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JP5167409B2 - 体位体圧制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、寝たきり状態にある就寝者の床ずれを抑制することができる体位体圧制御装置に関する。
寝たきりの高齢者や患者等は、思うように寝返りを打てず、長時間同じ姿勢で寝ていることが多い。すると、骨が突出していて体重の集中する部位が圧迫され、血行が悪くなることにより、床ずれ(褥瘡)が発生してしまう。床ずれを抑制するためには、定期的に体位を変換させて、体圧を分散させることが必要である。しかし、寝たきりの高齢者や患者の体位変換は、介護や看護する人の大きな負担になる。このため、床ずれの抑制を全て人手に頼ることは難しいのが実状である。
そこで、人手をかけずに床ずれを抑制するための装置が種々提案されている。例えば、特許文献1、2には、複数の空気袋を内包したマットレスと、個々の空気袋に対応して配置される感圧センサと、空気袋の空気量を調整する空気量調整手段と、を備える床ずれ防止装置が開示されている。また、特許文献3には、複数のセルの集合体であるシートと、個々のセル内に配置され床ずれ部位を検知するセンサと、セルの内圧を調整する制御装置と、を備えるマットレスが提案されている。
特表2002−528175号公報 特開2000−189472号公報 特開2006−320474号公報
上記特許文献1、2の床ずれ防止装置によると、体圧を検出したい部位ごとに、一つずつ感圧センサを配置する必要がある。感圧センサには、各々、電極および配線が必要である。このため、電極および配線の数も多くならざるを得ない。したがって、装置構成が煩雑になる。また、感圧センサを含むセンサシートは柔軟ではなく、伸縮性に乏しい。このため、センサシートをマットレスの上面に載置した場合には、センサシートが就寝者の体に沿いにくく、就寝者が違和感を感じやすい。また、体位が変換された場合にも、センサシートが体の動きに追従しにくい。加えて、センサシートは、空気袋の膨張、収縮の動きにも追従しにくい。このため、体圧分布の検出精度は低くなる。
また、上記特許文献1、2の床ずれ防止装置は、マットレス内の空気袋を膨張、収縮することにより、就寝者の体位を変えて、床ずれの発生を抑制する。しかし、就寝者の体位が変換されても、体は常にマットレスと接触状態にある。このため、骨突出部位にかかる圧力を低減することは難しい。このため、床ずれの抑制効果は充分とはいえない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、就寝者に違和感を与えず高精度に体圧分布を検出して、体位の変換および体圧の分散を行うことができる体位体圧制御装置を提供することを課題とする。
(1)本発明の体位体圧制御装置は、複数の分割部を有し就寝者を支持するマットレスと、該マットレスの厚さ方向上側、下側、または内部のいずれかに配置され、エラストマー製のセンサ薄膜と、該センサ薄膜に接続される複数の電極と、該電極間に形成され該分割部に対応して配置される複数の検出部と、を有し、入力される荷重を電気量として出力可能なシート状のセンサ本体と、出力される該電気量から該就寝者の体圧分布を算出する演算部と、を備えるエラストマーセンサと、該エラストマーセンサにより検出される該体圧分布のデータに基づいて、個々の該分割部を制御することにより、該就寝者の体圧分布を変化させる体圧調整手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の体位体圧制御装置によると、就寝者の体圧分布を、エラストマーセンサにより検出する。エラストマーセンサは、エラストマー製のセンサ薄膜を有するシート状のセンサ本体を備える。ここで、「エラストマー製」とは、センサ薄膜のベース材料がエラストマーであることを意味する。よって、エラストマー成分の他に、例えば導電性フィラー等の他の成分を含んでいても構わない。
センサ本体は、柔軟であり、伸縮性を有する。このため、センサ本体は、就寝者の体に沿いやすい。したがって、センサ本体が、就寝者の近く、例えばマットレスの上面に配置されても、就寝者は、硬さ、ごわつき等の違和感を感じにくい。つまり、就寝者への負担が少ない。さらにセンサ本体は、マットレスの分割部の動きや、就寝者の体の動きに対しても追従しやすい。したがって、エラストマーセンサにおける、体圧分布の検出精度は高い。
また、本発明の体位体圧制御装置における体圧調整手段は、就寝者の体圧分布データに基づくエラストマーセンサからの指示により、マットレスの分割部を個々に制御して、就寝者の体圧分布を変化させる。例えば、ある部位の体圧が長時間高い状態にあると判断された場合には、当該部位に対応する分割部の内圧を低下させたり、分割部を下方にへこませたりすればよい。こうすることにより、当該部位の体圧を低下させることができる。あるいは、別の部位に対応する分割部を上方に突出させたりして、体位を変換してもよい。また、就寝者に対する分割部の数を多くする、すなわち小さな分割部を密に配置すれば、分割部をへこませて特定部位の体圧を低下させても、他の部位に分散する体圧の増加を抑制することができる。このように、本発明の体位体圧制御装置によると、就寝者の体圧を分散させたり、体位を変換したりして、床ずれを効果的に抑制することができる。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記分割部は、気体または液体が充填された袋部からなり、前記体圧調整手段は、該袋部に該気体または該液体を供給して該袋部を膨張させて、あるいは該袋部から該気体または該液体を排出して該袋部を収縮させて、前記就寝者の体圧分布を変化させる構成とする方がよい。
袋部を膨張させると、就寝者の当該袋部に当接する部位が押し上げられる。これにより、当該部位の体圧は増加する。反対に、袋部を収縮させると、就寝者の当該袋部に当接する部位の体圧が低下する。このように、本構成によると、個々の袋部の充填物量を増加あるいは減少させるだけで、就寝者の体圧分布を容易に変化させることができる。また、袋部には、気体または液体が充填される。このため、袋部が就寝者の体に沿うように変形しやすい。よって、就寝者への負担が少ない。また、充填物が空気等の気体の場合には、マットレスの軽量化を図ることができる。
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、さらに、前記分割部よりも前記就寝者側に配置され通気性を有するクッションマットを備える構成とするとよい。
本発明の体位体圧制御装置を構成するエラストマーセンサは、マットレスの厚さ方向上側、下側、または内部のいずれかに配置されるセンサ本体を備える。センサ本体は、エラストマー製のセンサ薄膜を有する。センサ薄膜は通気性に乏しい。このため、センサ本体と就寝者との間に、湿気がこもりやすい。こうなると、就寝者の寝心地は悪くなる。加えて、湿気で就寝者の皮膚が蒸れると、床ずれしやすくなるおそれがある。
