JP5155511B2 - 水中の物体を破壊するための装置 - Google Patents
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Description
本発明は、船舶の運航にとって危険な水中の物体、例えば機雷を破壊する分野に関する。機雷については、次のような二つの主要な種類が知られている。
−海底に静止する海底型機雷
−係留ケーブルと呼ばれるケーブルによっておもりにつながれている浮遊型機雷
【0002】
海底型機雷では、弾頭として知られる爆発性弾薬を機雷のすぐ近くに降ろし、これを爆発させて破壊する。この方法では、機雷を発見し、弾頭を近づけ、最後に爆発させることが必要である。これに対して、(浮遊型機雷の)掃海作業では、機雷を爆発させるための、又は係留ケーブルを切断するための磁気的及び/又は機械的手段を用いる。
海底型機雷を破壊するための既知の方法は、機雷の検知及び/又は識別段階と、一般に遠隔操作の潜水艇を用いて破壊すべき機雷から数メートルの位置に大型(例えば50〜100kg)の爆発性弾薬を設置し、機雷を破壊する手段とを含んでいる。
潜水艇を機雷捜索用の海上船舶に回収した後に弾薬を爆発させ、この衝撃波によって機雷が共振爆発を起こし、機雷が破壊される。
【0003】
浮遊型機雷では、同様の検知及び/又は識別方法を用い、次に係留ケーブルに発火剪断装置を取り付けて切断する。この剪断装置は、遠隔操作式か、又はワイヤ誘導式の潜水艇を用いて設置する。この場合でも、潜水艇を回収した後に海上の船舶から遠隔操作で剪断装置を発火作動させる。機雷が海面に浮上し、発砲により破壊することができる。
【0004】
さて、最近の海底型機雷は共振爆発を起こさず、また発砲による浮遊型機雷の破壊は海が荒れている場合及び/又は視界が不良の場合に困難である。したがって、機雷を確実に破壊できるように弾頭を機雷に対して極めて正確に位置させる必要がある。これは浮遊型機雷についても当てはまる。その理由は、浮遊型機雷も直接破壊できればよいのだが、特に水中潮流が存在する場合に比較的困難であるためである。さらに、潜水艇の回収には時間がかかる。
【0005】
ECA特許、特にFR−2 684 951及びEP−0 612 656から様々な種類の遠隔操作式又はワイヤ誘導式潜水艇が知られている。
特許文書WO−A−97/10992(GEC MARCONI)は、推進部を備えた第1部分と、第1部分に対して軸支回動することができ弾頭を含む第2部分とで構成される潜水可能な機雷処理潜水艇を開示している。したがって、弾頭は、第1部分をほぼ水平に保ちながら、軸方向、例えば水平方向に沿って向けることができる。潜水艇は、弾頭が爆発すると破壊される。弾頭は方向を変えることができるという事実によって小型化することができ、したがって潜水艇を軽量化することができる。しかし実際には、特に海流などの外的要因の影響があるため、適切な位置決定を行うことは困難であり、したがって破壊できるかどうかは不確実である。第2部分を定位置に保つために軸支回動させたあと、潜水艇の方向を修正する必要があることが明らかとなっている。
【0006】
本発明の目的は、より正確でより信頼性の高い、水中の物体を検知し、識別し、破壊することができる使い切り型(消耗型)潜水艇を提供することである。
【0007】
本発明に基づく装置は、水中の物体を破壊するためのものである。この装置は、推進手段を備えた第1部分と、攻撃手段を備えた第2部分とで構成される種類のものであり、この装置が様々な方向から水中の物体に接近できるように、第2部分は第1部分に対して軸の周りを軸支回動することができる。攻撃手段とセンサー手段が水中の物体に対して同じ方向に向くことができるように、第2部分は水中の物体を検知することができる少なくとも一つのセンサー手段を含んでいる。攻撃手段は、識別の時点からすぐに水中の物体に対して正確に配置され、したがって効率が優れている。攻撃手段は、必要な場合、方向を維持しながら位置を再調整することができる。
【0008】
この装置が、第1部分に対して第2部分を軸支回動させる手段を含み、軸支回動手段が少なくとも1個のモータを備えていることが好ましい。その結果として、第2部分の方向は正確に制御される。
【0009】
本発明の一つの実施例では、軸支回動手段は少なくとも1個の歯車付きモータを備えている。
第2部分が、水中の物体を観察する少なくとも一つの手段及び/又は水中の物体を識別する少なくとも一つの手段を含むことが好ましい。
第2部分が、水中の物体までの距離を推定する少なくとも一つの手段及び/又は水中の物体を分類する少なくとも一つの手段を含むことが好ましい。
