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JP5142697B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

従来、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
従来、画像形成装置において、転写工程後の感光体上に残余するトナーはクリーニング装置により感光体面から除去されてクリーニング装置内に溜まって廃トナーとなるが、環境保全や資源の有効利用等の点からそのような廃トナーは出ないことが望ましい。
そこで、近年、クリーニング装置を無くし、感光体上の転写残トナーを現像装置によって「現像同時クリーニング」で感光体から除去し、現像装置に回収し再利用する装置構成にした「クリーナレス方式」の画像形成装置の実用化されている。
現像同時クリーニングは、転写後の感光体上の転写残トナーを次工程以降の現像工程時、即ち引き続き感光体を帯電し、露光して静電潜像を形成する。静電潜像の現像工程過程時にかぶり取りバイアスによって、トナーで現像されるべきでない感光体面部分上(非画像部)に存在する転写残トナーを現像装置に回収する。かぶり取りバイアスは、現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vbackである。
この方式によれば、転写残トナーは現像装置に回収されて次工程以降の静電潜像の現像に再利用されるため、廃トナーをなくし、またメンテナンス時に手を煩わせることも少なくすることができる。またクリーナレスであることで画像形成装置の小型化にも有利である。
上記従来の現像同時クリーニングの画像形成装置において、感光体を帯電する帯電装置が感光体に当接して感光体面を帯電処理する接触帯電装置を用いているものがある。この場合、感光体上の転写残トナーが感光体と接触帯電装置の接触ニップ部である帯電部を通過する際に、転写残トナー中の特に帯電極性が正規極性とは逆極性に反転しているトナーが接触帯電装置に付着する。そして、接触帯電装置を許容以上にトナー汚染させて帯電不良の原因となってしまう。
即ち、現像剤としてのトナーには、量的には少ないけれども、帯電極性がもともと正規極性とは逆極性に反転しているトナーが混在している。また、帯電極性が正規極性のトナーであっても転写バイアスや剥離放電等に影響されて帯電極性が反転するものや、除電されて帯電量が少なくなるものもある。
従って、転写残トナーには帯電極性が正規極性のもの、逆極性の反転トナー、帯電量が少ないものが混在している。反転トナーや帯電量が少ないトナーは、感光体と接触帯電装置の接触ニップ部である帯電部を通過する際に、接触帯電装置に付着しやすい。
また、感光体上の転写残トナーを、現像装置の現像同時クリーニングにて除去・回収するためには、帯電部を通過して現像部に持ち運ばれる感光体上の転写残トナーの帯電極性が正規極性あることが必要である。また、その帯電量が現像装置によって感光体の静電潜像を現像できるトナーの帯電量であることが必要である。反転トナーや帯電量が適切でないトナーについては、感光体上から現像装置に除去・回収できず、画像不良の原因となってしまう。
また、上記したように転写残トナーを、特許文献1(特開2002−99176)のように、現像剤帯電量制御手段によって正規極性へと帯電付与して帯電極性を正規極性に揃えると共に、帯電量を均一化する。これにより、接触帯電装置へのトナーの付着を防止できる。
しかしながら、接触帯電装置へのトナー付着を防止するために現像剤帯電量制御手段によって帯電付与された転写残トナーは、感光体の静電潜像を現像できるトナーの帯電量に比べて大きい。このため、現像装置において現像同時クリーニングにて除去・回収されにくい。このような場合、感光体に残留するトナーは次の画像へと重なり(回収ゴースト)、画像不良を起こしてしまう。
このような画像不良を防止するために、感光体の回転方向に沿って前記現像剤帯電量制御手段の上流側に、もう1つ現像剤帯電量制御手段を設置して、正規とは逆極性の帯電処理をして、転写残トナーの帯電量をコントロールする。これにより、転写残トナーの帯電量をコントロールすることができ、現像装置での回収が効率よくなされ、回収不良による画像汚れが軽減される。
転写残トナーの極性は現像装置内のトナーの電荷量に依存している。
現像装置内のトナーの電荷量が著しく高い状態だと、転写部で感光体からトナーを引き剥がしづらく、転写残トナーが多く発生する。感光体に残留した転写残トナーの帯電極性は正極性のままで、且つ高い電荷量を保持したままである。
正極性で且つ高い電荷量の転写残トナーが大量に発生した場合、正規とは逆極性の帯電処理をする前記現像剤帯電量制御手段に付着し、帯電に必要な電流が流れにくくなる。そして、転写残トナーの帯電量をすべて均一にすることができなくなり、現像装置での回収不良になって回収ゴーストが発生しやすい。
現像装置内のトナーの電荷量が著しく低い状態だと、転写部で電界に沿って転写されづらくなり、転写残トナーが多く発生する。転写部ではトナーとは逆極性の電圧を印加するため、特に低い電荷量のトナーは逆極性の電荷量の高い転写残トナーになりやすい。
逆極性で且つ高い電荷量の転写残トナーが大量に発生した場合、正規の帯電処理をする前記現像剤帯電量制御手段にを著しく汚染し、帯電に必要な電流が流れにくくなり、転写残トナーの帯電量をすべて正規にする事ができなくなり、接触帯電部を汚染しやすい。
特許文献2(特開2003−316202)のように、感光体と現像剤帯電量制御手段の電位差を利用して現像剤帯電量制御手段から感光体へ汚染した転写残トナーを吐き出す方法が知られている。
特開2002−99176号公報 特開2003−316202号公報
しかし特許文献2(特開2003−316202)の方法で感光体へ汚染した転写残トナーを吐き出しても、またすぐに大量の転写残トナーが転写後に発生した場合、効果が薄い。そして、上記の吐き出し動作を常に行わなくてはならなくなり、画像形成装置の生産性が著しく落ちる。
