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JP5024826B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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JP5024826B2
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Description

本発明は、中継装置等に用いられるアンテナ装置に関する。
携帯電話やテレビ放送等の地上波を地下街等の不感地帯に再送信する中継用のアンテナは、設置場所や美観等の問題から小型軽量のアンテナが要求される。また、中継用アンテナとしては、垂直偏波水平面無指向性のものが使用される場合が多い。
また、本発明に関連する公知技術として、線状もしくは面状のインピーダンス整合素子部に対しその背面より1点給電で励振を行うようにし、かつ上記整合素子部に垂直に設けられて先端を接地するようにされた複数の線状放射素子部を有した水平偏波用双指向性アンテナ及び接地板を備え、上記接地板上に水平偏波用双指向性アンテナを配置してなる双指向性偏波アンテナ装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−205036号公報
地下街等に設けられる中継用アンテナは、一般に天井等に設けられるので、小型で低姿勢(全高が低い)であることが要求される。
しかし、上記従来のモノポールアンテナは、高さが約1/4波長以上必要であり、それ以上の低姿勢化が困難であるので、地下街等に設ける中継用アンテナとしては好ましくない。また、モノポールアンテナは、単一周波数帯においては良好な特性を得ることが可能であるが、基本的に狭帯域であり、電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)が低い領域、例えば2以下における比帯域は一般に十数%程度であって、広帯域通信により大容量伝送を行うものには適用が困難である。
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、小型低姿勢かつ広帯域化を実現するアンテナ装置を提供することを目的とする。
第1の発明に係るアンテナ装置は、導体板と、前記導体板に対向して配置され、前記導体板に部分的に短絡される放射素子と、前記導体板に設けられる給電端子と、前記給電端子と前記放射素子の給電部とを接続する給電路と、前記放射素子の短絡箇所と前記給電路とを結ぶ線路に容量結合されるように形成される少なくとも1個の無給電素子とを具備することを特徴とする。
上記第1の発明によれば、小型低姿勢化が可能となり、地下街等の設置スペースが狭い場所であっても容易に設置することができるようになる。また、無給電素子がショートスタブとして作用するため、インピーダンス特性を決定する設定パラメータの数が増加することとなり、広帯域に亘ってインピーダンス特性を良好に保つことが可能となる。
第2の発明は、前記第1の発明に係る広帯域アンテナ装置において、前記放射素子は、前記給電部を中心として等間隔で放射状に広がる複数の線路により形成され、前記複数の線路それぞれが前記導体板に短絡される。
上記第2の発明によれば、放射素子が給電部を中心として等間隔で放射状に広がるように形成されることにより、水平面指向性を無指向化することが可能となる。
第3の発明は、前記第2の発明に係る広帯域アンテナ装置において、前記放射素子は、前記複数の線路それぞれの隣り合う端部間を接続する線路をさらに備える。
上記第3の発明によれば、給電部から短絡素子へ流れる電流の一部が端部間に接続された線路に流れるようになる。これにより、インピーダンス特性を容易に調整することができるため、より広帯域化を図ることが可能となる。
第4の発明は、前記第1の発明に係る広帯域アンテナ装置において、前記導体板は、前記放射素子の短絡箇所近傍に整合部をさらに備える。
上記第4の発明によれば、整合板を設けることにより、導体板を流れる電流線路を延長できるため、導体板を小型化できる。さらに、放射素子の短絡箇所と整合板との間隔を調整することによって電磁結合させることができるため、設定パラメータの数を増加させることができ、より一層の広帯域化を図ることが可能となる。
第5の発明は、前記第1の発明に係る広帯域アンテナ装置において、前記放射素子の短絡箇所は、前記給電路を中心とする円周上に等間隔に設けられる。
上記第5の発明によれば、放射素子の短絡箇所が、給電路を中心とする円周上に等間隔に設けられることにより、水平面指向性を無指向化することが可能となる。