第2部分が、海上の船舶又は航空機などの支援手段と遠隔通信を行う少なくとも一つの手段を含むことが好ましい。通信手段は、音波変換器を含んでもよい。
【0010】
本発明の一つの実施例では、この装置は水中の物体に関する少なくとも一つのデータベースを含んでいる。
【0011】
本発明のもう一つの実施例では、第2部分は、水中の物体に関する遠隔位置にあるデータベースに照らし合わせる少なくとも一つの手段を含んでいる。
この装置が、水中の物体の種類に従って攻撃方法を実行する少なくとも一つの手段を含むことが好ましい。
【0012】
できれば、この装置は、海上の船舶などの支援手段にデータの音波発信を行うための最良の位置を見出せるように、第2部分に軸支回動するよう指示する少なくとも一つの手段を含むことが好ましい。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、第1部分内に備えられた推進手段を用いて水中の物体に向かって装置が移動し、第1部分の位置とは無関係に水中の物体に対して適切に位置することができるように、少なくとも一つの攻撃手段と、少なくとも一つのセンサー手段とを備えた第2部分を角度を付けて方向転換させることができる水中の物体を破壊するための方法を提供することである。
【0014】
機雷捜索の本隊は一般に海上の船舶であるが、航空機でもよい。後者の場合、潜水艇が発信した音波信号が海面上の中継器によって、無線信号、光信号、又は電気信号に変換され、航空機に発信される。
【0015】
弾頭は一般に中空弾薬である。この爆発によって一つの軸に沿って主要な作用が行われる。したがって破壊すべき水中の物体に対する位置決定が重要である。各種の機雷には外部爆発に対して他の部分より感度が高いか、又は脆い部分があるので位置決定はさらに重要である。
【0016】
本発明は添付の図面によって例示された、非限定的な実施例によって示される一つの特定の実施例の詳細な説明を読むことによって、さらによく理解されるであろう。
各図から明らかなように、潜水艇は、全体が半球形の前端部1と、全体が截頭弓状円錐形の後端部2と、全体が円筒状の中央部3とで構成されている。
潜水艇は、互いに連結した二つの部分に分けられる。第1部分4は、後端部2と中央部3とで構成されている。後部4には、4個の片舷プロペラスクリュー5の形をした推進手段と、プロペラスクリュー5と交差するよう配置された4枚の格納式安定板6の形をした安定化手段とが備えられている(プロペラスクリュー5は、安定板6の間に均等に配置されている)。図1では、下部安定板6は引き出されているが、上部安定板6は格納位置にあり、したがって図では見えない。これは図2の、左右の安定板6についても同様である。
【0017】
また後部4は、後端部2を後方に伸ばした全体が円筒状の突起部7を選択的に含んでいる。突起部7の内部には、潜水艇が移動すると繰り出すことができる光ファイバーのリール7aがあり、潜水艇を発進させた船舶又はヘリコプターと連結している。また中央部3には垂直導管8があり、この内部には、潜水艇の深度を変更し、また垂直方向の位置を正確に決定するよう設計された垂直プロペラを形成するプロペラスクリュー9が配置されている。
【0018】
図1及び図2からさらに詳しく分かるように、後部4の内部には、プロペラスクリュー9を駆動するための電気モータ10と、それぞれプロペラスクリュー5を駆動する4個の水平推進電気モータ11と、電気エネルギーを蓄えるための複数の蓄電池12と、電気推進モータを制御するための電子回路13と、コンピュータの電子基板14と、磁気コンパス15と、変換器16とが配置されている。また、電動式、油圧式、又は圧縮空気式の歯車付きモータ部17と、歯車付きモータ部17に対応して配置された電子制御部18とがある(この機能については後述する)。
【0019】
後部4から、ほぼ前方に向けて2本の対称性アーム19が出ており、それぞれその自由端部でジャーナル20を支持している。前端部1を形成している前部21は、ジャーナル20とアーム19とによって支持され、2個のジャーナル20に共通の水平軸の周りを後部4に対して軸支回動することができる。前部21の軸支回動は、電子部18の制御する歯車付きモータ部17によって行われる。後部4内に歯車付きモータ部17とその電子部18とを配置することによって、後部4に対して軸支回動できる前部21の質量を低下させることができ、したがって軸支回動する質量が減少する。できれば、ジャーナル20に共通の水平軸が前部21の重心を通ることが好ましく、これによって滑らかな軸支回動運動が可能となり、歯車付きモータ部17に必要なトルクが減少する。第2部分21の形状が半球形であるため、軸支回動を行っても全体として潜水艇の流体力学動態には影響しない。
