以下、本発明の一態様について説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の一態様について図1の発光素子の断面図を用いて説明する。
第1の電極801と第2の電極802との間に第1の層811と第2の層812と第3の層813とを有する。第1の層811と第2の層812と第3の層813とは、順に積層している。そして、第1の層811は第1の電極801と接し、第3の層813は第2の電極802と接する。
また、本形態の発光素子は、次の様に動作する。先ず、第1の電極801よりも第2の電極802の電位の方が高くなるように電圧を印加すると、第1の層811から第1の電極801へは正孔が注入され、第2の層812から第3の層813へは、電子が注入される。また、第2の電極802から第3の層813へは正孔が注入される。第2の電極802から注入された正孔と、第2の層812から注入された電子とは、第3の層813において再結合し、発光物質を励起状態にする。そして、励起状態の発光物質は基底状態に戻るときに発光する。
このような構成とすることによって、正孔を発生する層(第1の層811)の厚さに依存した、任意の電流を流すために印加する電圧の変化が少ない発光素子を得ることができる。
以下、各層、電極等について具体的に説明する。
第1の層811は、正孔を発生する層である。正孔を発生する層として、例えば、バイポーラ性物質と、その物質に対して電子受容性を示す物質とを含む層を用いることができる。ここで、バイポーラ性物質とは、ここで、バイポーラ性物質とは、電子移動度と正孔移動度とを比較したときに、電子移動度の正孔移動度に対する比の値が100以下(好ましくは10以下。)、または正孔移動度の電子移動度に対する比の値が100以下(好ましくは10以下。)である物質である。つまり、バイポーラ性物質とは、電子または正孔のいずれか一方のキャリアの移動度と他方のキャリアの移動度とを比較したときに、一方のキャリアの移動度に対する他方のキャリアの移動度の比の値が100以下、好ましくは10以下である物質をいう。バイポーラ性物質として、例えば、構造式(1)で表される2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)、構造式(2)で表される2,3−ビス{4−[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:NPADiBzQn)、構造式(3)で表される2,2’,3,3’−テトラキス(4−ジフェニルアミノフェニル)−6,6’−ビスキノキサリン(略称:D−TriPhAQn)等が挙げられるが、この他のものを用いてもよい。
また、バイポーラ性物質の中でもトリフェニルアミンを骨格に含む物質を用いることがより好ましい。これによって正孔を発生しやすくなる。また、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度および電子移動度を有するバイポーラ性物質を用いることがさらに好ましい。また、バイポーラ性物質に対して電子受容性を示す物質について特に限定はなく、例えば、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:F4−TCNQ)等を用いることができる。ここで、バイポーラ性物質に対して電子受容性を示す物質は、バイポーラ性物質に対して、モル比が0.5以上2以下(=バイポーラ性物質に対して電子受容性を示す物質/バイポーラ性物質)と成るように含まれていることが好ましい。
第2の層812は、電子を発生する層である。正孔を発生する層として、例えば、バイポーラ性物質と、その物質に対して電子供与性を示す物質とを含む層を用いることができる。バイポーラ性物質としては、先に述べたTPAQn、NPADiBzQn、D−TriPhAQn等を用いることができるが、この他のものを用いてもよい。また、バイポーラ性物質の中でも複素芳香環を骨格に含む物質を用いることがより好ましい。また、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度および電子移動度を有するバイポーラ性物質を用いることがさらに好ましい。また、バイポーラ性物質に対して電子供与性を示す物質について特に限定はなく、例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、エルビウム、イッテルビウム等の希土類金属等を用いることができる。また、リチウム酸化物(Li2O)、カルシウム酸化物(CaO)、ナトリウム酸化物(Na2O)、カリウム酸化物(K2O)、マグネシウム酸化物(MgO)等、アルカリ金属酸化物若しくはアルカリ土類金属酸化物を、バイポーラ性物質に対して電子供与性を示す物質として用いても構わない。なお、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物等は、反応性が低く、取り扱いが容易である。ここで、バイポーラ性物質に対して電子供与性を示す物質は、バイポーラ性物質に対して、モル比が0.5以上2以下(=バイポーラ性物質に対して電子供与性を示す物質/バイポーラ性物質)と成るように含まれていることが好ましい。
なお、第1の層811に含まれるバイポーラ性物質と第2の層812とに含まれるバイポーラ性物質とは、それぞれ異なっていてもよいし、または同一であってもよい。第1の層811と第2の層812とを同じバイポーラ性物質を用いて形成する場合、一般式(1)または一般式(2)で表されるような、トリフェニルアミンと複素芳香環とを骨格に有するキノキサリン誘導体を用いることが特に好ましい。このようなキノキサリン誘導体の具体例としては、TPAQn、NPADiBzQn、D−TriPhAQn等が挙げられる。なお、第1の層811と第2の層812とに含まれるバイポーラ性物質が同じである場合、第1の層811と第2の層812とを連続的に形成することができ、製造に係る手間を軽減することができる。
一般式(1)において、R1〜R4は、それぞれ、水素、アルキル基のいずれかを表す。ここで、R1とR2、R2とR3、R3とR4とは、それぞれ、互いに結合して芳香環を形成してもよい。また、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に、炭素数6〜14のアリール基を表す。