そこで本発明は、転写後の像担持体上のトナーを帯電させる部材へのトナー付着を減少させ、長期にわたり高画質、高品質の画像を維持させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、回転可能な像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記像担持体に静電像を形成する露光手段と、トナーとキャリアを含む現像剤を収容し、前記像担持体に形成された静電像を前記トナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、該現像手段内の現像剤のトナー濃度が、目標値に近づくようにトナーを補給するトナー補給手段と、転写バイアスが印加されることで、前記像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写手段と、前記帯電手段の前記像担持体回転方向上流、且つ前記転写手段の前記像担持体回転方向下流において前記像担持体に接触して配置された第1部材に対し、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧を印加することで前記像担持体上のトナーを帯電する第1現像剤帯電手段と、前記帯電手段の前記像担持体回転方向上流、且つ前記第1部材の前記像担持体回転方向下流において前記像担持体に接触して配置された第2部材に対し、前記トナーの正規の帯電極性と同極性の電圧を印加することで前記像担持体上のトナーを帯電する第2現像剤帯電手段と、を有し、前記転写手段により転写されず前記像担持体の表面に残留したトナーを前記現像手段で回収する画像形成装置において、前記第1部材へ流れる電流を検知する検知手段と、前記検知手段により検知した電流値の絶対値が所定値以下となった場合、前記転写バイアスの値を大きくするように変更し、該転写バイアスの値の変更後、所定時間経過しても前記検知手段により検知した電流値の絶対値が前記所定値を超えない場合、前記目標値を大きくするように変更する制御手段と、を有することを特徴とした。
上記課題を解決するための本発明に係る他の代表的な構成は、回転可能な像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記像担持体に静電像を形成する露光手段と、トナーとキャリアを含む現像剤を収容し、前記像担持体に形成された静電像を前記トナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、該現像手段内の現像剤のトナー濃度が、目標値に近づくようにトナーを補給するトナー補給手段と、転写バイアスが印加されることで、前記像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写手段と、前記帯電手段の前記像担持体回転方向上流、且つ前記転写手段の前記像担持体回転方向下流において前記像担持体に接触して配置された第1部材に対し、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧を印加することで前記像担持体上のトナーを帯電する第1現像剤帯電手段と、前記帯電手段の前記像担持体回転方向上流、且つ前記第1部材の前記像担持体回転方向下流において前記像担持体に接触して配置された第2部材に対し、前記トナーの正規の帯電極性と同極性の電圧を印加することで前記像担持体上のトナーを帯電する第2現像剤帯電手段と、を有し、前記転写手段により転写されず前記像担持体の表面に残留したトナーを前記現像手段で回収する画像形成装置において、前記第2部材へ流れる電流を検知する検知手段と、前記検知手段により検知した電流値の絶対値が所定値以下となった場合、前記目標値を小さくするように変更し、該目標値の変更後、所定時間経過しても前記検知手段により検知した電流値の絶対値が前記所定値を超えない場合、前記転写バイアスの値を小さくするように変更する制御手段と、を有することを特徴とした。
本発明によれば、転写後の像担持体上のトナーを帯電させる部材へのトナー付着を減少させ、長期にわたり高画質、高品質の画像を維持できた。
[第一実施形態]
本発明に係る画像形成装置の第一実施形態について、図を用いて説明する。
(画像形成装置)
図1は本実施形態に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図である。本実施形態の画像形成装置は、接触帯電方式で現像同時クリーニングによるクリーナレス方式のレーザビームプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置である。
この画像形成装置は、第1の像担持体として、回転可能な回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムという)1を有している。感光ドラム1の回転方向(反時計方向)に沿ってその周囲に帯電ローラ(帯電手段)2、現像装置(現像手段)4、接触転写部材としての転写ローラ(転写手段)5、現像剤帯電量制御手段7、8が配置されている。帯電ローラ2と現像装置4間の上方には露光装置(露光手段)3が設置されている。また、感光ドラム1と転写ローラ5間に形成される転写部dの転写材搬送方向の下流側には、定着装置6が設置されている。
感光ドラム1は、本実施形態では外径30mmの負帯電性の有機感光体(OPC)であり、駆動装置(不図示)の駆動によって210mm/secのプロセススピード(周速度)で矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。感光ドラム1は、図2に示すように、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)1aの表面に、光の干渉を抑え上層の接着性を向上させる下引き層1bと、光電荷発生層1cと、電荷輸送層1dの3層を下から順に塗布して構成されている。
帯電ローラ2は、芯金2aの両端部をそれぞれ軸受け部材(不図示)により回転自在に保持されると共に、押し圧バネ2eによって感光ドラム1の中心方向に付勢して感光ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接されている。これにより、帯電ローラ2は、感光ドラム1の回転駆動に従動して回転する。感光ドラム1と帯電ローラ2との圧接部が帯電部(帯電ニップ部)aである。
帯電ローラ2の芯金2aには電源S1より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加されることにより、感光ドラム1の周面が所定の極性・電位に接触帯電処理される。本実施形態では、帯電ローラ2に対する帯電バイアス電圧は直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、直流電圧(−500V)と交流電圧(周波数2kHz、ピーク間電圧1.4kVの正弦波)とを重畳した振動電圧であり、感光ドラム1の周面は−500V(暗電位Vd)に一様に接触帯電処理される。
また、帯電ローラ2の長手方向長さは320mmであり、図2に示すように、芯金(支持部材)2aの外回りに、下層2bと、中間層2cと、表層2dを下から順次に積層した3層構成である。下層2bは帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、表層2dは、感光ドラム1上にピンホール等の欠陥があってもリークが発生するのを防止するために設けている保護層である。
