JP5103691B2 - ポリマー電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防湿性、耐内容物性を有するポリマー電池用包装材料およびこれを用いた、固体有機電解質(高分子ポリマー電解質)を持つポリマー電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリマー電池とは、リチウム2次電池ともいわれ、高分子ポリマー電解質を持ち、リチウムイオンの移動で電流を発生する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。
リチウム2次電池の構成は、正極集電材(アルミ、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料からなる)/電解質層/(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質等からなる/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子負極材料/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)及び、それらを包装する外装体からなる。
ポリマー電池の用途としては、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に用いられる。
そして、該ポリマー電池の構造は、アルミニウム、ニッケル等からなる正極集電材、金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリルニトリル等の高分子正極材料からなる正極活性物質層、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、炭酸エチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質等からなる電解質層、リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリルニトリル等の負極活性物質層、銅、ニッケル、ステンレス等の負極集電材から構成するポリマー電池本体とそれを包装する外装体からなる。
前記ポリマー電池の外装体としては、金属をプレス加工し円筒状または直方体状等に容器化した金属製缶、あるいは、最外層/アルミニウム/シーラント層から構成される多層フィルムを袋状にしたものが用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、ポリマー電池の外装体として次のような問題があった。金属製缶においては、容器外壁がリジッドであるため、電池自体の形状が決められてしまう。その為、ハード側を電池に合わせ設計するため、該電池を用いるハードの寸法が電池により決定されてしまい形状の自由度が少なくなる。
また、多層フィルムからなる袋状の外装体は、前記金属缶のように、電池自体により、電池を用いるハードの形状の自由度の制限は無くなるが、ポリマー電池の外装体として要求される物性・機能を、十分に満足しうる包装材料はいまだ開発されていないのが現状である。前記要求される物性・機能とはつぎのようなものである。
例えば、ポリマー電池の外装体としては、前記ポリマー電池本体の基体部とハードと電池本体とをつなぐ電極の一部を外気と遮断した密封系に保持する必要があり、そのために、前記多層フィルムの最内層は、前記電極と接着性、特にヒートシール性を有することが必要である。電極は金属により構成されているため、前記最内層は金属とのヒートシール性が求められている。
また、ポリマー電池は、充電/放電による内容物である電池の温度上昇によるヒートシールの安定性と密封系の確保や、使用される環境温度が、例えば夏季における車のダッシュボードや、冬季における寒冷地での使用などに耐えるために用いられるハードとともに、耐熱性、耐寒性が求められ、前記の厳しい環境下においても、外装体としてヒートシールの安定性と密封系の確保が要求される。
そこで、ポリマー電池の外装体を形成する積層体の最内層として、金属接着性があり、かつ、耐熱性のある熱接着性樹脂を用いると、前記金属との接着性、耐熱性等は改善されるが、最内層樹脂として、剛性のあるものとなり、折り曲げ等によるストレスクラックが発生することがあった。
また、ポリマー電池の場合、その電池内容物として、カーボネート系溶剤とリチウム塩からなる電解質が外装体に悪影響を及ぼし多層フィルム層間の接着強度を低下させることがあった。すなわち、溶剤(カーボネート系)を含むため、溶剤が多層フィルム層間の接着層を膨潤化させ接着強度を低下させる。
さらに、電解質の加水分解により酸と熱が発生し、金属から構成されるバリア層を腐食させ層間の接着強度を低下させ、また、発生する熱のために電池が発火することもある。また温度上昇により電池の起電力の低下が起こり、接続されている機器が停止、故障することもある。
これらの問題の要因となる前記電解質の加水分解は、いずれも、電池の密封系内に外部からの水分が浸入することによる。従って、外装体としては、外部からの水蒸気を遮断する(バリア性)が求められる。
また、ポリマー電池に限らず、電池の外装体としては、該外装体の回りにある機器(ハード)と通電しないこと、また、電極同士が接触通電しショートすることがない構造が求められる。
ポリマー電池の外装体として、前記金属缶、袋のほかに、成形トレイと蓋材とにより密封する形状も考えられる。この場合にも、ヒートシール性を有する最内層樹脂の選択と、前記トレイを成形する際の、成形性のよい積層体が求められていた。
本発明は、ポリマー電池を収納するケースに用いるシートとして、水蒸気その他のガスバリア性に優れ、また、耐ストレスクラック性、耐突き刺し性等をはじめ機械的強度があり、また高温においても使用可能であり電解液に対しても安定した積層体の構成を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
