JP5142421B2 - 透明蒸着用2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム - Google Patents
透明蒸着用2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は透明蒸着用ポリエステルフィルムおよび透明蒸着ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
食品や薬品を長期保存するためには、腐敗や変質を防ぐために外部からの酸素や水蒸気の浸入を遮断する効果をもった包装を行う必要がある。この目的に使用されるガスバリアに優れたフィルム包装に、近年特に内容物の状態を確認できる透明性が要求されるようになっている。
【0003】
透明なガスバリアフィルムとして、ポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合体を積層したものが知られているが、酸素・水蒸気のバリア性が十分ではなく、特に高温での殺菌処理においてその低下が著しい。また、ポリ塩化ビニリデンは廃棄焼却時に塩素系ガスが発生するため焼却炉の腐食や地球環境への悪影響が指摘されており、更に排ガスを浄化するための焼却炉への負担も大きいとされている。
【0004】
これらの問題を解決する包装フイルムとして、酸化珪素や酸化アルミニウム膜を形成した透明蒸着フィルムは良好なバリア性を示すが、ボイル・レトルト処理を行うとガスバリア性やと蒸着膜の密着力が低下する問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような問題を解決することを目的とする。すなわち本発明は、酸素及び水蒸気の遮断性優れ、かつ蒸着膜とポリエステルフィルムの密着力が優れ、ボイル・レトルト処理に好適な透明蒸着用ポリエステルフィルムおよび透明蒸着ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の式(1)〜(8)を満足し、二酸化珪素粒子を含有することを特徴とする透明蒸着用2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム。
0.160 ≦ fn ≦ 0.180 ・・・ (1)
1.495 ≦ nZD ≦ 1.505 ・・・ (2)
250MPa ≦ Y150 ・・・ (3)
215℃ ≦ Tmeta ≦ 231℃ ・・・ (4)
25当量/トン≦ COOH≦ 60当量/トン ・・・ (5)
Tmeta ≧ 245 − 0.5×COOH ・・・ (6)
5nm ≦ SRa ≦ 80nm・・・ (7)
10ヶ/0.1mm 2 ≦ SPc ≦ 130ヶ/0.1mm 2 ・・・ (8)
fn : 面配向係数
nZD : 厚さ方向の屈折率
Y150 : 150℃雰囲気下での長手方向のヤング率
Tmeta : フィルムの融解サブピーク
COOH : フィルムのカルボキシル末端基量
SRa: 中心線面粗さ
SPc: 山数
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明でいうポリエステルフィルムのポリエステルとはエステル結合の点からエチレンテレフタレート単位を主構成成分とするものが好ましい。以下、本発明でいうポリエステルはポリエチレンテレフタレートと読み替える。
【0008】
本発明に使用されるポリエステル系樹脂には、酸成分として例えば、テレフタル酸の芳香族ジカルボン酸を用いることができる。一方アルコール成分として例えば、エチレングリコールの脂肪族ジオールを用いることができる。さらに、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルを共重合してもよい。なお、2層以上に共押出し積層フィルムとして使用しても良い。
【0009】
また、このポリエステル系樹脂の中に公知の添加剤、例えば、耐熱安定剤,耐酸化安定剤,耐候安定剤,紫外線吸収剤,有機の易滑剤,顔料,染料,充填剤,帯電防止剤,核剤などを配合しても良い。上記で述べたようなポリエステル系樹脂の極限粘度(25℃のオルソクロロフェノール中で測定)は、0.40〜1.20が好ましく、より好ましくは0.50〜0.80、更に好ましくは0.55〜0.75dl/gの範囲である。さらに、蒸着膜との接着性の点から基材となるポリエステルフィルムのカルボキシル末端基量は25〜60当量/トンで、好ましくは35当量/トン〜45当量/トンである。カルボキシル末端基量が25当量/トン未満であると蒸着膜との密着性が低下するため好ましくない。またカルボキシル末端基量が60当量/トンを越えると着色したり、ポリエステルフィルムの製膜性が悪化するので好ましくない。
【0010】
使用される各種粒子の径は特に限定されないが、通常は沈降法あるいは光散乱法により測定した平均粒径が0.05〜8.0μm、好ましくは0.1〜4.0μmをその代表として挙げることができる。
【0011】
