JP5022208B2 - ヘモグロビン類の測定システム - Google Patents
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Description
従来、HbA1cの測定方法としては、HPLC法、免疫法、電気泳動法等が用いられている。このうち、臨床検査分野で多く用いられているHPLC法では、1試料当たり1〜2分での測定が可能であり、また、同時再現性試験のCV値が1.0%程度の測定精度が実現されている。糖尿病患者の血糖管理状態を把握するための測定方法としては、このレベルの性能が必要とされている。
電気泳動法によるHb類の測定は、通常とは異なるアミノ酸配列を有する異常Hb類の分離方法として古くから用いられているが、HbA1cの分離は非常に困難であり、ゲル電気泳動の手法では30分以上の時間が必要であった。このように電気泳動法は、臨床検査分野に応用した場合、測定時間及び測定精度の点で問題があるため、現在では糖尿病診断への応用はほとんど行われていなかった。
しかしながら、特許文献1に開示された方法を用いた場合、測定時間が長いという問題点は解消されず、加えて、使用する緩衝液のpHが9〜12と高く、Hbが変性してしまう可能性があることから、この方法を臨床検査に適用することは困難であった。
以下に本発明を詳述する。
図2は、本発明1のヘモグロビン類の測定システムに用いられるマイクロデバイスの構成を示す模式図である。本発明1に用いられるマイクロデバイス1は試料導入部2を有し、該導入部2に、エンドプロテアーゼ処理された血液試料が添加される。添加された血液試料は、まず試料導入部2に連通しているクロマトグラフィー流路3に導かれる。上記クロマトグラフィー流路3には充填剤4が充填されており、試料中の成分は、充填剤4との相互作用により分画される。分画された成分の内、電気泳動に供される目的成分が、クロマトグラフィー流路3と電気泳動流路6が合流する分画部9に来た時に、該目的成分のみが電気泳動流路6に導かれて電気泳動が実施され分離される。電気泳動流路6内において分離された各成分は、検出位置12において順次検出される。
上記マイクロデバイス1を構成する素材としては特に限定されず、従来公知の素材を用いることができるが、例えば、ホウケイ酸ガラス、石英等のガラス系、フューズドシリカ、ポリジメチルシロキサン等のシリカ系、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂等の樹脂系等の素材が好ましい。なかでも、ガラス系、シリカ系、アクリル樹脂系の素材が好ましい。
上記マイクロデバイスとしては、例えば、数cm〜数十cm角以下程度の大きさを有した基板状あるいはその他の形状からなる公知のマイクロデバイス等が挙げられ、μ−TAS、Lab−on−a−chipと呼ばれる技術に用いられる従来公知のマイクロチップ等を用いることができる。
上記マイクロデバイス1を製造する方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
上記試料導入部2の位置、形状、数等は特に限定されず、エンドプロテアーゼ処理された血液試料が添加され得るものであればよいが、一定量の血液試料を溜めておくことができるリザーバ状の試料導入部であることが好ましい。
上記試料導入部は、血液試料をろ過することができるフィルタ装置等を付属していてもよい。
なお、試料導入部は、後述するクロマトグラフィー用流路3に、直接的あるいは間接的に連通している必要がある。
上記血液試料を得るための血液を得る方法としては特に限定されず、公知の方法、すなわち、例えばEDTA、フッ化ナトリウム、ヘパリン等の抗凝固剤存在下での採血、等の方法により採血される。
上記血液試料を調整する方法としては特に限定されず、例えば、得られた血液をそのまま、又は、遠心処理して血球分画を採取し、生理食塩水や緩衝液等の塩溶液に溶解する方法等が挙げられる。必要に応じて、不安定型HbA1cを除去する操作;すなわち37℃で加温する方法、公知の不安定型HbA1c除去試薬を添加する方法等を行ってもよい。
上記エンドプロテアーゼ処理の方法は、一般に行なわれる酵素処理の方法が用いられ、上記エンドプロテアーゼを含む緩衝液を上記血液溶液に添加して加温等をすることにより行なうことができる。
上記エンドプロテアーゼとしては、HbA1c及びHbAoのβ鎖N末端の同じアミノ酸配列の位置で切断できるプロテアーゼであれば特に限定されないが、特にβ鎖N末端のアミノ鎖における、N末端より6つめのグルタミン酸と7つめのグルタミン酸の間を切断する、エンドプロテアーゼGlu−C(EC3.4.21.19)が好ましい。
