の参照数字を付し、適宜説明を省略する。
ステップS101からステップS105までの一連の処理は、図2を参照して説明したとおりである。
ステップS507において、MFP1bのジョブ登録部81(図16)は、プリントデータの設定パラメータ・データに含まれるデータ保持領域指定情報のデータを参照することによりデータ保持領域情報を取得する。そして、ジョブ登録部81は、当該データ保持領域情報が示す記憶領域(例えば、ジョブ保持部75のフォルダ49b(図16))に、受け取ったプリントデータから生成した認証プリントジョブデータを保持させる。
ステップS109およびS111においてMFP1bがする処理の内容は、図14を参照して既に説明したとおりである。
ステップS313において、MFP1bの実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取った、該ユーザ認証を行ったユーザについての情報、および、該ユーザがユーザ認証のために行った操作の内容の情報に基づいて、ユーザ認証操作管理部73に対し、ユーザがステップS109との関連において行ったユーザ認証操作を照会する。ユーザ認証操作管理部73は、認証操作管理テーブル73b内の、該当するユーザに関係付けて記録された項目内で、ユーザ認証操作を検索する。
図21は、MFP1bのユーザ認証操作管理部73が保持する認証操作管理テーブル73bの例図である。認証操作管理テーブル73bは、各レコードについて、ユーザ名欄Cu、認証操作内容欄Co、および、フォルダ欄Cfを備える。例えば、ユーザAがステップS109と関連したユーザ認証において、ICカード65(図8)をICカード・リーダ9(図8)に2回タッチさせた場合、MFP1bのユーザ認証操作管理部73は、処理実行対象フォルダ情報「フォルダ2」を、実行処理決定部71へ返す。また、例えば、ユーザBがステップS109と関連したユーザ認証において、ICカード65(図8)をICカード・リーダ9(図8)に2回タッチさせた場合、MFP1bのユーザ認証操作管理部73は、処理実行対象フォルダ情報「該当するフォルダなし」を、実行処理決定部71へ返す。
認証操作管理テーブル73bは、図21に示すように、ユーザ毎に、ユーザ認証操作の内容(Co)と、記憶領域(フォルダ)(Cf)とを関係づけて、予め登録しておくことができるテーブルである。しかしながら、MFP1bのユーザ認証操作管理部73は、必ずしも、テーブル形式でユーザ認証操作の内容と処理内容とを保持する必要はない。当該保持のための形式は、適宜、変更されてよい。
ステップS315において、実行処理決定部71は、ユーザがステップS109と関連して行ったユーザ認証の操作内容が、当該ユーザについて認証操作管理テーブル73bに登録された操作内容のいずれか1つと一致したか否かを、ユーザ認証操作管理部73からの応答に基づいて判断する。実行処理決定部71が、ユーザが行ったユーザ認証の操作内容とテーブル73bに登録された操作内容のいずれか1つと一致した、と判断した場合(ステップS315における「YES」)、処理は、ステップS517へ移行する。実行処理決定部71が、ユーザが行ったユーザ認証の操作内容がテーブル73bに登録された操作内容のいずれとも一致しなかった、と判断した場合(ステップS315における「NO」)、処理は、ステップS113へ移行する。また、実行処理決定部71は、ステップS315の判断と併せて、印刷出力処理を実行するべき認証プリントジョブデータを保持するフォルダの情報を制御部69へ送る。この情報の内容は、ステップS517へ移行する場合には、処理実行対象フォルダ情報の内容と一致させればよく、検索の結果が「該当操作なし」の場合には、予め定めた所定の内容でよい。制御部69は、実行処理決定部71からの入力に基づいて、ジョブ実行部79等へ、認証プリントジョブに対する処理を実行する指示を送る。
ステップS113、S115、および、S117における処理は、既に説明したとおりである。つまり、MFP1bは、ユーザがステップS109と関連して行ったユーザ認証の操作の内容が、認証操作管理テーブル73bに登録されていない場合には、予め定められた通常の処理を実行する。
ステップS517において、MFP1bは、指定されたフォルダ内に、ステップS109との関連においてユーザ認証を実行したユーザの認証プリントジョブデータが存在するか、否かについて判定する。MFP1bが、指定されたフォルダ内に該当する認証プリントジョブデータが存在する、と判定した場合(ステップS517における「YES」)、処理は、ステップS519へ移行する。MFP1bが、指定されたフォルダ内に該当する認証プリントジョブデータは存在しない、と判定した場合(ステップS517における「NO」)、処理は、ステップS113へ移行し、以降、MFP1bは、予め定められた通常の処理を実行する。
ステップS519において、MFP1bは、指定のフォルダに含まれる、ステップS109との関連においてユーザ認証を実行したユーザの認証プリントジョブデータについて、自動的に、一括して印刷出力処理を実行する。