すなわち、この発明によれば、小型低姿勢かつ広帯域化を実現するアンテナ装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明に係るアンテナ装置の基本構成を示す斜視図である。図2は図1のA−A線矢視断面図である。
図1及び図2において、導体板11は例えば正方形状の接地板で形成され、その一辺の長さW1は約0.5λ以上(λは使用周波数帯における最低周波数の波長)に設定される。
上記導体板11の下面中央部には、給電端子として例えばNJ型の同軸コネクタ12が装着される。この同軸コネクタ12には、図示しないが無線装置のアンテナ入力回路からの給電用同軸ケーブルが接続される。上記同軸コネクタ12は、外導体13及び中心導体14を備える。外導体13は導体板11に電気的に接続される。中心導体14は、導体板11の中央部に設けられた透孔内を通り、導体板11と絶縁した状態で上方に所定長さ突出して設けられ、給電路として使用される。
そして、上記導体板11の上側にはアンテナ素子15が設けられる。このアンテナ素子15は、2本以上例えば4本の放射素子16a〜16dを有する。放射素子16a〜16dは等角度または略等角度で放射状に設けられ、放射状中心部すなわち放射素子16a〜16dの始端側に給電点18が設けられる。アンテナ素子15が4本の放射素子16a〜16dを有する場合、各素子の配置角度は90°となり、十字形状に形成される。上記放射素子16a〜16dは、例えば幅W2、長さLの板状素子を用いて形成したもので、幅W2は約0.055λに設定される。また、放射素子16a〜16dの長さLは、基本的には約λ/4に設定されるが、好ましくは約λ/4より10%程度長い0.275λ程度に設定される。
また、放射素子16a〜16dの各終端には、例えば板状の短絡素子17a〜17dが導体板11に対して垂直となるように設けられる。上記短絡素子17a〜17dは、例えば放射素子16a〜16dの終端を下方に直角に折り曲げる等の手段により形成したもので、図では放射素子16a〜16dの幅W2と同じ幅を有している。但し、これらの幅は必ずしも同一に設定する必要はない。上記短絡素子17a〜17dは、先端が導体板11に溶着あるいはネジ止め等によって接続され、その高さHは約λ/10〜λ/16程度に設定される。
上記のように放射素子16a〜16dは、導体板11と対向して、より詳しくは平行に設けられ、給電点18に上記同軸コネクタ12の中心導体14がネジ止め、あるいは半田付け等によって接続される。この場合、放射素子16a〜16dは、短絡素子17a〜17d側の先端部を例えば導体板11の各角部(四隅)に対応して設け、導体板11をなるべく小さく形成できるようにしている。
上記アンテナ素子15の具体的な寸法例としては、例えば使用周波数帯における最低周波数がUHF帯の470MHzの場合、導体板11の一辺の長さW1が300〜400mm、放射素子16a〜16dの幅W2が約35mm、高さHが約40mmに設定される。
上記のように構成されたアンテナ装置は、例えば地下街の天井に設置する場合には、アンテナ素子15を下側、同軸コネクタ12を上側にして数十mの間隔で複数設置される。この場合、アンテナ装置には、アンテナ素子15を保護する保護カバー(レドーム)が必要に応じて設けられる。
そして、地上に例えば地上波(テレビ、携帯電話)受信用の大型の屋外アンテナを設置し、この屋外アンテナで受信した地上波を中継用受信装置で受信・増幅し、同軸ケーブルにより上記アンテナ装置の給電点18に給電する。アンテナ装置は、給電点18に給電されると、給電点18から短絡素子17a〜17dの方向に給電電流が流れ、各放射素子16a〜16dから下方に向けて垂直偏波の電波が放射される。なお、各放射素子16a〜16dは等角度(または略等角度)に設けられることから、水平面指向性を無指向化することができる。
従って、地上波が直接届かない地下街等においても、上記地下街に設置されたアンテナ装置から再送信される電波を、携帯電話、テレビ受信機、あるいはテレビ受信機能を備えたモバイル機器により受信することが可能となる。
上記第1実施形態に示したアンテナ装置は、アンテナ素子15の高さが40mm程度で、保護カバーを含めても45mm〜50mm程度であり、小型で低姿勢である。従って、地下街等の設置スペースが狭い場所であっても容易に設置でき、且つ美観を保つことができる。