得られたエンドプロテアーゼ処理済み血液試料は、上記マイクロデバイス1において、試料導入部2に添加される。
上記クロマトグラフィー流路3の素材、形状、大きさは特に限定されないが、充填剤を内包し、目的成分を充分分画できるものが好ましい。
上記流路の素材としては、上記マイクロデバイス1の素材として用いられる素材と同一の群から選ばれる素材であってよく、また、上記素材からなる流路の内表面に、各種の表面改質処理をしたものであってもよい。
ここでいう表面改質処理とは、紫外線処理、プラズマ処理等の光学的処理;各種化学物質の反応、オゾン水処理等による化学処理、各種ポリマー等のコーティングによる被覆処理等が挙げられる。最終的に内表面は、血液試料の成分が非特異的な吸着を起さないよう、親水性を示すものであることが好ましい。
上記クロマトグラフィー流路3の長さは、好ましい下限が1mm、好ましい上限が100mmである。1mm未満であると、試料を分画するための充填剤量が充分内包できず、100mmを超えると、充填剤による圧力損失が増大しやすくなる。
上記クロマトグラフィー流路3の口径は、好ましい下限が0.01mm、好ましい上限が10mmである。口径が0.01mm未満であると充填剤による圧力損失が増大する可能性がある。また、10mm以上であると、試料が拡散し、分離性能が劣化する可能性がある。
あお、上記クロマトグラフィー流路3の素材、内表面の性情、長さ方向及び断面の形状、長さ、口径等は、マイクロデバイス1に形成された他の部分の流路と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記充填剤4は、エンドプロテアーゼ処理された血液試料中の、HbA1c及びHbAo由来のβ鎖N末端の各断片又は両者の混合物を、他の成分より分離することができるものであれば特に限定されず、公知の液体クロマトグラフィー用充填剤を用いることができる。
上記固定機構5を有することによって、上記充填剤4を、クロマトグラフィー流路3内の所定の位置に設置しておくことができる。上記固定機構5は、上記クロマトグラフィー流路3における上記充填剤4の出口側(電気泳動流路6側)のみでもよく、両側に設置されてもよい。
上記充填剤4を固定するための固定機構5としては、充填剤4が当初充填された位置から移動しないように固定することができる機構であれば特に限定されず、例えば、血液試料や緩衝液は通過できるが、充填剤粒子は通過できない孔径を有するフィルタを用いること;充填剤4の出口側のクロマトグラフィー流路3の断面積を、測定試料や緩衝液は通過できるが、充填剤粒子は通過できない大きさに小さくした堰を設けること等が挙げられる。
上記緩衝液のpHは、好ましい下限が1、好ましい上限が8、より好ましい下限が2より好ましい上限が6である。
図5に示すように、試料導入部2と排出部11に電極32を設置し、試料導入部2と排出部11の間に電気浸透流を発生させることによって、試料導入部2内の試料をクロマトグラフィー流路3及び分画部9に導くことができる。
図6に示すように、試料導入部2よりも上流側に、電気浸透流発生流路35を設置し、同流路の両端部に電極32を設置して、同流路35内に電気浸透流を発生させ、該電気浸透流の駆動力を試料導入部2に導くことで、試料導入部2内の試料をクロマトグラフィー流路3及び分画部9まで移動させることができる。
電気浸透流を発生させる方法としては特に限定されず、公知の方法に基づき行なわれ、例えば、上記電極32を電源装置34に接続することにより実施できる。該電源装置34は、後述する電気泳動を実施する際に用いられる電源装置と共有化してもよい。
上記電気浸透流発生流路35の形状、大きさは特に限定されず、試料を充分に移動できる駆動力を発生させうる形状、大きさであればよい。
上記分画部9の仕様、すなわちクロマトグラフィー流路3及び電気泳動流路6の接続機構は特に限定されないが、クロマトグラフィー流路3におけるクロマトグラフィーにより分画された成分の内の電気泳動に供すべき目的成分のみを、電気泳動流路6に導きうる構造である必要がある。例えば、図2に示すように、クロマトグラフィー流路3と電気泳動流路6が十字型に交わる構成とした場合、クロマトグラフィー流路3におけるクロマトグラフィーにより分画された成分は、上記送液機構により排出部11に向かって順次導かれる。電気泳動に供すべき成分が分画部9に移動してきた時に、該成分を電気泳動流路9に導いて電気泳動を行なう。
