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JP5178673B2 - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電解質膜の両側に一対の電極を配設した電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される固体高分子型燃料電池に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、一対のセパレータによって挟持した発電ユニットを備えている。この種の燃料電池は、通常、所定の数(例えば、数百)の発電ユニットを積層することにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
上記の燃料電池では、燃料ガス流路を介してアノード側電極に供給された燃料ガス(例えば、主に水素を含有するガス)と、酸化剤ガス流路を介してカソード側電極に供給された酸化剤ガス(例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気)との電気化学反応により、電力が得られている。
このため、燃料電池の発電時に、カソード側電極には水が生成される一方、アノード側電極には前記水の逆拡散が惹起されている。従って、酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路は、特にそれぞれの下流側に結露水が滞留し易く、電極端部と水滞留部とが重なる領域では、電解質膜が著しく膨潤してカソード側電極への燃料ガスのクロスリークが増大し、前記電解質膜が劣化するおそれがある。
そこで、例えば、特許文献1に開示された燃料電池のセルが知られている。この燃料電池のセルは、電解質膜と、該電解質膜の一面に接合されて空気が供給されるカソード極と、該電解質膜の他面に接合されて燃料が供給されるアノード極とを有する膜電極接合体と、該カソード極側に空気室を形成するとともに、該アノード極側に燃料室を形成するように該膜電極接合体を挟持する対をなす導電性材料製のセパレータとを備えている。
そして、空気室及び燃料室の少なくとも一方の出口には、連通面積が絞られた絞り部が設けられている。従って、空気室では、出口で空気の流速が大きくなり、空気室内の水滴を好適に排除するため、セルでは、動作条件が異なっても、カソード極への空気の供給が阻害され難く、これによってカソード極全体が好適に反応し、セル電圧が安定する、としている。
特開2007−234352号公報
しかしながら、上記の特許文献1では、空気室及び燃料室の少なくとも一方の出口に絞り部が設けられるため、この絞り部で圧損が増大し、燃料電池システムとしての効率が低下してしまう。しかも、構成が複雑化し、製造コストが高騰するという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単且つ経済的な構成で、反応ガス流路の水滞留部が電極端部と重なることを阻止することができ、電解質膜の劣化を可及的に阻止することが可能な固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、電解質膜の一方の側にアノード側電極が配設されるとともに、前記電解質膜の他方の側にカソード側電極配設された電解質膜・電極構造体が、縦長形状を有する一対のセパレータ間に挟持されて水平方向に積層される固体高分子型燃料電池に関するものである。
一対のセパレータは、水平方向の面で切った断面が断面凹凸形状に形成され、一方の前記セパレータのセパレータ面に沿って重力方向に燃料ガスを流通させる燃料ガス流路と、前記燃料ガス流路の下端に連通し、複数のエンボスを有する出口バッファ部と、他方の前記セパレータのセパレータ面に沿って重力方向に酸化剤ガスを流通させる酸化剤ガス流路と、前記酸化剤ガス流路の下端に連通し、複数のエンボスを有する出口バッファ部とを設けるとともに、アノード側電極及びカソード側電極は、それぞれ電解質膜に対向する面に触媒塗布領域を有し、一方の前記触媒塗布領域の下端位置と、他方の前記触媒塗布領域の下端位置とは、互いに重力方向にずれて配置され、前記アノード側電極及び前記カソード側電極は、それぞれ重力方向中心位置から上方側の前記触媒塗布領域が、下方側の前記触媒塗布領域よりも広く設定され、前記燃料ガス流路及び前記酸化剤ガス流路の下端よりも上方に離間する位置に、前記触媒塗布領域の下端が終端するように構成されている。
本発明によれば、電極を構成する触媒塗布領域が、反応ガス流路の下端よりも上方に離間する位置に終端するため、前記反応ガス流路の水滞留部が電極端部と重なることを確実に阻止することができる。従って、簡単且つ経済的な構成で、電解質膜の劣化を可及的に阻止することが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視説明図である。 前記燃料電池の、図1中、II−II線断面説明図である。 前記燃料電池を構成する電解質膜・電極構造体の正面説明図である。 前記燃料電池を構成する第2セパレータの正面説明図である。 前記電解質膜・電極構造体の触媒塗布領域と反応ガス流路との関係説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視説明図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10は、電解質膜・電極構造体12を第1セパレータ14及び第2セパレータ16により挟持して構成される。
燃料電池10の長辺方向(矢印C方向)の上端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔20a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔22aが設けられる。
燃料電池10の長辺方向(矢印C方向)の下端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔22b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔20bが設けられる。
燃料電池10の短辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔24aが設けられるとともに、前記燃料電池10の短辺方向の他端縁部には、前記冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔24bが設けられる。
