以下に本発明の粘着型偏光板を、図1を参照しながら説明する。本発明の粘着型偏光板は、例えば、図1に示すように、偏光子(P)の片面にのみ透明保護フィルム(E)が第一接着剤層(G1)を介して設けられており、前記偏光子(P)の他の片面には、第二接着剤層(G2)を介して粘着剤層(B)が設けられている。また、図示してはいないが、本発明の粘着型偏光板は、透明保護フィルム(E)に易接着層を設けたり活性化処理を施したりして、当該易接着層と接着剤層(G1)を貼り合わせることができる。なお、図示していないが、粘着剤層(B)には離型シートを設けることができる。
[偏光子]
偏光子とは、自然光や偏光から任意の偏光に変換し得るフィルムをいう。本発明に用いられる偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得るが、自然光又は偏光を直線偏光に変換するものが好ましく用いられる。
本発明の偏光板においては、偏光子(P)として、目的に応じて任意の適切ものが採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。また、米国特許5,523,863号等に開示されている二色性物質と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を一定方向に配向させたゲスト・ホストタイプのO型偏光子、米国特許6,049,428号等に開示されているリオトロピック液晶を一定方向に配向させたE型偏光子等も用いることができる。
このような偏光子の中でも、高い偏光度を有するという観点から、ヨウ素を含有するポリビニルアルコール系フィルムによる偏光子が好適に用いられる。偏光子に適用されるポリビニルアルコール系フィルムの材料には、ポリビニルアルコール又はその誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等が挙げられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸や、そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。ポリビニルアルコールの重合度は、1000〜10000程度、ケン化度は80〜100モル%程度のものが一般に用いられる。
前記ポリビニルアルコール系フィルム中には可塑剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、ポリオール及びその縮合物等が挙げられ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。可塑剤の使用量は、特に制限されないがポリビニルアルコール系フィルム中20重量%以下とするのが好適である。
前記ポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)は、常法に従って、一軸延伸処理、ヨウ素染色処理が少なくとも施される。さらには、ホウ酸処理、ヨウ素イオン処理を施すことができる。また前記処理の施されたポリビニルアルコール系フィルム(延伸フィルム)は、常法に従って乾燥されて偏光子となる。
一軸延伸処理における延伸方法は特に制限されず、湿潤延伸法と乾式延伸法のいずれも採用できる。乾式延伸法の延伸手段としては、たとえば、ロール間延伸方法、加熱ロール延伸方法、圧縮延伸方法等が挙げられる。延伸は多段で行うこともできる。前記延伸手段において、未延伸フィルムは、通常、加熱状態とされる。通常、未延伸フィルムの厚みは30〜150μm程度のものが用いられる。延伸フィルムの延伸倍率は目的に応じて適宜に設定できるが、延伸倍率(総延伸倍率)は2〜8倍程度、好ましくは3〜6.5倍、さらに好ましくは3.5〜6倍とするのが望ましい。延伸フィルムの厚みは5〜40μm程度が好適である。
ヨウ素染色処理は、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素及びヨウ化カリウムを含有するヨウ素溶液に浸漬することにより行われる。ヨウ素溶液は、通常、ヨウ素水溶液であり、ヨウ素及び溶解助剤としてヨウ化カリウムを含有する。ヨウ素濃度は0.01〜1重量%程度、好ましくは0.02〜0.5重量%であり、ヨウ化カリウム濃度は0.01〜10重量%程度、さらには0.02〜8重量%で用いるのが好ましい。
ヨウ素染色処理にあたり、ヨウ素溶液の温度は、通常20〜50℃程度、好ましくは25〜40℃である。浸漬時間は通常10〜300秒間程度、好ましくは20〜240秒間の範囲である。ヨウ素染色処理にあたっては、ヨウ素溶液の濃度、ポリビニルアルコール系フィルムのヨウ素溶液への浸漬温度、浸漬時間等の条件を調整することによりポリビニルアルコール系フィルムにおけるヨウ素含有量及びカリウム含有量が前記範囲になるように調整する。ヨウ素染色処理は、一軸延伸処理の前、一軸延伸処理中、一軸延伸処理の後の何れの段階で行ってもよい。
ホウ酸処理は、ホウ酸水溶液へポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行う。ホウ酸水溶液中のホウ酸濃度は、2〜15重量%程度、好ましくは3〜10重量%である。ホウ酸水溶液中には、ヨウ化カリウムによりカリウムイオン及びヨウ素イオンを含有させることができる。ホウ酸水溶液中のヨウ化カリウム濃度は0.5〜10重量%程度、さらには1〜8重量%とするのが好ましい。ヨウ化カリウムを含有するホウ酸水溶液は、着色の少ない偏光子、即ち可視光のほぼ全波長域に亘って吸光度がほぼ一定のいわゆるニュートラルグレーの偏光子を得ることができる。
ヨウ素イオン処理には、たとえば、ヨウ化カリウム等によりヨウ素イオンを含有させた水溶液を用いる。ヨウ化カリウム濃度は0.5〜10重量%程度、さらには1〜8重量%とするのが好ましい。ヨウ素イオン含浸処理にあたり、その水溶液の温度は、通常15〜60℃程度、好ましくは25〜40℃である。浸漬時間は通常1〜120秒程度、好ましくは3〜90秒間の範囲である。ヨウ素イオン処理の段階は、乾燥工程前であれば特に制限はない。後述の水洗浄後に行うこともできる。
また、偏光子には亜鉛を含有させることもできる。偏光子に亜鉛を含有させることは、加熱環境下における色相劣化抑制の点で好ましい。偏光子中の亜鉛の含有量は、亜鉛元素が、偏光子中に0.002〜2重量%含有される程度に調整することが好ましい。さらには、0.01〜1重量%に調整することが好ましい。偏光子中の亜鉛含有量が前記範囲において、耐久性向上効果がよく、色相の劣化を抑えるうえで好ましい。
亜鉛含浸処理には、亜鉛塩溶液が用いられる。亜鉛塩としては、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛等のハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等の水溶液の無機塩化合物が好適である。これらのなかでも、硫酸亜鉛が亜鉛の偏光子中における保持率を高めることができることから好ましい。また、亜鉛含浸処理には、各種亜鉛錯体化合物を用いることができる。亜鉛塩水溶液中の亜鉛イオンの濃度は、0.1〜10重量%程度、好ましくは0.3〜7重量%の範囲である。また、亜鉛塩溶液はヨウ化カリウム等によりカリウムイオン及びヨウ素イオンを含有させた水溶液を用いるのが亜鉛イオンを含浸させやすく好ましい。亜鉛塩溶液中のヨウ化カリウム濃度は0.5〜10重量%程度、さらには1〜8重量%とするのが好ましい。
亜鉛含浸処理にあたり、亜鉛塩溶液の温度は、通常15〜85℃程度、好ましくは25〜70℃である。浸漬時間は通常1〜120秒程度、好ましくは3〜90秒間の範囲である。亜鉛含浸処理にあたっては、亜鉛塩溶液の濃度、ポリビニルアルコール系フィルムの亜鉛塩溶液への浸漬温度、浸漬時間等の条件を調整することによりポリビニルアルコール系フィルムにおける亜鉛含有量を調整することができる。亜鉛含浸処理の段階は特に制限されず、ヨウ素染色処理の前でもよく、ヨウ素染色処理後のホウ酸水溶液への浸漬処理の前、ホウ酸処理中、ホウ酸処理後でもよい。またヨウ素染色溶液中に亜鉛塩を共存させておいて、ヨウ素染色処理と同時に行ってもよい。亜鉛含浸処理は、ホウ酸処理とともに行なうのが好ましい。また亜鉛含浸処理とともに一軸延伸処理を行なうこともできうる。また、亜鉛含浸処理は複数回行なってもよい。
前記処理の施されたポリビニルアルコール系フィルム(延伸フィルム)は、常法に従って、水洗浄工程、乾燥工程に供することができる。
水洗浄工程は、通常、純水にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行う。水洗浄温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃、さらに好ましくは15〜40℃の範囲である。浸漬時間は、通常、10〜300秒間、好ましくは20〜240秒間程度である。
乾燥工程は、任意の適切な乾燥方法、例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥等を採用しうる。例えば、加熱乾燥の場合には、乾燥温度は代表的に20〜80℃、好ましくは25〜70℃であり、乾燥時間は代表的には1〜10分間程度であることが好ましい。また、乾燥後の偏光子の水分率は10〜30重量%とすることが好ましく、12〜28重量%とすることがより好ましく、16〜25重量%とすることがさらに好ましい。水分率が過度に大きいと、後述するように接着層を介して偏光子と光学素子や等方性フィルムとを貼り合わせた積層貼合体、すなわち偏光板を乾燥する際に、偏光子の乾燥に伴って偏光度が低下する傾向がある。特に500nm以下の短波長領域における直交透過率が増大する、すなわち、短波長の光が漏れるために、黒表示が青色に着色する傾向がある。逆に、偏光子の水分率が過度に小さいと、局所的な凹凸欠陥(クニック欠陥)が発生しやすい等の問題を生じる場合がある。
本発明の偏光板に用いられる偏光子(P)の厚みとしては、任意の適切な厚みが採用され得る。偏光子の厚みは、代表的には5〜80μmであり、好ましくは10〜50μmであり、さらに好ましくは20〜40μmである。上記の範囲であれば、光学特性や機械的強度に優れる。
[透明保護フィルム]
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。
なお、透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
また、透明保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、さらには、5〜150μm、特に、20〜100μmの薄型の場合に特に好適である。
本発明の透明保護フィルムとしては、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂および(メタ)アクリル樹脂から選ばれるいずれか少なくとも1つを用いるのが好ましい。
セルロース樹脂は、セルロースと脂肪酸のエステルである。このようセルロースエステル系樹脂の具体例としでは、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリプロピオニルセルロース、ジプロピオニルセルロース等があげられる。これらのなかでも、トリアセチルセルロースが特に好ましい。トリアセチルセルロースは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。トリアセチルセルロースの市販品の例としては、富士フイルム社製の商品名「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」や、コニカ社製の「KCシリーズ」等があげられる。一般的にこれらトリアセチルセルロースは、面内位相差(Re)はほぼゼロであるが、厚み方向位相差(Rth)は、〜60nm程度を有している。
なお、厚み方向位相差が小さいセルロース樹脂フィルムは、例えば、上記セルロース樹脂を処理することにより得られる。例えばシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤を塗工したポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ステンレスなどの基材フィルムを、一般的なセルロース系フィルムに貼り合わせ、加熱乾燥(例えば80〜150℃で3〜10分間程度)した後、基材フィルムを剥離する方法;ノルボルネン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などをシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解した溶液を一般的なセルロース樹脂フィルムに塗工し加熱乾燥(例えば80〜150℃で3〜10分間程度)した後、塗工フィルムを剥離する方法などがあげられる。