タブを外側に突出させた状態でポリマー電池本体をポリマー電池用包装材料で包装すると共に周縁熱接着部で密封したポリマー電池であって、前記ポリマー電池用包装材料は外層/アルミニウムからなるバリア層/内層、または、外層/アルミニウムからなるバリア層/中間層/内層からなると共に前記内層は最内層が融点が90℃以上であってビカット軟化点が80℃以上の酸変性ポリオレフィンであるエチレン−酢酸ビニル共重合体、金属イオン架橋ポリエチレン、金属イオン架橋ポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンおよびこれらの変性物、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体またはメタクリル酸誘導体との共重合体物のいずれかからなる金属に対して熱接着可能な樹脂層を含む共押出法によって形成された少なくとも2層以上の共押出し樹脂層からなり、前記タブを突出させて密封した前記周縁熱接着部が前記タブを直接に前記ポリマー電池用包装材料の最内層同士で挟んで熱接着されていることを特徴とするポリマー電池(ただし、バリア層と内層との間に酸変性ポリオレフィンを固形分とするオルガノゾルを塗布・乾燥して形成された接着性皮膜を備えるものを除く)、または、タブを外側に突出させた状態でポリマー電池本体をポリマー電池用包装材料で包装すると共に周縁熱接着部で密封したポリマー電池であって、前記ポリマー電池用包装材料は外層/アルミニウムからなるバリア層/内層、または、外層/アルミニウムからなるバリア層/中間層/内層からなると共に前記内層は最内層がホモタイプポリプロピレン(融点150℃以上、ビカット軟化点140℃以上)、エチレン−プロピレン共重合体(融点110℃以上、ビカット軟化点100℃以上のランダムタイププロピレンまたはグラフトタイププロピレン)、融点90℃以上であってビカット軟化点80℃以上の低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、シングルサイト系触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体のいずれかからなる金属に対して金属接着性を持たないポリオレフィン系樹脂層を含む共押出法によって形成された少なくとも2層以上の共押出し樹脂層からなり、前記外層が延伸ポリエステルフィルムまたは延伸ナイロンフィルムまたは延伸ポリエステルフィルムと延伸ナイロンフィルムとの積層体からなり、前記タブを突出させて密封した前記周縁熱接着部が前記タブと前記ポリマー電池用包装材料の最内層との間に金属に対して熱接着可能な熱接着性タブ材を介して熱接着されていることを特徴とするポリマー電池(ただし、バリア層と内層との間に酸変性ポリオレフィンを固形分とするオルガノゾルを塗布・乾燥して形成された接着性皮膜を備えるものを除く)であって、前記金属に対して熱接着性可能な樹脂が、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体、または、メタクリル酸誘導体との共重合物およびこれらの変性物の少なくとも一つを含むこと、前記バリア層が、厚さ15μm以上からなること、前記中間層が、厚さ10μm以上のポリエステル系、ポリオレフィン系、フッ素樹脂系、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物系の樹脂、または、これらの変性物および混合物から形成される樹脂の少なくとも1層含むものであること、前記バリア層の最内層面側の表面に、エポキシ系、フェノール系、メラミン系、アルキッド系、ポリイミド系、不飽和ポリエステル系、ポリウレタン系、不飽和カルボン酸グラフトポリマー系、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート共重合体系のいずれかからなる共重合体ポリエステル系、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体系、エチレンとアクリル酸およびメタクリル酸との共重合体系、ポリエーテルウレタン系等の樹脂、およびこれらの変性物の少なくとも一つを30%以上含む樹脂層からなる保護層が形成されていることを含むものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる積層体およびそれを用いたポリマー電池用包装材料について図面等を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明のポリマー電池用包装材料の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(c)X1 −X1 部の断面図、(d)X2 −X2 部の断面図である。図2は、本発明のポリマー電池用包装材料の別の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(c)エンボスタイプの外装体のポリマー電池の斜視図、(d)X3 −X3 部の断面図である。図3は、本発明の積層体の別の実施例を示す断面図である。図4は、本発明における外装体とタブとの接着の別の実施例を示する説明図で、(a)ポリマー電池の斜視図、(b)熱接着性タブ材を接着したポリマー電池本体の斜視図、(c)熱接着性タブ材を接着した別のポリマー電池本体の斜視図、(d)および(e)はそれぞれの熱接着性タブ材を用いた場合のX4 −X4 部断面図である。図5は、本発明の積層体を用いるポリマー電池のパウチタイプの外装体の形状を示す平面図とそれぞれのタイプの断面図である。図6は、本発明の積層体を用いるポリマー電池のエンボスタイプの外装体の形状を示す(a)片面エンボスタイプの底材の斜視図、(a′)X9 −X9 部断面図、(b)両面エンボスタイプの斜視図、(b′)X10−X10部断面図、(c)エンボスタイブにおけるタブの位置を示す別の例の概念図、(d)タブをさらに別の位置に設けた例の概念図である。
【0006】
本発明の課題について、本発明者らは鋭意研究の結果、多層構造からなる包装材料であって、次に説明する各材質からなる積層体とし、かつ、最内層を金属に対して熱接着可能な樹脂層を含む少なくとも2層以上の層とすることによって本発明の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに到った。本発明による積層体を用いて形成されるかかるポリマー電池は、詳細は後述するが、図1(b)に示すようなパウチタイプと図2(b)に示すようなエンボスタイプとがある。図1(b)および図1(c)に示すように、ポリマー電池本体2を、ピロータイプの形状の外装体4の中に封入し、電極の一部を外装体の外に露出させた構造である。前記、パウチタイプとエンボスタイプとに関する外装体の形態については後に詳細に説明する。そして、前記外装体を形成するポリマー電池用包装材料(または積層体)は、基本的には、外層/バリア層/内層の3層からなり、バリア層と内層との間に中間層を設けてもよい。図1(a)は前記4層タイブの積層体を示している。本発明の積層体を用いるポリマー電池は、図1(d)に示すように、電極3の一部を含むヒートシール部を形成するものである。
【0007】
本発明における前記外層11は、延伸ポリエステル又はナイロンからなるが、この時、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロンとしてはポリアミド系樹脂、すなわち、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,6とナイロン6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミト(MXD6)等が挙げられる。