さらに本発明のフィルムは各種コーティングを施しても良く、特に限定するものではないが、製造・環境面を考慮すると、水系または水分散系塗剤をフィルム製膜中に塗布したものが好ましい。
【0012】
本発明のポリエステルフィルムは2軸配向されたものであることが必要である。2軸配向ポリエステルフイルムとは、無延伸状態のポリエステルシートまたはフイルムを、長手方向及び幅方向の、いわゆる2軸方向に延伸されて作られるものであり、広角X線回折で2軸配向のパターンを示すものをいう。2軸方向への延伸方法は逐次2軸延伸、同時2軸延伸のどちらでもよいが、同時2軸延伸はフィルム表面に傷が発生しにくいので望ましい。
【0013】
本発明の2軸配向ポリエステルフイルムの厚さは特に限定されないが、通常は0.5〜500μm、好ましくは1〜300μm、さらに好ましくは4〜30μmである。
【0014】
フィルム構成としては、単層、A/Bの2層、A/B/AあるいはA/B/Cの3層、さらに3層よりも多層の積層構成であってもよく、積層厚み比も任意に設定してよい。さらに、これら以外の層を積層してもよく、具体的には、帯電防止層、マット層、ハードコート層、易滑コート層、易接着層、粘着層などが例示される。
【0015】
本発明のポリエステルフィルムにおいて面配向係数(fn)が0.160〜0.180であることが必要であり、好ましくは0.163〜0.175である。面配向係数(fn)が0.160未満であるとフィルムの剛直性が失われ加工性が悪化したり、ポリエステルフィルム自身のガスバリア性が悪化するので好ましくない。また、面配向係数(fn)が0.180を越えると蒸着膜との密着力が低下するため好ましくない。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムにおいて厚さ方向の屈折率(nZD)が1.495〜1.505であることが必要である。厚さ方向の屈折率(nZD)が1.495未満であると蒸着膜との密着性の悪化やフィルムの劈開による包装材の強度低下などの問題が生じるため好ましくない。また1.505を越えると加工特性や生産性が悪化するため好ましくない。
【0017】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、150℃雰囲気下での長手方向のヤング率が200MPa以上であることが必要で、好ましくは230MPa以上、更に好ましくは250MPa以上であることが望ましい。150℃雰囲気下での長手方向のヤング率が200MPa未満であると蒸着加工時の外力に対して伸びやすくなり、加工性が悪化するため望ましくない。上限は特に規定されないが、通常は400MPa程度である。
【0018】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、フィルムの融解サブピーク(Tmeta)が215〜240℃であることが必要であり、好ましくは225〜235℃である。Tmetaが215℃未満であると高温における熱寸法安定性が悪化するので好ましくない。また、Tmetaが240℃を越えるとフィルムが脆化するので好ましくない。
【0019】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、フィルム融解サブピーク(Tmeta)とカルボキシル末端基量(COOH)との関係が、Tmeta≧245−0.5×COOH であることが必要である。蒸着膜の密着性はカルボキシル末端基量が多いほど、フィルムの融解サブピークが高いほど良好である。フィルムの融解サブピークが Tmeta<245−0.5×COOH の範囲では、蒸着膜とポリエステルフィルムとの密着力が十分でなくデラミ等の問題が発生するために好ましくない。
【0020】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、フィルム表面オリゴマー量が60mg/m2以下であることが好ましく、更に好ましくは50mg/m2以下である。フィルム表面オリゴマー量が60mg/m2以上であると表面に析出したオリゴマーが蒸着膜欠陥の原因となりガスバリア性を悪化させるため好ましくない。フィルム表面オリゴマー量の下限は特に無いが、通常は20mg/m2程度である。
【0021】
本発明のポリエステルフイルムにおいて、蒸着面側表面の中心線面粗さ(SRa)は、好ましくは5〜80nm、さらに好ましくは10〜50nmである。SRaが5nm未満であれば、滑りが悪くなってフイルムをロール上に巻くことができなくなる等の問題がある。SRaが80nmを越えれば、蒸着後のガスバリア性及び防湿性が悪化する。このSRaは3次元表面粗さのパラメーターで中心面平均粗さのことである。また、蒸着面側表面の山数(SPc)は、好ましくは10〜150ヶ/0.1mm2、さらに好ましくは30〜130ヶ/0.1mm2である。SPcが10ヶ/0.1mm2未満であれば、滑りが悪くなってフイルムをロール上に巻くことができなくなる等の問題がある。SPcが150ヶ/0.1mm2を越える場合は、蒸着後のガスバリア性が悪化する。このSPcは3次元表面粗さのパラメーターで山数のことである。粗さ曲面の中心面に平行な平面を中心面の上下に設け、上下の2平面とも山と認めた山数を計測し、指定した面積当たりに換算して表したものである。
