JP5163560B2 - タービン翼の製造方法 - Google Patents
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具体的には、タービン翼の内部を中空にし、その内部に冷却ガスを供給することによってタービン翼の冷却を行っている。
しかしながら、セラミックス基複合材料は、周知のように織物構造であるため形状自由度が大きくなく、また極めて硬い材料であり成型後にスロット構造を作りこむ等の加工を行うことが困難である。
このように、セラミックス基複合材料からなるタービン翼においては、複雑な構造を作り込むことが困難であった。
そして、マンドレルが含浸処理の際に消失されるため、マンドレルの消失に伴って織物の一部が押圧されて形状変化し、当該形状変化が反映された形状のタービン翼が製造される。
このように、本発明によれば、含浸処理の際の押圧条件を変化させることによって、成型後に機械加工を施すことなく、任意の構造を有するタービン翼を製造することができる。
したがって、本発明によれば、セラミックス基複合材料からなるタービン翼に複雑な構造を作り込むことが可能となる。
本実施形態のタービン翼の製造方法によって製造されるタービン翼100は、セラミックス基複合材料からなるタービン翼であり、図1に示すように内部が中空とされている。
そして、タービン翼100の後縁部1には、図2に示すように、腹側にスロット部2がタービン翼100の幅方向に離散的に複数形成されている。
スロット部2は、後縁部1の一部が凹むことによって形成されている。このため、後縁部1のスロット部2が形成される箇所は、後縁部1の他の箇所と比較して薄型化されている。
図3に示すように、本実施形態のタービン翼の製造方法は、織物形成工程S1と、含浸工程S2と、貫通孔形成工程S3とを有している。
具体的には、例えば、ブレイディング法によって3次元織物20を形成する場合には、タービン翼10の後縁部1に相当する領域に配置される中央糸の本数を減少させることによって繊維密度を低くすることが可能となる。
なお、含浸工程S2は、上述のようにマンドレル10が消失する温度環境にて行われる。このため本含浸工程S2を行うことによって、タービン翼100の内部に中空領域R1を形成することができる。
具体的には、液相含浸法あるいは固相含浸法を用いてセラミックスマトリックスを形成する場合には、原料液あるいは原料粉末を3次元織物20に含浸させた後に行われる焼成工程における熱によってマンドレル10を焼却することによって消失させる。また、気相含浸法を用いてセラミックスマトリックスを形成する場合には、原料ガスが供給される真空炉内部の熱によってマンドレル10を焼却することによって消失させる。
このように、本実施形態において含浸工程は、必ず3次元織物20に対して熱を加えるものである。
このように含浸工程S2の際に、型4を3次元織物20に対して押圧することによって、3次元織物20が型4の形状(すなわちスロット部2の形状)に応じて部分的に変形し、図5に示すように、タービン翼100にスロット部2を形成することができる。
なお、例えば、型4を3次元織物20に対して位置決めするための位置決め部材等を別途用いて、型4が3次元織物20の所望の位置を押圧するようにしても良い。
また、上述のようにスロット部2は、タービン翼100の幅方向に離散的に複数形成されるため、当然型4も図5の紙面奥行き方向に複数配列されることとなる。このため、各型4を単一の支持部材に固定し、型4同士の位置関係を固定することが好ましい。これによって、後縁部1の所望の位置にスロット部2を形成することが可能となる。
具体的には、貫通孔3を形成する箇所にレーザ光を照射し、当該レーザ光を、タービン翼100を貫通させることによって貫通孔3を形成する。なお、貫通孔を形成する程度の機械加工であれば、セラミックス基複合材料からなる部材に対しても、短時間でかつ安価に加工を施すことができる。
つまり、本実施形態のタービン翼の製造方法によれば、後縁部1を冷却することが可能なタービン翼100を容易に製造することが可能となる。
そして、3次元織物の後縁部1が押圧されて形状変化し、当該形状変化が反映された形状のタービン翼、すなわちスロット部2を有するタービン翼100が製造される。
このように、本実施形態のタービン翼の製造方法によれば、成型後に複雑な機械加工を施すことなく、スロット部2を有するタービン翼100を製造することが可能となる。
このため、タービン翼100の内部に供給される冷却ガスを貫通孔3を介してスロット部2に供給し、当該冷却ガスが後縁部1に吹き付けられることによって後縁部1が冷却される。
つまり、本実施形態のタービン翼の製造方法によれば、後縁部1を冷却することが可能なタービン翼100を容易に製造することが可能となる。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、スロット部2ではない他の構造を有するタービン翼の製造方法に適用することもできる。
つまり、本発明のタービン翼の製造方法によれば、含浸処理の際の押圧条件を変化させることによって、成型後に機械加工を施すことなく、任意の構造を有するタービン翼を製造することができる。
したがって、本発明によれば、セラミックス基複合材料からなるタービン翼に複雑な構造を作り込むことが可能となる。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、含浸工程の際に、織物の形状が保持されるようにマンドレルを外すことによって消失させるようにしても良い。具体的には、含浸工程の初期段階でマンドレルを外すことによって織物の形状を保持しながら容易にマンドレルを外すことが可能となる。
また、含浸工程においてマンドレルの全ての部位が消失される必要はなく、含浸工程において例えばスロット部近傍の部位が残るようにマンドレルを消失させ、含浸工程後に大気炉等で残った部位を消失させても良い。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、後縁部1以外の箇所にスロット部2あるいは他の構造を有するタービン翼の製造方法に適用することもできる。
このような場合には、型4をマンドレル10の凹部10aに対応させて配置し、3次元織物20を型4とマンドレル10の凹部10aとで挟み込み、この状態を維持したまま含浸工程S2を行うことによって、後縁部1の所望の位置にスロット部2を形成することができる。
Claims (4)
- セラミックス基複合材料からなると共に中空のタービン翼の製造方法であって、
マンドレル周りにセラミックス繊維からなる織物を形成する織物形成工程と、
前記マンドレル周りの前記織物の一部を押圧しながら前記織物に対して含浸処理を施すことによってセラミックスマトリックスを形成する含浸工程と
を有することを特徴とするタービン翼の製造方法。 - 前記含浸工程において押圧される前記織物の一部が前記タービン翼の後縁部に凹んで形成されるスロット部であり、
前記含浸工程後に、前記スロット部から前記タービン翼の内部に貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程を有する
ことを特徴とする請求項1記載のタービン翼の製造方法。 - 前記含浸工程時に、前記織物の形が保持できる状態で前記マンドレルを外すことを特徴とする請求項1または2記載のタービン翼の製造方法。
- 前記含浸工程時における熱によって前記マンドレルを焼却して消失させることを特徴とする請求項1または2記載のタービン翼の製造方法。
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