【0008】
前記外層11は、ポリマー電池として用いられる場合、ハードと直接接触する部位であるため、基本的に絶縁性を有する樹脂層がよい。フィルム単体でのピンホールの存在、および加工時のピンホールの発生等を考慮すると、最外層は6μm以上の厚さが必要であり、好ましい厚さとしては12〜25μmである。
【0009】
本発明においては、外層11は耐ピンホール性および電池の外装体とした時のハードとの絶縁性を向上させるために、積層化することも可能である。その場合、外層11が2層以上の樹脂層を少なくとも一つ含み、各層の厚みが6μm以上、好ましくは12から25μmである。外層11を積層化する例としては、図示はしないがつぎの1)〜6)が挙げられる。
1)延伸ポリエチレンテレフタレート/ 延伸ナイロン
2)延伸ナイロン/ 延伸ポリエチレンテレフタレート
また、包装材料の機械適性(包装機械、加工機械の中での搬送の安定性)、表面保護性(耐熱性、耐電解質性)、2次加工としてポリマー電池用の外装体をエンボスタイプとする際に、エンボス時の金型と最外層との摩擦抵抗を小さくする目的で、外層を多層化、外層表面にフッ素系樹脂層、アクリル系樹脂層、シリコーン系樹脂層等を設けることが好ましい。例えば、
3)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(フッ素系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
4)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレートとする。シリコーン系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成する。
5)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
6)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
7)アクリル系樹脂/延伸ナイロン(アクリル樹脂はフィルム状物、または液状コーティング後乾燥で硬化)
【0010】
上記外層11はドライラミネーション、押出しラミネーション等でバリア層12と接着される。
【0011】
前記バリア層12は、外部からポリマー電池1の内部に特に水蒸気が浸入することを防止するための層で、バリア層単体のピンホール、及び加工適 性(パウチ化、エンボス成形性)を安定化し、かつ耐ピンホールをもたせるために厚さ15μm以上のアルミニウム、ニッケルなどの金属、又は、無機化合物、例えば酸化珪素、アルミナ等が挙げられるが、バリア層として好ましくは20〜80μmのアルミニウムとする。
ピンホールの発生をさらに改善し、ポリマー電池の外装体のタイプをエンボスタイプとする際、エンボス部におけるクラック等の発生のないものとするために、バリア層として用いるアルミニウムの材質が、鉄含有量が0.3 〜9.0 %、好ましくは0.7 〜2.0 %とすることが望ましい。前記鉄含有量が0.3 %未満の場合は、ピンホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等の効果が認められず、また、前記アルミニウムの鉄含有量が9.0 %を超える場合は、アルミニウムとしての柔軟性が阻害され、積層体として製袋性が悪くなる。
また、冷間圧延で製造されたアクリル酸は焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、本実施例で用いられるアルミニウムは焼きなましをしていない、いわゆる硬質処理品より、適宜焼きなましを適宜行った、柔軟性がある硬質処理品が好ましい。また、この軟質性の度合いは、加工適性に合わせ適宜選定すればよい。
【0012】
そして、このアルミニウムはアルミニウム表面に存在する酸化アルミと電解液が水分と反応して発生するフッ化水素(化学式:HF)の化学反応で表面腐食が起こる。よって、アルミニウム表面の酸化物、油分の除去を目的とした酸・アルカリによる表面洗浄を行うことが好ましい。洗浄用の酸類としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、フッ酸、クロム酸のような無機酸やスルファミン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、乳酸、グリコール酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、リンゴ酸のような有機酸がありこれらを主成分とし適宜添加剤を加えれば良い。また、アルカリ類としては水酸化ナトリウムなどの水酸化物、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、第2リン酸ナトリウム、第3リン酸ナトリウムなどのリン酸塩、ピロ・リン酸ナトリウム、トリポリ・リン酸ナトリウム、テトラポリ・リン酸ナトリウムなどの重合リン酸塩、オルソ・珪酸ナトリウム、メタ・珪酸ナトリウムなとの珪酸塩がある。ナトリウム塩を示したが、これらのカリウム塩、アンモニア塩も有効である。これらを主成分とし適宜添加剤を加えればよい。
そして、このアルミニウム表面の耐薬品性、耐有機溶剤性を向上させるため、該アルミニウム最内層面側表面に、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物系化合物または、有機ケイ素化合物、有機チタン系化合物、有機アルミ系化合物等からなる表面処理層を設けてもよい。硫酸、シュウ酸、クロム酸、リン酸を用い、陽極処理後、封孔処理してもよい。
また、これらの表面処理層には、適宜、酸化珪素(化学式:SiO2)、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜鉛化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などを添加することも耐薬品性、耐有機溶剤性をさらに向上させる。
また、積層の際の接着強度を向上させるために、アルミニウム表面を化学的または物理的な手法により粗面化してもよい。
【0013】