一般式(2)において、Ar11〜Ar14は、それぞれ独立に、炭素数6〜14のアリール基を表す。
第3の層813は、発光層を含む層である。第3の層813の層構造について特に限定はなく、単層でも多層でも構わない。例えば、図1に示すように、第3の層813は、発光層822の他、電子輸送層821、正孔輸送層823、正孔注入層824を含んでいてもよいし、或いは発光層のみから成る単層であってもよい。
発光層822は発光物質を含む層である。ここで、発光物質とは、発光効率が良好で、所望の発光波長の発光をし得る物質である。第3の層813について特に限定はないが、発光物質が、発光物質の有するエネルギーギャップよりも大きいエネルギーギャップを有する物質からなる層中に、分散して含まれた層であることが好ましい。これによって、発光物質からの発光が、発光物質自体の濃度に起因して消光してしまうことを防ぐことができる。なお、エネルギーギャップとはLUMO準位とHOMO準位との間のエネルギーギャップを言う。
発光物質について特に限定はなく、発光効率が良好で、所望の発光波長の発光をし得る物質を用いればよい。例えば、赤色系の発光を得たいときには、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)やペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン等、600nmから680nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。また緑色系の発光を得たいときは、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6やクマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)等、500nmから550nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。また、青色系の発光を得たいときは、9,10−ビス(2−ナフチル)−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−ガリウム(略称:BGaq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等、420nmから500nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。以上のように、蛍光を発光する物質の他、ビス[2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(FIr(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(略称:Ir(ppy)3)等の燐光を発光する物質も発光物質として用いることができる。
また、発光物質を分散状態にするために用いる物質について特に限定はなく、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、または4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体の他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)等の金属錯体等を用いることができる。
以上のような、発光素子において、第2の層812に含まれる電子輸送性物質の電子親和力と、第3の層813に含まれる層のうち第2の層812と接する層に含まれる物質の電子親和力との差は、好ましくは2eV以下、より好ましくは1.5eV以下である。また、第2の層812がn型の半導体から成るとき、n型の半導体の仕事関数と、第3の層813に含まれる層のうち第2の層812と接する層に含まれる物質の電子親和力との差は、好ましくは2eV以下、より好ましくは1.5eV以下である。
なお、第3の層813に含まれる層のうち第2の層812と接する層とは、第3の層813が本形態のような層構造を有するときは電子輸送層821がこれに該当する。そして、第3の層813が発光層のみから成るとき、または、電子輸送層821等を有しないときは発光層がこれに該当する。発光層が第2の層812と接する場合において、第3の層813に含まれる層のうち第2の層812と接する層に含まれる物質とは、発光物質を分散状態とするための物質、または発光物質そのものである。これは、Alq3等のように特に分散状態としなくても発光することができ、且つキャリアの輸送性の良い発光物質を用いる場合には、分散状態とすることなく発光物質それ自体から成る層そのものを発光層として機能させることができるためである。このように、第3の層813が第2の層812と第3の層813とを接合することによって、第2の層812から第3の層813への電子の注入が容易になる。
ここで、第1の電極801と第2の電極802とは、いずれか一若しくは両方が可視光を透過でき、導電性を有する物質で形成されていることが好ましい。これによって、第1の電極801と第2の電極802の少なくとも一方の電極を介して発光を外部に取り出すことができる。
第1の電極801について特に限定はなく、アルミニウムの他、インジウム錫酸化物(ITO)、または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウムの他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等を用いることができる。
また、第2の電極802についても特に限定はないが、本形態の発光素子のように第3の層813へ正孔を注入する機能を担うときは、仕事関数の大きい物質で形成されていることが好ましい。具体的には、インジウム錫酸化物(ITO)、または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウムの他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等を用いることができる。なお、第2の電極802は、例えばスパッタリング法や蒸着法等を用いて形成することができる。