この点、本構成によると、就寝者と分割部との間に、通気性を有するクッションマットが介装される。例えば、分割部の上側にセンサ本体を配置する場合、センサ本体の上側にさらにクッションマットを配置することにより、就寝者とセンサ本体との間の湿気を、逃がすことができる。加えて、センサ本体の配置による違和感も軽減される。したがって、就寝者の皮膚の蒸れが抑制されると共に、寝心地も向上する。
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記マットレスは、前記分割部を包囲するカバー部材を有し、該カバー部材の内側において該分割部の前記就寝者側には、前記センサ本体および前記クッションマットが順に積層され、該センサ本体および該クッションマットは、該カバー部材に固定される構成とするとよい。
就寝者の体圧分布を精度よく検出するという観点から、センサ本体は、就寝者の近くに配置されることが望ましい。例えば、センサ本体を分割部の上面に載置した場合、分割部の動きに伴い、センサ本体が移動したり、センサ本体にしわが入るおそれがある。これにより、就寝者の体圧分布を正確に検出できなくなるおそれがある。
この点、本構成によると、センサ本体は、クッションマットと共に、マットレスのカバー部材に固定される。センサ本体が分割部と分離した状態で固定されるため、分割部が動いても、センサ本体は移動しにくい。したがって、分割部の動きによらず、就寝者の体圧分布を正確に検出することができる。また、本構成によると、分割部から就寝者方向に、センサ本体、クッションマットが、この順に積層される。つまり、センサ本体の上側にクッションマットが配置される。このため、就寝者とセンサ本体との間に湿気がこもりにくい。また、センサ本体の配置による就寝者の違和感も少ない。
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、さらに、着脱可能な状態で前記カバー部材の内側に固定されるセンサ袋を備え、前記センサ本体および前記クッションマットは、該センサ袋に収容される構成とするとよい。
センサ本体およびクッションマットを、着脱可能なセンサ袋に収容することにより、マットレスからセンサ本体等を、まとめて容易に取り外すことができる。したがって、マットレスからセンサ袋を取り外し、マットレスを折り畳むことにより、本発明の体位体圧制御装置をコンパクトに収納、梱包することができる。また、マットレスの洗浄も容易になる。
(6)好ましくは、上記(3)の構成において、前記センサ本体、および該センサ本体の厚さ方向両側に固定された一対の前記クッションマットを有するセンサ挟装体を備え、前記マットレスは、前記分割部を包囲するカバー部材を有し、該カバー部材の内側において該分割部の前記就寝者側には、該センサ挟装体が配置され、該センサ挟装体は、該カバー部材に固定される構成とするとよい。
本構成によると、分割部の就寝者側には、センサ挟装体が配置される。換言すると、分割部から就寝者方向に、クッションマット、センサ本体、クッションマットが、この順に積層される。センサ本体の両側にクッションマットが配置されるため、通気性やクッション性が向上する。
また、センサ挟装体は、マットレスのカバー部材に固定される。すなわち、上記(4)の構成と同様に、センサ本体が、分割部と分離した状態で固定される。さらに、センサ本体と分割部との間には、クッションマットが介装される。このため、センサ本体は、分割部に接触しない。したがって、本構成によると、分割部の動きに伴うセンサ本体の移動を、より抑制することができる。これにより、分割部の動きによらず、就寝者の体圧分布を正確に検出することができる。
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、さらに、着脱可能な状態で前記カバー部材に固定されるセンサ袋を備え、前記センサ挟装体は、該センサ袋に収容される構成とするとよい。
センサ挟装体を、着脱可能なセンサ袋に収容することにより、マットレスからセンサ挟装体を、容易に取り外すことができる。したがって、上記(5)の構成と同様に、マットレスからセンサ袋を取り外し、マットレスを折り畳むことにより、本発明の体位体圧制御装置をコンパクトに収納、梱包することができる。また、マットレスの洗浄も容易になる。
(8)好ましくは、上記(1)ないし(7)のいずれかの構成において、前記センサ本体は、前記センサ薄膜の厚さ方向に貫通する複数の通気孔を有する構成とするとよい。
上述したように、エラストマーセンサにおける湿気対策は、就寝者の寝心地や、床ずれ抑制において重要である。本構成によると、センサ薄膜に、厚さ方向に貫通する複数の通気孔を形成する。こうすることで、センサ薄膜、ひいてはセンサ本体の通気性が向上する。すなわち、センサ本体と就寝者との間における湿度の上昇を、抑制することができる。
(9)好ましくは、上記(1)ないし(8)のいずれかの構成において、前記分割部は、前記就寝者の床ずれが発生しやすい部位に対応する領域において密に配置される構成とするとよい。
分割部を密に配置すると、体圧をより細かく調整することができる。すなわち、本構成によると、床ずれが発生しやすい部位の体圧を、より細かく調整することができる。これにより、床ずれを効果的に抑制することができる。また、上述したように、就寝者に対して小さな分割部を密に配置すれば、分割部をへこませて特定部位の体圧を低下させても、他の部位に分散する体圧の増加を抑制することができる。
(10)好ましくは、上記(1)ないし(9)のいずれかの構成において、前記センサ本体の切断時伸びは、50%以上である構成とするとよい。
本構成によると、センサ本体は伸縮性に優れる。このため、就寝者の体に対する追従性がより向上すると共に、就寝者の違和感がより少なくなる。また、センサ本体の耐久性も向上する。本明細書において、切断時伸びの測定方法は、JIS K 6251(2004)に準ずるものとし、試験片はダンベル状5号形を使用する。
(11)好ましくは、上記(1)ないし(10)のいずれかの構成において、前記センサ本体において、前記電極は、前記センサ薄膜の表側に配置される帯状の表側電極と、該センサ薄膜の裏側に配置される帯状の裏側電極とからなり、前記検出部は、該表側電極と該裏側電極とが表裏方向から見て交差することにより形成され、入力される前記荷重により該検出部の静電容量が変化する構成とするとよい。
一般に、一対の電極間に誘電膜が介装されてなる静電容量型センサの静電容量(キャパシタンス)は、次式(I)により求めることができる。
C=εεS/d・・・(I)
[C:静電容量、ε:真空中の誘電率、ε:誘電膜の比誘電率、S:電極面積、d:電極間距離]
例えば、本構成のセンサ本体に荷重が加わると、センサ薄膜(誘電膜)は圧縮され、その分だけ電極面に対して平行方向に伸長する。上記式(I)より、センサ薄膜の厚さ、すなわち電極間距離dが小さくなると、表側電極と裏側電極との間に形成された検出部の静電容量Cは大きくなる。
本構成によると、表側電極、裏側電極は、共に帯状である。並びに、検出部は、表側電極と裏側電極との交差部分を利用して配置されている。このため、電極数および配線数が少なくなる。また、表側電極、裏側電極の本数、配置等を変更するだけで、検出部の数、密度等が異なる種々のセンサ本体を構成することができる。したがって、分割部に応じて所望のセンサ本体を容易に構成することができる。