一方、包装材料としてのアルミニウムは、バリア性を有する材料として、他の材料と積層されて用いられることが多いがアルミニウムは金属の中でも比較的有機溶剤、酸、アルカリなどに腐食されやすい。例えば、ポリマー電池の多くは、ポリマー電池本体に活物質やポリマー電解質の中に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、アセトンなどの有機溶剤を含む。また、ポリマー電解質のリチウム塩は水と反応し強酸であるフッ化水素(HF)を発生させる。このような、有機溶剤、酸等によりアルミニウム表面が腐食されると、内層或いは中間層等との接着力が弱まり、デラミネーションを起こし包装材としての機能がなくなる。そこで、本発明者は種々の実験等により、前記表面処理層面に耐溶剤性、耐酸性を持つ樹脂層を形成することにより、アルミニウム表面の腐食等を防止できることを見い出した。そして、前記樹脂層(以下、保護層15と記載する)は、意外にも、アルミニウム表面を保護するばかりでなく、中間層14との接着性を兼ね備えていることが確認された。本発明において、バリア層表面または、表面処理層の表面に設ける保護層15に用いる物質としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、オレフィン樹脂等を用いることができる。
【0014】
また、これらの保護層には、リン酸塩系皮膜形成物質(リン酸亜鉛系、リン酸鉄系、リン酸マンガン系、リン酸カルシウム系、リン酸クロム系、クロム酸シリカ計)やフッ化物系皮膜形成物質(フッ化チタン系、フッ化亜鉛系)やアルミ箔表面の接着性向上物質(カップリング剤:シラン系カップリング剤、有機チタン系カップリング剤、有機アルミ系カップリング剤)を含有させることもできる。
また、適宜、酸化珪素(化学式:SiO2)、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜鉛化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などを添加することも耐薬品性、耐有機溶剤性をさらに向上させる。特に、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜鉛化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などは電解液と水分の反応で発生するフッ化水素(化学式:HF)と化学反応を起こしフッ化水素を吸収、吸着する効果があり、各層、特にバリア層(アルミニウム)に対するフッ化水素の腐食を防止する効果がある。
【0015】
本発明においては、バリア層12または前記保護層と内層14との間に中間層13を設ける事ができる。前記中間層を設けることによって、前記バリア層12の保護と、製袋の際のヒートシールの熱と圧力によってヒートシール層である内層14が薄くなり、電極3とアルミニウム(バリア層12)とが接触(短絡発生)することを防止できる。また、中間層13は電池の環境適性(耐熱性、耐寒性)を安定化するために積層するが、厚さ10μm以上、融点は80℃以上であって、好ましくは12から25μmのポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂または、これらの変性物および混合物から形成される少なくとも1層含むものとする。前記ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネートおよびこれらの共重合体または変性物が挙げられる。また、前記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、シングルサイト系触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、金属イオン含有ポリエチレン、エチレンとメタクリル酸またはアクリル酸誘導体の共重合物、ポリブテン、不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテンおよびこれらの変性物が挙げられる。また、前記フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は延伸又は未延伸の状態のどちらでも用いることができる。
【0016】
また、中間層13は単層のみでなく、多層化することもできる。中間層13を多層化する場合は、その形成を共押出し法によって積層してもよく、また、各層をドライラミネーション法を用いて積層してもよい。さらに、押出しラミネーション法を用いて積層してもよい。例えば、中間層13を共押出し法により多層化する場合は、以下に示すような2層以上の層構成からなり、各層の厚さが10から100 μm、好ましくは15から25μmである。
【0017】
本発明におけるポリマー電池用包装材料の最内層は、オレフィン系樹脂、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体、またはメタクリル酸誘導体との共重合物、およびこれらの変性物または混合物から形成される。最内層の厚さは、20μm以上、また最内層を形成する樹脂の融点が70℃以上、ビカット軟化点が60℃以上が好ましい。
【0018】
さらに、最内層はパウチタイプ、エンボスタイプともに熱溶着法により電極タブをサンドイッチした状態で密封系を形成する。ところが、熱溶着部分の最内層としてのオレフィン樹脂は、その特性から脆くなり、簡単にクラック、ピンホールが発生し易くなる。また、熱溶着時、電極用タブの端部部分は、前記タブの厚さ分最内層を潰すことでピンホールの発生をなくしているが、最内層の耐熱性を上げるために融点が高いオレフィン系樹脂の単層とすると、高温、高圧、長時間溶着する必要がある。この場合、熱溶着自体が内容物である電池の特性を低下させたり、また包装材料の他の構成層、例えば外層のポリエステルやナイロンが熱収縮を起こしたりすることで包装材料としての機能低下を起こす。
【0019】
最内層には、金属接着性を持たないポリオレフィン系樹脂を用いることもできるが、この場合には、電極3と最内層との間に前記不飽和カルボン酸グラフトグラフトポリオレフィン、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体、またはメタクリル酸またはメタクリル酸誘導体との共重合体物から形成される熱接着性タブ材(厚さ15μm以上)16を用いることによって、タブと外装体とが完全に接着され、密封することができる。具体的には、図4(b)に示すように、電極の熱接着部に電極より巾の広い熱接着性タブ材16を載置し、外装体に挿入して熱接着して密封する。図4(d)は、この場合の熱接着後のX4−X4断面を模式的に示したものである(但し、外層、バリア層、中間層は1層として示している)。また、図4(c)は、電極3の電極の熱接着部又はそれより広い領域の部分に、前記金属に対してヒートシール性を有する不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体、またはメタクリル酸誘導体との共重合物およびこれらの変性物または混合物からなる樹脂を被覆し、外装体に挿入して熱接着して密封した例であり、図4(e)は、この場合の熱接着後のX4−X4断面を図4(d)と同じように模式的に示したものである。
【0020】