また、厚み方向位相差が小さいセルロース樹脂フィルムとしては、脂肪置換度を制御した脂肪酸セルロース系樹脂フィルムを用いることができる。一般的に用いられるトリアセチルセルロースでは酢酸置換度が2.8程度であるが、好ましくは酢酸置換度を1.8〜2.7に制御することによってRthを小さくすることができる。上記脂肪酸置換セルロース系樹脂に、ジブチルフタレート、p−トルエンスルホンアニリド、クエン酸アセチルトリエチル等の可塑剤を添加することにより、Rthを小さく制御することができる。可塑剤の添加量は、脂肪酸セルロース系樹脂100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
環状ポリオレフィン樹脂の具体的としては、好ましくはノルボルネン系樹脂である。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂があげられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、ならびに、それらの水素化物などがあげられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーがあげられる。
環状ポリオレフィン樹脂としては、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン株式会社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR株式会社製の商品名「アートン」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学株式会社製の商品名「APEL」があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、偏光板の耐久性に優れたものとなりうる。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定きれないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。(メタ)アクリル系樹脂からは、面内位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)がほぼゼロのフィルムを得ることができる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)があげられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルがあげられる。より好ましくはメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂の具体例として、例えば、三菱レイヨン株式会社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル樹脂系があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることもできる。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載のものがあげられる。
また、(メタ)アクリル系樹脂としては、不飽和カルボン酸アルキルエステルの構造単位およびグルタル酸無水物の構造単位を有するアクリル樹脂を用いることができる。前記アクリル樹脂としては、特開2004−70290号公報、特開2004−70296号公報、特開2004−163924号公報、特開2004−292812号公報、特開2005−314534号公報、特開2006−131898号公報、特開2006−206881号公報、特開2006−265532号公報、特開2006−283013号公報、特開2006−299005号公報、特開2006−335902号公報などに記載のものがあげられる。
また、(メタ)アクリル系樹脂としては、グルタルイミド単位、(メタ)アクリル酸エステル単位、および芳香族ビニル単位を有する熱可塑性樹脂を用いることができる。当該熱可塑性樹脂としては、特開2006−309033号公報、特開2006−317560号公報、特開2006−328329号公報、特開2006−328334号公報、特開2006−337491号公報、特開2006−337492号公報、特開2006−337493号公報、特開2006−337569号公報などに記載のものがあげられる。
(透明保護フィルムの位相差値)
透明保護フィルム(E)としては、複屈折が小さく、偏光状態を変換させないものとして、正面位相差が40nm未満、かつ、厚み方向位相差が80nm未満であるものを用いることができる。このように複屈折が小さい透明保護フィルムとしては、無延伸フィルムが好適に用いられる。
正面位相差Reは、Re=(nx−ny)×d、で表わされる。厚み方向位相差Rthは、Rth=(nx−nz)×d、で表される。また、Nz係数は、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)、で表される。[ただし、フィルムの遅相軸方向、進相軸方向、厚み方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとし、d(nm)はフィルムの厚みとする。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率の最大となる方向とする。]。
一方、正面位相差が40nm以上及び/又は、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有する透明保護フィルムを用いることで、偏光子保護フィルムに位相差板の機能を兼用させることもできる。その場合、正面位相差や厚み方向位相差は、位相差板として光学補償に必要とされる値に適宜調整することができる。かかる位相差板としては、延伸透明保護フィルムを好適に用いることができる。
前記位相差板は、nx=ny>nz、nx>ny>nz、nx>ny=nz、nx>nz>ny、nz=nx>ny、nz>nx>ny、nz>nx=ny、の関係を満足するものが、各種用途に応じて選択して用いられる。なお、ny=nzとは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、実質的にnyとnzが同じ場合も含む。
例えば、nx>ny>nz、を満足する位相差板では、正面位相差は40〜100nm、厚み方向位相差は100〜320nm、Nz係数は1.8〜4.5を満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nx>ny=nz、を満足する位相差板(ポジティブAプレート)では、正面位相差は100〜200nmを満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nz=nx>ny、を満足する位相差板(ネガティブAプレート)では、正面位相差は100〜200nmを満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nx>nz>ny、を満足する位相差板では、正面位相差は150〜300nm、Nz係数は0を超え、0.7以下を満足するものを用いるのが好ましい。また、上記の通り、例えば、nx=ny>nz、nz>nx>ny、又はnz>nx=ny、を満足する用いることができる。
また前記透明保護フィルム(E)としては、複屈折が小さく偏光状態を変換させないもの、位相差板として作用するもののいずれをも用いることができる。
透明保護フィルム(E)に位相差板として作用するものを用いる場合、その高分子素材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース樹脂、環状オレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、又はこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物等が挙げられる。これらの高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のもの等を挙げられる。主鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサー部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマー等が挙げられる。側鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサー部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するもの等が挙げられる。これらの液晶ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したもの等の配向処理面上に液晶ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたもの等の使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであって良く、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したもの等であっても良い。なお、前記位相差を有するフィルムは、位相差を有しない透明フィルムに、別途、貼り合わせて上記機能を付与することもできる。
また良視認の広い視野角を達成する点等より、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板等を用いることもできる。
[第一接着剤層]
前記透明保護フィルム(E)と偏光子(P)とは、第一接着剤層(G1)を介して積層される。この際、接着剤層により両者を空気間隙なく積層することが望ましい。第一接着剤層(G1)は接着剤(G1´)により形成される。接着剤(G1´)の種類は特に制限されず、種々のものを用い得る。
前記偏光子(P)と透明保護フィルム(E)の貼り合わせに用いる第一接着剤層(G1)は光学的に透明であれば、特に制限されず水系、溶剤系、ホットメルト系、ラジカル硬化型の各種形態のものが用いられるが、水系接着剤またはラジカル硬化型接着剤が好適である。
接着剤層(G1)を形成する水系接着剤としては特に限定されるものではないが、例えば、ビニルポリマー系、ゼラチン系、ビニル系ラテックス系、ポリウレタン系、イソシアネート系、ポリエステル系、エポキシ系等を例示できる。このような水系接着剤からなる接着剤層は、水溶液の塗布乾燥層などとして形成しうるが、その水溶液の調製に際しては、必要に応じて、架橋剤や他の添加剤、酸等の触媒も配合することができる。前記水系接着剤としては、ビニルポリマーを含有する接着剤などを用いることが好ましく、ビニルポリマーとしては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。またポリビニルアルコール系樹脂には、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などの水溶性架橋剤を含有することができる。特に偏光子としてポリビニルアルコール系のポリマーフィルムを用いる場合には、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する接着剤を用いることが、接着性の点から好ましい。さらには、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤が耐久性を向上させる点からより好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコール;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールがあげられる。前記単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等があげられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は一種を単独でまたは二種以上を併用することができる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は特に限定されないが、接着性の点からは、平均重合度100〜5000程度、好ましくは1000〜4000、平均ケン化度85〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%である。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを公知の方法で反応して得られる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を酢酸等の溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコール系樹脂をジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法等があげられる。またポリビニルアルコールにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法があげられる。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、0.1モル%以上であれば特に制限はなない。0.1モル%未満では接着剤層の耐水性が不充分であり不適当である。アセトアセチル基変性度は、好ましくは0.1〜40モル%程度、さらに好ましくは1〜20モル%、特に好ましくは2〜7モル%である。アセトアセチル基変性度が40モル%を超えると、耐水性の向上効果が小さい。アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
