JP5178501B2 - 認識マークを備えたメタルマスク及びその製造方法 - Google Patents
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Description
従来技術としては、メタルマスクに認識マークを形成するに際し、はんだペースト等をプリント配線基板に塗布するための開口パターン部をメタルマスクに形成した後、メタルマスクの所定位置にエッチング液を用いて凹部を形成し、この凹部に黒い樹脂(通常エポキシ樹脂やウレタン樹脂)を詰めて乾燥させる方法が採用されていた。
また、プリント配線基板との位置合わせマークと半田ペースト等を通過させるための開口部とを有するメタルマスクを製造するにあたり、導電基材表面にその位置合わせマークおよび、開口部に相当する部分にレジスト材料を形成し、次いで電解めっきを施してメタルマスクを製造する方法において、前記位置合わせマークを形成するためのレジスト材料と前記開口部を形成するためのレジスト材料とを1つの露光フィルムによる露光処理および現像処理によって同時に形成し、該メタルマスクの開口部を形成するレジスト材料に対して前記位置合わせマークを形成するレジスト材料の厚みを1/2〜1/5に制限したことを特徴とする電鋳法によるメタルマスクの製造方法(例えば、特許文献1参照)が存在している。
さらに、特許文献1記載のものは、凹部に黒い樹脂を充填するため、実際にメタルマスクとして使用している途中で、樹脂が脱落してしまう可能性がある。樹脂が脱落してしまうと、プリント配線基板への位置合わせができなくなり、製造ラインを停止させることとなり、生産性が低下するといった問題が生じていた。
さらに、認識マークのエッチングの際に薬品を使用するため、変色等も起きてしまっていた。
本発明は、前記問題を解決するためになされたもので、その目的は、電鋳法で作製するメタルマスクの認識マークを作製する方法において、脱落を確実に防止することができる認識マークを、電鋳法によるメタルマスクの作製と同時に作製することができるメタルマスク版及びその製造方法を提供するものである。
位置合わせのために設けられた認識マークにおいて、前記認識マークは、レーザ光によってマーキング加工を行うことにより、電鋳母型に凹凸部を作製して前記認識マークと、認識マークを除いた電鋳母型とに濃淡を形成し、その後メッキ加工を施し、電着層の電鋳母型当接面側に前記凹凸部を転写することで、電着層の電鋳母型当接面側に認識マークを形成する構成である。
電鋳母型表面にレーザ光によって、位置合わせのために設けられた凹凸状のパターン形成用位置合わせマーク、および認識マークを刻印する。ついで、前記電鋳母型表面にレジスト膜を形成する。ついで、パターン形成用位置合わせマークを使用して位置合わせを行って前記レジスト膜にパターンを露光する。ついで、前記パターンを持つパターンレジスト膜を形成する。ついで、前記電鋳母型の前記パターンレジスト膜に覆われていない表面に電着層を電着形成する。ついで、前記パターンレジスト膜を剥離する。ついで、前記電鋳母型から前記電着層を剥離することによって電着層の電鋳母型当接面側に刻印を転写してパターン形成用位置合わせマーク及び認識マークを製造できる構成である。
(1)認識マークに使用する樹脂等の脱落を防止することができる。
(2)直接メタルマスクに加工を行わないため、厚みが非常に薄いメタルマスクにも容易に認識マークを形成することができる。
(3)メタルマスク使用時において、認識マークに使用した樹脂が脱落していた場合に発生する製造ラインの停止を防止することができ、安定した生産性を得ることができる。
(4)エッチング工程を全てなくすことができるので、製造時間の短縮が図れ、コスト低下が図ることができる。さらに、エッチング工程における薬品による変色、エッチング用液レジスト塗布からメタルマスクの洗浄までに起こり得る人的ミスを回避することができる。
図1は、電鋳母型表面にレーザ光にて刻印した認識マークを転写することで電着層の電鋳母型当接面側に認識マークを形成する製造方法を説明する工程図である。
図1(a)に示すように、表面処理を施した導電性の電鋳母型1を用意する。
ここでいう表面処理とは、後に施すレジストの密着性や電着層の密着性を向上させる処理を行うことであり、上述の目的を達成するのならばどのような処理をしても構わないが、例えばバフ研磨といった物理的処理や、塩酸処理といった化学的処理や、それらを複合した処理を行う。加えてアルカリ脱脂等の脱脂処理を加えてさらに密着性を向上させてもよい。