本発明の前記課題を解決するために、本発明者らは、種々研究の結果、内層を多層化することにより、前記課題に効果のあることを見いだし本発明を完成するに到った。内層の多層化は、具体的には、
(1)オレフィン系樹脂およびこれらの変性物/不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン
(2)オレフィン系樹脂およびこれらの変性物/エチレンとアクリル酸誘導体、または、エチレンとメタクリル酸誘導体共重合物
(3)オレフィン系樹脂およびこれらの変性物/金属イオン架橋ポリエチレン、金属イオン架橋ポリプロピレン
等の構成の内層とすることである。前記、代表的なオレフィン系樹脂としては
a)ポリプロピレン系としては、
1)ホモタイプポリプロピレン(融点150℃以上、ビカット軟化点140℃以上)
2)エチレン−プロピレン共重合体(融点110℃以上、ビカット軟化点100℃以上のランダムタイププロピレンまたはグラフトタイププロピレン)
b)ポリエチレン系としては、
3)融点90℃以上、ビカット軟化点80℃以上の低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンージエン共重合体、エチレン−プロピレンーブテン共重合体、シングルサイト系触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体また、酸変性ポリオレフィン(融点90℃以上、ビカット軟化点80℃以上)としては
イ)エチレン−酢酸ビニル共重合体
ロ)金属イオン架橋ポリエチレン、金属イオン架橋ポリプロピレン
ハ)不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン等の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンおよびこれらの変性物。
ニ)エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体、またはメタクリル酸誘導体との共重合物として、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・メタクリル酸エチル(EMA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、プロピレン−メタクリル酸エチル(PMA)、プロピレン−アクリル酸エチル(PAA)等を挙げることができる。
【0021】
内層14の多層化の更に具体例としては、つぎのような構成を挙げることができる。
(1)低密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレン/エチレンとメタクリル酸またはアクリル酸誘導体との共重合物
(2)エチレン−プロピレン共重合体体/プロピレンとメタクリル酸またはアクリル酸誘導体との共重合物
(3)低密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレン/金属架橋ポリエチレン
(4)エチレンープロピレン共重合体/金属架橋ポリプロピレン
(5)ランダムプロピレン系/不飽和カルボン酸グラフトホモタイププロピレン
(6)グラフトプロピレン系/不飽和カルボン酸グラフトホモタイププロピレン
(7)ホモプロピレン系/ 不飽和カルボン酸グラフトランダムタイプ、またはグラフトタイププロピレン
(8)ランダムまたはグラフトプロピレン系/ホモプロピレン系
(9)エチレンープロピレン共重合体/ポリエチレン/エチレンープロピレン共重合体
(10)エチレンープロピレン共重合体/ポリエチレン/不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン
【0022】
本発明のポリマー電池用包装材料の外層、バリア層、内層、或いは外層、バリア層、中間層、内層の各層の形成または各層間の積層方法は、具体的にはTダイ法、インフレーション法、共押出し法等を用いて製膜することができ、必要に応じて、コーティング、蒸着、紫外線硬化、電子線硬化等の方法によって2次膜を形成してもよい。また、貼り合わせは、ドライラミネーション、押出しラミネーション、共押出しラミネーション、サーマルラミネーション(熱ラミネーション)等の方法により積層化し得る。
【0023】
前記、ドライラミネーションをする際には、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリエーテル系、シアノアクリレート系、ウレタン系、有機チタン系、ポリエーテルウレタン系、エポキシ系、ポリエステルウレタン系、シミド系、イソシアネート系、ポリオレフィン系、シリコーン系の各種接着剤を用いることができる。ただし、本発明の積層体のバリア層よりも内層面側の積層をドライラミネーションする場合には、前記組成の接着剤を用いる。
【0024】
ポリマー電池用外装体を形成する積層体の構成がドライラミネート法による接着である場合に、ポリマー電池の電解質成分であるカーボネート系溶剤による層間剥離およびリチウム塩と水との反応により発生するフッ化水素によるバリア層内層側表面での接着面剥離その課題に対して、鋭意研究の結果、前記積層体のバリア層よりも内側における各層の接着をドライラミネートする際の接着剤の成分をつぎの組成とすることによって、前記層間剥離、バリア層表面での接着面剥離のない積層体とすることができた。その接着剤は主剤と硬化剤とからなり、主剤が、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オクタンニ酸、ノナンニ酸、ウンデカンニ酸、パルミチン酸を含むカルボン酸とエチレングリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のグリコールとIPDIなどのイソシアネートとからなり、硬化剤がトリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールグリセリン、1,3−ブタンジオール等のグリコールとTDI等のイソシアネートとTDA等からなるものである。
【0025】
また、これらの接着層には適宜、酸化珪素(化学式:SiO2)、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などを添加することも耐薬品性、耐有機溶剤性をさらに向上させる。特に、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などは電解液と水分の反応で発生するフッ化水素(化学式:HF)と化学反応を起こし、フッ化水素を急雌雄、吸着する効果があり、各層、特にバリア層(アルミニウム)に対するフッ化水素の腐食を防止する効果がある。
【0026】
本発明の積層体において、バリア層よりも内層側の各層を接着するドライラミ接着剤としては、前記組成とする。但し、バリア層よりも外側の積層をドライラミする場合は、通常の接着剤を用いてもよい。
