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JP5037897B2 - ノズル - Google Patents

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本発明はノズルに関し、特に、ヒートアイランド現象緩和用の噴霧ノズルとして好適に用いられるものである。
流体噴射用のノズルは各種の産業分野で用いられており、近時、局部的な地域の周辺温度を降下するヒートアイランド現象緩和用として使用されている。
例えば、特開平6−159887号(特許文献1)では、集客施設に通じるプロムナードや陸橋等のアクセス部に霧状の水噴霧を行うノズルを配置している。この特許文献1で開示されているノズルは水噴射用ノズルからなり、ポンプから供給される水をプロムナードの空間に水粒子を50μm以下として霧状に噴霧すると記載されている。
特開平6−159887号公報
前記特許文献1で開示されたノズルは50μm以下の粒子で水噴霧するノズルであることが開示されているだけで、ノズルの具体的な構造の開示はない。
前記のように50μm以下の粒子で噴霧するためには、噴射圧が高圧なノズルとする必要があり、金属加工品からなる場合が多い。その場合、耐錆性に優れたステンレス製とされる場合が多いが、ステンレスでノズルを形成する場合、加工コストがかかり、1個あたりのノズルは非常に高価となる。また、鉄系金属では腐食が進行しやすく、発生した錆が水中に異物が混入し易くなる。
このような、金属製で、1個当たりの単価が高いノズルをヒートアイランド対策用として用いる場合、所要領域内に大量にノズルを配置する必要があるため、トータルコストは非常に高くなり、実用上の大きなネックとなる。
コスト的な観点より、樹脂成形品からなるノズルは安価となるが、噴射圧力が高圧である場合には、樹脂成形品のノズルは強度不足で耐圧性の点で問題があると共に耐摩耗性の点でも劣る問題がある。
本発明は、前記した問題に鑑みてなされたもので、噴射圧力が高圧であっても、樹脂成形品で本体を成形し、その結果、製造コストを従来よりも飛躍的に低減できる安価なノズルを提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、
樹脂成形品本体と、該本体に取り付けられるセラミック製のノズルチップを備えた1流体ノズルであり、
前記本体は円筒状の周壁の一端を噴射側壁で閉鎖し、該噴射側壁の中央に噴口を設ける一方、他端は水供給用配管に連結する開口とし、該開口から前記噴射側壁に到る同一内径の中空部を所要圧の水の流入路としており、
前記ノズルチップは前記噴射側壁の噴口を囲む内壁面に本体の射出成形時にモールド固定され、該ノズルチップは円盤形状で、流入側の内側面に円弧の旋回溝を角度間隔をあけて複数設け、該旋回溝の内端に連通する噴射穴を設け、該噴射穴は縮径するテーパ状穴部と、該テーパ状穴部に連続して前記本体の噴口に連通する小径穴部とからなり、前記本体の噴口に水を旋回させながら流入させ、該噴口から粒子径が10〜100μmの旋回流の噴霧を発生させる構成としているノズルを提供している。
前記のように、本発明のノズルは、高流速の流体と接触して噴射圧力を受ける噴口部分に耐摩耗性、防錆性を有すると共に耐圧強度が高く、且つ、軽量であるセラミック製のノズルチップを配置している。他の部分は前記噴射圧力を直接的に受けず低流速の流体が接触し、セラミックよりも耐摩耗性が低い樹脂で十分であるため、成形性に優れた樹脂を用いている。
これにより、ステンレス等の金属加工品からなるノズルと比較して製造コストを大幅に低下できノズルを安価に提供することができる。よって、大量にノズルを配置する必要があるヒートアイランド対策用の降温用噴霧発生ノズルとして好適なものとなる。
前記ノズルチップは平板形状で、前記本体の噴射側壁の内面にモールドして固定している。
このように、ノズルチップをモールドして本体に固定すると、本体の構造をノズルチップを組みつけできる構造とする必要はなく、かつ、ノズルチップの組みつけ工程も不要となり、しかもノズルチップが本体に隙間なく確実に固定できる。