なお、前述のように、本形態では、第2の層812と発光層822との間に電子輸送層821を有する。ここで、電子輸送層821とは、注入された電子を発光層822へ輸送する機能を有する層である。このように、電子輸送層821を設け、第1の電極801および金属が含まれた第2の層812と、発光層822とを離すことによって、発光が金属に起因して消光することを防ぐことができる。
電子輸送層821について特に限定はなく、電子輸送性物質、またはバイポーラ性物質を用いて形成することができる。バイポーラ性物質として、例えば、TPAQn、NPADiBzQn、D−TriPhAQn等が挙げられる。電子輸送性物質とは、正孔よりも電子の移動度が高く、電子移動度と正孔移動度とを比較したときに、電子移動度の正孔移動度に対する比の値が100よりも大きい物質をいう。電子輸送性物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)等の金属錯体の他、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等が挙げられる。また、電子輸送性物質およびバイポーラ性物質の中でも特に、1×10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する電子輸送性物質、または1×10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有するバイポーラ性物質を用いて電子輸送層821を形成することがより好ましい。これによって、発光素子の駆動電圧を下げることができる。また、電子輸送層821は、以上に述べた物質から成る層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
また、本形態では、第2の電極802と発光層822との間には、図1に示すように、正孔輸送層823を有する。ここで、正孔輸送層823とは、第2の電極802から注入された正孔を発光層822へ輸送する機能を有する層である。このように、正孔輸送層823を設け、第2の電極802と発光層822とを離すことによって、発光が金属に起因して消光することを防ぐことができる。
正孔輸送層823について、特に限定はなく、正孔輸送性物質、またはバイポーラ性物質を用いて形成することができる。ここで正孔輸送性物質とは電子よりも正孔の移動度が高い物質であり、正孔移動度の電子移動度に対する比の値が100よりも大きい物質をいう。正孔輸送性物質としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−{4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル}−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等が挙げられる。バイポーラ性物質としては、TPAQn、NPADiBzQn、D−TriPhAQn等が挙げられる。また、正孔輸送性物質およびバイポーラ性物質の中でも特に、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する正孔輸送性物質、または1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有するバイポーラ性物質を用いて正孔輸送層823を形成することがより好ましい。これによって、発光素子の駆動電圧を下げることができる。また、正孔輸送層823は、以上に述べた物質から成る層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
さらに、第2の電極802と正孔輸送層823との間には、図1に示すように、正孔注入層824を有していてもよい。ここで、正孔注入層824とは、第2の電極802から正孔輸送層823へ正孔の注入を補助する機能を有する層である。
正孔注入層824について特に限定はなく、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物によって形成されたものを用いることができる。この他、上述したH2Pc、CuPC、VOPc等のフタロシアニン系の化合物、DNTPD等の芳香族アミン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)混合物(PEDOT/PSS)等の高分子によっても正孔注入層824を形成することができる。また、バイポーラ性物質と、その物質に対して電子受容性を示す物質とを混合させて、正孔注入層824を形成してもよい。
以上に述べた本発明の発光素子は、発光時間の蓄積に伴った駆動電圧の増加が少なく、信頼性の高い素子である。これは、バイポーラ性物質と、バイポーラ性物質に対して電子受容性若しくは電子供与性を示す物質とを混合することによって第1の層若しくは第2の層が結晶化し難くなる為である。なお、ここでは、任意の輝度を得るために印加する電圧を駆動電圧という。
また、本発明の発光素子は、正孔を発生する層(第1の層811)の膜厚に依存した、任意の電流を流すために印加する電圧の変化が少ない。その為、例えば、第1の層811の厚さを厚くし、電極間の距離を長くすることによって、第1の電極801と第2の電極802との短絡を防ぐことが容易である。
(実施の形態2)
本形態では、正孔を発生する層の膜厚を調節することによって、発光の外部取り出し効率が高く、また採光面(発光素子から光が射出される面)を見る角度(採光面とそれを見る人の視線とがなす角度)に依存した発光スペクトルの変化が少なくなるように反射面から採光面(若しくは発光領域)までの光学距離を調節した発光素子の態様について図12を用いて説明する。
図12の発光素子は、第1の電極201と第2の電極202との間に、正孔を発生する第1の層211と、電子を発生する第2の層212と、発光物質を含む第3の層213とを有する。第1の層211と第2の層212と第3の層213とは、第2の層212を間に挟むように順に積層し、第1の層211は第1の電極と接し、第3の層213は第2の電極202と接する。