このように、第2の実施の形態によるMFP1bは、認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証としてユーザが行った認証操作の内容に従って、通常の認証プリントジョブの処理の流れとは異なる処理を実行することができる。本実施の形態において、当該異なる処理とは、所定のフォルダ内に保持される認証プリントジョブデータに対する一括的な印刷出力処理である。よって、ユーザは、所望のフォルダについて、ユーザ認証操作の内容と関係づけて、予めMFP1bへ登録しておきさえすれば、MFP1bに対し、所望のフォルダに保持される認証プリントジョブデータのみについての一括的な印刷出力処理を、ユーザ認証操作で指示することができる。よって、本発明にかかる第2の実施の形態による画像形成装置MFP1bにおいては、ユーザは、ユーザインタフェース57に対して煩雑な手順で構成される実行対象ジョブの選択操作をする必要なしに、所望のフォルダに保持される認証プリントジョブデータのみについて、一括して印刷出力処理を実行させることができる。そのため、本実施の形態によるMFP1bもまた、ユーザにとっては非常に使い勝手のよい画像形成装置である。
なお、認証操作管理テーブル73bのフォルダ欄Cfに登録されるフォルダは、異なるユーザ間において重複してもよい。そのような場合であっても、MFP1bは、ステップS109との関連においてユーザ認証を実行したユーザの認証プリントジョブのみを一括して実行可能である。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態による画像形成装置(MFP1c)においては、認証プリントジョブの実行を開始するための所定の認証装置を用いたユーザ認証に関して、ユーザ毎に、かつ、認証プリントジョブ毎に、認証装置に対する当該認証操作の具体的な操作手順を登録することができる。MFP1cは、第1および第2の実施の形態によるMFP1aおよび1bとは異なり、ユーザ毎に、かつ、認証プリントジョブ毎に、ユーザが認証プリントジョブをMFP1cへ登録する際に、当該認証プリントジョブの印刷出力処理の実行の開始のためのユーザ認証の操作手順を登録することができる。当該ユーザ認証の操作手順の登録に必要なデータは、ユーザの選択に基づいて本発明にかかる第3の実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5c)において生成され、認証プリントジョブにかかるプリントデータに含めて、あるいは、該プリントデータと関係付けて、PC5cからMFP1cへ送信され、MFP1c内に登録される。
そうすることで、ユーザは、認証プリントジョブの実行の開始をさせるための所定の認証装置を用いたユーザ認証において、プリントデータの送信の際に登録した所定の操作手順で実行することにより、印刷出力処理を実行させる認証プリントジョブを選択することが可能となる。予め、複数の認証プリントジョブについて、同一の、あるいは、相異なるユーザ認証の操作手順を登録しておけば、ユーザは、同一の認証操作により実行される複数の認証プリントジョブからなるグループを複数グループMFP1c内に形成したり、あるいは、そのようなグループを複数MFP1c内に形成したりすることが可能となる。MFP1cにおいては、ユーザは、複数のドキュメントをグループ化し、グループ単位で当該ドキュメントの印刷出力処理を、MFP1cに対し、ユーザ認証の操作のみで指示することができるようになる。
ユーザは、例えば、MFP1cに対し頻繁に印刷出力処理を指示する認証プリントジョブについては、比較的簡単な認証操作(例えば、「1回タッチ」や「1秒間タッチを1回」等)を登録しておき、稀にしか印刷出力処理を指示しない認証プリントジョブ、あるいは、機密性が高い認証プリントジョブについては、比較的複雑な認証操作(例えば、「2回の1秒間タッチとその後での1回の3秒間タッチ」等)を登録してジョブをグループ化しておくことができる。
上記第3の実施の形態によるMFP1cの構成と関連し、本発明の第3の実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5c)は、プリントデータの作成の際、当該プリントデータにかかる認証プリントジョブの実行の開始のための、ユーザ認証の操作手順を設定することができる。
MFP1cおよびPC5cを有する画像形成システムにおいては、ユーザは、プリントデータをPC5cからMFP1cへ送信する際、MFP1cが当該プリントデータにかかる認証プリントジョブの実行の開始をするためのユーザ認証の操作手順を、PC5cに対する簡便な操作で、各プリントデータについて任意に選択可能である。また、そうすることで、ユーザは、MFP1cに対するユーザ認証操作のみで、1つまたは複数の所望の認証プリントジョブを選択的にMFP1cに実行させることができる。
以下の説明においては先の実施の形態と関連して説明した内容と共通する部分について、適宜省略する。また、添付の図面の各図においては、複数の実施の形態にわたり共通する本発明の構成要素および工程については共通する参照符合を付すこととする。
<画像形成システム>
本発明にかかる第3の実施の形態による画像形成装置を用いた画像形成システムの構成は、第1および第2の実施の形態に関する説明において参照した図6に示される画像形成システム100と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置のハードウェア構成>
本発明にかかる第3の実施の形態による画像形成装置の構成は、第1および第2の実施の形態に関する説明において参照した図7に示されるMFP1と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置のソフトウェア構成>