より具体的には、本実施形態における帯電ローラ2の仕様は下記の通りである。
芯金2a;直径6mmのステンレス丸棒
下層2b;カーボン分散の発泡EPDM、比重0.5g/cm、体積抵抗値10〜10Ωcm、層厚3.0mm
中間層2c;カーボン分散のNBR系ゴム、体積抵抗値10〜10Ωcm、層厚700μm
表層2d;フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫とカーボンを分散、体積抵抗値10〜1010Ωcm、表面粗さ(JIS規格10点平均表面粗さRa)1.5μm、層厚10μm
また、帯電ローラ2表面には、帯電ローラ2表面をクリーニングする可撓性を有するフィルム状の帯電ローラクリーニング部材2fが当接するようにして設けられている。帯電ローラクリーニング部材2fは、帯電ローラ2の長手方向に対し平行に配置され、かつ同長手方向に対し一定量の往復運動をする支持部材2gに一端を固定され、自由端側近傍の面において帯電ローラ2と接触ニップを形成するよう配置されている。そして、支持部材2gは、不図示の駆動装置によりギア列を介して帯電ローラ2の長手方向に対し一定量の往復運動駆動するように構成されている。この往復運動駆動によって帯電ローラ2表面が帯電ローラクリーニング部材2fで摺擦される。これにより、帯電ローラ2表面に付着した転写残トナーに再度適量の正規極性の電荷を供給し、感光ドラム1上に戻すことが可能となる。
露光装置3は、本実施形態では半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。露光装置3は、不図示の画像読み取り装置等のホスト処理から入力される画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力して、感光ドラム1の一様帯電処理面を露光位置bにおいて走査露光(イメージ露光)Lする。この走査露光Lにより感光ドラム1面のレーザ光で照射されたところの電位が低下することで、感光ドラム1面には走査露光Lした画像情報に対応した静電潜像(静電像)が順次に形成される。
現像装置4は、本実施形態では2成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置である。現像装置4は、感光ドラム1表面の露光部分(明部)にトナーが付着して静電像が反転現像して、トナー像が形成される。現像装置4は、現像剤を収容した現像容器4aの開口部に固定マグネットローラ4cを内包した回転自在な非磁性の現像スリーブ4bを有している。現像容器4aの現像剤(トナー)4eを、規制ブレード4dで薄層に現像スリーブ4b上にコーティングし、感光ドラム1と対向する現像部cへ搬送する。現像容器4a内の現像剤4eはトナーと磁性キャリアを含むものであり、2つの現像剤攪拌部材4fの回転によって均一に攪拌されながら現像スリーブ4b側に搬送される。
本実施形態における磁性キャリアの抵抗は約1013Ωcm、粒径は40μmであり、トナーは磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。また、現像容器4a内のトナー濃度は、例えば光学式トナー濃度センサ(不図示)によって検知され、この検知情報に基づいてトナーホッパー4gから適正量のトナーを現像容器4aに補給して、トナー濃度を一定に調整する。すなわち、トナーホッパーから現像器にトナーを補給するトナー補給手段は、現像剤のトナー濃度が目標値に近づくようにトナー補給を行う。トナーと現像剤(磁性キャリア+トナー)との比率(トナー/現像剤、以下T/D比と称す)は、トナーの帯電量(電荷量)を一定に保つために、トナー濃度センサによりT/D比8%になるように制御した。すなわち、この場合のトナー濃度目標値は、8%ということになる。このT/D比は上限10%、下限6%として設定しており、上限以上のT/D比になると、現像装置内のキャリアに対して、摩擦帯電可能なトナー量よりも多くなり、現像装置内から飛散してしまう。また下限以下のT/D比になると、現像装置内のトナー量が少なくなり、必要な画像濃度を現像できなくなる。T/D比8%はその中間点である。制御の詳細は、後述する。
現像スリーブ4bは、現像部cにおいて感光ドラム1との最近接距離を300μmに保持して感光ドラム1に近接対向配設されており、現像スリーブ4bは現像部cにおいて感光ドラム1の回転方向(反時計方向)とは逆方向に回転駆動される。
現像スリーブ4bには、電源S2から所定の現像バイアスが印加される。本実施形態において、現像スリーブ4bへ印加する現像バイアス電圧は、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、直流電圧(−350V)と交流電圧(ピーク間電圧2kV)とを重畳した振動電圧である。
転写ローラ(転写部材)5は、感光ドラム1に所定の圧力、本実施形態では総圧1kgをもって当接して転写部dを形成し、電源S3から転写バイアス(トナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の転写バイアス)が印加される。これによって、転写部dにて第2の像担持体としての用紙などの転写材Pに感光ドラム1表面のトナー像(現像剤像)を転写する。
転写ローラ5は、製造時の抵抗ばらつきを抑えることが難しいうえ、雰囲気環境の温湿度変化や耐久劣化などにより抵抗が変化してしまう。このため、転写高圧電源に定電流制御と定電圧制御の出来る制御手段およびこのときの電圧、電流を検知する手段を有している。画像形成の前回転時で感光ドラム1に画像が形成されていない状態で転写バイアスを定電流制御を行う。このときの感光ドラム1の帯電電位と転写ローラ5の抵抗値に対する最適な転写電圧を検知し、画像を転写する際に先に求めた転写電圧で定電圧制御を行う。つまり、画像写動作時に流したい目標転写電流が得られるような転写電圧を決定し、この決定した転写電圧によって画像転写動作が行なわれる。このような制御方法は、特登録02614317や特登録2704277等に示されている。
図8は図1の画像形成装置において多重転写方式に利用したカラー画像形成装置の一例を示す。図8に示すように、カラー画像形成装置において、画像形成手段たるプロセスユニットが、Y、M、C、Kの各色に対応して4個設けられている。各色に対応して、感光ドラム1A〜1D、帯電ローラ2A〜2D、露光装置3A〜3D、現像装置4A〜4D、転写ローラ5A〜5Dを有している。
本実施形態では、転写ローラ5の目標転写電流値が14μAになるような転写バイアスに制御した。この目標転写電流値は、変更することも可能となっているが、上限16μA、下限12μAの範囲での変更となる。