【0022】
本発明のポリエステルフイルムにおいて、フィルムヘイズは5.0%以下が好ましく、更に好ましくは3.0%以下である。ヘイズが5.0%を越えると内容物の可視性が悪くなるため好ましくない。フィルムヘイズに特に下限は無いが通常0.1%程度である。
【0023】
本発明のフィルム表面には公知の表面処理、すなわち低温プラズマ処理やコロナ放電処理等が行われても良く、蒸着面の濡れ張力は50mN/m以上が望ましい。上限は特に無いが、通常は58mN/m程度である。
【0024】
本発明のポリエステルフイルムに設ける透明蒸着層としては、酸化珪素膜,酸化アルミニウムに代表される金属酸化物を挙げることができる。蒸着層の厚さは特に限定されないが、生産性、ハンドリング性、外観から5〜150nmが好適である。
【0025】
次に本発明の蒸着2軸配向ポリエステルフイルムの代表的製造方法について説明するが、特にこれに限定されるものではない。
【0026】
重合段階でカルボキシル末端基量(COOH)を調整し析出粒子または無機粒子または有機粒子を含有する樹脂(2軸配向ポリエステルフイルムを構成すべき樹脂)を所定の条件で乾燥を行い、押出機等での方法で溶融した後、フイルム状物に成形(通常は冷却ドラム上で)する。このフイルムを75〜130℃に加熱して、長手方向に2.0〜9.0倍に延伸して1軸配向フイルムとする。この1軸配向フイルムを75〜130℃に加熱しつつ、幅方向に2.0〜9.0倍延伸し、引き続いて、170〜240℃の熱処理ゾーン中へ導いて、1〜10秒間熱処理する。この熱処理中に、必要に応じて幅方向に0〜12%の弛緩処理を施してもよい。また、長手方向、幅方向を端部をクリップで把持し同時に2軸延伸を施してもよい。同時2軸延伸はフィルム表面に傷が発生しにくく望ましい。
【0027】
このようにして得られた2軸配向ポリエステルフイルムに蒸着層を設ける。金属の蒸着膜を設けるには、真空プロセスが用いられる。真空プロセスは、真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング法などが、その代表例として挙げられる。好ましい方法としては、真空蒸着法が挙げられる。
【0028】
金属酸化物の蒸着膜を設けるには、真空プロセスが用いられる。真空プロセスは、真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング法,化学気相蒸着法などが適宜用いられ、いずれも限定されないが、反応性蒸着法が生産性,コストの点でより好ましく用いることができる。反応性蒸着法において酸化アルミニウムを蒸着させるには、アルミニウム金属やアルミナを抵抗加熱のボート方式やルツボの高周波誘導加熱、電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下で2軸配向ポリエステルフイルム上に酸化アルミニウムを堆積させる方式が採用される。酸化雰囲気を形成するための反応性ガスとして酸素を主体に水蒸気や希ガスを加えたりしても良い。更にオゾンを加えたりイオンアシストなどの反応を促進する手法も採用されて良い。これら真空プロセス中での2軸配向ポリエステルフイルム表面のプラズマ処理を併用すると、ガスバリア性,透湿性が向上しより好ましい。
【0029】
酸化珪素を反応性蒸着法で蒸着するには、Si金属,SiOやSiO2を電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下で2軸配向ポリエステルフイルム上に酸化珪素を堆積させる方式が採用される。酸化雰囲気を形成する方法は、上記の方法が用いられる。
【0030】
【特性値の測定法】
本発明の特性値の測定方法および効果の評価方法は次の通りである。
【0031】
(1)屈折率、面配向係数
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて測定した。面配向係数は長手方向、幅方向、厚さ方向の屈折率(nMD、nTD、nZD)からfn=(nMD+nTD)/2−nZDを計算して求めた。
【0032】
(2)ヤング率
150℃雰囲気下にてテンシロン(引っ張り試験機)を用いて、引っ張り速度200mm/分、幅10mm、試料長100mmとしてS−Sカーブを得た。得られたS−Sカーブでの1%伸び以内でのS−Sカーブの最大傾斜の接線の1次式より弾性率を求めヤング率とした。
【0033】
(3)フィルム融解のサブピーク(Tmeta)
フィルムを示差走査熱量計(パーキン・エルマー社製DSC−2型)により、20℃/分の昇温速度で測定した。この測定により観測される擬結晶の変態により発生するサブピーク温度をTmetaとした。Tmetaは製膜行程中の熱処理温度の履歴として出現する。
【0034】