なお、上記第1実施形態では、アンテナ素子15として4本の放射素子16a〜16dを設けた場合について示したが、2本以上であれば任意の数に設定することが可能である。また、放射素子16a〜16dは、板状素子に限るものではなく、線状素子を用いても良い。また、放射素子16a〜16dの終端は、板状の短絡素子17a〜17dの代わりにショートピン等のピン状の短絡素子を使用して短絡しても良い。
また、上記第1実施形態では、導体板11の四隅に近接して短絡素子17a〜17dを設けた(即ち、放射素子16a〜16dを導体板11の対角線上に配置した)場合について示したが、その他の位置、例えば導体板11の各辺部に対応させて短絡素子17a〜17dを設けても良い。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
図3Aは本発明の第2実施形態に係るアンテナ装置の斜視図、図3Bは要部(無給電素子部分)を示す斜視図、図4は同側面図である。なお、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
この第2実施形態は、上記第1実施形態に係るアンテナ装置において、給電部、すなわち導体板11上に突出させた同軸コネクタ12の中心導体14を中心として、その同心円上に1個以上例えば4個の整合用の無給電素子21a〜21dを等間隔(等角度)に設けたものである。
無給電素子21a〜21dを中心導体14の近傍に配置することで、無給電素子21a〜21dの垂直部分と中心導体14との間が電磁結合される。また、上記無給電素子21a〜21dは、水平部22a〜22dを備えている。水平部22a〜22dは、放射素子16a〜16dそれぞれの短絡箇所と給電点18とを結ぶ線路に容量結合されるように、各線路上またはその近傍に形成される。例えば、図3Bに示すように、水平部22a〜22dは、金属板を使用して上部を外側方向、すなわち、中心導体14とは反対方向に約90°折り返して逆L字状に形成したものである。
この無給電素子21a〜21dは、例えば中心からの間隔SDが約0.026λ、幅SWが0.019λ、高さSHが約0.055λ、水平部22a〜22dの長さSLが約0.023λに設定される。上記無給電素子21a〜21dは、同心円上であれば回転した位置に設置しても問題はなく、任意の位置に設置することができる。無給電素子21a〜21dは、その設置位置によって特性を微調整することが可能である。
上記無給電素子21a〜21dの具体的な寸法例としては、例えば使用周波数帯における最低周波数が470MHzの場合、中心からの間隔SDが約17mm、幅SWが12mm、高さSHが約36mm、水平部の長さSLが約15mmに設定される。
上記第2実施形態に係るアンテナ装置では、無給電素子21a〜21dがスタブとして作用する。すなわち、無給電素子21a〜21dを設けることで、水平部22a〜22dと放射素子を流れる電流線路と容量結合させることができる。また、無給電素子21a〜21dを中心導体14の近傍に配置することで、無給電素子21a〜21dの垂直部分と中心導体14とを電磁結合させることができる。これにより、インピーダンス特性を決定する設定パラメータの数が増加することとなり、広帯域に亘って安定した状態に保持することが可能となる。
図5は第2実施形態に係るアンテナ装置の給電点18における実数部インピーダンス特性を示したもので、横軸に周波数[GHz]をとり、縦軸にインピーダンス実部[Ω]をとって示した。この実数部インピーダンス特性は、図5から明らかなように、400〜800MHzまで略一定のインピーダンス(抵抗値)が得られている。
図6は上記アンテナ装置の給電点18における虚数部インピーダンス特性を示したもので、横軸に周波数[GHz]をとり、縦軸にリアクタンス[Ω]をとって示した。この虚数部インピーダンス特性は、図6から明らかなように、500〜800MHzまで広い帯域に亘って、0±50Ωのリアクタンス値が得られている。
上記第2実施形態に係るアンテナ装置では、実数部インピーダンス特性において400〜800MHzまで略一定のインピーダンスが得られるが、その値が約10Ω程度であり、一般的に使用される50Ω(給電用同軸ケーブルの特性インピーダンス)より少し低い値となっている。従って、インピーダンス変換器を組み合わせてインピーダンスを50Ω程度に変換することにより、400〜800MHzの広帯域特性を有するアンテナとして使用することができる。
ここで、第2実施形態に係るアンテナ装置の効果を確認するためのシミュレーション結果を示す。図7は、無給電素子を設けていない場合のアンテナ装置の斜視図である。図8は図7に示すアンテナ装置のインピーダンス特性図、図9は同アンテナ装置のVSWR特性図である。図10は、図7に示すアンテナ装置に無給電素子を設けた場合のアンテナ装置の斜視図である。図11は図10に示すアンテナ装置のインピーダンス特性図、図12は同アンテナ装置のVSWR特性図である。