図7は、目的成分を電気泳動流路に導く方法を説明するための模式図である。図7に示すように、電気泳動流路6の両端のリザーバに7及び10に電源装置41に接続された電極42を設置する。クロマトグラフィー流路3におけるクロマトグラフィーにより分画された成分(図7中a、b、c及びd)が順次、分画部9に導かれる(図7中、点線矢印)。電気泳動に供される目的成分、すなわち、エンドプロテーゼ処理された血液試料成分のうち、HbA1c及びHbAo由来のβ鎖N末端の各断片又は両者の混合物を成分cとすると、成分cが分画部9の位置に移動してきた時に、上記電極42に電圧を印加する。電気泳動により成分cのみが電気泳動流路6に導かれる。その際、上述の送液機構による駆動力は停止してもよい。
上記電気泳動流路6の長さ方向の形状は特に限定されないが、直線状であることが好ましい。上記電気泳動流路6の断面の形状は特に限定されないが、円状、矩形状であってもよい。
上記電気泳動流路6の口径は、好ましい下限が1μm、好ましい上限が100μmである。口径が1μm未満であると充填剤による圧力損失が増大する可能性がある。100μmを超えると、試料が拡散し、分離性能が劣化する可能性がある。
なお、上記電気泳動流路6の素材、内表面の性情、長さ方向及び断面の形状、長さ、口径等は、マイクロデバイスに形成された他の部分の流路と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記電極の大きさ、形状、材質等は特に限定されず、公知の大きさ、形状、材質の電極を用いることができ、例えば、緩衝液に接触する面積が10μm2以上の大きさ;円柱状、板状等の形状;白金、チタン、ガラス、カーボン、樹脂等の材質等、公知の電極を挙げることができる。
上記緩衝液のpHは、好ましい下限が1、好ましい上限が8、より好ましい下限が2、より好ましい上限が6である。
また、上記緩衝液は、上記クロマトグラフィー流路におけるクロマトグラフィーに用いられる溶離液と同一の緩衝液であってもよいし、異なっていてもよい。
上記検出部は、例えば、図1に示すように、光源204、検出器201を有する。光源204から発せられた測定光が入光素子203を介して、マイクロデバイス1の電気泳動流路6の任意の位置に設置された検出位置に照射され、電気泳動流路6内の分離された各成分を透過した測定光が受光素子202に検知されて検出器201により検出される。
上記検出原理としては特に限定されず、測定対象であるHbA1c及びHbAo由来のβ鎖N末端の各断片が検出できる方法であればよく、公知の光学的検出方法、電気化学的検出方法等が挙げられる。なかでも、光学的検出方法が簡便であることから好ましい。
上記光学的検出方法において、照射する測定光は、特定波長の測定光のみを照射してもよいし、電気泳動流路6の検出位置12を通過する前後において分光してもよい。
また、例えば、図1における入光素子203及び受光素子202に、レンズ等の装置を具備させる公知の技術を用いてもよい。
上記光学的検出方法において、測定波長としては特に限定されないが、好ましい下限が190nm、好ましい上限が500nmの紫外領域又は可視領域の波長である。
上記電源部は、例えば、図1に示すように、電源装置101を有する。外電源装置101は、ケーブルによりマイクロデバイス100内に設置された電極102に接続され、電気泳動を行なう際の電圧の印加に用いられる。
また、上記電源装置101は、上記に記載の送液機構のために用いられてもよい。
本発明1のヘモグロビン類のシステムでは、エンドプロテアーゼ処理された血液試料をマイクロデバイスに添加したが、本発明2のヘモグロビン類のシステムでは、エンドプロテアーゼ処理されていない血液試料をマイクロデバイスに添加する。
本発明1のヘモグロビン類のシステムに用いられるマイクロデバイスでは、マイクロデバイスに添加された試料はクロマトグラフィー流路に導かれるが、本発明2のヘモグロビン類のシステムに用いられるマイクロデバイスでは、マイクロデバイスに添加された試料は、まずエンドプロテアーゼを含む試薬と反応させられ、その後クロマトグラフィー流路に導かれる。すなわち、本発明2のシステムは、本発明1のヘモグロビン類のシステムは、測定試料のエンドプロテアーゼ処理をシステムに導入する前に行っていたが、本発明2のヘモグロビン類のシステムは、エンドプロテアーゼ処理をマイクロデバイス内で行なうものである。
上記マイクロデバイス20と、本発明1のヘモグロビン類の測定システムに用いられるマイクロデバイスとは、上記マイクロデバイス20がエンドプロテアーゼ処理機構、すなわち、試薬部21及び反応部22を有している点で相違する。相違点である試薬部21及び反応部22以外の部分は、本発明1のシステムに用いられるマイクロデバイスと同様の仕様のものを用いることができる。