架橋剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤に用いられているものを特に制限なく使用できる。前記ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物を使用できる。例えば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、;更にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物があげられる。これらのなかでもアミノ−ホルムアルデヒド樹脂やジアルデヒド類が好ましい。アミノ−ホルムアルデヒド樹脂としてはメチロール基を有する化合物が好ましく、ジアルデヒド類としてはグリオキザールが好適である。なかでもメチロール基を有する化合物である、メチロールメラミンが特に好適である。また、架橋剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を用いることができる。
前記架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂の種類等に応じて適宜設計できるが、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常、4〜60重量部程度、好ましくは10〜55重量部程度、さらに好ましくは20〜50重量部である。かかる範囲において、良好な接着性が得られる。
耐久性を向上させるには、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる。この場合にも、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、前記同様、架橋剤を4〜60重量部程度、好ましくは10〜55重量部程度、さらに好ましくは20〜50重量部の範囲で用いるのが好ましい。架橋剤の配合量が多くなりすぎると、架橋剤の反応が短時間で進行し、接着剤がゲル化する傾向がある。その結果、接着剤としての可使時間(ポットライフ)が極端に短くなり、工業的な使用が困難になる。かかる観点からは、架橋剤の配合量は、上記配合量で用いられるが、本発明の樹脂溶液は、金属化合物コロイドを含有しているため、前記のように架橋剤の配合量が多い場合であっても、安定性よく用いることができる。
前記接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂、架橋剤および平均粒子径が1〜100nmの金属化合物コロイドを含有してなる樹脂溶液が好ましく用いられる。当該樹脂溶液は、通常、水溶液として用いられる。樹脂溶液濃度は特に制限はないが、塗工性や放置安定性等を考慮すれば、0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。
金属化合物コロイドは、微粒子が分散媒中に分散しているものであり、微粒子の同種電荷の相互反発に起因して静電的安定化し、永続的に安定性を有するものである。金属化合物コロイド(微粒子)の平均粒子径は1〜100nmである。前記コロイドの平均粒子径が前記範囲であれば、接着剤層中において、金属化合物を略均一に分散させることができ、接着性を確保し、かつクニックを抑えることができる。前記平均粒子径の範囲は、可視光線の波長領域よりもかなり小さく、形成される接着剤層中において、金属化合物によって透過光が散乱したとしても、偏光特性には悪影響を及ぼさない。金属化合物コロイドの平均粒子径は、1〜100nm、さらには1〜50nmであるのが好ましい。
金属化合物コロイドとしては、各種のものを用いることができる。例えば、金属化合物コロイドとしては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化スズ、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の金属酸化物のコロイド;炭酸亜鉛、炭酸バリウム、リン酸カルシウム等の金属塩のコロイド;セライト、タルク、クレイ、カオリン等の鉱物のコロイドがあげられる。
金属化合物コロイドは、分散媒に分散してコロイド溶液の状態で存在している。分散媒は、主として水である。水の他に、アルコール類等の他の分散媒を用いることもできる。コロイド溶液中の金属化合物コロイドの固形分濃度は、特に制限されないが、通常、1〜50重量%程度、さらには、1〜30重量%のものが一般的である。また、金属化合物コロイドは、安定剤として硝酸、塩酸、酢酸などの酸を含有するものを用いることができる。
金属化合物コロイドは、静電的に安定化しており、正電荷を有するものと、負電荷を有するものに分けられるが、金属化合物コロイドは非導電性の材料である。正電荷と負電荷とは、接着剤調製後の溶液におけるコロイド表面電荷の電荷状態により、区別される。金属化合物コロイドの電荷は、例えば、ゼータ電位測定機により、ゼータ電位を測定することにより確認できる。金属化合物コロイドの表面電荷は、一般に、pHにより変化する。従って、本願のコロイド溶液の状態の電荷は、調整された接着剤溶液のpHにより影響される。接着剤溶液のpHは、通常、2〜6、好ましくは2.5〜5、さらに好ましくは3〜5、さらには3.5〜4.5の範囲に設定される。本発明では、正電荷を有する金属化合物コロイドが、負電荷を有する金属化合物コロイドに比べて、クニックの発生を抑える効果が大きい。正電荷を有する金属化合物コロイドとしては、アルミナコロイド、ジルコニアコロイド、チタニアコロイド、酸化スズコロイド等があげられる。これらのなかでも、特に、アルミナコロイドが好適である。
金属化合物コロイドは、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、200重量部以下の割合(固形分の換算値)で配合される。また金属化合物コロイドの配合割合を前記範囲とすることで、偏光子と第一の透明保護フィルム(他方の面では、例えば第二の透明保護フィルム)との接着性を確保しながら、クニックの発生を抑えることができる。金属化合物コロイドの配合割合は、10〜200重量部であるのが好ましく、さらには20〜175重量部、さらには30〜150重量部であるのが好ましい。金属化合物コロイドの配合割合が、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、200重量部を超えると、接着剤中における、ポリビニルアルコール系樹脂の割合が小さくなり、接着性の点から好ましくない。なお、金属化合物コロイドの配合割合は、特に制限されないが、有効にクニックを抑えるには、前記範囲の下限値とするのが好ましい。
接着剤である樹脂溶液の粘度は特に制限されないが、1〜50mPa・sの範囲のものが用いられる。偏光板の作成にあたって生じるクニックは、樹脂溶液の粘度が下がるに従って、クニックの発生も多くなる傾向があるが、本発明の偏光板用接着剤によれば、1〜20mPa・sの範囲のような低粘度の範囲においても、クニックの発生を抑えることができ、樹脂溶液の粘度に拘らず、クニックの発生を抑えることができる。アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、一般的なポリビニルアルコール樹脂に比べて、重合度を高くすることができず、前記のような低粘度で用いられていたが、本発明では、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合にも、樹脂溶液の低粘度によって生じるクニックの発生を抑えられる。
接着剤である樹脂溶液の調製法は特に制限されない。通常は、ポリビニルアルコール系樹脂および架橋剤を混合し、適宜に濃度を調製したものに、金属化合物コロイドを配合することで、樹脂溶液が調製される。また、ポリビニルアルコール系樹脂として、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いたり、架橋剤の配合量が多いような場合には、溶液の安定性を考慮して、ポリビニルアルコール系樹脂と金属化合物コロイドを混合した後に、架橋剤を、得られる樹脂溶液の使用時期等を考慮しながら、混合することができる。なお、偏光板用接着剤である樹脂溶液の濃度は、樹脂溶液を調製した後に適宜に調整することもできる。
前記接着剤層(G1)が水系接着剤等により形成される場合には、当該接着剤層(G1)の厚みは10〜300nm程度である。接着剤層の厚みは、均一な面内厚みを得ることと、十分な接着力を得る点から、さらに好ましくは、10〜200nm、さらに好ましくは20〜150nmである。また、前述の通り、接着剤層(G1)の厚みは、偏光板用接着剤に含有されている金属化合物コロイドの平均粒子径よりも大きくなるように設計することが好ましい。
水系接着剤を塗布した後は、偏光子(P)と透明保護フィルム(E)をロールラミネーター等により貼り合わせる。前記接着剤の塗布は、透明保護フィルム、偏光子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。貼り合わせ後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着剤層を形成する。乾燥温度は、5〜150℃程度、好ましくは30〜120℃で、120秒間以上、さらには300秒間以上である。
ラジカル硬化型接着剤としては、電子線硬化型、紫外線硬化型等の活性エネルギー線硬化型、熱硬化型等の各種のものを例示できるが、短時間で硬化可能な、活性エネルギー線硬化型が好ましい。特に、電子線硬化型が好ましい。電子線硬化型接着剤を用いることができる。偏光子と透明保護フィルムを貼り合せるために用いる接着剤の硬化方法に電子線を用いる(即ちドライラミネーション)ことによって、紫外線硬化法のような、加熱工程が不要になり、生産性を非常に高くすることができる。
一方、前記接着剤層(G1)が硬化型接着剤(電子線硬化型接着剤)により形成される場合には、前記接着剤層(G1)の厚みは、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは、0.2〜10μm、さらに好ましくは0.3〜8μmである。厚みが薄い場合は、接着力自体の凝集力が得られず、接着強度が得られないおそれがある。接着剤層(G1)の厚みが20μmを超えると、コストアップと接着剤自体の硬化収縮の影響が出て、偏光板の光学特性へ悪影響が発生するおそれがある。
接着剤(G1´)を塗布した後は、偏光子(P)と透明保護フィルム(E)をロールラミネーター等により貼り合わせる。前述のごとく、この貼り合わせる工程に供される偏光子の水分率は、10〜30重量%とすることが好ましく、12〜28重量%とすることがより好ましく、16〜25重量%とすることがさらに好ましい。水分率を上記範囲とすることで、偏光度を高く保ち、かつ、クニックや外観上のムラの発生を防止することができる。
さらに、偏光度や色相等の光学特性を安定化する観点においては、偏光子(P)に透明保護フィルム(E)を貼り合わせた後に、適切な乾燥温度で乾燥させることが好ましい。光学特性の観点から乾燥温度は90℃以下であることが好ましく、85℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。また、乾燥温度に下限はないが、工程の効率や実用性を考慮すると、50℃以上であることが好ましい。また、乾燥温度は上記温度範囲内で段階的に昇温して実施することもできる。
[粘着剤層]
粘着剤層(B)の形成には、適宜な粘着剤を用いることができ、その種類について特に制限はない。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などがあげられる。