本発明にかかる第3の実施の形態による画像形成装置のソフトウェア構成は、第1および第2の実施の形態に関する説明において参照した図9に示されるソフトウェア構成と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置の機能的構成>
図22は、本発明にかかる第3の実施の形態による画像形成装置、MFP1cの構成を、機能ブロックを用いて表したブロック図である。但、MFP1cが有する機能であっても、本実施の形態と関係しない機能については、図示を省略する。
通信インタフェース61は、ネットワーク3を介してPC5等からプリントデータを受け取る。
当該プリントデータは、例えば、印刷出力処理の設定に関するデータ(設定パラメータ・データ)、および、印刷出力されるドキュメントのデータ(ドキュメント・データ)を有する。そして、設定パラメータ・データは、認証操作内容設定情報のデータを含む。認証操作内容設定情報は、当該プリントデータに基づいてジョブ登録部81が生成するジョブデータに対する印刷出力処理の実行の開始のために、ユーザが実行するユーザ認証の操作内容に関する情報である。なお、認証操作内容設定情報のデータは、プリントデータとは別に、該プリントデータとの関連付けを示すデータと共に、PC5等から受信してもよい。
ジョブ登録部81は、受け取ったプリントデータの認証操作内容設定情報を参照し、当該プリントデータに基づいて生成されるジョブデータにかかる認証プリントジョブを識別するためのデータとともに、認証操作内容設定情報をユーザ認証操作登録部117へ送る。
ユーザ認証操作登録部117は、ユーザ登録部81から受け取った情報に基づいて、ユーザ認証操作管理部73が保持する認証操作管理テーブル73cに、認証プリントジョブと関連付けてユーザ認証の操作内容を登録する。
ここで、本実施の形態のユーザ認証操作管理部73は、認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証においてユーザが実行するユーザ認証操作の内容と、実行するべき認証プリントジョブとの対応関係を、ユーザ毎に、記憶し、管理する。ユーザ認証操作管理部73は、例えば、上記対応関係を、所定のテーブル(認証操作管理テーブル73c)として記憶することができる。
実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取る情報に基づいて、認証プリントジョブの実行開始のためのユーザ認証のためにユーザが実際に行ったユーザ認証操作の内容を判別する。また、実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取る情報に基づく上記ユーザ認証操作の内容にかかる判別に基づいて、ユーザ認証操作管理部73に対し、当該ユーザ認証操作の内容の照会を要求する。ユーザ認証操作管理部73は、当該ユーザ認証操作の内容が、該当するユーザについて認証操作管理テーブル73cに記憶されている場合、当該ユーザ認証操作の内容と対応付けられて記憶されている、認証プリントジョブの情報(処理実行対象ジョブ情報)を、実行処理決定部71へ返す。あるいは、ユーザ認証操作管理部73は、当該ユーザ認証操作の内容が、該当するユーザについて認証操作管理テーブル73cに記憶されていなければ、該当する認証プリントジョブはない旨の処理実行対象ジョブ情報を、実行処理決定部71へ返す。そして、実行処理決定部71は、ユーザ認証操作管理部73からの返答の内容に基づいて、実行するべきユーザ認証を行ったユーザの認証プリントジョブを決定し、当該認証プリントジョブの情報を制御部69へ出力する。
制御部69は、実行処理決定部71から受け取った、処理実行対象ジョブ情報に基づいて、ジョブ実行部79に対し、認証プリントジョブデータに対する処理を指示する。ジョブ実行部79は、当該指示にもとづいて、ユーザ認証を実行したユーザの、認証プリントジョブに対する処理を実行する。つまり、ジョブ実行部79は、処理実行対象ジョブ情報が示す認証プリントジョブのジョブデータについて、印刷出力処理を実行する。
<画像形成装置端末装置のハードウェア構成>
本発明にかかる第3の実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5c)の構成は、第1の実施の形態に関する説明において参照した図11に示されるPC5と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置端末装置の機能的構成>
図23は、本発明にかかる第3の実施の形態による画像形成装置端末装置、PC5cの構成を、機能ブロックを用いて表したブロック図である。但、PC5cの有する機能であっても、本実施の形態と関係しない機能については、図示を省略する。
PC5cは、認証操作内容選択受付部119を有する。認証操作内容選択受付部119は、ユーザが入力部99を介して入力する、プリントデータにもとづく認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証の操作内容の選択を受け付ける。認証操作内容選択受付部119は、ユーザがいずれの操作内容を選択したかを示す情報(認証操作内容選択情報)を、プリントデータ生成部107へ、送る。