転写電流値が上限以上になると、転写部においてトナーを逆極性である正極性(+)にしやすくなる。多重転写を行う画像形成装置においては、ある作像ステーションで作られ、被転写体に転写されたトナー像が、それ以降の作像ステーションで像担持体に戻ってしまう「再転写」と呼ばれる現象がしばしば発生する。この現象が発生すると、画像むらや濃度低下、そしてカラーバランスのずれ等が発生するという問題が生ずる。クリーナレスの系においては、上流側作像ステーションからのトナーが、下流の異なる色の作像ステーションの現像装置に回収されることとなり、トナーの混色という重大な問題を引き起こす。
転写電流値が下限以下になると、感光ドラム1からトナーを引き剥がすのに十分必要な電界が生じず、結果として画像の濃度低下が生じてしまう。転写電流値14μAはとの中間点である。
定着装置6は、回転自在な定着ローラ6aと加圧ローラ6bを有している。定着ローラ6aと加圧ローラ6b間の定着ニップ部にて転写材Pを挟持搬送しながら、転写材Pの表面に転写されたトナー像を加熱加圧して熱定着する。
現像剤帯電手段7、8は、それぞれ適度の導電性を持ったブラシ状部材7a(第1部材)、8a(第2部材)と、これらを支持する支持部材7b、8bを有している。ブラシ状部材7a、8aは、感光ドラム1表面に接触部e、fで接触している。現像剤帯電手段7、8は、帯電ローラ2の像担持体回転方向上流、且つ転写ローラ5の像担持体回転方向下流に、感光ドラム1に対して直流電圧、または直流、交流の重畳電圧を印加する。
(画像形成動作)
次に、上記画像形成装置による画像形成動作について図1を用いて説明する。
画像形成時には、感光ドラム1は駆動装置(不図示)により矢印方向R1(反時計方向)に所定の周速で回転駆動され、上記の帯電バイアスが印加された感光ドラム1面の進行方向と同方向R2に回転させた帯電ローラ2により表面が一様に帯電される。
そして、帯電された感光ドラム1上に露光装置3により走査露光Lが与えられて、入力される画像情報に応じた静電潜像が形成される。そして、感光ドラム1上に形成された静電潜像に、現像部cにて現像スリーブ4bにより感光ドラム1の帯電極性(負極性)と同極性に帯電されたトナーを付着させて、トナー像として顕像化(反転現像)する。
感光ドラム1上のトナー像が感光ドラム1と感光ドラム1面の進行方向と同方向R5に回転させた転写ローラ5間の転写部dに到達すると、このタイミングに合わせてレジストローラ(不図示)は転写材Pを転写部dに搬送する。
そして、前記トナーと逆極性(正極性)の転写バイアスが印加された転写ローラ5により、転写部dに搬送された転写材Pは、感光ドラム1と転写ローラ4間に発生する静電力により、感光ドラム1上のトナー像を転写される。トナー像を転写された転写材Pは、定着装置6に搬送され、定着ローラ6aと加圧ローラ6b間の定着部にて加熱加圧され、トナー像を熱定着された後、外部に排出され、一連の画像形成動作を終了する。
また、トナー像転写後の感光ドラム1表面に残留している転写残トナーは、感光ドラム1の回転にともない帯電部a、露光部bを経由して現像部cに至る。そして、現像装置4の現像スリーブ4bで次工程以後の現像時に、かぶり取りバイアスによって回収する(現像同時クリーニング)。ここで、かぶり取りバイアスとは、現像スリーブ4bに印加する直流電圧と感光ドラム1の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vbackをいう。回収された転写残トナー(残留現像剤)は、次工程以後に用いられることにより、廃トナーをなくすことができる。
現像スリーブ4bを現像部cにおいて、感光ドラム1面の進行方向とは逆方向R4に回転させている。これは感光ドラム1上の転写残トナーの回収に有利である。また、感光ドラム1面上の転写残トナーは、露光部bを通るので露光工程はその転写残トナー上からなされるが、転写残トナーの量は少ないため、大きな影響は現れない。
(画像不良)
ところで、上述したように転写残トナーには帯電極性が正規極性のもの、逆極性のもの(反転トナー)、帯電量が少ないものが混在している。そのうちの反転トナーや帯電量が少ないトナーが帯電部aを通過する際に帯電ローラ2に付着することで、帯電ローラ2が許容以上にトナー汚染して帯電不良を生じることになる。
また、感光ドラム1面上の転写残トナーの、現像装置4による現像同時クリーニングを効果的に行わせるためには、以下の事が必要となる。それは、現像部cに持ち運ばれる感光ドラム1上の転写残トナーの帯電極性が正規極性であり、かつその帯電量が現像装置4によって感光ドラム1上の静電潜像を現像できるトナーの帯電量であることである。なお、反転トナーや帯電量が適切でないトナーについては、感光ドラム1上から現像装置4に除去・回収できず、不良画像の原因となってしまう。
更に、近年ユーザニーズの多様化に伴い、写真画像などといった高画像比率な画像などの連続画像形成動作などにより、一度に大量の転写残トナーが発生すると、上記と同様に感光ドラム1上から現像装置4に除去・回収できず、不良画像の原因となってしまう。
(画像不良対策)
そこで本実施形態では、第1現像剤帯電手段7と第2現像剤帯電手段8を転写部dと帯電部aの間に設置している。電流検知手段(検知手段)A4は、第1現像剤帯電手段7の第1部材7aに流れる電流を検知する。電流検知手段(検知手段)A5は、第2現像剤帯電手段8の第2部材8aに流れる電流を検知する。
第1部材7aには、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(正極性)の電圧が、電圧印加電源S4により印加されている。第2部材8aには、トナーの正規の帯電極性と同極性(負極性)の電圧が、電圧印加電源S5により印加されている。本実施形態では第1部材7aには+300V、第2部材8aには−800V印加した。
トナー像転写後の感光ドラム1表面に残留する転写残トナーは、感光ドラム1の矢印R1方向の回転に伴って、第1現像剤帯電手段7と感光ドラム1との接触部eに至り、一旦、第1現像剤帯電手段7で正極性に揃えられる。また第1現像剤帯電手段7は、感光ドラム1の回転方向下流に位置する第2現像剤帯電手段8での放電を確実に行わせるため、感光ドラム1の表面電位を0V近傍にする。
第1現像剤帯電手段7で正極性に揃えられた感光ドラム1表面の転写残トナーは、引き続く感光ドラム1の矢印R1方向の回転に伴って、第2現像剤帯電手段8と感光ドラム1との接触部fに到達する。接触部に到達した感光ドラム1表面の転写残トナーは、第2現像剤帯電手段8を通過する際に、その帯電極性が正規極性である負極性に揃えられる。本実施形態では第2現像剤帯電手段8通過後の転写残トナーの帯電量は−70μC/gであった。
次に現像工程における転写残トナーの回収について述べる。