ここで、第1の電極201は、反射率の高い導電物から成る電極、所謂反射電極である。反射率の高い導電物としては、アルミニウム、銀の他、これら金属の合金(Al:Li合金、Mg:Ag合金など)等も用いることができる。また、反射率は、50%以上100%以下が好ましい。また、第2の電極202は、可視光を透過できる導電物から成る電極である。可視光を透過できる導電物について特に限定はなく、インジウム錫酸化物の他、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム等を用いることができる。
第1の電極201の電位よりも第2の電極202の電位の方が高くなるように電圧を印加したとき、第1の層211から第1の電極201へは正孔が注入され、第2の層212から第3の層213へは電子が注入される。また第2の電極202から第3の層213へは正孔が注入される。
第3の層213において電子と正孔とは再結合し、これによって発光物質が励起状態となる。そして、励起状態になった発光物質が基底状態に戻るときに発光する。このようにして発光が生じる領域を特に発光領域という。そして、発光領域が形成されるように、発光物質を含んだ層を発光層という。なお、発光領域は、発光層の少なくとも一部において形成される。
本形態の発光素子において、第3の層213は、発光層222の他、電子輸送層221、正孔輸送層223、正孔注入層224を含む。但し、第3の層213の層構造は、図12に示したものに限定されるものではなく、例えば発光層のみから成る単層構造のものであってもよい。
また、第1の層211、第2の層212、第3の層213は、それぞれ、実施の形態1に記載の第1の層811、第2の層812、第3の層813と同様の物質を用いて形成すればよい。また、電子輸送層221、発光層222、正孔輸送層223、正孔注入層224についても、それぞれ、実施の形態1に記載の電子輸送層821、発光層822、正孔輸送層823、正孔注入層824と同様の物質を用いて形成すればよい。
反射電極に光が入射した場合、反射光には位相の反転が生じる。これによって生じる光の干渉効果により、発光領域と反射電極との光学距離(即ち、屈折率×距離)が、発光波長の(2m−1)/4倍(mは任意の正の整数)、即ち、m=1/4、3/4、5/4・・・倍の時には発光の外部取り出し効率が高くなり、m/2倍(mは任意の正の整数)即ち、m=1/2、1、3/2・・・倍の時には発光の外部取り出し効率が低くなる。
したがって、本形態の発光素子において、発光領域が発光層222と正孔輸送層223との界面近傍である場合は、下記数式(4)を満たすように第1の層211、第2の層212、電子輸送層221、発光層222の各層の厚さを調節することが好ましい。これによって、発光を効率よく外部に取り出すことができる。また、di、diiの増加に伴う抵抗値の増加を低く抑えることができる。ここで、抵抗値とは、印加した電圧値(V)を、印加した電圧に応じて発光素子に流れる電流(mA)で割ることによって得られる値である。
数式(4)において、niは第1の層211の屈折率、diは第1の層211の厚さ、niiは第2の層212の屈折率、diiは第2の層212の厚さ、n1は電子輸送層221の屈折率、d1は電子輸送層221の厚さ、npは発光層222の屈折率、dpは発光層222の厚さ、λは発光素子からの発光の波長、mは任意の正の整数を表す。
一方、本形態の発光素子において、発光領域が発光層222と電子輸送層221との界面近傍である場合は、数式(5)を満たすように第1の層211、第2の層212、電子輸送層221の各層の厚さを調節することが好ましい。これによって、発光を効率よく外部に取り出すことができる。また、di、diiの増加に伴う抵抗値の増加を低く抑えることができる。
数式(5)において、niは第1の層211の屈折率、diは第1の層211の厚さ、niiは第2の層212の屈折率、diiは第2の層212の厚さ、n1は電子輸送層221の屈折率、d1は電子輸送層221の厚さ、λは発光素子からの発光の波長、mは任意の正の整数を表す。
また、本形態の発光素子において、発光層222の全域に渡り発光領域が形成される場合は、数式(6)を満たすように第1の層211、第2の層212、電子輸送層221の各層の厚さを調節することが好ましい。これによって、発光を効率よく外部に取り出すことができる。
数式(6)において、niは第1の層211の屈折率、diは第1の層211の厚さ、niiは第2の層212の屈折率、diiは第2の層212の厚さ、n1は電子輸送層221の屈折率、d1は電子輸送層221の厚さ、npは発光層222の屈折率、dpは発光層222の厚さ、λは発光素子からの発光の波長、mは任意の正の整数を表す。
数式(4)、(5)、(6)において、mは1≦m≦10であることが好ましい。また、発光素子からの発光とは、発光素子外部に放射される、発光物質に由来した発光のことである。また、発光の波長とは、発光スペクトルにおいて極大値を示す波長についての理論値である。
なお、本形態では、第2の層212と発光層222との間に、電子輸送層221を有する構造の発光素子について説明したが、電子輸送層221と異なる層を他に有していてもよい。その場合、数式(6)におけるn1d1は、n1d1+n2d2・・・・+nkdk+・・・のように表される。
(実施の形態3)
本発明の発光素子は、発光時間の蓄積に伴った駆動電圧の増加が少なく信頼性の高い素子であるため、本発明の発光素子を例えば画素部に適用することで、消費電力の増加の少ない発光装置を得ることができる。また、本発明の発光素子は、電極間の短絡を防ぐことが容易なため、本発明の発光素子を画素部に適用することで、短絡に起因した欠陥の少ない良好な画像を表示できる発光装置を得ることができる。また、本発明の発光素子は、発光の外部取り出し効率を高くすることが容易なため、本発明の発光素子を画素部に適用することで、低消費電力で表示動作を行うことができる発光装置を得ることができる。
本形態では、表示機能を有する発光装置の回路構成および駆動方法について図3〜6を用いて説明する。