プリントデータ生成部107は、プリンタ(MFP1c)へ送信されるプリントデータを生成する。PC5cのプリントデータ生成部107は、生成するプリントデータの設定パラメータ・データに、認証操作内容設定情報のデータを含めることができる。プリントデータ生成部107は、認証操作内容設定情報のデータを含む設定パラメータ・データを作成し、HDD93等に保存されているドキュメントのデータファイルと、作成した設定パラメータ・データとで、プリントデータを生成する。
<画像形成処理の流れ>
≪画像形成装置端末装置における処理の流れ≫
これより、ユーザが、本実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5c)において、画像形成システムに含まれる画像形成装置を用いた印刷出力を指示する際に画像形成装置端末装置がする処理の流れを説明する。
図24は、画像形成装置端末装置PC5cがする処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS605と関連し、ユーザは、PC5cに対し、プリントデータにもとづいてMFP1c内で生成される認証プリントジョブデータにかかる認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証の操作内容の選択を、入力部99(図23)を介して入力する。図25は、PC5cにおいて、プリントデータの作成に供されるプリンタドライバ・ソフトウェアのユーザインタフェース11bの例図である。ステップS201およびS605と関連して、ユーザは、ユーザインタフェース11bのチェック・ボックス111をチェックすることで認証プリント設定オン設定を選択し、また、プルダウン・メニュー121からユーザ認証操作内容を選択することで認証プリントジョブデータにかかる認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証操作内容を選択することができる。
ステップS605において、PC5cは、認証プリントジョブデータにかかる認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証操作の選択の入力を受け取る。そしてPC5cの認証操作内容選択受付部119(図23)は、当該選択の入力に基づいて、認証プリントジョブデータの処理開始のためのユーザ認証操作内容を決定する。決定された操作内容の情報は、認証操作内容選択情報のデータとしてプリントデータ生成部107へ出力される。
ステップS607において、プリントデータ生成部107は、印刷出力の方法を認証プリント印刷出力処理(認証プリント設定ON)に設定し、プリントデータを作成する。さらに、プリントデータ生成部107は、設定パラメータ・データに、MFP1cに対しプリントデータから生成したジョブデータにかかる認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証の操作内容を設定する情報である、認証操作内容設定情報を含めるようにしてプリントデータを作成する。
ステップS209において、PC5cは、プリントデータ生成部107が作成したプリントデータを、通信インタフェース101を介してMFP1cへ送信する。
このようにして、プリントデータはPC5cからネットワーク3を介してMFP1cへ送られる。
≪画像形成装置における処理の流れ≫
以下、本実施の形態による画像形成装置(MFP1c)において、プリントデータが受信されてから当該プリントデータに基づいて印刷出力処理が実行されるまでの間に画像形成装置がする処理の流れを説明する。
図26は、MFP1cが実行する画像形成処理の流れを説明するためのフローチャートである。なお、図26に示されたステップのうち、既に図2および図14を参照して説明したステップについては、図2および図14における参照数字と同様の参照数字を付し、適宜説明を省略する。
ステップS101からステップS111までの一連の処理は、図2を参照して説明したとおりである。
ステップS313において、MFP1cの実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取った、該ユーザ認証を行ったユーザについての情報、および、該ユーザがユーザ認証のために行った操作の内容の情報に基づいて、ユーザ認証操作管理部73に対し、ユーザがステップS109との関連において行ったユーザ認証操作を照会する。ユーザ認証操作管理部73は、認証操作管理テーブル73c内の、該当するユーザに関係付けて記録された項目内で、ユーザ認証操作を検索する。
図27は、MFP1cのユーザ認証操作管理部73が保持する認証操作管理テーブル73cの例図である。認証操作管理テーブル73cは、各レコードについて、ユーザ名欄Cu、認証操作内容欄Co、および、認証プリントジョブ欄Cjを備える。例えば、ユーザAがステップS109と関連したユーザ認証において、ICカード65(図8)をICカード・リーダ9(図8)に2回タッチさせた場合、MFP1cのユーザ認証操作管理部73は、処理実行対象ジョブ情報「ジョブA2、ジョブA3、ジョブA4」を、実行処理決定部71へ返す。また、例えば、ユーザBがステップS109と関連したユーザ認証において、ICカード65(図8)をICカード・リーダ9(図8)に2回タッチさせた場合、MFP1cのユーザ認証操作管理部73は、処理実行対象ジョブ情報「該当するジョブなし」を、実行処理決定部71へ返す。