現像装置4は前述したように、現像と同時に転写残トナーを清掃するクリーナレス方式(クリーナレスシステム)である。感光ドラム1上に現像されたトナーの帯電量は、本実施形態においては−25μC/gである。ここで、本実施形態における現像条件(現像手段内の現像剤の濃度)において、転写残トナーが現像装置4に回収されるための、転写残トナーと帯電量との関係を表1に示す。
Figure 0005142697
感光ドラム1上の転写残トナーが現像装置4に回収されるためのトナー帯電量は、現像時のトナー帯電量(−25μC/g)と比較すると0.5〜1.8倍(−12.5μC/g〜−45μC/g)であることが必要である。
しかしながら、上述したように帯電ローラ2へのトナー付着を防止するために、第2現像剤帯電手段8によって−70μC/gと負極性に大きく帯電された転写残トナーを、現像装置4において回収させるためには、除電を行う必要がある。
帯電ローラ2には感光ドラム1表面を帯電処理するために、交流電圧Vac(周波数f=2kHz、ピーク間電圧Vpp=1400V)が印加されていることにより、転写残トナーは交流除電されるのである。本実施形態では帯電部aを通過後のトナー帯電量は−30μC/gとなった。これにより、現像工程において、感光ドラム1上の転写残トナーを現像装置4に回収できる。
このように転写部dから帯電部aへ持ち運ばれる感光ドラム1上の転写残トナーの帯電量を、第1現像剤帯電手段7と第2現像剤帯電手段8とによって、正規極性である負極性(−)に揃えて帯電処理する。また、帯電ローラ2で感光ドラム1を所定の電位に帯電すると同時に、上述の第2現像剤帯電量手段8で正規極性である負極性に帯電処理された転写残トナーの帯電量を、現像装置4によって感光ドラム1の静電潜像を現像できる適切な帯電量に制御する。これにより、転写残トナーの帯電ローラ2への付着を抑制できる。また、現像装置4での転写残トナーの回収も効率的になされる。
(耐久実験)
図3は画像Duty(画像比率;記録面積/転写材面積)5%の画像を通紙耐久した時の、電流検知手段A4により測定された第1現像剤帯電手段7の電流推移と、電流検知手段A5により測定された第2現像剤帯電手段8の電流推移を示したグラフである。第1現像剤帯電手段7は正極性の電圧がかかっているため、通紙耐久していくと、負極性の転写残トナー汚染の影響により、図3のように電流が低下していく。また第2現像剤帯電手段8は負極性の電圧がかかっているため通紙耐久してくと、正極性の転写残トナー汚染の影響により図3のように電流が低下していく。
低画像Duty(本実施形態では1%以下とする)の画像を長期に耐久すると、現像装置の外部に出て消費されて行くトナー量が少なくなり、長期にわたり現像装置内でトナーと磁性キャリアの摺擦が行われ、トナーの電荷量が高くなってしまう。このようなトナーが現像されると、転写部において感光ドラム1からトナーを引き剥がせなくなり、負極性(−)の高い電荷量をもった転写残トナーとなり、第1現像剤帯電手段7に多く蓄積される。
大量に第1現像剤帯電手段7が汚染され、抵抗が高くなり、電流が流れにくくなると、転写残トナーを一旦正極性にする能力が低下し、転写残トナーが帯電部材を汚染し、かぶりなどの画像不良となった。またこのように転写する能力が低いと、そもそもの画像の濃度も低下するという不具合も生じた。
このような画像不良が生じる時の第1現像剤帯電手段7の電流値の絶対値の下限は図3に示す通りである。図3の(1)の領域で電流が推移している場合は上記の画像不良が発生することはないが、(2)の領域に入ってくると、かぶりや濃度低下等の画像不良が発生する。
また高画像Duty(本実施形態では30%とする)の画像を長期耐久すると、現像装置内でのトナーの入れ替わりが早くなり、トナーと磁性キャリアとの摺擦時間が短くなり、トナーの電荷量が低くなってしまう。このようなトナーが現像されると、転写部でトナーとは逆極性の電圧を印加するため、更にトナーの電荷量は低くなり、感光ドラムから転写部材の電界に沿ってトナーが飛翔しづらくなり、結果、転写残トナーが多く発生する。また特に低い電荷量のトナーは逆極性(+)の電荷量の高い転写残トナーになり、再び感光ドラム1に戻ってしまう再転写という現象になりやすい。このような転写残トナーは第2現像剤帯電手段8に多く蓄積される。
大量に第2現像剤帯電手段8が汚染され、抵抗が高くなり、電流が流れにくくなると、転写残トナーに電荷を付与する能力が低下し、転写残トナーが帯電部材を汚染し、かぶりなどの画像不良となった。
このような画像不良が生じる時の第2現像剤帯電手段8の電流値の絶対値の下限は図3に示す通りである。図3の(3)の領域で電流が推移している場合は上記の画像不良が発生することはないが、(4)の領域に入ってくると、かぶり等の画像不良が発生する。
図4は常時5%画像Duty耐久に対して、耐久枚数3〜8K枚間に5%画像Dutyから画像Dutyを変化させた時の、現像装置内の電荷量の変化を示したグラフである。図4に示すように、5%画像Dutyから低画像Duty(1%画像Duty)、高画像Duty(30%画像Duty)に変化させた。低画像Dutyの画像を長期耐久すると現像装置内の電荷量は高くなり、高画像Dutyの画像を長期耐久すると現像装置内の電荷量が低くなり、転写残トナーが多くなってしまう。
このような転写残トナーの増化による画像不良を予測して、現像剤帯電手段7、8に印加する電圧を予め強めに設定すると、現像剤帯電手段7、8が汚染されていない時に転写残トナーに強めに電荷を付与することになり、現像装置4に回収しにくくなる。
また現像剤帯電手段7、8の汚れ量、若しくは流れる電流量によって、現像剤帯電手段7、8に印加する電圧を変化させる制御も考えられる。しかし、著しく汚染された場合、現像剤帯電手段7、8に付着する転写残トナーの汚れは一様に均一ではなく、電流が流れやすい所を電流が流れにくい所が存在し適切ではない。
現像剤帯電手段7、8に流れる電流量を所定の範囲内になるように、転写残トナー量をコントロールすることで、上記の画像不良を抑制できる。以下、具体的に、転写残トナー量の制御について説明する。
(転写残トナー量の制御)
本実施形態では電流検知手段A4、A5で検知した電流値が所定値以下になった場合に、現像装置内のT/D比(目標値)を変化させるように制御した。
具体的には、第1現像剤帯電手段7の電流値が図3の(2)の領域に入る寸前の3μA以下になったことを電流検知手段A4が検知した場合に、現像装置内のT/D比を上限の10%になるように制御した。すなわち、トナー濃度(T/D比)の目標値を大きくするように変更する。このような制御動作は、制御手段(CPU)10によって行われる。第1現像剤帯電手段7が著しく汚染されて電流量が低くなるのは、上述した通り現像装置内のトナーの電荷量が高くなる時である。そこで、現像装置内のT/D比を中心値の8%から上限の10%に変更することで、磁性キャリアに対してトナーの量が多くなり、摺擦機会が少なくなり、トナーの電荷量の増加を緩和できる。