なお、図7及び図10において、放射素子16a〜16dの高さは45mmである。また、短絡素子17a〜17dの幅は、放射素子16a〜16dの幅W2より狭く設定されているが、幅W2としても同等の作用を有するので、何れを用いても良い。図10において、無給電素子21a〜21dは、周波数λが470MHzの自由空間波長である場合、中心導体14からの距離が19mm(≒0.03λ)、高さが35mm(=0.55λ)に設定される。
図8と図11のインピーダンス特性を比較すると、図11では、図8よりも広い帯域に亘って実数部が50Ω付近で略一定の値を示すと共に、虚数部が0±50Ωの値を示している。また、図9と図12のVSWR特性を比較すると、図12では、特に高周波領域においてVSWRが低下していることが読み取れる。したがって、無給電素子を設けることにより広帯域化を図ることが可能であると言える。
なお、上記第2実施形態では、無給電素子21a〜21dの水平部22a〜22dを方形状に形成した場合について示したが、例えば三角形、扇形等、他の形状に形成しても良い。また、無給電素子21a〜21dは、例えばT字状に形成しても良い。
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
図13は本発明の第3実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
この第3実施形態は、上記第2実施形態に係るアンテナ装置において、放射素子16a〜16dそれぞれの隣り合う端部間を接続する線路をさらに備える。放射素子16a〜16dの上部に例えば円形のリング型素子25を導体板11と平行に設け、より広帯域に亘って良好なインピーダンス特性を得られるようにしたものである。
なお、第3実施形態では、第2実施形態で示した短絡素子17a〜17dに代えてショートピン19a〜19dを使用している。このショートピン19a〜19dの直径は、例えば放射素子16a〜16dの幅W2の約1/2に設定される。上記ショートピン19a〜19dは、ネジ止めあるいは溶着等によって放射素子16a〜16dと導体板11との間に設けられる。上記短絡素子17a〜17dとショートピン19a〜19dは、同等の作用を有しているので、何れを使用しても良い。
上記リング型素子25は、放射素子16a〜16dの上側に配置され、例えばショートピン19a〜19dの上端部分において、ネジ止めあるいは溶着等によって固着される。その他の構成は、第2実施形態と同様の構成であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
上記リング型素子25は、金属板を使用してリング状に形成したもので、その寸法は例えば内径が約0.303λ、外径が約0.359λに設定される。リング型素子25の幅は、放射素子16a〜16dの幅W2と同じ、または略同じ値に設定される。
図14は、第3の実施形態に係るアンテナ装置の等価回路を示す図である。図14において、中心導体14は不均一線路1、放射素子16a〜16dは均一線路1、無給電素子21a〜21dは不均一線路3、短絡素子17a〜17dは不均一線路2、リング型素子25は均一線路2とモデル化できる。無給電素子21a〜21dはL、Cの直列共振回路として作用し、リング型素子25はオープンスタブとして作用する。オープンスタブの先端では電圧振幅が最大となり、付け根では電圧振幅は0となる。オープンスタブの長さを調節することでインピーダンス特性を容易に調整することができる。
図15は、上記第3実施形態に係るアンテナ装置の給電点18における実数部インピーダンス特性で、横軸に周波数[GHz]をとり、縦軸にインピーダンス実部[Ω]をとって示した。リング型素子25を設けることによって実数部インピーダンス特性は、400〜800MHzまでの広い帯域に亘って50±(20〜30)Ωに保持される。
図16は、上記アンテナ装置の給電点18における虚数部インピーダンス特性で、横軸に周波数[GHz]をとり、縦軸にリアクタンス[Ω]をとって示した。虚数部インピーダンス特性は、450〜900MHzまでの広い帯域に亘って0±20Ωのリアクタンス値が得られている。
図17は、上記アンテナ装置において、導体板11の一辺の長さW1を400mmに設定した場合のVSWR特性であり、横軸に周波数[GHz]をとり、縦軸にVSWRをとって示した。このVSWR特性は、480〜820MHzの広い帯域でVSWR≦2となり、その比帯域は約57%であった。