上記血液試料を得るための血液は公知の方法、すなわち、例えばEDTA、フッ化ナトリウム、ヘパリン等の抗凝固剤存在下での採血、等の方法により採血される。上記血液試料を調整する方法としては特に限定されず、例えば、得られた血液をそのまま、又は、遠心処理して血球分画を採取し、生理食塩水や緩衝液等の塩溶液に溶解する方法等が挙げられる。必要に応じて、不安定型HbA1cを除去する操作;すなわち30〜40℃で加温する方法、公知の不安定型HbA1c除去試薬を添加する方法等を行なってもよい。
図3に示すように、得られた血液溶液は、本発明2のシステムの試料導入部2に添加される。上記試料導入部2は反応部22に連通している。
混合された血液試料及び試薬は、一定時間加温されて反応が行なわれることが好ましい。その際、送液機構は停止されていてもよいし送液されながら反応が行なわれてもよい。
上記反応部22は、恒温槽23内に設置されること、すなわち、少なくともエンドプロテアーゼ処理の反応を行なう際に、温度制御が行なわれるための機構が付属することが好ましい。
上記エンドプロテアーゼとの反応により、血液試料中に含まれるヘモグロビンから、HbA1c及びHbAo由来のβ鎖N末端の各断片が作られる。
上記緩衝液としては、公知の緩衝液類が用いれられ、上記本発明1のシステムにおける電気泳動時に用いられる緩衝液類等で挙げられる。緩衝液のpHは、好ましい下限が2、好ましい上限が8、より好ましい下限が3、より好ましい上限が7である。
上記試薬部21内の試薬を反応部22に供給する機構は特に限定されず、本発明1のヘモグロビン類の測定システムと同様の送液機構等を用いることができる。
また、予め反応部22内に試薬を予め必要量のみ保持していてもよい。その場合、上記反応部22は試薬部21を兼ねることができ、試薬部21は別途設ける必要はない。
本発明2のヘモグロビン類の測定システムにおける上記電源部及び検出部は、本発明1のヘモグロビン類の測定システムと同様のものを用いることができる。
また、上記マイクロデバイスは繰り返し使用してもよいし、1回限りの使用であってもよい。
HbA1c由来のβ鎖N末端の断片の量をX、HbA1c及びHbAo由来のβ鎖N末端の断片の量をYとした場合、下記式(1)により、安定型HbA1c量(%)を算出する。
安定型HbA1c(%)=X/(X+Y)×100 (1)
本発明1のヘモグロビン類の測定システムを用いることによって、上記式(1)により算出された安定型HbA1c(%)は、修飾Hb類や異常Hb等の影響を受けることなく、測定することができる。
本発明2によれば、エンドプロテアーゼ処理をマイクロデバイス上で行なうことができるため、更に簡便な操作で測定を行なうことができる。
本発明によれば、安定型HbA1cを1試料当たり数分という短時間で、同時再現性を示すCV値が1.0%程度という高精度で測定することが可能となることから、従来技術では困難であった糖尿病患者の電気泳動法によるHbA1c値の管理を好適に行うことができる。
(本発明1のヘモグロビン類の測定システムの作製)
図1の構成図に基づき本発明1のヘモグロビン類の測定システムを作製した。電源装置101は多チャンネルハイボルテージシーケンサ電源装置(ラボスミス社製:HVS448)、光源204は30W重水素光源装置(オーシャンオプティクス社製:D2000)を用い、検出器201はCCD分光器(B&Wテック社製:BTC112)とし、分光された214nmの吸光度を、自作プログラムによりデータ処理した。
フューズドシリカ製の基板を用い、図2に示したマイクロデバイス1(外観寸法:50mm×100mm)を作製した。該デバイス内の流路幅は、クロマトグラフィー流路3の内、充填剤が充填されている部分のみ内径5mmとし、他の部分は、電気泳動流路6も含めて100μとした。また、クロマトグラフィー流路3の内、充填剤が充填されている部分の長さを30mm、電気泳動流路6の内、分画部9から検出位置12までの長さを30mmとした。
図6における電極32は、白金電極(直径1mm×長さ20mm)を用い、上記電源装置101に電源ケーブルにて接続した。
トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製:NKエステル3G)200gに、テトラメチロールメタントリアクリレート(新中村化学社製:NKエステルA−TMM−3)300g及び過酸化ベンゾイル(ナカライテスク社製)1.2gを溶解し、攪拌しながら窒素雰囲気下にて昇温し、80℃で12時間重合した。得られた重合体をイオン交換水及びアセトンにて洗浄して乾燥させた後、分級機(日鉄鉱業社製:エルボージェットEJ−3)にて分級した。得られた重合体粒子(充填剤)の平均粒子径は、3.5μmであった。この充填剤を、上記のマイクロデバイス内のクロマトグラフィー用流路3(図2)に、充填した。