図3は本発明を適用した発光装置を上面からみた模式図である。図3において、基板6500上には、画素部6511と、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とが設けられている。ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、配線群を介して、外部入力端子であるFPC(フレキシブルプリントサーキット)6503と接続している。そして、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、FPC6503からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。またFPC6503にはプリント配線基盤(PWB)6504が取り付けられている。なお、それぞれの駆動回路部は、上記のように必ずしも画素部6511と同一基板上に設けられている必要はなく、例えば、配線パターンが形成されたFPC上にICチップを実装したもの(TCP)等を利用し、基板外部に設けられていてもよい。
画素部6511には、列方向に延びた複数のソース信号線が行方向に並んで配列している。また、電流供給線が行方向に並んで配列している。また、画素部6511には、行方向に延びた複数のゲート信号線が列方向に並んで配列している。また画素部6511には、発光素子を含む一組の回路が複数配列している。
図4は、一画素を動作するための回路を表した図である。図4に示す回路には、第1のトランジスタ901と第2のトランジスタ902と発光素子903とが含まれている。
第1のトランジスタ901と、第2のトランジスタ902とは、それぞれ、ゲート電極と、ドレイン領域と、ソース領域とを含む三端子の素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有する。ここで、ソース領域とドレイン領域とは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソース領域またはドレイン領域であるかを限定することが困難である。そこで、本形態においては、ソースまたはドレインとして機能する領域を、それぞれトランジスタの第1電極、トランジスタの第2電極と表記する。
ゲート信号線911と、書込用ゲート信号線駆動回路913とはスイッチ918によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ゲート信号線911と、消去用ゲート信号線駆動回路914とはスイッチ919によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ソース信号線912は、スイッチ920によってソース信号線駆動回路915または電源916のいずれかに電気的に接続するように設けられている。そして、第1のトランジスタ901のゲートはゲート信号線911に電気的に接続している。また、第1のトランジスタ901の第1電極はソース信号線912に電気的に接続し、第2電極は第2のトランジスタ902のゲート電極と電気的に接続している。第2のトランジスタ902の第1電極は電流供給線917と電気的に接続し、第2電極は発光素子903に含まれる一の電極と電気的に接続している。なお、スイッチ918は、書込用ゲート信号線駆動回路913に含まれていてもよい。またスイッチ919についても消去用ゲート信号線駆動回路914の中に含まれていてもよい。また、スイッチ920についてもソース信号線駆動回路915の中に含まれていてもよい。
また画素部におけるトランジスタや発光素子等の配置について特に限定はないが、例えば図5の上面図に表すように配置することができる。図5において、第1のトランジスタ1001の第1電極はソース信号線1004に接続し、第2の電極は第2のトランジスタ1002のゲート電極に接続している。また第2トランジスタの第1電極は電流供給線1005に接続し、第2電極は発光素子の電極1006に接続している。ゲート信号線1003の一部は第1のトランジスタ1001のゲート電極として機能する。
次に、駆動方法について説明する。図6は時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図である。図6において、横方向は時間経過を表し、縦方向はゲート信号線の走査段数を表している。
本発明の発光装置を用いて画像表示を行うとき、表示期間においては、画面の書き換え動作と表示動作とが繰り返し行われる。この書き換え回数について特に限定はないが、画像をみる人がちらつき(フリッカ)を感じないように少なくとも1秒間に60回程度とすることが好ましい。ここで、一画面(1フレーム)の書き換え動作と表示動作を行う期間を1フレーム期間という。
1フレームは、図6に示すように、書き込み期間501a、502a、503a、504aと保持期間501b、502b、503b、504bとを含む4つのサブフレーム501、502、503、504に時分割されている。発光するための信号を与えられた発光素子は、保持期間において発光状態となっている。各々のサブフレームにおける保持期間の長さの比は、第1のサブフレーム501:第2のサブフレーム502:第3のサブフレーム503:第4のサブフレーム504=23:22:21:20=8:4:2:1となっている。これによって4ビット階調を表現することができる。但し、ビット数及び階調数はここに記すものに限定されず、例えば8つのサブフレームを設け8ビット階調を行えるようにしてもよい。
1フレームにおける動作について説明する。まず、サブフレーム501において、1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。従って、行によって書き込み期間の開始時間が異なる。書き込み期間501aが終了した行から順に保持期間501bへと移る。当該保持期間において、発光するための信号を与えられている発光素子は発光状態となっている。また、保持期間501bが終了した行から順に次のサブフレーム502へ移り、サブフレーム501の場合と同様に1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。以上のような動作を繰り返し、サブフレーム504の保持期間504b迄終了する。サブフレーム504における動作を終了したら次のフレームへ移る。このように、各サブフレームにおいて発光した時間の積算時間が、1フレームにおける各々の発光素子の発光時間となる。この発光時間を発光素子ごとに変えて一画素内で様々に組み合わせることによって、明度および色度の異なる様々な表示色を形成することができる。