(12)好ましくは、上記(11)の構成において、前記表側電極および前記裏側電極は、エラストマーと、該エラストマーに充填される導電性フィラーと、を含んで形成される構成とするとよい。
本構成によると、表側電極、裏側電極は、センサ薄膜と共に伸縮することができる。したがって、センサ薄膜の伸縮を、表側電極、裏側電極が規制するおそれは小さい。また、センサ本体全体の伸縮性がより大きくなる。このため、就寝者の体に対する追従性がより向上すると共に、就寝者の違和感がより少なくなる。また、センサ本体の耐久性も向上する。
第一実施形態の体位体圧制御装置の概略図である。 図1のII−II断面図である。 センサ本体の上面透過図である。 図3のIV−IV断面図である。 センサ本体およびマットレスの上面透過図である。 第二実施形態の体位体圧制御装置のセンサ本体の上面図である。 第三実施形態の体位体圧制御装置のセンサ本体における、図3の一点鎖線で囲まれた領域に相当する部分の拡大図である。 第四実施形態の体位体圧制御装置の断面図である。 第五実施形態の体位体圧制御装置の断面図である。 第六実施形態の体位体圧制御装置の断面図である。 第七実施形態の体位体圧制御装置の断面図である。
1:体位体圧制御装置
2:マットレス 20:カバー袋 21:エアセル(袋部) 210:エア供給排出口
22、23、25:カバー袋(カバー部材) 24、26:センサ袋
3:エラストマーセンサ 30:センサ本体 31:センサ薄膜 32:表側絶縁被覆層
33:裏側絶縁被覆層 34:表側配線用コネクタ 35:裏側配線用コネクタ
36:基板 37:センサ薄膜 38:コネクタ 39:配線 310:通気孔
40:演算部 41:電源回路 42:CPU 43:RAM 44:ROM
45:駆動回路
5:空気量調整装置(体圧調整手段) 50:エアポンプ 51:ホース 52:電磁弁
6:クッションマット
60:センサ挟装体 61、62:クッションマット
9:ベッド 90:床板
01X〜14X:表側電極 01Y〜10Y:裏側電極 01x〜14x:表側配線
01y〜10y:裏側配線 A0101〜A1410:検出部
01a〜10a、01b〜10b、01c〜14c、01d〜14d:電極
S:就寝者
次に、本発明の体位体圧制御装置の実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
[体位体圧制御装置の構成]
まず、本実施形態の体位体圧制御装置の構成について説明する。図1に、本実施形態の体位体圧制御装置の概略図を示す。図2に、図1のII−II断面図を示す。図1、図2に示すように、本実施形態の体位体圧制御装置1は、マットレス2と、エラストマーセンサ3と、空気量調整装置5と、クッションマット6と、を備えている。
マットレス2は、ベッド9の床板90上に配置されている。マットレス2は、カバー袋20とエアセル21とを備えている。カバー袋20、エアセル21は、共にウレタンフィルム製である。エアセル21は、カバー袋20の内側に収容されている。エアセル21は、後出する図5に示すように、合計96個配置されている。各々のエアセル21の下面には、エア供給排出口210が形成されている。エア供給排出口210には、空気量調整装置5のホース51が接続されている。エアセル21は、本発明における袋部に含まれる。エアセル21の配置形態については、後述する。
エラストマーセンサ3は、センサ本体30と演算部40とを備えている。センサ本体30は、マットレス2の上面に配置されている。まず、センサ本体30の構成について説明する。図3に、センサ本体の上面透過図を示す。図4に、図3のIV−IV断面図を示す。なお、図3においては、表側絶縁被覆層、裏側絶縁被覆層を省略して示す。また、裏側電極、裏側配線を細線で示す。また、検出部にハッチングを施して示す。
図3、図4に示すように、センサ本体30は、センサ薄膜31と、表側電極01X〜14Xと、裏側電極01Y〜10Yと、検出部A0101〜A1410と、表側配線01x〜14xと、裏側配線01y〜10yと、表側絶縁被覆層32と、裏側絶縁被覆層33と、表側配線用コネクタ34と、裏側配線用コネクタ35と、を備えている。なお、検出部の符号「A○○△△」中、上二桁の「○○」は、表側電極01X〜14Xに対応している。下二桁の「△△」は、裏側電極01Y〜10Yに対応している。センサ本体30の切断時伸びは、300%である。
センサ薄膜31は、ウレタンゴム製であって、シート状を呈している。センサ薄膜31は、XY方向(前後左右方向)に延在している。センサ薄膜31の表裏方向は、上下方向に対応している。
表側電極01X〜14Xは、センサ薄膜31の上面に、合計14本配置されている。表側電極01X〜14Xは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。表側電極01X〜14Xは、各々、帯状を呈している。表側電極01X〜14Xは、各々、X方向(左右方向)に延在している。表側電極01X〜14Xは、Y方向(前後方向)に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。
表側配線01x〜14xは、センサ薄膜31の上面に、合計14本配置されている。表側配線01x〜14xは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。表側配線01x〜14xは、各々、線状を呈している。表側配線用コネクタ34は、センサ薄膜31の左前隅に配置されている。表側配線01x〜14xは、各々、表側電極01X〜14Xの左端と、表側配線用コネクタ34と、を接続している。
表側絶縁被覆層32は、センサ薄膜31の上方に配置されている。表側絶縁被覆層32は、アクリルゴムを含んで形成されている。表側絶縁被覆層32は、シート状を呈している。表側絶縁被覆層32は、センサ薄膜31、表側電極01X〜14X、表側配線01x〜14xを、上方から覆っている。
裏側電極01Y〜10Yは、センサ薄膜31の下面に、合計10本配置されている。裏側電極01Y〜10Yは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。裏側電極01Y〜10Yは、各々、帯状を呈している。裏側電極01Y〜10Yは、各々、Y方向に延在している。裏側電極01Y〜10Yは、X方向に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。
裏側配線01y〜10yは、センサ薄膜31の下面に、合計10本配置されている。裏側配線01y〜10yは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。裏側配線01y〜10yは、各々、線状を呈している。裏側配線用コネクタ35は、センサ薄膜31の左後隅に配置されている。裏側配線01y〜10yは、各々、裏側電極01Y〜10Yの後端と、裏側配線用コネクタ35と、を接続している。