ここで、第3の実施形態に係るアンテナ装置における無給電素子21a〜21dの効果を確認する。図18は、図13の構成から無給電素子21a〜21dを外したモデルの実数部インピーダンス特性図である。また、図19は同モデルの虚数部インピーダンス特性図、図20は同モデルのVSWR特性図である。
図15と図18の実数部インピーダンス特性を比較すると、図15では50Ω付近を保持する周波数領域が広帯域にわたっている。図16と図19の虚数部インピーダンス特性を比較すると、図16では広帯域にわたって0Ω付近のリアクタンス値が得られていることがわかる。また、図17と図20のVSWR特性を比較すると、図17ではVSWR≦2を満たす領域は広帯域化していることが読み取れる。第3の実施形態に係るアンテナ装置の構成においても、無給電素子21a〜21dを備えることにより広帯域化を図ることが可能であることが確認できる。
上記第3実施形態に係るアンテナ装置では、広い周波数帯域に亘って50Ω前後のインピーダンスに保持されるので、インピーダンス変換器を用いることなく、広帯域アンテナとして使用することができる。
なお、上記第3実施形態では、リング型素子25を円形に形成した場合について示したが、その他、方形や多角形等、任意の形状に形成し得るものである。
さらに、上記第3実施形態では、各放射素子16a〜16dとリング型素子25と間に空隙が形成された場合について示したが、空隙を無くし、1枚の金属板により円板状の放射素子を形成しても良い。図21は、円板状のアンテナ素子を有するアンテナ装置の斜視図である。図22は、図21に示すアンテナ装置の実数部インピーダンス特性図、図23は同アンテナ装置の虚数部インピーダンス特性図、図24は同アンテナ装置のVSWR特性図である。
図21において、円板状素子25aの円周上に等間隔でショートピン19a〜19dを設けることにより、円板状素子25aには給電点18からショートピン19a〜19dの方向に給電電流が流れる、さらにその一部は円板状素子25aの外周を流れる。
図22、23が示すように、図13の構成の場合と同様に良好なインピーダンス特性が得られている。図24から明らかなように、このようにしても、570MHz〜840MHzの広い帯域でVSWRを2以下とすることができる。なお、円板状素子25aの形状は、円板状に限らず、方形または多角形等としてもよい。
(第4実施形態)
次に本発明の第4実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
図25は本発明の第4実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
この第4実施形態は、上記第3実施形態に係るアンテナ装置において、放射素子16a〜16dのショートピン19a〜19dの近傍の導体板11に整合板31a〜31dをさらに備えたものである。整合板31a〜31dは、例えば図25に示すように、導体板11の四隅(即ち放射素子16a〜16dの延長線上に位置する部位)を他の部分より広げて形成し、この広げた部分を上方に90°折り曲げて形成される。上記整合板31a〜31dの一辺の長さは、導体板11の長さの約15±5%に設定する。
また、リング型素子25には、例えば各ショートピン19a〜19dの略中央の位置において、導体板11との間に合成樹脂等の絶縁材によるスペーサ32a〜32dを設け、リング型素子25が導体板11と平行に保たれるように保持している。上記スペーサ32a〜32dは、例えば円柱状や角柱状など任意の形状に形成することができる。
上記のようにショートピン19a〜19dに近い導体板11の部分は、放射素子16a〜16dからショートピン19a〜19dを介して電流が流れる部分である。つまり、給電点18と放射素子16a〜16dの短絡箇所とを結ぶ直線の延長線上に整合部31a〜31dをそれぞれ設けることにより、導体板11に流れる電流線路を延長することができる。これにより、導体板11の平面積を狭めることが可能となる。したがって、この部分に整合板31a〜31dを設けることにより、導体板11を効率的に作用させることができ、導体板11を小さく形成しても、良好なVSWR特性を保持することが可能となる。さらに、放射素子16a〜16dの短絡箇所と整合板31a〜31dとの間隔を調整することによって電磁結合させることができるため、設定パラメータの数を増加させることができ、より一層の広帯域化を図ることが可能となる。