サブフレーム504のように、最終行目までの書込が終了する前に、既に書込を終え、保持期間に移行した行における保持期間を強制的に終了させたいときは、保持期間504bの後に消去期間504cを設け、強制的に非発光の状態となるように制御することが好ましい。そして、強制的に非発光状態にした行については、一定期間、非発光の状態を保つ(この期間を非発光期間504dとする。)。そして、最終行目の書込期間が終了したら直ちに、一行目から順に次のサブフレーム(またはフレーム)の書込期間に移行する。これによって、サブフレーム504の書き込み期間と、その次のサブフレームの書き込み期間とが重畳することを防ぐことができる。
なお、本形態では、サブフレーム501乃至504は保持期間の長いものから順に並んでいるが、必ずしも本実施例のような並びにする必要はなく、例えば保持期間の短いものから順に並べられていてもよいし、または保持期間の長いものと短いものとがランダムに並んでいてもよい。また、サブフレームは、さらに複数のフレームに分割されていてもよい。つまり、同じ映像信号を与えている期間、ゲート信号線の走査を複数回行ってもよい。
ここで、書込期間および消去期間における、図4で示す回路の動作について説明する。
まず書込期間における動作について説明する。書込期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ918を介して書込用ゲート信号線駆動回路913と電気的に接続し、消去用ゲート信号線駆動回路914とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介してソース信号線駆動回路915と電気的に接続している。ここで、n行目(nは自然数)のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に映像信号が入力される。なお、各列のソース信号線912から入力される映像信号は互いに独立したものである。ソース信号線912から入力された映像信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902に入力された信号によって、電流供給線917から発光素子903へ供給される電流値が決まる。そして、その電流値に依存して発光素子903は発光または非発光が決まる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。
次に消去期間における動作について説明する。消去期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ919を介して消去用ゲート信号線駆動回路914と電気的に接続し、書込用ゲート信号線駆動回路913とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介して電源916と電気的に接続している。ここで、n行目のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に消去信号が入力される。ソース信号線912から入力された消去信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902に入力された信号によって、電流供給線917から発光素子903への電流の供給が阻止される。そして、発光素子903は強制的に非発光となる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。
なお、消去期間では、n行目(nは自然数)については、以上に説明したような動作によって消去する為の信号を入力する。しかし、前述のように、n行目が消去期間であると共に、他の行(m行目(mは自然数)とする。)については書込期間となる場合がある。このような場合、同じ列のソース信号線を利用してn行目には消去の為の信号を、m行目には書込の為の信号を入力する必要があるため、以下に説明するような動作させることが好ましい。
先に説明した消去期間における動作によって、n行目の発光素子903が非発光となった後、直ちに、ゲート信号線911と消去用ゲート信号線駆動回路914とを非接続の状態とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線912とソース信号線駆動回路915と接続させる。そして、ソース信号線とソース信号線駆動回路915とを接続させる共に、ゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913とを接続させる。そして、書込用ゲート信号線駆動回路913からm行目の信号線に選択的に信号が入力され、第1のトランジスタがオンすると共に、ソース信号線駆動回路915からは、1列目から最終列目迄のソース信号線に書込の為の信号が入力される。この信号によって、m行目の発光素子は、発光または非発光となる。
以上のようにしてm行目について書込期間を終えたら、直ちに、n+1行目の消去期間に移行する。その為に、ゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線を電源916と接続する。また、ゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、ゲート信号線911については、消去用ゲート信号線駆動回路914と接続状態にする。そして、消去用ゲート信号線駆動回路914からn+1行目のゲート信号線に選択的に信号を入力して第1のトランジスタに信号をオンする共に、電源916から消去信号が入力される。このようにして、n+1行目の消去期間を終えたら、直ちに、m+1行目の書込期間に移行する。以下、同様に、消去期間と書込期間とを繰り返し、最終行目の消去期間まで動作させればよい。
なお、本形態では、n行目の消去期間とn+1行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設ける態様について説明したが、これに限らず、n−1行目の消去期間とn行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設けてもよい。