裏側絶縁被覆層33は、センサ薄膜31の下方に配置されている。裏側絶縁被覆層33は、アクリルゴムを含んで形成されている。裏側絶縁被覆層33は、シート状を呈している。裏側絶縁被覆層33は、センサ薄膜31、裏側電極01Y〜10Y、裏側配線01y〜10yを、下方から覆っている。
検出部A0101〜A1410は、図3にハッチングで示すように、表側電極01X〜14Xと、裏側電極01Y〜10Yと、が上下方向に交差する部分(重複する部分)に配置されている。検出部A0101〜A1410は、各々、表側電極01X〜14Xの一部と、裏側電極01Y〜10Yの一部と、センサ薄膜31の一部と、を備えている。検出部A0101〜A1410は、合計140個(=14個×10個)配置されている。検出部A0101〜A1410は、センサ本体30の略全面に亘って配置されている。また、就寝者の腰部に対応する領域(中央付近)には、密に配置されている。
ここで、検出部A0101〜A1410、および上述したマットレス2のエアセル21の配置形態を説明する。図5に、センサ本体およびマットレスの上面透過図を示す。説明の便宜上、図5においては、表側電極、裏側電極、検出部、およびエアセル以外を省略して示す。また、センサ薄膜の外縁を、一点鎖線で示す。また、表側電極および裏側電極を実線で、透過して見えるエアセルを細線で示す。
図5に示すように、検出部A0103〜A0308および検出部A1303〜A1408については、左右方向に隣接する検出部の三つごとに、エアセル21が一つずつ配置されている。また、検出部A0401〜A1202および検出部A0409〜A1210については、前後方向に隣接する検出部の三つごとに、エアセル21が一つずつ配置されている。それ以外の検出部については、一つの検出部に対して一つずつエアセル21が配置されている。
検出部A0403〜A1208は、就寝者Sの腰部付近に配置されている。上下左右方向における検出部A0403〜A1208の間隔は、他の領域に配置されている検出部と比較して、小さい。つまり、検出部A0403〜A1208は密に配置されている。また、個々の検出部A0403〜A1208に対して配置されているエアセル21は、他の領域に配置されているエアセル21よりも、小さい。就寝者Sの腰部には仙骨がある。腰部は、骨突出部位の一つであり、床ずれを生じやすい。したがって、エアセル21は、床ずれが発生しやすい部位に対して密に配置されている。
次に、演算部40の構成について説明する。前出図3に示すように、演算部40は、センサ本体30の表側配線用コネクタ34、裏側配線用コネクタ35と、各々、電気的に接続されている。
演算部40は、電源回路41と、CPU(Central Processing Unit)42と、RAM(Random Access Memory)43と、ROM(Read Only Memory)44と、駆動回路45と、を備えている。
電源回路41は、検出部A0101〜A1410に、正弦波状の交流電圧を印加する。ROM44には、予め、検出部A0101〜A1410における静電容量と荷重(体圧)との対応を示すマップが、格納されている。並びに、体圧のしきい値が格納されている。RAM43には、表側配線用コネクタ34、裏側配線用コネクタ35から入力されるインピーダンス、位相が、一時的に格納される。CPU42は、RAM43に格納されたインピーダンス、位相を基に、検出部A0101〜A1410の静電容量を抽出する。そして、静電容量から、センサ本体30における体圧分布を算出する。駆動回路45は、後述する空気量調整装置5のエアポンプ50と電磁弁52とに接続されている。
前出図1に戻って、空気量調整装置5は、エアポンプ50とホース51と電磁弁52とを備えている。空気量調整装置5は、本発明における体圧調整手段に含まれる。エアポンプ50は、演算部40の駆動回路45と接続されている。また、エアポンプ50は、マットレス2の個々のエアセル21と、ホース51および電磁弁52を介して接続されている。なお、図1中、エアポンプ50とエアセル21との間に介在するホース51および電磁弁52については、説明の便宜上、一つだけを示している。電磁弁52は、三方弁であり、一方は大気開放状態になっている。
演算部40から空気供給の指示があると、電磁弁52の二方が開くと共に、エアポンプ50からエアセル21に空気が供給される。また、演算部40から空気排出の指示があると、電磁弁52の大気開放状態にある一方が開き、エアセル21から空気が排出される。
クッションマット6は、ポリエチレンテレフタレート等の三次元立体編物(旭化成せんい(株)製「フュージョン(登録商標)」)製である。クッションマット6は、センサ本体30の上面に配置されている。
[体位体圧制御装置の動き]
次に、体位体圧制御装置1の動きについて説明する。まず、就寝者Sが体位体圧制御装置1の上に横になる前に、検出部A0101〜A1410ごとに、静電容量Cを算出する。すなわち、検出部A0101から検出部A1410までを、あたかも走査するように、静電容量Cを算出する。算出された静電容量Cは、検出部A0101〜A1410ごとに、RAM43に格納される。
次に、就寝者Sが体位体圧制御装置1の上に横になった後、検出部A0101〜A1410ごとに、静電容量Cを算出する。算出された静電容量Cは、検出部A0101〜A1410ごとに、RAM43に格納される。そして、就寝者Sが横になる前後の静電容量Cの変化量ΔCから、CPU42が、センサ本体30における体圧分布を算出する。具体的には、ROM44に予め格納された静電容量−体圧マップに、静電容量Cを代入して、任意の検出部A0101〜A1410における体圧を算出する。
算出された体圧データは、所定時間、RAM43に格納される。CPU42は、体圧データと、ROM44に格納されたしきい値と、を比較する。そして、しきい値以上の体圧が、所定時間以上継続していると判断した場合には、駆動回路45により空気量調整装置5を駆動する。具体的には、体圧が高い領域に対応するエアセル21の電磁弁52を開いて、空気を排出する。すると、当該エアセル21は収縮する。これにより、その領域における体圧を低下させることができる。あるいは、体圧が低い領域に対応するエアセル21の電磁弁52を開いて、エアポンプ50から空気を供給する。すると、当該エアセル21は膨張する。これにより、体圧を分散させたり、体位を変換させることができる。
[作用効果]
次に、本実施形態の体位体圧制御装置1の作用効果について説明する。本実施形態の体位体圧制御装置1によると、就寝者Sの体圧分布を、エラストマーセンサ3により検出する。すなわち、就寝者Sは、クッションマット6を介して、シート状のセンサ本体30の上に横になる。ここで、センサ本体30はウレタンゴム製のセンサ薄膜31を有する。また、表側電極01X〜14X、裏側電極01Y〜10Yも、エラストマー製である。よって、センサ薄膜31の伸縮を、表側電極01X〜14X、裏側電極01Y〜10Yが規制するおそれは小さい。このように、センサ本体30は、柔軟で伸縮性に優れる。したがって、センサ本体30は、就寝者Sの体に沿いやすい。また、就寝者Sは、硬さ、ごわつき等の違和感を感じにくい。つまり、就寝者Sへの負担が少ない。また、センサ本体30は、エアセル21の動きや、就寝者Sの体の動きに対する追従性が高い。したがって、本実施形態の体位体圧制御装置1によると、高精度に体圧分布を検出することができる。また、センサ本体30の耐久性も高い。