図1〜図3に示すように、電解質膜・電極構造体12は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜26と、前記固体高分子電解質膜26を挟持するカソード側電極(第1電極)28及びアノード側電極(第2電極)30とを備える。アノード側電極30は、カソード側電極28よりも小さな表面積を有する、所謂、段差型MEAを構成している。
図2に示すように、カソード側電極28は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層28aと、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層28aの表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層28bとを有する。アノード側電極30は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層30aと、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層30aの表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層30bとを有する。
電極触媒層28b、30bは、固体高分子電解質膜26の両面に形成される。電極触媒層28b、30bは、後述するように、固体高分子電解質膜26の両面に所定の触媒塗布領域H内に形成される(図3参照)。
第1セパレータ14及び第2セパレータ16は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した縦長形状の金属板により構成される。第1セパレータ14及び第2セパレータ16は、平面が矩形状を有し、且つ縦長形状を有するとともに、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状に成形される。なお、第1セパレータ14及び第2セパレータ16は、金属セパレータに代えて、例えば、カーボンセパレータにより構成してもよい。
図1に示すように、第1セパレータ14の電解質膜・電極構造体12に向かう面14aには、酸化剤ガス入口連通孔20aと酸化剤ガス出口連通孔20bとを連通する酸化剤ガス流路34が形成される。酸化剤ガス流路34は、矢印C方向(重力方向)に延在する複数の波状流路溝部34aを有する。酸化剤ガス流路34の入口近傍及び出口近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口バッファ部36a及び出口バッファ部36bが設けられる。
入口バッファ部36aと酸化剤ガス入口連通孔20aとの間には、複数の入口連結通路38aが形成される。出口バッファ部36bと酸化剤ガス出口連通孔20bとの間には、複数の出口連結通路38bが形成される。
図4に示すように、第2セパレータ16の電解質膜・電極構造体12に向かう面16aには、燃料ガス入口連通孔22aと燃料ガス出口連通孔22bとを連通する燃料ガス流路40が形成される。燃料ガス流路40は、矢印C方向に延在する複数の波状流路溝部40aを有するとともに、前記燃料ガス流路40の入口近傍及び出口近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口バッファ部42a及び出口バッファ部42bが設けられる。
第2セパレータ16は、燃料ガス入口連通孔22a及び燃料ガス流路40を連通する複数の供給孔部44aと、燃料ガス出口連通孔22b及び前記燃料ガス流路40を連通する複数の排出孔部44bとを有する。
図1に示すように、第1セパレータ14の面14bと第2セパレータ16の面16bとの間には、冷却媒体入口連通孔24aと冷却媒体出口連通孔24bとを連通する冷却媒体流路46が形成される。冷却媒体流路46は、波状流路溝部34a、40aの裏面形状であり、これらが重なり合うことによって矢印B方向に延在する流路溝部(図示せず)が設けられる。
図1及び図2に示すように、第1セパレータ14の面14a、14bには、この第1セパレータ14の外周端縁部を周回して第1シール部材50が、個別に又は一体に設けられる。第2セパレータ16の面16a、16bには、この第2セパレータ16の外周端縁部を周回して第2シール部材52が、個別に又は一体に設けられる。
第1シール部材50は、電解質膜・電極構造体12の外周外方を周回するとともに、酸化剤ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔20bと酸化剤ガス流路34とを連通する突起部50aを有する。第2シール部材52は、図2及び図4に示すように、電解質膜・電極構造体12を構成する固体高分子電解質膜26の外周縁部に沿って当接する突起部52aを有する。
図5に示すように、電解質膜・電極構造体12は、酸化剤ガス流路34及び燃料ガス流路40の下端よりも上方に離間する位置に、電極触媒層28b、30bの触媒塗布領域Hが終端するように構成される。
具体的には、電極触媒層28b、30bの触媒塗布領域Hの上端位置は、酸化剤ガス流路34及び燃料ガス流路40の上端位置と同一位置に設定される一方、前記触媒塗布領域Hの下端位置は、前記酸化剤ガス流路34及び前記燃料ガス流路40の下端位置よりも上方に設定される。なお、電極触媒層28b、30bの下端位置をずらすことが好ましい。固体高分子電解質膜20の表裏に水が集中することを防止するためである。
図3に示すように、電解質膜・電極構造体12は、長辺方向で重力方向中心位置Oから上方側の触媒塗布領域HAが、下方側の触媒塗布領域HBよりも広く設定される(HA>HB)。電解質・電極構造体12は、ガス拡散層28a、30aが上下対称形状を有し、中心位置Oに対して非対称である。
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔20aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔22aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔24aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔20aから第1セパレータ14の入口連結通路38aを通って酸化剤ガス流路34に導入される。この酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路34に沿って矢印C方向(重力方向)に移動し、電解質膜・電極構造体12のカソード側電極28に供給される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔22aから供給孔部44aを通って第2セパレータ16の面16a側に移動する。燃料ガスは、図4に示すように、燃料ガス流路36に沿って重力方向(矢印C方向)に移動し、電解質膜・電極構造体12のアノード側電極30に供給される(図1参照)。