なお、整合板31a〜31dを導体板11の四隅だけでなく、導体板11の全周辺に亘って整合板を形成することも考えられるが、導体板11を小さく形成している状態では、導体板11の全周辺に亘って整合板を形成すると所望の特性が得られない場合があるので、ショートピン19a〜19dの最も近い部分に対して整合板31a〜31dを設けた方が良好な結果が得られている。
図26は、導体板11の一辺の長さW1を350mm(350×350mm)とし、整合板31a〜31dを設けていない場合のVSWR特性であり、横軸に周波数[GHz]をとり、縦軸にVSWRをとって示した。このときVSWR特性は、520〜830MHzの帯域でVSWR≦2となり、その比帯域は約47%であった。
図27は、上記図25に示したアンテナ装置において導体板11の大きさを350×350mmとし、導体板11の四隅に整合板31a〜31dを設けた場合のVSWR特性である。このときのVSWR特性は、470〜790MHzの帯域でVSWR≦2となり、約51%の比帯域が得られた。
整合板31a〜31dを設けることにより、VSWR≦2の比帯域が向上すると共に、動作する最低周波数は520MHzから470MHzまで低くなり、VSWR値も全体的に1に近くなって整合される。
図28〜図30は、上記第4実施形態におけるアンテナ装置の垂直偏波水平面(X−Y面)指向性を示したもので、図28は470MHzの周波数、図29は590MHzの周波数、図30は710MHzの周波数における特性である。
上記第4実施形態におけるアンテナ装置の水平面指向性は、図28〜図30からも明らかなように各周波数帯において2dB以下の偏差に抑えられた無指向性となっている。
図31〜図33は、上記第4実施形態におけるアンテナ装置の垂直偏波垂直面(Y−Z面)指向性を示したもので、図31は470MHzの周波数、図32は590MHzの周波数、図33は710MHzの周波数における特性である。アンテナ構成を左右対称構造にしているため、指向性も対称形となっている。
上記第4実施形態によれば、整合板31a〜31dを設けることによってVSWR特性を改善でき、導体板11を小さくしてアンテナの小型化を図ることができる。また、整合板31a〜31dを設けた場合でも、放射素子16a〜16dの高さを更に高くする必要はなく、第1実施形態に示した高さのままで所望の放射特性を得ることができる。
また、リング型素子25と導体板11との間にスペーサ32a〜32dを設けることにより、リング型素子25全体を導体板11に対して平行に保つことができ、常に安定した特性を保持することができる。
なお、上記第4実施形態では、導体板11の一部を広げ、その広げた部分を折曲げて整合板31a〜31dを形成した場合について示したが、別体の部材を導体板11に取付けて整合板31a〜31dを形成しても良い。また、この別体の部材の取り付け部分は、導体板11の四隅に限らない。給電点18と放射素子16a〜16dの短絡箇所とを結ぶ直線の延長線上であれば、この部材を短絡箇所近傍に取り付けて整合板31a〜31dを形成するようにしても良い。
また、上記第4実施形態では、導体板11の広げた部分を90°折曲げて整合板31a〜31dを形成した場合について示したが、広げた部分を折り曲げずに、そのままの状態で整合板31a〜31dとしても、折曲げた場合と同等の効果を得ることができる。
また、第4実施形態では、導体板11の四隅に整合板31a〜31dを形成した場合について示したが、放射素子16a〜16dのショートピン19a〜19dを導体板11の辺部に対応して設けた場合には、ショートピン19a〜19dに近い導体板11の辺部に整合板31a〜31dを設ければ良い。
また、第4実施形態では、リング型素子25を備えたアンテナに実施した場合について示したが、リング型素子25を備えていないアンテナに対して整合板31a〜31dを設けた場合でも、整合の効果を得ることができる。
(第5実施形態)
次に本発明の第5実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
図34は本発明の第5実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
この第5実施形態に係るアンテナ装置は、1つの導体板11上に複数例えば第1のアンテナ素子15a及び第2のアンテナ素子15bを設けたものである。この実施形態では、線状素子を用いてアンテナ素子15a、15bを構成した場合について示している。第1のアンテナ素子15aは、低い周波数帯の信号に共振するように各部の長さが設定され、第2のアンテナ素子15bは、第1のアンテナ素子15aの共振周波数よりも高い周波数帯の信号に共振するように各部の長さが設定される。
