JP5176460B2 - 自動車の前部構造 - Google Patents
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Description
このため、軽衝突時には、フロントバンパが後退しても、シュラウドパネルで支持される熱交換器が破損しないようにできる。一方、重衝突時には、補強部を通じて衝突荷重を車両後方側の車体部材に分散することができる。
なお、ここでの「熱交換器」には、ラジエータ、エアコン装置のコンデンサ、さらには加給装置のインタクーラ等が含まれる。また、「フロントバンパより車両後方側の車体部材」には、フロントサイドフレーム、エプロンレインメンバ、これらのメンバ部材に固定されるブラケット、サスペンションクロスメンバ、またはホイールハウスエプロン等の車体パネルが含まれる。
このため、軽衝突時に補強部が後方に変位することがないため、軽衝突時に確実に補強部と熱交換器支持部の間に相対変位が生じて、脆弱部に変形等を生じさせることができる。
また、クラッシュボックスより車両後方側位置の車体部材に補強部が固定されることで、補強部からの衝突荷重がクラッシュボックスの影響を受けることなく車体部材に伝達される。
よって、より確実に熱交換器の破損を防ぐことができ、軽衝突時の熱交換器の保護性能を高めることができ、重衝突時の荷重分散性能も高めることができる。
上記構成によれば、脆弱部を薄肉部またはスリット部とすることで、衝突荷重を受けた際には、この脆弱部が破断して、熱交換器支持部と熱交換器を、車両後方側に相対変位させることができる。
また、このように、脆弱部を薄肉部またはスリット部とすることで、樹脂製のシュラウドパネルの成形の際に、脆弱部を同時に成形することができる。
よって、シュラウドパネルの生産性を悪化させることなく、車両衝突時に、熱交換器支持部を後退させることができ、軽衝突時の熱交換器の保護と、重衝突時の荷重分散性能向上の両立を図ることができる。
上記構成によれば、脆弱部をラバー部とすることで、衝突荷重を受けた際には、この脆弱部が弾性変形して、熱交換器支持部を相対変位させることができる。
このため、シュラウドパネルに破断を生じさせることなく、熱交換器支持部と熱交換器を後退させることができる。
よって、軽衝突時には、熱交換器のみならず、シュラウドパネルの交換も不要となり、修理コストの削減をさらに図ることができる。
上記構成によれば、アッパ部の補強部およびサイド部の補強部を、エプロンレインメンバとフロントサイドフレームに対して固定することになるため、重衝突の際に衝突荷重をエプロンレインメンバとフロントサイドフレームに確実に伝達することができる。
よって、重衝突の際の荷重分散を、上下位置のフレーム部材に対して適切に行うことができ、車両の衝突安全性能を高めることができる。
上記構成によれば、補強部を、アッパ部、ロア部およびサイド部に枠状に形成して、この補強部をエプロンレインメンバとフロントサイドフレームに固定するため、重衝突の際に、耐力が増した枠状の補強部で、衝突荷重を確実に受けることができ、この衝突荷重をエプロンレインメンバとフロントサイドフレームに確実に伝達することができる。
よって、重衝突の際の荷重分散を、確実かつ適切に行うことができ、車両の衝突安全性能を高めることができる。
上記構成によれば、ロア部の補強部をサスペンションクロスメンバに固定することで、ロア部の補強部の位置が固定される。
このため、軽衝突の際には、ロア部の補強部から、熱交換器支持部を、確実に相対変位させることができる。また、重衝突の際には、ロア部の補強部からサスペンションクロスメンバに衝突荷重を伝達することができ、衝突荷重を分散することができる。
よって、サスペンションクロスメンバを利用して、軽衝突時の熱交換器の保護性能と重衝突時の荷重分散性能を高めることができる。
上記構成によれば、熱交換器支持部の横枠部をフロントバンパのバンパビームに固定することで、車両衝突時に、フロントバンパの後退とともに枠形状の熱交換器支持部も後退することになる。
このため、熱交換器支持部に支持される熱交換器が、バンパビームに直接干渉するおそれがないため、熱交換器の破損を確実に防ぐことができる。
よって、確実に熱交換器の破損を防いで、修理コストの低減を図ることができる。
上記構成によれば、フードロック機構をアッパ部の補強部に設けているため、軽衝突時に、熱交換器支持部が破断して補強部から離脱しても、フードロック機構が車体側部材から切り離されることを防ぐことができる。
よって、軽衝突時の熱交換器の破損を防ぎつつ、衝突時におけるフードロック機構のボンネット支持剛性を高めることができる。
このため、このフロントサイドフレーム3,3に対して、車両前方側から正面衝突荷重等が作用すると、車室下方の車体フレーム(図示せず)に荷重を分散することになり、いわゆる「アンダロードパス」経路が形成されている。