(4)カルボキシル末端基量(COOH)
原料チップをo−クレゾール中に入れ攪拌しながら100℃に加熱溶解し、室温まで冷却後、N/50のアルカリ溶液で滴定を行った。滴定量から次の式
A=試料滴定量(ml)
B=ブランク滴定量(ml)(溶媒の滴定量)
W=試料重量(g)
COOH(当量/トン)=((A−B)× 1/50 ×10e3)/ W
によりカルボキシル末端基量(COOH)を算出した。
【0035】
(5)表面オリゴマー量
40mm×40mmのサンプル1枚を25℃のクロロホルム50mLで60分間抽出し、日立製220Sスペクトルメーターにて抽出液の250nmにおける吸光度(ABS250)を測定した。表面オリゴマー量は下記計算式
表面のオリゴマー量(mg/m2)=ABS250×66.469
より求めた。
【0036】
(6)中心線面粗さ(SRa)、山数(SPc)
3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 250(μm)
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5(μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±6.25(nm)
基準面積 0.1(mm2)。
【0037】
(7)ぬれ張力
JIS−K−6768−1995に記載された方法に従い、フイルム表面の濡れ張力を測定した。
【0038】
(8)ガスバリア性
A.水蒸気透過率
蒸着48時間後に、モダンコントロール社製水蒸気透過率計PERMATRAN−W1Aを用いてJIS−K−7129−1992に記載されたB法に従い、40℃90RH%の条件で測定した。測定した水蒸気透過率で次のように評価した。
◎:0(g/m2・day)以上,2(g/m2・day)未満
○:2(g/m2・day)以上,4(g/m2・day)未満
×:4(g/m2・day)以上。
【0039】
B.酸素透過率
蒸着48時間後に、モダンコントロール社製酸素透過率測定装置OX−TRAN100を用いてJIS−K−7126−1987に記載されたB法に従い、20℃、0%RHの条件にて酸素透過率を測定した。測定した酸素透過率で次のように評価した。
◎:0(cc/m2・day)以上,2(cc/m2・day)未満
○:2(cc/m2・day)以上,4(cc/m2・day)未満
×:4(cc/m2・day)以上。
【0040】
(9)蒸着膜密着性(ラミネート強度)
東洋モートン社製アドコート503(AD503)と硬化剤CAT−10と酢酸エチルを100:5:100WT%の割合で調合した接着剤を#12のメイヤリングバーにて試料の蒸着面に塗布した。塗布後70℃の熱風オーブンにて30秒間乾燥後、ポリプロピレンフィルム、東レ製トレファンZK62(60μm)のコロナ処理面と貼合せ、熱風オーブンを用い40℃で72時間エージングを行った。貼合せサンプルを15mm幅にカットし、テンシロン(引っ張り試験機)にてポリプロピレンフィルムとポリエステルフィルム間を剥離角度90°にて剥離させ、その時の応力を測定した。また、ボイル処理後のラミネート強度は、200mm×200mmの貼合せサンプルを95℃の水中にて30分処理後測定した。測定値は次のように評価した。
◎:600g/15mm幅 以上
○:500g/15mm幅 以上,600g/15mm幅 未満
×:500g/15mm幅 未満。
【0041】
(10)加工性
蒸着及び加工時のフィルムの取り扱い性(シワ、バタツキ、滑り性など)を○×で判定した。良好で問題なければ○である。
【0042】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づいて説明するが必ずしもこれに限定されるものではない。
【0043】
実施例1
平均粒径約1.5μmの二酸化珪素粒子を0.06重量%含有するカルボキシル末端基量40当量/トンのポリエチレンテレフタレートペレット(極限粘度0.63dl/g)を水分率20ppmに真空乾燥した後、押出機に供給して、280℃で溶融押出し、10μmカットのフィルターで濾過した後、T字型口金からシート状に押出し、これを表面温度25℃の冷却ドラムに静電密着法で冷却固化せしめた。このようにして得られた未延伸PETフイルムを、115℃に加熱した後長手方向に1.2倍延伸し、さらに125℃にて1.48倍、次に113℃にて2.62倍に延伸して1軸延伸フイルムとした。この1軸延伸フイルムを100℃で予熱し、次いで105℃に加熱しつつ幅方向に3.9倍に延伸した。このフイルムを233℃の熱風中に導き入れ、3秒間緊張熱固定した後、同じ雰囲気温度内で幅方向に元のフイルム幅の5%リラックスを施し冷却する。最終的に室温まで冷却した後、20W・min/m2の処理強度でコロナ放電処理を行い、これを巻取り機に導いて巻き上げてミルロールとした。このようにして得られた12μmのフイルムに、酸化アルミニウム蒸着を行った。この2軸配向ポリエステルフイルムの表面へ酸化アルミニウムを蒸着する方法は、フイルムを連続式真空蒸着機の巻き出し装置にセットし、冷却金属ドラムを介して走行させフイルムを巻き取る。この時連続式真空蒸着機を10-4Torr以下に減圧し、冷却ドラムの下部よりアルミナ製ルツボに純度99.99%の金属アルミニウムを装填して金属アルミニウムを加熱蒸発させ、その蒸気中に酸素を供給し酸化反応させながらフイルム上に付着堆積させ、厚さ30nmの酸化アルミニウム膜を形成した。評価結果を表1、2に示す。