【0027】
また、各層を前記押出しラミネーションにより積層する場合、接着する各層間の接着力を安定化する接着促進化方法として、各層の接着面にポリエステル系、ポリエーテル系、ウレタン系、ポリエーテルウレタン系、ポリエステルウレタン系、イソシアネート系、ポリオレフィン系、ポリエチレンイミン系、シアノアクリレート系、有機チタン化合物系、エポキシ系、イミド系、シリコーン系およびこれらの変性物、または混合物等の樹脂を 1μm程度塗工したり、オゾン処理等による表面活性化処理を行うことができる。
また、前記押出しラミネーションあるいは熱ラミネーションをする際の樹脂として不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを用いることによって、接着性とともに耐内容物性も向上する。
【0028】
本発明の積層体を積層化する方法として、3層構成の場合、本発明の積層体を積層する方法として、代表的に次の3方法、すなわち、
1)第1基材として、外層/バリア層の積層体と内層からなる第2基材積層体をそれぞれ準備し熱ラミネーションする
2)第1基材として外層/バリア層、第2基材として内層を準備し押出しラミネーション(共押出しを含む)する方法、この場合必要に応じ、再度熱ラミネーション工程を施す
3)すべてをドライラミネーションで貼りあわせるのいずれの方法を用いてもよい。
【0029】
また、4層構成の場合には、積層化する方法として、代表的に次の3方法、すなわち、
1)第1基材として、外層/バリア層の積層体と中間層/内層からなる第2基材積層体をそれぞれ準備し熱ラミネーションする
2)第1基材として外層/バリア層、第2基材として中間層の一部/内層の積層体、または内層のみを準備し中間層により押出しラミネーション(共押出しを含む)する、この場合必要に応じ、再度熱ラミネーション工程を施す
3)すべてをドライラミネーションで貼りあわせるのいずれの方法を用いてもよい。
【0030】
さらに、中間層には、気体、液体、イオン透過防止薄膜層としてスパッタリグ法、化学蒸着法、物理的蒸着法を用いアルミニウム層のような金属薄膜層、酸化アルミや酸化錫のような金属酸化物層、コーティング法を用い塩化ビニリデン層等を形成することで、さらに、バリア層に対する電解質構成物質の透過を防止し安定した接着性を持たせることができる。
【0031】
【実施例】
以上に説明した本発明の積層体の層構成を、パウチタイプ、エンボスタイプとしてそれぞれ具体的に示すと
パウチ仕様としては、
〔略号:PET:ポリエステル、DL: ドライラミネーション、TL: 熱ラミネーション、AL: アルミニウム、PP: ポリプロピレン、Tr-Ac:リン酸塩による表面処理、RAM-PP: ランダム重合されたポリプロピレン、HOMO-PP:ホモタイプポリプロピレン、Tr-Co-Ac-cr:炭酸カルシウム添加リン酸クロム処理、PPa:不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、PE: 低密度ポリエチレン、PEa:不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、Ny: ナイロン、AC: アクリル樹脂、//: 共押出し法による積層部、( )の数字は層の厚みを示す、μm〕
また、以下の実施例において使用したドライラミネート用接着剤は、次の通りである。
DL-1:ポリエーテルを主成分とした接着剤、タケラックA-969V/A-5( 武田薬品
工業株式会社製 商品名)
DL-2:成分構成は、主剤としては、ポリエステルポリウレタン樹脂がセバシン
酸、イソフタル酸、テレフタル酸からなるカルボン酸とエチレングリコ
ール、ヘキサンジオールからなるグリコール、イソシアネート(IPDI)お
よびビスフェノールA からなるエポキシ樹脂からなり、また、硬化剤と
しては、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、グリセリン、1,3-ブタンジオールからなるグリコール、
イソシアネート(TDI) 、他(TDA) からなるものを用いた。
(実施例1)
二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) とアルミニウム(20 μm) とを接着剤DL-1を用いてドライラミネーション法により貼り合わせてラミネートAとし、別に、ランダムタイプポリプロピレンと不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレンとを共押出し法により製膜し、前記ラミネートAのアルミニウム面と二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) 、前記共押出し法により製膜されたランダムタイプポリプロピレン面とを接着剤DL-2を用いてドライラミネーション法により貼り合わせて積層体(1) を得た。
(1) PET(12)/DL-1/AL(20)/DL-2/PET(12)/DL-2/RAM-PP(30)//PPa(20)
(実施例2)
二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) とアルミニウム(20 μm) とを接着剤DL-1を用いてドライラミネーション法により積層しラミネートAとし、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(20 μm) と二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) と、ランダムタイプポリプロピレンと不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレンとを共押出し法により製膜された共押出しフィルムのランダムタイプポリプロピレン面とを接着剤DL-2を用いドライラミネーション法により積層しラミネートBとし、前記ラミネートAのアルミニウム面とラミネートBの不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(20 μm) 面を温度250 ℃、圧力0.6Mpa、ライン速度20メートル/ 分の条件により熱ラミネーション法により貼り合わせて積層体(2) を得た。
(2) PET(12)/DL-1/AL(20)/TL/PPa(20)/DL-2/ PET(12)/DL-2/RAM-PP(25)// PPa(25)
(実施例3)
アルミニウム(20 μm) をリン酸塩処理により耐酸性改質皮膜を形成した後、二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) と前記アルミニウムとを接着剤DL-1を用いてドライラミネーション法により貼り合わせてラミネートAとし、別に、ランダムタイプポリプロピレンとホモタイプポリプロピレンとを共押出し法により製膜し、前記ラミネートAのアルミニウム面と前記共押出し法により製膜されたランダムタイプポリプロピレン面とを接着剤DL-2を用いてドライラミネーション法により貼り合わせて積層体(3) を得た。