このエプロンレインメンバ4,4は、前端4a,4a(図6参照)でシュラウドパネル5の両端部を締結固定して、後端部(図示せず)で車室前部のフロントピラーの基端部(図示せず)に固定している。このため、このエプロンレインメンバ4,4に車両前方側から正面衝突荷重等が作用すると、車室上方側のルーフパネル(図示せず)に荷重を分散することになり、いわゆる「アッパロードパス」経路が形成されている。
このため、衝突荷重が作用して、ボンネット11の前端部11aに上方に跳ね上がるような挙動が生じた場合でも、ボンネットロック機構BLがセンタアッパ部51bから離脱することなく、ボンネット前端部11aの位置を強固に保持できる。
このボルト固定穴61は、図7に示すように、フロントサイドフレーム3に接合した断面略L字状の取付けプレート62の取付けボルト63を、サイド部52の補強部55Cに締結固定するために設けている。このボルト固定穴61を利用して取付けプレート62を締結固定することで、シュラウドパネル5の補強部55をフロントサイドフレーム3に強固に固定することができる。
なお、この締結固定は、モジュール化したシュラウドパネル5を車体上方から組付けた後に行なうことになる。
このように、荷重伝達ブラケット70を、ラジエータ支持枠部56とバンパビーム2の間に設けることにより、衝突荷重を直接ラジエータ支持枠部56に伝達することができる。また、衝突後においては、この荷重伝達ブラケット70で、補強部55から離脱したラジエータ支持枠部56を保持することもできる。
具体的には、図4に示すように、ロア部53の補強部55Dの下面に接合した連結プレート65と、ペリメータフレーム6の横メンバ部6Bを、ボルト・ナットの締結具66によって締結固定している。
この実施形態では、シュラウドパネル5が、内部に金属製レインメンバ54を一体成形する共にフロントサイドフレーム3,3やエプロンレインメンバ4,4に対して固定される補強部55と、この補強部55より車両前方側に位置してラジエータRを支持するラジエータ支持枠部56と、補強部55とラジエータ支持枠部56との境に形成した薄肉破断部58とを備えている。
このため、軽衝突時には、バンパビーム2が後退しても、シュラウドパネル5で支持されるラジエータRが破損しないようにできる。一方、重衝突時には、補強部55を通じて衝突荷重を車両後方側のフロントサイドフレーム3,3やエプロンレインメンバ4,4に分散することができる。
よって、車両前部の樹脂製のシュラウドパネル5でラジエータRを支持する自動車の前部構造において、重衝突時におけるシュラウドパネル5の車体への荷重分散性能を確保しつつ、軽衝突時におけるラジエータRの破損をできるだけ防いで、修理コストを低減できる。
これにより、樹脂製のシュラウドパネル5の成形の際に、薄肉破断部58を容易に成形することができる。
よって、シュラウドパネル5の生産性を悪化させることなく、車両衝突時に、ラジエータ支持枠部56を後退させることができ、軽衝突時のラジエータRの保護と、重衝突時の荷重分散性能向上の両立を図ることができる。
また、このスリット部158によっても、樹脂製のシュラウドパネル5の成形の際に、同時に成形することができるため、シュラウドパネル5の生産性を悪化させることがない。
これにより、補強部55をアッパメンバ部51、ロア部53およびサイド部52,52に枠状に形成して、この補強部55をエプロンレインメンバ4,4とフロントサイドフレーム3,3に固定するため、重衝突の際に、耐力を増した略枠形状(55B,55C,55D)の補強部55によって、衝突荷重を確実に受けることができ、この衝突荷重をエプロンレインメンバ4,4とフロントサイドフレーム3,3に確実に伝達することができる。
よって、重衝突の際の荷重分散を、確実かつ適切に行うことができ、車両の衝突安全性能を高めることができる。
これにより、シュラウドパネル5のロア部53の補強部55Dの位置が確実に固定される。
このため、軽衝突の際には、ロア部53の補強部55Dから、ラジエータ支持枠部56を、確実に相対変位させることができ、ラジエータRとラジエータ支持枠部56を後退させることができる。また、重衝突の際には、ロア部53の補強部55からペリメータフレーム6に衝突荷重を伝達することができ、衝突荷重を分散することができる。
よって、ペリメータフレーム6を利用して、軽衝突時のラジエータRの保護性能と重衝突時の荷重分散性能を高めることができる。
これにより、車両衝突時に、バンパビーム2の後退と共にラジエータ支持枠部56も後退することになる。
このため、ラジエータ支持枠部56に支持されるラジエータRが、バンパビーム2に直接干渉するおそれがないため、ラジエータRの破損をより確実に防ぐことができる。
よって、確実にラジエータRの破損を防いで修理コストの低減を図ることができる。
これにより、軽衝突時に、ラジエータ支持枠部56が破断して補強部55から離脱しても、ボンネットロック機構BLが車体側から切り離されることを防ぐことができる。
よって、軽衝突時のラジエータRの破損を防ぎつつ、衝突時におけるボンネットロック機構BLによるボンネット11の支持剛性を高めることができる。