これら粘着剤のなかでも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく使用される。このような特徴を示すものとしてアクリル系粘着剤が好ましく使用される。
アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのモノマーユニットを主骨格とするアクリル系ポリマーをベースポリマーとする。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1〜20のものを例示できる。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソミリスチル、(メタ)アクリル酸ラウリル等を例示できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらアルキル基の平均炭素数は3〜9であるのが好ましい。
前記アクリル系ポリマー中には、接着性や耐熱性の改善を目的に、1種類以上の共重合モノマーを共重合により導入することができる。そのような共重合モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどがあげられる。
また、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリンなどのスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミドやN−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミドやN−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、なども改質目的のモノマー例としてあげられる。
さらに改質モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーなども使用することができる。
アクリル系ポリマーは、全構成モノマーの重量比率において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、アクリル系ポリマー中の前記共重合モノマーの割合は、特に制限されないが、前記共重合モノマーの割合は、全構成モノマーの重量比率において、0〜20%程度、0.1〜15%程度、さらには0.1〜10%程度であるのが好ましい。
これら共重合モノマーの中でも、接着性、耐久性の点から、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。これらモノマーは、架橋剤との反応点になる。ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーなどは分子間架橋剤との反応性に富むため、得られる粘着剤層の凝集性や耐熱性の向上のために好ましく用いられる。
共重合モノマーとして、ヒドロキシル基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーを含有する場合、これら共重合モノマーは、前記共重合モノマーの割合で用いられるが、カルボキシル基含有モノマー0.1〜10重量%およびヒドロキシル基含有モノマー0.01〜2重量%を含有することが好ましい。カルボキシル基含有モノマーは、0.2〜8重量%がより好ましく、さらには0.6〜6重量%が好ましい。ヒドロキシル基含有モノマーは、0.03〜1.5重量%がより好ましく、さらには0.05〜1重量%が好ましい。
アクリル系ポリマーの平均分子量は特に制限されないが、重量平均分子量は、30万〜250万程度であるのが好ましい。前記アクリル系ポリマーの製造は、各種公知の手法により製造でき、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択できる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系の各種公知のものを使用できる。反応温度は通常50〜80℃程度、反応時間は1〜8時間とされる。また、前記製造法の中でも溶液重合法が好ましく、アクリル系ポリマーの溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等が用いられる。溶液濃度は通常20〜80重量%程度とされる。
また前記粘着剤は、架橋剤を含有する粘着剤組成物とするのが好ましい。粘着剤に配合できる多官能化合物としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートがあげられる。有機系架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、アジリジン系架橋剤などがあげられる。これら架橋剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。有機系架橋剤としてはイソシアネート系架橋剤が好ましい。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等があげられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等があげられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等があげられる。
アクリル系ポリマー等のベースポリマーと架橋剤の配合割合は特に限定されないが、通常、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、架橋剤(固形分)0.001〜20重量部程度が好ましく、さらには0.01〜15重量部程度が好ましい。前記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤が好ましい。イソシアネート系架橋剤は、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、0.001〜2重量部程度が好ましく、さらには0.01〜1.5重量部程度が好ましい。
さらには、前記粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤を適宜に使用することもできる。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層などとしても良い。
添加剤としては、シランカップリング剤が好適であり、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、シランカップリング剤(固形分)0.001〜10重量部程度が好ましく、さらには0.005〜5重量部程度を配合するのが好ましい。シランカップリング剤としては、従来から知られているものを特に制限なく使用できる。例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミンなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤を例示できる。
粘着剤層(B)は、通常、前記粘着剤の溶液を離型シート上に粘着剤を塗布し、乾燥することにより設けられる。粘着剤の溶液は、例えば、トルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶剤に、前記組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の溶液として調製される。塗布法は、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを採用できる。粘着剤層(B)を設けた離型シートは、これを転写する方法等により利用される
粘着剤層(B)の厚みは、通常、厚み3〜100μm程度であり、好ましくは5〜50μmであり、さらに好ましくは10〜40μmである。
離型シートの構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体等があげられる。離型シートの表面には、粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの低接着性の剥離処理が施されていても良い。
[第二接着剤層]
前記偏光子(P)と粘着剤層(B)とは、第二接着剤層(G2)により積層されている。前記第二接着剤層(G2)を形成する接着剤(G2´)としては、例えば、ポリビニルアルコール系接着剤、イソシアネート系接着剤、シアノアクリート系接着剤またはアジリジン系接着剤が用いられる。
ポリビニルアルコール系接着剤としては、前記第一接着剤層(G1)において説明したものと同様のものを用いることができる。
イソシアネート系接着剤としては、粘着剤層(B)の形成において架橋剤として用いるものがあげられる。イソシアネート系架橋剤としては、少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物を使用できる。たとえば、前記ポリイソシアネート化合物をイソシアネート系架橋剤として使用できる。詳しくは、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メチレンビス4−フェニルイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネートまたはこれらの2量体やイソシアヌル酸トリス(6−インシアネートヘキシル)などの3量体、さらにはこれらのビウレットやトリメチロールプロパンなどの多価アルコールや多価アミンと反応させたものなどがあげられる。またイソシアネート系架橋剤としては、イソシアヌル酸トリス(6−インシアネートヘキシル)などのイソシアネート基を3個以上有するものが好ましい。
なお前記イソシアネート系架橋剤は、末端イソシアネート基に保護基を付与したものを用いることもできる。保護基としてはオキシムやラクタムなどがある。イソシアネート基を保護したものは、加熱することによりイソシアネート基から保護基を解離させ、イソシアネート基が反応するようになる。
さらにイソシアネート基の反応性をあげるために反応触媒を用いることができる。反応触媒は特に制限されないが、スズ系触媒またはアミン系触媒が好適である。反応触媒は1種または2種以上を用いることができる。反応触媒の使用量は、通常、イソシアネート系架橋剤100重量部に対して、5重量部以下で使用される。反応触媒量が多いと、架橋反応速度が速くなり接着剤の発泡が起こる。発泡後の接着剤を使用しても十分な接着性は得られない。通常、反応触媒を使用する場合には、0.01〜5重量部、さらには0.05〜4重量部が好ましい。
スズ系触媒としては、無機系、有機系のいずれも使用できるが有機系が好ましい。無機系スズ系触媒としては、たとえば、塩化第一スズ、塩化第二スズ等があげられる。有機系スズ系触媒は、メチル基、エチル基、エーテル基、エステル基などの骨格を有する脂肪族基、脂環族基などの有機基を少なくとも1つ有するものが好ましい。たとえば、テトラ−n−ブチルスズ、トリ−n−ブチルスズアセテート、n−ブチルスズトリクロライド、トリメチルスズハイドロオキサイド、ジメチルスズジクロライド、ジブチルスズジラウレート等があげられる。
またアミン系触媒としては、特に制限されない。たとえば、キノクリジン、アミジン、ジアザビシクロウンデセンなどの脂環族基等の有機基を少なくとも1つ有するものが好ましい。その他、アミン系触媒としては、トリエチルアミン等があげられる。また前記以外の反応触媒としては、ナフテン酸コバルト、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が例示できる。
イソシアネート系接着剤は、通常、溶液として用いられる。溶液は溶剤系であってもよいし、エマルジョン、コロイド分散液、水溶液等の水系であってもよい。有機溶剤としては、接着剤を構成する成分を均一に溶解すれば特に制限はない。有機溶剤としては、たとえば、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等があげられる。なお、水系にする場合にも、例えば、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類を配合することもできる。水系にする場合には、分散剤を用いたり、イソシアネート系架橋剤に、カルボン酸塩、スルホン酸塩、4級アンモニウム塩等のイソシアネート基と反応性の低い官能基や、ポリエチレングリコール等の水分散性成分を導入することにより行うことができる。
シアノアクリート系接着剤としては、メチル−α−シアノアクリレート、エチル−α−シアノアクリレート、ブチル−α−シアノアクリレート、オクチル−α−シアノアクリレート等のアルキル−α−シアノアクリレート、シクロヘキシル−α−シアノアクリレート、メトキシ−α−シアノアクリレート等があげられる。