前記ノズルチップに、旋回流発生手段を設け、前記ノズルチップの噴射穴から旋回流の噴霧を発生させる構成としている。
前記旋回流発生手段として、ノズルチップの内側面に旋回溝を設けている
このように、ノズルチップの噴射穴から本体の噴口に流入する流体を旋回流とすると、噴霧する粒子径を微細化することができ、霧を広範囲に発生させることができる。
前記のように、ノズルチップの前記噴射穴は、流入側から縮径するテーパ状穴部と、該テーパ状穴部に連続して前記本体の噴口に連通する径穴部とし、前記テーパ状穴部に連通する旋回溝を通して流体を旋回させながら流入し、前記ノズルチップの噴射穴および前記本体の噴口から旋回流の噴霧を発生させる構成としている。
前記のように、本体は一端に噴射側壁を有する筒形状とし、前記噴射側壁の内面にセラミック製のノズルチップを固定し、その中空部空洞としている。この中空部に、他端開口よりアダプターを挿入して中空部内に固定し、該アダプタで液体流路を形成してもよい。
該構成とすると、アダプタとして任意形状の流体流路を設けたものを用いて本体内に充填すると、任意の性能を有するノズルとすることができる。
前記本体の筒部内にアダプタを装填する場合には、該アダプタは1つの単体から構成しても良いし、ユニットとしてもよい。
ユニットとする場合は、筒状のストレーナーボルダと、該ストレーナーホルダの外嵌した筒状のストレーナースクリーンと、前記ストレーナーホルダの先端面に嵌合固定したクローザからなり、該クローザでアダプタの先端部として構成することが好ましい。
前記のように、ノズル内部にストレーナーを設け、流体中の異物がノズルチップの噴射穴および本体の噴口に流入する前にストレーナースクリーンで除去すると、噴射圧力を高圧とするために微細穴としたノズルチップの噴射穴および本体の噴口が異物により目詰まりするのを確実に防止できる。
より詳細には、前記筒状のストレーナーホルダの周壁の前側に周方向に間隔をあけて軸線方向の開口を設け、該該前側の周壁の外周に前記ストレーナースクリーンを外嵌し、かつ、前記ストレーナーホルダの中空部に、スプリングの一端に流路開閉弁を収容し、中空部の後端開口の流体流入口から流入する流体圧により前記流路開閉弁を開くと共に前記開口より前方へと移動させ、前記ストレーナーホルダの中空部に流入した流体を前記開口およびストレーナースクリーンを通してストレーナーホルダと前記本体の周壁との間の流体流路へと流出させ、該流体流路を前記旋回溝の外端と連通させていることが好ましい。
前記のように、ストレーナーホルダの中空部を利用して、流入圧によって開閉する流路開閉弁を配置すると、ノズルを大型化することなく、ストレーナーおよび流路開閉弁を備えた高機能のノズルとすることができる。
本発明のノズルは、ヒートアイランド対策用の降温用噴霧ノズルとして好適に用いられる。その場合には、噴射する流体は水からなり、噴霧する水の粒子径を10〜100μmとし、所要領域内に100〜1000mmピッチで多数配置している。
前述したように、本発明のノズルは、耐圧性が要求される噴口を囲む内壁面に耐圧性および防錆性を有すると共に軽量はセラミック製のノズルチップを用い、本体は樹脂成形品としていることで、ノズルの製造コストを大幅に低下でき、ノズルの単価を低減できる。よって、大量にノズルを配置する必要があるヒートアイランド対策用の降温用噴霧発生ノズルとして好適なものとなる。
以下、本発明のノズルの実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1および図3は第1実施形態のノズル1を示し、ノズル1は水を噴霧する一流体ノズルからなり、ヒートアイランド対策用の噴霧ノズルとして用いられるものである。
ノズル1は、射出成形した樹脂からなる筒状の本体2、該本体2の噴射側壁2aの内面に固定したセラミック製のノズルチップ3からなり、本実施形態では、本体2はポリアミド系樹脂で成形している。
樹脂成形品の本体2は円筒状の周壁2aの一端を噴射側壁2bで閉鎖し、その中央に噴口2cを設ける一方、周壁2aの他端は開口2dとし、開口2dは水供給用の配管20と連通し、本体2の中空部2eに流入している。本体2は全長を約20mm、最大直径を約15mmとし、小型軽量なノズルとしている。