従って、電解質膜・電極構造体12では、カソード側電極28に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極30に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、電解質膜・電極構造体12のカソード側電極28に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔20bに沿って矢印A方向に排出される。一方、電解質膜・電極構造体12のアノード側電極30に供給されて消費された燃料ガスは、排出孔部44bを通って第2セパレータ16の面16b側に導出される。面16b側に導出された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔22bに排出される。
また、冷却媒体入口連通孔24aに供給された冷却媒体は、図1に示すように、一方の燃料電池10を構成する第1セパレータ14と、他方の燃料電池10を構成する第2セパレータ16との間に形成された冷却媒体流路46に導入される。このため、冷却媒体入口連通孔24aから冷却媒体流路46に供給される冷却媒体は、矢印B方向に移動して燃料電池10を冷却した後、冷却媒体出口連通孔24bに排出される。
この場合、第1の実施形態では、図5に示すように、電解質膜・電極構造体12は、酸化剤ガス流路34及び燃料ガス流路40の下端(出口バッファ部36b、42bとの境界部位)よりも上方に離間する位置に、電極触媒層28b、30bの触媒塗布領域Hが終端するように構成されている。
このため、酸化剤ガス流路34及び燃料ガス流路40の下流側に形成され易い水滞留部WRが、電極触媒層28b、30bの触媒塗布領域Hに重なることを確実に阻止することができる。
従って、電解質膜・電極構造体12では、固体高分子電解質膜26が水滞留部WRの水によって著しく膨潤することがなく、多量の燃料ガスがカソード側電極28にクロスリークすることを阻止することが可能になる。
これにより、簡単且つ経済的な構成で、固体高分子電解質膜26の劣化を可及的に阻止することができる。このため、燃料電池10の発電性能の低下や固体高分子電解質膜26の破れによる発電停止を確実に回避することが可能になるという効果が得られる。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池60の要部分解斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
燃料電池60は、電解質膜・電極構造体62を第1セパレータ64及び第2セパレータ66により挟持して構成される。電解質・電極構造体62は、固体高分子電解質膜26をカソード側電極28及びアノード側電極30により挟持する。カソード側電極28とアノード側電極30とは、同一の表面積に設定されるとともに、固体高分子電解質膜26は、大きな表面積に設定される。
電解質膜・電極構造体62は、酸化剤ガス流路34及び燃料ガス流路40の下端、すなわち、水滞留部WRよりも上方に離間する位置に、電極触媒層28b、30bの触媒塗布領域Hが終端するように構成される。
この第2の実施形態では、固体高分子電解質膜26が水滞留部WRの水によって著しく膨潤することがなく、簡単且つ経済的な構成で、前記固体高分子電解質膜26の劣化を可及的に阻止することができる等、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第1及び第2の実施形態では、酸化剤ガス流路34等のガス流路が波状に構成されているが、直線状に構成してもよい。また、触媒層端部は、直線状の他、凹凸形状であってもよい。
10、60…燃料電池 12、62…電解質膜・電極構造体
14、16、64、66…セパレータ 20a…酸化剤ガス入口連通孔
20b…酸化剤ガス出口連通孔 22a…燃料ガス入口連通孔
22b…燃料ガス出口連通孔 24a…冷却媒体入口連通孔
24b…冷却媒体出口連通孔 26…固体高分子電解質膜
28…カソード側電極 28a、30a…ガス拡散層
28b、30b…電極触媒層 30…アノード側電極
34…酸化剤ガス流路 34a、40a…波状流路溝部
36a、42a…入口バッファ部 36b、42b…出口バッファ部
40…燃料ガス流路 46…冷却媒体流路
50、52…シール部材

Claims (2)

  1. 電解質膜の一方の側にアノード側電極が配設されるとともに、前記電解質膜の他方の側にカソード側電極配設された電解質膜・電極構造体が、縦長形状を有する一対のセパレータ間に挟持されて水平方向に積層される固体高分子型燃料電池であって、
    前記一対のセパレータは、水平方向の面で切った断面が断面凹凸形状に形成され、
    一方の前記セパレータのセパレータ面に沿って重力方向に燃料ガスを流通させる燃料ガス流路と、
    前記燃料ガス流路の下端に連通し、複数のエンボスを有する出口バッファ部と、
    他方の前記セパレータのセパレータ面に沿って重力方向に酸化剤ガスを流通させる酸化剤ガス流路と、
    前記酸化剤ガス流路の下端に連通し、複数のエンボスを有する出口バッファ部と、
    を設けるとともに、
    前記アノード側電極及び前記カソード側電極は、それぞれ前記電解質膜に対向する面に触媒塗布領域を有し、一方の前記触媒塗布領域の下端位置と、他方の前記触媒塗布領域の下端位置とは、互いに重力方向にずれて配置され、
    前記アノード側電極及び前記カソード側電極は、それぞれ重力方向中心位置から上方側の前記触媒塗布領域が、下方側の前記触媒塗布領域よりも広く設定され、前記燃料ガス流路及び前記酸化剤ガス流路の下端よりも上方に離間する位置に、前記触媒塗布領域の下端が終端するように構成されることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  2. 請求項1記載の固体高分子型燃料電池において、前記アノード側電極及び前記カソード側電極は、それぞれ前記触媒塗布領域の上端位置、前記酸化剤ガス流路及び前記燃料ガス流路の上端位置と同一位置に設定されることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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