上記第1のアンテナ素子15a及び第2のアンテナ素子15bは、各実施形態で示したアンテナ素子15と同様の構成であるので詳細な説明は省略するが、3本以上の放射素子41a〜41d、51a〜51d及び各放射素子の外側端を導体板11に接続するショートピン(あるいはショート板)42a〜42dによって形成され、各放射素子の中央部に設けられる給電点18a、18bに同軸コネクタの中心導体14a、14bによって給電される。更に、給電線路の周囲に無給電素子を設けても良い。また、各アンテナ素子15a、15bの上部に第3実施形態で説明したリング型素子を設けても良い。
第1のアンテナ素子15aは、低い周波数帯の信号に共振するように設定される。一方、第2のアンテナ素子15bは、第1のアンテナ素子15aの共振周波数よりも高い周波数帯の信号に共振するように各部の長さが設定されるので、各部の寸法が第1のアンテナ素子15aよりも短く、第1のアンテナ素子15aの各放射素子41a〜41dの間及び下方に生じたスペースを利用して設置することができる。このため導体板11を特に大きく形成することなく、2つのアンテナ素子15a、15bを配置することができる。
上記のように1つの導体板11上に2つのアンテナ素子15a、15bを配置することにより、小型低姿勢でありながら異なる周波数帯に対応させることができる。
なお、上記第5実施形態では、1つの導体板11上に2つのアンテナ素子15a、15bを設けた場合について示したが、更にそれ以上のアンテナ素子を設けてもう良い。
本発明に係るアンテナ装置は、以上説明したように広帯域であり、且つ小型低姿勢で水平面無指向性であるので、ワンセグ放送の中継装置の他、移動体通信における中継局や無線LAN等に使用して大きな効果を発揮することができる。また、GHz帯等の高い周波数帯では、更にアンテナを小型化できるので、モバイル機器においても使用することが可能である。
すなわち、本発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
本発明の第1実施形態に係るアンテナ装置の基本構成を示す斜視図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の側面図である。 本発明の第2実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 同アンテナ装置の無給電素子部分の配置構成を示す斜視図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の側面図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の実数部インピーダンス特性図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の虚数部インピーダンス特性図である。 無給電素子を設けていない場合のアンテナ装置の斜視図である。 図7に示すアンテナ装置のインピーダンス特性図である。 図7に示すアンテナ装置のVSWR特性図である。 無給電素子を設けた場合のアンテナ装置の斜視図である。 図10に示すアンテナ装置のインピーダンス特性図である。 図10に示すアンテナ装置のVSWR特性図である。 本発明の第3実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図13に示したアンテナ装置の等価回路を示す図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の実数部インピーダンス特性図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の虚数部インピーダンス特性図である。 同実施形態におけるアンテナ装置のVSWR特性図である。 同実施形態に係るアンテナ装置において、無給電素子を設けていない場合の実数部インピーダンス特性図である。 同実施形態に係るアンテナ装置において、無給電素子を設けていない場合の虚数部インピーダンス特性図である。 同実施形態に係るアンテナ装置において、無給電素子を設けていない場合のVSWR特性図である。 円板状のアンテナ素子を有するアンテナ装置の斜視図である。 図21のアンテナ装置の実数部インピーダンス特性図である。 図21のアンテナ装置の虚数部インピーダンス特性図である。 図21のアンテナ装置のVSWR特性図である。 本発明の第4実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 同実施形態に係るアンテナ装置において、整合板を設けていない場合のVSWR特性図である。 