また第2現像剤帯電手段8の電流値が図3の(4)の領域に入る寸前の−4μA以上になったことを電流検知手段A5が検知した時に、現像装置内のT/D比を下限の6%になるように制御した。すなわち、トナー濃度(T/D比)の目標値を小さくするように変更する。このような制御動作は、制御手段(CPU)10によって行われる。第2現像剤帯電手段8が著しく汚染されて電流量が低くなるのは、上述した通り現像装置内のトナーの電荷量が低くなる時である。そこで、現像装置内のT/D比を中心値の8%から下限の6%に変更することで、磁性キャリアに対してトナーの量が少なくなり、摺擦機会が多くなり、トナーの電荷量の低下を緩和できる。
ところで、現像剤帯電手段7,8がトナーで大量に汚れるのは、通常、いずれかの一方である。従って、もし、第1現像剤帯電手段7に流れる電流値の絶対値と、第2現像剤帯電手段8に流れる電流値の絶対値の両方が、それぞれの下限値以下となった場合には、画像形成装置の異常と判断し、その旨をユーザに知らせる。その際、画像形成装置動作をさせないようにしても良い。
また現像剤帯電手段7、8の電流値が図3の(1)、(3)の領域に戻ったら、現像装置内のT/D比を元の8%に戻すようにした。完全にもどるとは、図3での実線のグラフの範囲に戻ることを言う。
図5は上記のT/D比の制御を行った場合の、常時5%画像Duty耐久に対して、耐久枚数3〜8K枚間に5%画像Dutyから画像Dutyを変化させた時の、現像装置内の電荷量の変化を示したグラフである。図5に示すように、5%画像Dutyから低画像Duty(1%画像Duty)、高画像Duty(30%画像Duty)に変化させた。
図5に示すように、途中で画像比率が極端に下がったり上がったりしても、現像装置内のトナーの電荷量が最適な範囲内(−12.5μC/g〜−45μC/g)で推移し、画像不良の発生を抑制できる。
上記構成により、様々な画像Dutyを作像しつづけても、現像装置内のトナーの電荷量は最適な範囲内となる。これにより、転写残トナーも少なく、現像剤帯電手段7、8の汚染も少なくなり、帯電ローラ汚れによるかぶり等の画像不良の発生を抑制でき、良好な画像を維持できる。
[第二実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第二実施形態について図を用いて説明する。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の画像形成装置は、上記第一実施形態の画像形成装置において、電流検知手段A4、A5で検知した電流値に応じて、転写条件である転写バイアスの値を変更させるように制御したものである。転写電圧を決定する際の目標転写電流値を変更することで、転写バイアスが変更される。
具体的には、第1現像剤帯電手段7の電流値が図3の(2)の領域に入る寸前の3μA以下になったことを電流検知手段A4が検知した時に、目標転写電流値を上限の16μAになるように制御した。すなわち、転写バイアスの値を大きくするように変更する。このような制御動作は、制御手段(CPU)10によって行われる。第1現像剤帯電手段7が著しく汚染されて電流量が低くなるのは、上述した通り現像装置内のトナーの電荷量が高くなる時である。そのようなトナーを転写させるため、転写電流中心設定値より強い転写電流となる転写バイアスが印加される。これにより、感光ドラム1から転写体へトナーを引き剥がしやすくなり、トナーの転写効率を高くできる。
また制御手段8の電流値が図3の(4)の領域に入る寸前の−4μA以上になったと電流検知手段A5が検知した時に、目標転写電流値を下限の12μAになるように制御した。すなわち、転写バイアスの値を小さくするように変更する。このような制御動作は、制御手段(CPU)10によって行われる。第2現像剤帯電手段8が著しく汚染されて電流量が低くなるのは、上述した通り現像装置内のトナーの電荷量が低くなる時である。すなわち、そのようなトナーが感光ドラム1へ現像されると、転写部においてトナーとは逆極性の電圧を印加するため、逆極性のトナーとなりやすく、感光ドラム1へ再転写されてしまう。そこで、そのようなトナーに転写電流中心設定値より弱い転写電流となる転写バイアスが印加される。これにより、転写部において逆極性のトナーになることを抑制する。
ところで、現像剤帯電手段7,8がトナーで大量に汚れるのは、通常、いずれかの一方である。従って、もし、第1現像剤帯電手段7に流れる電流値の絶対値と、第2現像剤帯電手段8に流れる電流値の絶対値の両方が、それぞれの下限値以下となった場合には、画像形成装置の異常と判断し、その旨をユーザに知らせる。その際、画像形成装置動作をさせないようにしても良い。
また現像剤帯電手段7、8の電流値が図3の(1)、(3)の領域に完全に戻ったら、目標転写電流値を元の14μAに戻すようにした。
図6は図8の多重転写方式のカラー画像形成装置において、トナー電荷量と転写残トナー濃度、再転写トナー濃度との関係を示す図である。
図6に示すように、各色のトナー電荷量−45μC/gの時の、3つ目の作像ステーションCの転写残トナー濃度を測定した。各色のトナー電荷量−45μC/gの時の、2つ目の作像ステーションMから3つ目の作像ステーションCへ再転写トナー濃度を測定した。各色のトナー電荷量−25μC/gの時の、3つ目の作像ステーションCの転写残トナー濃度を測定した。各色のトナー電荷量−25μC/gの時の、2つ目の作像ステーションMから3つ目の作像ステーションCへ再転写トナー濃度を測定した。
トナー濃度は、感光ドラム1へ残ったトナーをテープ剥離して反射濃度(X−rite)を測定したものである。本実施形態ではトナー濃度が0.025以上になると、制御手段7、8の汚染が著しく悪くなり、かぶりなどの画像不良が生じた。
トナー電荷量−25μC/gの時、かぶりが生じない転写電流の範囲Pの中心値は14μAであった。トナー電荷量−45μC/gの時、かぶりが生じない転写電流の範囲Qの中心値は16μC/gであった。
現像剤のトナー電荷量が高くなるほど、感光ドラム1から引き剥がすのに必要な電流値が高くなるので、高い転写電流が必要である。また転写電流を高くしても元々のトナーの電荷量が高いので逆極性(+)の電荷になりづらく、再転写の上限も高くシフトする。
図7は図8の多重転写方式のカラー画像形成装置において、トナー電荷量と転写残トナー濃度、再転写トナー濃度との関係を示す図である。