また、本形態では、サブフレーム504のように非発光期間504dを設けるときおいて、消去用ゲート信号線駆動回路914と或る一のゲート信号線とを非接続状態にすると共に、書込用ゲート信号線駆動回路913と他のゲート信号線とを接続状態にする動作を繰り返している。このような動作は、特に非発光期間を設けないフレームにおいて行っても構わない。
(実施の形態4)
本発明の発光素子を含む発光装置の断面図の一態様について、図7を用いて説明する。
図7において、点線で囲まれているのは、本発明の発光素子12を駆動するために設けられているトランジスタ11である。発光素子12は、第1の電極13と第2の電極14との間に正孔を発生する層と電子を発生する層と発光物質を含む層とが積層された層15を有する本発明の発光素子である。トランジスタ11のドレインと第1の電極13とは、第1層間絶縁膜16(16a、16b、16c)を貫通している配線17によって電気的に接続されている。また、発光素子12は、隔壁層18によって、隣接して設けられている別の発光素子と分離されている。このような構成を有する本発明の発光装置は、本形態において、基板10上に設けられている。
なお、図7に示されたトランジスタ11は、半導体層を中心として基板と逆側にゲート電極が設けられたトップゲート型のものである。但し、トランジスタ11の構造については、特に限定はなく、例えばボトムゲート型のものでもよい。またボトムゲートの場合には、チャネルを形成する半導体層の上に保護膜が形成されたもの(チャネル保護型)でもよいし、或いはチャネルを形成する半導体層の一部が凹状になったもの(チャネルエッチ型)でもよい。なお、21はゲート電極、22はゲート絶縁膜、23は半導体層、24はn型の半導体層、25は電極、26は保護膜である。
また、トランジスタ11を構成する半導体層は、結晶性、非結晶性のいずれのものでもよい。また、セミアモルファス等でもよい。
なお、セミアモルファス半導体とは、次のようなものである。非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるものである。また少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでいる。ラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしている。X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端する為に水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。所謂微結晶半導体(マイクロクリスタル半導体)とも言われている。珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪化物気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。この珪化物気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲。圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHz、基板加熱温度は300℃以下でよく、好ましくは100〜250℃。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。なお、セミアモルファス半導体を用いたTFT(薄膜トランジスタ)の移動度はおよそ1〜10m2/Vsecとなる。
また、半導体層が結晶性のものの具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、或いはシリコンゲルマニウム等から成るものが挙げられる。これらはレーザー結晶化によって形成されたものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によって形成されたものでもよい。
なお、半導体層が非晶質の物質、例えばアモルファスシリコンで形成される場合には、トランジスタ11およびその他のトランジスタ(発光素子を駆動するための回路を構成するトランジスタ)は全てNチャネル型トランジスタで構成された回路を有する発光装置であることが好ましい。それ以外については、Nチャネル型またはPチャネル型のいずれか一のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよいし、両方のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよい。
さらに、第1層間絶縁膜16は、図7(A)、(C)に示すように多層でもよいし、または単層でもよい。なお、16aは酸化珪素や窒化珪素のような無機物から成り、16bはアクリルやシロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、水素、若しくはアルキル基等の有機基を置換基として有する化合物。)、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質から成る。さらに、16cはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜から成る。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい。このように、第1層間絶縁膜16は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよい。
隔壁層18は、エッジ部において、曲率半径が連続的に変化する形状であることが好ましい。また隔壁層18は、アクリルやシロキサン、レジスト、酸化珪素等を用いて形成される。なお隔壁層18は、無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよいし、または両方を用いて形成されたものでもよい。
なお、図7(A)、(C)では、第1層間絶縁膜16のみがトランジスタ11と発光素子12の間に設けられた構成であるが、図7(B)のように、第1層間絶縁膜16(16a、16b)の他、第2層間絶縁膜19(19a、19b)が設けられた構成のものであってもよい。図7(B)に示す発光装置においては、第1の電極13は第2層間絶縁膜19を貫通し、配線17と接続している。