認証操作管理テーブル73cは、図27に示すように、ユーザ毎に、ユーザ認証操作の内容(Co)と、認証プリントジョブ(Cj)とを関係づけて、登録しておくことができるテーブルである。しかしながら、MFP1cのユーザ認証操作管理部73は、必ずしも、テーブル形式でユーザ認証操作の内容と処理内容とを保持する必要はない。当該保持のための形式は、適宜、変更されてよい。
ステップS315において、実行処理決定部71は、ユーザがステップS109と関連して行ったユーザ認証の操作内容が、当該ユーザについて認証操作管理テーブル73cに登録された操作内容のいずれか1つと一致したか否かを、ユーザ認証操作管理部73からの応答に基づいて判断する。実行処理決定部71が、ユーザが行ったユーザ認証の操作内容とテーブル73cに登録された操作内容のいずれか1つと一致した、と判断した場合(ステップS315における「YES」)、処理は、ステップS717へ移行する。実行処理決定部71が、ユーザが行ったユーザ認証の操作内容がテーブル73cに登録された操作内容のいずれとも一致しなかった、と判断した場合(ステップS315における「NO」)、処理は、ステップS113へ移行する。また、実行処理決定部71は、ステップS315の判断と併せて、印刷出力処理を実行するべき認証プリントジョブの情報を制御部69へ送る。この情報の内容は、ステップS517へ移行する場合には、処理実行対象ジョブ情報の内容と一致させればよく、検索の結果が「該当操作なし」の場合には、予め定めた所定の内容でよい。制御部69は、実行処理決定部71からの入力に基づいて、ジョブ実行部79等へ、認証プリントジョブに対する処理を実行する指示を送る。
ステップS113、S115、および、S117における処理は、既に説明したとおりである。つまり、MFP1cは、ユーザがステップS109と関連して行ったユーザ認証の操作の内容が、認証操作管理テーブル73cに登録されていない場合には、予め定められた通常の処理を実行する。
ステップS717において、MFP1cは、ステップS109との関連においてユーザ認証を実行したユーザの認証プリントジョブのうち、指定された認証プリントジョブについて、自動的に、一括して印刷出力処理を実行する。
このように、第3の実施の形態によるMFP1cは、認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証としてユーザが行った認証操作の内容に従って、通常の認証プリントジョブの処理の流れとは異なる処理を実行することができる。本実施の形態において、当該異なる処理とは、所定の認証プリントジョブデータに対する一括的な印刷出力処理である。よって、ユーザは、所望の1つまたは複数の認証プリントジョブについて、ユーザ認証操作の内容と関係づけて、予めMFP1cへ登録しておきさえすれば、MFP1cに対し、所望の認証プリントジョブデータのみについての一括的な印刷出力処理を、ユーザ認証操作で指示することができる。よって、本発明にかかる第3の実施の形態による画像形成装置MFP1cにおいては、ユーザは、ユーザインタフェース57に対して煩雑な手順で構成される実行対象ジョブの選択操作をする必要なしに、所望の認証プリントジョブデータのみについて、一括して印刷出力処理を実行させることができる。そのため、本実施の形態によるMFP1cもまた、ユーザにとっては非常に使い勝手のよい画像形成装置である。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態による画像形成装置(MFP1d)においては、認証プリントジョブの実行を開始するための所定の認証装置を用いたユーザ認証に関して、ユーザ毎に、かつ、ユーザ設定可能な認証プリントジョブ機密レベル毎に、認証装置に対する当該認証操作の具体的な操作手順を登録することができる。MFP1dは、第1、第2、および第3の実施の形態によるMFP1a、1b、および1cとは異なり、ユーザ毎に、かつ、認証プリントジョブ毎に、ユーザが認証プリントジョブをMFP1dへ登録する際に、当該認証プリントジョブの機密レベルを設定する。当該機密レベルの設定に必要なデータは、ユーザの選択に基づいて本発明にかかる第4の実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5d)において生成され、認証プリントジョブにかかるプリントデータに含めて、あるいは、該プリントデータと関係付けて、PC5dからMFP1dへ送信され、MFP1d内に登録される。
そうすることで、ユーザは、認証プリントジョブのなかでも特に機密性が高いドキュメントにかかる認証プリントジョブについては、プリントデータの送信の際により高い機密レベル(レベル「機密文書」)を設定することにより、通常の機密レベル(レベル「一般文書」)が設定された認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証操作とは異なる認証操作を、当該「機密文書」レベルの認証プリントジョブの実行の開始のために用いることができる。
したがって、ICカード65(図8)を不正に入手した者が、ユーザになりすまして認証プリントジョブを実行させることを試みたとしても、「機密文書」レベルが設定された認証プリントジョブは、実行されない。そのため、本実施の形態によるMFP1dにおいては、複雑な操作を要さずに、特に機密性が高いジョブを保護することが可能である。