図7に示すように、各色のトナーの電荷量が−10μC/gの時の、3つ目の作像ステーションのCの転写残トナー濃度を測定した。各色のトナーの電荷量が−10μC/gの時の、2つ目の作像ステーションからMから3つ目の作像ステーションのCへ再転写トナー濃度を測定した。各色のトナーの電荷量が−25μC/gの時の、3つ目の作像ステーションのCの転写残トナー濃度を測定した。各色のトナーの電荷量が−25μC/gの時の、2つ目の作像ステーションからMから3つ目の作像ステーションのCへ再転写トナー濃度を測定した。
トナー電荷量−25μC/gの時、かぶりが生じない転写電流の範囲Pの中心値は14μAであった。トナー電荷量−10μC/gの時、かぶりが生じない転写電流の範囲Rの中心値は12μC/gであった。
現像剤のトナー電荷量が低くなるほど、逆極性(+)の電荷になりやすく、再転写の上限は低めにシフトする。また転写電流を低くしてもトナーの電荷量が低いので感光ドラム1からトナーを引き剥がすのは容易である。
このように、現像装置内のトナーの電荷量が変化した時に、転写電流を最適な範囲に調整することにより、転写残トナーや再転写トナーを少なくし、現像剤帯電手段7、8の汚染を抑制できる。上記のように電流検知手段A4、A5で検知した電流値によって転写バイアス(転写電流)を最適にすることで、帯電ローラ汚れによるかぶり等の画像不良の発生を抑制でき、良好な画像を維持できる。
[第三実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第三実施形態について図を用いて説明する。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の画像形成装置は、上記第一実施形態の現像対策(トナー濃度目標値の変更)、上記第二実施形態の転写対策(転写バイアスの制御)を組み合わせたものである。現像装置4と転写ローラ5は、電流検知手段A4、A5により検知された電流値に基づいて、現像装置4の現像条件と転写ローラ5の転写条件のいずれかを優先的に選択し決める。
具体的には、第1現像剤帯電手段7の電流値が図3の(2)の領域の場合には、現像対策は現像装置内のT/D比を8%→10%とし、転写対策は転写設定電流を14μA→16μAとした。第2現像剤帯電手段8に電流値が図3の(4)の領域の場合には、現像対策は現像装置内のT/D比を8%→6%とし、転写対策は転写設定電流を14μA→12μAとした。
表2は現像対策(現像装置内のT/D比)と転写対策(転写設定電流)による、制御手段7の電流値が図3の(2)→(1)の領域に移行するのに必要な時間と、制御手段8の電流値が図3の(4)→(3)の領域に移行するのに必要な時間を記したものである。
Figure 0005142697
第1現像剤帯電手段7の電流値が(2)の領域の場合とは、第1現像剤帯電手段7が汚染した場合であって、現像装置内のトナーの電荷量が高い場合である。トナーの電荷量が高い場合には、発生する画像不良は転写不良によるものであり、表2からもわかるように、対策としては転写設定電流にフィードバックする方が効果が早い。
第2現像剤帯電手段8の電流値が(4)の領域の場合とは、第2現像剤帯電手段8が汚染した場合であって、現像装置内のトナーの電荷量が低い場合である。トナーの電荷量が低い場合は、上流の作像ステーションから再転写が発生するよりも早く、自分の作像ステーションでかぶりが発生する方が早く、表2からもわかるように、現像装置内のT/D比にフィードバックする方が効果が早い。
そこで本実施形態では、第1現像剤帯電手段7の電流値の絶対値が下限(本実施形態では3μA)以下になった場合に、まず転写設定電流にフィードバックする。すなわち、転写バイアスの値を大きくするように変更する。そして、その変更後、所定時間経過(60s)しても、電流値の絶対値が前記下限を超えない場合、すなわち(1)の領域に移行しない場合、現像装置内のT/D比にフィードバックするようにした。すなわち、現像剤のトナー濃度目標値を大きくするように変更する。
また第2現像剤帯電手段8の電流値の絶対値が下限(本実施形態では4μA)以下になった場合に、まず現像装置内のT/D比にフィードバックする。すなわち、現像剤のトナー濃度目標値を小さくするように変更する。そして、その変更後、所定時間経過(30s)しても、電流値の絶対値が前記下限を超えない場合、すなわち(3)の領域に移行しない場合、転写設定電流にフィードバックするようにした。すなわち、転写バイアスの値を小さくするように変更する。
以上のような制御動作は、制御手段(CPU)10によって行われる。
上記第一実施形態は現像剤帯電手段の電流値を現像装置内のT/D比にフィードバックし、上記第二実施形態は現像剤帯電手段の電流値を転写電流設定値にフィードバックした。本実施形態では、この2つを組み合わせ、現像剤帯電手段7、8の電流値によって、フィードバック先に優先順位を持たせることにより、より早く現像剤帯電手段の汚染を良化することができた。これにより、帯電ローラ汚れによるかぶり等の画像不良の発生を抑制でき、良好な画像を維持できる。
(その他の構成)
上記した各実施形態では、第1部材7と第2部材8はブラシ状部材で構成されていたが、これ以外にも、ブラシ回転体、弾性ローラ体、シート状部材など任意の形態の部材でもよい。
また上記したT/D比、転写電流値の設定中心、上限、下限値は、一例であり、画像形成装置、環境、耐久条件によってT/D比、転写電流の設定値は任意である。
また上記実施形態では現像剤帯電量制御手段の電流値を現像条件のT/D比にフィードバックさせたが、その他の現像条件、例えば現像剤の攪拌時間、攪拌スピード等にフィードバックすることも可能である。
また上記実施形態では現像剤帯電量制御手段の電流値を転写条件の転写電流設定値にフィードバックさせたが、その他の転写条件、例えば転写ローラの感光ドラムに対する圧力等にフィードバックすることも可能である。
また、感光ドラム1は、その表面抵抗が10〜1014Ω・cmの電荷注入層を設けた直接注入帯電性のものであってもよい。電荷注入層を用いていない場合でも、例えば電荷輸送層が上記の抵抗範囲にある場合も同等の効果が得られる。更に、感光ドラム1として、表層の体積抵抗が約1013Ω・cmであるアモルファスシリコン感光体を用いてもよい。
上記した各実施形態では、可撓性の帯電手段として帯電ローラ2を用いた構成であったが、これ以外にも、例えばファーブラシ、フェルト、布などの形状・材質のものも使用可能である。更に、各種材質のものを組み合わせることによって、より適切な弾性、導電性、表面性、耐久性のものを得ることができる。
上記した各実施形態の帯電ローラ2や現像スリーブ4bに印加する振動電界の交番電圧成分(AC成分、周期的に電圧値が変化する電圧)の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等を適宜使用可能である。更に、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成された矩形波であってもよい。