また、センサ本体30を構成する表側電極01X〜14X、裏側電極01Y〜10Yは、共に帯状である。並びに、検出部A0101〜A1410は、表側電極01X〜14と裏側電極01Y〜10Yとの交差部分を利用して配置されている。このため、電極数および配線数が少なくて済む。すなわち、検出部A0101〜A1410は、センサ本体30に、合計140個配置されている。ここで、検出部A0101〜A1410ごとに電極を配置すると、表側電極が140個、裏側電極が140個、それぞれ必要になる。これに対して、本実施形態のセンサ本体30によると、140個の検出部A0101〜A1410を確保するのに、表側電極01X〜14X、裏側電極01Y〜10Yを合計24本(=14本+10本)配置するだけで済む。このため、電極および配線の配置数が少なくなる。加えて、表側電極、裏側電極の本数、配置等を変更するだけで、検出部の数、密度等を調整することができる。したがって、エアセル21の数や大きさに応じて、所望のセンサ本体を容易に構成することができる。
本実施形態の体位体圧制御装置1によると、マットレス2は、分割部として多数のエアセル21を有する。このため、エアセル21に対する空気の供給、排出により、容易に、就寝者Sの体圧を分散させたり、体位を変換することができる。その結果、就寝者が寝たきりの高齢者や患者等の場合には、床ずれを効果的に抑制することができる。また、充填物が空気であるため、エアセル21は就寝者Sの体に沿って変形しやすい。よって、就寝者Sへの負担が少ない。また、液体を使用する場合と比較して、マットレス2の重量が軽くなる。
また、エアセル21は、就寝者Sの腰部付近において最も密になるように配置されている。同様に、センサ本体30の検出部A0403〜A1208も、就寝者Sの腰部付近において最も密になるように配置されている。腰部は、床ずれが発生しやすい部位の一つである。したがって、本実施形態の体位体圧制御装置1によると、腰部付近の体圧分布をより高精度に検出することができると共に、腰部付近の体圧をより細かく調整することができる。これにより、床ずれを効果的に抑制することができる。また、腰部付近に配置されているエアセル21は、他の領域に配置されているエアセル21よりも小さい。したがって、特定のエアセル21を収縮して、腰部付近の体圧を低下させても、他の部位に分散する体圧の増加を抑制することができる。
本実施形態の体位体圧制御装置1によると、センサ本体30の上面に、クッションマット6が配置されている。換言すれば、就寝者Sとセンサ本体30との間に、クッションマット6が介装されている。クッションマット6は通気性に優れる。このため、センサ本体30と就寝者Sとの間に湿気がこもりにくい。その結果、床ずれを抑制することができ、寝心地も向上する。
<第二実施形態>
本実施形態の体位体圧制御装置と、第一実施形態の体位体圧制御装置と、の相違点は、主にセンサ本体の構成である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図6に、本実施形態の体位体圧制御装置のセンサ本体の上面図を示す。図6中、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。また、図6においては、説明の便宜上、配線を一部省略して示す。
図6に示すように、センサ本体30は、基板36と、センサ薄膜37と、コネクタ38と、電極01a〜10a、01b〜10b、01c〜14c、01d〜14dと、配線39と、を備えている。
基板36は、エラストマー製であって、長方形板状を呈している。基板36は、弾性変形可能である。センサ薄膜37は、基板36の上面に配置されている。センサ薄膜37は、導電性フィラーが配合されたエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)製であって、長方形板状を呈している。センサ薄膜37における導電性フィラーの含有割合は、センサ薄膜37の体積を100vol%とした場合の約45vol%である。荷重が入力されていない状態(無荷重状態)において、センサ薄膜37は、高い導電性を有する。一方、荷重が加わりセンサ薄膜37が変形すると、導電性フィラー同士の接触状態が変化する。これにより、三次元的な導電パスが崩壊し、センサ薄膜37の電気抵抗は増加する。つまり、センサ薄膜37の電気抵抗は、弾性変形量が増加するに従って増加する。コネクタ38は、正方形板状を呈している。コネクタ38は、基板36の上面の左前隅に配置されている。
電極01a〜10aは、センサ薄膜37の前辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。電極01b〜10bは、センサ薄膜37の後辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。電極01a〜10aと電極01b〜10bとは、図6に一点鎖線で示すように、各々、前後方向に対向している。
電極01c〜14cは、センサ薄膜37の左辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。電極01d〜14dは、センサ薄膜37の右辺に、所定間隔ずつ離間して並んでいる。電極01c〜14cと電極01d〜14dとは、図6に一点鎖線で示すように、各々、左右方向に対向している。これら一点鎖線の交点(合計140=14×10)が、検出部である。
電極01a〜10a、01b〜10b、01c〜14c、01d〜14dと、コネクタ38とは、各々、配線39により接続されている。
演算部40は、コネクタ38と電気的に接続されている。ROM44には、予め、検出部における電気抵抗と荷重(体圧)との対応を示すマップが、格納されている。並びに、体圧のしきい値が格納されている。電源回路41は検出部に直流電圧を印加する。直流電圧は、合計140点の検出部に、走査的に順番に印加される。各検出部の電気抵抗は、RAM43に一時的に格納される。CPU42は、RAM43に格納された電気抵抗から、センサ薄膜37の荷重分布を算出する。駆動回路45は、前出図1のエアポンプ50と電磁弁52とに接続されている。
本実施形態の体位体圧制御装置は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の体位体圧制御装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態の体位体圧制御装置によると、センサ本体30の電気抵抗の変化から体圧分布を算出することができる。
<第三実施形態>
本実施形態の体位体圧制御装置と、第一実施形態の体位体圧制御装置と、の相違点は、センサ薄膜に、通気孔が穿設されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図7に、本実施形態の体位体圧制御装置のセンサ本体における、前出図3の一点鎖線で囲まれた領域に相当する部分の拡大図を示す。説明の便宜上、図7においては、通気孔の大きさを強調して示す。また、図7中、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。図7に示すように、センサ薄膜31には、複数の通気孔310が穿設されている。通気孔310は、センサ薄膜31の厚さ方向に貫通している。通気孔310は、表側電極01X〜14X、裏側電極01Y〜10Yが配置されていない部分に、穿設されている。