上記第4の実施の形態によるMFP1dの構成と関連し、本発明の第4の実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5d)は、プリントデータの作成の際、当該プリントデータにかかる認証プリントジョブの機密レベルを設定することができる。
MFP1dおよびPC5dを有する画像形成システムにおいては、ユーザは、プリントデータをPC5dからMFP1dへ送信する際、MFP1dが当該プリントデータにかかる機密レベルを、PC5dに対する簡便な操作で、各プリントデータについて任意に設定可能である。また、そうすることで、ユーザは、MFP1dに対するユーザ認証操作を行うことで、機密レベルが相異なる1つまたは複数の所望の認証プリントジョブのグループを選択的にMFP1dに実行させることができる。
以下の説明においては先の実施の形態と関連して説明した内容と共通する部分について、適宜省略する。また、添付の図面の各図においては、複数の実施の形態にわたり共通する本発明の構成要素および工程については共通する参照符合を付すこととする。
<画像形成システム>
本発明にかかる第4の実施の形態による画像形成装置を用いた画像形成システムの構成は、第1および第2の実施の形態に関する説明において参照した図6に示される画像形成システム100と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置のハードウェア構成>
本発明にかかる第4の実施の形態による画像形成装置の構成は、第1、第2、および第3の実施の形態に関する説明において参照した図7に示されるMFP1と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置のソフトウェア構成>
本発明にかかる第4の実施の形態による画像形成装置のソフトウェア構成は、第1、第2、および第3の実施の形態に関する説明において参照した図9に示されるソフトウェア構成と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置の機能的構成>
図28は、本発明にかかる第4の実施の形態による画像形成装置、MFP1dの構成を、機能ブロックを用いて表したブロック図である。但、MFP1dが有する機能であっても、本実施の形態と関係しない機能については、図示を省略する。
通信インタフェース61は、ネットワーク3を介してPC5等からプリントデータを受け取る。
当該プリントデータは、例えば、印刷出力処理の設定に関するデータ(設定パラメータ・データ)、および、印刷出力されるドキュメントのデータ(ドキュメント・データ)を有する。そして、設定パラメータ・データは、機密文書設定情報のデータを含む。機密文書設定情報は、ユーザが設定する、当該プリントデータに基づいてジョブ登録部81が生成するジョブデータにかかる認証プリントジョブの機密性レベルに関する情報である。なお、機密文書設定情報のデータは、プリントデータとは別に、該プリントデータとの関連付けを示すデータと共に、PC5等から受信してもよい。
ジョブ登録部81の機密文書設定検出部81aは、受け取ったプリントデータから機密文書設定情報を検出し、当該プリントデータに基づいて生成されるジョブデータにかかる認証プリントジョブに設定された機密レベルを抽出し、該認証プリントジョブと関係づけて当該機密レベルを記録する。
ここで、本実施の形態のユーザ認証操作管理部73は、認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証においてユーザが実行するユーザ認証操作の内容と、実行するべき認証プリントジョブの機密レベルとの対応関係を、ユーザ毎に、記憶し、管理する。ユーザ認証操作管理部73は、例えば、上記対応関係を、所定のテーブル(機密文書表示操作管理テーブル73d)として記憶することができる。
実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取る情報に基づいて、認証プリントジョブの実行開始のためのユーザ認証のためにユーザが実際に行ったユーザ認証操作の内容を判別する。また、実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取る情報に基づく上記ユーザ認証操作の内容にかかる判別に基づいて、ユーザ認証操作管理部73に対し、当該ユーザ認証操作の内容の照会を要求する。ユーザ認証操作管理部73は、当該ユーザ認証操作の内容が、該当するユーザについて機密文書表示操作管理テーブル73dに記憶されている場合、当該ユーザ認証操作の内容と対応付けられて記憶されている、機密レベルの情報(処理実行対象機密レベル情報)を、実行処理決定部71へ返す。あるいは、ユーザ認証操作管理部73は、当該ユーザ認証操作の内容が、該当するユーザについて機密文書表示操作管理テーブル73dに記憶されていなければ、該当する機密レベルはない旨の処理実行対象機密レベル情報を、実行処理決定部71へ返す。そして、実行処理決定部71は、ユーザ認証操作管理部73からの返答の内容に基づいて、実行するべきユーザ認証を行ったユーザの認証プリントジョブの機密レベルを決定し、当該認証プリントジョブの情報を制御部69へ出力する。