健常人よりEDTA採血した血液1.5mLを遠心分離(3000g×10分間)し、血漿と血球を分離した。血漿を除去した後、生理食塩水10mLを添加して2回洗浄した。更に、10mLの生理食塩水を血球に添加して37℃で4時間加温し、不安定型HbA1cを除去した。上清を除去した後、リン酸緩衝液(pH4.5)に溶解した。
得られた血液溶液200μLに、200μg/mLのエンドプロテアーゼGlu−C(ロッシュ社製)水溶液50μL及び50mMの酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.5)250μLを添加した。ゆるやかに攪拌しながら、37℃で18時間反応させた。得られた反応物100μLを、上記で作製したシステムの試料導入部に添加した。
予め、0.01重量%のテトラフルオロ酢酸を含むリン酸緩衝液(pH3.0)をクロマトグラフィー流路に満たしておき、クロマトグラフィーを行なった。添加してから5分後、予め、50mMリン酸緩衝液(pH3.0)を満たした電気泳動流路6の両端に設置した電極42(図7)に1200Vの電圧を印加して、電気泳動を実施した。214nmの吸光度を測定したところ、図8に示すエレクトロフェログラムが得られた。
図8中、ピーク1はHbAo由来のβ鎖N末端の断片、ピーク2はHbA1c由来のβ鎖N末端の断片を示す。各ピーク面積値から、上記式(1)からHbA1c(%)を算出したところ、4.0%であった。
また、同一の健常人試料を10回連続して測定(同時再現性試験)した際の、安定型HbA1c値のCV値は、0.84%と良好な再現性を示した。
(本発明2のヘモグロビン類の測定システムの作製)
図1の構成図に基づき本発明2のシステムを作製した。電源装置101、光源204、検出器201は、実施例1と同様のものを用いた。
ポリジメチルシロキサン製の基板を用い、実施例1と同世のマイクロデバイスを作製した。但し、図3に示す試薬部21及び反応部22を、試薬導入部2とクロマトグラフィー流路3の間に設けた。反応部22は恒温槽内に設置した。他の構成は実施例1のマイクロデバイスと同様とした。
健常人試料を添加し、上記実施例1と同様の方法により送液して反応部に導いた。一方試薬部21のエンドプロテアーゼを含む緩衝液も反応部22に導き、反応させた。反応部22を37℃として30分間反応させた。その後、反応液を、実施例1と同様の充填剤を充填したクロマトグラフィー流路3に送液した。更に、上記反応終了後から6分後に、電気泳動流路6の両対に設置した電極42(図7)に900Vの電圧を印加し、電気泳動を実施した。214nmの吸光度を測定したところ、図8と同様のエレクトロフェログラムが得られた。
各ピーク面積値から、上記式(1)を用いてHbA1c(%)を算出したところ、4.0%であった。
また、実施例1と同様の同時再現性試験のおける、安定型HbA1c値のCV値は、0.79%と良好な再現性を示した。
Claims (2)
- 電気泳動法を用いて安定型ヘモグロビンA1cを測定するための測定システムであって、
エンドプロテアーゼ処理された血液試料を導入するための試料導入部、前記試料導入部に連通し、逆相系充填剤又はイオン交換系充填剤を充填したクロマトグラフィー用流路、及び、前記クロマトグラフィー流路に連通し、前記クロマトグラフィー流路におけるクロマトグラフィーにより分画された成分の内の電気泳動に供すべき目的成分のみを電気泳動流路に導く構造を有する分画部、前記分画部に連通し、前記目的成分を更に分離する電気泳動用流路を有するマイクロデバイスと、
前記マイクロデバイスに接続された電源部と、
前記マイクロデバイスにおいて目的成分を検出するための検出部とを備える
ことを特徴とするヘモグロビン類の測定システム。 - 電気泳動法を用いて安定型ヘモグロビンA1cを測定するための測定システムであって、
血液試料を導入するための試料導入部、エンドプロテアーゼを含む試薬を供給するための試薬部、前記試料導入部及び前記試薬部と連通し前記試薬と前記血液試料とを反応させる反応部、前記反応部と連通し、逆相系充填剤又はイオン交換系充填剤を充填したクロマトグラフィー用流路、前記クロマトグラフィー流路に連通し、前記クロマトグラフィー流路におけるクロマトグラフィーにより分画された成分の内の電気泳動に供すべき目的成分のみを電気泳動流路に導く構造を有する分画部、並びに、前記分画部に連通し、前記目的成分を更に分離する電気泳動用流路を有するマイクロデバイスと、
前記マイクロデバイスに接続された電源部と、
前記マイクロデバイスにおいて目的成分を検出するための検出部とを備える
ことを特徴とするヘモグロビン類の測定システム。
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