(3) PET(12)/DL-1/AL(20)/Tr-Ac/DL-2/RAM-PP(5)//HOMO-PP(25)
また、エンボス仕様としては、
(実施例4)
二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) 、二軸延伸ナイロンフィルム( 15μm) 、アルミニウム(50 μm) を接着剤DL-1を用いて、順次ドライラミネーション法により貼り合わせてラミネートAとし、別に、ポリエチレンと不飽和カルボン酸グラフトポリエチレンとを共押出し法により製膜し、前記ラミネートAのアルミニウム面と、ポリエステルフィルム(16 μm) 、前記共押出し法により製膜されたポリエチレン面とを接着剤DL-2を用いて、順次ドライラミネーション法により貼り合わせて積層体(4) を得た。
(4) PET(12)/DL-1/Ny(15)/DL-1/AL(50)/DL-2/PET(16)/DL-2/PE(30)//PEa(20)
(実施例5)
二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) 、二軸延伸ナイロンフィルム( 15μm) 、アルミニウム(50 μm) とを接着剤DL-1を用いたドライラミネーション法により積層しラミネートAとし、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(20 μm) と二軸延伸共重合ポリエステルフィルム(16 と共押出し法で製膜したポリエチレンと不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン(50 μm) のポリエチレン面面側とを接着剤DL-2を用いドライラミネーション法により積層しラミネートBとし、前記ラミネートAのアルミニウム面とラミネーションBの不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(20 μm) を温度200 〜250 ℃、圧力0.6Mpa、ライン速度25メートル/ 分の条件により熱ラミネーション法により貼り合わせて積層体(5) を得た。
(5) PET(12)/DL-1/Ny(15)/DL-1/AL(50)/TL/PPa(20)/DL-2/PET(16)/DL-2/PE(25)// PEa(25)
(実施例6)
最外層面にアクリル樹脂(3μm) をコーティング法により形成した二軸延伸ナイロンフィルム(15 μm) のナイロン側と、炭酸カルシウム添加リン酸クロム酸処理をほどこしたアルミニウム(50 μm) を積層体DL-1を用いて順次ドライラミネーション法により貼り合わせてラミネートAとし、別に、ランダムタイプポリプロピレンとホモタイプポリプロピレンとを共押出し法により製膜し、前記ラミネートAのアルミニウム面と、前記共押出し法により製膜されたランダムタイプポリプロピレン面とを接着剤DL-2を用いてドライラミネーション法により貼り合わせて積層体(6) を得た。
(6) AC/DL-1/Ny(15)/DL-1/AL(50)/Tr-Co-Ac-cr/DL-2/RAM-PP(5)//HOMO-PP(25)
前記エンボスタイプの PET(16 μm) はいずれも共重合タイプのポリエステルを用いる。また、前記DL-1に用いる接着剤は、特に限定しないが、DL-2においては、前記本発明において記載した組成の接着剤を用いるものとする。
前記積層体(1) 〜(6) を用いて、ポリマー電池用包装材料として、ポリマー電池本体を密封し、各種のテストを実施したが、ポリマー電池外装体として求められている性能を充たす積層体であった。
【0032】
具体的な層構成として別の実施例を図3に示す。この積層体は、外層11とバリア層12とをドライラミネーションし、バリア層12に保護層15を設けて、第1基材とし、中間層13をドライラミネーション(DL−2)した2層タイプ(13a、13b)とし、さらに、内層14を14a及び14bの共押出し法により製膜した2層構成とし、前記内層14と中間層13とをドライラミネーション(DL−3)して第2基材として、熱接着性フィルムを介在させて熱ラミネートして熱ラミネート層TLを形成した例である。
【0033】
ポリマー電池の形態(パウチタイプの外装体)本発明の積層体をポリマー電池の外装体を構成する包装材料として用いる場合の前記外装体の形態は、パウチタイプまたはエンボスタイプが挙げられる。前記パウチタイプは、前述のピロータイプの他、図5(a)に示す三方シールタイプ、図5(b)に示す四方シールタイプのような形態がある。いずれの形態においても、シール端部にタブ(電極)の一部を含む密封シールとし、タブの一部が外装体の外部に露出するものである。また、前記タブ3は、図5(c)、図5(d)、図5(e)に示すように外装体のシール部の任意の位置から外部に露出させてもよい。
【0034】
本発明のポリマー電池用包装材料において、外装体4の形状を図2(b)に示すように、エンボス方式とする場合がある。この場合、底材6は、電池本体の収納部となるエンボス部8と、蓋材7と密封シールするフランジ部9とからなる。底材の包装材料6は図2(a)に示すように4層構成の積層体を基本とするが、その外層11および/または中間層13に用いるポリエステル系樹脂をポリエチレンテレフタレート共重合体またはポリブチレンテレフタレート共重合体とし、フィルム化における延伸倍率を小さくすることが好ましい。前記共重合体とすることによって、底材6のエンボス形状がシャープとなり、また、容器とした時、図6(a′)に示す開口部巾(T)と深さ(D)がD/T=1/50以上で、かつ、側面テーパーθが130°以下とすることが可能となりエンボスがし易い。また、バリア層としてアルミニウムを用いる場合には、エンボスによるピンホールの発生の心配のない厚さとして、その厚さを30μm以上とすることが望ましい。片面のみエンボスの場合には、その蓋材7は成形をしないために、共重合体にする必要はない。両面エンボスをする場合には、両面に前記底材の積層体を用いればよい。ポリマー電池の外装体をエンボスタイプにすることによって電池本体の収納性がよくなる。
【0035】
【発明の効果】
本発明において、内層を多層化することにより、金属接着性を有する樹脂層の単層による内層において問題となっていた内層のクラックがなくなり、安定した密封性を得ることができた。また、ポリマー電池自体がフレキシビリティをもち、金属缶を用いるより軽量化が可能となり、かつ、トータル層厚を薄くすることができ、電池として省スペース化が可能となった。特に、バリア性に優れ、該バリア性を長期に維持し得ることができ、耐熱性、耐寒性、耐内容物性等に優れたものとすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のポリマー電池用包装材料の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(c)X1−X1部の断面図、(d)X2−X2部の断面図である。