本実施形態の体位体圧制御装置は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の体位体圧制御装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態の体位体圧制御装置によると、センサ薄膜31、すなわちセンサ本体30が通気性を有する。したがって、センサ本体30と就寝者Sとの間に、湿気がこもりにくい。このため、就寝者の寝心地が向上すると共に、床ずれの抑制効果も向上する。
<第四実施形態>
本実施形態の体位体圧制御装置と、第一実施形態の体位体圧制御装置と、の相違点は、マットレスの内側に、センサ本体およびクッションマットが配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図8に、本実施形態の体位体圧制御装置の断面図を示す。図8は、図2に対応する。よって、図8中、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。図8に示すように、本実施形態の体位体圧制御装置1においては、センサ本体30とクッションマット6とが、マットレス2の内側に配置されている。
マットレス2は、エアセル21とカバー袋22とを備えている。エアセル21、カバー袋22は、共にウレタンフィルム製である。エアセル21は、カバー袋22の内側に収容されている。エアセル21は、カバー袋22の下方に配置されている。各々のエアセル21の下面には、エア供給排出口210が形成されている。エア供給排出口210には、空気量調整装置5のホース51が接続されている。カバー袋22は、本発明におけるカバー部材に含まれる。
センサ本体30は、カバー袋22の内側に収容されている。センサ本体30は、エアセル21の上面に配置されている。センサ本体30とエアセル21とは、固定されていない。センサ本体30の構成については、第一実施形態と同じである。
クッションマット6は、センサ本体30の上面に配置されている。クッションマット6は、センサ本体30の周縁に接着されている。クッションマット6の上面は、カバー袋22の上皮内面に接着されている。これにより、センサ本体30は、クッションマット6を介して、カバー袋22に固定されている。
本実施形態の体位体圧制御装置は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の体位体圧制御装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態の体位体圧制御装置1によると、センサ本体30は、クッションマット6と共に、マットレス2のカバー袋22に固定されている。一方、センサ本体30とエアセル21とは、固定されていない。センサ本体30がエアセル21と分離した状態で固定されているため、エアセル21が動いても、センサ本体30は移動しにくい。したがって、エアセル21の動きによらず、就寝者の体圧分布を正確に検出することができる。
<第五実施形態>
本実施形態の体位体圧制御装置と、第四実施形態の体位体圧制御装置と、の相違点は、センサ本体およびクッションマットが、センサ袋に収容されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図9に、本実施形態の体位体圧制御装置の断面図を示す。図9は、図8に対応する。よって、図9中、図8と対応する部位については、同じ符号で示す。図9に示すように、本実施形態の体位体圧制御装置1は、マットレス2と、センサ袋24と、センサ本体30と、クッションマット6と、を備えている。
マットレス2は、エアセル21とカバー袋23とを備えている。エアセル21は、カバー袋23の内側に収容されている。エアセル21は、カバー袋23の下方に配置されている。カバー袋23の上皮内面の周縁には、センサ袋24を取り付けるための複数のスナップボタン(図略)が、配置されている。カバー袋23は、本発明におけるカバー部材に含まれる。
センサ袋24は、カバー袋23の内側に収容されている。センサ袋24は、エアセル21の上方に配置されている。センサ袋24の上面周縁には、複数のスナップボタン(図略)が配置されている。カバー袋23のスナップボタンと、センサ袋24のスナップボタンと、を係合することにより、センサ袋24は、カバー袋23に着脱可能に取り付けられている。
センサ本体30およびクッションマット6は、センサ袋24の内側に収容されている。クッションマット6は、センサ本体30の上面に配置されている。クッションマット6は、センサ本体30の周縁に接着されている。センサ本体30およびクッションマット6は、センサ袋24を介して、カバー袋23に固定されている。
本実施形態の体位体圧制御装置は、構成が共通する部分に関しては、第四実施形態の体位体圧制御装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態の体位体圧制御装置1によると、センサ本体30およびクッションマット6は、センサ袋24に収容された状態で、カバー袋23に固定されている。ここで、センサ袋24とエアセル21とは、固定されていない。このため、エアセル21の動きに伴うセンサ本体30の移動が、抑制される。したがって、エアセル21の動きによらず、就寝者の体圧分布を正確に検出することができる。
また、本実施形態の体位体圧制御装置1によると、センサ袋24の着脱が容易である。つまり、センサ本体30およびクッションマット6の着脱が容易である。したがって、マットレス2からセンサ袋24を取り外し、マットレス2を折り畳むことにより、体位体圧制御装置1をコンパクトに収納、梱包することができる。また、マットレス2の洗浄も容易である。
<第六実施形態>
本実施形態の体位体圧制御装置と、第一実施形態の体位体圧制御装置と、の相違点は、マットレスの内側に、センサ挟装体が配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図10に、本実施形態の体位体圧制御装置の断面図を示す。図10は、図2に対応する。よって、図10中、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。図10に示すように、本実施形態の体位体圧制御装置1は、マットレス2と、センサ挟装体60と、を備えている。
マットレス2は、エアセル21とカバー袋22とを備えている。エアセル21は、カバー袋22の内側に収容されている。エアセル21は、カバー袋22の下方に配置されている。