制御部69は、実行処理決定部71から受け取った、処理実行対象機密レベル情報に基づいて、ジョブ実行部79に対し、認証プリントジョブデータに対する処理を指示する。ジョブ実行部79は、当該指示にもとづいて、ユーザ認証を実行したユーザの、該当する機密レベルが設定された認証プリントジョブに対する処理を実行する。つまり、ジョブ実行部79は、処理実行対象機密レベル情報が示す機密レベルの認証プリントジョブのジョブデータのみについて、処理を実行する。
<画像形成装置端末装置のハードウェア構成>
本発明にかかる第4の実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5d)の構成は、第1の実施の形態に関する説明において参照した図11に示されるPC5と同様でよい。よって、ここでは、その説明を省略する。
<画像形成装置端末装置の機能的構成>
図29は、本発明にかかる第4の実施の形態による画像形成装置端末装置、PC5dの構成を、機能ブロックを用いて表したブロック図である。但、PC5dの有する機能であっても、本実施の形態と関係しない機能については、図示を省略する。
PC5dは、機密文書設定選択受付部123を有する。機密文書設定選択受付部123は、ユーザが入力部99を介して入力する、プリントデータにもとづく認証プリントジョブの機密レベルの選択を受け付ける。機密文書設定選択受付部123は、ユーザがいずれの機密レベルを選択したかを示す情報(機密レベル選択情報)を、プリントデータ生成部107へ、送る。
プリントデータ生成部107は、プリンタ(MFP1d)へ送信されるプリントデータを生成する。PC5dのプリントデータ生成部107は、生成するプリントデータの設定パラメータ・データに、機密文書設定情報のデータを含めることができる。プリントデータ生成部107は、機密文書設定情報のデータを含む設定パラメータ・データを作成し、HDD93等に保存されているドキュメントのデータファイルと、作成した設定パラメータ・データとで、プリントデータを生成する。
<画像形成処理の流れ>
≪画像形成装置端末装置における処理の流れ≫
これより、ユーザが、本実施の形態による画像形成装置端末装置(PC5d)において、画像形成システムに含まれる画像形成装置を用いた印刷出力を指示する際に画像形成装置端末装置がする処理の流れを説明する。
図30は、画像形成装置端末装置PC5dがする処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS805と関連し、ユーザは、PC5dに対し、プリントデータにもとづいてMFP1d内で生成される認証プリントジョブデータにかかる認証プリントジョブの機密レベルの選択を、入力部99(図29)を介して入力する。図31は、PC5dにおいて、プリントデータの作成に供されるプリンタドライバ・ソフトウェアのユーザインタフェース11cの例図である。ステップS201およびS805と関連して、ユーザは、ユーザインタフェース11cのチェック・ボックス111をチェックすることで認証プリント設定オン設定を選択し、また、ラジオ・ボタン125から機密レベル(本例においては、通常の機密レベルを示す「一般文書」、および、より高い機密レベルを示す「機密文書」の2レベルのうちの「機密文書」。)を選択することで認証プリントジョブデータにかかる認証プリントジョブの機密レベルを選択することができる。
ステップS805において、PC5dは、認証プリントジョブデータにかかる認証プリントジョブの機密レベルの選択の入力を受け取る。そしてPC5dの機密文書設定選択受付部123(図29)は、当該選択の入力に基づいて、認証プリントジョブデータの機密レベルを決定する。決定された機密レベルの情報は、機密レベル選択情報のデータとしてプリントデータ生成部107へ出力される。
ステップS807において、プリントデータ生成部107は、印刷出力の方法を認証プリント印刷出力処理(認証プリント設定ON)に設定し、プリントデータを作成する。さらに、プリントデータ生成部107は、設定パラメータ・データに、MFP1dに対しプリントデータから生成したジョブデータにかかる認証プリントジョブの機密レベルを設定する情報である、機密文書設定情報を含めるようにしてプリントデータを作成する。
ステップS209において、PC5dは、プリントデータ生成部107が作成したプリントデータを、通信インタフェース101を介してMFP1dへ送信する。
このようにして、プリントデータはPC5dからネットワーク3を介してMFP1dへ送られる。
≪画像形成装置における処理の流れ≫
以下、本実施の形態による画像形成装置(MFP1d)において、プリントデータが受信されてから当該プリントデータに基づいて印刷出力処理が実行されるまでの間に画像形成装置がする処理の流れを説明する。
図32は、MFP1dが実行する画像形成処理の流れを説明するためのフローチャートである。なお、図32に示されたステップのうち、既に図2および図14を参照して説明したステップについては、図2および図14における参照数字と同様の参照数字を付し、適宜説明を省略する。
ステップS101およびS103の処理は、図2を参照して説明したとおりである。
ステップS905において、ジョブ登録部81の機密文書設定検出部81a(図28)は、受け取ったプリントデータから機密文書設定情報のデータを検出し、当該プリントデータに基づいて生成されるジョブデータにかかる認証プリントジョブに設定された機密レベルを抽出し、該認証プリントジョブと関係づけて当該機密レベルを記録する。