これにより、軽衝突によって座屈変形するクラッシュボックス9の影響を受けることなく、補強部55を強固に固定することができる。
このため、軽衝突時に補強部55の位置が変位することがないため、軽衝突時に確実に補強部55とラジエータ支持枠部56の間で相対変位が生じ、薄肉破断部58に確実に破断が生じることになる。
また、クラッシュボックス9より車両後方側位置のフロントサイドフレーム3に補強部55が固定されることで、補強部55からの衝突荷重がクラッシュボックス9の影響を受けることなくフロントサイドフレーム3に伝達されることになる。
よって、より確実に、軽衝突時のラジエータRの保護性能を高めることができ、重衝突時の荷重分散性能も高めることができる。
なお、その他の作用効果については、第一実施形態と同様である。
なお、その他の作用効果については、第一実施形態と同様である。
この発明の金属製レインフォースメントは、実施形態の金属製レインメンバ54に対応し、
以下、同様に、
熱交換器は、ラジエータRに対応し、
熱交換器支持部は、ラジエータ支持枠部56、ラジエータ支持枠部156、ラジエータ支持枠部256に対応し、
脆弱部は、薄肉破断部58、スリット部158、薄肉破断部258、ラバー部材358に対応し、
サスペンションクロスメンバは、ペリメータフレーム6に対応するも
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる自動車の前部構造に適用する実施形態を含むものである。
1…フロントバンパ
2…バンパビーム
3…フロントサイドフレーム(車体部材)
4…エプロンレインメンバ
5,105,205…シュラウドパネル
6…ペリメータフレーム
9…クラッシュボックス
51,151…アッパメンバ部(アッパ部)
52,152…サイド部
53,153…ロア部
54…金属製レインメンバ(金属製レインフォースメント)
55(55A,55B,55C,55D),155(155A,155B,155C),255…補強部
56,156,256…ラジエータ支持枠部(熱交換器支持部)
58…薄肉破断部(脆弱部)
70…荷重伝達ブラケット
158…スリット部(脆弱部)
258…薄肉破断部(脆弱部)
358…ラバー部材(脆弱部)
Claims (8)
- 車幅方向に延びるアッパ部、車幅方向に延びるロア部、該アッパ部及びロア部を上下方向に延びて繋ぐサイド部を備えて熱交換器を支持する樹脂製のシュラウドパネルと、
該シュラウドパネルの車両前方側で車幅方向に延びるフロントバンパとを備えた自動車の前部構造であって、
前記シュラウドパネルが、金属製レインフォースメントを備えると共に前記フロントバンパより車両後方側の車体部材に対して固定される補強部と、
該補強部より前端が車両前方側に位置して、前記熱交換器を支持する熱交換器支持部と、
自動車の正面視で前記補強部と前記熱交換器支持部との境に形成した脆弱部とを備え、
前記フロントバンパの内部で車幅方向に延びるバンパビームを備え、
左右の車体部材の前端部にクラッシュボックスがそれぞれ設けられ、
前記バンパビームが該クラッシュボックスを介して前記左右の車体部材に固定され、
前記熱交換器支持部と前記バンパビームとの間に荷重伝達ブラケットを備え、
前記補強部が固定される車体部材を、クラッシュボックスより車両後方側位置の車体部材に設定した
自動車の前部構造。 - 前記脆弱部を、前記補強部と前記熱交換器支持部の境に形成した薄肉部またはスリット部で構成した
請求項1記載の自動車の前部構造。 - 前記脆弱部を、前記補強部と前記熱交換器支持部の境に形成したラバー部で構成した
請求項1記載の自動車の前部構造。 - 前記補強部を、前記アッパ部からサイド部にかけて連続的に形成して、
前記アッパ部の補強部の両側端部を車幅方向両側端で車両前後方向に延びるエプロンレインメンバに固定して、
前記サイド部の補強部を車両前後方向に延びるフロントサイドフレームに固定した
請求項1〜3の何れか1項に記載の自動車の前部構造。 - 前記補強部を、前記熱交換器を囲繞するように前記アッパ部、サイド部、ロア部に形成して、
前記アッパ部の補強部の両側端部を車幅方向両側端で車両前後方向に延びるエプロンレインメンバに固定して、
前記サイド部の補強部を車両前後方向に延びるフロントサイドフレームに固定した
請求項1〜3の何れか1項に記載の自動車の前部構造。 - 前記ロア部の補強部を、サスペンション装置を支持するサスペンションクロスメンバに固定した
請求項5記載の自動車の前部構造。 - 前記熱交換器支持部が、車幅方向に延びる上枠部、車幅方向に延びる下枠部、上下方向に延びて上枠部および下枠部を繋ぐ横枠部を備え、
前記横枠部を、前記フロントバンパのバンパビームに固定した
請求項1〜6の何れか1項に記載の自動車の前部構造。 - ボンネットをロックするフードロック機構を、アッパ部の補強部に設けた
請求項4〜6の何れか1項に記載の自動車の前部構造。
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