また、導電性の電鋳母型1としては導電性を示し、且つレーザ光で刻印できる素材であるのならばどのようなものを使用しても構わない。例えば、SUS301やSUS304といったステンレス材が好適に使用できる。
位置合わせマーク形状および認識マーク2の形状および大きさに関しては、CCDカメラや目視で認識できる形状および大きさであれば特に限定しないものとする。また、パターン形成用位置合わせマークおよび認識マーク2の個数に関しても特に制限はない。
使用するレーザ光の種類は、電鋳母型1にCCDカメラや目視でパターン位置合わせマークおよび認識マーク2が認識できるよう刻印ができればどのようなレーザ光でもよい。
例えば、レーザ光の種類としては、エキシマレーザ、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザ等、がある。さらに、既存のマーキングコンパウンドを電鋳母型の刻印したい部分に塗布してからレーザ光で刻印しても良い。パターン形成用位置合わせマークおよび認識マーク2をCCDカメラや目視で認識するためには、パターン形成用位置合わせマークおよび認識マーク2の反射率が電鋳母型1表面の反射率と異なる状態になるよう形成すれば良いが、CCDカメラ等の自動認識装置による認識時に不具合が発生しないよう、パターン位置合わせマークおよび認識マーク2自体を黒色に刻印するのが良い。
また、パターン形成用位置合わせマークは後の工程のマスクパターンの位置合わせマークとして使用し、認識マーク2はメタルマスクとワークとの位置合わせマークとして使用するため、各マーク間の寸法精度は非常に重要である。
よって、パターン形成用位置合わせマークおよび認識マーク2をステンレス材といった金属の電鋳母型1表面に各種マーク間を精度良く黒く刻印する場合は、高精度のXYテーブルで駆動するYAGレーザ加工装置やファイバーレーザ加工装置が好適であり、例えば、ステンシルマスク加工用のYAGレーザ加工装置やファイバーレーザ加工装置が好適に使用できる。刻印部分の表面の色は、レーザ出力が小さいと茶色く変色し、レーザ出力を大きくすることによって徐々に黒く変色する傾向がある。
よって、黒く刻印する場合は、CCDカメラや目視で認識できるくらいに黒く刻印できるように、レーザ加工機の出力を調整して加工を行えば良い。なお、刻印部分の表面形状は細かい凹凸が発生し、特に黒く刻印した場合は刻印部分が電鋳母型1面よりも僅かに盛り上がる傾向がある。
本実施例では、LPKF製ステンシルレーザ加工装置SL600にて、ステンレス材の電鋳母型表面にパターン形成用位置合わせマークと認識マーク2を黒く刻印した。
レジスト膜3を形成する方法としては、ドライフィルムレジストといったフィルム状のフォトレジストを既存のラミネータを使用してラミネートするといった方法や、液状のレジストをロールコータやスピンコータやカーテンコータといった既存の液状レジスト塗布装置を使用して電鋳母型1上に液状レジストを成膜するといった方法があるが、何れの方法でも電鋳母型1上にレジスト膜3を成膜できれば良い。レジストは大別してネガタイプのレジストとポジタイプのレジストがあるが、何れのタイプのものであってもよい。
本実施例では、ネガタイプのドライフィルムレジストをパターン形成用位置合わせマークおよび認識マーク2を黒色に刻印した電鋳母型1にラミネータを使用してラミネートする。
パターン露光はガラスやフィルムといった素材のフォトマスクをレジスト膜に密着させた後に超高圧水銀灯やメタルハライドランプといった紫外線を発生する光源を使用してレジスト膜3に紫外線を照射してパターン4を露光しても良いし、半導体レーザや超高圧水銀灯を光源に持つ直接描画装置を使用して、フォトマスクを使用せずにレジスト膜3にパターン4を直接描画しても構わないが、何れの露光方法においても電鋳母型に黒く刻印したパターン形成用位置合わせマークを使用して正確にパターンの位置合わせを行ってから露光する。
例えば、ガラスやフィルムといった素材のフォトマスクをレジスト膜3に密着させて露光する場合は、予めガラスやフィルムといった素材のフォトマスクに、電鋳母型1表面に黒く刻印したパターン形成用位置合わせマークに対応するマークを形成しておき、電鋳母型1に黒く刻印したパターン形成用位置合わせマークと、フォトマスクに形成したマークを合わせながらレジスト膜3にフォトマスクを密着させてパターン4を露光する。