【0020】
前部21には、そのほぼ中央に中空弾薬の形態の弾頭2が1個配置されている。前部21がジャーナル20の軸と直角で後部4と一直線に並んだ静止位置にあるとき、中空弾薬の効果は前方に向けられる。また前部21は潜水艇のすぐ近くの周囲を照らすためのランプ24を含んでおり、これは中空弾薬の軸と平行の軸に沿っている。アナログ式又はディジタル式のカメラ23がランプ24と対称の位置に配置されており、これも中空弾薬の軸と平行の軸に沿っている。カメラ23とランプ24は、全体が半球形の前端部1からやや突出している。
【0021】
また前部21には、前端部1から突出している短い円筒状部分内に、静止位置で垂直軸に沿った方向にソナー25が配置されている。ソナー25を制御するための電子部26は、前部21の内部に配置されている。カメラ23のための電気エネルギーを蓄えるための蓄電池27と、ランプ24と、ソナー25と、前部21と関連したほぼ全ての電力消費部材も同様である。潜水艇を水中に発進させた海面上の船舶又は航空機と連絡するために、高処理能力の変換器28がソナー25とほぼ対称の位置にある前端部1から突出している。変換器28は、前部21内に配置された電子部29によって制御される。
【0022】
後部にはまた、潜水艇と海底との距離を測定できる音響測深機30が前記潜水艇の下部に配置されている。変換器16を制御するための電子部31も備えられている。変換器16は、ソナー25と同じ側にあり後部4の垂直軸に沿ったほぼ円筒状の突起部内に配置されている。この変換器16は低処理能力であるが、海上の船舶又は航空機からの推進指示を潜水艇に伝送することができ、また潜水艇の経路に関する情報を海上の船舶又は航空機に発信することができる。フラッシュ灯32が後部4の上部に配置され、特に夜間や視界不良の条件下で海上の船舶又は航空機が発見しやすいように、潜水艇が海面に浮上した際に明るい光を放つことができる。
【0023】
さらに説明をしやすくするために、潜水艇の縦方向軸を33とする。また前部21の軸支回動軸、すなわちジャーナル20の軸を34とし、垂直プロペラの軸を35とする。
【0024】
潜水艇は次のように作動する。例えば、船体に取付けたソナーを用いて、また水中曳航型ソナーを用いて、あるいは船舶の前方を進むソナー付き潜水艇や他の手段を用いて破壊すべき物体をすでに発見している海上の船舶又は航空機から潜水艇を発進させる。潜水艇を水中に発進させるのと同時に又はその直後に、船舶又は航空機は弾頭及び機雷の爆発による被害を受けない安全な場所まで離れる。
【0025】
潜水艇は接近段階を開始する。これは、潜水艇に搭載された位置決定手段(特にソナー25)を用いて、すでに発見されている水中物体が位置する区域へ、潜水艇の航行手段(特にプロペラスクリュー5)を用いて進む段階である。様々な手段を通じて位置の再確認段階を実施する。この段階では、水中の物体を検知し、位置決定を行い、物体を識別する。また、潜水艇から物体までの距離を推定するのにソナー25が用いられる。識別段階では、まず、できればランプ24を点灯しカメラ23が良好な条件下で写真撮影できるように接近する。この撮影では、後部4に対して前部21の方向を変更させる必要が生じるかもしれない。カメラ23で撮影した写真は、前部21内に配置された演算部(図示せず)によって実行される画像処理ソフトウェアによって、又は電子基板14によって自動的に処理され、水中物体が機雷であるかどうかを確認することができ、またデータベースと比較することによって(すなわち機雷の製造国、質量、作動など、及びより一般的には認識のために役立つ何らかの特徴によって判定される機雷の種類によって)分類することができる。この自動処理の代わりに、変換器28によって画像を海上の船舶又は航空機に自動的に伝送したあと、操作者が分析し確認することもできる。また、前記船舶又は前記航空機にこの自動処理システムを搭載し、そこでこの処理を行うようにすることもできる。
【0026】
操作者が決定する場合には破壊を確認するために、また自動処理の場合には情報を伝達するために変換器28で海上の船舶に写真を伝送するが、この際、前記船舶に狙いを定めて発信するには後部4に対して前部21を軸支回動させる必要が生じるかもしれない。この目的は、変換器28による写真の音波伝送のために良好な位置を得るためであり、特に水温躍層などの音波障害や岩石などの物理的障害が存在する場合に、全体として潜水艇が取りうる行動である。