第2層間絶縁膜19は、第1層間絶縁膜16と同様に、多層でもよいし、または単層でもよい。19aはアクリルやシロキサン、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質から成る。さらに、19bはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜から成る。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい。このように、第2層間絶縁膜19は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよい。
発光素子12において、第1の電極および第2の電極がいずれも透光性を有する物質で構成されている場合、図7(A)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側と第2の電極14側の両方から発光を取り出すことができる。また、第2の電極14のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図7(B)の白抜きの矢印で表されるように、第2の電極14側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第1の電極13は反射率の高い材料で構成されているか、または反射率の高い材料から成る膜(反射膜)が第1の電極13の下方に設けられていることが好ましい。また、第1の電極13のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図7(C)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第2の電極14は反射率の高い材料で構成されているか、または反射膜が第2の電極14の上方に設けられていることが好ましい。
また、発光素子12は、第1の電極13の電位よりも第2の電極14の電位が高くなるように電圧を印加したときに動作するように層15が積層されたものであってもよいし、或いは、第1の電極13の電位よりも第2の電極14の電位が低くなるように電圧を印加したときに動作するように層15が積層されたものであってもよい。前者の場合、トランジスタ11はNチャネル型トランジスタであり、後者の場合、トランジスタ11はPチャネル型トランジスタである。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。図13には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図13において、基板951上に設けられた電極952と電極956との間には発光物質を含む層及び電子を発生する層、正孔を発生する層が順に積層した層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
(実施の形態5)
本発明の発光装置を実装することによって、表示部等に関する消費電力の増加が少ない電子機器を得ることができる。また、本発明の発光装置を実装することによって、画素の欠陥等が少なく良好な画像を表示できる表示装置等の電子機器を得ることができる。また、本発明の発光装置を実装することによって、消費電力の少ない電子機器を得ることが出来る。
本発明を適用した発光装置を実装した電子機器の一実施例を図8に示す。
図8(A)は、本発明を適用して作製したノート型のパーソナルコンピュータであり、本体5521、筐体5522、表示部5523、キーボード5524などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでパーソナルコンピュータを完成できる。
図8(B)は、本発明を適用して作製した電話機であり、本体5552には表示部5551と、音声出力部5554、音声入力部5555、操作スイッチ5556、5557、アンテナ5553等によって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことで電話機を完成できる。
図8(C)は、本発明を適用して作製したテレビ受像機であり、表示部5531、筐体5532、スピーカー5533などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでテレビ受像機を完成できる。
以上のように本発明の発光装置は、各種電子機器の表示部として用いるのに非常に適している。
なお、本形態に記載した電子機器の他、ナビゲイション装置、或いは照明機器等に本発明の発光素子を有する発光装置を実装しても構わない。
(実施の形態6)
本形態では、一般式(1)で表されるキノキサリン誘導体の合成方法の一態様について説明する。
先ず、o−フェニレンジアミンを骨格に含む化合物と、4,4’−ジブロモベンジルとを反応させて、2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリンを骨格に含む化合物Aを合成する。そして、ジフェニルアミン、N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミン等のジアリールアミンと化合物Aとを反応させて、ブロモ基をジアリールアミノ基に置換する。このようにして一般式(1)で表されるキノキサリン誘導体を得ることができる。
(実施の形態7)
本形態では、一般式(2)で表されるキノキサリン誘導体の合成方法の一態様について説明する。
先ず、3,3’−ジアミノベンジジン等と、4,4’−ジブロモベンジルとを反応させて、2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリンを骨格に含む2,2’,3,3’−テトラ(4−ブロモフェニル)−6,6’−ビスキノキサリン(化合物B)を合成する。そして、ジアリールアミンと化合物Bとを反応させて、ブロモ基をジアリールアミノ基に置換する。このようにして一般式(2)で表されるキノキサリン誘導体を得ることができる。