アジリジン系接着剤としては、粘着剤層(B)の形成において架橋剤として用いるものがあげられる。アジリジン系架橋剤とは、分子内に2個以上のアジリジン環構造を有する化合物である。このようなアジリジン系架橋剤としては、例えば、ジフェニルメタン−4,4´−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−(2−メチルアジリジン)フォスフィン、及びトリメチロールプロパントリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネートなどがあげられる。その他、1,1´−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ビス−3,3−アジリジル尿素、1,1´−(ヘキサメチレン)ビス−3,3−アジリジル尿素、2,4,6−トリアジリジニル−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパン−トリス−(2−アジリジニルプロピオネート)や、N,N−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス(3−(1−アジリジニル)プロピオネート)などのアジリジン化合物があげられる。アジリジン系接着剤は、イソシアネート系接着剤と同様の使用態様にて用いることができる。
なお、前記接着剤(G2´)には、さらにシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤、各種粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤等を配合することもできる。前記接着剤(G1´)にも同様にこれら安定剤等を配合できる。
前記第二接着剤層(G2)は、当該第二接着剤層(G2)を形成する接着剤(G2´)を固化していない状態で前記偏光子(P)と前記粘着剤層(B)に適用して、これらを貼り合わせた後に固化することにより形成される。前記接着剤(G2´)は、固化前に、偏光子(P)と粘着剤層(B)の貼り合わせに用いられることにより、接着剤中の官能基と、偏光子(P)と粘着剤層(B)の官能基との反応等が効率よく行われ、偏光子(P)と粘着剤層(B)の密着性を向上させたと考えられる。
偏光子(P)と粘着剤層(B)との貼り合わせにあたり、粘着剤層(B)は離型シートに設けたものを通常用いる。前記第二接着剤層(G2)を形成する接着剤(G2´)は、偏光子(P)または粘着剤層(B)のいずれかに供給してもよく、両者に供給してもよい。また、偏光子(P)と粘着剤層(B)の貼り合わせ面に、前記接着剤を供給してもよく、その供給方法は特に制限されない。接着剤(G2´)の供給方法は、たとえば、滴下方法、塗布方法、噴射方法などがあげられる。これら供給方法には、ノズル、スプレー、コーター、ダイ等が適宜に選択して用いられる。なお、接着剤の供給にあたり、接着剤(G2´)は、前記供給を容易に行うことができように、接着剤の種類に応じて、粘度を調製することができる。粘度の調製は、粘着剤を水または有機溶剤により溶解または希釈することにより行うことができる。
前記接着剤(G2´)は、固化後の第二接着剤層(G2)の厚さが、0.01〜5μm程度、好ましくは0.05〜3μm、さらに好ましくは0.1〜1μmになるように行う。第二接着剤層(G2)の厚さは、前記範囲に調整することは均一に塗膜を形成すること、および光学特性への影響の点から好ましい。
また、偏光子(P)と粘着剤層(B)の貼り合わせは、前記接着剤(G2´)が固化しないように、前記接着剤(G2´)の供給から速やかに行う。通常は、前記接着剤(G2´)の供給から5秒間以内、さらには2秒間以内、さらには1秒間以内、さらには0.5秒間以内に貼り合わせを行なうのが好ましい。貼り合わせまでの時間が長すぎると、接着剤が固化してしまうおそれがある。
前記偏光子(P)と粘着剤層(B)を接着剤(G2´)により貼り合せた後には、接着剤を固化して第二接着剤層(G2)を形成される。接着剤(G2´)の固化手段は、接着剤の種類に応じて適宜に選択することができるが、通常は、30〜100℃程度、好ましくは50〜80℃で、0.5〜15分間程度乾燥することにより行う。
前記偏光子(P)と粘着剤層(B)の接着剤(G2´)による貼り合せおよび固化は、連続的に行うことが好ましい。また、前記偏光子(P)と透明保護フィルム(E)との第一接着剤層(G1)による貼り合わせも連続的に行うことが好ましい。また前記貼り合せを偏光子の製造から連続的に行うこともできる。
以下に本発明の粘着型偏光板の製造方法を連続的に製造する場合について、図2A、Bを参酌しながら説明する。なお、図2A、Bでは、第一接着剤層(G1)の形成について、接着剤(G1´)を供給する方法を記載しているが、第一接着剤層(G1)は、予め、透明保護フィルム(E)に形成したものを偏光子(P)に貼り合せてもよい。また、図2A、Bでは、粘着剤層(B)のみを記載しており離型シートの記載は省略しているが、通常は、粘着剤層(B)は離型シート上に設けたものを、当該離型シート側がロール側になるように用いられる。
図2Aは、偏光子(P)の片面と透明保護フィルム(E)の貼り合わせ面に、接着剤(G1´)を供給し、これらを第一ロール(R1)の間を通過させることにより貼り合わせた後、偏光子(P)の他の片面と、粘着剤層(B)の貼り合わせ面に、接着剤(G2´)を供給し、これらを第二ロール(R2)の間を通過させることにより貼り合わせて、第一接着剤層(G1)および第二接着剤層(G2)を形成した場合である。一方、図2Bは、偏光子(P)の片面と透明保護フィルム(E)の貼り合わせ面に、接着剤(G1´)を供給し、偏光子(P)の他の片面と粘着剤層(B)の貼り合わせ面に、接着剤(G2´)を供給し、これらを同時に第一ロール(R1)の間を通過させることにより貼り合わせて、第一接着剤層(G1)および第二接着剤層(G2)を形成した場合である。図2の態様によれば、第一接着剤層(G1)および第二接着剤層(G2)を同時に形成することができ、効率的である。
前記ロールは、偏光子(P)と透明保護フィルム(E)または粘着剤層(B)とが一対のロールを通過する際に、ロール圧によって貼り合わせを行うことができるものであれば特に制限はない。たとえば、ラミネートニップロールが用いられる。また、ロールの材質も特に制限されず、ゴム製、金属製のいずれでもよい。
偏光子(P)と透明保護フィルム(E)または粘着剤層(B)の搬送速度は特に制限されないが、通常、0.03〜1.0m/s程度、好ましくは0.08〜0.8m/s程度、より好ましくは0.11〜0.6m/s程度である。
接着剤(G1´)または接着剤(G2´)の供給量は、第一接着剤層(G1)または第二接着剤層(G2)の厚さ、搬送速度、フィルム幅等を考慮して適宜に調整される。
なお、図2A、Bでは、偏光子(P)と透明保護フィルム(E)または粘着剤層(B)の貼り合わせ面に、接着剤(G1´)または接着剤(G2´)が供給されているが、接着剤(G1´)または接着剤(G2´)の供給箇所は、貼り合わせる前の偏光子(P)、透明保護フィルム(E)または粘着剤層(B)に変更することができる。また、接着剤(G1´)または接着剤(G2´)の供給箇所は複数箇所設けることができる。
[その他の光学層]
(表面処理層の形成)
本発明の粘着型偏光板において、第一接着剤層(G1)により偏光子(P)を貼り合わせていない側の透明保護フィルム(E)には、任意の光学層を追加することができる。このような光学層としては、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものを用いることができる。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止等を目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系等の適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を前記透明保護フィルム(E)の表面に付加する方式等にて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜等の形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層(例えば、バックライト側の拡散板)との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式等の適宜な方式にて前記透明保護フィルム(E)の表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒子径が0.5〜20μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子等の透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜70重量部程度であり、5〜50重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角等を拡大するための拡散層(視角拡大機能等)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、前記透明保護フィルム(E)に設けることができるほか、別途光学層として別体のものとして設けることもできる。
その他に、本発明の偏光板に適用できる光学層の例としては、輝度向上フィルム、反射層、位相差板等が挙げられる。
(輝度向上フィルム)
輝度向上フィルムは、液晶表示装置等のバックライトや裏側からの反射等により自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光又は所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層したものは、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルムで反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示等の画像表示に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、液晶セルのバックライト側に設けられて使用されることが多いが、WO2006/038404号国際公開パンフレットに開示されているように、液晶セルの視認側に設けて使用することもできる。
輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すもの等、適宜なものを用いうる。
(反射層)
本発明の偏光板に反射層を設けることで、反射型偏光板とすることができる。反射型偏光板は、偏光板に視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置等を形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすい等の利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ前記透明保護フィルム(E)を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式等の適宜な方式にて行うことができる。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側(バックライト側)に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置等を形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置等の形成に有用である。
[位相差板]
位相差板としては、高分子素材を一軸又は二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したもの等、前記したものを用いることができる。