また、上記した各実施形態では、感光ドラム1の帯電面に対する露光手段(情報書き込み手段)としてレーザ走査手段の露光装置3を用いたが、これ以外にも、例えばLEDのような固体発光素子アレイを用いたデジタル露光手段であってもよい。更に、ハロゲンランプや蛍光灯等を原稿照明光源とするアナログ的な画像露光手段であってもよい。
また、上記した各実施形態では、第1の像担持体として感光ドラムを用いた構成であったが、像担持体が静電記録誘電体などであってもよい。この場合は、静電記録誘電体の表面を一様に帯電した後、その帯電面を除電針ヘッドや電子銃等の除電手段で選択的に除電して、目的の画像情報に対応した静電潜像を書き込み形成する。
また、上記した各実施形態では、転写手段として転写ローラを用いたローラ転写であったが、これ以外にも、ブレード転写、ベルト転写、その他の接触転写帯電方式であってもよいし、コロナ帯電器を使用した非接触転写帯電方式でもよい。
また、上記した各実施形態のように直接転写体に転写する手段以外にも、転写ドラムや転写ベルトなどの中間転写体を用いて単色画、フルカラー画像を形成する画像形成装置であってもよい。
第一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 感光ドラムと帯電ローラの断面図である。 画像耐久枚数に対する現像剤帯電量制御手段の電流量推移を示す図である。 画像耐久枚数に対する現像装置内のトナー電荷量推移を示す図である。 T/D比制御をした時の、画像耐久枚数に対する現像装置内のトナー電荷量推移を示す図である。 第二実施形態に係るトナー電荷量と転写残トナー濃度、再転写トナー濃度との関係を示す図である。 第二実施形態に係るトナー電荷量と転写残トナー濃度、再転写トナー濃度との関係を示す図である。 カラー画像形成装置の概略構成図である。
符号の説明
A4、A5 …電流検知手段(検知手段)
L …走査露光
P …転写材
S1〜S5 …電源
a …帯電部
b …露光位置
c …現像部
e …接触部
f …接触部
1 …感光ドラム(像担持体)
1a …アルミニウム製シリンダ
1b …下引き層
1c …光電荷発生層
1d …電荷輸送層
2 …帯電ローラ(帯電手段)
2a …芯金
2b …下層
2c …中間層
2d …表層
2e …押し圧バネ
2f …帯電ローラクリーニング部材
2g …支持部材
3 …露光装置(露光手段)
4 …現像装置(現像手段)
4a …現像容器
4b …現像スリーブ
4c …固定マグネットローラ
4d …規制ブレード
4e …現像剤
4g …トナーホッパー
5 …転写ローラ
6 …定着装置
6a …定着ローラ
6b …加圧ローラ
7、8 …現像剤帯電手段
10 …制御手段

Claims (2)

  1. 回転可能な像担持体と、
    前記像担持体を帯電する帯電手段と、
    前記帯電手段により帯電された前記像担持体に静電像を形成する露光手段と、
    トナーとキャリアを含む現像剤を収容し、前記像担持体に形成された静電像を前記トナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、
    該現像手段内の現像剤のトナー濃度が、目標値に近づくようにトナーを補給するトナー補給手段と、
    転写バイアスが印加されることで、前記像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写手段と、
    前記帯電手段の前記像担持体回転方向上流、且つ前記転写手段の前記像担持体回転方向下流において前記像担持体に接触して配置された第1部材に対し、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧を印加することで前記像担持体上のトナーを帯電する第1現像剤帯電手段と、
    前記帯電手段の前記像担持体回転方向上流、且つ前記第1部材の前記像担持体回転方向下流において前記像担持体に接触して配置された第2部材に対し、前記トナーの正規の帯電極性と同極性の電圧を印加することで前記像担持体上のトナーを帯電する第2現像剤帯電手段と、
    を有し、
    前記転写手段により転写されず前記像担持体の表面に残留したトナーを前記現像手段で回収する画像形成装置において、
    前記第1部材へ流れる電流を検知する検知手段と、
    前記検知手段により検知した電流値の絶対値が所定値以下となった場合、前記転写バイアスの値を大きくするように変更し、該転写バイアスの値の変更後、所定時間経過しても前記検知手段により検知した電流値の絶対値が前記所定値を超えない場合、前記目標値を大きくするように変更する制御手段と、
    を有することを特徴とした画像形成装置。
  2. 回転可能な像担持体と、
    前記像担持体を帯電する帯電手段と、
    前記帯電手段により帯電された前記像担持体に静電像を形成する露光手段と、
    トナーとキャリアを含む現像剤を収容し、前記像担持体に形成された静電像を前記トナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、
    該現像手段内の現像剤のトナー濃度が、目標値に近づくようにトナーを補給するトナー補給手段と、
    転写バイアスが印加されることで、前記像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写手段と、
    前記帯電手段の前記像担持体回転方向上流、且つ前記転写手段の前記像担持体回転方向下流において前記像担持体に接触して配置された第1部材に対し、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧を印加することで前記像担持体上のトナーを帯電する第1現像剤帯電手段と、
    前記帯電手段の前記像担持体回転方向上流、且つ前記第1部材の前記像担持体回転方向下流において前記像担持体に接触して配置された第2部材に対し、前記トナーの正規の帯電極性と同極性の電圧を印加することで前記像担持体上のトナーを帯電する第2現像剤帯電手段と、
    を有し、
    前記転写手段により転写されず前記像担持体の表面に残留したトナーを前記現像手段で回収する画像形成装置において、
    前記第2部材へ流れる電流を検知する検知手段と、
    前記検知手段により検知した電流値の絶対値が所定値以下となった場合、前記目標値を小さくするように変更し、該目標値の変更後、所定時間経過しても前記検知手段により検知した電流値の絶対値が前記所定値を超えない場合、前記転写バイアスの値を小さくするように変更する制御手段と、
    を有することを特徴とした画像形成装置。
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