前記ノズルチップ3は大略円盤形状とし、本体2の成型時にモールドして、本体2の噴射側壁2aの内面に固定している
該ノズルチップ3は本体2の噴射側壁2bの中心の噴口2cと連通する噴射穴3aを中央部に備え、噴射穴3aから噴口2cを通して旋回流として水を噴霧する構成としている。
前記噴射穴3aは、流入側から縮径するテーパ状穴部3a−1と、該テーパ状穴部3a−1に連続して噴口2cに連通する小径穴部3a−2とからなる。図2に示すように、ノズルチップ3の内面には90度間隔をあけて円弧状に湾曲させた旋回溝3bを設け、これら旋回溝3bの内周端をテーパ状穴部3a−1の周縁と連通させ、旋回溝3bを通して水を旋回させながら流入する構成としている。
ノズル1に連結する配管20は高圧ポンプ(図示せず)を介して水供給源に接続し、ノズル1に0.1〜10MPaの水圧とした水を供給し、粒子径10〜100μmの噴霧を発生させる構成としている。
前記ノズル1では、配管20から本体2に流入する水は、噴射側において、ノズルチップ3の旋回溝3bを通り、旋回流となって噴射穴3aのテーパ状穴部3a−1に流入する。該テーパ状穴部3a−1内で、該穴部の内周面に旋回しながら衝突するため水滴が微細化され、該テーパ状穴部3a−1より噴射側の小径穴部3a−2に流入し、さらに、連通した本体2の噴口2cから、10〜100μmの微細な水滴となって、霧状に噴射される。
また、本発明のノズルは、従来の金属加工品ではなく、ノズルチップ3だけをセラミックとし、本体2は射出成形品としているため、金属加工品からなる同種のノズルと比較して、製造コストを大幅に低減できる。また、重量も大幅に低減できる。
よって、図3に示すように、保持具30にノズル1を100〜1000mmピッチで取り付けて、ヒートアイランド対策用のノズルとして実用に供するに適したものとすることができる。
図4および図5に、参考第2実施形態を示す。
参考第2実施形態では、本体2の中空部2e内に、図に示す旋回流発生用のワーラー50からなるアダプタを装填している。該ワーラー50は周方向に間隔をあけて斜孔50aを備え、これら斜孔50aを通過することで旋回流を発生する構成としている。
また、ワーラー50の設置位置からノズルチップ3のテーパ状の噴射穴3aに連続する本体2の内周面は円錐面とし、かつ、ノズルチップ3の1段のテーパ形状の噴射穴3aとし、その内周面には旋回溝を設けていない。
他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
このように、本体2の中空部2eにワーラー50を設けて旋回流れを発生させ、旋回状態でノズルチップ3の噴射穴3a内に流入させて、第1実施形態と同様に、本体2の噴口2cから微細な水滴として霧状に噴射している。
なお、前記ワーラー50を装填する代わりに、本体2の内周面に旋回溝を刻設してもよい。
図6に第3実施形態を示す。
第3実施形態は図1に示す第1実施形態の本体2の中空部2eにアダプタ・ユニット4を装填している。
アダプタ・ユニット4は、筒状のストレーナーボルダ5、該ストレーナーホルダ5に外嵌した筒状のストレーナースクリーン6、ストレーナーホルダ5の先端面に嵌合固定したクローザ7、ストレーナーホルダ5の中空部に装填するスプリング8、該スプリング8の一端に連結した構成の流路開閉弁9とのアセンンプリからなる。
前記ストレーナーホルダ5は周壁の前側に周方向に間隔をあけて軸線方向の開口5aを備え、この開口5aを設けた前側周壁の外周に円筒状のストレーナースクリーン6を外嵌している。また、後端壁5cに中空部5dと連通する水流入口5eを設けている。
前記ストレーナースクリーン6と本体の周壁2aの内周面との間に流体流路13を設け、該流体流路21を噴射側のノズルチップ3とクローザ7との接合部の外周部まで連続させている。
ストレーナースクリーン6の先端側には前記クローザ7の後側小径部7aを内嵌し、その端面をストレーナーホルダ5の前端面と当接している。前記前側小径部7aの先端面はノズルチップ3の内側面と接合させ、その間に前記図2に示す旋回溝3bを位置させ、該旋回溝の外周端を前記外周側の流体流路13と連通し、内周端をノズルチップ3の噴射穴3aとを連通している。