このように位相差板が偏光板に積層された積層偏光板の一例として、楕円偏光板又は円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光又は円偏光に変えたり、楕円偏光又は円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板等が用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合等に有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合等に有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型直線偏光板と位相差板を適宜な組み合わせで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組み合わせとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学補償偏光板としたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置等の製造効率を向上させうる利点がある。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差板、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したもの等からなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムや、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルム等が用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたもの等が挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大等を目的とした適宜なものを用いうる。
[光学層の積層]
輝度向上フィルム、反射層、位相差板等の光学層は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にて形成することができるが、予め積層して積層偏光板としたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置等の製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。これらの積層においては、各光学層の光学軸(位相差フィルムの遅相軸や、偏光子の吸収軸等)は目的とする位相差特性等に応じて適宜な配置角度とすることができる。
(粘着層)
各光学層の積層には粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性等に優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性等の点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
なお本発明において、上記の粘着型偏光板を形成する偏光子や、透明保護フィルムやその他の光学層、接着剤、粘着層等の各層は、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式等の方式により紫外線吸収能をもたせたもの等であってもよい。
[画像表示装置]
本発明の粘着型偏光板は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の画像表示装置の形成に好ましく用いることができる。
(液晶表示装置)
液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板、及び必要に応じて、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライト等の適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置し、駆動回路を組込むこと等により形成される。液晶表示装置の形成においては、本発明による粘着型偏光板またを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型等の任意なタイプのものを用いうる。
本発明の粘着型偏光板は液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に粘着型偏光板を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
[液晶表示装置の形成方法]
[従来の液晶表示装置の形成方法]
ところで、液晶表示装置や有機EL表示装置等の画像表示装置の形成にあたり、本発明の粘着型偏光板のように、偏光子(P)の片面のみに透明保護フィルム(E)が積層されている構成の場合、透明保護フィルム(E)が積層されている側の主面と他方の主面では、偏光子(P)のフィルム界面に付与される応力が異なる場合がある。すなわち、偏光子(P)の表裏で層構造が異なるため、偏光子に付与される外部応力がフィルムの表裏で異なる場合がある。この外部応力の差によって、フィルムは湾曲性を有しやすい。このように湾曲しやすいフィルムは、従来の製造工程では、以下に示すように、画像表示装置に加工することが困難であった。
従来の画像装置の製造工程は、図3に概念的に示すように、光学フィルム製造メーカにおける製造工程と、パネル加工メーカにおける製造工程に大別される。まず、光学フィルム製造メーカでは、偏光板等の光学フィルムを長尺(帯状)のシート状製品のロール原反として製造する(#1)。次いで、ロール原反を所定サイズ(光学表示ユニットのサイズに従ったサイズ)にスリットする(#2)。次いで、スリットされた長尺の原反を、液晶セルや有機ELパネル等、貼り合わされる光学表示ユニットのサイズに合わせて定尺切断する(#3)。次いで、定尺切断された枚葉のシート状製品(光学フィルム)を外観検査する(#4)。この検査方法としては、例えば、目視による欠点検査、公知の欠点検査装置を用いた検査が挙がられる。欠点は、例えば、表面又は内部の汚れ、傷、異物をかみ込んだ打痕状欠陥、凹凸欠陥、気泡、異物等を意味している。次いで、完成品検査をする(#5)。完成品検査は、外観検査よりも良品判定の厳しい品質基準に従った検査である。次いで、枚葉のシート状製品の4方の端面を端面加工する(#6)。これは、輸送中において、端面から粘着剤等がはみださないように防止するために行なわれる。次いで、クリーンルーム環境において、枚葉のシート状製品をクリーン包装する(#7)。次いで、輸送のために包装(輸送梱包)する(#8)。以上のようにして枚葉のシート状製品が製造され、パネル加工メーカに輸送される。
パネル加工メーカでは、輸送されてきた枚葉のシート状製品を梱包解体する(#11)。次いで、輸送中あるいは梱包解体時に生じた傷、汚れ等を検査するために外観検査をする(#12)。検査で良品判定された枚葉のシート状製品は、次工程に搬送される。なお、この外観検査を省略する場合もある。枚葉のシート状製品が貼り合わされる光学表示ユニット(例えば、液晶セルが封入されたガラス基板ユニットである液晶セル)は、予め製造され、光学表示ユニットは貼り合わせ工程の前に洗浄される(#13)。
次いで、枚葉のシート状製品と光学表示ユニット(液晶セル)を貼り合わせる(#14)。枚葉のシート状製品から粘着剤層を残して離型フィルムが剥離され、粘着剤層を貼り合わせ面として光学表示ユニットの一方の面に貼り合わせる。さらに、光学表示ユニットの他方の面にも同様に貼り合わせることができる。両者に貼り合わせる場合、光学表示ユニットのそれぞれの面には、同一構成の光学フィルムが貼り合わせるように構成されてもよく、異なる構成の光学フィルムが貼り合わされるように構成されていてもよい。次いで、貼り合わせた状態の検査及び欠点検査を行なう(#15)。この検査で良品判定された光学表示ユニットは、実装工程に搬送され、画像表示装置に実装される(#16)。一方、不良品判定された光学表示ユニットは、リワーク処理が施される(#17)。リワーク処理で、光学表示ユニットから光学フィルムが剥離される。リワーク処理された光学表示ユニットは、新たに光学フィルムが貼り合わされる(#14)。
以上のような従来の製造工程を、湾曲しやすいフィルムに適用した場合、偏光板がロール状で存在する(#1)、(#2)の工程においては、搬送ライン間に掛け渡されているために、その張力によって湾曲挙動が抑制されている。しかしながら、これを定尺切断(#3)すると、偏光板の湾曲挙動を抑制していた張力が開放されるため、湾曲が生じ、外観検査(#4)〜液晶セルとの貼り合わせ(#14)におけるハンドリングが困難となる。さらには、従来の製造工程の場合は、上記の湾曲性によるハンドリングの問題に加えて、検査、梱包等多工程であるため、製造コストが上昇するという問題もあった。
[連続方式による製造方法]
このような長尺のロール状に形成されたフィルムを、張力の存在下で繰り出しながら連続的に液晶セルに貼合することで、湾曲が抑制され、かかる問題を解決し得る。すなわち、従来、光学フィルム製造メーカとパネル加工メーカで別に行っていた定尺切断(#3)と液晶セルへの貼り合わせ(#14)を1箇所で連続的に行うことによって、外観検査(#4)。完成品検査(#5)、端面加工(#6)、クリーン包装(#7)輸送梱包(#8)、梱包解体する(#11)、外観検査(#12)が不要となる上に、湾曲によるハンドリング性の問題も解決することができる。
このような連続方式による画像表示装置の形成は、本発明の偏光板の長尺シートをロール原反として準備するロール原反準備工程と、該ロール原反からシート製品を繰り出し、切断手段を用いて前記偏光板を所定サイズに切断する切断工程と、該切断工程後に、前記偏光板を粘着剤層を介して光学表示ユニットに貼り合わせる貼合工程とを有する。その一例について以下に示す。
[連続方式による実施形態1(通常の切断方式)]
(1)第1ロール原反準備工程(図4、S1)
長尺に成形された本発明の偏光板を第1ロール原反として準備する。この偏光板は透明保護フィルム(E)と偏光子(P)とが積層された第1光学フィルム11と、第1粘着層14と、第1離型フィルム12とを有している。なお、第1光学フィルム11は、透明保護フィルムと偏光子以外の光学層を含んでいてもよい。また、第1光学フィルム11は、第1光学フィルム11の偏光子(P)側の面に、第1粘着層14と第1離型フィルム12とを有する。
(2)第1切断工程(図4、S2)
次いで、準備され設置された第1ロール原反から第1シート製品を繰り出し、切断手段を用いて前記第1離型フィルム12を切断せずに前記第1光学フィルム11及び前記第1粘着剤層14を所定サイズに切断する。これにより、第1離型フィルム12を切断せずに第1光学フィルム11と第1粘着剤層14を切断することができる。よって、第1離型フィルム12上に第1粘着剤層14を介して第1光学フィルム11が形成されたままであるため、第1光学フィルム11が湾曲することがない。切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。
(3)第1光学フィルム貼合工程(図4、S3)
次いで、第1切断工程後に、前記第1離型フィルム12を除去しながら、当該第1離型フィルム12が除去された第1光学フィルム11を前記第1粘着剤層14を介して光学表示ユニットAに貼り合わせる。よって、第1離型フィルム12を剥離しても第1光学フィルム11の湾曲が抑制された状態で、第1光学フィルム11を光学表示ユニットAに貼り合わせることができる。光学表示ユニットAとしては、例えば、液晶セルのガラス基板ユニット、有機EL発光体ユニット等が挙げられる。また、光学表示ユニットAは、貼り合わせ前に予め洗浄処理されている。
これら、第1ロール原反準備工程、第1切断工程、第1光学フィルム貼合工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行されている。以上の一連の製造工程では、光学表示ユニットAの一方面に第1光学フィルム11を貼り合わせたものである。以下では、その他面に第2光学フィルム21を貼り合わる製造工程について説明する。
(4)第2ロール原反準備工程(図4、S4)
長尺の第2シート製品2を第2ロール原反として準備する。第2シート製品2の積層構造は、前記第1光学フィルムの場合と同様に、第2光学フィルム21と、第2粘着層24と、第2離型フィルム22とを有している。なお、第2光学フィルムとしては、任意の光学フィルムを用い得るが、偏光子を含む偏光板であることが好ましい。
(5)第2切断工程(図4、S5)
次いで、準備され設置された第2ロール原反から第2シート製品を繰り出し、前記第1光学フィルムの場合と同様に、第2離型フィルム22を切断せずに第2光学フィルム21及び前記第2粘着剤層24を所定サイズに切断する。
(6)第2光学フィルム貼合工程(図4、S6)
次いで、第2切断工程後に、前記第2離型フィルム22を除去しながら、当該第2離型フィルム22が除去された第2光学フィルム21を、前記第2粘着剤層24を介して、光学表示ユニットAの第1光学フィルム11が貼り合わされている面と異なる面に貼り合わせる。よって、第2離型フィルム22を剥離しても第2光学フィルム21の湾曲が抑制された状態で、第2光学フィルム21を光学表示ユニットAに貼り合わせることができる。これによって、光学表示ユニットAの一方面に第1光学フィルム11が、その他面に第2光学フィルム21が貼り合わされ、両面に光学フィルムが設けられた光学表示ユニットを製造することができる。
そして、第1ロール原反準備工程、第1切断工程、第1光学フィルム貼合工程、第2ロール原反準備工程、第2切断工程、第2光学フィルム貼合工程のそれぞれの工程を連続した製造ラインで実行する。