【0045】
実施例2
平均粒子径1.0μmの析出粒子(重合工程中に析出した粒子)を0.15重量%及び粒径約1.5μmの二酸化珪素粒子を0.1重量%含有し、カルボキシル末端基量50当量/トンのポリエチレンテレフタレートを原料として使用した。また、長手方向延伸を110℃で1.2倍次に120℃で2.8倍延伸へ、緊張熱固定温度を228℃に変更した。
【0048】
実施例3
平均粒径約0.2μmの二酸化珪素粒子を0.05重量%含有するポリエチレンテレフタレートペレットを主層、平均粒径約1.5μmの二酸化珪素粒子を0.10重量%含有するポリエチレンテレフタレートペレットを副層とし、口金直前で主層/副層を積層比8/1に積層し、実施例1に従って主層側コロナ放電処理と蒸着を行い透明蒸着ポリエステルフィルムを得た。
【0049】
比較例1
実施例1のカルボキシル末端基量を23当量/トンに、長手方向延伸を124℃で1.2倍、次に111℃で2.8倍延伸に、緊張熱固定温度を238℃に変更した。
【0050】
比較例2
平均粒径約0.2μmの二酸化珪素粒子を0.15重量%含有し、カルボキシル末端基量を65当量/トンのポリエチレンテレフタレートを原料として用いた。また、実施例1の幅方向延伸倍率を4.5倍、緊張熱固定温度を200℃に変更した。
【0051】
比較例3
実施例1の原料の極限粘度を0.55dl/gに、カルボキシル末端基量を45当量/トンに、長手方向延伸を120℃で3.5倍、に、緊張熱固定温度を238℃に変更した。
【0052】
比較例4
実施例1のポリエステル樹脂原料を平均粒径約1.5μmの二酸化珪素粒子を0.20重量%含有する樹脂へ、緊張熱固定温度を223℃へ変更した。
【0053】
比較例5
実施例3のポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量を40当量/トンへ変更した。
【0054】
比較例6
実施例1のコロナ放電処理を無しに変更した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
本発明によって得られた透明蒸着ポリエステルフィルムは、薄い蒸着膜厚さで高いガスバリア性能を安定して付与でき、かつ蒸着膜の密着性が良く、高い生産性を得られるという特徴を持つ。
【0058】
本発明によって得られた透明蒸着ポリエステルフィルムは、単独でも用いることができるが、更に、印刷を施したり、蒸着膜の上から保護層などをコーティングしたり、ヒートシール層を積層したり、他のフイルムと積層したり、あるいはこれらを組み合わせたりするなど、更に加工して用いることもできる。また、非蒸着面にヒートシール層を積層したり、他のフイルムと積層したり、あるいはこれらを組み合わせたりすることもできる。
Claims (4)
- 以下の式(1)〜(8)を満足し、二酸化珪素粒子を含有することを特徴とする透明蒸着用2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム。
0.160 ≦ fn ≦ 0.180 ・・・ (1)
1.495 ≦ nZD ≦ 1.505 ・・・ (2)
250MPa ≦ Y150 ・・・ (3)
215℃ ≦ Tmeta ≦ 231℃ ・・・ (4)
25当量/トン≦ COOH≦ 60当量/トン ・・・ (5)
Tmeta ≧ 245 − 0.5×COOH ・・・ (6)
5nm ≦ SRa ≦ 80nm・・・ (7)
10ヶ/0.1mm 2 ≦ SPc ≦ 130ヶ/0.1mm 2 ・・・ (8)
fn : 面配向係数
nZD : 厚さ方向の屈折率
Y150 : 150℃雰囲気下での長手方向のヤング率
Tmeta : フィルムの融解サブピーク
COOH : フィルムのカルボキシル末端基量
SRa: 中心線面粗さ
SPc: 山数 - 少なくとも片面のぬれ張力が50mN/m以上である請求項1に記載の透明蒸着用2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム。
- フィルム表面オリゴマー量が60mg/m2以下である請求項1または2に記載の透明蒸着用2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも片面に透明蒸着層を設けてなることを特徴とする透明蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム。
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