【図2】 本発明のポリマー電池用包装材料の別の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(c)エンボスタイプの外装体のポリマー電池の斜視図、(d)X3−X3部の断面図である。
【図3】 本発明の積層体の別の実施例を示す断面図である。
【図4】 本発明における外装体とタブとの接着の別の実施例を示す説明図で、(a)ポリマー電池の斜視図、(b)熱接着性タブ材を接着したポリマー電池本体の斜視図、(c)熱接着性タブ材を接着した別のポリマー電池本体の斜視図、(d)および(e)はそれぞれの熱接着性タブ材を用いた場合のX4−X4部断面図である。
【図5】 本発明の積層体を用いるポリマー電池のパウチタイプの外装体の形状を示す平面図とそれぞれのタイプの断面図である。
【図6】 本発明の積層体を用いるポリマー電池のエンボスタイプの外装体の形状を示す(a)片面エンボスタイプの底材の斜視図、(a′)X9−X9部断面図、(b)両面エンボスタイプの斜視図、(b′)X10−X10部断面図、(c)エンボスタイブにおけるタブの位置を示す別の例の概念図、(d)タブをさらに別の位置に設けた例の概念図である。
【符号の説明】
1 ポリマー電池
2 ポリマー電池本体
3 電極(タブ)
4 外装体
5 ヒートシール部
5f 背シール部
6 底材
7 蓋材
8 エンボス部
9 フランジ部
10 積層体(包装材料)
11 外層
12 バリア層
13 中間層
14 内層
15 保護層
16 熱接着性タブ材
DL ドライラミネート層
TL 熱ラミネート層
Claims (6)
- タブを外側に突出させた状態でポリマー電池本体をポリマー電池用包装材料で包装すると共に周縁熱接着部で密封したポリマー電池であって、前記ポリマー電池用包装材料は外層/アルミニウムからなるバリア層/内層、または、外層/アルミニウムからなるバリア層/中間層/内層からなると共に前記内層は最内層が融点が90℃以上であってビカット軟化点が80℃以上の酸変性ポリオレフィンであるエチレン−酢酸ビニル共重合体、金属イオン架橋ポリエチレン、金属イオン架橋ポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンおよびこれらの変性物、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体またはメタクリル酸誘導体との共重合体物のいずれかからなる金属に対して熱接着可能な樹脂層を含む共押出法によって形成された少なくとも2層以上の共押出し樹脂層からなり、前記タブを突出させて密封した前記周縁熱接着部が前記タブを直接に前記ポリマー電池用包装材料の最内層同士で挟んで熱接着されていることを特徴とするポリマー電池(ただし、バリア層と内層との間に酸変性ポリオレフィンを固形分とするオルガノゾルを塗布・乾燥して形成された接着性皮膜を備えるものを除く)。
- タブを外側に突出させた状態でポリマー電池本体をポリマー電池用包装材料で包装すると共に周縁熱接着部で密封したポリマー電池であって、前記ポリマー電池用包装材料は外層/アルミニウムからなるバリア層/内層、または、外層/アルミニウムからなるバリア層/中間層/内層からなると共に前記内層は最内層がホモタイプポリプロピレン(融点150℃以上、ビカット軟化点140℃以上)、エチレン−プロピレン共重合体(融点110℃以上、ビカット軟化点100℃以上のランダムタイププロピレンまたはグラフトタイププロピレン)、融点90℃以上であってビカット軟化点80℃以上の低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、シングルサイト系触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体のいずれかからなる金属に対して金属接着性を持たないポリオレフィン系樹脂層を含む共押出法によって形成された少なくとも2層以上の共押出し樹脂層からなり、前記外層が延伸ポリエステルフィルムまたは延伸ナイロンフィルムまたは延伸ポリエステルフィルムと延伸ナイロンフィルムとの積層体からなり、前記タブを突出させて密封した前記周縁熱接着部が前記タブと前記ポリマー電池用包装材料の最内層との間に金属に対して熱接着可能な熱接着性タブ材を介して熱接着されていることを特徴とするポリマー電池(ただし、バリア層と内層との間に酸変性ポリオレフィンを固形分とするオルガノゾルを塗布・乾燥して形成された接着性皮膜を備えるものを除く)。
- 前記金属に対して熱接着性可能な樹脂が、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体、または、メタクリル酸誘導体との共重合物およびこれらの変性物の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマー電池。
- 前記バリア層が、厚さ15μm以上からなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリマー電池。
- 前記中間層が、厚さ10μm以上のポリエステル系、ポリオレフィン系、フッ素樹脂系、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物系の樹脂、または、これらの変性物および混合物から形成される樹脂の少なくとも1層含むものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリマー電池。
- 前記バリア層の最内層面側の表面に、エポキシ系、フェノール系、メラミン系、アルキッド系、ポリイミド系、不飽和ポリエステル系、ポリウレタン系、不飽和カルボン酸グラフトポリマー系、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート共重合体系のいずれかからなる共重合体ポリエステル系、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体系、エチレンとアクリル酸およびメタクリル酸との共重合体系、ポリエーテルウレタン系等の樹脂、およびこれらの変性物の少なくとも一つを30%以上含む樹脂層からなる保護層が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のポリマー電池。
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