(7)検査工程
さらに、連続工程として、検査工程(図4、S7)を有することが好ましい。検査工程としては、貼り合わせ状態を検査する検査工程と、貼り合わせ後の欠点を検査する検査工程が例示されるが、いずれか一方のみの検査でもよいが、両方の検査を行なうことが好ましい。
(8)実装工程
検査工程において、良品判定された光学表示ユニットAは、画像表示装置に実装される。不良品判定された場合、リワーク処理が施され、新たに光学フィルムが貼られ、次いで検査され、良品判定の場合、実装工程に移行し、不良品判定の場合、再度リワーク処理に移行するかあるいは廃棄処分とする。
なお、上記に示した実施形態においては、第1光学フィルム11として本発明の偏光板を用いたが、第2光学フィルム21として本発明の偏光板を用いることもできる。また、第1光学フィルム11、第2光学フィルム21の両方に本発明の偏光板を用いることもできる。
[連続方式による実施形態2(スキップカット方式)]
次に、上記の通常の方式による切断の実施形態における第1切断工程及び第2切断工程の実施態様を変形させた、スキップカット方式による切断の実施形態について説明する。
第1及び第2ロール原反の幅方向の一方の端部には、所定ピッチ単位(例えば1000mm)に第1、第2シート状製品の欠点情報(欠点座標、欠点の種類、サイズ等)がコード情報(例えばQRコード、バーコード)として付されている場合がある。このような場合、切断する前段階で、このコード情報を読み取り、解析して欠点部分を避けるように、第1、第2切断工程において所定サイズに切断する(スキップカットと称することがある)。そして、欠点を含む部分は除去あるいは光学表示ユニットではない部材に貼り合わせるように構成し、所定サイズに切断された良品判定の枚葉のシート状製品を光学表示ユニットに貼り合わされるように構成する。これにより、光学表示ユニットの歩留まりを大幅に向上し、リワーク処理(#17)を要する頻度を下げることができる。図5にこの切断方法(スキップカット方式)を適用した画像表示装置の製造方法のフローチャートを示す。
(1)第1ロール原反準備工程(図5、S1)
前記通常の切断方式の場合と同様に、第1粘着層14、及び第1離型フィルム12とを備えた本発明の偏光板を第1ロール原反として準備する。
(2)第1離型フィルム除去工程(図5、S61)
次いで、準備され設置された第1ロール原反から第1シート製品を繰り出し、前記第1離型フィルム12を除去する。第1離型フィルム12の除去方法としては、例えば、剥離したフィルムをロールに巻くようにして連続的に剥離する方法、所定サイズ単位に第1離型フィルムのみをカットし粘着テープで剥離除去する方法、その他工程の除去方法等が挙げられる。
(3)第1欠点検査工程(図5、S62)
次いで、第1離型フィルム除去工程後に、欠点検査をする。第1離型フィルム12に付着若しくは内在する異物やキズ等の欠点、或いは第1離型フィルムに内在する位相差を考慮する必要がなく、第1光学フィルム11の欠点検査を行なえる。欠点検査は公知の方法が適用できる。
(4)第2離型フィルム貼合工程(図5、S63)
次いで、第1欠点検査工程跡に、第2離型フィルム12aを、前記第1粘着財層14を介して、前記第1光学フィルム11に貼り合わせる。貼り合わせに際し、気泡等の泡がみが生じないように行なうことが、平面性維持のため好ましい。
(5)第1切断工程(図5、S64)
次いで、第2離型フィルム貼合工程後に、切断手段を用いて前記第2離型フィルム12aを切断せずに前記第1光学フィルム11及び前記第1粘着剤層14を所定サイズに切断する。これにより、第2離型フィルム12aを切断せずに第1光学フィルム11と第1粘着剤層14を切断することができる。よって、第2離型フィルム12a上に第1粘着剤層14を介して第1光学フィルム11が形成されたままであるため、第1光学フィルム11が湾曲することがない。切断手段としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。
(6)第1光学フィルム貼合工程(図5、S65)
次いで、 前記通常の切断方式の場合と同様に前記第2離型フィルム12aを除去しながら、第1光学フィルム11を光学表示ユニットAに貼り合わせる。
これら、第1ロール原反準備工程、第1離型フィルム除去工程、第1欠点検査工程、第2離型フィルム貼合工程、第1切断工程、第1光学フィルム貼合工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行される。以上の一連の製造工程では、光学表示ユニットAの一方面に第1光学フィルム11を貼り合わせたものである。
(7)第2ロール原反準備工程(図5、S4)
長尺の第2シート製品2を第2ロール原反として準備する。第2シート製品2の積層構造は、前記第1光学フィルムの場合と同様に、第2光学フィルム21と、第3離型フィルム22と、表面保護フィルム23とを有する。
(8)第3離型フィルム除去工程(図5、S66)
次いで、準備され設置された第2ロール原反から第2シート製品を繰り出し、前記第1光学フィルムの場合と同様に、前記第3離型フィルム22を除去する。
(9)第2欠点検査工程(図5、S67)
次いで、第3離型フィルム除去工程後に、前記第1光学フィルムの場合と同様にして、欠点検査をする。
(10)第4離型フィルム貼合工程(図5、S68)
次いで、第2欠点検査工程後に、前記第1光学フィルムの場合と同様にして、第4離型フィルム22aを、前記第2粘着剤層24を介して、前記第2光学フィルム21に貼り合わせる。
(11)第2切断工程(図5、S69)
次いで、第4離型フィルム貼合工程後に、前記第1光学フィルムの場合と同様にして、切断手段を用いて前記第4離型フィルム22aを切断せずに前記第2光学フィルム21及び前記第2粘着剤層24を所定サイズに切断する。
(12)第2光学フィルム貼合工程(図5、S70)
次いで、第2切断工程後に、前記通常の切断方式の場合と同様にして、前記第4離型フィルム22aを除去しながら、当該第4離型フィルム22aが除去された第2光学フィルム21を、前記第2粘着剤層24を介して、光学表示ユニットAの第1光学フィルム11が貼り合わされている面と異なる面に貼り合わせる。
そして、第1ロール原反準備工程、第1離型フィルム除去工程、第1欠点検査工程、第2離型フィルム貼合工程、第1切断工程、第1光学フィルム貼合工程、第2ロール原反準備工程、第3離型フィルム除去工程、第2欠点検査工程、第4離型フィルム貼合工程、第2切断工程、第2光学フィルム貼合工程のそれぞれの工程は連続した製造ラインで実行する。
(13)検査工程
さらに、連続工程として、前記通常の切断方式の場合と同様に検査工程(図5、S7)を有することが好ましい。
(14)実装工程
検査工程において、良品判定された光学表示ユニットAは、画像表示装置に実装される。不良品判定された場合、リワーク処理が施され、新たに光学フィルムが貼られ、次いで検査され、良品判定の場合、実装工程に移行し、不良品判定の場合、再度リワーク処理に移行するかあるいは廃棄処分とする。
[連続方式による画像表示装置の製造に好適な製造システム]
以下に、前記実施形態1(スキップカット方式による切断工程を含む製造方法)を実現する実施形態の一例について、図6AおよびBに製造システムの概略構成を示す。
図6A、6Bに示すように、製造システムは第1光学部材を基板に貼り合わせる第1製造部と、第1光学部材が貼り合された基板面と異なる面に第2光学部材を貼り合わせる第2製造部を有している。
第1製造部は、長尺の第1シート製品1の第1ロール原反を設置する第1設置手段と、第1ロール原反から第1シート製品1を繰り出し、搬送する第1搬送手段と、搬送されてきた第1シート製品1から第1離型フィルムを除去する第1離型フィルム除去手段と、第1離型フィルム除去後に、欠点検査をする第1欠点検査手段と、第1欠点検査後に、第2離型フィルムを第1粘着剤を介して第1シート製品1に貼り合せる第2離型フィルム貼合手段と、第2離型フィルムを貼り合せた後に、当該第2離型フィルムを残して、第1シート製品1の他の部材を切断する第1切断手段と、第1切断処理後に、第2離型フィルムを除去しながら、切断された第1シート製品1の他の部材を、第1粘着剤を介して基板に貼り合せる第1貼合手段と、それぞれの手段を連動させるように制御する第1制御手段とを有している。
第2製造部は、長尺の第2シート製品2の第2ロール原反を設置する第2設置手段と、第2ロール原反から第2シート製品2を繰り出し、搬送する第2搬送手段と、搬送されてきた第2シート製品2から第3離型フィルムを除去する第3離型フィルム除去手段と、第3離型フィルム除去後に、欠点検査をする第2欠点検査手段と、第2欠点検査後に、第4離型フィルムを第2粘着剤を介して第2シート製品2に貼り合せる第4離型フィルム貼合手段と、第4離型フィルムを貼り合せた後に、当該第4離型フィルムを残して、第2シート製品2の他の部材を切断する第2切断手段と、第2切断処理後に、第4離型フィルムを除去しながら、切断された第2シート製品2の他の部材を、第2粘着剤を介して、基板の第1光学部材が貼り合わされている面と異なる面に貼り合せる第2貼合手段と、それぞれの手段を連動させるように制御する第2制御手段とを有している。
第1製造部と第2製造部はそれぞれ単独に駆動されてもよいが、それぞれが連動するように駆動されてもよい。第1制御手段と第2制御手段によって、一連の処理工程を連動して駆動制御するように構成できる。なお、上記実施形態1のように、スキップカットを採用しない通常の方式による製造方法では、離型フィルム除去手段、欠点検査手段、離型フィルム貼合手段が省略された構成を採用することができる。
(第1製造部)
第1設置手段301は、長尺の第1シート製品1の第1ロール原反を設置し、自由回転あるいは一定の回転速度で回転するようにモータ等と連動されたローラ架台装置で構成される。第1制御手段によって回転速度が設定され、駆動制御される。
第1搬送手段302は、第1ロール原反から第1シート製品1を繰り出し、各処理工程に第1シート製品1を搬送する。各工程の要所において、テンションコントロールを設置する。第1搬送手段302は、第1制御手段307によって制御されている。
第1離型フィルム除去手段は、搬送されてきた第1シート製品1から第1離型フィルムを剥離除去し、ロール状に巻き取る構成である。ロールへの巻取り速度は第1制御手段によって制御されている。剥離機構(図6B参照)としては、先端が先鋭なナイフエッジを有し、このナイフエッジに第1離型フィルムを巻き掛けて反転移送することにより、第1離型フィルムを剥離除去すると共に、第1離型フィルムを剥離した後の第1シート製品1を搬送方向に搬送するように構成される。
第1欠点検査手段303は、第1離型フィルム除去後に、欠点検査をする。第1欠点検査手段303はCCDカメラあるはCMOSカメラであり、取得された画像データは第1制御手段に送信される。第1制御手段は、画像データを解析し、欠点を検出し、さらにその位置座標を算出する。この欠点の位置座標は、後述の第1切断手段によるスキップカットに提供される。
第2離型フィルム貼合手段は、第1欠点検査後に、第2離型フィルムを第1粘着剤を介して第1シート製品に貼り合せる。図6Aに示すように、第2離型フィルムのロール原反から第2離型フィルムを繰り出し、1または複数のローラ対で、第2離型フィルムと第1シート製品を挟持し、当該ローラ対で所定の圧力を作用させて貼り合わせる。ローラ対の回転速度、圧力制御、搬送制御は、第1制御手段によって制御される。
第1切断手段304は、第2離型フィルムを貼り合せた後に、当該第2離型フィルムを残して、第1シート製品1の他の部材を切断する。第1切断手段304は、レーザ装置である。第1欠点検査処理で検出された欠点の位置座標に基づいて、第1切断手段304は、欠点部分を避けるように所定サイズに切断する。すなわち、欠点部分を含む切断品は不良品として後工程で排除される。あるいは、第1切断手段304は、欠点の存在を無視して、連続的に所定サイズに切断してもよい。この場合、後述の貼り合せ処理において、当該部分を貼り合せずに除去あるいは仮板ユニットに貼り合わせるように構成できる。この場合の制御も第1制御手段の機能による。
また、第1切断手段304は、第1シート製品1を裏面から吸着保持する保持テーブルを配置し、レーザ装置を第1シート製品1の上方に備える。第1シート製品1の幅方向にレーザを走査させるように水平移動し、最下部の第2離型フィルムを残して、表面保護フィルム、粘着剤層、第1光学部材、第1粘着剤をその搬送方向に所定ピッチで切断する。また、このレーザ装置は、第1シート製品1の幅方向から挟むようにして、切断部位に向けて温風を吹き付けるエアーノズルと、この温風により搬送される切断部位から発生したガス(煙)を集煙する集煙ダクトとが対向した状態で一体構成されていることが好ましい。第1シート製品1を保持テーブルで吸着する場合に、その下流側と上流側の第1シート製品1の連続搬送を停止しないように、搬送機構の段差ローラ302a、302bは上下垂直方向に移動するように構成されている。この動作も第1制御手段の制御による。