また、フォトマスクを使用せずにレジスト膜3にパターン4を直接描画する場合は、描画装置に装備されているCCDカメラを使用した既存の位置合わせ装置を使用して、電鋳母型1に黒く刻印した位置合わせマークをCCDカメラで認識して位置合わせを行ってからパターン4を描画する。
なお、密着露光用のマスクや描画パターンはフォトレジストのタイプに合わせて、ネガパターンかポジパターンを選択して使用する。
本実施例では、大日本スクリーン製造製直接描画装置LI−8500にて、電鋳母型表面に刻印したパターン形成用位置合わせマークにて位置合わせを行ってからパターンを描画する。
よって、電鋳母型1の刻印部分と当接している電着面には電鋳母型1の細かい凹凸形状にならって細かい凹凸形状が発生し、その対面である電着層5の成長面に関しても、電着層5が薄い場合は図1(f)に示すような細かい凹凸形状が発生する。
もし、電着層5の成長面の凹凸が問題になる場合は、電着層5形成後に研磨等を行って凹凸表面を平滑化すれば良い。
なお、パターンレジスト膜4´を剥離する前に電鋳母型1からパターンレジスト膜4´が存在した状態の電着層5を剥離し、その後電着層5からパターンレジスト膜4´を剥離することも可能であることはいうまでもない。
以上の工法により、電鋳母型1面側に黒色の認識マーク2を形成した電着層5、すなわちメタルマスクを得ることができる。
なお、電着層5を例えば枠体に直接貼り付ける場合は、電着層5に十分な厚みがある場合は電着層5を電鋳母型1から剥離した後に枠体に貼り付ければ良いが、電着層5の厚みが非常に薄い場合は、電鋳母型1から電着層5を剥離しない状態で電着層5の成長面を枠体に貼り付けた後に電鋳母型1を剥離すればよい。
また、電着層5を枠体の略中央部にスクリーンメッシュ等の支持シートを介して貼り付け、いわゆるコンビネーションメタルマスクとしてもよい。このときも、電着層5に十分な厚みがある場合は電着層5を電鋳母型1から剥離した後に、電着層5を枠体の略中央部にスクリーンメッシュ等の支持シートを介して貼り付ければ良いが、電着層5の厚みが非常に薄い場合は、電鋳母型1から電着層5を剥離しない状態で枠体の略中央部にスクリーンメッシュ等の支持シートを介して電着層5を貼り付けた後に電鋳母型1を剥離すればよい。
なお、電鋳母型1から電着層5を剥離してから電着層5を枠体に貼り付ける場合は認識マーク2が形成されている面を自由に反転させて貼り付けることができるが、電鋳母型1から剥離しない状態で直接枠体に貼り付ける場合は、電着層5を反転して枠体に貼り付けることはできないため貼り付ける方向は限定されてしまう。しかしながら、コンビネーションメタルマスク化する場合は、スクリーンメッシュ等の支持シートを張架した枠体自身を反転させることで、スクリーンメッシュ等の支持シートとの貼り付け面が逆になるものの、電鋳母型1から剥離しない状態でもメタルマスクを自由に反転した状態で貼り付けることができる。
2・・・・認識マーク(凹凸部)
3・・・・レジスト膜
4・・・・パターン
4´・・・・パターンレジスト膜
5・・・・電着層
Claims (2)
- 位置合わせのために設けられた認識マークにおいて、前記認識マークは、レーザ光によってマーキング加工を行うことにより、電鋳母型に凹凸部を作製して、前記認識マークと、認識マークを除いた電鋳母型とに濃淡を形成し、その後メッキ加工を施し、電着層の電鋳母型当接面側に前記凹凸部を転写することで、電着層の電鋳母型当接面側に認識マークを形成したことを特徴とする認識マークを備えたメタルマスク。
- 電鋳母型表面にレーザ光によって、位置合わせのために設けられた凹凸状のパターン形成用位置合わせマーク、および認識マークを刻印する。ついで、前記電鋳母型表面にレジスト膜を形成する。ついで、パターン形成用位置合わせマークを使用して位置合わせを行って前記レジスト膜にパターンを露光する。ついで、前記パターンを持つパターンレジスト膜を形成する。ついで、前記電鋳母型の前記パターンレジスト膜に覆われていない表面に電着層を電着形成する。ついで、前記パターンレジスト膜を剥離する。ついで、前記電鋳母型から前記電着層を剥離することによって電着層の電鋳母型当接面側に刻印を転写してパターン形成用位置合わせマーク及び認識マークを製造できることを特徴とするメタルマスクの製造方法。
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