前記ストレーナーホルダ5の中空部5d内に挿入したスプリング8の後端に流路開閉弁9を連結し、該流路開閉弁9をストレーナーホルダ5の周壁内面に設けた弁座5fにスプリング8で付設して当接させて流路を閉鎖している。水流入口5eより水が中空部5dに流入すると流路開閉弁9をスプリング8に抗して押し開き弁座5fを通して前方へ流れ込み、周壁の開口5a、その外周のストレーナースクリーン6を通して、前記外周の流体流路13へと流出させる構成としている。
他の構成は第1実施例と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
前記ノズル1では、配管20からストレーナーホルダ5の中空部5d内に水が流入し、流入する水圧で流路開閉弁9がスプリング8に抗して前進し、弁座5fを開く。水はストレーナーホルダ5の開口5a、ストレーナースクリーン6を通して流体通路13に流入する。該流体通路13を通してノズルチップ3とクローザ7の接合部の外周部13aへと流入し、さらに、旋回溝3bを通ってノズルチップ3の噴射穴3aのテーパ状穴部3a−1に流入する。該テーパ状穴部3a−1より噴射側の小径穴部3a−2に流入し、さらに、連通した本体2の噴口2cから霧状となって噴射される。
本実施形態においては、水中に微小な異物が混入していた場合、ストレーナースクリーン6で異物の流通を遮断しているため、目詰まりの発生を防止することができる。
なお、本発明のノズルは前記実施形態に限定されず、ノズルへの水の供給および停止を配管側に設ける制御弁で制御する構成とすれば、前記スプリングと流路開閉弁を設けなくともよい。
また、前記実施形態では、ストレーナーホルダ、ストレーナースクリーン、クローザなどをアセンブリしたアダプタ・ユニットを用いているが、1部材からなる流体流路を設けたアダプタを本体の中空部に装填してもよい
本発明の第1実施形態のノズルの断面図である。 ノズルチップの内面を示す図面である。 本発明のノズルの使用例を示す図面である。 本発明の参考第2実施形態のノズルの断面図である。 ワーラーを示す側面図である。 本発明の第実施形態のノズルの断面図である。
符号の説明
1 ノズル
2 樹脂成形品の本体
2a 周壁
2b 噴射側壁
2c 噴口
2e 中空部
3 セラミック製のノズルチップ
3a 噴射穴
3b 旋回溝
4 アダプタ・ユニット
5 ストレーナーホルダ
6 ストレーナースクリーン
7 クローザ
8 スプリング
9 流路開閉弁

Claims (3)

  1. 樹脂成形品本体と、該本体に取り付けられるセラミック製のノズルチップを備えた1流体ノズルであり、
    前記本体は円筒状の周壁の一端を噴射側壁で閉鎖し、該噴射側壁の中央に噴口を設ける一方、他端は水供給用配管に連結する開口とし、該開口から前記噴射側壁に到る同一内径の中空部を所要圧の水の流入路としており、
    前記ノズルチップは前記噴射側壁の噴口を囲む内壁面に本体の射出成形時にモールド固定され、該ノズルチップは円盤形状で、流入側の内側面に円弧の旋回溝を角度間隔をあけて複数設け、該旋回溝の内端に連通する噴射穴を設け、該噴射穴は縮径するテーパ状穴部と、該テーパ状穴部に連続して前記本体の噴口に連通する小径穴部とからなり、前記本体の噴口に水を旋回させながら流入させ、該噴口から粒子径が10〜100μmの旋回流の噴霧を発生させる構成としているノズル。
  2. 前記本体内に前記ノズルチップの内側面と対向させてアダプタを装填し、該アダプタはユニットとし、筒状のストレーナーホルダと、該ストレーナーホルダに外嵌した筒状のストレーナースクリーンと、前記ストレーナーホルダの先端面に嵌合固定したクローザからなり、該クローザで前記アダプタの先端部を構成し、該クローザを前記ノズルチップの内側面と対向させている請求項1に記載のノズル。
  3. ヒートアイランド対策用の降温用噴霧ノズルとして用いられ、所要領域内に100〜1000mmピッチで配置される請求項1または請求項2に記載のノズル。
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