センサ挟装体60は、カバー袋22の内側に収容されている。センサ挟装体60は、エアセル21の上面に配置されている。センサ挟装体60とエアセル21とは、固定されていない。センサ挟装体60は、センサ本体30と、一対のクッションマット61、62と、を備えている。センサ本体30の構成については、上記第一実施形態と同じである。一対のクッションマット61、62は、いずれもポリエチレンテレフタレート等の三次元立体編物(同上)製である。一対のクッションマット61、62は、センサ本体30の厚さ方向(上下方向)両側に配置されている。一対のクッションマット61、62は、各々、センサ本体30の周縁に接着されている。センサ挟装体60の上面(上側のクッションマット61の上面)は、カバー袋22の上皮内面に接着されている。これにより、センサ挟装体60は、カバー袋22に固定されている。すなわち、センサ本体30は、クッションマット61を介して、カバー袋22に固定されている。
本実施形態の体位体圧制御装置は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の体位体圧制御装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態の体位体圧制御装置1によると、センサ本体30の上下方向両側に、一対のクッションマット61、62が配置されている。このため、通気性やクッション性が向上する。また、センサ本体30とエアセル21との間には、クッションマット62が介装されている。そして、センサ本体30は、クッションマット61、62と共に、マットレス2のカバー袋22に固定されている。このため、エアセル21の動きに伴うセンサ本体30の移動が、抑制される。したがって、エアセル21の動きによらず、就寝者の体圧分布を正確に検出することができる。
<第七実施形態>
本実施形態の体位体圧制御装置と、第六実施形態の体位体圧制御装置と、の相違点は、センサ挟装体が、センサ袋に収容されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図11に、本実施形態の体位体圧制御装置の断面図を示す。図11は、図10に対応する。よって、図11中、図10と対応する部位については、同じ符号で示す。図11に示すように、本実施形態の体位体圧制御装置1は、マットレス2と、センサ袋26と、センサ挟装体60と、を備えている。
マットレス2は、エアセル21とカバー袋25とを備えている。エアセル21は、カバー袋25の内側に収容されている。エアセル21は、カバー袋25の下方に配置されている。カバー袋25の上皮内面の周縁には、センサ袋26を取り付けるための複数の面ファスナー(図略)が、配置されている。カバー袋25は、本発明におけるカバー部材に含まれる。
センサ袋26は、カバー袋25の内側に収容されている。センサ袋26は、エアセル21の上方に配置されている。センサ袋26の上面周縁には、複数の面ファスナー(図略)が配置されている。カバー袋25の面ファスナーと、センサ袋26の面ファスナーと、を係合することにより、センサ袋26は、カバー袋25に着脱可能に取り付けられている。
センサ挟装体60は、センサ袋26の内側に収容されている。センサ挟装体60は、センサ袋26を介して、カバー袋25に固定されている。
本実施形態の体位体圧制御装置は、構成が共通する部分に関しては、第六実施形態の体位体圧制御装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態の体位体圧制御装置1によると、センサ挟装体60は、センサ袋26に収容された状態で、カバー袋25に固定されている。ここで、センサ袋26とエアセル21とは、固定されていない。このため、エアセル21の動きに伴うセンサ本体30の移動が、抑制される。したがって、エアセル21の動きによらず、就寝者の体圧分布を正確に検出することができる。
また、本実施形態の体位体圧制御装置1によると、センサ袋26の着脱が容易である。つまり、センサ本体30およびクッションマット6の着脱が容易である。したがって、マットレス2からセンサ袋26を取り外し、マットレス2を折り畳むことにより、体位体圧制御装置1をコンパクトに収納、梱包することができる。また、マットレス2の洗浄も容易である。
<その他>
以上、本発明の体位体圧制御装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、エラストマーセンサのセンサ本体として、上記第一、第三〜第七実施形態では、静電容量型のセンサを、第二実施形態では、抵抗増加型のセンサを使用した。このように、センサ本体の構成、形状、大きさ等は、特に限定されない。また、センサ本体から出力される電気量についても、電圧、電気抵抗、静電容量等のいずれであってもよい。
また、センサ本体において、センサ薄膜のエラストマーの種類は、特に限定されない。例えば、第一、第三〜第七実施形態のエラストマーセンサでは、伸縮の繰り返しに対する耐久性、および静電容量を大きくするという観点から、伸び、強度、および比誘電率が大きいエラストマーを用いることが望ましい。例えば、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、およびこれらの発泡体や、ウレタンフォーム等が好適である。また、第二実施形態のエラストマーセンサでは、導電性フィラーとの相溶性等を考慮して、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム等が好適である。なお、第二実施形態では、センサ薄膜の電気抵抗は、弾性変形量(荷重)が増加するに従って増加した。しかし、荷重が増加するに従って、電気抵抗が低下するようなセンサ薄膜を使用してもよい。センサ薄膜の電気抵抗の挙動については、母材のエラストマーの種類、導電性フィラーの種類および配合量等により、調整することができる。
また、第一、第三〜第七実施形態のセンサ本体においては、電極および配線を、エラストマーを含んで形成した。この場合、電極および配線が伸縮するため、センサ薄膜と一体となって変形することができる、という利点がある。電極および配線は、センサ薄膜に直接形成する他、予め別のエラストマーフィルムに電極および配線を形成しておき、当該フィルムをセンサ薄膜に積層させて形成してもよい。この場合、エラストマーフィルムとしては、上述したセンサ薄膜に好適なエラストマーに加えて、より耐久性の高いブチルゴム、エチレンプロピレン共重合ゴム等を用いることができる。また、電極、配線を、金属材料や、有機繊維の表面に金属めっきを施した材料等で形成しても構わない。また、いずれの実施形態においても、電極の数、配置場所については、特に限定されない。例えば、第一、第三〜第七実施形態のセンサ本体において、帯状の表側電極、裏側電極の数、幅、長さについては、適宜決定すればよい。例えば、幅が大きいものと小さいものとを混合して、配置してもよい。また、表側電極、裏側電極の配置形態を変えることにより、検出部の数、配置を調整すればよい。
上記実施形態では、一枚のセンサ本体により、体圧分布を検出した。しかし、複数のセンサ本体を使用して、体圧分布を検出してもよい。例えば、検出部が密に配置されているセンサ本体と、検出部が疎に配置されているセンサ本体と、別々に準備して、床ずれが生じやすい部位には前者を配置して、それ以外の部位には後者を配置してもよい。
また、上記実施形態では、就寝者の体全体の体圧分布を検出して、体圧の分散や体位の変換を行うようにした。しかし、床ずれが生じやすい部位だけにセンサ本体を配置して、体圧の分散や体位の変換を行ってもよい。