ステップS105からステップS111までの一連の処理は、図2を参照して説明したとおりである。
ステップS913において、MFP1dの実行処理決定部71は、ユーザ認証部77から受け取った、該ユーザ認証を行ったユーザについての情報、および、該ユーザがユーザ認証のために行った操作の内容の情報に基づいて、ユーザ認証操作管理部73に対し、ユーザがステップS109との関連において行ったユーザ認証操作を照会する。ユーザ認証操作管理部73は、機密文書表示操作管理テーブル73d内の、該当するユーザに関係付けて記録された項目内で、ユーザ認証操作を検索する。
図33は、MFP1dのユーザ認証操作管理部73が保持する機密文書表示操作管理テーブル73dの例図である。機密文書表示操作管理テーブル73dは、各レコードについて、ユーザ名欄Cu、および、認証操作内容欄Coを備える。例えば、ユーザAがステップS109と関連したユーザ認証において、ICカード65(図8)をICカード・リーダ9(図8)に1回タッチさせた場合、MFP1dのユーザ認証操作管理部73は、処理実行対象機密レベル情報「機密文書レベル」を、実行処理決定部71へ返す。また、例えば、ユーザBがステップS109と関連したユーザ認証において、ICカード65(図8)をICカード・リーダ9(図8)に1回タッチさせた場合、MFP1dのユーザ認証操作管理部73は、処理実行対象機密レベル情報「該当する機密レベルなし」を、実行処理決定部71へ返す。
機密文書表示操作管理テーブル73dは、図33に示すように、ユーザ毎に、高い機密レベルの認証プリントジョブを実行させるためのユーザ認証操作の内容(Co)を登録しておくことができるテーブルである。しかしながら、MFP1dのユーザ認証操作管理部73は、必ずしも、テーブル形式でユーザ認証操作の内容と処理内容とを保持する必要はない。当該保持のための形式は、適宜、変更されてよい。また、機密レベルが本例とは異なり、3レベル以上に区分される場合、認証操作内容と、機密レベルとを関係付けて保持してもよい。
ステップS315において、実行処理決定部71は、ユーザがステップS109と関連して行ったユーザ認証の操作内容が、当該ユーザについて機密文書表示操作管理テーブル73dに登録された操作内容のと一致したか否かを、ユーザ認証操作管理部73からの応答に基づいて判断する。実行処理決定部71が、ユーザが行ったユーザ認証の操作内容とテーブル73dに登録された操作内容と一致した、と判断した場合(ステップS315における「YES」)、処理は、ステップS919へ移行する。実行処理決定部71が、ユーザが行ったユーザ認証の操作内容がテーブル73dに登録された操作内容と一致しなかった、と判断した場合(ステップS315における「NO」)、処理は、ステップS917へ移行する。また、実行処理決定部71は、ステップS315の判断と併せて、印刷出力処理の対象とするべき認証プリントジョブの機密レベルの情報を制御部69へ送る。この情報の内容は、ステップS517へ移行する場合には、処理実行対象機密レベル情報の内容と一致させればよく、検索の結果が「該当する機密レベルなし」の場合には、予め定めた所定の内容でよい。制御部69は、実行処理決定部71からの入力に基づいて、ジョブ実行部79等へ、認証プリントジョブに対する処理を実行する指示を送る。
ステップS919において、MFP1dは、ステップS109との関連においてユーザ認証を実行したユーザの認証プリントジョブのうち、指定された機密レベル(「機密文書レベル」)の認証プリントジョブについて、その情報を表示部21(図28)に表示する。
ステップS917において、MFP1dは、ステップS109との関連においてユーザ認証を実行したユーザの認証プリントジョブのうち、指定された機密レベル(「一般文書レベル」)の認証プリントジョブについて、その情報を表示部21(図28)に表示する。
ステップS115、および、S117における処理は、既に説明したとおりである。つまり、MFP1dは、ユーザがステップS109と関連して行ったユーザ認証の操作の内容が、機密文書表示操作管理テーブル73dに登録されていない場合には、機密レベルとして一般文書レベルが設定された認証プリントジョブについて、処理を実行する。
このように、第4の実施の形態によるMFP1dは、認証プリントジョブの実行の開始のためのユーザ認証としてユーザが行った認証操作の内容に従って、処理の対象となる認証プリントジョブを変えて処理を実行することができる。本実施の形態において、処理対象となる認証プリントジョブは、ユーザがプリントデータの作成の際に設定した機密レベルの設定に基づいて変更される。よって、ユーザは、所望の1つまたは複数の認証プリントジョブについて、ユーザ認証操作の内容と関係づけて、予めMFP1dへ登録しておきさえすれば、MFP1dに対し、所望の認証プリントジョブデータのみについての一括的な印刷出力処理を、ユーザ認証操作で指示することができる。そのため、本実施の形態によるMFP1dもまた、ユーザにとっては非常に使い勝手のよい画像形成装置である。
また、より高い機密レベル設定を有する認証プリントジョブのためのユーザ認証操作内容として、複雑な操作手順を登録しておけば、真正のユーザになりすました不正なユーザによる機密性の高いドキュメントの印刷出力を防止することができる。