同実施形態に係るアンテナ装置のVSWR特性図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の470MHzの周波数における垂直偏波水平面指向性を示す図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の590MHzの周波数における垂直偏波水平面指向性を示す図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の710MHzの周波数における垂直偏波水平面指向性を示す図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の470MHzの周波数における垂直偏波垂直面指向性を示す図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の590MHzの周波数における垂直偏波垂直面指向性を示す図である。 同実施形態に係るアンテナ装置の710MHzの周波数における垂直偏波垂直面指向性を示す図である。 本発明の第5実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
符号の説明
11…導体板、12…同軸コネクタ、13…外導体、14、14a、14b…中心導体、15…アンテナ素子、15a…第1のアンテナ素子、15b…第2のアンテナ素子、16a〜16d…放射素子、17a〜17d…短絡素子、18、18a、18b…給電点、19a〜19d…ショートピン、21a〜21d…無給電素子、25…リング形素子、25a…円板状素子、31a〜31d…整合板、32a〜32d…スペーサ、41a〜41d…第1のアンテナ素子の放射素子、42a〜42d…第1のアンテナ素子のショートピン、51a〜51d…第2のアンテナ素子の放射素子、52a〜52d…第2のアンテナ素子のショートピン。

Claims (5)

  1. 導体板と、
    給電点を中心に等角度で配置された複数の板状放射素子を有し、前記導体板に対向して配置され、該複数の板状放射素子がそれぞれの端部の付近で前記導体板に部分的に短絡される放射と、
    外導体と中心導体とを有し、前記導体板の中央部に設けられ、該外導体が前記導体板の中央部に電気的に接続される給電端子と、
    前記給電端子の中心導体と前記放射素の給電とを電気的に接続する給電路と、
    前記導体板上に設けられ、前記複数の板状放射素子の何れかに容量結合されるように形成される少なくとも1個の金属製の無給電素子と、
    を具備し、
    前記導体板と前記放射部とが対向する間隔をλ/16〜λ/10(ただしλは使用周波数帯における最低周波数の波長)に設定することを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記放射は、前記複数の板状放射素子のそれぞれの終端の付近に固着される、金属板をリング状に形成したリング型素子をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  3. 前記導体板は、一辺の長さが約0.5λ以上の略正方形に形成され、
    前記複数の板状放射素子は、4個以上あり、約λ/4の長さを有し、前記導体板に平行に設けられ、前記導体板に垂直に設けられたショートピンによりそれぞれの端部の付近が前記導体板に短絡され、
    該複数の板状放射素子のうちの4個が、前記導体板の対角線上にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記導体板は、前記放射部と対向する側の面の、前記複数の板状放射素子のそれぞれの延長線上の位置に、該導体板から略90度起立させた整合をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3記載のアンテナ装置。
  5. 前記導体板は前記中央部に孔が設けられ、前記給電端子は、前記放射部と対向する側と反対の面に設けられ、
    給電路は、前記給電端子の中心導体を延長して形成され、前記孔を貫通して前記給電点にネジ止めあるいは半田付けにより接続され、
    前記複数の板状放射素子と前記リング型素子は、1枚の円板状金属板により一体に形成され、
    前記無給電素子は、前記容量結合に加え前記給電路との間で電磁結合し、前記容量結合は、該無給電素子の先端を前記複数の板状放射素子の何れかと平行に形成して為されることを特徴とする請求項3又は4記載のアンテナ装置。
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