上記第一〜第三実施形態では、センサ本体を、マットレスの上面に配置した。しかし、センサ本体を、マットレスの下側、あるいは第四〜第七実施形態のようにマットレスの内部に配置してもよい。第一〜第三実施形態において、センサ本体とマットレスとは、全体において接着されていても、されていなくてもよい。第一〜第三実施形態のように、センサ本体をマットレスの上面に配置する場合には、センサ本体が分割部の動きに追従しやすいように、センサ本体の全体を接着しない方が望ましい。この場合、例えば、センサ本体の外縁の複数個所をマットレスに固定することにより、センサ本体のずれを抑制することができる。
上記第五実施形態では、スナップボタンを用いて、センサ袋をカバー袋(カバー部材)に取り付けた。また、第七実施形態では、面ファスナーを用いて、センサ袋をカバー袋に取り付けた。しかし、センサ袋の固定方法は、これらに限定されない。例えば、センサ袋にボタンを、カバー部材にボタンホールを配置してもよい。この場合、ボタンを留めたり外したりすることにより、センサ袋を着脱することができる。
上記実施形態では、センサ本体の上面に、クッションマットを配置した。クッションマットの材質は、通気性、クッション性を有するものであれば、特に限定されない。上記実施形態の他、例えば、東洋紡績(株)製の「ブレスエアー(登録商標)」等を用いたマットを使用してもよい。なお、クッションマットを配置しなくても構わない。特に、第三実施形態の場合には、センサ本体に通気孔が穿設されている。したがって、通気性の観点では、他の実施形態と比較して、クッションマットを配置する必要性は小さい。なお、第三実施形態によると、通気孔は、センサ薄膜における、表側電極および裏側電極が形成されていない部分に、穿設されている。しかし、電極が形成されている部分に、通気孔を穿設しても構わない。
また、体位体圧制御装置において、就寝者と接する最上面を被覆するように、さらにカバーを配置してもよい。これにより、体位体圧制御装置、具体的には、クッションマット、センサ本体、マットレスの汚れを防止することができる。また、意匠性も向上する。この場合、カバーは通気性を有することが望ましい。
上記実施形態では、マットレスを、カバー袋と複数の分割部(エアセル)とから構成した。しかし、マットレスの構造は、上記実施形態に限定されない。マットレスの構造は、体圧分布を変化させる手法に応じて、適宜決定すればよい。例えば、マットレス自体が、複数の分割部の集合体であってもよい。また、分割部が袋部の場合には、空気以外の気体、あるいは水等の液体を充填してもよい。
マットレスの分割部は、検出部に対応して配置されていればよい。但し、分割部と検出部との対応は、必ずしも一対一である必要はない。例えば、一つの分割部に対して検出部を二つ以上配置してもよく、反対に、二つ以上の分割部をまたいで一つの検出部を配置してもよい。
体圧分布を変化させる手法は、マットレスの袋部(分割部)に流体を供給、排出して、袋部を膨張、収縮させる以外にも、種々の方法を採用することができる。例えば、分割部に、誘電エラストマー等の電場応答性高分子を用いたアクチュエータを組み込んで、分割部の上面を上下動させてもよい。また、磁気粘性流体等を利用して、分割部の硬さを変化させてもよい。

Claims (8)

  1. 複数の分割部(21)および該分割部(21)を包囲するカバー部材(23)を有し就寝者(S)を支持するマットレス(2)と、
    該分割部(21)の該就寝者(S)側に配置され、着脱可能な状態で該カバー部材(23)の内側に固定されるセンサ袋(24)と、
    通気性を有するクッションマット(6)と、
    該マットレス(2)内部に配置され、エラストマー製のセンサ薄膜(31)と、該センサ薄膜(31)に接続される複数の電極(01X〜14X、01Y〜10Y)と、該電極(01X〜14X、01Y〜10Y)間に形成され該分割部(21)に対応して配置される複数の検出部(A0101〜A1410)と、を有し、入力される荷重を電気量として出力可能なシート状のセンサ本体(30)と、出力される該電気量から該就寝者(S)の体圧分布を算出する演算部(40)と、を備えるエラストマーセンサ(3)と、
    該エラストマーセンサ(3)により検出される該体圧分布のデータに基づいて、個々の該分割部(21)を制御することにより、該就寝者(S)の体圧分布を変化させる体圧調整手段(5)と、
    を備え
    該センサ本体(30)および該クッションマット(6)は、該分割部(21)から該就寝者(S)方向に順に積層されて該センサ袋(24)に収容されることを特徴とする体位体圧制御装置(1)
  2. 前記センサ袋(26)には、前記センサ本体(30)、および該センサ本体(30)の厚さ方向両側に固定された一対の前記クッションマット(61、62)を有するセンサ挟装体(60)が収容される請求項1に記載の体位体圧制御装置(1)。
  3. 前記分割部(21)は、気体または液体が充填された袋部(21)からなり、
    前記体圧調整手段(5)は、該袋部(21)に該気体または該液体を供給して該袋部(21)を膨張させて、あるいは該袋部(21)から該気体または該液体を排出して該袋部(21)を収縮させて、前記就寝者(S)の体圧分布を変化させる請求項1または請求項2に記載の体位体圧制御装置(1)
  4. 前記センサ本体(30)は、前記センサ薄膜(31)の厚さ方向に貫通する複数の通気孔(310)を有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の体位体圧制御装置(1)
  5. 前記分割部(21)は、前記就寝者(S)の床ずれが発生しやすい部位に対応する領域において密に配置される請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の体位体圧制御装置(1)
  6. 前記センサ本体(30)の切断時伸びは、50%以上である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の体位体圧制御装置(1)
  7. 前記センサ本体(30)において、前記電極(01X〜14X、01Y〜10Y)は、前記センサ薄膜(31)の表側に配置される帯状の表側電極(01X〜14X)と、該センサ薄膜(31)の裏側に配置される帯状の裏側電極(01Y〜10Y)とからなり、前記検出部(A0101〜A1410)は、該表側電極(01X〜14X)と該裏側電極(01Y〜10Y)とが表裏方向から見て交差することにより形成され、入力される前記荷重により該検出部の静電容量が変化する請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の体位体圧制御装置(1)
  8. 前記表側電極(01X〜14X)および前記裏側電極(01Y〜10Y)は、エラストマーと、該エラストマーに充填される導電性フィラーと、を含んで形成される請求項7に記載の体位体圧制御装置(1)
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