第1貼合手段は、第1切断処理後に、第2離型フィルムを除去しながら、上記で切断された第1シート製品1の他の部材を、第1粘着剤を介して基板Wに貼り合せる。図6Bに示すように、貼り合せる場合に、押さえローラ305および案内ローラ3051によって、第1シート製品1を基板W面に圧接しながら貼り合わせる。押さえローラ305の押さえ圧力、動作は、第1制御手段によって制御される。剥離機構としては、先端が先鋭なナイフエッジN1を有し、このナイフエッジN1に第2離型フィルムH1を巻き掛けて反転移送することにより、第2離型フィルムH1を剥離除去すると共に、第2離型フィルムH1を剥離した後の第1シート製品1を基板W面に送り出すように構成される。この際に、第2離型フィルムH1に150N/m以上1000N/m以下の張力をかけた状態および/または、第1シート製品1を第2離型フィルムH1が除去されてから基板W面に圧接するまでの時間を3秒以内で行なうことにより、第1シート製品1の貼り合わせ精度を向上させることができる。張力が150N/mより小さいと第1シート製品1の送り出し位置が安定せず、1000N/mより大きいと第2離型フィルムH1が伸びて破断するおそれがあり、圧接するまでの時間が3秒よりも長いと、第2離型フィルムH1から剥離された第1シート製品1端部が湾曲して折れや気泡が発生するおそれがある。貼合せ機構としては、押さえロ一ラ305とそれに対向して配置される案内ローラ3051とから構成されている。案内ローラ3051は、モータ駆動されるゴムローラで構成され、その直上方にはモータ駆動される金属ローラからなる押さえローラ305が昇降可能に配備されており、基板Wを貼合せ位置に送り込む際には押さえローラ305はその上面より高い位置まで上昇されてローラ間隔を開けるようになっている。なお、案内ローラ3051および押さえローラ305は、いずれもゴムローラであってもよいし金属ローラであってもよい。基板Wは予め洗浄され、ストックされている。吸着搬送手段306によって、搬送機構に配置される。この制御も第1制御手段の制御による。
(第2製造部)
第2製造部の各工程において、第2設置手段、第2搬送手段、第3離型フィルム除去手段、第2欠点検査手段、第4離型フィルム貼合手段、第2切断手段、第2貼合手段は、第1製造部の対応する手段と同様の構成であるため、説明は省略する。
第1製造部において製造された基板W1が第2製造部に搬送される。搬送過程において、或いは第2製造部において、基板W1は上下反転される。上下反転手段(不図示)は、上面から吸着手段で基板W1を吸着し、持ち上げ、上下を反転させて、搬送機構に再度配置させるように構成される。この制御は第2制御手段の機能による。なお、別実施形態として、上下反転処理を行なわない構成も可能である。この場合、第2製造部において、第2シート製品2を通常と異なり、反転させた状態で(離型フィルムが上面となるようにして)各工程を処理し、第2光学部材を基板W1の下側から貼り合わせるように構成される。なお、第2光学部材を第1光学部材と90°の関係(クロスニコルの関係)に貼り合わせる場合は、基板W1を90°回転させてから第2光学部材が貼り合わされる。
第1制御手段、第2制御手段は、各工程の上記手段を連動するように制御する。それぞれの動作タイミングは、所定の位置にセンサを配置したり、搬送機構の回転部材をロータリーエンコーダ等で検出するようにして算出される。第1、第2制御手段は、ソフトウエアプログラムとCPU、メモリ等のハードウエア資源との協同作用によって実現されてもよく、この場合プログラムソフトウエア、処理手順、各種設定等はメモリが予め記憶されている。また、専用回路やファームウエア等で構成できる。
(別実施形態)
上記実施例では、欠点部分を含むシート製品は、仮板ユニットに貼り合わせて回収していたが、帯状のセパレータに貼り合わせて巻取り回収するように構成してもよい。
欠点検査は公知の欠点検査方法が適用できる。欠点検査方法としては、例えば、自動検査装置及び検査者による目視検査が挙げられる。自動検査装置は、シート製品の欠点(欠陥とも称される)を自動で検査する装置であり、光を照射し、その反射光像や透過光像をラインセンサーや2次元TVカメラなどの撮像部を介して取得し、取得された画像データに基づいて、欠点検出を行う。また、光源と撮像部の間の光路中に検査用偏光フィルタを介在させた状態で画像データを取得する。通常、この検査用偏光フィルタの偏光軸(例えば、偏光吸収軸)は、検査対象である偏光板の偏光軸(例えば、偏光吸収軸)と直交する状態(クロスニコル)となるように配置される。クロスニコルに配置することで、仮に欠点が存在しなければ撮像部から全面黒の画像が入力されるが、欠点が存在すれば、その部分が黒にならない(輝点として認識される)。従って、適宜のしきい値を設定することで、欠点を検出することができる。このような輝点検出では、表面付着物、内部の異物等の欠点が輝点として検出される。また、この輝点検出のほかに、対象物に対して透過光画像をCCD撮像し画像解析することで異物検出する方法もある。また、対象物に対して反射光画像をCCD撮像し画像解析することで表面付着異物を検出する方法もある。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に示した実施例に制限されるものではない。
[偏光子の作成]
平均重合度2700、厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを周速の異なるロール間で染色しながら延伸搬送した。まず、30℃の水浴中に1分間浸漬させてポリビニルアルコールフィルムを膨潤させつつ搬送方向に1.2倍に延伸した後、30℃のヨウ化カリウム濃度0.03重量%、ヨウ素濃度0.3重量%の水溶液中で1分間浸漬することで、染色しながら、搬送方向に、全く延伸していないフィルム(原長)を基準として3倍に延伸した。次に、60℃のホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%の水溶液中に30秒間浸漬しながら、搬送方向に、原長基準で6倍に延伸した。次に、得られた延伸フィルムを70℃で2分間乾燥することで偏光子を得た。なお、偏光子の厚みは30μm、水分率は14.3重量%であった。
[透明保護フィルムに適用する接着剤]
アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度1200、ケン化度98.5%モル%、アセトアセチル基変性度5モル%)100重量部に対して、メチロールメラミン50重量部を30℃の温度条件下で純水に溶解し、固形分濃度3.7重量%の水溶液を調製した。この水溶液100重量部に対して、正電荷を有するアルミナコロイド(平均粒子径15nm)を固形分濃度10重量%で含有する水溶液18重量部を加えて金属コロイド含有接着剤水溶液を調製した。接着剤溶液の粘度は9.6mPa・sであり、pHは4〜4.5の範囲であり、アルミナコロイドの配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して74重量部であった。なお、アルミナコロイドの平均粒子径は、粒度分布計(日機装製、製品名「ナノトラックUAP150」により、動的光散乱法(光相関法)により測定したものである。
[粘着剤層の形成]
<アクリル系ポリマーの調製>
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル100部、アクリル酸3部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.1部および2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.3部を酢酸エチルと共に加えて溶液を調製した。次いで、この溶液に窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、55℃で8時間反応させて、重量平均分子量220万のアクリル系ポリマーを含有する溶液を得た。さらに、このアクリル系ポリマーを含有する溶液に、酢酸エチルを加えて固形分濃度を30%に調整したアクリル系ポリマー溶液を得た。
前記アクリル系ポリマー溶液の固形分100部に対して、架橋剤として、0.5部のイソシアネート基を有する化合物を主成分とする架橋剤(日本ポリウレタン(株)製,商品名「コロネートL」)と、シランカップリング剤として、0.075部のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製,商品名「KMB−403」)とをこの順に配合して、粘着剤溶液を調製した。上記粘着剤溶液を、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)からなる離型シートの表面に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、乾燥して、粘着剤層を形成した。
[透明保護フィルム]
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製の商品名「TD−TAC」)を用いた。
実施例1
[偏光板の作成]
上記透明保護フィルムの片面に、上記接着剤を、乾燥後の接着剤層厚みが80nmとなるように塗布したものを、当該接着剤層を介して、上記偏光子の片面に、ロール機を用いて貼り合わせ、70℃で6分間乾燥し、片面にのみ透明保護フィルムを有する偏光板を作成した。
[粘着剤層に適用する接着剤]
イソシアネート系接着剤として、アクアネート200(日本ポリウレタン工業(株)製)を水で10重量%となるように希釈した溶液を用いた。
[粘着型偏光板の作成]
上記偏光板の偏光子の面(透明保護フィルムが設けられていない偏光子面)に、上記イソシアネート系接着剤を、グラビアコーターにて乾燥後の厚さが0.8μmになるように塗布した。その直後、上記離型シートの剥離処理面に形成した粘着剤層を貼り合わせた後、70℃で5分間乾燥し、前記接着剤を固化して、粘着型偏光板を作成した。
実施例2
実施例1において、粘着剤層に適用する接着剤として、イソシアネート系接着剤の代わりに、透明保護フィルムに適用する接着剤として用いた、ポリビニルアルコール系接着剤溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着型偏光板を作成した。
実施例3
[粘着剤層に適用する接着剤]
シアノアクリレート系接着剤として、アロンアルファ(東亜合成(株)製)を用いた。
[粘着型偏光板の作成]
実施例1で得られた偏光板の偏光子の片面(透明保護フィルムが設けられていない偏光子面)に、上記シアノアクリレート系接着剤を、スロットダイにて乾燥後の厚さが1μmになるように塗布した。その直後、上記離型シートの剥離処理面に形成した粘着剤層を貼り合わせた後、70℃で5分間乾燥し、前記接着剤を固化して、粘着型偏光板を作成した。
比較例1
[粘着型偏光板の作成]
実施例1で得られた偏光板の偏光子の面(透明保護フィルムが設けられていない偏光子面)に、上記離型シートの剥離処理面に形成した粘着剤層を貼り合わせて、粘着型偏光板を作成した。
比較例2
[粘着型偏光板の作成]
上記偏光板の偏光子の面(透明保護フィルムが設けられていない偏光子面)に、ウレタン系下塗り剤(東洋ゴム工業(株)製,ソフランプライマーU‐006)を、グラビアコーターにて乾燥後の厚さが0.2μmになるように塗布した後、70℃で5分間乾燥させて、偏光子面に下塗り層を形成した。当該下塗り層に、上記離型シートの剥離処理面に形成した粘着剤層を移着させて、粘着型偏光板を作成した。
比較例3
[粘着型偏光板の作成]
上記偏光板の偏光子の面(透明保護フィルムが設けられていない偏光子面)に、ポリビニルアルコール系下塗り剤(電気化学工業(株)製,デンカポバールB‐17)を、グラビアコーターにて乾燥後の厚さが0.2μmになるように塗布した後、70℃で5分間乾燥させて、偏光子面に下塗り層を形成した。当該下塗り層に、上記離型シートの剥離処理面に形成した粘着剤層を移着させて、粘着型偏光板を作成した。
上記実施例および比較例で得られた粘着型偏光板について下記評価を行った。結果を表1に示す。
(糊残り)
上記粘着型偏光板を25mm×150mmの大きさにカットし、これの粘着剤層面を、清浄なガラス板(5cm×5cm)上に貼り合わせ、23℃/50%RHの環境下、60℃/92%RHの環境下、および80℃の環境下の各環境下に100時間放置した後に、ガラス板より粘着型偏光板を剥離した。剥離後のガラス表面への糊残りを肉眼及び光学顕微鏡(50倍)で観察し、以下の基準で評価した。
○:肉眼及び顕微鏡観察にて糊残りなし。
△:肉眼観察では糊残りなし。顕微鏡観察では糊残り有り。
×:肉眼及び顕微鏡観察にて糊残り有り。