【0027】
機雷が識別され、それを破壊するという決定が下されると、攻撃段階に移る。これは、破壊しやすい区域で機雷と接触させるために、すなわち機雷を破壊する可能性が最も高い位置に中空弾薬22を配置し発射するために、識別された機雷の種類に適した経路を描いて動く段階である。帰還段階は、(目標が)識別できなかった場合、例えば物体が残骸の一部であり機雷ではなかった場合、海上の船舶又は航空機に近い所定の回収領域に向かって進む段階である。
【0028】
本発明では、潜水艇の方向変更が可能な頭部に、水中の物体を観察し、識別し、また分類することができるセンサーが備えられている。これによって、情報と写真を収集し、機雷情報や確認のために最良の条件下で海上の船舶や航空機に送ることができ、また潜水艇から水中物体までの距離を測定することができる。この情報に基づいて、また潜水艇、又は海上の船舶や航空機搭載のデータベースと照らし合わせて、機雷の種類に応じて攻撃方法を実行することができる。カメラ23と弾頭22を平行な軸上に配置することにより、より正確で信頼性のある位置決定が可能であり、したがって、特に、例えば水中潮流がある困難な条件下で機雷処理を高い確率で成功させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図3の潜水艇の垂直面上での縦方向の断面図である。
【図2】 図3の潜水艇の水平面上での縦方向の断面図である。
【図3】 本発明の一つの実施例に基づく潜水艇の透視図である。
Claims (9)
- 推進手段を備えた第1部分(4)と、1つの軸に沿って主要な作用を与えることができる攻撃手段を備えた第2部分(21)とで構成される種類の水中の物体を破壊するための装置であって、前記第2部分が前記第1部分に対して回動することができる前記装置において、前記第2の部分が、前記水中の物体の位置を決定する少なくとも一つの手段及び/又は前記水中の物体までの距離を推定する少なくとも一つの手段(25)と、前記水中の物体を観察することができる手段と、前記水中の物体を識別することができる少なくとも1つの手段とを含み、前記水中の物体を識別することができる手段によって識別された水中の物体の種類に応じて、外部爆発に対して他の部分より感度が高いかあるいは、脆い前記水中の物体の領域に対して、前記攻撃手段の位置が前記水中の物体に対して再調整が可能なように、前記水中の物体を観察することができる手段が前記攻撃手段の前記軸と平行な軸に沿って方向づけられるものであることを特徴とする装置。
- 前記第1部分に対して前記第2部分を回動させる手段を含み、前記回動手段が少なくとも一つのモータを備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記回動手段が少なくとも一つの歯車付きモータ部(17)を備えていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
- 前記第2部分が前記水中の物体を分類する少なくとも一つの手段を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の装置。
- 前記第2部分が海上の船舶又は航空機などの支援手段と遠隔通信を行う少なくとも一つの手段(28)を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の装置。
- 前記水中の物体に関する少なくとも一つのデータベースを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の装置。
- 前記第2部分が、前記水中の物体に関する遠隔位置にあるデータベースに照らし合わせる少なくとも一つの手段を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の装置。
- 前記水中の物体の種類に従って攻撃方法を実行する少なくとも一つの手段を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の装置。
- 海上の船舶などの支援手段にデータの音波伝送を行うための最良の位置を見出すように、前記第2部分に回動するよう指示する少なくとも一つの手段を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の装置。
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